説明

金属閉鎖形スイッチギヤ

【課題】組み立て作業を容易にし、また、主回路導電部の接続箇所の削減を図った金属閉鎖形スイッチギヤを得る。
【解決手段】引出形の真空遮断器4を収容する固定枠3の天板3b上面に絶縁支持された主母線11と、固定枠3の後壁3aに貫設された上部ブッシング6aの中心導体7aとを分岐導体12で接続し、固定枠3の床板3c下面に絶縁支持されたケーブル接続端子13と、固定枠3の後壁3bに貫設された下部ブッシング6bの中心導体7bとを計器用変流器15を貫通する接続導体14で接続して、一体に組み立てて主回路ユニット2を構成し、主回路ユニット2を筐体1に収納して筐体1の下面から引き込まれた外線ケーブル16に接続するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、引出形の遮断器等の開閉器を収容する金属閉鎖形スイッチギヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
金属閉鎖形スイッチギヤは、筐体の内部に遮断器、主母線、計器用変流器、外線ケーブル等を収容し、主母線から遮断器、計器用変流器、外線ケーブルを介して負荷に電力を供給するものである。
従来の閉鎖形スイッチギヤとしては、例えば、図10のような構成が知られている。閉鎖箱21内に収容された水平引出形の開閉器22が、主母線23,ケーブル24と接離可能なスイッチギヤであって、主回路を接離する主回路断路部25を上下に付属した箱形の立形ユニット26の下面側に、開閉器22を搭載し水平移動させるガイドレール部27を締結させて一体化し、一体となった立形ユニット26とガイドレール部27とを閉鎖箱21の正面から挿入し組立できるように構成されている。主回路断路部25の一方は、分岐導体28により、閉鎖箱21の天井側に支持碍子29で固定された主母線23に接続されている。また、主回路断路部25の他方は、後方のケーブル室に収容されたケーブル24に変流器30を介して接続されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−269105号公報(第3頁、図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示されたような閉鎖形スイッチギヤでは、主回路断路部25を有する立形ユニット26と開閉器22を載置するガイドレール部27とが一体化されているので、閉鎖箱21(筐体)の外で組立,調整,チェックを実施した後、盤前面から挿入可能となっている。しかしながら、主母線23は閉鎖箱21の天井側に固定され、変流器30は遮断器室の後方のケーブル室の壁面に固定されており、そのケーブル室にケーブル24が収容されているので、主母線23や分岐導体28や変流器30の固定、及び主回路通電部の接続作業を、閉鎖箱21の内部で行うか、閉鎖箱21の背面側から行なわなければならず、組立作業に時間を要するという問題点があった。
また、主母線23から主回路断路部25、変流器30を経由してケーブル24に至るまで、導体の接続箇所が多く、主回路導体に定格電流を通電した際に発生する発熱量が大きくなるという問題点があった。
【0005】
この発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、組み立て作業を容易にし、また、主回路導電部の接続箇所の削減を図った金属閉鎖形スイッチギヤを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る金属閉鎖形スイッチギヤは、引出形の遮断器を出し入れ自由に収容する箱形の固定枠と、遮断器の背面から導出した上部及び下部端子に対向して固定枠の後壁に貫設された上部及び下部ブッシングと、固定枠の天板又は床板のいずれか一方の外面に絶縁支持された主母線と、主母線に近い側のブッシングの中心導体と主母線とを接続する分岐導体と、固定枠の天板又は床板のいずれか他方の外面に固定された貫通型の計器用変流器及び絶縁支持されたケーブル接続端子と、計器用変流器を貫通して計器用変流器に近い側のブッシングの中心導体とケーブル接続端子とを接続する接続導体と、が一体に組み立てられて主回路ユニットが構成され、主回路ユニットが筐体に収納され、筐体の下方又は上方から引き込まれた外線ケーブルがケーブル接続端子に接続されるように構成したものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明の金属閉鎖形スイッチギヤによれば、引出形の遮断器を収容する固定枠の天板又は床板のいずれか一方の外面に絶縁支持された主母線と、固定枠の後壁に貫設された一方のブッシングの中心導体とを分岐導体で接続し、固定枠の天板又は床板のいずれか他方の外面に絶縁支持されたケーブル接続端子と、固定枠の後壁に貫設された他方のブッシングの中心導体とを計器用変流器を貫通する接続導体で接続し、一体に組み立てて主回路ユニットを構成し、主回路ユニットを筐体に収納して筐体の下方又は上方から引き込まれた外線ケーブルに接続するように構成したので、主母線からケーブル接続端子に至る主回路導体部を主回路ユニットとして集約化したことにより、主回路ユニットの組立を筐体外部で行うことができるため、組立が容易になり、組立作業時間を短縮することができる。
また、主回路導体部の長さを短縮できるので、定格電流通電時の発熱損失を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1による金属閉鎖形スイッチギヤの正面図である。
【図2】図1の金属閉鎖形スイッチギヤに収納される主回路ユニット部を示す図である。
【図3】図2の主母線部の平面図である。
【図4】この発明の実施の形態1による金属閉鎖形スイッチギヤの他の例を示す正面図である。
【図5】図4の金属閉鎖形スイッチギヤに収納される主回路ユニット部を示す図である。
【図6】この発明の実施の形態2による金属閉鎖形スイッチギヤに収納される主回路ユニット部を示す図である。
【図7】図6の主母線部の平面図である。
【図8】この発明の実施の形態3による金属閉鎖形スイッチギヤに収納される主回路ユニット部を示す図である。
【図9】図8の主母線部の平面図である。
【図10】従来の閉鎖形スイッチギヤの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
以下、図に基づいて説明する。図1は、この発明の実施の形態1の金属閉鎖形スイッチギヤの正面図であり、前面の扉(図示せず)を開いて内部を見た状態を示しており、内部に収容する遮断器は図示を省略している。図2は図1の金属閉鎖形スイッチギヤに収納する主回路ユニットを示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面断面図である。また、図3は図2(a)を上方から見た上面図であり、主母線とそれに接続された分岐導体のみを示している。
【0010】
先ず図1によりスイッチギヤの全体構成から説明する。
鋼板等からなり、前面に開閉扉(図示せず)を有する金属製の筐体1の内部に、引出形の遮断器(図示せず)を収容する主回路ユニット2が、筐体1の前面側から挿入されて筐体1のフレームに固定されている。主回路ユニット2の詳細は後述するが、その後部側には、上部ブッシング6aと下部ブッシング6bを有し、遮断器の背面から導出した上部端子5aと下部端子5b(図2参照)のそれぞれと接離可能となっている。主回路ユニット2の上部側には主母線11が配置されており、下部側にはケーブル接続端子13と計器用変流器15が配置されている。
遮断器の上部端子5aは、上部ブッシング6aを介して主母線11に接続され、下部端子5bは、下部ブッシング6bを介してケーブル接続端子13に接続されるようになっている。
筐体1の下部側から外線ケーブル16が立ち上げられ、この外線ケーブル16の先端がケーブル接続端子13に接続されることにより、主母線11から外線ケーブル16に至る主回路が形成される。
【0011】
次に、図2及び図3により、主回路ユニット2について説明する。
前面側が開口した箱状の固定枠3に、引出形の遮断器、例えば、真空バルブを有する真空遮断器4が前後方向に移動可能に収容される。真空遮断器4の背面から上部端子5aと下部端子5bが導出している。この上下の端子5a,5bに対応して、固定枠3の後壁3aに、上部ブッシング6aと下部ブッシング6bとが設けられている。上部ブッシング6aは、中心導体7aと,この中心導体を取り囲むように設けられた絶縁筒8aとを有している。中心導体7aは絶縁筒8aの中間部の仕切板に形成した貫通穴に挿通され、仕切板に形成された取付部にボルト締めにより固定されている。下部ブッシング6bも、中心導体7b,絶縁筒8bを有し同様に構成されている。
【0012】
真空遮断器4を移動させて後方に押し込むと、上部端子5aが上部ブッシング6aの中心導体7aに嵌合し、下部端子5bが下部ブッシング6bの中心導体7bに嵌合して接続状態となる。前方に引き出すと接続が解除され、図2のように、絶縁筒8a,8bの前面側に設けたシャッタ9が閉鎖されて、中心導体7a,7bが固定枠3の内部側に露出しないようになっている。固定枠3にはシャッタ9の開閉機構等が設けられているが本発明の主要部ではないので図示及び説明は省略する。
【0013】
固定枠3の天板3bの外面(上面)には、三相分の支持碍子10が前面から見て奥行き方向にR相,S相,T相と配置され、この支持碍子10に、平導体からなる主母線11が、板面を水平に向け左右方向に延在させて絶縁支持されている。
主母線11に近い上部ブッシング6aの中心導体7aと主母線11とは、分岐導体12でボルト締めにより接続されている。図3に示すように、R相の分岐導体12はS相とT相の主母線11を跨いでR相の主母線11に接続され、S相の分岐母線12はT相の主母線11を跨いでS相の主母線11に接続されている。
【0014】
一方、固定枠3の床板3cの外面(下面)には、図2に示すように、三相分の支持碍子10が前面から見て左右方向にR相,S相,T相と配置固定され、この支持碍子10にケーブル接続端子13が絶縁支持されている。また、床板3cの外面には、貫通型の計器用変流器15が配置固定されている。そして、計器用変流器15に近い側にある下部ブッシング6bの中心導体7bとケーブル接続端子13とが、計器用変流器15を貫通して設けられた接続導体14によってボルト締めにより接続されている。
【0015】
上記のように、固定枠3,上下のブッシング6a及び6b,支持碍子10,主母線11,分岐導体12,ケーブル接続端子13,接続導体14,計器用変流器15で構成された部分、すなわち図2に示す範囲が主回路ユニット2である。
本願発明は、主母線11−分岐導体12−中心導体7aから真空遮断器4を経由して中心導体7b−接続導体14−ケーブル接続端子13まで、一回路分の主回路が固定枠3に集約して配置構成されている点に特徴を有するものである。
先に説明した図1は、この主回路ユニット2が筐体1に収納された状態を示している。
【0016】
このような構成により、筐体1に固定枠3を挿入する前に、筐体1の外部で主回路ユニット2として図2のような状態に組み立てておくことが可能であり、その状態で筐体1に収納すれば、外線ケーブル16を接続するだけで、主回路部が構成でき、組み立て作業が容易になり、組立作業時間の短縮が図れる。
また、主母線11からケーブル接続端子13までの主回路導体長を短縮することができるため、定格電流通電時の発熱損失を抑制することができ、更に、固定する部品数が削減されることによっても、組立作業時間が短縮される。
また、外線ケーブル16との接続部を固定枠3の背面側ではなく下部側としたので、筐体1の奥行き方向の寸法が縮小される。更に、外線ケーブル16を筐体1の前面側から接続可能となり、筐体1背面からの組み立て作業が無くなるので接続作業が容易となる。
【0017】
上記までの説明では、主母線11が固定枠3の天板の外面側に配置され、計器用変流器15及びケーブル接続端子13が固定枠3の床板の外面側に配置され、筐体1の下方から外線ケーブル16が立ち上げられている構成について説明した。
この構成の応用例を図4及び図5に示す。図4は図1に対応するものであり、スイッチギヤの正面図を示し、図5は図2に対応するものであり、図4のスイッチギヤに収納する主回路ユニットを示す図である。図1及び図2と同等部分は同一符号を付して説明は省略する。
【0018】
図4及び図5のように、主回路ユニットを構成する主母線11と、計器用変流器15及びケーブル接続端子13の配置が、図1及び図2とは逆になっている。すなわち、主母線11が固定枠3の床板3cの外面(下面)に配置され、計器用変流器15及びケーブル接続端子13が固定枠3の天板3bの外面(上面)に配置されている。そして、外線ケーブル16は筐体1の上方から引き込まれている。それ以外は図1,図2と同じである。
このような構成においても、上記と同様な効果を得ることができる。このように、外線ケーブルが筐体の上方又は下方のいずれから引き込まれる場合でも対応が可能である。
なお、図1,図4の構成は、遮断器が1台の1回路分を収容するスイッチギヤであるが、2回路構成が必要な場合は、同様のスイッチギヤを横並び配置して、主母線の端部同士を互いに繋ぎ合わせることで2回路構成とすることができる。
【0019】
以上のように、実施の形態1の金属閉鎖形スイッチギヤによれば、引出形の遮断器を出し入れ自由に収容する箱形の固定枠と、遮断器の背面から導出した上部及び下部端子に対向して固定枠の後壁に貫設された上部及び下部ブッシングと、固定枠の天板又は床板のいずれか一方の外面に絶縁支持された主母線と、主母線に近い側のブッシングの中心導体と主母線とを接続する分岐導体と、固定枠の天板又は床板のいずれか他方の外面に固定された貫通型の計器用変流器及び絶縁支持されたケーブル接続端子と、計器用変流器を貫通して計器用変流器に近い側のブッシングの中心導体とケーブル接続端子とを接続する接続導体と、が一体に組み立てられて主回路ユニットが構成され、主回路ユニットが筐体に収納され、筐体の下方又は上方から引き込まれた外線ケーブルがケーブル接続端子に接続されるように構成したので、主母線からケーブル接続端子に至る主回路導体部を主回路ユニットとして集約化したことにより、主回路ユニットの組立を筐体外部で行うことができるため、組立が容易になり、組立作業時間を短縮することができる。
また、主回路導体部の長さを短縮できるので、定格電流通電時の発熱損失を抑制することができる。
【0020】
実施の形態2.
以下、実施の形態2を図に基づいて説明する。金属閉鎖形スイッチギヤの全体の正面図は、基本定的に実施の形態1の図1又は図4と同等なので図示及び説明は省略する。
図6は、実施の形態2の金属閉鎖形スイッチギヤに収納する主回路ユニット2を示す図であり、(a)は正面図,(b)は側面図を示す。実施の形態1の図2に相当する部分なので,図2と同等部分は同一符号で示し説明は省略する。また、図7は図6(a)を上方から見た上面図であり分岐導体部と主母線部のみを示している。
【0021】
図6に示すように、真空遮断器4を収容する固定枠3の後壁3aには、真空遮断器4の上部端子と下部端子の各端子に対応して上部ブッシング6aと下部ブッシング6bが設けられているのは図2と同じである。図2との相違点は、上部ブッシング6aの中心導体と主母線とそれらを繋ぐ分岐導体とを一体に形成し(この部分を上部主回路導体と称する)、また、下部ブッシング6bの中心導体とケーブル接続端子とそれらを繋ぐ接続導体も一体に形成した(この部分を下部主回路導体と称する)点である。
以下の説明では、実施の形態1の主母線に相当する部分を主母線部、分岐導体に相当する部分を分岐導体部、中心導体に相当する部分を中心導体部、接続導体に相当する部分を接続導体部、ケーブル接続端子に相当する部分をケーブル接続端部と呼ぶことにする。
【0022】
T相で説明すれば、図6(b)の側面図のように、上部主回路導体17は、板面を水平にし、上部ブッシング6aの絶縁筒8aに貫通して取り付けられた中心導体部17aと、そこから板厚方向に90°上方に折り曲げ、更に固定枠3の天板3bの上方で天板3b側へ90°折り曲げて形成された分岐導体部17bと、図7に示すように、板面の平面内でL字状に曲げられた先端側の主母線部17cとからなっている。これらをボルト等による接続部なしに一つの導体で構成したものである。
S相,R相も同様に形成されているが、天板3bの上方でL字状に曲げられた先端側の主母線部17cは、図6及び図7に一点鎖線で示すように、列盤される他のスイッチギヤの主母線と接続されるので、接続される他の主母線と干渉しないように、各相の主母線部17cの高さを変えて段違いにしている。図6(b)に示すように、段違いにした主母線部17cは、高さを順に変えて設けた支持碍子10で支持されている。
【0023】
一方、下部主回路導体18は、板面を水平にし、下部ブッシング6bの絶縁筒8bに貫通して取り付けられた中心導体部18aと、板厚方向に90°下方に折り曲げられ、次に、固定枠3の床板3c下方で床板3c側に90°折り曲げられ、計器用変流器15を貫通する接続導体部18bと、更に下方に90°折り曲げられ形成されたケーブル接続端子部18cとからなっており、これらをボルト等による接続部なしに一つの導体で構成したものである。
【0024】
このように構成された主回路ユニット2は、通電導体である上部主回路導体17と下部主回路導体18にボルト締め等による接続箇所を持たないため、上部主回路導体17は、一端側を上部ブッシング6aの絶縁筒8aに取り付け、他端側を支持碍子10で固定するだけで良く、また、下部主回路導体18は、一端側を下部ブッシング6bの絶縁筒8bに取り付け、他端側を支持碍子10に固定するだけでよく、更なる組立作業時間の短縮と、接続箇所の削減をねらったものである。
なお、実施の形態1の図4で説明したものと同様に、主母線部側を固定枠3の床板3cの外面に配置し、ケーブル端子部側及び計器用変流器15を天板3bの外面に配置し、外線ケーブル16を筐体1の上方から引き込んだ構成としても良い。この場合も同様の効果を得ることができる。
【0025】
以上のように、実施の形態2の金属閉鎖形スイッチギヤによれば、主母線と分岐導体と分岐導体が接続されるブッシングの中心導体とが一体に形成され、ケーブル接続端子と接続導体と接続導体が接続されるブッシングの中心導体とが一体に形成されているので、実施の形態1の効果に加えて、導体部に接続箇所を持たないため、組立作業時間を更に短縮することができる。
また、定格電流通電時の発熱損失の更なる低減を図ることができる。
更に、保守点検時のボルトの増し締め作業項目を減らせるため、保守点検時間の短縮にもつながる。
【0026】
実施の形態3.
図8は、実施の形態3の金属閉鎖形スイッチギヤに収納する主回路ユニット2を示す図であり、(a)は正面図,(b)は側面図を示す。金属閉鎖形スイッチギヤの全体の正面図は、基本定的に実施の形態1の図1又は図4と同等なので図示及び説明は省略する。
この実施の形態3は、実施の形態2の変形例であり、図8は、実施の形態2の図6に相当し、図9は図7に相当する部分なので,同等部分は同一符号で示し説明は省略する。
【0027】
以下では実施の形態2との相違点を中心に説明する。相違点は、上部ブッシングの中心導体部から主母線部に至る上部主回路導体の主母線部側の形状である。
本実施の形態の上部主回路導体19は、上部ブッシング6aの絶縁筒8aを貫通する中心導体部19aから垂直に立ち上がり固定枠3の天板3b上方で90°曲げられた分岐導体部19bまでは、先の図6と同等であるが、主母線部19cは、その直前で幅方向に略90°捩り加工されて板面が垂直方向に向くように形成されている。図6と同様に、3相の主母線部19cは、R相、S相,T相と順に高さを低くし、スイッチギヤを列盤配置したときに、図8,9に一点鎖線で示すように、隣のスイッチギヤと接続する主母線が、分岐母線部19bと干渉しないようになっている。上記以外は実施の形態2と同等である。
なお、実施の形態1の図4で説明したものと同様に、主母線部側を固定枠3の床板3cの外面に配置し、ケーブル端子部側及び計器用変流器15を天板3bの外面に配置し、外線ケーブル16を筐体1の上方から引き込んだ構成としても良く,その場合も上記と同様の効果を得ることができる。
【0028】
以上のように、実施の形態3の金属閉鎖形スイッチギヤによれば、主母線と分岐導体と分岐導体が接続されるブッシングの中心導体とを一体に形成した導体の主母線部となる部分は、直前で幅方向に略90°捩り加工されて板面が垂直方向に向けられているので、実施の形態1及び2の効果に加えて、主母線部を垂直にしたことにより、放熱効果が促進されて主回路導体部の温度上昇を抑制することができる。
また、主母線部に他のスイッチギヤからの主母線を接続する接続部が筐体の前面側から見える方向となり、筐体前面側から接続部のボルトの締結状況を確認でき、保守作業が容易になる。
【符号の説明】
【0029】
1 筐体 2 主回路ユニット
3 固定枠 3a 後壁
3b 天板 3c 床板
4 真空遮断器 5a 上部端子
5b 下部端子 6a 上部ブッシング
6b 下部ブッシング 7a,7b 中心導体
8a,8b 絶縁筒 9 シャッタ
10 支持碍子 11 主母線
12 分岐導体 13 ケーブル接続端子
14 接続導体 15 計器用変流器
16 外線ケーブル 17,19 上部主回路導体
17a,18a,19a 中心導体部 17b,19b 分岐導体部
17c,19c 主母線部 18 下部主回路導体。
18b 接続導体部 18c ケーブル接続端子部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
引出形の遮断器を出し入れ自由に収容する箱形の固定枠と、
前記遮断器の背面から導出した上部及び下部端子に対向して前記固定枠の後壁に貫設された上部及び下部ブッシングと、
前記固定枠の天板又は床板のいずれか一方の外面に絶縁支持された主母線と、
前記主母線に近い側の前記ブッシングの中心導体と前記主母線とを接続する分岐導体と、
前記固定枠の前記天板又は前記床板のいずれか他方の外面に固定された貫通型の計器用変流器及び絶縁支持されたケーブル接続端子と、
前記計器用変流器を貫通して前記計器用変流器に近い側の前記ブッシングの中心導体と前記ケーブル接続端子とを接続する接続導体と、が一体に組み立てられて主回路ユニットが構成され、
前記主回路ユニットが筐体に収納され、前記筐体の下方又は上方から引き込まれた外線ケーブルが前記ケーブル接続端子に接続されるように構成した金属閉鎖形スイッチギヤ。
【請求項2】
請求項1記載の金属閉鎖形スイッチギヤにおいて、
前記主母線と前記分岐導体と前記分岐導体が接続される前記ブッシングの中心導体とが一体に形成され、前記ケーブル接続端子と前記接続導体と前記接続導体が接続される前記ブッシングの中心導体とが一体に形成されていることを特徴とする金属閉鎖形スイッチギヤ。
【請求項3】
請求項2記載の金属閉鎖形スイッチギヤにおいて、
前記主母線と前記分岐導体と前記分岐導体が接続される前記ブッシングの中心導体とを一体に形成した導体の主母線部となる部分は、直前で幅方向に略90°捩り加工されて板面が垂直方向に向けられていることを特徴とする金属閉鎖形スイッチギヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−147566(P2012−147566A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3917(P2011−3917)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】