説明

金属線条体巻装用リールおよびそのフランジの製造方法

【課題】金属板製で外周部がカールしてフランジ周縁補強部を形成したフランジを有する使い捨て仕様の金属線条体巻装用リールを、板厚を厚くして数回の繰り返し使用に耐えることができるようにし、しかも、巻線量を少なくする必要がなく、リールの幅寸法を大きくする必要もなく、加工上の問題も生じないようにする。
【解決手段】 フランジ2A,2Bのフランジ側壁部3の板厚を6〜12mmとし、フランジ周縁補強部4の板厚を、フランジ側壁部3の板厚の2/3以下で、カール方向の先端部分で最先端側ほど薄くし、最先端の板厚をフランジ側壁部3の板厚の1/4〜1/2とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属板製で外周部がカールしてフランジ周縁補強部を形成したフランジを有する金属線条体巻装用リールに関し、特に、ソーワイヤ用等の使い捨て仕様の金属線条体巻装用リールおよびそのフランジの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ソーワイヤ等の金属線条体巻装用リールとして、巻胴とフランジとを鋼材から一体物として削りだした削り出しリールや、鋼材から削りだして別々に作製した巻胴とフランジとを溶接により一体化した溶接リールや、鋼板のプレス加工により巻胴とフランジをそれぞれが例えばリブ状の補強構造を有する別々の部材として作製し、それらを溶接により接合して一体化したプレスリールが使用されている。
【0003】
プレスリールは、通常は、何回も繰り返して使用するもので、繰り返し使用に耐える設計となっているが、一度しか使用しない使い捨てリールもある(例えば、特許文献1参照。)。使い捨て仕様のプレスリールは、フランジの板厚が薄く、フランジ側壁部に補強リブ等の無い簡易な構造で、安価且つ軽量である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】意匠登録第1307359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、使い捨てリールであっても、一度しか使用しないのではなく、繰り返して数回使用したいという要求がある。
【0006】
ソーワイヤのような極細金属線をリールに巻き付けると、その巻付け張力に起因して大きな巻き圧(締め付け力)が巻胴に作用するとともに、フランジに側圧(押し拡げ力)が作用する。そのため、このような極細金属線条体を巻き付けるリールは、巻胴が巻き圧(締め付け力)に対して、また、側圧がフランジを押し拡げることによる巻胴の伸びに対して、十分な強度を有し、且つ、十分な剛性を有するものでなければならないとともに、フランジが、側圧に対し十分な強度を有し、また、側圧による変形(外側への反り)の少ない剛性を有するものでなければならない。側圧によるフランジの変形は、巻胴の変形(へこみ)を引き起し、巻胴の変形は、ワイヤを巻取るときのハンチングにつながり、断線の要因となる。
【0007】
使い捨て仕様のプレスリールは、安価で軽量であることが重視され、強度的には、一度の使用に耐えるものであればよかった。そのため、巻胴およびフランジの板厚は薄く、いずれも例えば4mm程度で、しかも、いずれもシンプルな単層構造であるため、巻線時の変形が使用後まで残り、再度使用しようとすると変形が大きくなってしまうため、繰り返し使用することはできない。
【0008】
このような使い捨て仕様のプレスリールを数回の繰り返し使用に耐えるようにするためには、巻線時の巻胴およびフランジの変形に対する強度並びに剛性を高める必要がある。繰り返し何度も使用する通常のプレスリールの場合は、リブその他の補強構造を設けることによって強度並びに剛性を高めているが、数回使用するだけのリールの場合は、安価且つ軽量であることが要求されるため、リブ等の補強構造を設けるよりも、先ずは、巻胴およびフランジの板厚を厚くすることが強度並びに剛性を高める簡易且つ有効な手段となる。
【0009】
しかし、プレスリールは、巻線時にフランジが外側に反るのを防止するために、プレス加工によりフランジの外周部をカールさせてフランジ側壁部の周りに中空リング状のフランジ周縁補強部を形成する必要があり、その場会、フランジの板厚を厚くすると、フランジ周縁補強部のカール方向の断面の径寸法が大きくなり、リール軸線方向の幅寸法が増して、その分、フランジの幅(リール軸線方向の寸法)が大きくなってしまう。そうすると、リールを取り付けるワイヤソー等のマシンとの関係で、規格によりリールの幅寸法(リール軸線方向の寸法)が決まっている場合に、フランジの幅が大きくなる分だけ、巻線に使用できる巻胴の幅(リール軸線方向の寸法)が小さくなり、その結果、フランジの径方向に従来よりも外側まで巻かない限りは、板厚の薄い従来のリールに比べて巻線量が少なくなってしまって、従来と同じ量を巻くことができなくなる。また、フランジの径方向のより外側まで巻けば、従来と同じ量を巻けるが、そうすると、径方向の外側ほどモーメントが大きくなって、フランジに掛かる荷重が増え、フランジの変形が大きくなってしまう。
【0010】
また、フランジの板厚が厚いと、カールさせてフランジ周縁補強部を形成するプレス加工時に、より大きな荷重が必要となって、プレスの機械や金型に大きな負担をかけることとなり、また、金型の寿命が短くなるという問題が生ずる。
【0011】
本発明は、金属板製で外周部がカールしてフランジ周縁補強部を形成したフランジを有する使い捨て仕様の金属線条体巻装用リールを、板厚を厚くして数回の繰り返し使用に耐えることができるようにし、しかも、巻線量を少なくする必要がなく、リールの幅寸法を大きくする必要もなく、加工上の問題も生じないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の金属線条体巻装用リールは、巻胴の両端に金属板製のフランジが固着され、該フランジの外周部がリール軸線方向の外側へカールしてフランジ側壁部の周りに中空リング状のフランジ周縁補強部を形成してなる金属線条体巻装用リールにおいて、フランジのフランジ周縁補強部の板厚をフランジ側壁部の板厚より薄くしたことを特徴とする。
【0013】
この金属線条体巻装用リールは、フランジのフランジ側壁部の板厚が6〜12mmで、フランジ周縁補強部の板厚がフランジ側壁部の板厚の2/3以下であるのがよく、また、フランジのフランジ周縁補強部の板厚がカール方向の先端部分で最先端側ほど薄くなっているのがよく、特に、フランジ周縁補強部のカール方向の最先端の板厚が前記フランジ側壁部の板厚の1/4〜1/2であるのがよい。
【0014】
また、本発明は、円盤状の金属板の外周部を切削加工して該外周部の板厚を薄くし、その薄くした外周部をプレス加工により軸線方向の一側へカールさせてフランジ側壁部の周りに中空リング状のフランジ周縁補強部を有するフランジの形状に成形することを特徴とする金属線条体巻装用リールのフランジの製造方法を提供する。この製造方法は、金属板の外周部の板厚を切削加工により薄くするのに先立って、該外周部をプレス加工により軸線方向へ曲折させて円筒状にするものであってよい。
【0015】
また、本発明は、円盤状の金属板の外周部をプレス加工して該外周部の板厚を薄くし、その薄くした外周部をプレス加工により軸線方向の一側へカールさせてフランジ側壁部の周りに中空リング状のフランジ周縁補強部を有するフランジの形状に成形することを特徴とする金属線条体巻装用リールのフランジの製造方法を提供する。この製造方法は、金属板の薄くした外周部をプレス加工によりカールさせるのに先立って、該外周部をプレス加工により軸線方向へ曲折させて円筒状にすることを特徴とするものであってよい。
【0016】
これらの製造方法では、フランジ側壁部の板厚を6〜12mmとし、外周部の板厚をフランジ側壁部の板厚の2/3以下とするのがよく、また、外周部の先端部分の板厚が最先端側ほど薄くなるようにするのがよく、特に、外周部の最先端の板厚をフランジ側壁部の板厚の1/4〜1/2とするのがよい。
【0017】
本発明によれば、使い捨て仕様の金属線条体巻装用リールを、フランジの巻線時に側圧を受けるフランジ側壁部の板厚を厚くして、数回の繰り返し使用に耐える強度並びに剛性を有するものとすることができ、フランジにリブ等の補強構造を設けないシンプルな単層構造とした安価で軽量なリールとすることができる。
【0018】
そして、板厚を薄くした外周部をプレス加工してフランジ周縁補強部を形成することで、カールしたフランジ周縁補強部のカール方向の断面の径寸法を小さくして、フランジの幅(リール軸線方向の寸法)が大きくならないようにすることができ、リールの幅寸法(リール軸線方向の寸法)を大きくしなくても、巻線に使用できる巻胴の幅(リール軸線方向の寸法)が小さくならず、巻線量が減らないようにすることができる。
【0019】
また、板厚を薄くした外周部をプレス加工してフランジ周縁補強部を形成できるので、フランジ周縁補強部のプレス加工時の荷重を小さくすることができ、プレスの機械や金型の負担を低減することができ、金型の寿命を延ばすことができる。
【発明の効果】
【0020】
このように、本発明によれば、金属板製で外周部がカールしてフランジ周縁補強部を形成したフランジを有する使い捨て仕様の金属線条体巻装用リールを、板厚を厚くして数回の繰り返し使用に耐えることができ、しかも、巻線量を少なくする必要がなく、リールの幅寸法を大きくする必要もなく、加工上の問題も生じないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施形態の一例のリールを示す図で、(a)は縦断面図(右側のフランジ部は図2の(a)のA−A断面で示し、左側のフランジ部は図2の(b)のB−B断面で示す)、(b)は(a)の一部(p部)拡大図である。
【図2】図1のリールの側面図で、(a)は右側面図、(b)は左側面図である。
【図3】図1のリールのフランジの製造工程における第1の加工材を示す図で、(a)は縦断面図、(b)は左側面図、(c)は(a)の一部(p部)拡大図である。
【図4】図1のリールのフランジの製造工程における第2の加工材を示す図で、(a)は縦断面図、(b)は左側面図、(c)は(a)の一部(p部)拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1〜図4は本発明の実施形態の一例を示している。
この実施の形態のリールは、シリコン、セラミック等の硬質材料の切断に用いられるソーワイヤ等の極細金属線条体を巻き付ける金属線条体巻装用リールでああって、図1および図2に示すように、円筒状の巻胴1と、巻胴1の両端に固着された一対のフランジ2A,2Bとで構成されている。
【0023】
巻胴1は、板厚が5〜11mm(例えば6mm)の冷間圧延高張力鋼板(SPFC)等の金属板をプレス加工して円筒状に成形し、突合せ部を溶接で接合したものである。
【0024】
また、一対のフランジ2A,2Bは、板厚が6〜12mm(例えば7mm)の熱間圧延高張力鋼板(SAPH)等の金属板をプレス加工したもので、内径および外径がいずれも同寸法の略円形ドーナツ状のフランジ側壁部3が形成されるとともに、フランジ側壁部3の周りに、プレス加工により、フランジ2A,2Bの外周部をリール軸線方向の外側(反巻胴側)へカールさせてなる中空リング状のフランジ周縁補強部4が形成され、また、フランジ2A,2Bの内周部を、巻胴1の端面に突き合わせるようリール軸線方向の内側(巻胴側)へ所定幅突出させた円筒状の連結部5が形成されている。フランジ周縁補強部4は、カール方向の断面の径寸法(リール軸線方向の幅寸法)が例えば20mm以下である。
【0025】
そして、巻胴1の端面とフランジ2A,2Bの連結部5の端面は、それぞれ外周側に向けてテーパー加工が施されていて、それらテーパー加工が施された端面同士が突合せ状態で溶接されている。
【0026】
一対のフランジ2A,2Bのうち、片側のフランジ2Bには、フランジ側壁部3の外側(反巻胴側)の面に、フランジ側壁部3の内径および外径の略中間に位置し、180度対向する配置で、回転起動用の一対のけりピン6が固定されている。けりピン6の端面はフランジ周縁補強部4とリール軸線方向に面一である。
【0027】
また、一対のフランジ2A,2Bは、フランジ周縁補強部4の外周にキリ加工によって水抜き穴7が設けられ、フランジ側壁部3に、フランジ側壁部3の外径寄りに位置し、周方向に等間隔となる配置で、リール軸線方向の外側(反巻胴側)から打刻されてなる複数個(図の例では12個)の小判形打痕8が設けられている。
【0028】
そして、このリールは、フランジ2A,2Bのフランジ周縁補強部4の板厚が、フランジ側壁部3の板厚より薄くなっている。フランジのフランジ側壁部3の板厚は6〜12mm(例えば7mm)で、フランジ周縁補強部4の板厚はフランジ側壁部3の板厚の2/3以下(例えば4mm)である。また、フランジ周縁補強部4の板厚は、カール方向の先端部分で最先端側ほど薄くなっていて、カール方向の最先端の板厚がフランジ側壁部3の板厚の1/4〜1/2(例えば2mm)である。
【0029】
フランジ2A,2Bの製造方法は次のとおりである。
まず、板厚が6〜12mm(例えば7mm)の熱間圧延高張力鋼板(SAPH)等の円盤状の金属板をプレス加工して、図3に示すように、外周部9を軸線方向に曲折して円筒状にし、内周部10を軸線方向の外周部9とは反対側に曲折して円筒状にし、フランジ側壁部3に小判形打痕8を打刻してなる第1の加工材21を作製する。
【0030】
そして、この第1の加工材21を旋盤加工して、図4に示すように外周部9の板厚をフランジ側壁部3の板厚より薄くするよう外周部9の内周側を切削し、また、内周部10の端面をテーパー加工してなる第2の加工材22を作製する。
【0031】
その際、第2の加工材22は、フランジ側壁部3の板厚を6〜12mm(例えば7mm)とし、外周部9の板厚をフランジ側壁部3の板厚の2/3以下の3〜6mm(例えば4mm)とする。また、外周部9の先端部分の外周面に、板厚が最先端側ほど薄くなるようテーパー加工を施し、外周部9の最先端の板厚をフランジ側壁部3の板厚の1/4〜1/2(例えば2mm)とする。
【0032】
そして、この第2の加工材22をプレス加工して、板厚の薄い外周部9をフランジ側壁部3の壁面に向けカールさせ、図1に示すようにフランジ側壁部3の周りに中空リング状のフランジ周縁補強部4を有するフランジ2A,2Bの形状に成形する。そして、片側のフランジ2Bには、フランジ側壁部3にけりピン6を固定する。
【0033】
また、フランジ2A,2Bは次の方法でも製造できる。
この場合、板厚が6〜12mm(例えば7mm)の熱間圧延高張力鋼板(SAPH)等の円盤状の金属板の外周部の板厚をプレス加工により薄くする。
【0034】
その際、金属板はフランジ側壁部となる部分の板厚を6〜12mm(例えば7mm)とし、外周部の板厚をフランジ側壁部3の板厚の2/3以下の3〜6mm(例えば4mm)とする。また、外周部の先端部分の外周面を、板厚が最先端側ほど薄くなるようテーパー状に成形し、外周部の最先端の板厚をフランジ側壁部3の板厚の1/4〜1/2(例えば2mm)とする。
【0035】
そして、その薄くした外周部を軸線方向に曲折して円筒状にし、内周部を軸線方向に外周部とは反対側へ曲折して円筒状にし、フランジ側壁部に小判形打痕を打刻する。
【0036】
そして、板厚の薄い外周部をプレス加工により軸線方向の一側へカールさせ、図1に示すようなフランジ側壁部3の周りに中空リング状のフランジ周縁補強部4を有するフランジ2A,2Bの形状に成形する。そして、片側のフランジ2Bには、フランジ側壁部3にけりピン6を固定する。
【0037】
こうして製造したフランジ2A,2Bは、連結部5の端面を巻胴1の端面に突き合せて溶接する。そして、その後、適宜、連結部5を巻胴1の板厚に合わせて旋盤加工で切削する。
【0038】
このように、フランジ周縁補強部4を、フランジ側壁部3よりも板厚を薄くした外周延設部9をプレス加工してカールさせて形成することで、フランジ側壁部3の板厚を厚くして強度並びに剛性を高めつつ、フランジ周縁補強部4のカール方向の断面の径寸法を、フランジ周縁補強部4の板厚がフランジ側壁部3の板厚と同じである場合(図1の(b)に仮想線で示す)に比べて小さくし、フランジ2A,2Bの幅(リール軸線方向の寸法)が大きくならず、リールの幅寸法(リール軸線方向の寸法)を大きくしなくても、巻線に使用できる巻胴1の幅(リール軸線方向の寸法)が小さくならず、巻線量が減らないようにすることができる。
【0039】
また、板厚を薄くした部分をプレス加工してフランジ周縁補強部4を形成するので、フランジ周縁補強部4のプレス加工時の荷重を小さくすることができ、プレスの機械や金型の負担を低減し、金型の寿命を延ばすことができる。
【0040】
以上、実施の形態の一例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、適宜態様を変更して実施可能である。
【0041】
巻胴は、板厚が5〜11mmに限定されるものではなく、冷間圧延高張力鋼板(SPFC)に限定されるものでもない。また、巻胴は、一体あるいは別体の補強構造を有するものであってもよい。配管用鋼管、構造用鋼管も使用可能である。
【0042】
フランジは、板厚が6〜12mmに限定されるものではなく、熱間圧延高張力鋼板(SAPH)に限定されるものでもない。また、フランジの連結部の構造は上記実施形態のものに限定されるものではなく、フランジ周縁補強部は外径が20mm以下に限定されるものでもない。また、けりピンの位置および構造、水抜き穴7の位置および構造は上記実施形態のものに限定されるものではなく、小判形打痕は、形状、数等が上記実施形態のものに限定されるものではなく、また、必ずしも設ける必要がない。また、フランジは、リブ等の補強構造を有するものであってもよい。
【0043】
また、フランジ側壁部の板厚は6〜12mmに限定されるものではなく、フランジ周縁補強部の板厚はフランジ側壁部3の板厚の2/3以下に限定されるものでもない。そして、フランジ周縁補強部は先端部分がテーパー加工されたものに限定されず、最先端の板厚がフランジ側壁部3の板厚の1/4〜1/2であることも必ずしも必要でない。
【0044】
巻胴1の材料としては、SPFC(冷間圧延高張力鋼板)のほか、SAPH(熱間圧延高張力鋼板)等が好適である。また、フランジ2A,2Bの材料としては、SAPH(熱間圧延高張力鋼板)のほか、SPCC(冷間圧延高張力鋼板)等が好適である。
【0045】
本発明の金属線条体巻装用リールは、ソーワイヤ用に限らず、タイヤコード用等、他の様々な金属線条体巻装用のリールに適用できる
【符号の説明】
【0046】
1 巻胴
2A,2B フランジ
3 フランジ側壁部
4 フランジ周縁補強部
5 連結部
9 外周部
10 内周部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻胴の両端に金属板製のフランジが固着され、該フランジの外周部がリール軸線方向の外側へカールしてフランジ側壁部の周りに中空リング状のフランジ周縁補強部を形成してなる金属線条体巻装用リールにおいて、
前記フランジのフランジ周縁補強部の板厚をフランジ側壁部の板厚より薄くしたことを特徴とする金属線条体巻装用リール。
【請求項2】
前記フランジのフランジ側壁部の板厚が6〜12mmで、フランジ周縁補強部の板厚がフランジ側壁部の板厚の2/3以下であることを特徴とする請求項1記載の金属線条体巻装用リール。
【請求項3】
前記フランジのフランジ周縁補強部の板厚がカール方向の先端部分で最先端側ほど薄くなっていることを特徴とする請求項2記載の金属線条体巻装用リール。
【請求項4】
前記フランジ周縁補強部のカール方向の最先端の板厚が前記フランジ側壁部の板厚の1/4〜1/2であることを特徴とする請求項3記載の金属線条体巻装用リール。
【請求項5】
円盤状の金属板の外周部を切削加工して該外周部の板厚を薄くし、その薄くした外周部をプレス加工により軸線方向の一側へカールさせてフランジ側壁部の周りに中空リング状のフランジ周縁補強部を有するフランジの形状に成形することを特徴とする金属線条体巻装用リールのフランジの製造方法。
【請求項6】
前記金属板の外周部の板厚を切削加工により薄くするのに先立って、該外周部をプレス加工により軸線方向へ曲折して円筒状にすることを特徴とする請求項5記載のフランジの製造方法。
【請求項7】
円盤状の金属板の外周部をプレス加工して該外周部の板厚を薄くし、その薄くした外周部をプレス加工により軸線方向の一側へカールさせてフランジ側壁部の周りに中空リング状のフランジ周縁補強部を有するフランジの形状に成形することを特徴とする金属線条体巻装用リールのフランジの製造方法。
【請求項8】
前記金属板の薄くした外周部をプレス加工によりカールさせるのに先立って、該外周部をプレス加工により軸線方向へ曲折して円筒状にすることを特徴とする請求項7記載のフランジの製造方法。
【請求項9】
前記フランジ側壁部の板厚を6〜12mmとし、前記外周部の板厚を前記フランジ側壁部の板厚の2/3以下とすることを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項記載の金属線条体巻装用リールのフランジの製造方法。
【請求項10】
前記外周部の先端部分の板厚が最先端側ほど薄くなるようにすることを特徴とする請求項9記載の金属線条体巻装用リールのフランジの製造方法。
【請求項11】
前記外周部の最先端の板厚をフランジ側壁部の板厚の1/4〜1/2とすることを特徴とする請求項10記載の金属線条体巻装用リールのフランジの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−256017(P2011−256017A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−132302(P2010−132302)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【出願人】(394010506)
【Fターム(参考)】