説明

金融取引処理装置、画面切替方法、及びプログラム

【課題】金融取引装置において、利用者にしつこさを感じさせることなく、かつ画面が切り替わったことを認識させやすくする。
【解決手段】画面表示部170は例えば表示パネルであり、複数の画面を順次表示する。第1の表示処理部150は、前後する2つの画面の類似度が基準値未満の場合に、これら2つの画面の合成比率を変えた複数の合成画面を順次表示していくことにより画面切替を行う。第2の表示処理部160は、前後する2つの画面の類似度が基準値以上の場合に、これら2つの画面の境界がわかるように2つの画面を入れ替えることにより画面切替を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者からの入力に従って金融取引処理を行う金融取引処理装置、画面切替方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ATM(Automated Teller Machine)などの金融取引装置は、様々な年齢層の人によって操作される。そのため、金融取引装置の操作に不慣れな人が操作を間違えないようにする必要がある。例えば特許文献1には、操作の速度に応じてガイダンスの表示や音声出力を行うことが記載されている。
【0003】
なお特許文献2には、金融取引装置ではないが、画面が切り替わったことを利用者に認識させるために、切替指示に応じた異なる効果をつけて表示内容を切り替えることが記載されている。具体的には、第1のアイコン群を消去した後に、第1のアイコン群とは異なる第2のアイコン群を動画表示させながら、第1のアイコン群が表示されていた位置に第2のアイコン群を配列させることが記載されている。
【0004】
また特許文献3には、金融取引装置ではないが、現表示画面と次表示画面の関連性を視覚的に表現する技術として、現表示画面の少なくとも一部を入力して得られた動画像を、次表示画面を表示する前に表示することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−195996号公報
【特許文献2】特開2007−52403号公報
【特許文献3】特開2010−9368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年はコンピュータ装置の処理速度が速くなり、そのため金融取引装置における画面切替の速度も速くなっている。このため、現在表示している画面と次に表示する画面が類似している場合、画面の切替速度が速いために画面が切り替わったことを利用者が認識できない可能性がある。利用者に誤った操作を行わせないためには、利用者に画面が切り替わったことを認識させる必要がある。一方、全ての画面切替において画面が切り替わったことを認識させる処理を行うと、利用者にしつこさを感じさせる可能性が出てくる。
【0007】
本発明の目的は、利用者にしつこさを感じさせることなく、かつ画面が切り替わったことを認識させやすくした金融取引装置、画面切替方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、利用者により操作される金融取引処理装置であって、
複数の画面を順次表示する画面表示手段と、
前後する2つの前記画面の類似度が基準値未満の場合に、これら2つの前記画面の合成比率を変えた複数の合成画面を順次表示していくことにより画面切替を行う第1の表示処理手段と、
前後する2つの前記画面の類似度が基準値以上の場合に、これら2つの前記画面の境界がわかるように前記2つの画面を入れ替えることにより画面切替を行う第2の表示処理手段と、
を備える金融取引処理装置が提供される。
【0009】
本発明によれば、利用者により操作される金融取引処理装置の画面切替方法であって、
前記金融取引処理装置は、前後する2つの画面の類似度が基準値未満の場合に、これら2つの前記画面の合成比率を変えた複数の合成画面を順次表示していくことにより画面切替を行い、
前記金融取引処理装置は、前後する2つの前記画面の類似度が基準値以上の場合に、これら2つの前記画面の境界がわかるように前記2つの画面を入れ替えることにより画面切替を行う画面切替方法が提供される。
【0010】
本発明によれば、コンピュータを、利用者により操作される金融取引処理装置として機能させるプログラムであって、
前記金融取引処理装置は画面表示手段を有しており、
前記コンピュータに、
前後する2つの画面の類似度が基準値未満の場合に、これら2つの前記画面の合成比率を変えた複数の合成画面を順次表示していくことにより画面切替を行わせる機能と、
前後する2つの前記画面の類似度が基準値以上の場合に、これら2つの前記画面の境界がわかるように前記2つの画面を入れ替えることにより画面切替を行わせる機能と、
を実現させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、金融取引装置において、利用者にしつこさを感じさせることなく、かつ画面が切り替わったことを認識させやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態に係る金融取引処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【図2】切替情報記憶部が記憶している情報をテーブル形式で示す図である。
【図3】表示中の画面と次の画面の類似度が基準値未満の場合の一例を示す図である。
【図4】表示中の画面と次の画面の類似度が基準値以上の場合の一例を示す図である。
【図5】図1に示した金融取引装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0014】
図1は、実施形態に係る金融取引処理装置の機能構成を示すブロック図である。この金融取引処理装置は、利用者により操作される装置であって、画面表示部170、第1の表示処理部150、及び第2の表示処理部160を備える。画面表示部170は例えば表示パネルであり、複数の画面を順次表示する。第1の表示処理部150は、前後する2つの画面の類似度が基準値未満の場合に、これら2つの画面の合成比率を変えた複数の合成画面を順次表示していくことにより画面切替を行う。第2の表示処理部160は、前後する2つの画面の類似度が基準値以上の場合に、これら2つの画面の境界がわかるように2つの画面を入れ替えることにより画面切替を行う。以下、詳細に説明する。
【0015】
図1に示す金融取引処理装置は、さらに画面データ記憶部110、切替情報記憶部120、入力部130、及び切替制御部140を備えている。
【0016】
画面データ記憶部110は、画面表示部170が表示すべき各画面のデータを有している。この画面データは、例えばビットマップである。ただし画面データ記憶部110が記憶する画面データは、ビットマップに変換できるフォーマットであればどのようなフォーマットであってもよい。
【0017】
切替情報記憶部120は、前後する2つの画面の組み合わせ別に切替情報を記憶している。切替情報は、第1の表示処理部150と第2の表示処理部160のいずれによる切替処理が行われるかを示している。
【0018】
入力部130は、例えばタッチパネルであり、利用者から各種の入力を受け付ける。ここで入力される情報には、次にどの画面を表示すべきかを示す情報が含まれている。
【0019】
切替制御部140は、画面表示部170が現在表示している画面を特定する情報を保持している。そして切替制御部140は、保持している情報と、入力部130が受け付けた入力に基づいて、前後する2つの画面の組み合わせを認識する。そして切替制御部140は、認識した組み合わせに対応する切替情報を切替情報記憶部120から読み出す。そして切替制御部140は、第1の表示処理部150及び第2の表示処理部160のうち、読み出した切替情報が示す表示処理部に切替処理を行わせる。
【0020】
なお、図1において、本発明の本質に関わらない部分の構成については省略している。図1に示した金融取引装置の各構成要素は、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。金融取引装置の各構成要素は、任意のコンピュータのCPU、メモリ、メモリにロードされた本図の構成要素を実現するプログラム、そのプログラムを格納するハードディスクなどの記憶ユニット、ネットワーク接続用インタフェースを中心にハードウエアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。
【0021】
図2は、切替情報記憶部120が記憶している情報をテーブル形式で示す図である。上記したように、切替情報記憶部120は、前後する2つの画面の組み合わせ別に切替情報を記憶している。本実施形態において第2の表示処理部160は、複数の方式により2つの画面を入れ替えることができる。そして切替情報記憶部120は、切替情報が第2の表示処理部による切替処理が行われることを示しているときに、さらにいずれの方式による切替処理が行われるかを示す情報を記憶している。
【0022】
具体的には、第2の表示処理部160は、例えば「回転」及び「スライド」という方式で表示切替を行う。「回転」は、現在表示中の画面が回転しながら消えていき、その後次に表示される画面が表示されるものである。「スライド」は、次に表示される画面が指定された方向からスライドしてきて現在表示中の画面の上に位置するものである。
【0023】
その他に、第2の表示処理部160は「スライドバック」、「ロール」、及び「ロールバック」という方式で画面切替を行うことができる。「スライドバック」は、現在表示中の画面が指定された方向にスライドされていき、その下から次の画面が出てくるものである。「ロール」は、指定された方向から順次、現在の画面の上に次に表示される画面が上書きされていくものである。「ロールバック」は、指定された方向から順次、現在の画面が消えていき、その下から次に表示される画面がでてくるものである。
【0024】
なお、第1の表示処理部150は、上記したように2つの画面の合成比率を変えた複数の合成画面を順次表示していくことにより画面切替を行う。この処理は、具体的には、現在表示中の画面の比率を100%としており、かつ次に表示される画面の比率を0%とした画面を初期画面としている。そして現在表示中の画面の比率を徐々に下げながら合成画面を順次生成し、これらの合成画面を順次表示していく。そして最終的には、現在表示中の画面の比率を0%として、次に表示される画面の比率を100%とした画面が表示される。この処理は、透過方式とも呼ぶことができ、視覚的には、現在表示中の画面の下から次の画面が表示されていくように見える。第1の表示処理部150は、この処理を、150ミリ秒以上500ミリ秒以下の間に完了させる。この時間は、例えば外部入力により設定可能である。
【0025】
図3は、現在表示中の画面と次の画面の類似度が基準値未満の場合の一例を示している。図3(a)は現在表示中の画面としてATMの初期画面を示している。図3(b)は次の画面として、暗証番号変更の最初の画面を示している。これらの画面構成は大きく異なるため、どのような方式で画面切替を行ったとしても、金融取引装置の利用者は画面が切り替わったことを認識できる。このような場合、金融取引装置は、第1の表示処理部150を用いて画面切替を行う。
【0026】
図4は、現在表示中の画面と次の画面の類似度が基準値以上の場合の一例を示している。図4(a)は現在表示中の画面として暗証番号変更の最初の画面を示している。図4(b)は次の画面として、暗証番号変更の2番目の画面を表示している。これらの画面構成は、図柄の部分がほとんど同じであるため、金融取引装置の利用者は画面が切り替わったことを認識できない可能性がある。このような場合、金融取引装置は、第2の表示処理部160を用いて画面切替を行う。
【0027】
図5は、図1に示した金融取引装置の動作の一例を示すフローチャートである。この図に示す処理において、画面表示部170は、常に何らかの画面を表示している。そして切替制御部140は、画面表示部170が現在表示している画面を特定する情報を保持している。
【0028】
利用者は、画面表示部170に表示されている画面を見て、入力部130に対して画面の切替指示の入力を行う(ステップS10)。この入力の中には、次にどの画面が表示されるかを示す情報が含まれている。切替制御部140は、次に表示させるべき画面の画面データと、現在表示中の画面の画面データとを、画面データ記憶部110から読み出す(ステップS20)。なお切替制御部140は、現在表示中の画面の画面データを予め保持していてもよい。この場合、ステップS20において切替制御部140は、現在表示中の画面の画面データを読み出す必要はない。
【0029】
また切替制御部140は、ステップS10において入力された情報と、予め保持している現在表示している画面を特定する情報と、を用いて、前後する2つの画面の組み合わせを認識する。そして切替制御部140は、認識した組み合わせに対応する切替情報を切替情報記憶部120から読み出す(ステップS30)。そして読み出した切替情報に基づいて、第1の表示処理部150と第2の表示処理部160のいずれに画面切替を行わせるかを決定する(ステップS40)。
【0030】
次いで切替制御部140は、ステップS40において決定した表示処理部に、ステップS20において読み出した2つの画面データを、いずれが現在表示中の画面であるかを特定する情報と共に出力する。なお第2の表示処理部160に画面切替を行わせる場合、切替制御部140は、いずれの方式で画面切替を行うかを示す情報も、第2の表示処理部160に出力する。これらの情報を受け取った表示処理部は、画面の切替処理を行う(ステップS50)。
【0031】
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。本実施形態によれば、前後する2つの画面の類似度が基準値未満の場合、第1の表示処理部150が、これら2つの画面の合成比率を変えた複数の合成画面を順次表示していくことにより画面切替を行う。また前後する2つの画面の類似度が基準値以上の場合、第2の表示処理部160が、これら2つの画面の境界がわかるように2つの画面を入れ替えることにより画面切替を行う。従って、利用者にしつこさを感じさせることなく、かつ画面が切り替わったことを認識させやすくすることができる。
【0032】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。例えば前後する2つの画面の類似度を、これら2つの画面を示すビットマップデータを比較することにより金融取引処理装置が算出するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0033】
110 画面データ記憶部
120 切替情報記憶部
130 入力部
140 切替制御部
150 第1の表示処理部
160 第2の表示処理部
170 画面表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者により操作される金融取引処理装置であって、
複数の画面を順次表示する画面表示手段と、
前後する2つの前記画面の類似度が基準値未満の場合に、これら2つの前記画面の合成比率を変えた複数の合成画面を順次表示していくことにより画面切替を行う第1の表示処理手段と、
前後する2つの前記画面の類似度が基準値以上の場合に、これら2つの前記画面の境界がわかるように前記2つの画面を入れ替えることにより画面切替を行う第2の表示処理手段と、
を備える金融取引処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の金融取引処理装置であって、
前記第1の表示処理手段は、150ミリ秒以上500ミリ秒以下の間に画面切替を完了させる金融取引処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の金融取引処理装置において、
前後する2つの前記画面の組み合わせ別に、前記第1の表示処理手段と前記第2の表示処理手段のいずれによる切替処理が行われるかを示す切替情報を記憶する切替情報記憶手段と、
利用者からの入力を受け付ける入力手段と、
前記入力手段が受け付けた入力に従って、前後する2つの前記画面の組み合わせを認識し、認識した組み合わせに対応する前記切替情報を前記切替情報記憶手段から読み出し、前記第1の表示処理手段及び前記第2の表示処理手段のうち、読み出した前記切替情報が示す表示処理手段に切替処理を行わせる切替制御手段と、
をさらに備える金融取引処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の金融取引処理装置において、
前記第2の表示処理手段は、複数の方式により前記2つの画面を入れ替えることができ、
前記切替情報記憶手段は、前記切替情報が前記第2の表示処理部による切替処理が行われることを示しているときに、さらにいずれの方式による切替処理が行われるかを示す情報を記憶している金融取引処理装置。
【請求項5】
利用者により操作される金融取引処理装置の画面切替方法であって、
前記金融取引処理装置は、前後する2つの画面の類似度が基準値未満の場合に、これら2つの前記画面の合成比率を変えた複数の合成画面を順次表示していくことにより画面切替を行い、
前記金融取引処理装置は、前後する2つの前記画面の類似度が基準値以上の場合に、これら2つの前記画面の境界がわかるように前記2つの画面を入れ替えることにより画面切替を行う画面切替方法。
【請求項6】
コンピュータを、利用者により操作される金融取引処理装置として機能させるプログラムであって、
前記金融取引処理装置は画面表示手段を有しており、
前記コンピュータに、
前後する2つの画面の類似度が基準値未満の場合に、これら2つの前記画面の合成比率を変えた複数の合成画面を順次表示していくことにより画面切替を行わせる機能と、
前後する2つの前記画面の類似度が基準値以上の場合に、これら2つの前記画面の境界がわかるように前記2つの画面を入れ替えることにより画面切替を行わせる機能と、
を実現させるプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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