説明

金属調文字板及び当該金属調文字板の製造方法

【課題】金属感を演出できる金属調文字板を安価に提供することを課題とする。
【解決手段】樹脂製の文字板本体71上に表面処理により金属層72が形成されている。文字板本体71の正面には、指針の回転軸を中心とした円状又は円弧状の第2意匠面71dと、第2意匠面71dの外側及び内側を縁取るように連接され、第2意匠面71dから離れるに従って徐々に背面に向かうような第1内側傾斜面71e及び外側傾斜面71fと、が設けられ、これら第1内側傾斜面71e及び外側傾斜面71fが、平滑面に設けられている。そして、この第1内側傾斜面71e及び外側傾斜面71fを除いた部分が、平滑面よりも表面粗さが粗い複数の凹凸が形成された凹凸面に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属調文字板及び当該金属調文字板の製造方法に係り、特に、金属感を演出する金属調文字板及び当該金属調文字板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上述した金属調文字板として例えば特許文献1に記載された表示板が記載されている。
この表示板は、ステンレスやアルミニウムなどの金属から構成されていて、その正面には指針の回転軸を中心としたスピン状の筋目模様が設けられている。また、表示板には、背面に配置された表示器を露出する開口部が設けられ、その開口部の周縁には筋目模様を形成していないテーパ面が設けられている。そして、このテーパ面に金属調の縁取りが形成されている。
【0003】
上記特許文献1記載の表示板によれば、筋目模様と金属調の縁取りとの対比により高級感、金属感を演出することができる。しかしながら、特許文献1に記載された表示板は、ステンレスやアルミニウムなどの本物の金属板から形成されているため、筋目模様と金属調縁取りとを設けるために、金属板一枚一枚を機械加工でカットする必要があり、コスト的に問題があった。
【0004】
また、金属感を演出する文字板として例えば特許文献2に記載されたものが記載されている。この文字板は、透光性を有するポリカーボネイトなどの樹脂で構成されていて、指針の回転範囲に対応するような円状の平面部と、平面部の外側に連接された傾斜部と、が設けられている。そして、この平面部と傾斜部との連接部である折曲部を発光させるように文字板に遮光印刷を施すことにより、金属エッジ感を演出している。
【0005】
しかしながら、特許文献2に記載された文字板は、折曲部を発光させて金属エッジ感を演出しているだけに過ぎず、金属感を再現することが難しい、という問題があった。また、昼間に折曲部を発光させても目立たないため、昼間は金属エッジ感を演出できない、という問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−241565号公報
【特許文献2】特開2007−51938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、金属感を演出できる金属調文字板を安価に提供することを課題とする。また、金属感を演出できる文字板を安価に製造できる金属調文字板の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するための請求項1記載の発明は、金属感を演出する金属調文字板において、表面に平滑面及び前記平滑面よりも表面粗さが粗い複数の凹凸が形成された凹凸面が設けられた樹脂製の文字板本体と、前記文字板本体の前記平滑面及び前記凹凸面上に表面処理により形成された金属層と、を備えたことを特徴とする金属調文字板に存する。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記文字板本体の正面には、指針の回転軸を中心とした円状又は円弧状の面と、前記円状又は円弧状の面の外側又は内側を縁取るように連接され、前記円状又は円弧状の面から離れるに従って徐々に背面に向かうような傾斜面と、が設けられ、前記傾斜面が、前記平滑面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の金属調文字板に存する。
【0010】
請求項3記載の発明は、前記傾斜面と前記傾斜面に隣り合う面との接続部の半径が、0.2mm以下に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の金属調文字板に存する。
【0011】
請求項4記載の発明は、前記文字板本体の平滑面の表面粗さが2μm以下に形成されていることを特徴とする請求項1〜3何れか1項に記載の金属調文字板に存する。
【0012】
請求項5記載の発明は、金属感を演出する金属調文字板を製造する方法であって、平滑面及び前記平滑面よりも表面粗さが粗い複数の凹凸が形成された凹凸面が設けられた金型を用いて、平滑面及び前記平滑面よりも表面粗さが粗い複数の凹凸が形成された凹凸面が設けられた文字板本体を樹脂成型により製造し、前記文字板表面の前記平滑面及び前記凹凸面上に表面処理により金属層を設けることを特徴とする金属調文字板の製造方法に存する。
【0013】
請求項6記載の発明は、前記文字板本体の正面には、指針の回転軸を中心とした円状又は円弧状の平面と、前記平面の外側又は内側を縁取るように連接され、前記平面から離れるに従って徐々に背面に向かうような傾斜面と、が設けられ、前記傾斜面が、前記平滑面に設けられている金属調文字板を製造する方法であって、前記金型が、前記傾斜面とこの傾斜面に隣り合う面とが別々の金型で形成されるように分割して設けられていることを特徴とする請求項5に記載の金属調文字板の製造方法に存する。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように請求項1記載の発明によれば、文字板本体を樹脂製にしてその表面に平滑面及び凹凸面を設け、文字板本体の平滑面及び凹凸面に表面処理により金属層を形成することにより、金属板を加工することなく、平滑面及び凹凸面を形成した金属調文字板を製造でき、金属感を演出できる金属調文字板を安価に提供できる。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、文字板本体には、円状又は円弧状の面とこの円状又は円弧状の面の外側又は内側を縁取る傾斜面とが設けられ、傾斜部が、平滑面に設けられているので、円状又は円弧状の面の外側又は内側の縁が光り、より一層金属感を高めることができる。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、傾斜面と傾斜面に隣り合う面との接続部の半径が0.2mm以下に形成されているので、接続部の見た目が、金属塊を切削加工して傾斜面を設けた金属文字板の接続部と同じ程度となり、高級感を高めることができる。
【0017】
請求項4記載の発明によれば、平滑面の表面粗さが2μm以下に形成されているので、光沢感が出てより一層金属感を高めることができる。
【0018】
請求項5記載の発明によれば、文字板本体を樹脂製にしてその表面に平滑面及び凹凸面を設け、文字板本体の平滑面及び凹凸面に表面処理により金属層を形成することにより、金属板を加工することなく、平滑面及び凹凸面を形成した金属調文字板を製造でき、金属感を演出できる金属調文字板を安価に製造することができる。
【0019】
請求項6記載の発明によれば、金型が、傾斜面とこの傾斜面に隣り合う面とが別々の金型で形成されるように分割して設けられているので、傾斜面とこの傾斜面に隣り合う面との接続部の半径をほぼ0とすることができ、金属調文字板の高級感を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の金属調文字板を組み込んだコンビネーションメータの正面図である。
【図2】図1のI−I線断面図である。
【図3】図1に示すコンビネーションメータを構成する金属調文字板の正面図である。
【図4】図3のII−II線断面図である。
【図5】表面粗さを説明するための説明図である。
【図6】(A)は図4に示す第1内側傾斜面と第2意匠面及び内側面との接続部の部分拡大図であり、(B)は図4に示す外側傾斜面と第2意匠面及び外側面との接続部の部分拡大図である。
【図7】(A)及び(B)は従来の傾斜面を有する金属調文字板の製造方法を説明するための図であり、(C)は(B)のIII−III線断面図である。
【図8】図1に示す金属調文字板を製造する方法を説明するための説明図である。
【図9】他の実施形態における金属調文字板を製造する方法を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の金属調文字板を組み込んだコンビネーションメータについて図1〜図4を参照して説明する。図1は、本発明の金属調文字板を組み込んだコンビネーションメータの正面図である。図2は、図1のI−I線断面図である。図3は、図1に示すコンビネーションメータを構成する金属調文字板の正面図である。図4は、図3のII−II線断面図である。
【0022】
本発明の一実施形態にかかる金属調文字板は、図1に示すコンビネーションメータに用いられる。コンビネーションメータ1は、自動車等の移動体に搭載され、移動体の乗員に対して当該移動体の状況を表示する装置である。
【0023】
コンビネーションメータ1は、図1及び図2に示すように、ケース2と、表示計器3と、配線板4と、見返し5と、表ガラス6と、を備えている。上記ケース2は、合成樹脂で構成され、図2に示すように、略筒状のケース本体21と、ケース本体21の背面側の開口を塞ぐ裏カバー22と、を備えている。このケース2内には、後述する表示計器3や配線板4などが収容されている。
【0024】
上記表示計器3は、例えば、図1に示すように、車両の速度を表示するスピードメータ3aと、エンジンの回転数を表示するタコメータ3bと、水温を表示する水温メータ3cと、燃料残量を表示する燃料メータ3dと、を備えている。これらメータ3a〜3dは各々、図2に示すように、金属調文字板7と、指針8と、ムーブメント9と、LED10と、を備えている。
【0025】
次に、スピードメータ3a及びタコメータ3bで用いられる金属調文字板7について図3及び図4を参照して説明する。スピードメータ3aとタコメータ3bとの金属調文字板7は互いに略同等の構成であるので、タコメータ3bの金属調文字板7を代表して説明する。
【0026】
同図に示すように、上記金属調文字板7は、円盤状の文字板本体71と、文字板本体71の正面に設けられた金属層72と、を備えている。上記文字板本体71は、アクリル、ポリカーボネイトなどの透明な合成樹脂で構成されていて、その中心に後述するムーブメント9の回転軸を通す貫通孔71a(図3)が形成されている。
【0027】
この文字板本体71の正面には、貫通孔71aを中心とした円状(リング状)の凸部71bが設けられている。この凸部71bは、文字板本体71の外縁よりも内側に設けられている。また、文字板本体71の正面には、第1意匠面71cと、第2意匠面71dと、第1内側傾斜面71eと、外側傾斜面71fと、内側面71gと、外側面71hと、第2内側傾斜面71iと、外縁面71jと、が設けられている。
【0028】
上記第1意匠面71cは、凸部71bに囲まれた平面に形成されていて、後述する金属層72によって目盛意匠71k(図3)が形成されている。上記第2意匠面71dは、凸部71bの上面に第1意匠面71cとほぼ平行な面に形成されていて、後述する金属層72によって数字意匠71l(図3)が形成されている。この第2意匠面71dは、凸部71bの上面に設けられていることからも明らかなように、指針8の回転軸を中心とした円状であり、請求項中の平面に相当する。
【0029】
上記第1内側傾斜面71eは、上記第2意匠面71dの内側を縁取るように連接され、第2意匠面71dから離れるに従って背面に向かうような傾斜面に形成されている。上記外側傾斜面71fは、第2意匠面71dの外側を縁取るように連接され、第2意匠面71dから離れるに従って背面に向かうような傾斜面に形成されている。この第1内側傾斜面71e及び外側傾斜面71fが、請求項中の傾斜面に相当する。上記内側面71gは、凸部71bの内側面であり、第1内側傾斜面71eの内側に連接され、第1、第2意匠面71c、71dと垂直な面に形成されている。
【0030】
上記外側面71hは、凸部71bの外側面であり、外側傾斜面71fの外側に連接され、第1、第2意匠面71c、71dと垂直な面に形成されている。上記第2内側傾斜面71iは、上記内側面71gと第1意匠面71cとの間に設けられ、第2意匠面71dから離れるに従って背面に向かうような傾斜面に形成されている。上記外縁面71jは、外側面71hの外側に連接され、第1意匠面71cと同一面上に形成されている。
【0031】
上記文字板本体71の第1内側傾斜面71e及び外側傾斜面71fは、表面粗さRaが2μm以下の平滑面に設けられている。ここで表面粗さRaは、図5に示すように、凹凸の凹部を図中点線で示すように中心線Lcで折り返し、このときの凸部と点線で示す折り返された凹部との平均Laveと中心線Lcとの距離で表される。
【0032】
また、上記文字板本体71の第1内側傾斜面71e及び外側傾斜面71fを除いた上述した第1意匠面71c、第2意匠面71d、内側面71g、外側面71h、第2内側傾斜面71i及び外側面71hには、平滑面よりも表面粗さが粗い複数の微細な凹凸が形成された凹凸面に設けられている。
【0033】
また、図6(A)に示すように、第1内側傾斜面71eと、この第1内側傾斜面71eに隣り合う第2意匠面71d及び内側面71gと、の接続部71mは、曲面となる。また、図6(B)に示すように、外側傾斜面71fと、この外側傾斜面71fに隣り合う第2意匠面71d及び外側面71hと、の接続部71nは、曲面となる。このときの角度αが小さいほど第2意匠面71dとの対比が明確になり、一層高級感を増す。また、接続部71m、71nの半径Rは、金型で形成できる限界値まで小さくした方が、接続部71m、71nの幅が小さくなり、一層高級感を増すことができる。本実施形態では、接続部71m、71nの半径Rは0.2mm以下に設けられている。
【0034】
ところで、図7に示すように、従来のように金属塊13を切削加工することで傾斜面13aを設けた場合、接続部13bは曲面に形成されない。上述したように接続部71m、71nの半径Rを0.2mm以下に設けることにより、接続部71m、71nの見た目が、図7に示すように、金属塊13を切削加工して傾斜面13aを設けた金属文字板の接続部13bと同じ程度となり、高級感を高めることができる。
【0035】
上記金属層72は、蒸着(スパッタリングを含む)やメッキ又は塗装などの表面処理によって文字板本体71の正面に形成されている。この金属層72の厚さは、凹凸面の高さ(凸部の頂部と凹部の底部との距離)よりも薄く設けられている。このように金属層72を薄く設けることにより、文字板本体71の凹凸面上に設けられた金属層72も凹凸となり、金属板に凹凸面を設けたものと同じように見える。この金属層72は、第1意匠面71cでは目盛意匠71kを除いた形成され、第2意匠面71dでは数字意匠71lを除いて形成されている。これにより、金属調文字板7の背面からLED10の光を入射すると、目盛意匠71k及び数字意匠71lが光輝する。
【0036】
上記水温メータ3c及び上記燃料メータ3dの金属調文字板7は、上述したスピードメータ3a及びタコメータ3bの金属調文字板7と同じように構成してもよいし、凸部71bを設けずに、平坦な文字板本体71の正面に意匠部分が切り抜かれた金属層72を設けるだけでもよい。
【0037】
また、上記配線板4は、後述するムーブメント9やLED10、これらを制御するマイコン(図示せず)などの電子部品が搭載されている。見返し5は、ケース本体21の正面側に取り付けられている。見返し5は、上述した金属調文字板7を乗員に対して露出する複数の露出窓が形成され、金属調文字板7以外を乗員に対して遮蔽する。表ガラス6は、透光性を有した合成樹脂で構成され、見返し5の開口を覆ってコンビネーションメータ1内に埃などが進入することを防止する。
【0038】
上記指針8は、後述する金属調文字板7の正面に設けられ、速度、回転数、水温、燃料残量をそれぞれ指示する。LED10は、配線板4上に配置されていて、金属調文字板7の背面から光を入射する。ムーブメント9は、周知のステッピングモータから構成され、後述する指針8を回転させる。
【0039】
次に、上述した金属調文字板7の製造方法について図8を参照して説明する。まず、第1金型11及び第2金型12を用いて文字板本体71を樹脂形成する。第1金型11は、文字板本体71の正面側形成する金型であり、第1内側傾斜面71e及び外側傾斜面71fを形成する部分は、磨いて表面粗さRaが2μm以下の平滑面に形成されている。
【0040】
また、第1金型11の第1意匠面71c、第2意匠面71d、内側面71g、外側面71h、第2内側傾斜面71i及び外側面71hを形成する部分は、シボ加工などを施して凹凸面に設けられている。これにより、第1金型11の平滑面及び凹凸面が文字板本体71に転写され、文字板本体7に平滑面及び凹凸面が形成される。その後、表面処理により金属層72を形成して完成する。
【0041】
上述した金属調文字板7によれば、文字板本体71を樹脂製にしてその表面に平滑面及び凹凸面を設け、文字板本体71の鏡面及び凹凸面に表面処理により金属層72を形成することにより、金属板を加工することなく、平滑面及び凹凸面を形成した金属調文字板7を製造でき、金属感を演出できる金属調文字板7を安価に提供できる。また、照明を当てなくても金属感を演出することができる。
【0042】
また、上述した金属調文字板7によれば、文字板本体71には、円状の第2意匠面71dと、第2意匠面71dの外側及び内側を縁取る外側傾斜面71f及び第1内側傾斜面71eと、が設けられ、外側傾斜面71f及び第1内側傾斜面71eが、平滑面に設けられているので、第2意匠部71dの外側及び内側の縁が光り、より一層金属感を高めることができる。
【0043】
また、上述した金属調文字板7によれば、接続部71m、71n(図6参照)の半径が0.2mm以下に形成されているので、接続部71m、71nの見た目が、図7に示す金属塊13を切削加工して傾斜面13aを設けた金属文字板の接続部13bと同じ程度となり、高級感を高めることができる。
【0044】
また、上述した金属調文字板7によれば、平滑面の表面粗さが2μm以下に形成されているので、光沢感が出てより一層金属感を高めることができる。
【0045】
また、上述した金属調文字板7によれば、凹凸面が設けられた第1意匠面71c及び第2意匠面71dに目盛意匠71kや数字意匠71lが形成されている。平滑面上に形成された金属層72は鏡面となり光の反射が強いため、西日などの強い光がコンビネーションメータ1内に直接入射した場合、その鏡面に目盛意匠71k及び数字意匠71lに設けると鏡面の反射により表示値を瞬時に認識できないことがあるが、これを防ぐことができる。
【0046】
また、上述した金属調文字板7は、樹脂成形品に表面処理で金属層72を設けたものであるから、例えば、手で触った場合、金属特有の冷ややかさを感じない(熱伝導率の違いによる)。従って、見た目には金属感を高めることができるが、実際に手で触れると金属感が無くなり、高級感が薄れることがある。本実施形態によれば、表ガラス6でカバーされたケース2内に金属調文字板7が収容されているため、実際に手で触ることができないので、金属感が薄れるのを防止することができる。
【0047】
なお、上述した実施形態によれば、文字板本体71には、シボ状の凹凸面を設けていたが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、スピンヘアライン状などの凹凸を設けてもよい。
【0048】
また、上述した実施形態によれば、第1金型11にシボ加工を施して凹凸面を設けていたが、本発明はこれに限ったものではない。磨いて形成された平滑面よりも表面粗さが粗ければシボ加工を施さなくてもよい。
【0049】
また、上述した実施形態では、一つの第1金型11で凸部71bを形成していたが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、図9に示すように、第1金型11を複数の金型11a〜11eに分割して、平滑面が形成される第1内側傾斜面71e及び外側傾斜面71fと、これらに隣り合う第2意匠面71dや内側面71g、外側面71hとは別の金型で形成するようにしてもよい。図8に示すように一つの第1金型11で文字板本体71を形成する場合は、第1金型11の形状が簡素になりコストダウンを図ることができるが、第1金型11の掘削技術に限界があるため、接続部71m、71nの半径Rを0.2mm程度までしか小さくすることができない。
【0050】
これに対して図9に示すように、第1金型11を複数に分割して形成することにより、接続部71m、71nの半径Rをほぼ0にすることができ、より一層高級感を増すことができる。
【0051】
また、上述した実施形態では、円状の凸部71bを設け、凸部71bに第2意匠面71d(平面)及び第1内側傾斜面71e(傾斜面)を設けていたが本発明はこれに限ったものではない。凸部71bとしては、円弧状であってもよい。また、凸部71bを設けずに、文字板本体71全体を平面として、その外縁に傾斜面を設けてもよい。また、文字板本体71をリング状に設け、その外縁と内縁とに傾斜面を設けてもよい。
【0052】
また、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0053】
7 金属調文字板
71 文字板本体
72 金属層
71d 第2意匠面(平面)
71e 第1内側傾斜面(傾斜面)
71f 外側傾斜面(傾斜面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属感を演出する金属調文字板において、
表面に平滑面及び前記平滑面よりも表面粗さが粗い複数の凹凸が形成された凹凸面が設けられた樹脂製の文字板本体と、
前記文字板本体の前記平滑面及び前記凹凸面上に表面処理により形成された金属層と、
を備えたことを特徴とする金属調文字板。
【請求項2】
前記文字板本体の正面には、指針の回転軸を中心とした円状又は円弧状の面と、前記円状又は円弧状の面の外側又は内側を縁取るように連接され、前記円状又は円弧状の面から離れるに従って徐々に背面に向かうような傾斜面と、が設けられ、
前記傾斜面が、前記平滑面に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の金属調文字板。
【請求項3】
前記傾斜面と前記傾斜面に隣り合う面との接続部の半径が、0.2mm以下に形成されている
ことを特徴とする請求項2に記載の金属調文字板。
【請求項4】
前記文字板本体の平滑面の表面粗さが2μm以下に形成されている
ことを特徴とする請求項1〜3何れか1項に記載の金属調文字板。
【請求項5】
金属感を演出する金属調文字板を製造する方法であって、
平滑面及び前記平滑面よりも表面粗さが粗い複数の凹凸が形成された凹凸面が設けられた金型を用いて、平滑面及び前記平滑面よりも表面粗さが粗い複数の凹凸が形成された凹凸面が設けられた文字板本体を樹脂成型により製造し、
前記文字板表面の前記平滑面及び前記凹凸面上に表面処理により金属層を設ける
ことを特徴とする金属調文字板の製造方法。
【請求項6】
前記文字板本体の正面には、指針の回転軸を中心とした円状又は円弧状の平面と、前記平面の外側又は内側を縁取るように連接され、前記平面から離れるに従って徐々に背面に向かうような傾斜面と、が設けられ、前記傾斜面が、前記平滑面に設けられている金属調文字板を製造する方法であって、
前記金型が、前記傾斜面とこの傾斜面に隣り合う面とが別々の金型で形成されるように分割して設けられている
ことを特徴とする請求項5に記載の金属調文字板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−40773(P2013−40773A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175841(P2011−175841)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】