説明

金属薄板被覆方法

【課題】金属製の基材の表面に、金属薄板を空気溜りを生じさせることなく密着させることができ、かつ、少量多品種生産にも好適な、金属薄板被覆方法を提供する。
【解決手段】基材1の表面3に、この表面2に開口し、かつ端部が基材1の表面と交差する面4に開口する溝5を形成し、この溝5が形成された前記基材1の表面2に、金属薄板6を押圧ローラ10で押し付けることによって被覆する。金属薄板6と基材1の表面2との間から抜けきれなかった空気は溝5を通って外部に逃げるので、金属薄板6と基材1の表面2との間に空気溜りが生じることなく、金属薄板6を基材1の表面2に密着させることができる。また、押圧ローラ10によって、基材1の表面2に金属薄板6を押し付けて密着させるので、特別な金型等が必要なく、よって、少量多品種生産にも好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製の基材の表面に金属製の金属薄板を被覆する金属薄板被覆方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種建築部材の表面に化粧シートを被覆して、表面仕上げすることは一般に行われている。例えば、ドア枠材に化粧シートを被覆する方法の一例として、特許文献1に記載の技術が知れられている。
この化粧シートの被覆方法は、予め裏面に接着剤を塗布した化粧シートをドア枠材の上面におき、その状態でドア枠材を下流側に移送しつつ、移送方向に沿って配置された複数の押圧ローラで化粧シートを、ドア枠材の上面、側面、下面に順次押し付けていくことによって、ドア枠材の表面に化粧シートを被覆するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−23842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、金属製の基材の表面に、金属製の薄板を被覆して表面仕上げするのに、上記従来の被覆方法を用いた場合、押圧ローラで金属薄板を基材の表面に押し付ける際に、金属薄板と基材の表面との間にある空気が全て抜けきれずに、一部が残ってしまい、金属薄板の表面の一部を浮き上がらせる空気溜りが生じることが多い。
一方、ドア枠等の基材が木質の材料である場合、基材と化粧シートとの間にあって、抜けきれずに残ってしまった空気は基材の表面にある微細孔に入ってしまうので、化粧シートの表面の一部を浮き上がらせることはなかった。
また、周知のロールホーミングによって、基材の表面に金属薄板を圧着する方法もあるが、この方法では、金型に多大の費用がかかり、特に少量多品種生産には不向きであった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、金属製の基材の表面に、金属薄板を空気溜りを生じさせることなく密着させることができ、かつ、少量多品種生産にも好適な、金属薄板被覆方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、例えば図1〜図5に示すように、金属製の基材1の表面2に金属製の金属薄板6を被覆する金属薄板被覆方法において、
前記基材1の表面3に、この表面2に開口し、かつ端部が前記基材1の表面と交差する面4に開口する溝5を形成し、
この溝5が形成された前記基材1の表面2に、金属薄板6を押圧ローラ10で押し付けることによって被覆することを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、基材1の表面2に、金属薄板6を押圧ローラ10で押し付けて、金属薄板6を密着させると、金属薄板6と基材1の表面2との間から抜けきれなかった空気が溝5を通って外部に逃げるので、金属薄板6と基材1の表面2との間に空気溜りが生じることなく、金属薄板6を基材1の表面2に密着させることができる。
また、押圧ローラ10によって、基材1の表面2に金属薄板6を押し付けて密着させるので、特別な金型等が必要なく、よって、少量多品種生産にも好適である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の金属薄板被覆方法において、
前記溝5の溝幅が0.1〜4.0mmであることを特徴とする。
ここで、溝幅が0.1mm未満では、金属薄板6と基材1の表面との間から抜けきれなかった空気を逃がすのが困難となり、一方、4.0mmを越えると、金属薄板6と基材1の表面2との密着性が低下してしまう。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、基材1の表面2に形成された溝5の溝幅が0.1〜4.0mmであるので、金属薄板6と基材1の表面2との間から抜けきれなかった空気を、溝5を通して確実に逃がすことができるとともに、金属薄板6を基材1の表面2に確実に密着させることができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の金属薄板被覆方法において、
前記金属薄板6の板厚が0.01〜0.1mmであることを特徴とする。
ここで、金属薄板6の板厚が0.01mm未満では、押圧ローラ10によって金属薄板6を基材1の表面2に押し付ける際に、金属薄板6に亀裂が生じるおそれがあり、一方、0.1mmを超えると、金属薄板6が硬くなって、該金属薄板6を、基材1の表面2が曲面である場合に、この曲面に密着させ難くなる。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、金属薄板6の板厚が0.01〜0.1mmであるので、押圧ローラ10によって金属薄板6を基材1の表面2に、亀裂を生じさせることなく押し付けて、該金属薄板6を基材1の表面2に確実に密着させることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の金属薄板被覆方法において、
前記基材1の表面2に、金属薄板6を押圧ローラ10で押し付けるに際し、
前記基材1の表面2に開口する溝5上に位置する金属薄板6の部位を、前記押圧ローラ15で押し付けないことを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、基材1の表面2に開口する溝5上に位置する金属薄板6の部位を、押圧ローラ10で押し付けないので、金属薄板6の表面に溝5の形が転写されることがなく、しかも、溝5上に位置する金属薄板6の部位以外の部位は、押圧ローラ10で基材1の表面2に押し付けられるので、溝5の近傍に位置する金属薄板6の部位は基材1の表面2に密着し、溝5上に位置する金属薄板6の部位は、基材1の表面2に沿って馴染む。したがって、金属薄板6の表面を滑らかに仕上ることができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、例えば図6に示すように、請求項1〜4のいずれか一項に記載の金属薄板被覆方法において、前記押圧ローラ15が球状に形成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、押圧ローラ15が球状に形成されており、リング状の平ローラのようなエッジ(角部)がないので、金属薄板6を基材1の表面2に押圧ローラ15の曲面によって押し付けることができ、金属薄板6の表面をより滑らかに仕上ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、基材の表面に、この表面に開口し、かつ端部が前記基材の表面と交差する面に開口する溝を形成し、この溝が形成された前記基材の表面に、金属薄板を押圧ローラで押し付けることによって被覆するので、金属薄板と基材の表面との間から抜けきれなかった空気が溝を通って外部に逃げるので、金属薄板と基材の表面との間に空気溜りが生じることなく、金属薄板を基材の表面に密着させることができる。
また、押圧ローラによって、基材の表面に金属薄板を押し付けて密着させるので、特別な金型等が必要なく、よって、少量多品種向けにも好適である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る金属薄板被覆方法によって金属薄板が被覆される基材の一例を示すもので、その端面図である。
【図2】同、側面図である。
【図3】本発明に係る金属薄板被覆方法によって、表面に金属薄板が被覆された基材を示す横断面図である。
【図4】本発明に係る金属薄板被覆方法を実施するためのラッピング装置の概略構成平面図である。
【図5】本発明に係る金属薄板被覆方法の一例を示す工程図である。
【図6】本発明に係る金属薄板被覆方法の他の例を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明に係る金属薄板被覆方法の実施の形態について説明する。
まず、図1および図2を参照して、本実施の形態で使用する金属製の基材1について説明する。
図1および図2は金属製の基材1を示すものであり、図1は端面図、図2は側面図である。基材1はアルミニウムによって形成された長尺物であり、図1において紙面と直交する方向に長尺となっており、図2において左右方向に長尺となっている。
基材1の表面は断面円弧面状に形成された曲面2を有しており、この曲面2と、この曲面2に連続し、かつ、互いに直交する表面3,3の縁部に、後述する金属薄板6を被覆するようになっている。
基材1の表面の一つである曲面2には、この曲面2に開口し、かつ端部が基材の曲面2と直角に交差する端面4,4に開口する溝5,5が形成されている。
溝5,5は、基材1の長手方向に沿って延在し、かつ平行に配置されている。この溝5は断面矩形状に形成されており、その溝幅は0.1〜4.0mmに設定されている。また、溝深さも0.1〜4.0mmに設定されている。
【0019】
図3は、前記基材1の曲面2および表面3,3の縁部に金属製の金属薄板6を被覆した状態を示す横断面図である。金属薄板6はSUSシートによって構成されたものであり、その板厚は0.01〜0.1mmに設定されている。
また、金属薄板6の長手方向に沿う両縁部は、基材1の長手方向に沿う両縁部を巻くようにして折り返されて、前記表面3,3の縁部まで延出されて、この縁部表面に被覆されている。
【0020】
次に、金属薄板6を基材1の表面(曲面)2および表面3,3の縁部に被覆する方法について説明する。本実施の形態では、基材1の表面2および表面3,3の縁部に、金属薄板6を押圧ローラ10で押し付けることによって被覆するようにしている。
押圧ローラ10は、図4に示すようなラッピング装置に設けられている。なお、図4はラッピング装置の概略構成を示す平面図である。
【0021】
ラッピング装置は、前記基材1の表面2および表面3,3の縁部に金属薄板6を押し付けて被覆するものであり、図示しない多数の送りローラによって基材1を移送するための移送路8が形成され、該移送路8の両側および上方に金属薄板6を基材1の表面2および表面3,3の縁部に押し付けるための複数の押圧ローラ10・・・が移送路の移送方向(図4において上下方向)に沿って所定間隔で設けられている。
送りローラは、それぞれの回転方向が一致するよう一列あるいは複数列に配列せしめられたもので、それぞれの軸が図示しないモータに接続されて同時にかつ同一方向に回転するよう構成されたものである。
押圧ローラ10は、ゴムや軟質合成樹脂等からなるもので、図5に示すように、支持パイプ11の先端部に回転自在に軸支されたものである。支持パイプ11は図示しない支持手段によって傾斜角度を調整自在に支持されており、支持パイプ11の傾斜角度を調整することによって、押圧ローラ10の向きを所望の角度に調整できるようになっている。
【0022】
前記押圧ローラ10は、図4に示すように、移送路8と直交する方向(図4において左右方向)に一対、かつ、移送路8の移送方向(図4において上下方向)に所定間隔で配置されており、左右一対の押圧ローラ10,10間の距離は、移送路8の上流側から下流側(図4において上側から下側)にいくに連れ離れていき、最下流側では、それより一つ上流側の押圧ローラ10,10の離間距離より若干離間距離が短くなっている。
また、押圧ローラ10は、移送路8の上流側から下流側にいくに連れ、その押圧面(外周面)が移送される基材1の表面(曲面)2の左右中央部から両縁部側に位置するように順次配置されており、かつ、一対の押圧ローラ10,10は、移送路8を軸にして左右対称となるよう配置されている。また、移送路8の最下流側に位置する押圧ローラ10,10は、基材1の表面3,3の縁部側に位置するように配置されている。
さらに、移走路8上を移送される基材1の表面2に形成されている溝5,5上には、押圧ローラ10は配置されていない。したがって、溝5上に位置する金属薄板6の部位は押圧ローラ10によって押圧されないようになっている。
なお、図4では、移走路8の移送方向に沿って、6個の押圧ローラ10・・・を図示しているが、実際は押圧ローラ10は多数あり、かつ、基材1の長さ等に応じて、配置数や一対の押圧ローラ10,10間の距離を調整できるようになっている。
【0023】
上記のようなラッピング装置によって、基材1の表面に金属薄板6を被覆するには、基材1を、その表面2が真上を向くようにして移送路8の上流側にセットする。
次に、図示しない送り装置から送られてきた金属薄板6の先端を基材1の先端に合わせ、その状態で金属薄板6の先端部を基材1の先端部の表面2に貼着する。この場合、金属薄板6は図5(a)に示すように、基材1の表面2および表面3,3の縁部を被覆できるよう予めその幅が決められている。そして、この金属薄板6を基材1の表面2および表面3,3の縁部に被覆するに際しては、金属薄板6の中心線を基材1の表面2の中心線に一致させるようにする。なお、図示しない送り装置から送られてくる金属薄板6の裏面には予め接着剤が塗布されている。
【0024】
このようにして金属薄板6の先端部を基材1の先端部の表面2に貼着した後、送りローラを回転させ、基材1を移送路8の下流側に移動させる。すると、基材1とともに移動する金属薄板6は、まず図5(a)に示すように、その中央部が押圧ローラ10,10で基材1の表面2の中央部に押し付けつけられて貼着され、さらに、図5(b)に示すように、金属薄板6がその中央部から両縁部側に向けて、基材1の表面2に押し付けられていき、貼着される。
基材1の表面2に形成されている溝5,5上には、上述したように、押圧ローラ10,10が配置されていないので、溝5,5上に位置する金属薄板6の部位は、押圧ローラ10,10によって押し付けられない。
【0025】
次に、図5(c),(d)に示すように、基材1の表面2の両縁部では、押圧ローラ10,10が金属薄板6を表面2の両縁部に押し付けるので、金属薄板6はこの両縁部で折曲されるとともに、該両縁部に貼着される。
さらに、図5(e)に示すように、基材1の表面3,3の縁部側に折曲された金属薄板6は、押圧ローラ10,10によって、表面3,3の縁部に押し付けられて貼着される。これによって、基材1の表面2および表面3,3の縁部に金属薄板6が被覆される。
【0026】
このような図5に示した金属薄板6の基材1の表面への被覆は、基材1の先端側から後端側にかけて漸次なされてゆき、基材1の後端が最下流側の押圧ローラ10,10を通過することによって基材1の全長に亙っての被覆が終了する。このようにして基材1への金属薄板6の被覆が終了した後、基材1の両端面を必要に応じて仕上げ処理する。
なお、基材1の種類を変えた場合には、基材1の断面寸法に応じた押圧ローラ10に交換して前述した工程に沿って行うことにより、基材1への金属薄板の被覆を行うことができる。
【0027】
本実施の形態によれば、基材1の表面2に、金属薄板6を押圧ローラ10で押し付けて、金属薄板6を密着させると、金属薄板6と基材1の表面2との間から抜けきれなかった空気が溝5を通って外部に逃げるので、金属薄板6と基材1の表面2との間に空気溜りが生じることなく、金属薄板6を基材1の表面2に密着させることができる。
また、押圧ローラ10によって、基材1の表面2に金属薄板6を押し付けて密着させるので、特別な金型等が必要なく、よって、少量多品種生産にも好適である。
【0028】
また、基材1の表面2に形成された溝5の溝幅が0.1〜4.0mmであるので、金属薄板6と基材1の表面2との間から抜けきれなかった空気を、溝5を通して確実に逃がすことができるとともに、金属薄板6を基材1の表面2に確実に密着させることができる。
さらに、金属薄板6の板厚が0.01〜0.1mmであるので、押圧ローラ10によって金属薄板6を基材1の表面2に、亀裂を生じさせることなく押し付けて、該金属薄板6を基材1の表面2に確実に密着させることができる。
【0029】
また、基材1の表面2に開口する溝5上に位置する金属薄板6の部位を、押圧ローラ10で押し付けないので、金属薄板6の表面に溝5の形が転写されることがなく、しかも、溝5上に位置する金属薄板6の部位以外の部位は、押圧ローラ10で基材1の表面2に押し付けられるので、溝5の近傍に位置する金属薄板6の部位は基材1の表面2に密着し、溝5上に位置する金属薄板6の部位は、基材1の表面2に沿って馴染む。したがって、金属薄板6の表面を滑らかに仕上ることができる。
【0030】
また、図6に示すように、球状に形成された押圧ローラ15を用いて基材1の表面に金属薄板6を被覆してもよい。
押圧ローラ15は、ゴムや軟質合成樹脂等からなるもので、支持パイプ11の先端部にコ字形の支持部材11aを介して軸11b回りに回転自在に軸支されたものである。
支持パイプ11は図示しない支持手段によって傾斜角度を調整自在に支持されており、支持パイプ11の傾斜角度を調整することによって、押圧ローラ15の向きを所望の角度に調整できるようになっている。
【0031】
このような押圧ローラ15は、前記押圧ローラ10と同様にしてラッピング装置に配置されている。
押圧ローラ15を備えたラッピング装置によって、基材1の表面に金属薄板6を被覆するには、基材1を、その表面2が真上を向くようにして移送路8の上流側にセットする。
次に、図示しない送り装置から送られてきた金属薄板6の先端を基材1の先端に合わせておく。
その後、送りローラを回転させ、基材1を移送路8の下流側に移動させる。すると、基材1とともに移動する金属薄板6は、図6(a)〜(c)に示すように、その中央部が押圧ローラ15で少しずつ下方に押えられて行くことによって、曲面形状が付与されていき、そのうえで、基材1の表面2の中央部に押え付けられて貼着される。
【0032】
そして、図6(d)に示すように、押圧ローラ15,15によって、金属薄板6がその中央部から両縁部側に向けて、基材1の表面2に押し付けられていき、貼着される。
基材1の表面2に形成されている溝5,5上には、上述したように、押圧ローラ15,15が配置されていないので、溝5,5上に位置する金属薄板6の部位は、押圧ローラ15,15で押し付けられない。
【0033】
次に、図6(e)に示すように、基材1の表面2の両縁部では、押圧ローラ15,15が金属薄板6を表面2の両縁部に押し付けるので、金属薄板6はこの両縁部で折曲されるとともに、該両縁部に貼着される。
さらに、図6(f)に示すように、基材1の表面3,3の縁部側に折曲された金属薄板6は、押圧ローラ15,15によって、表面3,3の縁部に押し付けられて貼着される。これによって、基材1の表面2および表面3,3の縁部に金属薄板6が被覆される。
【0034】
このような図6に示した金属薄板6の基材1の表面への被覆は、基材1の先端側から後端側にかけて漸次なされてゆき、基材1の後端が最下流側の押圧ローラ15,15を通過することによって基材1の全長に亙っての被覆が終了する。このようにして基材1への金属薄板6の被覆が終了した後、基材1の両端面を必要に応じて仕上げ処理する。
【0035】
このように、球状に形成された押圧ローラ15を使用すると、図5に示すような、リング状の平ローラのようなエッジ(角部)がないので、金属薄板6を基材1の表面に押圧ローラ15の曲面によって押し付けることができ、金属薄板6の表面をより滑らかに仕上ることができる。
【0036】
なお、図6では、基材1の表面2および表面3,3の縁部に金属薄板6を押え付ける押圧ローラとして、全て球状の押圧ローラ15を採用したが、押圧ローラ15と前記押圧ローラ10とを混在させてもよい。例えば、図6(a)〜(c)までの工程では、押圧ローラ15を使用し、図6(c)または図6(d)より後の工程では、押圧ローラ10を使用してもよい。
【0037】
また、本実施の形態では、長尺な基材1の曲面2に金属薄板6を被覆する場合を例にとって説明した、本発明では、基材の平らな表面に金属薄板6を被覆する場合や、長尺でない基材の表面に金属薄板6を被覆する場合にも適用できる。
さらに、本実施の形態では、ラッピング装置に複数の押圧ローラ10や押圧ローラ15を配置して、これら押圧ローラ10や押圧ローラ15によって、金属薄板6を基材1の表面に被覆したが、本発明はこれに限ることなく、押圧ローラを金属薄板6の表面を移動させながら該表面を基材1の表面に押し付けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 基材
2 曲面(表面)
3,3 表面
5 溝
6 金属薄板
10,15 押圧ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の基材の表面に金属製の金属薄板を被覆する金属薄板被覆方法において、
前記基材の表面に、この表面に開口し、かつ端部が前記基材の表面と交差する面に開口する溝を形成し、
この溝が形成された前記基材の表面に、金属薄板を押圧ローラで押し付けることによって被覆することを特徴とする金属薄板被覆方法。
【請求項2】
請求項1に記載の金属薄板被覆方法において、
前記溝の溝幅が0.1〜4.0mmであることを特徴とする金属薄板被覆方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の金属薄板被覆方法において、
前記金属薄板の板厚が0.01〜0.1mmであることを特徴とする金属薄板被覆方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の金属薄板被覆方法において、
前記基材の表面に、金属薄板を押圧ローラで押し付けるに際し、
前記基材の表面に開口する溝上に位置する金属薄板の部位を、前記押圧ローラで押し付けないことを特徴とする金属薄板被覆方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の金属薄板被覆方法において、
前記押圧ローラが球状に形成されていることを特徴とする金属薄板被覆方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−269325(P2010−269325A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−121689(P2009−121689)
【出願日】平成21年5月20日(2009.5.20)
【出願人】(307042385)ミサワホーム株式会社 (569)