説明

金属製手工具及びその製造方法

【課題】 特に表示効果に優れると共に、長時間に亘って表示効果を維持することができる金属製手工具及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 本体を有し、該本体の表面にプリント層が設けられると共に、該プリント層の範囲内に透かし彫り部が設けられ、該透かし彫り部の表面及び本体の表面における、プリント層以外の部分にメッキ層が設けられ、該メッキ層の表面は、プリント層の表面から突出することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に表面に図形や文字が付された金属製手工具及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、ボックスレンチやスパナ、モンキーレンチ、ラチェットレンチ、ドライバーなど日常生活で用いられる手工具の表面には通常、その商標や規格が一目で分かるように、図形や文字などが付されている。
また、一般にそのような図形や文字などを付す方法は2つあり、1つ目は、手工具を鋳造または鍛造加工する時、手工具の表面を凹凸状にし、図形や文字などを形成した後、その上から手工具をメッキする方法であり、2つ目は、手工具をメッキしてから、該手工具の表面に図形や文字などをカラー印刷する方法である。
尚、このような手工具及びその製造方法は、一般によく使用されるものであるため、特に特許文献又は非特許文献には記載されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記第1の方法では、メッキした手工具が全体的に同一色であることから、表面に付した図形や文字などを強調することができないと言った問題があった。一方、前記第2の方法においては、メッキした手工具の表面が極めて滑らかであることから、印刷された図形や文字などがきちんと付着してないので、使用時における磨耗などにより脱落する恐れが有った。このように、前記従来の2つの方法には、明らかに欠点があるので、更に改良する余地が有る。
【0004】
そこで、出願されたのが本発明であって、表面に付した図形や文字などをより強調することができると共に、該表面に付した図形や文字などが容易に脱落しない金属製手工具及びその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の請求項1の発明は、本体を有し、該本体の表面にプリント層が設けられると共に、該プリント層の範囲内に透かし彫り部が設けられ、該透かし彫り部の表面及び本体の表面における、プリント層以外の部分にメッキ層が設けられ、該メッキ層の表面は、プリント層の表面から突出することを特徴とする金属製手工具、を提供する。
本願の請求項2の発明は、
手工具の本体を製造するステップと、
前記本体の表面における所定の区域にカラー印刷を施すことによりプリント層を形成すると共に、該プリント層の一部に図形や文字の透かし彫り部を設けるステップと、
前記透かし彫り部の表面及び本体の表面における、プリント層以外の部分に電気メッキを施すことによりメッキ層を設けるステップとを含むことを特徴とする金属製手工具の製造方法、を提供する。
本願の請求項3の発明は、前記カラー印刷が単色印刷であることを特徴とする請求項2に記載の金属製手工具の製造方法、を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る金属製手工具は、プリント層と、図形や文字などを形成する透かし彫り部とを有することから、該図形や文字とプリント層とをはっきりと区別することができるので、優れた表示効果を提供できる。また、メッキする前に、成型し立ての手工具のきめの粗い表面にカラー印刷を施すことから、顔料が確実に手工具の表面に印刷されるので、脱落しにくい。さらに、前記透かし彫り部に設けられるメッキ層は、顔料より脱落しにくいので、透かし彫り部に形成された図形や文字などによる表示効果を長時間に亘って維持することができる。その上、前記メッキ層が3層設けられている時は、前記カラー印刷が施されたプリント層が立体的に見えるので、図形や文字などの表示効果を更に高めることができる。尚、本発明においては、前記金属製手工具の製造方法も提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。尚、下記実施例は、本発明の好適な実施の形態を示したものにすぎず、本発明の技術的範囲は、下記実施例そのものに何ら限定されるものではない。
【0008】
図1は本発明に係る金属製手工具の製造方法のフローチャートであり、図2はボックスレンチを例に、本発明に係る金属製手工具の製造の流れを示す斜視図であり、図3は本発明に係る金属製手工具の部分拡大断面図である。
【0009】
図1及び図2に示すように、本発明の金属製手工具の製造方法は通常、例えばボックスレンチなどの手工具を製造する時に用いられるが、それらの手工具に限られるものではなく、それ以外のスパナやドライバーなどの金属製手工具を製造する時にも用いることができる。
【0010】
本発明に係る金属製手工具の製造方法は、
1.鋳造や鍛造などの方法により手工具の本体(10)を製造するステップと、
2.前記本体(10)の表面における所定の区域に、例えば単色印刷または多色印刷方式を用いてカラー印刷を施すことによりプリント層(20)を形成すると共に、該プリント層(20)の一部に図形や文字の透かし彫り部(21)を設けるステップと、
3.前記透かし彫り部(21)の表面及び本体(10)の表面における、プリント層(20)以外の部分に電気メッキを施すことによりメッキ層(30)を設けるステップとを有する。尚、前記カラー印刷ステップにおいて用いられた顔料は絶縁体であるので、本体(10)の表面に電気メッキを施してメッキ層(30)を形成する時、該メッキ層(30)は、プリント層(20)に付着せず、透かし彫り部(21)の表面及び本体(10)の表面における、プリント層(20)以外の部分に付着することから、本体(10)の表面を保護すると共に、カラー印刷されたプリント層(20)とはっきりと区別することができる。
【0011】
さらに、前記電気メッキ工程を複数回(例えば、三回)行って複数層のメッキ層(30)を設ければ、その複数層のメッキ層(30)が本体(10)の表面及び透かし彫り部(21)の表面から盛り上がって立体的に見えるので、図形や文字の表示効果をさらに向上させることができる。
【0012】
また、図3に示すように、本発明に係る金属製手工具は、本体(10)の表面にプリント層(20)が設けられると共に、該プリント層(20)に透かし彫り部(21)が設けられ、該透かし彫り部(21)の表面及び本体(10)の表面における、プリント層(20)以外の部分にメッキ層(30)が設けられるものであり、該メッキ層(30)の表面は、プリント層(20)の表面から盛り上がることが好ましいが、プリント層(20)の表面より低くても、或いはプリント層(20)の表面と同一平面上にであっても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明は上記の構成を有するので、表示効果に優れると共に、長時間に亘って表示効果を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る金属製手工具の製造方法を示すフローチャートである。
【図2】本発明に係る金属製手工具の製造の流れを示す斜視図である。
【図3】本発明に係る金属製手工具の部分拡大断面図である。
【符号の説明】
【0015】
(10)本体
(20)プリント層
(21)透かし彫り部
(30)メッキ層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体を有し、該本体の表面にプリント層が設けられると共に、該プリント層の範囲内に透かし彫り部が設けられ、該透かし彫り部の表面及び本体の表面における、プリント層以外の部分にメッキ層が設けられ、該メッキ層の表面は、プリント層の表面から突出することを特徴とする金属製手工具。
【請求項2】
手工具の本体を製造するステップと、
前記本体の表面における所定の区域にカラー印刷を施すことによりプリント層を形成すると共に、該プリント層の一部に図形や文字の透かし彫り部を設けるステップと、
前記透かし彫り部の表面及び本体の表面における、プリント層以外の部分に電気メッキを施すことによりメッキ層を設けるステップとを含むことを特徴とする金属製手工具の製造方法。
【請求項3】
前記カラー印刷が単色印刷であることを特徴とする請求項2に記載の金属製手工具の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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