説明

金属腐食の試験方法

【課題】レジスト洗浄の際の腐食性物質を含む洗浄液等と同様の溶液による、金属配線と同様の金属材料の腐食の度合を試験する方法を提供する。
【解決手段】標準溶液中に浸漬した電極セルに対して1mHz〜10Hzの低周波の交流電圧を印加し、前記標準溶液における前記電極セルの標準インピーダンスの時間積算値を計測する。次いで、試料溶液中に浸漬した前記電極セルに対して1mHz〜10Hzの低周波の交流電圧を印加し、前記試料溶液における前記電極セルの試料インピーダンスの時間積算値を計測する。次いで、前記標準インピーダンスの時間積算値と前記試料インピーダンスの時間積算値との差分から、前記試料溶液による前記電極セルの電極材料の溶出度合を導出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属腐食の試験方法に関し、特に液晶や半導体製造におけるレジスト剥離工程で使用する洗浄液による金属配線の腐食度合を予めモニタリングすることができる金属腐食の試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶や半導体装置の製造工程においては、各工程において液晶モジュールや半導体ウエハに形成された金属配線を保護する等の目的からレジスト塗布が繰り返し行われている。塗布されたレジストは所定のプロセスが施された後は、一部あるいは全部が洗浄液等により除去されることになる。
【0003】
近時、炭酸エチレンがレジスト材料等の有機物の良溶媒で、凝固点が36℃であることから再結晶による精製が容易で、しかも低引火性(沸点246℃、引火点152℃)で環境負荷も小さいことから、炭酸エチレンを主成分とするレジスト洗浄液が用いられるようになってきている。
【0004】
また、使用済みの炭酸エチレンを主成分とする洗浄液をオゾンと接触させて、炭酸エチレン中の不純物を酸化分解する方法が提案され、この工程を繰り返すことで、同一の洗浄液により多数回にわたりレジスト洗浄を行うことを可能にした技術も開発されている。(特許文献1参照)
【0005】
ところで、上述のようにして洗浄液を繰り返し用いると、洗浄液中にレジストの分解物である過酸化物や有機酸等の腐食性物質が蓄積されていき、このような洗浄液が金属配線と接触した場合において金属配線を腐食してしまい、目的とする液晶表示装置や半導体装置を製造しようとした場合に、その品質劣化を生ぜしめ、歩留りを低下させる原因となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−330206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、レジスト洗浄の際の腐食性物質を含む洗浄液等による金属配線と同様の金属材料の腐食の度合を試験する方法を提供し、上述したような、液晶モジュール及び半導体ウエハ上に形成された金属配線の腐食度合を予めモニタリングすることで、洗浄液の性状を管理し、液晶表示装置や半導体装置における金属配線の腐食が原因となる品質劣化及び製造歩留りの低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成すべく、本発明の一態様は、標準溶液中に浸漬するようにして電極セルを配置するステップと、前記電極セルに対して1mHz〜10Hzの低周波の交流電圧を印加し、前記標準溶液における前記電極セルの標準インピーダンスの時間積算値を計測するステップと、試料溶液中に浸漬するようにして前記電極セルを配置するステップと、前記電極セルに対して1mHz〜10Hzの低周波の交流電圧を印加し、前記試料溶液における前記電極セルの試料インピーダンスの時間積算値を計測するステップと、前記標準インピーダンスの時間積算値と前記試料インピーダンスの時間積算値との差分から、前記試料溶液による前記電極セルの金属材料の溶出度合を導出するステップと、を具えることを特徴とする、金属腐食の試験方法(第1の試験方法)に関する。
【0009】
上記第1の試験方法によれば、溶液中に電極セルを配置し、この電極セルに対して1mHz〜10Hzの低周波の交流電圧を印加し、その際の電極セルにおけるインピーダンスの時間積算値を計測するようにしている。したがって、電極セルの金属材料を例えば金属配線と同様の金属材料から構成し、標準溶液として例えばレジストの分解物を含まない炭酸エチレンを準備するとともに、試料溶液として例えば炭酸エチレンに対してレジストの分解物を含むような溶液を準備し、これらのインピーダンスの時間積算値を計測し、さらにこれらの差分を取ることによって、試料溶液による電極セルの金属材料の溶出度合、すなわち実際の液晶モジュールや半導体ウエハに対して形成した金属配線の腐食の度合を知ることができる。
【0010】
電極セルの金属溶出が進行すると、その実質的な表面積が増大するためインピーダンスは低下するようになる。したがって、試料溶液による電極セルの金属電極の溶出度合は、そのインピーダンス時間積算値の、標準溶液のインピーダンスの時間積算値からの減少度合を見ることによって知ることができる。
【0011】
なお、第1の試験方法では、上述のように電極セルに対して印加する交流電圧の周波数を1mHz〜10Hzの低周波としている。これは、周波数が高くなると、電極セル表面のインピーダンスよりも標準溶液や試料溶液のインピーダンスが支配的となり、電極セル表面のインピーダンスが計測することができず、電極セルの腐食度合を知ることができなくなるためである。
【0012】
また、標準インピーダンスの時間積算値及び試料インピーダンスの時間積算値の差分と、電極セルの金属溶出量との関係を予め検量線として求めておけば、前記差分に基づいて電極セルにおける金属電極の溶出量を定量することができる。
【0013】
さらに、本発明のその他の態様は、標準溶液中に浸漬するようにして電極セルを配置するステップと、前記電極セルに対して1mHz〜10Hzの低周波の交流電圧を印加し、前記標準溶液における前記電極セルの標準インピーダンスの時間積算値を計測するステップと、少なくとも一種の試料溶液中に浸漬するようにして前記電極セルを配置するステップと、前記電極セルに対して1mHz〜10Hzの低周波の交流電圧を印加し、前記試料溶液における前記電極セルの試料インピーダンスの時間積算値を計測するステップと、前記標準インピーダンスの時間積算値及び前記試料インピーダンスの時間積算値と、前記電極セルの電極材料の溶出量との相関を導出し、検量線を作成するステップと、前記検量線に基づいて、所定の試料溶液による前記電極セルの前記電極材料の溶出量を定量するステップと、を具えることを特徴とする、金属腐食の試験方法(第2の試験方法)に関する。
【0014】
第2の試験方法は、基本的には第1の試験方法と同様であるが、標準インピーダンスの時間積算値と試料インピーダンスの時間積算値との差分に基づいて、試料溶液の電極セルの溶出の度合を知る代わりに、少なくとも一種以上、好ましくは複数の試料溶液の試料インピーダンスの時間積算値を計測し、標準インピーダンスの時間積算値及び少なくとも一種以上の試料インピーダンスの時間積算値から検量線を作成する。したがって、所定の試料溶液による電極セルの金属材料の溶出量を、前記検量線に基づいて定量することができるようになる。
【0015】
本発明の一態様において、上記電極セルは二電極方式、三電極方式及び四電極方式のいずれであってもよい。
【0016】
さらに、本発明の一態様においては、上記標準溶液は、レジストの洗浄液を考慮して例えば水や非水系の有機溶剤とすることができる。なお、水は、水道水や井戸水などの他に、純水や、オゾン、水素あるいは窒素等を含んだ機能水をも含むものである。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明によれば、レジスト洗浄の際の腐食性物質を含む洗浄液等と同様の溶液による金属配線と同様の金属材料の腐食の度合を試験する方法を提供することができ、液晶モジュール及び半導体ウエハ上に形成された金属配線の腐食度合を予めモニタリングすることによって、洗浄液の性状を管理し、液晶表示装置や半導体装置における金属配線の腐食が原因となる品質劣化及び製造歩留りの低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施形態における金属腐食の試験方法を説明するための図である。
【図2】第1の実施形態における金属腐食の試験方法を説明するための図である。
【図3】第1の実施形態における試験方法のフローチャートである。
【図4】標準インピーダンスの測定値と試料インピーダンスの測定値とを示すグラフである。
【図5】第2の実施形態における標準インピーダンスの時間積算値及び各種の試料インピーダンスの時間積算値の逆数と、作用極のエッチングレートとの関係を示すグラフ(検量線)である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の詳細並びにその他の特徴及び利点について、図面を参照しながら説明する。
【0020】
(第1の実施形態)
図1及び図2は、本実施形態における金属腐食の試験方法を説明するための図であり、図3は、前記試験方法に関するフローチャートである。なお、本実施形態では、電極セルを二電極方式とした。
【0021】
最初に、図1に示すように、容器11中に標準溶液L1を入れ、この標準溶液L1に対して二電極方式を構成する作用極12及び対極13を浸漬させる(ステップS1)。次いで、作用極12及び対極13間に交流電源V1を設置し、これら電極間に1mHz〜10Hzの低周波の交流電圧を印加し、標準溶液L1における作用極12の標準インピーダンスの時間積算値を計測する(ステップS2)。
【0022】
標準溶液L1は、非水系有機溶剤や水とすることができる。これらは特に腐食性物質を含まないので作用極12や対極13を腐食させるようなことがない。また、非水系有機溶剤として炭酸エチレン等を、水に対してはオゾンを含有させたオゾン水等を採用すれば、レジストの洗浄液として使用することができるので、以下に詳述するように、作用極12及び対極13の構成材料を適宜に選択し、試料溶液L2を適宜に調節することによって、本実施形態の試験方法を実際の液晶モジュールや半導体ウエハに対して形成した金属配線の腐食の度合を知るために好適に用いることができる。
【0023】
非水系有機溶剤としては、炭酸エチレン(エチレンカーボネート)、炭酸プロピレン(プロピレンカーボネート)炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、γブチロラクトンなどの炭酸エステル類、メチルプロピレントリグリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、3−メトキシブタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(EDG)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(BDG)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)などのグリコールエーテル類、その他、エチレンジアミン、エタノールアミン、アニリン、メチルアミンなどのアミン類を挙げることができる。
【0024】
なお、水としては、水道水や井戸水などの他、機能水あるいは純水を用いることができる。機能水としては、例えば、オゾン、水素あるいは窒素等を含んだ水を挙げることができる。
【0025】
標準溶液L1の温度は、例えば室温(20℃)〜100℃の範囲とすることができる。
【0026】
標準インピーダンスの時間積算値は、例えば標準インピーダンスの測定を開始した後、数秒から数時間の時間範囲において得た標準インピーダンスを、前記時間範囲内で積算(積分)することによって得る。
【0027】
なお、作用極12及び対極13間に印加する交流電圧の周波数が10Hzよりも大きくなると、測定するインピーダンスは標準溶液L1のインピーダンスが支配的となり、作用極12表面の標準インピーダンスを計測することができない。一方、作用極12及び対極13間に印加する交流電圧の周波数が1mHzよりも小さくなると、周波数制御が困難となって測定すべき作用極12表面の標準インピーダンスの測定値にバラツキが生じてしまう。
【0028】
次いで、図2に示すように、同じ容器11中に試料溶液L2を入れ、この試料溶液L2に対して、図1に示す場合と同様にして、二電極方式を構成する作用極12及び対極13を浸漬させる(ステップS3)。
【0029】
試料溶液L2は、実際に作用極12を腐食させる溶液であるので、例えば上述した標準溶液L1に対して腐食性の物質を含有させることによって得ることができる。この場合、腐食性の物質として、レジストの分解物である過酸化物や有機酸等を選択することによって、本実施形態の試験方法を実際の液晶モジュールや半導体ウエハに対して形成した金属配線の腐食の度合を知るために好適に用いることができる。
【0030】
上記過酸化物としては、過ギ酸及び過酢酸などを例示することができる。また、上記有機酸としては、ギ酸、酢酸、グリコール酸及びシュウ酸などを例示することができる。
【0031】
使用溶液L2の温度も、標準溶液L1の温度と同様に、例えば室温(20℃)〜100℃範囲とすることができる。
【0032】
次いで、作用極12及び対極13間に交流電源V1を設置し、これら電極間に1mHz〜10Hzの低周波の交流電圧を印加し、試料溶液L2における作用極12の試料インピーダンスの時間積算値を計測する(ステップS4)。なお、交流電圧の周波数を1mHz〜10Hzの範囲に設定する理由は、上述したとおりである。
【0033】
試料インピーダンスの時間積算値も、上記標準インピーダンスと同様にして求めることができる。
【0034】
次いで、上述のようにして得た標準インピーダンスの時間積算値と試料インピーダンスの時間積算値との差分を取る。なお、作用極12の溶出が進行すると、その実質的な表面積が増大するためインピーダンスは低下するようになる。したがって、試料溶液L2による作用極12の溶出度合は、そのインピーダンス時間積算値の、標準溶液L1のインピーダンスの時間積算値からの減少度合を見ることによって知ることができる。
【0035】
また、標準インピーダンスの時間積算値及び試料インピーダンスの時間積算値の差分と、作用極12の金属溶出量との関係を予め検量線として求めておけば、前記差分に基づいて作用極22の溶出量を定量することができる。
【0036】
なお、印加電圧の大きさは、例えば1〜50mVとすることができる。50mVを超えると、標準溶液L1のみならず、作用極12及び対極13自体に対して過度の電流が流れるようになり、この電流によって作用極12及び対極13が腐食してしまい、以下に示すような試料溶液中に含まれる腐食性物質による作用極12及び対極13の腐食を試験することができない場合がある。一方、印加電圧の大きさが1mV未満であると、作用極12及び対極13間に十分な電流を流すことができず、本試験方法を実施できない場合がある。
【0037】
また、作用極12と対極13との表面積比は、例えば1:1〜1:50(1/1〜1/50)、すなわち対極13の表面積を作用極12の表面積の1倍から50倍とすることができる。対極13の表面積が作用極12の表面積の1倍未満であると、対極13の抵抗が増大するので、作用極12及び対極13間に標準溶液L1及び試料溶液L2を介して電流を流す場合に、電圧印加手段に対して過度の負荷がかかるようになって好ましくない。一方、対極13の表面積が作用極12の表面積に対して大きくなると、対極13の抵抗が減少するため、電圧印加手段に対して過度の負荷がかかるようなことはない。但し、50倍を超えて大きくなっても、最早電圧印加手段における負荷の低減を図ることはできない。
【0038】
さらに、作用極12と対極13との距離は、例えば1〜50mmとすることができる。
【0039】
作用極12及び対極13は、Cu,Al,Mo,Li,Be,C,Na,Mg,Si,K,Ca,Sc,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Zn,Ga,Ge,Rb,Sr,Y,Zr,Nb,Tc,Ru,Rh,Pd,Ag,Cd,In,Sn,Sb,Te,Cs,Ba,La,Hf,Ta,W,Re,Os,Ir,Pt,Au,Hg,Tl,Pb,Bi,Po,Fr及びRaあるいはそれらの合金であることが好ましい。
【0040】
次に、具体例に基づいて本発明を説明する。
図4は、上述のような操作を経て得た標準インピーダンスの測定値と試料インピーダンスの測定値とを示すグラフである。なお、標準溶液L1は炭酸エチレンとし、試料溶液L2は、炭酸エチレンに対してノボラック樹脂及びジアゾナフトキノン(感光剤)からなるレジストを0.1重量%含有させ、オゾンを0.021g/分の割合で含有させたものである。したがって、本例では、試料溶液L2中に、レジストの分解物である過酸化物が合計で20ppmの割合で含有され、有機酸についてはギ酸が220ppm、酢酸が110ppmの割合で含有されていると想定される。
【0041】
本例において、標準インピーダンスの時間積算値は、経過時間0分から100分までに測定した標準インピーダンスをこの時間範囲(100分間)に亘って積算して得られるものであり、図4において右斜め斜線で示される領域Aで表わすことができる。一方、試料インピーダンスの時間積算値は、同時間範囲内に測定した試料インピーダンスを前記時間範囲に亘って積算して得られるものであり、図4において右斜め斜線と左斜め斜線とが交差して示される領域Bで表わすことができる。なお、作用極及び対極間に印加した交流電圧の周波数は0.1Hzとし、印加電圧は50mVとした。
【0042】
したがって、標準インピーダンスの時間積算値と試料インピーダンスの時間積算値との差分は、領域Aの面積から領域Bの面積を差し引くことによって得ることができる。
【0043】
作用極の溶出度合が大きいほど、インピーダンスが減少することから、領域Bの面積が減少して上述した差分の値が大きくなるほど、試料溶液L2による作用極の溶出の度合が増大することになる。
【0044】
以上のように、本実施形態によれば、図1〜図3に従って標準インピーダンスの時間積算値及び試料インピーダンスの時間積算値を得、これらの差分を求めることによって、試料溶液L2による作用極の溶出度合を検出できることが分かる。
【0045】
(第2の実施形態)
図5は、上記標準インピーダンスの時間積算値及び各種の試料インピーダンスの時間積算値の逆数と、作用極のエッチングレートとの関係を示すグラフ(検量線)である。
【0046】
図5に示すような検量線を予め求めておけば、上述のような差分を計算しなくても、所定の試料インピーダンスの時間積算値(の逆数)を導出することによって、前記試料インピーダンスの時間積算値(の逆数)の基になる試料溶液による作用極、すなわちその金属材料の金属溶出量を定量することができる。
【0047】
なお、標準インピーダンスの時間積算値及び試料インピーダンスの時間積算値は、上述した第1の実施形態の、図1〜図3に関連して説明した方法と同様にして導出する。但し、試料インピーダンスの時間積算値は、少なくとも一種以上、好ましくは複数の種類の試料溶液を準備し、これらの試料溶液のそれぞれに対して試料インピーダンスの時間積算値を得るようにする。
【0048】
以上、本発明を上記具体例に基づいて詳細に説明したが、本発明は上記具体例に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいて、あらゆる変形や変更が可能である。
【0049】
例えば、上記具体例では、二電極方式の電極セルを用いた場合について説明したが、三電極方式及び四電極方式の電極セルを用いてもよい。
【符号の説明】
【0050】
11,21 容器
12、22 作用極
13,23 対極
L1 標準溶液
L2 試料溶液
V1 交流電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標準溶液中に浸漬するようにして電極セルを配置するステップと、
前記電極セルに対して1mHz〜10Hzの低周波の交流電圧を印加し、前記標準溶液における前記電極セルの標準インピーダンスの時間積算値を計測するステップと、
試料溶液中に浸漬するようにして前記電極セルを配置するステップと、
前記電極セルに対して1mHz〜10Hzの低周波の交流電圧を印加し、前記試料溶液における前記電極セルの試料インピーダンスの時間積算値を計測するステップと、
前記標準インピーダンスの時間積算値と前記試料インピーダンスの時間積算値との差分から、前記試料溶液による前記電極セルの電極材料の溶出度合を導出するステップと、
を具えることを特徴とする、金属腐食の試験方法。
【請求項2】
標準溶液中に浸漬するようにして電極セルを配置するステップと、
前記電極セルに対して1mHz〜10Hzの低周波の交流電圧を印加し、前記標準溶液における前記電極セルの標準インピーダンスの時間積算値を計測するステップと、
少なくとも一種の試料溶液中に浸漬するようにして前記電極セルを配置するステップと、
前記電極セルに対して1mHz〜10Hzの低周波の交流電圧を印加し、前記試料溶液における前記電極セルの試料インピーダンスの時間積算値を計測するステップと、
前記標準インピーダンスの時間積算値及び前記試料インピーダンスの時間積算値と、前記電極セルの電極材料の金属溶出量との相関を導出し、検量線を作成するステップと、
前記検量線に基づいて、所定の試料溶液による前記電極セルの前記電極材料の金属溶出量を定量するステップと、
を具えることを特徴とする、金属腐食の試験方法。
【請求項3】
前記電極セルは、二電極方式、三電極方式及び四電極方式のいずれか一つであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の金属腐食の試験方法。
【請求項4】
前記電極セルに印加する交流電圧の大きさが1〜50mVであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載の金属腐食の試験方法。
【請求項5】
前記標準溶液は、非水系有機溶剤又は水であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載の金属腐食の試験方法。
【請求項6】
前記非水系有機溶剤は、炭酸エステル類、グリコールエーテル類及びアミン類の少なくとも一種を含むことを特徴とする、請求項5に記載の金属腐食の試験方法。
【請求項7】
前記試料溶液は、前記標準溶液中に少なくとも一種の腐食性の溶質が混在してなることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一に記載の金属腐食の試験方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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