説明

金属酸化物/水酸化物材料

この発明は、外部環境への共連続性を促進するように改変された表面を含み、メソ細孔面積が大きい、金属酸化物/水酸化物材料及び複合金属酸化物/水酸化物材料に関する。本発明はまた、これらの材料を製造及び使用するための方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には共連続構造を有する金属酸化物/水酸化物材料に関する。より詳しく言えば、本発明は、共連続構造を有するように改変された表面を有する金属酸化物/水酸化物又は複合金属酸化物/水酸化物材料に関する。この金属酸化物/水酸化物又は複合材料の共連続構造は、この材料の表面の外部環境への接近容易性(accessibility)を許容し、そうでなければ促進する。本発明の材料の表面の接近容易な、すなわち共連続な、性状によって、高表面積の金属酸化物/水酸化物材料が必要とされる用途でこの材料を使用することが可能となる。本発明の材料でこのような大きな表面積を生じさせる方法もまた、一般的に、メソ多孔性金属酸化物/水酸化物材料が必要とされる種々の用途においてこれらを有用とせしめる有益なメソ多孔特性をもたらす。本発明の金属酸化物/水酸化物材料は、例えばSO2、NO及びHClの除去における、触媒として、エネルギーの生成及び貯蔵において、例えばスーパーキャパシタの製造において又は電極及び燃料電池の製造で、水処理において、例えば有機化学種、バクテリア、ウイルス、重金属及び他の汚染物質を除去するための水の濾過で、溶液から金属イオンを除去するなどの分離プロセスにおいて、あるいは金属酸化物ナノ粒子作製のテンプレートとして、使用することができる。本発明は更に、これらの金属酸化物/水酸化物及び複合金属酸化物/水酸化物材料の生成方法、及び上述したもののような用途におけるこれらの使用を提供する。
【背景技術】
【0002】
本明細書におけるいずれかの従来技術への言及は、この従来技術がオーストラリア又は任意の他国において共通の一般的知識の一部を形成するということを認めるものでなく、あるいはそれをいかなる形にせよ示唆するものでなく、またそれを認めあるいは示唆するものと解すべきでない。
【0003】
本明細書で言及する刊行物の文献目録の詳細は本明細書の終わりに集められている。
【0004】
メソ多孔性金属酸化物/水酸化物及び複合金属酸化物/水酸化物材料、例えば活性炭/金属酸化物複合材料、活性炭/金属酸化物及びメソ多孔性シリカ/金属酸化物などは、水処理及び分離プロセスから化学反応又は毒性ガス除去用の触媒、及び例えばスーパーキャパシタの製造におけるような、エネルギーの生成及び貯蔵用途、そして燃料電池で使用されるものなどの電極の製造までの範囲にわたる多数の用途を有する。
【0005】
従来技術には、これらの材料を製造及び使用するための種々の方法が記載されているが、これらの方法は達成することができる材料の重量当たりの表面積に関して制限されている。
【0006】
水処理で使用するための磁気的性質を有する複合活性炭/酸化鉄材料の製造が、Oliviera, Luiz C. A.; Rios, Rachel V. R. A.; Fabris, Jose D.; Garg, V.; Sapag, Karam; Lago, Rochel M. Carbon 40:2177−2183, 2002に記載されている。この方法は、高温のFeCl3とFeSO4の溶液に活性炭を懸濁させ、続いて大過剰(中性溶液を与えるのに必要とされる化学量論的な比の4〜5倍より過剰)の水酸化ナトリウムにより処理して、磁性鉄酸化物のマグネタイト及びマグヘマイトを沈澱させることを包含する。次に、これらの酸化物を取得し、オーブン中で乾燥して、BETにより求めて658m2/gの表面積を有する複合材料を製造する。この鉄酸化物材料をこの活性炭の不存在下で製造した場合には、得られる表面積は66m2/gに過ぎない。
【0007】
Perez−Maqueda, Luis A.; Criado, Jose Manuel; Real, Concepcion; Balek, Vladimir; Subrt, Jan. Journal of the European Ceramic Society, 22:2277−2281(2002)には、一定速度の熱分析装置を用いてゲーサイトを熱分解にかけることによる、多孔性ヘマタイトの製造が記載されている。この多孔性ヘマタイト生成物は表面積が小さく、85m2/gが達成された最高値であった。
【0008】
Schwickardi, Manfred; Jaohann, Thorsten; Schmidt, Wolfgang; Schuth, Ferdi, Chem.Mater. 14:3913−3919(2002)には、活性炭を用いる高表面積の酸化物の製造が記載されている。これらの材料は、活性炭を金属硝酸塩と一緒にし、この混合物を高温で短時間焼成にかけることにより製造された。Fe(NO33を使用する場合には、焼成を450℃で1時間行った。この材料についてこの方法により達成可能な最良の表面積は123m2/gであった。
【0009】
Tseng, Hui−Hsin; Wey, Ming−Yen, Liang,Yu−Shen; Chen, Ke−Hao, Carbon 41:1079−1085(2003)には、活性炭に担持された金属酸化物を用いて焼却炉煙道ガスから触媒作用によりのSO2、NO及びClを除去することが記載されている。これらの材料は、前処理した活性炭材料に亜硝酸塩の水溶液を含浸し、続いて撹拌及び加熱して、この液体の大部分を除去することにより製造された。次に、含浸された活性炭を乾燥し、続いて高温(500℃)で4時間焼成した。Fe23については、この複合材料に対して得られた最良の表面積は897m2/gであった。この材料はまた、メソ多孔性体積が0.0503cm3/gと小さかった。
【0010】
Ching−Chen Hung(米国特許第5948475号明細書及び第5876687号明細書)は、グラファイト酸化物を金属塩化物に暴露して金属、酸素及び塩素元素を含む中間体の炭素質生成物を生成することを包含する、種々の金属酸化物、金属及び複合材料の製造方法を記載している。次に、この生成物を処理して、塩素及び/又は炭素を除去する。この後者の処理は、250℃以上の温度まで加熱することを必要とする。これらの方法を用いて達成される表面積が極めて低いということは明細書に提示されているデータから明らかである。
【0011】
Ohらの国際公開第01/89991号パンフレットには、メソ多孔性炭素材料、炭素/金属酸化物複合材料の製造及びそれから製造される電気化学キャパシタが記載されている。金属酸化物含有材料についての表面積データは提示されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明において、高表面積及び/又は高メソ細孔面積を有し、多数の重要な用途においてそれらを特に有用とせしめる新しい金属酸化物/水酸化物及び金属酸化物/水酸化物複合材料が特定された。従来技術の方法と比較して安価な材料と比較的低い温度を用いて行うことができるこれらの材料の生成方法も特定された。これらの方法を使用して、従来技術の材料よりも外部環境と連続する表面積がより大きい金属酸化物/水酸化物及び金属酸化物/水酸化物複合材料を製造することができる。このような状態をここでは「共連続」と呼ぶ。
【0013】
本明細書と特許請求の範囲を通して、文脈上別に必要としない限り、「含む」という用語は、明示された完全なもの(integer)もしくは工程(step)、又は完全なものもしくは工程の群を含むことを意味するが、任意の他の完全なものもしくは工程、又は完全なものもしくは工程の群を除外しないことが理解されよう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、一般的には、共連続構造及び他の特性を有する金属酸化物水酸化物及び複合金属酸化物水酸化物材料の生成に関する。詳しく言えば、本発明は、共連続構造を有する金属酸化物水酸化物及び複合金属酸化物水酸化物材料を提供するが、ここで「共連続(co−continuous)」とは、材料の表面の外部環境への接近容易性(accessibility)が促進されるという意味である。この共連続性は、一般に様々な細孔により又は細孔様構造により達成可能である。細孔又は細孔様構造は単独に存在してもよく、あるいは各多孔性領域が多数の細孔又は細孔様構造を含んでもよく、その結果外部環境と共連続性である潜在的に広大な表面をもたらすことができる。
【0015】
表面の外部環境への接近容易性(すなわち共連続性)は、化学的及び電気化学的なプロセスの間、及び分離用途と吸着用途において、物質との接触を容易にする。
【0016】
従って、本発明は、外部環境への共連続性を促進にするように改変された表面を含む金属酸化物/水酸化物又は複合金属酸化物/水酸化物材料を提供する。
【0017】
本発明による好ましい方法において、この金属酸化物/水酸化物材料は、金属塩を塩基により処理して金属酸化物/水酸化物を沈澱させ、続いて外部環境への共連続性を促進する表面を有する材料を生成させる条件下で溶媒除去を行うことにより製造される。溶媒除去の条件は、任意の金属水酸化物を金属酸化物に変えることもできる。溶媒除去に続き、固形残留物を処理して、残存する塩をいずれも除去する。
【0018】
従って、本発明は、外部環境への共連続性を促進するように改変された表面を持つ金属酸化物/水酸化物材料の生成方法であって、水性媒体中で金属酸化物/水酸化物を沈澱させるのに十分な時間そのために十分な条件下で水性媒体中において金属塩を塩基により処理すること、水性媒体から水を蒸発により除去して固形残留物を得ること、及びこの固形残留物から塩を除去して、それにより外部環境への共連続性を促進するように改変された表面を持つ金属酸化物/水酸化物材料を生成させることを含む生成方法を提供する。
【0019】
「金属酸化物/水酸化物」という用語は、単一の金属酸化物、金属酸化物の混合物、単一の金属水酸化物、金属水酸化物の混合物、同一の又は異なる金属の金属酸化物と水酸化物の混合物、そしてまたオキシ水酸化物及びこれらの混合物を指すと理解されるべきである。金属材料が酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物又は混合物の形であるかどうかは、金属の性質と、製造時あるいは製造後に金属塩及び水酸化物がさらされる条件に必然的に依存する。水性媒体中での金属塩と塩基との反応は、一般に、金属の水酸化物を生成する。しかしながら、特に水性媒体を空気にさらすと、一部の金属水酸化物は水性媒体中で対応する酸化物に容易に変化する。場合によっては、酸化物への部分的な変化が起こり、水酸化物と酸化物の混合物をもたらすことがある。2つの金属塩を塩基と接触させて両方の金属の水酸化物を生成する場合には、一方の水酸化物は酸化物に容易に転化され得るが、他方は水酸化物として残存することがある。更には、例えばFe及びTiなどの、一部の金属の水酸化物は、蒸発工程の間に水性媒体中で対応する酸化物に容易に変化する。他の水酸化物、例えばNiOHなどは、対応する水酸化物への転化を可能とするためには、過酷な条件を必要とする。「金属酸化物/水酸化物複合物」、「金属酸化物/水酸化物複合材料」及び「複合金属酸化物/水酸化物材料」という用語は、このような金属酸化物/水酸化物材料が基材材料と組み合わさったものを指すと理解されるべきである。この基材材料は、外部環境への共連続性を促進にするように改変された表面を有する基材であることができる。このような基材材料の例としては、活性化されたクロスカーボンを含めた活性炭、メソ多孔性シリカ、金属、構造化されたあるいは非構造化の合成ポリマー材料、天然バイオポリマー材料、ポリマー/無機ハイブリッド材料、他の二相系、例えばエマルジョン及びゲルなど、自己組織化構造体、例えば界面活性剤のリオトロピックメソフェースなど、製織材料、例えば多孔性の布帛及び繊維など、カーボンナノチューブ及び他の高アスペクト比材料、合成ポリマー発泡体及び無機発泡体、金属発泡体、及び生物学的に被着した有機及び無機構造体、例えば二原子骨格材料が挙げられる。
【0020】
従って、本発明は、外部環境への共連続性を促進するように改変された表面を持つ基材と、複合材料が外部環境への共連続性を維持するようにこの基材に付着(attached to)するか、その内部に結合される(bound within)か、さもなければそれと一体にされた(associated with)金属酸化物/水酸化物材料とを含む複合金属酸化物/水酸化物材料を提供する。
【0021】
本発明による好ましい方法においては、このような複合金属酸化物/水酸化物材料を、金属酸化物/水酸化物材料を外部環境への共連続性を促進するように改変された表面を持つ基材の存在下で沈澱させることにより製造する。このような基材は、本発明により製造された金属酸化物水酸化物又は複合金属酸化物水酸化物材料でもよく、あるいはメソ多孔性基材、例えば上述のような活性炭又はメソ多孔性シリカなどでもよい。
【0022】
従って、本発明は、外部環境への共連続性を促進するように改変された表面を持つ複合金属酸化物/水酸化物材料を生成する方法であって、金属酸化物/水酸化物を沈澱させるのに十分な時間及びそのために十分な条件下で、外部環境への共連続性を促進するように改変された表面を持つ基材の存在下において金属塩を水性媒体中で塩基により処理すること、水性媒体から水を蒸発により除去して、基材に付着するか、その内部に結合されるか、さもなければそれと一体にされた金属酸化物水酸化物の固形残留物を得ること、及びこの固形残留物から塩を除去して、外部環境への共連続性を促進するように改変された表面を持つ複合金属酸化物/水酸化物材料を生成させることを含む、複合金属酸化物/水酸化物材料を生成させる方法を提供する。この金属酸化物/水酸化物材料の製造に関しては、溶媒除去の条件が任意の金属水酸化物を金属酸化物に変えることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明は、一つには、共連続構造及び他の特性を有する金属酸化物/水酸化物及び複合金属酸化物/水酸化物材料の生成について記載される。これらの材料は、外部環境に自由に接近可能な、すなわち共連続な、広大な表面領域を有する。
【0024】
この文脈で「外部環境」とは、例えば材料の表面と反応又は相互作用又は結合するか、あるいは材料の表面と電子を授受する能力のある実在物を含む周囲の溶媒、溶液又は他の液体、ゲル、真空又はガス状環境を包含する。
【0025】
溶媒は、反応物を液体媒体に溶解、懸濁あるいは分散させる任意の液体相である。溶媒としては、限定するわけではないが、極性あるいは非極性の、プロトン性あるいは非プロトン性の溶媒、例えば炭化水素(例として、石油エーテル、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン)、塩素化溶媒(例として、ジクロロメタン、四塩化炭素)、及びフッ素化あるいは臭素化溶媒を含めた他のハロゲン化溶媒、ジアルキルエーテル(例として、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン)、アルコール(例として、メタノール、エタノール、プロパノール及びブタノール)、アセトニトリル、エチルアセテート、及び緩衝液又は単なる水だけを含めた水性媒体が挙げられる。溶媒は溶媒混合物であることもできる。
【0026】
外部環境には、他の液体環境、例えば川、貯槽等、工業廃水、病院廃水、家庭廃水又は工業プロセス水からの、原水のようなものなども含めることができる。この液体は、工業プロセスで使用された他の液体物質であることもできる。この液体物質(又はゲル)は、電解槽、電池、キャパシタなどに使用される電解質溶液であることもできる。
【0027】
外部環境は、ガス状環境、例えば不活性ガス、例として窒素雰囲気であることができ、あるいは空気、排出ガス、燃焼エンジン又は工業的プロセスガス、蒸気など、工業用発酵工程又は下水からの、あるいは植物及び動物から発散/放出される生物学的に生成したガス、例えばCO2、メタンなど、であることができる。
【0028】
本発明による金属酸化物水酸化物及び金属酸化物水酸化物複合材料は、球、棒、シート、ブロック、繊維、ディスク、カプセル、網状組織、織物、又は生物学的に被着した複雑な構造体、例えば二原子骨格材料など、の形のものであることができる。材料の形状は、その材料の製造に使用される装置により決定することができ、あるいは作製した材料を作製後に形状を変えるかより正確にする処理にかけることができる。材料の形状は、複合金属酸化物材料の場合に使用される基材材料の形状により決定されることもある。特に好ましい形状は、意図された目的のために材料の活性を増進させるものである。
【0029】
塩基により加水分解されて金属酸化物/水酸化物を生成する金属塩は、塩基での処理によって不溶性の酸化物/水酸化物に変えることができるいずれの水溶性金属塩であってもよい。所望の酸化物水酸化物材料の性状に応じて、異なる金属の塩の混合物を含めて、塩の混合物を使用してもよい。これは混合金属酸化物/水酸化物材料を生成することができる。好適な金属塩の例としては、遷移金属(dブロック)元素、例えばチタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、銀、銅、亜鉛、水銀、カドミウム、タングステン、ランタン及び金などの、ランタノイド系列の遷移金属(fブロック)、例えばセリウム、プラセオジム及びネオジムなどの、及びアクチノイド系列、例えばウラン、トリウム、ネプツニウム、プルトニウム及びアメリシウムなどの、そしてまたsブロックの金属元素、例えばベリリウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム、セシウム、マグネシウムの、及びpブロックの金属元素、例えば鉛、アルミニウム、ヒ素、スズ、ガリウム、ビスマス、アンチモン、ゲルマニウム、インジウム及びテルルなどの、ハロゲン化物(例えば、塩化物、フッ化物、臭化物及びヨウ化物)、アセチルアセトン酸塩、硫化物、硫酸塩、硝酸塩、窒化物、シアン化物、炭化物、シラン、アルコキシシラン、及び酢酸塩が挙げられる。他の好適な金属塩としては、ハロゲンオキソアニオン(臭素酸イオン及びヨウ素酸イオンなど)、金属及び遷移金属オキソアニオン(過マンガン酸イオン、クロム酸イオン及びヒ酸イオンなど)、及び有機オキソアニオン、例えばアルコキシド及びカルボン酸イオン(エトキシド、酢酸イオン及びパルミチン酸イオンなど)を含むものが挙げられる。場合によっては、塩を前処理してそれを酸化物/水酸化物の生成に好適な状態、あるいは随意的な酸化状態にすることが必要なことがあり、あるいは有益なことがある。例えば、塩化マンガン(II)は、酸化剤、例えば過マンガン酸塩又は過酸化物などにより酸化して、塩基での処理の前あるいはその間にマンガン(IV)種を形成するのが有利なことがある。同様に、Ti(III)塩化物は、酸化してTi(IV)にしてから酸化物/水酸化物を生成することが有利なことがある。酸化鉄材料の製造に特に好ましい塩は、Fe3+の塩、例えばFe(III)の硝酸塩、塩化物、塩素酸塩、硫酸塩、過塩素酸塩、亜硝酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩又はリン酸塩などである。酸化チタン材料の製造に好ましい塩としては、Ti(III)の塩、例えばTiCl3など、及びTi(IV)の塩、例えばTiCl4などが挙げられ、Niの酸化物及び水酸化物材料の製造に好ましい塩としては、Ni(II)の塩、例えばNiCl2、NiSO4及びNi(NO32などが挙げられる。
【0030】
付加的な金属、金属塩、錯体又は他の化学種(生物学的種、例えばタンパク質、DNAを含めて)の混合/ドーピングが最終的な材料に望ましい性質、例えば蛍光、エレクトロルミネセンス、磁性、半導電性又は生物学的活性などを付与する場合には、混合材料又はドーピングされた材料の使用も考えられる。
【0031】
複合金属酸化物/水酸化物材料の製造が所望される場合には、当該金属酸化物/水酸化物の沈澱を外部環境への共連続性を促進するように改変された表面を持つ基材の存在下で行うことができる。このような材料の例としては、上述のとおりの活性炭、メソ多孔性シリカなどや、あるいは本発明により製造される金属酸化物/水酸化物又は複合金属酸化物/水酸化物材料が挙げられる。好適な複合金属酸化物/水酸化物材料を製造するためには、金属塩と基材を、水性媒体中で塩基の存在下に好適な比で組み合わせることができる。選択される比は、基材の性質と複合材料に導入しようとする金属酸化物の量に依存する。それはまた金属塩の原子量にも依存する。金属塩と基材は、一般に、1:100〜100:1の重量比、好ましくは50:1〜1:50、更に好ましくは10:1〜1:10の重量比で組み合わされる。Fe(III)硝酸塩について言えば、5:1〜1:1の比が好ましく有利である。ニッケル電極の製造については、約1:1〜1:3の炭素対金属重量比が特に好適である。チタニアの場合は、例えば1:10又は1:100の範囲の低い炭素対金属重量比が好ましい。少量の炭素が可視光の吸収が増加する程度までチタニアを薄黒くすることができ、これは可視光中でのチタニアの光触媒活性を増加させることができる。当業者ならば特定の用途についての最適な比を決定することができよう。
【0032】
金属塩は、水溶液のpHを増加させることにより金属酸化物/水酸化物に転化される。これは、好適な塩基を水性媒体中に導入することにより行うことができる。好ましくは、塩基は無機塩基、例えば無機強塩基である。好適な無機強塩基の例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化アンモニウムが挙げられる。水性媒体が調整されるpHは、生成しようとする特定の金属水酸化物/酸化物に依存するが、pHは一般に7〜11、より好ましくは7.5〜8.5の範囲内に調整される。
【0033】
金属塩を金属酸化物/水酸化物に変えるのは一般には室温で極めて急速に行われるが、とは言え熱を加えることにより、及び水性媒体を振盪あるいは撹拌することにより、速度を増加させることが可能なことがある。場合によっては、熱及び/又は空気への暴露が水酸化物を酸化物に変えるのに必要である。他の場合には、水酸化物を酸化物に変えるのが所望ならば、過酷な条件が必要とされる。金属塩の転化の進行は、媒体を金属塩の存在について試験するか、あるいは沈澱が生じるのを監視することにより監視することができる。沈澱は一般に水溶液中でゲルとして生成する。最適な最終pHは使用する金属塩と基材に依存する。pHは、生成する水酸化物の沈澱の量を最大にするように、すなわち条件がpHがその金属の沈澱が生じる限界内にあるように、選ぶことができる。また、静電的な表面力により形成される固形物の分散を防止するために、pHが水酸化物、酸化物、オキシ水酸化物又はそれらの組み合わせ物のいずれかの最終固形物表面の等電点(iep)の近傍にあることが必要とされることもある。場合により、これらの2つのpH値が相関しない場合には、2つのpHの値の間で折り合いをつけるのが必要なことがある。pHが低過ぎるか、あるいは高過ぎる場合には、反応は非メソ多孔性粒子及び/又は、場合によりナノ粒子の生成に有利になることがある。例えば、金属、例としてTi及びFeの場合には、塩基の量は一般に、混合物の最終pHが7.5〜8.5に達して安定化するように選択される。pHが添加後約5分間変化しない場合に、最終pHは安定であるとみなされる。沈澱の速度を最大とするために、高濃度の塩基(例えば6M)を使用することができる。好ましくは、塩基は、撹拌された混合物(例えばマグネチックスターラーを用いて)にピペットから、その撹拌中の混合物に浸漬したpHプローブにより測定して当該pHに達するまで、室温で滴加される。通常、この添加は初期の添加のほぼ15分以内に完了するが、とは言え正確な時間と条件は使用する特定の金属塩と基材に依存する。
【0034】
一つの態様において、本発明は、外部環境への共連続性を促進するように改変された表面を持つ金属酸化物材料の生成方法であって、水性媒体中で金属水酸化物を沈澱させるのに十分な時間及びそのために十分な条件下で金属塩を水性媒体中において塩基により処理すること、金属水酸化物を金属酸化物に転化させる条件下で蒸発により水性媒体から水を除去して固形残留物を得ること、そして固形残留物から塩を除去して、それにより外部環境への共連続性を促進するように改変された表面を持つ金属酸化物材料を生成させることを含む、金属酸化物材料の生成方法を提供する。
【0035】
もう一つの態様において、本発明は、外部環境への共連続性を促進するように改変された表面を持つ複合金属酸化物材料の生成方法であって、金属水酸化物を沈澱させるのに十分な時間及びそのために十分な条件下で、外部環境への連続性を促進するように改変された表面を持つ基材の存在下に金属塩を水性媒体中で塩基により処理すること、金属水酸化物を金属酸化物に転化させる条件下で水性媒体から水を蒸発により除去して、この基材に付着するか、その内部に結合されるか、さもなければそれと一体にされた金属酸化物の固形残留物を得ること、及びこの固形残留物から塩を除去して、外部環境への共連続性を促進するように改変された表面を持つ複合金属酸化物材料を生成させることを含む、複合金属酸化物材料の生成方法を提供する。
【0036】
更にもう一つの態様において、本発明は、外部環境への共連続性を促進するように改変された表面を持つ金属水酸化物材料の生成方法であって、水性媒体中で金属水酸化物を沈澱させるのに十分な時間及びそのために十分な条件下で金属塩を水性媒体中で塩基により処理すること、当該金属水酸化物を金属酸化物に転化させない条件下で水性媒体から水を蒸発により除去して固形残留物を得ること、及びこの固形残留物から塩を除去して、外部環境への共連続性を促進するように改変された表面を持つ金属水酸化物材料を生成させることを含む、金属水酸化物材料の生成方法を提供する。
【0037】
本発明の更なる態様は、外部環境への共連続性を促進するように改変された表面を持つ複合金属水酸化物材料の生成方法であって、金属水酸化物を沈澱させるのに十分な時間及びそのために十分な条件下で、外部環境への連続性を促進するように改変された表面を持つ基材の存在下に金属塩を水性媒体中で塩基により処理すること、当該金属水酸化物を金属酸化物に転化させない条件下で水性媒体から水を蒸発により除去して、この基材に付着するか、その内部に結合されるか、さもなければそれと一体にされた金属水酸化物の固形残留物を得ること、及びこの固形残留物から塩を除去して、外部環境への共連続性を促進するように改変された表面を持つ複合金属水酸化物材料を生成させることを含む、複合金属水酸化物材料の生成方法を提供する。
【0038】
水性媒体中での金属水酸化物/酸化物の沈澱/ゲルの形成後、水性媒体中の水を除去する。沈澱した金属酸化物/水酸化物を水溶液から回収するための通常の方法は、濾過工程とそれに続くオーブン乾燥を必要とするが、驚くべきことに、蒸発により水を主にあるいは全部除去すれば金属酸化物/水酸化物又は金属酸化物/水酸化物複合材料における有利なメソ多孔性を得ることができるということが判明した。理論により制約されるのを望むものではないが、水性媒体中に塩が存在することと、蒸発プロセスによるそれらの濃縮と、その結果としてイオン強度が上昇することが、金属酸化物水酸化物粒子の網目構造の保持を助け、更なる脱水反応で相互に連結したメソ多孔性材料を形成するものと考えられる。表面の化学的特性(pH、イオン強度)の制御による当初のゲル網目構造の維持が、金属酸化物/水酸化物材料のメソ多孔性を生じさせ、それにより外部環境へのこの材料の共連続性に寄与すると考えられる。水性媒体からの水の蒸発は加熱により増進することができる。約100℃及びそれより若干高い、例えば100℃〜110℃、好ましくは約105℃の温度が、この目的に十分なものである。酸化物が所望であるならば、この加熱工程は、対応する酸化物を形成するために加熱を必要とする金属水酸化物の場合に不可欠となり得る。塩を添加してイオン強度を更に増大させることにより、あるいは蒸発の前に水性媒体の一部を除去することにより、結果として得られるメソ多孔性材料の性質を改変することが可能である。このような環境においては、過多あるいは過少の塩は所望のメソ多孔性の形成には有害であり得るので、注意が必要である。従って、塩濃度を倍増することは場合により容認できることがあるとは言え、塩濃度を10倍増加することは大抵の場合有害であると予期される。
【0039】
水性媒体から水を除去する際の条件は、乾燥された残留物が、残存する塩の除去後に外部環境への高度の共連続性を有する金属酸化物/水酸化物又は金属酸化物/水酸化物複合材料を含むように選択されるべきである。外部環境への共連続性の重要な尺度は表面積である。混合金属酸化物/水酸化物材料を含めた金属酸化物/水酸化物材料の場合には、材料はBETで測定して100m2/gより大きい、好ましくは200m2/gより大きい、更に好ましくは250m2/gより大きい表面積を有することができる。外部環境への共連続性を促進するように改変された表面を既に有する基材を含む複合材料の場合には、材料の最終表面積は、ある意味で使用される基材の表面積に依存する。しかしながら、金属酸化物/水酸化物の被着後のこの複合材料の表面積は、700m2/gより大きく、好ましくは900m2/gより大きく、更に好ましくは1000m2/gより大きくなり得る。
【0040】
本発明の金属酸化物/水酸化物又は混合金属酸化物/水酸化物材料は、好ましくはメソ多孔性である。メソ多孔性材料は、一般に、約2〜50ナノメートルの平均細孔寸法を有するが、とは言え大部分の用途については、2〜20あるいは2〜10ナノメートルの細孔寸法がより望ましい。
【0041】
本発明の金属酸化物/水酸化物及び複合金属酸化物/水酸化物材料は、BJHにより測定して大きなメソ細孔面積を有することもできる。金属酸化物材料の場合、メソ細孔面積は100m2/gより大きく、好ましくは150m2/gより大きく、より好ましくは200m2/gより大きくなり得る。金属酸化物複合材料については、BJHにより測定したメソ細孔面積は500m2/gより大きく、好ましくは800m2/gより大きく、より好ましくは1000m2/gより大きくなり得る。
【0042】
この水の蒸発と、必要ならば水酸化物の酸化物材料への転化の後に、金属酸化物又は複合金属酸化物材料から残存するいずれの塩も除去することが必要である。この塩は、金属塩が酸化物/水酸化物材料に転化される加水分解工程中に生成される。この塩は、一般に、金属酸化物/水酸化物又は複合金属酸化物/水酸化物材料を水中で単純に洗浄することにより除去することができる。この洗浄工程は、金属酸化物材料を容器中で撹拌し、沈降させ、水を流し出すことにより行うことができる。この洗浄工程を繰り返し、その後材料を例えば真空オーブン中にて好適な温度、例えば50〜60℃で乾燥させることができる。
【0043】
一部の用途については、金属はその金属の形でもって提供されるべきである。例えば、燃料電池用に電極を製造する場合には、いずれの白金酸化物も金属白金に還元する必要がある。同様に、臭いを吸収する性質については、酸化銅を金属銅に還元することが望ましく、そして抗菌性については、酸化銀を望ましくは金属銀に変えるべきである。これは、メソ多孔性金属酸化物/水酸化物又は複合金属酸化物/水酸化物材料を、当該酸化物/水酸化物を対応する金属に還元するような還元性条件にさらすことにより行うことができる。使用される条件は、還元対象の酸化物/水酸化物に依存する。好ましくは、この条件は、酸化物/水酸化物又は複合材料のメソ多孔性が実質的に維持されるようなものである。例えば、CuOの場合には、高温のメソ多孔性酸化銅を、酸素の不存在下に水素雰囲気又はメタン雰囲気などの還元性環境下で金属銅に還元することができる。
【0044】
本発明の金属酸化物/水酸化物及び複合金属酸化物/水酸化物材料は、製造したままで直接使用してもよく、あるいは意図された機能を得るために素子又は装置に組み込んでもよい。例えば、材料を毒性成分、例えばSO2、NO及びHClなどの除去における触媒として使用する場合には、材料の粒子を、なるべくならば流動化した、床内に充填してもよく、膜又は繊維又は、可能ならばカートリッジの形をした、フィルターに組み込んでもよく、あるいは別な材料、例えばポリマー又は無機もしくは金属材料に付着させるか、それに担持させてもよい。材料を化学反応のための触媒として使用する場合には、材料の粒子を反応媒体中に、一般には溶媒中に、単純に導入することができ、これにより材料は反応の触媒として作用することができる。同様に、気相反応は、ガス状反応物を適切な金属酸化物/水酸化物又は複合金属酸化物/水酸化物材料が充填された管を通過させることにより触媒することができる。本発明による材料の高メソ多孔性によって、それらをスーパーキャパシタのプレートに組み込むことが可能になる。これらの用途のためには、材料は電導性であるべきである。キャパシタンスは電極面積により直接的に変わるので、本発明による材料を組み込むことによりこの面積を増加させることは、キャパシタのキャパシタンスに寄与する。水処理プロセスで使用する場合、材料のビーズ又は粒子を水に分散させて、有機物、バクテリア、ウイルス、重金属及び他の汚染物質の除去を促進することができる。あるいはまた、水又は液体を金属酸化物/水酸化物材料が充填されたカラムを通過させることができる。水処理プロセスについては、磁性の金属酸化物/水酸化物及び複合金属酸化物/水酸化物材料を製造し、これらの材料の磁気的性質を利用して、処理対象の水中に分散させた後のそれらの回収を助けることも可能である。家庭用タイプの状況の場合には、本発明のメソ多孔性材料、例えばFe複合材料を、蛇口又は蛇口配管のカートリッジに導入してもよい。
【0045】
複合材料の場合、それらは一般に、使用される基材材料に比して改善された性質を有する。このような利点としては、より高い密度、改善された濡れ性、改善された電荷及び改善された表面化学特性を挙げることができる。それらはまた、同一のあるいは類似の目的に使用される市販材料に比して改善されたpH安定性も有し得る。当業者ならば、異なる金属には異なる性質がつきものであり、特定の用途には特定の金属を選択することができるということを理解しよう。例えば、Cu材料は臭いの吸収に好適であり、NiOH材料はスーパーキャパシタにおいて特に有用であり、白金含有材料は燃料電池用の電極として有用であり、銀含有材料は好適な殺菌剤である。本発明の一部の材料を試験することにより、一部の材料が特定の用途に特に有用であるということも判明した。例えば、メソ多孔性酸化鉄は、水からヒ素を除去するのに特に好適であることが判明した。同様に、複合イオン/活性炭材料は、水からフミン物質を除去するのに特に好適であることが判明した。
【0046】
種々の技術分野の熟練者ならば、本発明の材料及び方法を活用して、所望の最終用途に好適な材料を容易に製造することができよう。
【実施例】
【0047】
次の非限定的な例を参照して本発明を更に説明する。
【0048】
〔例1〕
メソ多孔性酸化鉄の製造
5gのFe(NO33・9H2Oを100mlビーカー中で60mlのミリQ水に溶解した。得られた溶液のpHを、6M NaOHを用いて激しく撹拌しながら、ほぼ1.4から8.2まで急速に上昇させた。この工程後、可溶性NaNO3の濃度はほぼ0.6Mと測定された。次に、このビーカーを蓋のない105℃の高温オーブンに一晩(14時間)入れた。この状態の間に、不溶性の水酸化第二鉄のゲル網状組織が脱水して、フェリハイドライト及びゲーサイトを生成し、結果としてpHが低下した。翌朝、ビーカーをオーブンから取り出し、生成した極めて暗褐色/紫色の物質の乾燥した塩を含んだディスクをミリQ水により直ちにすすいだ。すすぎは、ビーカーを撹拌しながら満たし、固形物質を短時間沈降させ、上澄み液を流し出すことにより行った。これに伴い、なお懸濁している微粉のほんの一部の損失をみた。このすすぎ処理を9回繰り返した。次に、この物質を60℃及び真空(625mmHg)の真空オーブンに入れ、乾燥してから、BET及びSEM測定をした。このメソ多孔性酸化鉄の平均粒子寸法は>1ミクロンであった。
【0049】
〔例2〕
酸化鉄/活性炭材料の製造
5gのFe(NO33・9H2Oを100mlビーカー中で60mlのミリQ水に溶解した。ゆるやかに撹拌しながらこの溶液に5gのBP2000カーボンを分散させた。得られた溶液のpHを、6M NaOHを用いて激しく撹拌(マグネチックスターラーの電磁ビーズ)しながらほぼ1.4から8.2まで急速に上昇させた。ビーカーを105℃の予熱したオーブンに入れて一晩放置すると、ビーカー中に乾燥した黒色ディスクが残った。この乾燥した黒色ディスクをミリQ水によりすすぎ/洗浄した。すすぎ/洗浄は、ビーカーに水を満たし、続いて撹拌し、固体物質を短時間沈降させ、上澄み液を流し出すことにより行った。この処理の結果、少量の微粉の損失を生じた。このすすぎ処理を9回繰り返した。次に、この物質を60℃及び真空(625mmHg)の真空オーブンに入れ、乾燥してから、BETを測定した。
【0050】
(注記)5gのFe(NO33・9H2Oはほぼ1グラムのFe23を生成し、それゆえこの材料についての酸化鉄:炭素の比はほぼ1:5である。
【0051】
〔例3〕
BET及びBJHの測定
MicromeriticsのASAP 2400表面積分析装置を用いて多点ガス吸着によりBET表面積を測定した。窒素を−196℃の吸着質として使用した。分析の前に、試料を100℃で<10Paの最終真空まで真空脱気した。
【0052】
BET表面積は、吸着した(又は脱着した)ガスのモル量(又は標準体積)の尺度である、一定温度での、圧力の関数としての、ガス吸着/脱着等温線から得られる。線形の形でのBET式は、
【数1】

として記述可能である。ここで、
P=圧力
0=ガスの飽和圧力
a=圧力Pにおける吸着ガスの体積
m=単層被覆における吸着ガスの体積
C=BET定数
である。
【0053】
P/[Va(P0−P)]対P/P0のプロットから、切片が1/VmCで勾配が(C−1)/VmCの直線が得られるはずである。Vmの値は、データ(通常0.05と0.3の間のP/P0値)にかかわらず回帰線プロットから得られる。
【0054】
次に、Vmから吸着剤の比表面積を、
【数2】

により計算する。ここで、
σ=吸着質の断面積
a=アボガドロ数
0=ガスのモル体積
である。
【0055】
BJH法は、Kelvin式を用いて細孔寸法分布を計算するための手段であり、相対圧力を同様に減少させるに従って細孔から凝縮吸着質(窒素)を段階的に概念上空にするのを必要とする。細孔は、約99.5%相対圧力(P/P0=0.995)の任意の点で充満されると考えられ、細孔寸法は参考文献により計算される。
【0056】
例1及び2で製造された材料を上述のBET及びBJHの測定にかけた。結果を下記の表1に示す。
【0057】
【表1】

【0058】
〔例4〕
メソ多孔性材料による水からの天然有機物質(フミン物質)の除去
Armadaleフルボ酸(カナダ国Contech)の溶液を、濃厚水溶液から1:50比のミリQ水で希釈することにより調製し、黄/褐色溶液を得た。
【0059】
希釈溶液の等量部分を測定して1〜4のラベルを付した一連の4つのバイアルに入れた。バイアル番号1をブランクと指定し、これには更なる添加物を加えなかった。へらを用いて、ほぼ等しい量のBP2000カーボン、メソ多孔性鉄(例1で調製した)及びカーボン/酸化鉄複合材料(例2で調製した)を、それぞれバイアル2、3及び4に個別に添加した。これらのバイアルを一晩放置して平衡化させた。
【0060】
翌日の観察結果は次のとおりであった。
バイアル1: ブランク、添加物なし − 黄褐色溶液、変化無し。
バイアル2: BP2000カーボン − 着色の大幅な低下、なお若干褐色の色合い。また、カーボンが浮遊し、管壁に付着しているのが見つかったが、分離の観点から望ましくない特性である。
バイアル3: メソ多孔性酸化鉄 − バイアル2ほど良好ではないが、着色の大幅な低下。
バイアル4: カーボン/酸化鉄複合材料 − 全ての色が完全になくなり、バイアル2又はバイアル3よりも良好な性能。加えて、この材料はバイアルの底に良好に沈降し、バイアル2と比較すると分離に関して改善された性質であることを示唆した。
【0061】
この実験を1:10の希釈でも行い、より高濃度のNOMを得た。観察結果は上記と類似のパターンに従う。
【0062】
観察結果:
バイアル1: ブランク、添加物無し − 暗褐色溶液、変化無し。
バイアル2: BP2000カーボン − 着色の大幅な低下(>80%)、なお若干褐色の色合い。やはりカーボンがバイアルの上方壁に付着し、浮遊していた。
バイアル3: メソ多孔性酸化鉄 − 着色の若干の低下、やはりバイアル2におけるほど顕著ではなかった。
バイアル4: カーボン/酸化鉄複合材料 − 若干褐色の色合いが残っていたのみで、極めて良好な着色の消失、及びバイアル2又はバイアル3よりもずっと良好な性能。やはり、この材料は溶液から良好に分離する。
【0063】
これらの添加物により着色がなくなるのは、これらの吸着剤が水から天然有機物質(NOM)(水路にしばしば見出される汚染物質)を除去する能力を持つことを示している。この単純な実験は、カーボン/酸化鉄複合材料がカーボン又は酸化鉄のいずれか単独のもの以上に天然有機種を吸着する能力を持つことを示している。この複合材料のBP2000にまさる他の利点は、カーボン/酸化鉄複合材料については量がずっと少ないのに比較して、両方のシリーズの実験においては著しく大量のBP2000がバイアルの上部に付着したことにより裏付けられたとおりの、改善された表面の化学的性質である。
【0064】
〔例5〕
メソ多孔性二酸化チタンの製造
12mlのTiCl3溶液(供給されたまま15%w/v)を100mlビーカー中で60mlのミリQ水と混合した。得られた溶液のpHを、6M NaOHを用いて激しく撹拌しながら、ほぼ8.5から急速に上昇させ、その間に青色の沈澱が生成した。この物質を72時間放置し、その間にこの沈澱物の上部は酸化されて白色の二酸化チタンの沈澱物になった。次に、このビーカーを蓋のない105℃の高温オーブンに一晩(14時間)入れた。この状態の間に、残存する不溶性の青色沈澱が酸化し、脱水して、二酸化チタンを生成した。翌朝、ビーカーをオーブンから取り出し、生成した白色の物質の乾燥した塩を含んだディスクをミリQ水により直ちにすすいだ。すすぎは、ビーカーを撹拌しながら満たし、固形物質を短時間沈降させ、そして上澄み液を流し出すことにより行った。これに伴い、なお懸濁している微粉のわずかな部分の損失を生じた。このすすぎ工程を9回繰り返した。次に、この物質を70℃及び真空(625mmHg)の真空オーブンに入れ、乾燥してから、BETの測定を行った。
【0065】
・TiO2の確認された全表面積は250m2/g、全細孔体積0.22cm3/g、BJH細孔体積0.18cm3/g、平均細孔半径17.6nmであった。
【0066】
〔例6〕
二酸化チタン/活性炭材料の製造
12mlのTiCl3(15%w/v)溶液を100mlビーカー中で60mlのミリQ水と混合した。この溶液に、ゆるやかに撹拌しながら5gのBP2000カーボンを分散させた。得られた溶液のpHを、6M NaOHを用いて激しく撹拌(マグネチックスターラーの電磁ビーズ)しながら、8.6まで急速に上昇させた。溶液をこのpHで最小限10分間平衡させた。このビーカーを105℃の予熱したオーブンに入れ、二晩放置した。ビーカー中に乾燥した黒色のディスクが残った。この乾燥した黒色ディスクをミリQ水によりすすぎ/洗浄した。すすぎ/洗浄は、ビーカーに水を満たし、続いて撹拌し、固形物質を短時間沈降させ、上澄み液を流し出すことにより行った。この処理の結果、少量の微粉の損失を生じた。このすすぎ処理を9回繰り返した。次に、この物質を70℃及び真空(625mmHg)の真空オーブンに入れ、乾燥してから、BETの測定を行った。
【0067】
(注記)12mlのTiCl3(15%w/v)はほぼ1グラムのTiO2を生成し、それゆえこの材料についての二酸化チタン:炭素の比はほぼ1:5である。
・C/TiO2: 表面積1100m2/g、全細孔体積1.76cm3/g、BJH細孔体積1.59cm3/g。
【0068】
〔例7〕
二酸化マンガン/活性炭材料の製造
2.3gのMnCl2・4H2Oを100mlビーカー中の60mlのミリQ水に混合した。この溶液に、ゆるやかに撹拌しながら4gのBP2000カーボンを分散させた。得られた溶液のpHを、6M NaOHを用いて激しく撹拌(マグネチックスターラーの電磁ビーズ)しながらほぼ6から10.5まで急速に上昇させた。溶液をこのpHで最小限10分間平衡させた。このビーカーを105℃の予熱したオーブンに入れ、一晩放置した。ビーカー中に乾燥した黒色のディスクが残った。この乾燥した黒色ディスクをミリQ水によりすすぎ/洗浄した。ディスクは水を加えると砕けて懸濁した粒子になり、それは放置すると沈降した。すすぎ/洗浄は、ビーカーに水を満たし、続いて撹拌し、固形物質を短時間沈降させ、そして上澄み液を流し出すことによりを行った。この処理の結果、少量の微粉の損失を生じた。このすすぎ処理を9回繰り返した。次に、この物質を70℃及び真空(625mmHg)の真空オーブンに入れ、乾燥してから、BETの測定を行った。
【0069】
(注記)2.3gのMnCl2・4H2Oはほぼ1グラムのMnO2を生成し、それゆえこの物質についての二酸化マンガン:炭素の比はほぼ1:4である。
【0070】
〔例8〕
酸化銅/活性炭材料の製造
3.14gのCuSO4・5H2Oを100mlビーカー中の70mlのミリQ水に混合した。この溶液に、ゆるやかに撹拌しながら1gのBP2000カーボンを分散させた。得られた溶液のpHを、6M NaOHを用いて激しく撹拌(マグネチックスターラーの電磁ビーズ)しながら11.3まで急速に上昇させた。溶液をこのpHで最小限10分間平衡させた。このビーカーを105℃の予熱したオーブンに入れ、一晩放置した。ビーカー中に乾燥した黒色のディスクが残った。乾燥した黒色ディスクをミリQ水によりすすぎ/洗浄した。ディスクは水を加えると砕けて懸濁した粒子になり、それは放置すると沈降した。すすぎ/洗浄は、ビーカーに水を満たし、続いて撹拌し、固形物質を短時間沈降させ、そして上澄み液を流し出すことにより行った。この処理の結果、少量の微粉の損失を生じた。このすすぎ処理を9回繰り返した。次に、この物質を70℃及び真空(625mmHg)の真空オーブンに入れ、乾燥してから、BETの測定を行った。
【0071】
(注記)3.14gのCuSO4・5H2Oはほぼ1グラムのCuOを生成し、それゆえこの材料についての酸化銅:炭素の比はほぼ1:1である。
【0072】
〔例9〕
メソ多孔性水酸化ニッケル及び酸化ニッケルの製造
2.56gのNiCl2・6H2Oを100mlビーカー中の60mlのミリQ水と混合した。得られた溶液のpHを、6M NaOHを用いて激しく撹拌しながらおよそ12.4から急速に上昇させ、その間に淡緑色の沈澱物が生成した。この溶液を15分間平衡させてpHを安定化させた。次に、ビーカーを105℃の蓋のない高温オーブンに一晩(14時間)入れた。この状態の間、不溶性の水酸化ニッケルゲルの網状組織が乾燥して、メソ多孔性水酸化ニッケルを生成した。翌朝、ビーカーをオーブンから取り出し、生成した淡緑色の物質の乾燥した塩を含んだディスクをミリQ水により直ちにすすいだ。すすぎは、ビーカーに撹拌しながら満たして、固形物質を短時間沈降させ、上澄み液を流し出すことにより行った。これに伴い、なお懸濁する微粉のほんの一部の損失をみた。このすすぎ処理を9回繰り返した。次に、この物質を70℃及び真空(625mmHg)の真空オーブンに入れ、乾燥してから、BETの測定を行った。この試料を250℃のマッフル炉で更に加熱することにより、上記の清浄にし乾燥した水酸化ニッケルから酸化ニッケルを製造した。
・NiOHの表面積164m2/g。
・NiOの表面積207m2/g。
【0073】
〔例10〕
水酸化ニッケル/活性炭材料の製造
2.56gのNiCl2・6H2Oを100mlビーカー中の60mlのミリQ水に混合した。この溶液に、ゆるやかに撹拌しながら1gのBP2000カーボンを分散させた。得られた溶液のpHを、6M NaOHを用いて激しく撹拌(マグネチックスターラーの電磁ビーズ)しながら12.1まで急速に上昇させた。溶液をこのpHで最小限10分間平衡させた。このビーカーを105℃の予熱したオーブン中に入れ、一晩放置した。ビーカー中に乾燥した黒色のディスクが残った。乾燥した黒色ディスクをミリQ水によりすすぎ/洗浄した。ディスクは水を加えると砕けて懸濁した粒子になり、それは放置すると沈降した。すすぎ/洗浄は、ビーカーに水を満たし、続いて撹拌し、固形物質を短時間沈降させ、そして上澄み液を流し出すことによりを行った。この処理の結果、少量の微粉の損失を生じた。このすすぎ処理を9回繰り返した。次に、この物質を70℃及び真空(625mmHg)の真空オーブンに入れ、乾燥してから、BETの測定を行った。これにより50%NiOH2カーボン複合材料が製造された。NiCl2・6H2O及びBP2000カーボンの量を3.84gのNiCl2・6H2O及び0.5gのBP2000カーボンに変え、最終の調整pHが12.0であった場合に、やはりこの方法を使用して75%NiOH2炭素複合材料が製造された。
【0074】
(注記)
2.56gのNiCl2・6H2Oはほぼ1グラムのNiOH2を生成し、それゆえ上記の50%の材料についての水酸化ニッケル:カーボンの比はほぼ1:1である。3.84gのNiCl2・6H2Oはほぼ1.5グラムのNiOH2を形成する。それゆえ上記の75%の材料についての水酸化ニッケル:カーボンの比はほぼ3:1である。
【0075】
50%NiOH2/Cの表面積は849m2/g、BJH細孔体積は1.32cm3/g、平均細孔直径は9.5nmであった。75%NiOH2/Cの表面積は450m2/g、BJH細孔体積は0.913cm3/g、平均細孔直径は5.8nmであった。
【0076】
〔例11〕
メソ多孔性酸化鉄/カーボン複合材料を用いた水道水からのバクテリア除去
実験:
(注: この試験では沸騰させた無菌の水道水を使用した。)
大腸菌(E.Coli)(JM101)シードストックOD値=0.903
【0077】
1)沸騰させて残存塩素を除去し、使用前にオートクレーブ中で無菌化した水道水と、2)ルリア培養液で生長させ、最終懸濁液の作製前に無菌化した沸騰水道水により洗浄した大腸菌培養物を用いて、この吸着実験で使用したバクテリア懸濁液を作製した。
【0078】
50mlのバクテリア懸濁液をポリプロピレン管に入れ、15分間〜1時間平衡させた。1gの吸着剤をこの懸濁液に添加し、垂直に回転するプラットホーム上で室温にて培養させた。吸着剤なしの対照も同時に実験した。試料を吸着剤の最初の添加から0、2及び4時間の時点で採取した。沈降(又は必要とされる場合には簡単な遠心分離)とデカンテーションにより試料から吸着剤を分離後、吸着剤を含まない上澄み液をルリア培養液によるいくつかの一連の希釈(希釈なし、1/10、1/100、1/1000、1/10,000)にかけ、各希釈液の100μLをルリア寒天プレートに塗布した。
【0079】
ルリア寒天プレートは、10gのバクトトリプトン、5gのイースト抽出物、10gのNaCl及び15gの培地用寒天のオートクレーブ処理した1リットルの逆浸透処理水溶液を用いて調製した。アンピシリンを100μg/mLの濃度でこの溶液に添加する。この溶液の20mLをペトリ皿に注ぎ入れ、無菌環境中でプレートを作製した。懸濁液は、エタノール/フレーム手法を用いて無菌に保ったガラススプレッダーを用いて、寒天表面に均等に広げられる。次に、プレートを37℃で一晩培養させる。30と300の間のコロニーを含むプレートでコロニーカウンターを用いてコロニーを計数する。最小の希釈プレートからのコロニー数を計算に使用した。プレートのカウント数に希釈係数を掛けて、最終結果を得る。
【0080】
【表2】

【0081】
結論は、BP2000単独が大腸菌レベルを低減するのに複合材料よりも若干良好であるということである。
【0082】
〔例12〕
メソ多孔性酸化鉄/カーボン複合材料によるヒ素の除去
実験: 0.5gのメソ多孔性酸化鉄/カーボン複合材料を50mlのヒ素溶液に添加した。100mg/Lの初期ヒ素濃度を使用した。この懸濁液を最小限ほぼ19時間撹拌した。上澄み液の試料を濾過(0.45ミクロン)し、ICP−EOSを用いてヒ素濃度を測定した。これらの実験の結果を下記の表に示す。
【0083】
【表3】

【0084】
カーボンマトリックス中への酸化鉄の取り込みはカーボンのヒ素吸着能力を二倍以上に増大させた。
【0085】
〔例13〕
pHの安定性
メソ多孔性酸化鉄のpH安定性は、粒状のオキシ水酸化物、例えばBayoxide E33などのそれよりも大きいことが判明した。
【0086】
実験:
メソ多孔性Fe23(例1)のpH安定性を、Bayerから入手可能なBayoxide E33と比較した。所定量(0.2グラム)の各酸化物を50mlの10-2M KNO3に添加した。HNO3及びNaOHを用いて溶液をpH3及びpH7に調整し、1時間撹拌した。この撹拌機は穏やかな渦を生じさせるのには十分であったが、材料を全体的に懸濁させるのには十分でなかった。撹拌後、酸化物材料をほぼ15分間沈降させ、その後上澄み液の試料を採取し、数滴の濃硝酸により酸性にした。次いで試料を一晩放置してから、鉄濃度をICP−EOSにより測定した。
【0087】
結果:
撹拌後、Bayoxide E33を含有する両方の試料には濁りが存在し、それに対して他の2つの試料に明白な濁りはなかった。酸性にした上澄み液の鉄濃度は、次の表に示すように酸化鉄材料の分解を示すものである。
【0088】
【表4】

【0089】
〔例14〕
・水処理 − メソ多孔性酸化鉄及びメソ多孔性酸化鉄/活性炭複合材料を用いたヒ素の除去(比較の基準は各吸着剤1g/L)
【0090】
実験: 0.5グラムのメソ多孔性酸化鉄(例1)及びBayoxide E33を50mlのヒ素溶液に別々に添加した。3つの異なる初期ヒ素濃度を使用した。これらの懸濁液を最小限ほぼ19時間撹拌した。上澄み液の試料を濾過(0.45ミクロン)し、ICP−EOSを用いてヒ素濃度を測定した。これらの実験の結果を下記の表に示す。
【0091】
【表5】

【0092】
メソ多孔性酸化鉄/活性炭複合材料は、基材のカーボン材料だけと比較して若干低下したバクテリア吸着特性を示すが、増大したヒ素吸着特性を発揮し、カーボンに水処理プロセス用の二重の機能性を与える。これらの特性を次の2つの実験で概説する。
【0093】
この明細書と特許請求の範囲を通して、文脈上別の要求がない限り、「含む」という用語は、明示された完全なもの(integer)もしくは工程(step)、又は完全なものもしくは工程の群を含むことを意味するが、任意の他の完全なものもしくは工程、又は完全なものもしくは工程の群を除外しないことが理解されよう。
【0094】
当業者は、ここに記載した発明は具体的に説明したもの以外の変更及び改変の余地があることを認識しよう。本発明は全てのそのような変更及び改変を包含するということを理解すべきである。本発明はまた、本明細書で個別にあるいは集合的に言及あるいは指示している工程、特徴、組成、構造及び化合物の全て、そしてそれらの工程又は特徴の任意の2つ以上の任意及び全部の組み合わせも包含する。
【0095】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部環境への共連続性を促進するように改変された表面を含み、メソ細孔面積が大きい、金属酸化物/水酸化物又は複合金属酸化物/水酸化物材料。
【請求項2】
複合金属酸化物/水酸化物材料であって、外部環境への共連続性を促進するように改変された表面を持つ基材と、当該複合材料が外部環境への共連続性を維持するように前記基材に付着するか、その内部に結合されるか、さもなければそれと一体にされた金属酸化物/水酸化物材料とを含む複合金属酸化物/水酸化物材料。
【請求項3】
150m2/gよりも大きいメソ細孔面積を有する、請求項1に記載の金属酸化物/水酸化物材料。
【請求項4】
800m2/gよりも大きいメソ細孔面積を有する、請求項1に記載の複合金属酸化物/水酸化物材料。
【請求項5】
外部環境への共連続性を促進するように改変された表面を持つ金属酸化物/水酸化物材料の生成方法であって、水性媒体中で金属酸化物/水酸化物を沈澱させるのに十分な時間及びそのために十分な条件下で金属塩を水性媒体中で塩基により処理すること、前記水性媒体から水を蒸発により除去して固形残留物を得ること、及び前記固形残留物から塩を除去して、外部環境への共連続性を促進するように改変された表面を持つ金属酸化物/水酸化物材料を生成させることを含む、外部環境への共連続性を促進するように改変された表面を持つ金属酸化物/水酸化物材料の生成方法。
【請求項6】
外部環境への共連続性を促進するように改変された表面を持つ金属酸化物材料の生成方法であって、水性媒体中で金属水酸化物を沈澱させるのに十分な時間及びそのために十分な条件下で金属塩を水性媒体中で塩基により処理すること、金属水酸化物を金属酸化物に転化させる条件下で前記水性媒体から水を蒸発により除去して固形残留物を得ること、及び前記固形残留物から塩を除去して、外部環境への共連続性を促進するように改変された表面を持つ金属酸化物材料を生成させることを含む、外部環境への共連続性を促進するように改変された表面を持つ金属酸化物材料の生成方法。
【請求項7】
外部環境への共連続性を促進するように改変された表面を持つ金属水酸化物材料の生成方法であって、水性媒体中で金属水酸化物を沈澱させるのに十分な時間及びそのために十分な条件下で金属塩を水性媒体中で塩基により処理すること、金属水酸化物を金属酸化物に転化させない条件下で前記水性媒体から水を蒸発により除去して固形残留物を得ること、及び前記固形残留物から塩を除去して、外部環境への共連続性を促進するように改変された表面を持つ金属水酸化物材料を生成させることを含む、外部環境への共連続性を促進するように改変された表面を持つ金属水酸化物材料の生成方法。
【請求項8】
外部環境への共連続性を促進するように改変された表面を持つ複合金属酸化物/水酸化物材料の生成方法であって、金属酸化物/水酸化物を沈澱させるのに十分な時間及びそのために十分な条件下で、外部環境への連続性を促進するように改変された表面を持つ基材の存在下に金属塩を水性媒体中で塩基により処理すること、水性媒体から水を蒸発により除去して、前記基材に付着するか、その内部に結合されるか、さもなければそれと一体にされた金属酸化物水酸化物の固形残留物を得ること、及びこの固形残留物から塩を除去して、外部環境への共連続性を促進するように改変された表面を持つ複合金属酸化物/水酸化物材料を生成させることを含む、外部環境への共連続性を促進するように改変された表面を持つ複合金属酸化物/水酸化物材料の生成方法。
【請求項9】
外部環境への共連続性を促進するように改変された表面を持つ複合金属酸化物材料の生成方法であって、金属水酸化物を沈澱させるのに十分な時間及びそのために十分な条件下で、外部環境への連続性を促進するように改変された表面を持つ基材の存在下に金属塩を水性媒体中で塩基により処理すること、金属水酸化物を金属酸化物に転化させる条件下で前記水性媒体から水を蒸発により除去して、前記基材に付着するか、その内部に結合するか、さもなければそれと一体にされた金属酸化物の固形残留物を得ること、及び前記固形残留物から塩を除去して、外部環境への共連続性を促進するように改変された表面を持つ複合金属酸化物材料を生成させることを含む、外部環境への共連続性を促進するように改変された表面を持つ複合金属酸化物材料の生成方法。
【請求項10】
外部環境への共連続性を促進するように改変された表面を持つ複合金属水酸化物材料の生成方法であって、金属水酸化物を沈澱させるのに十分な時間及びそのために十分な条件下で、外部環境への連続性を促進するように改変された表面を持つ基材の存在下に金属塩を水性媒体中で塩基により処理すること、前記金属水酸化物を金属酸化物に転化させない条件下で前記水性媒体から水を蒸発により除去して、前記基材に付着するか、その内部に結合するか、さもなければそれと一体にされた金属水酸化物の固形残留物を得ること、及び前記固形残留物から塩を除去して、外部環境への共連続性を促進するように改変された表面を持つ複合金属水酸化物材料を生成させることを含む、外部環境への共連続性を促進するように改変された表面を持つ複合金属水酸化物材料の生成方法。
【請求項11】
前記水を前記水性媒体から加熱により除去する、請求項5〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記水性媒体を100℃〜110℃の温度まで加熱する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記固形残留物を水で洗浄することにより前記塩を除去する、請求項5〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記洗浄した固形残留物を乾燥させる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記金属酸化物/水酸化物が100m2/gよりも大きいメソ細孔面積を有する、請求項5〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記複合金属酸化物/水酸化物が500m2/gよりも大きいメソ細孔面積を有する、請求項8〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記金属塩が、遷移金属元素のハロゲン化物(例えば、塩化物、フッ化物、臭化物及びヨウ化物)、アセチルアセトン酸塩、硫化物、硫酸塩、硝酸塩、窒化物、シアン化物、炭化物、シラン、アルコキシシラン、及び酢酸塩、そしてハロゲンオキソアニオン(臭素酸イオン及びヨウ素酸イオンなど)、金属及び遷移金属オキソアニオン(過マンガン酸イオン、クロム酸イオン及びヒ酸イオンなど)及び有機オキソアニオン、例えばアルコキシド及びカルボン酸イオン(エトキシド、酢酸イオン及びパルミチン酸イオンなど)を含む金属塩から選択される、請求項5〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記金属塩を酸化剤で処理して酸化物/水酸化物の形成に好適な酸化状態にする、請求項5〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記金属塩が1以上の更なる金属、金属塩、錯体又は他の化学種をドーピング/混合されて、金属酸化物/水酸化物又は複合金属酸化物/水酸化物材料に望ましい性質を付与される、請求項5〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記塩基が無機強塩基である、請求項5〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記塩基を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化アンモニウムから選択する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記水性媒体の最終pHが7.5〜8.5の範囲となるように塩基の量を選択する、請求項5〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
金属酸化物/水酸化物又は複合金属酸化物/水酸化物材料を請求項5〜22のいずれか一項に記載の方法により製造すること、及び前記酸化物/水酸化物又は複合材料を当該酸化物水酸化物を対応する金属に還元するような還元条件にさらすことを含む、外部環境への共連続性を促進するように改変された表面を持つ金属又は複合金属材料の製造方法。
【請求項24】
環境を請求項1〜4のいずれか一項に記載の金属酸化物/水酸化物又は複合金属酸化物/水酸化物と、あるいは請求項5〜23のいずれか一項の生成物と接触させることを含む、環境から毒性成分を除去する方法。
【請求項25】
反応媒体を請求項1〜4のいずれか一項に記載の金属酸化物/水酸化物又は複合金属酸化物/水酸化物と、あるいは請求項5〜23のいずれか一項の生成物と接触させることを含む、反応媒体中での化学反応を接触するための方法。
【請求項26】
スーパーキャパシタのプレート中に請求項1〜4のいずれか一項に記載の金属酸化物/水酸化物又は複合金属酸化物/水酸化物を、あるいは請求項5〜23のいずれか一項の生成物を組み込むことを含む、スーパーキャパシタの製造方法。

【公表番号】特表2007−509832(P2007−509832A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−537007(P2006−537007)
【出願日】平成16年11月5日(2004.11.5)
【国際出願番号】PCT/AU2004/001523
【国際公開番号】WO2005/044448
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(598152079)コモンウェルス サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ オーガナイゼイション (16)
【Fターム(参考)】