説明

金属石鹸梱包物

【課題】高温の環境下においてもポリエチレン系フィルムからなる袋を用いた金属石鹸包装袋の破袋による金属石鹸の流出を防止する金属石鹸梱包物を提供すること。
【解決手段】ポリエチレン系フィルムからなる袋の開口部から金属石鹸を充填し、開口部をヒートシールしてなる金属石鹸包装袋が、該ヒートシール部を上部として立てた状態で梱包用箱状物内に梱包されている金属石鹸梱包物、好ましくは、前記金属石鹸包装袋が、梱包用箱状物内に配置された間仕切りで間仕切られた2個以上の空間内のそれぞれに、前記ヒートシール部を上部として立てた状態で梱包されている金属石鹸梱包物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエチレン系フィルムからなる袋に金属石鹸を充填し、開口部をヒートシールしてなる金属石鹸包装袋の長期保存中の破袋を防止する金属石鹸梱包物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金属石鹸は、塗料及び印刷インキドライヤ、ゴムとスチールの接着促進剤、不飽和ポリエステルの硬化促進剤として広範に使用されている。金属石鹸は、外部環境要因により品質が変化することがあるので、それを遮断するため、通常、それ自体も金属石鹸に対して不活性なポリエチレン系フィルムからなる袋でヒートシール包装したものが使用されている。
【0003】
しかし、一般のポリエチレン系フィルムからなる袋に金属石鹸を充填し、開口部をヒートシールしてなる包装袋、なかでも特にネオデカン酸コバルトのような流動性を有するペースト状の金属石鹸を充填し、開口部をヒートシールしてなる包装袋では、2ヶ月以上の長期間にわたって保存すると、ヒートシール部と金属石鹸の直接接触部で、ピンホール、切れ、裂け等による破袋が起こり、充填されている金属石鹸が流出して商品価値を全く損なってしまうことがあった。なお、前記ヒートシール部と金属石鹸の直接接触部でのピンホール、切れ、裂け等による破袋の発生は、金属石鹸を充填する以前にヒートシールされた底部ヒートシール部ではあまりなく、金属石鹸を充填した後にヒートシールされた上部ヒートシール部での発生が格段に多いことから、金属石鹸充填時に袋の上部ヒートシール部の内側に少量の金属石鹸の蒸気や飛沫が付着し、その状態でヒートシールしていることに起因すると考えられる。
【0004】
このような破袋のより少ない金属石鹸包装袋として、メルトフローレート(JIS K6922−2)15g/10min以下で、かつ軟化点(ASTM D1525)80℃以上、融点(DSC法)90℃以上のポリエチレン系フィルムからなる袋に金属石鹸を充填し、開口部をヒートシール包装した金属石鹸包装物(例えば、特許文献1参照。)や、密度0.922〜0.944g/cm(JIS K6760−1981)、かつ融点(DSC法)110〜130℃のポリエチレンからなる袋に金属石鹸を充填し、開口部をヒートシール包装した金属石鹸包装物(例えば、特許文献2参照。)が知られている。
【0005】
しかしながら、前記特許文献1や特許文献2に記載された金属石鹸包装物は、いずれも比較的破袋しにくいが、高温の環境下での破袋を完全に防止することは困難であり、例えば、高温の環境下で、前記包装物を横にして積み重ねて保存すると、ヒートシール部からの破袋が起こりやすくなり、破袋を完全に防止することはできないという問題があった。
【0006】
【特許文献1】特開平11−349058号公報
【特許文献2】特開2003−335373号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、高温の環境下においてもポリエチレン系フィルムからなる袋を用いた金属石鹸包装袋の破袋による金属石鹸の流出を防止する金属石鹸梱包物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らが鋭意検討を行った結果、ポリエチレン系フィルムからなる袋の開口部から金属石鹸を充填し、開口部をヒートシールしてなる金属石鹸包装袋が、該ヒートシール部を上部として立てた状態で梱包用箱状物内に梱包すると、高温の環境下においても金属石鹸包装袋の破袋による金属石鹸の流出を効果的に防止できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
即ち、本発明は、ポリエチレン系フィルムからなる袋の開口部から金属石鹸を充填し、開口部をヒートシールしてなる金属石鹸包装袋が、該ヒートシール部を上部として立てた状態で梱包用箱状物内に梱包されていることを特徴とする金属石鹸梱包物を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の金属石鹸梱包物は、高温の環境下においてもポリエチレン系フィルムからなる袋を用いた金属石鹸包装袋の破袋による金属石鹸の流出を効果的に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明で金属石鹸を充填するために用いる袋としては、ポリエチレン系フィルムからなる袋であればよく、特に限定されない。この袋に用いるポリエチレン系フィルムとしては、例えば、エチレン単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリエチレン系樹脂からなるフィルムが挙げられる。その原料となるポリエチレン系樹脂には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどがある。また酢酸ビニルはケン化したものでもよい。さらにポリエチレン系フィルムは二種類以上の異なる種類の樹脂を多層フィルムにしたものでもよい。
【0012】
前記ポリエチレン系フィルムからなる袋としては、なかでも、長期保存中の金属石鹸の劣化防止と破袋防止に有効なことから、メルトフローレート(JIS K6922−2)が15g/10分以下、軟化点(ASTM D1525)が80℃以上、かつ、融点(DSC法)が90℃以上のポリエチレン系樹脂を用いたフィルムからなる袋であるころが好ましく、メルトフローレート、軟化点および融点が前記範囲内であって、密度(JIS K6760−1981)が0.922〜0.944g/cm、かつ、融点(DSC法)が110〜130℃のポリエチレン系樹脂を用いたフィルムからなる袋であることがより好ましい。
【0013】
さらに、前記ポリエチレン系フィルムからなる袋としては、密度が0.922〜0.944g/cm、メルトフローレートが0.3〜5g/10分、融点が110〜130℃、かつ、軟化点が90〜110℃のポリエチレン系樹脂を用いたフィルムからなる袋であることが最も好ましい。
【0014】
前記ポリエチレン系フィルムの厚みとしは、特に制限されるものではないが、30〜200μmであることが好ましく、40〜150μmであることがより好ましい。
【0015】
本発明で用いる金属石鹸としては、各種の金属石鹸が挙げられるが、例えば、ナフテン酸コバルト、ネオデカン酸コバルト等が挙げられる。本発明の効果は、ネオデカン酸コバルトの様に、15〜60℃の温度範囲で流動性を有するペースト状の金属石鹸の場合に顕著である。
【0016】
本発明で用いる金属石鹸包装袋は、前記ポリエチレン系フィルムからなる袋の開口部から金属石鹸を充填し、開口部をヒートシールにより密封することにより得ることができる。前記金属石鹸包装袋のより具体的な作成方法としては、例えば、前記ポリエチレン系樹脂を円筒状フィルムに成形し、開口部の一方をヒートシールして底部として、もう一方の上部開口部から金属石鹸を充填し、必要に応じて金属石鹸が充填された袋の金属石鹸が充填されていない袋上部空間の脱気を行った後、開口部をヒートシールにより密封する方法が挙げられる。なお、前記した袋上部空間の脱気は、完全脱気である必要はない。
【0017】
前記金属石鹸の充填は、金属石鹸の流動性が向上し、充填が容易となることから、金属石鹸を50〜90℃に加温してから充填を行うことが好ましく、65〜85℃加温してから充填を行うことがより好ましい。また、前記金属石鹸が充填されていない袋上部空間の脱気方法としては、例えば、金属石鹸が充填された袋の両外側をスポンジのような柔軟性のある物で挟むことにより脱気する方法、金属石鹸が充填されていない袋上部空間の両外側を板状物、棒状物等で挟んで脱気する方法等が挙げられる。
【0018】
また、本発明で用いる金属石鹸包装袋としては、金属石鹸を充填した開口部のヒートシール部(上部ヒートシール部)を上部として立てた状態で梱包されている金属石鹸包装袋の上部ヒートシール部と金属石鹸の直接接触に起因する上部ヒートシール部の破袋を効果的に防止できることから、立てた状態で梱包されている金属石鹸包装袋に充填されている金属石鹸と前記上部ヒートシール部との間に金属石鹸が充填されていない部分があり、上部ヒートシール部に直接接触しない状態で金属石鹸を充填されている金属石鹸包装袋であることが好ましい。このような好ましい金属石鹸包装袋とするための金属石鹸の充填量としては、上部ヒートシール後の金属石鹸包装袋の全容量に対する充填後の金属石鹸の容量が35〜95容量%となる充填量であることが好ましく、50〜85容量%となる充填量であることがより好ましい。
【0019】
さらに、本発明で用いる金属石鹸包装袋としては、上部ヒートシール部の破袋を効果的に防止できることから、0.1〜5.0kgの金属石鹸が充填されている包装袋である
ことが好ましく、0.2〜4.0kgの金属石鹸が充填されている包装袋であることがより好ましく、0.2〜3.0kgの金属石鹸が充填されている包装袋であることが最も好ましい。このような金属石鹸包装袋に用いるポリエチレン系フィルムからなる袋の容量(上部ヒートシール後の全容量)としては、上部ヒートシール部の破袋を効果的に防止できることから、6.0リットル以下であることが好ましく、0.3〜6.0リットルでありことがより好ましく、0.3〜4.0リットルでありことが最も好ましい。
【0020】
金属石鹸の流通環境や保管環境を考慮して、必要であれば、前記金属石鹸包装袋の外側を、さらに同様のポリエチレン系フィルムからなる袋で包装する様にして、金属石鹸を多重包装することもできる。この多重包装により、金属石鹸が接触している第一のフィルムが破袋しても、その外側に当たる第二のフィルムが破袋しないので、より優れた効果が期待できる。
【0021】
本発明の金属石鹸梱包物は、金属石鹸を充填した開口部のヒートシール部を上部として立てた状態で梱包用箱状物内に梱包することで得られる。好ましい金属石鹸梱包物としては、梱包用箱状物内に配置された間仕切りで間仕切られた2個以上の空間内のそれぞれに、前記ヒートシール部を上部として立てた状態で金属石鹸包装袋が梱包されている金属石鹸梱包物であるが、なかでも、金属石鹸梱包物から1個以上の金属石鹸包装袋を取り出した後でも、間仕切りが倒れることがなく、残りの金属石鹸包装袋を前記ヒートシール部を上部として立てた状態で梱包用箱状物内に保持できることから、梱包用箱状物内に配置された交差する間仕切りで間仕切られた4〜16個の空間内のそれぞれに、前記ヒートシール部を上部として立てた状態で梱包されている金属石鹸梱包物であることがより好ましい。
【0022】
本発明で用いる梱包用箱状物としては、1個以上の金属石鹸包装を上部ヒートシール部を上部として立てた状態で梱包できるものであればよく、特に限定されず、例えば、ダンボール箱、木箱、金属箱、プラスチック箱等が挙げられ、なかでもダンボール箱が好ましい。
【0023】
本発明で用いる金属石鹸包装袋は、その使用用途に応じて、金属石鹸包装袋から内容物である金属石鹸だけを取り出して使用する方法と、ポリエチレン系フィルムからなる袋と金属石鹸からなる金属石鹸包装袋を、そのまま使用する方法がある。前者は塗料やインキ或いは不飽和ポリエステル樹脂の硬化促進剤として用いる場合であり、後者は、ゴムとスチールとの接着促進剤として用いる場合等である。
【0024】
ゴムとスチールとの接着促進剤として、金属石鹸包装袋をそのまま用いる場合において、ポリエチレン系フィルム自体には接着促進効果はないので、その使用量は必要最小限にとどめることが好ましい。前記した様な多重包装を行う場合には、用いたポリエチレン系フィルムの総体積があまり変わらない様に、用いる2以上のフィルムの厚みを調節し、必要以上とならない様にするのが好ましい。
【0025】
本発明で用いる金属石鹸包装袋は、それと必要な添加剤と共に混練されゴムコンパウンドとすることが出来る。より具体的には、ゴムコンパウンドの各原料をゴム練り用のバンバリミキサ等に投入して、均一となるまで混練すればよい。こうして得られたゴムコンパウンドは、必要に応じ成形もしくは切断されて、加工処理し成形された後に加硫を行ってゴム加工製品とすることができる。
【実施例】
【0026】
以下に実施例および比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに制限されるものではない。なお、以下の「部」及び「%」はいずれも重量基準である。
【0027】
実施例1
密度(JIS K6760)0.923g/cm、融点(DSC法)112℃、メルトフローレート(JIS K6760)1.5g/10分間、軟化点(ASTM D1525)96℃、厚さ80μm、幅200mm、長さ350mmの円筒状ポリエチレン系フィルムの一方の開口部を130℃の温度条件でヒートシールして、上部ヒートシール後の全容量が2.8リットルの袋(1)を得た。
【0028】
得られた袋(1)に、70℃に加温したネオデカン酸コバルト2kgを充填し、金属石鹸が充填されていない袋上部空間の両外側を金属製板状物で挟んで脱気した後、開口部を120℃の温度条件でヒートシールして、金属石鹸が充填された金属石鹸包装袋(1)を得た。
【0029】
次に、ダンボール板製の縦方向間仕切り1枚と、これに直角に交差するように等間隔で並列に配置されたダンボール板製の横方向間仕切り3枚により、箱内が8個に間仕切られているダンボール箱(縦34cm、横36cm、高さ27cm、)の間仕切られた8個の空間のそれぞれに1袋づつ、金属石鹸包装袋(1)を上部ヒートシール部を上部として立てた状態で梱包して、本発明の金属石鹸梱包物(1)を作製した。この金属石鹸梱包物(1)内に梱包されている金属石鹸包装袋(1)8袋の梱包状態を目視したところ、充填されている金属石鹸と上部ヒートシール部との間に金属石鹸が充填されていない部分があり、上部ヒートシール部に接触しない状態で金属石鹸が充填されていた。
【0030】
得られた金属石鹸梱包物(1)を、温度50℃、湿度38%RHの恒温槽内に保管し、金属石鹸包装袋のフィルム状態を、毎日1回、詳細に目視観察し、袋にピンホール、切れ、裂け等による破袋が起こるまでの日数を求めた。尚、フィルムにピンホールなどの破袋が起こると、袋から充填されたネオデカン酸コバルトが流出したり、特有の臭気を発するので、容易に破袋を確認できる。その結果を第1表に示す。
【0031】
実施例2
円筒状ポリエチレン系フィルム(1)の代わりに、密度(JIS K6760)0.923g/cm、融点(DSC法)123℃、メルトフローレート(JIS K6760)0.7g/10分間、軟化点(ASTM D1525)104℃、厚さ80μm、幅200mm、長さ350mmの円筒状ポリエチレン系フィルム(2)を用いた以外は実施例1と同様にして、全容量が2.8リットルの金属石鹸包装袋(2)を得た。
【0032】
次いで、金属石鹸包装袋(1)の代わりに、前記金属石鹸包装袋(2)を用いた以外は実施例1と同様にして本発明の金属石鹸梱包物(2)を作製した後、更に実施例1と同様にして金属石鹸包装袋(2)にピンホール、切れ、裂け等による破袋が起こるまでの日数を求めた。その結果を第1表に示す。
【0033】
尚、この金属石鹸梱包物(2)内に梱包されている金属石鹸包装袋(2)8袋の梱包状態を目視したところ、充填されている金属石鹸と上部ヒートシール部との間に金属石鹸が充填されていない部分があり、上部ヒートシール部に接触しない状態で金属石鹸が充填されていた。
【0034】
実施例3
円筒状ポリエチレン系フィルム(1)の代わりに、密度(JIS K6760)0.940g/cm、融点(DSC法)127℃、メルトフローレート(JIS K6760)2.0g/10分間、軟化点(ASTM D1525)110℃、厚さ80μm、幅200mm、長さ350mmの円筒状ポリエチレン系フィルム(3)を用いた以外は実施例1と同様にして、全容量が2.8リットルの金属石鹸包装袋(3)を得た。
【0035】
次いで、金属石鹸包装袋(1)の代わりに、前記金属石鹸包装袋(3)を用いた以外は実施例1と同様にして本発明の金属石鹸梱包物(3)を作製した後、更に実施例1と同様にして金属石鹸包装袋(3)にピンホール、切れ、裂け等による破袋が起こるまでの日数を求めた。その結果を第1表に示す。
【0036】
尚、この金属石鹸梱包物(3)内に梱包されている金属石鹸包装袋(4)8袋の梱包状態を目視したところ、充填されている金属石鹸と上部ヒートシール部との間に金属石鹸が充填されていない部分があり、上部ヒートシール部に接触しない状態で金属石鹸が充填されていた。
【0037】
実施例4
円筒状ポリエチレン系フィルム(1)の代わりに、密度(JIS K6760)0.923g/cm、融点(DSC法)112℃、メルトフローレート(JIS K6760)1.5g/10分間、軟化点(ASTM D1525)96℃、厚さ80μm、幅200mm、長さ250mmの円筒状ポリエチレン系フィルム(4)を用いた以外は実施例1と同様にして、全容量が1.6リットルの金属石鹸包装袋(4)を得た。
【0038】
次に、ダンボール板製の縦方向間仕切り1枚と、これに直角に交差するように等間隔で並列に配置されたダンボール板製の横方向間仕切り3枚により、箱内が8個に間仕切られているダンボール箱(縦24cm、横38cm、高さ30cm、)の間仕切られた8個の空間のそれぞれに1袋づつ、金属石鹸包装袋(4)を上部ヒートシール部を上部として立てた状態で梱包して、本発明の金属石鹸梱包物(4)を作製した。この金属石鹸梱包物(4)内に梱包されている金属石鹸包装袋(4)8袋の梱包状態を目視したところ、充填されている金属石鹸と上部ヒートシール部との間に金属石鹸が充填されていない部分があり、上部ヒートシール部に接触しない状態で金属石鹸が充填されていた。
【0039】
得られた金属石鹸梱包物(4)を、温度50℃、湿度38%RHの恒温槽内に保管し、金属石鹸包装袋のフィルム状態を、毎日1回、詳細に目視観察し、袋にピンホール、切れ、裂け等による破袋が起こるまでの日数を求めた。その結果を第1表に示す。
【0040】
実施例5
円筒状ポリエチレン系フィルム(1)の代わりに、密度(JIS K6760)0.923g/cm、融点(DSC法)123℃、メルトフローレート(JIS K6760)0.7g/10分間、軟化点(ASTM D1525)104℃、厚さ80μm、幅200mm、長さ250mmの円筒状ポリエチレン系フィルム(5)を用いた以外は実施例1と同様にして、全容量が1.6リットルの金属石鹸包装袋(5)を得た。
【0041】
次いで、金属石鹸包装袋(4)の代わりに、前記金属石鹸包装袋(5)を用いた以外は実施例4と同様にして本発明の金属石鹸梱包物(5)を作製した後、更に実施例4と同様にして金属石鹸包装袋(5)にピンホール、切れ、裂け等による破袋が起こるまでの日数を求めた。その結果を第1表に示す。
【0042】
尚、この金属石鹸梱包物(5)内に梱包されている金属石鹸包装袋(5)8袋の梱包状態を目視したところ、充填されている金属石鹸と上部ヒートシール部との間に金属石鹸が充填されていない部分があり、上部ヒートシール部に接触しない状態で金属石鹸が充填されていた。
【0043】
実施例6
円筒状ポリエチレン系フィルム(1)の代わりに、密度(JIS K6760)0.940g/cm、融点(DSC法)127℃、メルトフローレート(JIS K6760)2.0g/10分間、軟化点(ASTM D1525)110℃、厚さ80μm、幅200mm、長さ250mmの円筒状ポリエチレン系フィルム(6)を用いた以外は実施例1と同様にして、全容量が1.6リットルの金属石鹸包装袋(6)を得た。
【0044】
次いで、金属石鹸包装袋(4)の代わりに、前記金属石鹸包装袋(6)を用いた以外は実施例4と同様にして本発明の金属石鹸梱包物(6)を作製した後、更に実施例4と同様にして金属石鹸包装袋(6)にピンホール、切れ、裂け等による破袋が起こるまでの日数を求めた。その結果を第1表に示す。
【0045】
尚、この金属石鹸梱包物(6)内に梱包されている金属石鹸包装袋(6)8袋の梱包状態を目視したところ、充填されている金属石鹸と上部ヒートシール部との間に金属石鹸が充填されていない部分があり、上部ヒートシール部に接触しない状態で金属石鹸が充填されていた。
【0046】
比較例1〜3
実施例1〜3とそれぞれ同様にして金属石鹸包装袋(1)〜(3)を作製した。次いで、間仕切りを取り除いた以外は実施例1で用いたダンボール箱と同一のダンボール箱を、その上部開口部が側面となるように倒し、その中に金属石鹸包装袋(1)〜(3)のそれぞれ8袋を2列4段に積重ねた状態で梱包して、比較用の金属石鹸梱包物(1′)〜(3′)を作製した。
【0047】
得られた金属石鹸梱包物(1′)〜(3′)のそれぞれを、温度50℃、湿度38%RHの恒温槽内に保管し、金属石鹸包装袋のフィルム状態を、毎日1回、詳細に目視観察し、袋にピンホール、切れ、裂け等による破袋が起こるまでの日数を求めた。その結果を第1表に示す。
【0048】
尚、この金属石鹸梱包物(1′)〜(3′)内に梱包されている金属石鹸包装袋(1′)〜(3′)8袋の梱包状態を目視したところ、いずれも金属石鹸梱包物(1′)〜(3′)が横に積重ねた状態で梱包されているため、充填されている金属石鹸が上部ヒートシール部に直接接触した状態で金属石鹸が充填されていた。
【0049】
比較例4〜6
実施例4〜6とそれぞれ同様にして金属石鹸包装袋(4)〜(6)を作製した。次いで、間仕切りを取り除いた以外は実施例4で用いたダンボール箱と同一のダンボール箱を、その上部開口部が側面となるように倒し、その中に金属石鹸包装袋(4)〜(6)のそれぞれ8袋を2列4段に積重ねた状態で梱包して、比較用の金属石鹸梱包物(4′)〜(6′)を作製した。
【0050】
得られた金属石鹸梱包物(4′)〜(6′)のそれぞれを、温度50℃、湿度38%RHの恒温槽内に保管し、金属石鹸包装袋のフィルム状態を、毎日1回、詳細に目視観察し、袋にピンホール、切れ、裂け等による破袋が起こるまでの日数を求めた。その結果を第1表に示す。
【0051】
尚、この金属石鹸梱包物(4′)〜(6′)内に梱包されている金属石鹸包装袋(4′)〜(6′)8袋の梱包状態を目視したところ、いずれも金属石鹸梱包物(4′)〜(6′)が横に積重ねた状態で梱包されているため、充填されている金属石鹸が上部ヒートシール部に直接接触した状態で金属石鹸が充填されていた。
【0052】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエチレン系フィルムからなる袋の開口部から金属石鹸を充填し、開口部をヒートシールしてなる金属石鹸包装袋が、該ヒートシール部を上部として立てた状態で梱包用箱状物内に梱包されていることを特徴とする金属石鹸梱包物。
【請求項2】
前記金属石鹸包装袋が、梱包用箱状物内に配置された間仕切りで間仕切られた2個以上の空間内のそれぞれに、前記ヒートシール部を上部として立てた状態で梱包されている請求項1に記載の金属石鹸梱包物。
【請求項3】
前記金属石鹸包装袋が、梱包用箱状物内に配置された交差する間仕切りで間仕切られた4〜16個の空間内のそれぞれに、前記ヒートシール部を上部として立てた状態で梱包されている請求項1に記載の金属石鹸梱包物。
【請求項4】
前記ヒートシール部を上部として立てた状態で梱包されている金属石鹸包装袋が、充填されている金属石鹸と前記ヒートシール部との間に金属石鹸が充填されていない部分があり、前記ヒートシール部に接触しない状態で金属石鹸が充填されている包装袋である請求項1、2または3に記載の金属石鹸梱包物。
【請求項5】
前記ヒートシール部を上部として立てた状態で梱包されている金属石鹸包装袋が、前記ヒートシール後の金属石鹸包装袋の全容量に対する充填後の金属石鹸の容量が50〜80容量%となる範囲で金属石鹸が充填されている包装袋である請求項1、2または3に記載の金属石鹸梱包物。
【請求項6】
前記金属石鹸包装袋が、0.2〜4.0kgの金属石鹸が充填されている包装袋である請求項4または5に記載の金属石鹸梱包物。
【請求項7】
梱包用箱状物が、ダンボール箱である請求項6に記載の金属石鹸梱包物。
【請求項8】
金属石鹸がネオデカン酸コバルトである請求項1〜7のいずれか1項に記載の記載の金属石鹸梱包物。
【請求項9】
前記ポリエチレン系フィルムからなる袋が、メルトフローレート(JIS K6922−2)が15g/10分以下、軟化点(ASTM D1525)が80℃以上、かつ、融点(DSC法)が90℃以上のポリエチレン系樹脂を用いたフィルムからなる袋である請求項1〜8のいずれか1項に記載の記載の金属石鹸梱包物。
【請求項10】
前記ポリエチレン系フィルムからなる袋が、密度(JIS K6760−1981)が0.922〜0.944g/cm、メルトフローレート(JIS K6922−2)が0.3〜5g/10分、融点(DSC法)が110〜130℃、かつ、軟化点(ASTM D1525)が90〜110℃のポリエチレン系樹脂を用いたフィルムからなる厚さ50〜150μmの袋である請求項9記載の金属石鹸梱包物。

【公開番号】特開2009−234652(P2009−234652A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−86282(P2008−86282)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】