説明

金属材料表面処理用水系塗料組成物

耐薬品性、耐食性、耐溶剤性及び密着性に優れたカチオン性水系ウレタン樹脂からなる金属材料表面処理用水系塗料組成物を提供するために、2個以上の活性水素原子を有する化合物(A)と、有機ポリイソシアネート(B)と、三級アミノ基を有する鎖伸長剤(C)とを構成要素とするウレタンプレポリマーに含まれる三級アミノ基を酸により中和し又は四級化剤で四級化したカチオン性ウレタンプレポリマー(D)を、水又はポリアミン化合物(E)を用いて鎖伸長したカチオン性水系ウレタン樹脂(F)を含有する組成物を調製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は金属材料表面処理用水系塗料組成物に関し、更に詳細には、カチオン性水系ウレタン樹脂を用いた、耐薬品性、耐食性、耐溶剤性及び密着性に優れた金属材料表面処理用水系塗料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、家電製品、建材、自動車用などに用いられる鋼板等の金属材料の表面処理剤には、環境汚染、労働衛生、安全性の観点から、水系塗料が用いられている。これらの表面処理剤の樹脂成分として、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等が用いられているが、塗膜の強度、伸び等の物性バランスからポリウレタン樹脂が特に適している。ポリウレタン樹脂の中でも、特にアニオン性の水性塗料が使用されている。
【0003】
従来技術としては、酸アミド結合を含有するウレタン樹脂からなる水性塗料組成物(特許文献1)、カルボキシル基と酸アミド結合を有する水系樹脂と特定金属化合物及び珪素化合物からなる水性塗料組成物(特許文献2)、特定のケトン化合物、ケチミン化合物、ベンゾトリアゾール化合物を配合することが検討されている(特許文献3)
しかしながら、これらの水系樹脂を使用しても、耐アルカリ性、耐食性及び密着性等の各種性能を十分に満足するまでには至っていない。特に塗装面の塗装後工程において、耐アルカリ性脱脂工程での耐アルカリ性が必要であり、この耐アルカリ性に対して十分満足するものが得られていないのが現状である。アニオン性の水性タイプの塗料にはカルボン酸を含有するものが多く、このカルボン酸部分が耐アルカリ性を低下させるためである。
【特許文献1】特開2003−129253号公報
【特許文献2】特開2003−201579号公報
【特許文献3】特開2003−226728号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の目的は、従来より使用されているアニオン系水系塗料では不十分な耐薬品性、耐食性、耐溶剤性及び基材に対する密着性の点で優れた性能を発揮し得る金属材料表面処理用水系塗料組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、2個以上の活性水素原子を有する化合物(A)と、有機ポリイソシアネート(B)と、三級アミノ基を有する鎖伸長剤(C)とを構成要素とするウレタンプレポリマーに含まれる三級アミノ基を酸により中和し又は四級化剤で四級化したカチオン性ウレタンプレポリマー(D)を、水又はポリアミン化合物(E)を用いて鎖伸長したカチオン性水系ウレタン樹脂(F)を含有する金属材料表面処理用水系塗料組成物が、密着性、耐食性、耐溶剤性及び耐薬品性を発現することを見出しことに基づいて完成されたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の金属材料表面処理用水系塗料組成物は、ウレタンプレポリマーに三級アミノ基を導入し、酸により中和し又は四級化剤で四級化したので、水系でありながら優れた耐食性、耐薬品性、耐溶剤性及び密着性を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明に於ける2個以上の活性水素原子を有する化合物(A)は、ウレタン工業の分野において周知のものを使用することができる。この化合物(A)は、分子末端又は分子内に2個以上のヒドロキシル基、アミノ基又はメルカプト基を有するもので、一般に公知のポリエーテル、ポリエステル、ポリエーテルエステル、ポリチオエーテル、ポリアセタール、ポリブタジエン、ポリシロキサン等を例示することができ、更にフッ素系誘導体や植物油系誘導体等も例示することができる。化合物(A)として好ましいのは、分子末端に2個以上のヒドロキシル基を有する化合物である。なお、これら活性水素基を2個以上有する化合物の分子量は、50〜5,000の範囲にあることが好ましい。
【0008】
具体的には、2個以上の活性水素原子を有する化合物(A)として、エチレングリコール、プロピレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、水素添加ビスフェノールA、ジブロモビスフェノールA、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジヒドロキシエチルテレフタレート、ハイドロキノンジヒドロキシエチルエーテル、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールを挙げることができる。また、これらの多価アルコールのオキシアルキレン誘導体、これらの多価アルコール及びオキシアルキレン誘導体と、多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物、又は多価カルボン酸エステルとのエステル化物も挙げることができる。更に、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリエステルポリオ−ル、ポリチオエーテルポリオ−ル、ポリアセタールポリオ−ル、ポリテトラメチレングリコ−ル、ポリブタジエンポリオ−ル、ヒマシ油ポリオ−ル、大豆油ポリオール、フッ素ポリオール、シリコンポリオール等のポリオ−ル化合物やその変性体も挙げることができ、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドも挙げることができる。これら2個以上の活性水素原子を有する基を有する化合物(A)は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0009】
一実施形態では、2個以上の活性水素原子を有する化合物(A)は、ビスフェノールAのオキシアルキレン誘導体、オレフィン系ポリオール、植物油系ポリオールから選択される活性水素含化合物(A1)を少なくとも一種含んでいることが好ましい。ここで、オレフィン系ポリオールとしては、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、水素添加ポリブタジエンポリオール、水素添加ポリイソプレンポリオール等を例示することができ、植物油系ポリオールとしては、変性大豆油、ヒマシ油、脱水ヒマシ油、水素添加ヒマシ油等の各種水酸基含有植物油誘導体を例示することができる。これらの活性水素含化合物(A1)を用いると、金属材料に対する耐薬品性及び耐食性が向上する。この場合の活性水素含化合物(A1)の含有量は、水系ポリウレタン樹脂(F)に対して固形分換算で5重量%以上であることが好ましい。この含有量が5重量%未満では、各種金属材料に対する耐薬品性及び耐食性を向上させる効果が十分に発現されなくなる。
【0010】
本発明に於ける有機ポリイソシアネート化合物(B)は、ウレタン工業の分野において周知であり、任意のものを使用し得る。有機ポリイソシアネート化合物(B)としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(ポリメリックMDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート(H12MDI)、トリメチルメキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、リジンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、ビューレット化ヘキサメチレンジイソシアネート、イソシアヌレート化ヘキサメチレンジイソシアネート等の各種の芳香族、脂肪族、脂環族等のイソシアネート類を単独又は混合して使用することができる。
【0011】
また、本発明に於ける三級アミノ基を有する鎖伸長剤(C)としては、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン等のN−アルキルジアルカノールアミン、N−メチルジアミノエチルアミン、N−エチルジアミノエチルアミン等のN−アルキルジアミノアルキルアミン等が挙げられる。これらの三級アミノ基を含有する鎖伸長剤(C)は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0012】
本発明に於いて、鎖伸長剤(C)によって導入された三級アミノ基を酸で中和する場合、用い得る酸として、例えば蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、リンゴ酸、マロン酸、アジピン酸等の有機酸、塩酸、燐酸、硝酸等の無機酸等が挙げられる。これらの酸は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また鎖伸長剤(C)によって導入された三級アミノ基を四級化剤で四級化する場合、用い得る四級化剤として、例えばメチルクロライド、ベンジルクロライド等のハロゲン化アルキル、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル等の硫酸エステル等が挙げられる。これらの四級化剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中和に使用される酸又は四級化剤は、導入された三級アミノ基(C)の一部又は全部を中和又は四級化するように用いられる。
【0013】
本明細書に於けるアミン価の数字は、全てカチオン性水系ウレタン樹脂(F)に導入した三級アミノ基を有する鎖伸長剤(C)の三級アミノ基を中和又は四級化する前の固形分中の三級アミノ基導入量の値を示している。
【0014】
中和又は四級化して得られる分子末端にイソシアネートを有するプレポリマーの伸長は、水又は2価以上のポリアミンを使用して行うことができる。2価以上のポリアミンとしては、例えばエチレンジアミン、トリメチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどの脂肪族ポリアミン化合物、メタキシレンジアミン、トリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン等の芳香族ポリアミン化合物、ピペラジン、イソホロンジアミン等の脂環族ポリアミン化合物、ヒドラジン、アジピン酸ジヒドラジドのようなポリヒドラジド化合物等が挙げられる。これらのポリアミン化合物は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、ポリマー化を大きく阻害しない程度に反応停止剤としてジブチルアミンなどの1価のアミンやメチルエチルケトオキシムのような反応停止剤を使用してもよい。
【0015】
本発明において使用されるカチオン系水系ウレタン樹脂(F)の架橋密度は、該カチオン系水系ウレタン樹脂(F)の1000分子量あたり0.01〜0.50であることが好ましい。ここでいう架橋密度とは次の数1に示す式によって計算することにより求めることができる。即ち、分子量MWA1及び官能基数FA1の活性水素原子含有化合物(A)をWA1gと、分子量MWA2及び官能基数FA2の活性水素原子含有化合物(A)をWA2gと、分子量MWAJ及び官能基数FAJの活性水素原子含有化合物(A)をWAjgと(jは1以上の整数)と、分子量MWB1、官能基数FB1の有機ポリイソシアネート(B)をWB1gと、分子量MWB2及び官能基数FB2の有機ポリイソシアネート(B)をWB2gと、分子量MWBk及び官能基数FBkの有機ポリイソシアネート(B)をWBkg(kは1以上の整数)と、分子量MWC1、官能基数FC1の三級アミノ基を有する鎖伸長剤(C)をWC1gと、分子量MWCm、官能基数FCmの三級アミノ基を有する鎖伸長剤(C)をWCmg(mは1以上の整数)と、分子量MWE1、官能基数FE1のポリアミン化合物(E)をWE1gと分子量MWEn、官能基数FEnのポリアミン化合物(E)をWEngとを反応せしめて得られるカチオン性水系ウレタン樹脂(F)に含まれる樹脂固形分の1000分子量あたりの架橋密度は、下記の数1により計算で求めることができる。
【0016】
【数1】

【0017】
このようにして求めた架橋密度が、0.01未満では架橋度が低いため耐水性が低くなり、耐薬品性、、耐溶剤性及び耐食性に劣ってしまい、0.50を超えると樹脂が脆くなり、密着性及び耐屈曲性の点で劣ってしまうことがある。
【0018】
また、本発明に於けるカチオン性水系ウレタン樹脂(F)中の三級アミノ基を有する鎖伸長剤(C)の導入量が樹脂固形分のアミン価として5〜80mgKOH/gであることが好ましい。三級アミノ基の導入量がアミン価として5mgKOH/g未満では乳化不可能となってしまい、界面活性剤、ノニオン成分等を併用して乳化可能としたとしても、密着性及び耐水性が悪くなり、耐薬品性及び耐食性に劣ってしまうことがある。また、80mgKOH/gを超えた場合も耐水性が悪くなり、耐薬品性及び耐食性にも劣ってしまうことがある。
【0019】
更に、本発明に於けるカチオン性水系ウレタン樹脂(F)に含まれる樹脂固形分のガラス転移温度は、30〜120℃の範囲であることが好ましい。ガラス転移温度が30℃未満では樹脂の凝集力が低いため、耐水性、耐薬品性、耐食性及び耐摩耗性の点で劣ってしまい、120℃を超えると樹脂が脆くなるため、耐屈曲性に劣ってしまう。また、30〜120℃の範囲外では加工時の加工性も劣ってしまう。
【0020】
本発明の金属材料表面処理用水系塗料組成物を使用するのに好適な金属材料として、冷間圧延、熱延鋼鈑、炭素鋼板、珪素鋼板などの鋼板、電気亜鉛メッキ、溶融亜鉛メッキ、55%アルミ亜鉛メッキ、5%アルミ亜鉛メッキ、アルミメッキ、鉄亜鉛メッキ、ニッケルメッキ、銅メッキ、スズメッキ、亜鉛ニッケルメッキ、亜鉛マグネシウムメッキなどの各種メッキ鋼板、ステンレス鋼鈑、銅板、純アルミニウム材、アルミニウム合金材などのアルミニウム、アルミニウム合金を主成分とする金属材料等が挙げられる。
【0021】
また、本発明の金属材料表面処理用水系塗料組成物を使用する金属材料に、下地処理としてクロメート処理又はリン酸塩処理を施してもよい。また、近年、環境汚染、労働衛生、安全性等の問題からノンクロム化の動きが高まっているが、本発明の組成物は、クロメート処理又はリン酸塩処理を施さない金属材料を使用しても十分な耐食性、耐薬品性、耐溶剤性及び密着性を発現させることができる。
【0022】
本発明の金属材料表面処理用水系塗料組成物には、必要に応じて一般的に用いられる周知の各種添加剤を添加しても良い。このような添加剤としては、例えば、防錆剤、防錆顔料、染料、造膜助剤、無機架橋剤、有機架橋剤(例えばブロックドイソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、メラミン系架橋剤)、シランカップリング剤、ブロッキング防止剤、粘度調整剤、レベリング剤、消泡剤、分散安定剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、無機、有機充填剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤等が挙げられる。
【0023】
本発明の金属材料表面処理用水系塗料組成物には、リン酸系化合物、クロム酸系化合物、バナジウム系化合物、モリブデン酸系化合物、ジルコニウム化合物、チタン系化合物、セリウム系化合物、マンガン系化合物、タングステン酸系化合物、硼酸系化合物、硝酸系化合物、フッ化水素酸、コロイダルシリカ等の防錆剤を配合することが好ましい。
【0024】
更に、本発明の金属材料表面処理用水系塗料組成物は、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等と併用しても良い。
【実施例】
【0025】
本発明を実施例に基づいて以下に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0026】
以下に示す手順で、各実施例及び各比較例のポリウレタン水分散体を調製し、それぞれの分散体に含まれる樹脂固形分について、架橋密度を数1の式に基づいて求めるとともに、アミン価及びガラス転移温度を測定し、そのイオン性とともに表1にまとめて示した。
【0027】
(実施例1)
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、ポリエステルポリオール(クラポールP−2010、株式会社クラレ製、活性水素原子数2)を200重量部と、N−メチルジエタノールアミン(活性水素原子数2)を17重量部と、イソホロンジイソシアネートを67重量部と、メチルエチルケトン200重量部とを加え、75℃で4時間反応させて、ウレタンプレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。この溶液の不揮発分に対する遊離のイソシアネート基含有量は1.70%であった。次に、この溶液を45℃まで冷却し、硫酸ジメチルを18重量部加えて四級化した後、水730重量部を徐々に加えながらホモジナイザーを使用して乳化分散を行った。この乳化分散液を50℃で減圧して脱溶剤を行い、不揮発分約30%のカチオン性の金属材料表面処理用水系塗料組成物を得た。
【0028】
(実施例2)
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、ポリエステルポリオール(テスラック2477、日立化成ポリマー株式会社製、活性水素原子数2)を200重量部と、N−メチルジエタノールアミン(活性水素原子数2)を20重量部と、イソホロンジイソシアネートを75重量部と、メチルエチルケトンを207重量部加え、75℃で4時間反応させて、ウレタンプレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。この溶液の不揮発分に対する遊離のイソシアネート基含有量は1.5%であった。次に、この溶液を45℃まで冷却し、硫酸ジメチルを21.2重量部加えて四級化した後、水1100重量部を徐々に加えながらホモジナイザーを使用して乳化分散を行った。この乳化分散液を50℃で減圧して脱溶剤を行い、不揮発分約25%のカチオン性の金属材料表面処理用水系塗料組成物を得た。
【0029】
(実施例3)
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、ポリエステルポリオール(テスラック2477、日立化成ポリマー株式会社製、活性水素原子数2)を200重量部と、トリメチロールプロパン(活性水素原子数3)を0.5重量部と、N−メチルジエタノールアミン(活性水素原子数2)を5.0重量部と、イソホロンジイソシアネートを50重量部と、メチルエチルケトンを153重量部加え、75℃で4時間反応させて、ウレタンプレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。この溶液の不揮発分に対する遊離のイソシアネート基含有量は2.0%であった。次に、この溶液を45℃まで冷却し、硫酸ジメチルを5.30重量部加えて四級化した後、水670重量部を徐々に加えながらホモジナイザーを使用して乳化分散を行った。この乳化分散液を50℃で減圧して脱溶剤を行い、不揮発分約30%のカチオン性の金属材料表面処理用水系塗料組成物を得た。
【0030】
(実施例4)
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、ポリエステルポリオール(テスラック2477、日立化成ポリマー株式会社製、活性水素原子数2)を200重量部と、トリメチロールプロパン(活性水素原子数3)を15重量部と、N−メチルジエタノールアミン(活性水素原子数2)を25重量部と、イソホロンジイソシアネートを140重量部と、メチルエチルケトンを304重量部加え、75℃で4時間反応させて、ウレタンプレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。この溶液の不揮発分に対する遊離のイソシアネート基含有量は、3.0%であった。次に、この溶液を45℃まで冷却し、硫酸ジメチルを26.5重量部加えて四級化した後、水977重量部を徐々に加えながらホモジナイザーを使用して乳化分散を行った。その後、トリエチレンテトラミン(活性水素原子数4)9.2重量部でアミン伸長して乳化分散液を行った。この乳化分散液を50℃で減圧して脱溶剤を行い、不揮発分約30%のカチオン性の金属材料表面処理用水系塗料組成物を得た。
【0031】
(実施例5)
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、ポリエステルポリオール(テスラック2477、日立化成ポリマー株式会社製、活性水素原子数2)を200重量部と、トリメチロールプロパン(活性水素原子数3)を5重量部と、N−メチルジエタノールアミン(活性水素原子数2)を110重量部と、イソホロンジイソシアネートを270重量部と、メチルエチルケトン468重量部とを加え、75℃で4時間反応させて、ウレタンプレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。この溶液の不揮発分に対する遊離のイソシアネート基含有量は、1.7%であった。次に、この溶液を45℃まで冷却し、硫酸ジメチルを29.1重量部加えて四級化した後、水1500重量部を徐々に加えながらホモジナイザーを使用して乳化分散を行った。この乳化分散液を50℃で減圧して脱溶剤を行い、不揮発分約30%のカチオン性の金属材料表面処理用水系塗料組成物を得た。
【0032】
(実施例6)
撹拌機、還流冷却管、温度計および窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコにポリエステルポリオール(テスラック2477、日立化成ポリマー株式会社製、活性水素原子数2)を200重量部と、トリメチロールプロパン(活性水素原子数3)を5.0重量部と、N−メチルジエタノールアミン(活性水素原子数2)を25重量部と、イソホロンジイソシアネートを100重量部と、メチルエチルケトン231重量部とを加え、75℃で4時間反応させて、ウレタンプレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。この溶液の不揮発分に対する遊離のイソシアネート基含有量は、1.7%であった。次に、この溶液を45℃まで冷却し、硫酸ジメチルを26.5重量部加えて四級化した後、水1170重量部を徐々に加えながらホモジナイザーを使用して乳化分散を行った。この乳化分散液を50℃で減圧して脱溶剤を行い、不揮発分約25%のカチオン性の金属材料表面処理用水系塗料組成物を得た。
【0033】
(実施例7)
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、ビスフェノールAのエチレンオキサイド4モル付加物(ニューポールBPE−20NK、三洋化成工業株式会社製、活性水素原子数2)を200重量部と、トリメチロールプロパン(活性水素原子数3)を10重量部と、N−メチルジエタノールアミン(活性水素原子数2)を55.0重量部と、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを385重量部と、メチルエチルケトン520重量部と加え、75℃で4時間反応させて、ウレタンプレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。この溶液の不揮発分に対する遊離のイソシアネート基含有量は3.6%であった。次に、この溶液を45℃まで冷却し、硫酸ジメチルを40.8重量部加えて四級化した後、水1670重量部を徐々に加えながらホモジナイザーを使用して乳化分散を行った。この乳化分散液を50℃で減圧して脱溶剤を行い、不揮発分約30%のカチオン性の金属材料表面処理用水系塗料組成物を得た。
【0034】
(実施例8)
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2モル付加物(ポリエーテルBPX−11、旭電化工業株式会社製、活性水素原子数2)を200重量部と、トリメチロールプロパン(活性水素原子数3)を5.2重量部と、N−メチルジエタノールアミン(活性水素原子数2)を42.7重量部と、ポリエチレングリコール(PEG−600S、第一工業製薬株式会社製、活性水素原子数2)を81重量部と、トリレンジイソシアネート(コロネートT−80、日本ポリウレタン工業製)を211.4重量部と、メチルエチルケトン486重量部とを加え、75℃で4時間反応させて、ウレタンプレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。この溶液の不揮発分に対する遊離のイソシアネート基含有量は1.5%であった。次に、この溶液を45℃まで冷却し、硫酸ジメチルを36.2重量部加えて四級化した後、水1460重量部を徐々に加えながらホモジナイザーを使用して乳化分散を行った。この乳化分散液を50℃で減圧して脱溶剤を行い、不揮発分約24%のカチオン性の金属材料表面処理用水系塗料組成物を得た。
【0035】
(実施例9)
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2モル付加物(ポリエーテルBPX−11、旭電化工業株式会社製、活性水素原子数2)を200重量部と、トリメチロールプロパン(活性水素原子数3)を10重量部と、N−メチルジエタノールアミン(活性水素原子数2)を25重量部と、イソホロンジイソシアネートを220重量部と、メチルエチルケトンを319重量部加え、75℃で4時間反応させて、ウレタンプレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。この溶液の不揮発分に対する遊離のイソシアネート基含有量は2.0%であった。次に、この溶液を45℃まで冷却し、硫酸ジメチルを26.5重量部加えて四級化した後、水1613重量部を徐々に加えながらホモジナイザーを使用して乳化分散を行った。この乳化分散液を50℃で減圧して脱溶剤を行い、不揮発分約25%のカチオン性の金属材料表面処理用水系塗料組成物を得た。
【0036】
(実施例10)
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、ビスフェノールAのエチレンオキサイド4モル付加物(ニューポールBPE−40、三洋化成工業株式会社製、活性水素原子数2)を75.6重量部と、トリメチロールプロパン(活性水素原子数3)を7.30重量部と、N−メチルジエタノールアミン(活性水素原子数2)を28.0重量部と、ポリエチレングリコール(PEG−600S、第一工業製薬株式会社製、活性水素原子数2)を53.2重量部と、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを190.8重量部と、メチルエチルケトン266重量部とを加え、75℃で4時間反応させて、ウレタンプレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。この溶液の不揮発分に対する遊離のイソシアネート基含有量は3.2%であった。次に、この溶液を45℃まで冷却し、ジメチル硫酸を17.8重量部加えて四級化した後、水1402重量部を徐々に加えながらホモジナイザーを使用して乳化分散を行った。この乳化分散液を50℃で減圧して脱溶剤を行い、不揮発分約24%のカチオン性の金属材料表面処理用水系塗料組成物を得た。
【0037】
(実施例11)
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、ヒマシ油系ポリオール(HG 2G−160R、豊国製油株式会社製、活性水素原子数2)を100重量部と、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2モル付加物(ポリエーテルBPX−11、旭電化工業株式会社製、活性水素原子数2)を12.5重量部と、トリメチロールプロパン(活性水素原子数3)を3.5重量部と、N−メチルジエタノールアミン(活性水素原子数2)を30重量部と、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを134重量部と、メチルエチルケトン224重量部とを加え、75℃で4時間反応させて、ウレタンプレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。この溶液の不揮発分に対する遊離のイソシアネート基含有量は1.54%であった。次に、この溶液を45℃まで冷却し、硫酸ジメチルを22.3重量部加えて四級化した後、水1141重量部を徐々に加えながらホモジナイザーを使用して乳化分散を行った。この乳化分散液を50℃で減圧して脱溶剤を行い、不揮発分約25%のカチオン性の金属材料表面処理用水系塗料組成物を得た。
【0038】
(実施例12)
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、ビスフェノールAのプロピレンンオキサイド2モル付加物(ポリエーテルBPX−11、旭電化工業株式会社製、活性水素原子数2)を200重量部と、トリメチロールプロパン(活性水素原子数3)を9.8重量部と、N−メチルジエタノールアミン(活性水素原子数2)を59.8重量部と、ポリエチレングリコール(PEG−600S、第一工業製薬製、活性水素原子数2)を113.8重量部と、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを259重量部と、イソホロンジイソシアネートを115重量部と、メチルエチルケトン757重量部とを加え、75℃で4時間反応させて、ウレタンプレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。この溶液の不揮発分に対する遊離のイソシアネート基含有量は、2.0%であった。次に、この溶液を45℃まで冷却し、硫酸ジメチルを31.6重量部加えて四級化した後、水2272重量部を徐々に加えながらホモジナイザーを使用して乳化分散を行った。この乳化分散液を50℃で減圧して脱溶剤を行い、不揮発分約28%のカチオン性の金属材料表面処理用水系塗料組成物を得た。
【0039】
(実施例13)
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、ビスフェノールAのプロピレンンオキサイド2モル付加物(ポリエーテルBPX−11、旭電化工業株式会社製、活性水素原子数2)を200重量部と、トリメチロールプロパン(活性水素原子数3)を4.5重量部と、N−メチルジエタノールアミン(活性水素原子数2)を36.3重量部と、ポリエチレングリコール(PEG−600S、第一工業製薬製、活性水素原子数2)を34.5重量部と、トリレンジイソシアネート(コロネートT−80、日本ポリウレタン工業製)を184.5重量部と、メチルエチルケトン368重量部とを加え、75℃で4時間反応させて、ウレタンプレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。この溶液の不揮発分に対する遊離のイソシアネート基含有量は、1.5%であった。次に、この溶液を45℃まで冷却し、硫酸ジメチルを23.1重量部加えて四級化した後、水1816重量部を徐々に加えながらホモジナイザーを使用して乳化分散を行った。この乳化分散液を50℃で減圧して脱溶剤を行い、不揮発分約24%のカチオン性の金属材料表面処理用水系塗料組成物を得た。
【0040】
(実施例14)
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、ビスフェノールAのプロピレンンオキサイド2モル付加物(ポリエーテルBPX−11、旭電化工業株式会社製、活性水素原子数2)を200重量部と、トリメチロールプロパン(活性水素原子数3)を4.5重量部と、N−メチルジエタノールアミン(活性水素原子数2)を36.3重量部と、ポリエチレングリコール(PEG−600S、第一工業製薬製、活性水素原子数2)を34.5重量部と、トリレンジイソシアネート(コロネートT−80、日本ポリウレタン工業製)を184.5重量部と、メチルエチルケトン368重量部とを加え、75℃で4時間反応させて、ウレタンプレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。この溶液の不揮発分に対する遊離のイソシアネート基含有量は、1.5%であった。次に、この溶液に、ブロックドイソシアネート系架橋剤(エラストロンBN−P17、第一工業製薬製)23重量部を加え、これを45℃まで冷却し、硫酸ジメチルを23.1重量部加えて四級化した後、水1305重量部を徐々に加えながらホモジナイザーを使用して乳化分散を行った。この乳化分散液を50℃で減圧して脱溶剤を行い、不揮発分約28%のカチオン性の金属材料表面処理用水系塗料組成物を得た。
【0041】
(比較例1)
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、ポリエステルポリオール(テスラック2477、日立化成ポリマー株式会社製、活性水素原子数2)を200重量部と、トリメチロールプロパン(活性水素原子数3)を4重量部と、ジメチロールプロピオン酸(活性水素原子数2)を12重量部と、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを80重量部と、メチルエチルケトン207重量部とを加え、75℃で4時間反応させて、ウレタンプレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。この溶液の不揮発分に対する遊離のイソシアネート基含有量は、1.5%であった。次に、この溶液を45℃まで冷却し、トリエチルアミンを9.1重量部加えて中和した後、水761重量部を徐々に加えながらホモジナイザーを使用して乳化分散を行った。この乳化分散液を50℃で減圧して脱溶剤を行い、不揮発分約30%のアニオン性ポリウレタン水分散体塗料組成物を得た。
【0042】
(比較例2)
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、ポリエステルポリオール(テスラック2477、日立化成ポリマー株式会社製、活性水素原子数2)を200重量部と、トリメチロールプロパン(活性水素原子数3)を3重量部と、ポリエチレングリコール(PEG−600S、第一工業製薬株式会社製)を25重量部と、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを65重量部と、メチルエチルケトンを205重量部加え、75℃で4時間反応させて、ウレタンプレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。この溶液の不揮発分に対する遊離のイソシアネート基含有量は1.5%であった。次に、この溶液を45℃まで冷却し、ノニオン性界面活性剤(ノイゲンEA−157、第一工業製薬株式会社製)を14.7重量部加え、水753重量部を徐々に加えてホモジナイザーを使用して乳化分散を行った。この乳化分散液を減圧下、50℃で脱溶剤を行い、不揮発分約30%のノニオン性ポリウレタン水分散体塗料組成物を得た。
【0043】
【表1】

【0044】
(金属材料表面処理用水系塗料及び試験片の調製)
表2に示すように、上記各実施例及び比較例のポリウレタン水分散体にリン酸を加えて、試験例及び比較試験例の金属材料表面処理用水系塗料を調製した。これらの金属材料表面処理用水系塗料を、電気亜鉛メッキ鋼板(クロメート処理、日本テストパネル社製;ジンコート)、電気亜鉛メッキ鋼板(ノンクロメート処理、太祐機材社製;ユニジンク)及びアルミニウム(日本テストパネル社製;A−1100P)に、バーコーターで1g/m(固形分換算)となるように塗布し、PMT(到達最高温度)が80℃になるように乾燥を行って試験片を得た。
【0045】
(試験例及び比較試験例)
上記試験片を用い、耐食性、耐薬品性、耐溶剤性、密着性及び耐屈曲性について評価試験を行い、その結果を表2に示した。
【0046】
<試験方法及び評価基準>
(1) 耐アルカリ性
各試験片を1%NaOH水溶液に、常温で5時間浸漬した後、その外観変色を観察した。評価基準は以下のとおりである。
【0047】
○ 殆ど変色なし
△ 若干変色あり
×△ 多少変色あり
× 変色多い。
【0048】
(2)耐食性
各試験片について塩水噴霧試験を用いて評価試験を行った。評価時間は、電気亜鉛メッキ鋼板の場合は240時間、アルミニウムの場合は1000時間とした。評価基準は以下のとおりである。
【0049】
○ 錆発生率10%以下
△ 錆発生率10〜20%以下
×△ 錆発生率20〜50%
× 錆発生率50%以上。
【0050】
(3)耐溶剤性
各試験片についてメチルエチルケトンによるラビング試験を行い、外観の変化を観察した。評価基準は以下のとおりである。
【0051】
○ 殆ど変化なし
△ 多少変化あり
× 変化多い。
【0052】
(4) 密着性
各試験片について1mm碁盤目粘着テープ剥離試験を行った。評価基準は以下のとおりである。
【0053】
○ 90〜100/100
△ 50〜90/100
× 0〜50/100。
【0054】
(5)耐屈曲性
各試験片について、エリクセン試験機(8mm)を用いて屈曲性の評価を行った。評価基準は以下のとおりである。
【0055】
○ ワレ・ハガレ無し
△ 部分的にワレ・ハガレ有り
× 全体的にワレ・ハガレ有り。
【0056】
【表2】

【0057】
各実施例の金属材料表面処理用水系塗料組成物を用いた試験片は、各比較例のポリウレタン水分散体を用いて作成した試験片よりも耐薬品性、耐食性、耐溶剤性、密着性及び耐屈曲性の何れの試験に於いても良好な結果を示した。また、架橋密度が0.01〜0.50の範囲にあり、しかも導入する三級アミン基のアミン価が5〜60mgKOH/gの範囲であり、更にガラス転移温度が30〜120℃の範囲の組成物を用いて作成した試験片が良好な結果を示した。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、各種金属材料に対して耐薬品性、耐食性、耐溶剤性及び密着性を発現することが可能であるため、特に自動車、土木材料、建築材料、鋼製家具、電気製品等に使用される金属板、部品等の耐食性を必要とする金属材料に適用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2個以上の活性水素原子を有する化合物(A)と、有機ポリイソシアネート(B)と、三級アミノ基を有する鎖伸長剤(C)とを構成要素とするウレタンプレポリマーに含まれる三級アミノ基を酸により中和し又は四級化剤で四級化したカチオン性ウレタンプレポリマー(D)を、水又はポリアミン化合物(E)を用いて鎖伸長したカチオン性水系ウレタン樹脂(F)を含有する金属材料表面処理用水系塗料組成物。
【請求項2】
カチオン性水系ウレタン樹脂(F)に含まれる樹脂固形分の架橋密度が、該カチオン性水系ウレタン樹脂(F)の1000分子量あたり0.01〜0.50である請求項1記載の金属材料表面処理用水系塗料組成物。
【請求項3】
カチオン性水系ウレタン樹脂(F)中の三級アミノ基を有する鎖伸長剤(C)の導入量が、樹脂固形分のアミン価として5〜80mgKOH/gである請求項1又は2記載の金属材料表面処理用水系塗料組成物。
【請求項4】
前記カチオン性水系ウレタン樹脂(F)に含まれる樹脂固形分のガラス転移温度が、30〜120℃の範囲である請求項1乃至3の何れかに記載の金属材料表面処理用水系塗料組成物。
【請求項5】
2個以上の活性水素原子を有する化合物(A)が、ビスフェノールAのオキシアルキレン誘導体、オレフィン系ポリオール、植物油系ポリオールからなる群から選択される少なくとも一種の活性水素含有化合物(A1)を含んでいる請求項1乃至4の何れかに記載の金属材料表面処理用水系塗料組成物。
【請求項6】
前記活性水素含化合物(A1)は、前記水系ポリウレタン樹脂(F)に対して固形分換算で5重量%以上となるように含まれている請求項5記載の金属材料表面処理用水系塗料組成物。

【国際公開番号】WO2005/092998
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【発行日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−511435(P2006−511435)
【国際出願番号】PCT/JP2005/004651
【国際出願日】平成17年3月16日(2005.3.16)
【出願人】(000003506)第一工業製薬株式会社 (491)
【Fターム(参考)】