説明

針状酸化亜鉛の製造方法

【課題】アスペクト比が4以上の針状酸化亜鉛の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明によれば、水酸化物イオン/亜鉛イオンモル比を1.50〜1.85の範囲に保つと共に、得られる混合物のpHを6.0から8.0の範囲に保ちながら、55℃以下の温度にて亜鉛塩水溶液とアルカリ水溶液を反応槽に同時に加えることを特徴とするアスペクト比が4以上の針状酸化亜鉛の製造方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性材料基材や放熱材料、充填剤等として有用なアスペクト比が4以上の針状酸化亜鉛の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、酸化亜鉛は、例えば、ゴムの加硫促進剤、塗料やインキ用の顔料、種々の電子部品のための原料、合成樹脂への充填剤等として、種々の産業分野において広く用いられており、特に、微細な針状酸化亜鉛は、例えば、導電性材料基材や放熱材料、充填剤等として有用である。
【0003】
針状酸化亜鉛は、従来、主として、乾式法にて製造されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、乾式法においては、基本的には、亜鉛を高温度に加熱し、亜鉛蒸気を生成させ、これをキャリヤガスにて燃焼室に導いて、燃焼させて、針状酸化亜鉛を製造するものである。従って、このような方法によれば、得られる酸化亜鉛粒子が相互に焼結しやすいので、粒子の形状や粒度を一定に保つことが困難であるほか、用いる装置が複雑で高価とならざるを得ず、かくして、製造費用も嵩むものとなる。
【0004】
そこで、近年、このような乾式法による針状酸化亜鉛の製造における問題を解決するために、湿式法による針状酸化亜鉛の製造が幾つか提案されている。例えば、一つの方法として、メタノール/水混合溶媒に酸化亜鉛と炭酸アンモニウムとアンモニア水を溶解させ、これに炭酸ガスを吹き込んで、沈殿として針状の炭酸亜鉛モノアンミン錯体を得、これを空気中で焼成することによって、針状酸化亜鉛を得る方法が提案されている(特許文献2参照)。しかし、この方法によれば、得られる針状酸化亜鉛は、その粒度が尚、大きく、また、収率も低い。
【0005】
別の方法として、硝酸亜鉛のような水溶性亜鉛塩を尿素と共に水に溶解し、加熱して、針状酸化亜鉛を析出させる方法も知られている(特許文献3参照)。しかし、この方法によっても、得られる針状酸化亜鉛は、その粒度が依然として大きいうえに、収率も低い。
【0006】
また、塩化亜鉛のような水溶性亜鉛塩の水溶液に60℃以上の温度でアルカリ水溶液を徐々に加えて反応させ、最終的にpHを9以上として、針状酸化亜鉛を得る方法も提案されている(特許文献4参照)。しかし、この方法によれば、反応条件が経時的に変化するので、得られる酸化亜鉛粒子のアスペクト比や粒度が一定しないうえに、比表面積とアスペクト比が十分に大きくはなく、しかも、反応に長時間を要するので、工業的に針状酸化亜鉛を製造する方法としては難点がある。
【特許文献1】特開昭56−120518号公報
【特許文献2】特開平05−17298号公報
【特許文献3】特開2002−274847号公報
【特許文献4】特開平04−164816号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、針状酸化亜鉛の製造における上述した問題を解決するためになされたものであって、アスペクト比が4以上の針状酸化亜鉛を工業的に有利に製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、水酸化物イオン/亜鉛イオンモル比を1.50〜1.85の範囲に保つと共に、得られる混合物のpHを6.0から8.0の範囲に保ちながら、55℃以下の温度にて亜鉛塩水溶液とアルカリ水溶液を反応槽に同時に加えることを特徴とするアスペクト比が4以上の針状酸化亜鉛の製造方法が提供される。
【0009】
更に、本発明によれば、上述した方法において、亜鉛塩水溶液とアルカリ水溶液を超音波照射下に反応槽に同時に加える針状酸化亜鉛の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、アスペクト比が4以上の針状酸化亜鉛を工業的に有利に効率よく得ることができる。このような針状酸化亜鉛は、例えば、導電性材料基材や放熱材料、充填剤等として好適に用いられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明によるアスペクト比が4以上の針状酸化亜鉛の製造方法は、水酸化物イオン/亜鉛イオンモル比を1.50〜1.85の範囲に保つと共に、得られる混合物のpHを6.0から8.0の範囲に保ちながら、55℃以下の温度にて亜鉛塩水溶液とアルカリ水溶液を反応槽に同時に加えるものである。
【0012】
このような本発明の方法によれば、通常、平均長径が100〜800nmの範囲にあり、平均短径が10〜200nmの範囲にあり、平均長径/平均短径で定義されるアスペクト比が4〜20の範囲にあり、BET法による比表面積が5〜50m2/g、好ましくは、10〜50m2/gの範囲にある針状酸化亜鉛を得ることができる。
【0013】
本発明による針状酸化亜鉛の製造に用いる上記亜鉛塩としては、水溶性であれば、特に限定されるものではないが、好ましくは、塩化物、硝酸塩、硫酸塩等のような無機酸塩や、また、ギ酸亜鉛や酢酸亜鉛のような有機酸塩が好ましく用いられる。このような亜鉛塩は、通常、0.01〜6.0モル/L濃度の水溶液として用いられる。また、本発明による微細針状酸化亜鉛の製造に用いる上記アルカリとしては、通常、アルカリ金属水酸化物が好ましく用いられ、特に、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等が好ましく用いられる。このようなアルカリは、通常、0.01〜18モル/L濃度の水溶液として用いられる。本発明によれば、反応に用いる亜鉛塩水溶液とアルカリ水溶液の濃度を高くするにつれて、より微細な針状酸化亜鉛を得ることができる。
【0014】
本発明による針状酸化亜鉛の製造においては、上記亜鉛塩水溶液とアルカリ水溶液を、水酸化物イオン/亜鉛イオンモル比を1.50〜1.85の範囲に保つと共に、得られる混合物のpHを6.0から8.0の範囲、好ましくは、6.5から7.5の範囲に保ちながら、55℃以下の温度にて、好ましくは、55〜35℃の範囲の温度にて、反応槽に同時に加える。詳しくは、例えば、バッチ方式による場合は、予め、反応槽に水を張っておき、この水に同時に加えられる亜鉛塩水溶液とアルカリ水溶液が速やかに混合され、接触するように、十分に攪拌しながら、これに亜鉛塩水溶液とアルカリ水溶液とをそれぞれ所定の割合にて同時に加えることによって、針状酸化亜鉛を得ることができる。このように亜鉛塩水溶液とアルカリ水溶液を反応槽に同時に加えることは、連続方式でも同様に行うことができる。
【0015】
このように、本発明によれば、反応の間を通じて、用いる亜鉛塩とアルカリの比率を一定に保つので、粒度やアスペクト比における変動を抑えて、それらが一定した酸化亜鉛粒子を得ることができる。
【0016】
一般に、亜鉛塩とアルカリとの反応は実質的に瞬時に完了するが、ある量の亜鉛塩水溶液とある量のアルカリ水溶液とを上述したようにして反応槽に同時に加えて反応させて、目的とする針状酸化亜鉛を工業的に効率よく製造するには、ある程度の時間をかけて、上記亜鉛塩水溶液とアルカリ水溶液のそれぞれ全量を反応槽に加えることが望ましい。しかし、本発明によれば、上記亜鉛塩水溶液とアルカリ水溶液のそれぞれ全量を反応槽に加えるための時間は短くてよく、具体的には、反応に供する亜鉛塩水溶液とアルカリ水溶液のそれぞれの濃度や量にもよるが、例えば、1モル/L程度の濃度の亜鉛塩水溶液1Lと3.6モル/L程度の濃度のアルカリ水溶液0.75Lとを同時中和するために要する時間は、通常、数分程度であり、例えば、1分から2分程度である。即ち、本発明によれば、反応時間が著しく短く、従って、針状酸化亜鉛を生産性よく工業的に製造することができる。
【0017】
針状酸化亜鉛の製造において、上記亜鉛塩水溶液とアルカリ水溶液を反応槽に同時に加える際に、水酸化物イオン/亜鉛イオンモル比が1.50よりも小さいときは、得られる酸化亜鉛粒子が過度に大きくなる。また、得られる酸化亜鉛粒子のアスペクト比が小さくなる傾向がある。他方、針状酸化亜鉛の製造において、上記亜鉛塩水溶液とアルカリ水溶液を反応槽に同時に加える際に、水酸化物イオン/亜鉛イオンモル比が1.85よりも大きいときは、針状酸化亜鉛を得ることができない。即ち、得られる酸化亜鉛は、針状性のない粒子である。
【0018】
また、針状酸化亜鉛の製造において、上記亜鉛塩水溶液とアルカリ水溶液を反応槽に同時に加える際に、得られる混合物のpHが6.0よりも小さいときは、得られる酸化亜鉛粒子が過度に大きくなる傾向がある。しかし、得られる混合物のpHが8.0よりも大きいときは、針状酸化亜鉛を得ることができない。
【0019】
更に、針状酸化亜鉛の製造において、上記亜鉛塩水溶液とアルカリ水溶液を反応槽に同時に加える際に、反応温度が55℃を超えるときも、得られる酸化亜鉛粒子が過度に大きくなる傾向がある。
【0020】
本発明によれば、前述したように、亜鉛塩水溶液とアルカリ水溶液を反応槽に同時に加えて反応させる際に、これを超音波照射下に行うことによって、特に、微細な針状酸化亜鉛を得ることができる。超音波照射に用いる超音波の周波数は、特に限定されるものではなく、15kHzから1MHzの範囲にわたってよいが、通常、20〜300kHzの範囲が適当であり、なかでも、20〜100kHzの範囲が適当である。
【0021】
このように、本発明によれば、亜鉛塩水溶液とアルカリ水溶液を超音波照射下に反応槽に同時に加えることによって、通常、平均長径が100〜250nmの範囲にあり、平均短径が10〜50nmの範囲にありあり、アスペクト比が4〜20の範囲にある微細針状酸化亜鉛を得ることができる。
【0022】
このような微細針状酸化亜鉛は、例えば、放熱材料としてインキや塗料等に用いた場合や、導電性材料基材として用いた場合、例えば、導電性ペーストに用いた場合は、塗膜表面の平滑性や透明性が向上し、また、補強用の充填剤として用いた場合には、塗膜強度が向上するので、塗膜厚みを薄くすることができ、更に、微細針状酸化亜鉛は、塗膜中において相互の接触機会が大きいので、少量の使用量にて所要の放熱性や導電性を得ることができる。
【実施例】
【0023】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
【0024】
以下において、得られた酸化亜鉛の平均長径、平均短径及びアスペクト比は以下のようにして測定した。即ち、透過型電子顕微鏡写真撮影装置(日本電子(株)製JEM−100SX)用いて、一つの酸化亜鉛の試料を80000倍の倍率で5視野撮影し、それぞれ画像部分が短辺12cm、長辺16.5cmの写真とした。それぞれの写真1枚につき、それぞれの短辺及び長辺の中間点からそれぞれの短辺及び長辺に対して平行線を引き、更に、対角線を2本引き、合計4本の直線に重なっている粒子の短径及び長径をノギスを用いて測定した。但し、同一の粒子に複数の線が重なっているときは、その粒子について、重複して測定しないこととし、このようにして、5枚の写真にて100〜150個の粒子の全てについて、短径及び長径を測定し、その測定値の平均値をその酸化亜鉛の試料の平均短径及び平均長径とした。また、その平均長径の値を平均短径の値で割った値をその酸化亜鉛の試料のアスペクト比とした。尚、上記倍率によれば、125nmが1cmで表される写真となり、測定値は、0.01cmまで読み取り、平均の際には、小数点第2桁目を四捨五入した。また、アスペクト比は、有効数字2桁とし、3桁目を四捨五入した。
【0025】
また、比表面積は、マイクロメリティック社製GEMINI2360を用いて測定し、X線回折装置は理学(株)製RAD IICを用いた。反応時の反応槽中の混合物のpHは、東亜ディーケーケー(株)製ガラス電極式水素イオン濃度指示計を用いて測定した。
【0026】
実施例1
3L容量の反応槽に温度55℃の水300mLを張り込み、十分な攪拌下に超音波照射機(日本精機(株)製US−600T)を用いて周波数20kHzの超音波を照射しながら、反応槽に135g/L濃度の塩化亜鉛水溶液1500mL(塩化亜鉛として1.48モル)と142g/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液750mL(水酸化ナトリウムとして2.66モル)を2分間かけて同時に投入して、沈殿を生成させた。この間、反応槽中の混合物のpHは、6.8から7.5の間にあった。
【0027】
このようにして生成した沈殿を濾過、水洗、乾燥して、白色粉体を得た。この粉体についてX線回折を行って、酸化亜鉛であることを確認した。この酸化亜鉛の窒素吸着法による比表面積(以下、同じ)は40m2/gであった。また、この酸化亜鉛の平均短径は29.5nm、平均長径は153.4nm、アスペクト比は5.2であった。
【0028】
実施例2
実施例1において、超音波照射を行わなかった以外は、同様にして、白色粉体を得た。この粉体も、X線回折から、酸化亜鉛であることを確認した。この酸化亜鉛の比表面積は28m2/gであり、平均短径は31.2nm、平均長径は301.6nm、アスペクト比は9.7であった。
【0029】
実施例3
実施例1において、142g/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液750mL(水酸化ナトリウムとして2.66モル)に代えて、131g/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液750mL(水酸化ナトリウムとして2.46モル)を用いた以外は、同様にして、酸化亜鉛を得た。この酸化亜鉛の比表面積は31m2/gであり、平均短径は38.6nm、平均長径は227.7nm、アスペクト比は5.9であった。
【0030】
実施例4
実施例1において、135g/L濃度の塩化亜鉛水溶液1500mL(塩化亜鉛として1.48モル)に代えて、362g/L濃度の酢酸亜鉛水溶液1500mL(酢酸亜鉛として2.96モル)を用いると共に、142g/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液750mL(水酸化ナトリウムとして2.66モル)に代えて、284g/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液750mL(水酸化ナトリウムとして5.33モル)を用いた以外は、同様にして、酸化亜鉛を得た。この酸化亜鉛の比表面積は21m2/gであり、平均短径は45.1nm、平均長径191.3nm、アスペクト比は4.2であった。
【0031】
実施例5
実施例1において、135g/L濃度の塩化亜鉛水溶液1500mL(塩化亜鉛として1.48モル)に代えて、318g/L濃度の硫酸亜鉛水溶液1500mL(硫酸亜鉛として2.98モル)を用いると共に、142g/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液750mL(水酸化ナトリウムとして2.66モル)に代えて、284g/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液750mL(水酸化ナトリウムとして5.33モル)を用いた以外は、同様にして、酸化亜鉛を得た。この酸化亜鉛の比表面積は29m2/gであり、平均短径は40.6nm、平均長径は230.1nm、アスペクト比は5.7であった。
【0032】
実施例6
実施例1において、135g/L濃度の塩化亜鉛水溶液1500mL(塩化亜鉛として1.48モル)に代えて、374g/L濃度の硝酸亜鉛水溶液1500mL(硝酸亜鉛として2.96モル)を用いると共に、142g/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液750mL(水酸化ナトリウムとして2.66モル)に代えて、284g/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液750mL(水酸化ナトリウムとして5.33モル)を用いた以外は、同様にして、酸化亜鉛を得た。この酸化亜鉛の比表面積は33m2/gであり、平均短径は37.2nm、平均長径は152.5nm、アスペクト比は4.1であった。
【0033】
実施例7
実施例1において、142g/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液750mL(水酸化ナトリウムとして2.66モル)に代えて、126g/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液750mL(水酸化ナトリウムとして2.37モル)を用いた以外は、同様にして、酸化亜鉛を得た。この酸化亜鉛の比表面積は13m2/gであり、平均短径は93.1nm、平均長径437.2nm、アスペクト比は4.7であった。
【0034】
実施例8
実施例1において、135g/L濃度の塩化亜鉛水溶液1500mL(塩化亜鉛として1.48モル)に代えて、181g/L濃度の酢酸亜鉛水溶液1500mL(酢酸亜鉛として1.48モル)を用いた以外は、同様にして、酸化亜鉛を得た。この酸化亜鉛の比表面積は11m2/gであり、平均短径は45.9nm、平均長径198.4nm、アスペクト比は4.3であった。
【0035】
実施例9
実施例1において、135g/L濃度の塩化亜鉛水溶液1500mL(塩化亜鉛として1.48モル)に代えて、163g/L濃度の硫酸亜鉛水溶液1500mL(硫酸亜鉛として1.48モル)を用いると共に、超音波照射を行わなかった以外は、同様にして、酸化亜鉛を得た。この酸化亜鉛の比表面積は12m2/gであり、平均短径は98.2nm、平均長径は402.3nm、アスペクト比は4.1であった。
【0036】
実施例10
実施例1において、135g/L濃度の塩化亜鉛水溶液1500mL(塩化亜鉛として1.48モル)に代えて、189g/L濃度の硝酸亜鉛水溶液1500mL(硝酸亜鉛として1.48モル)を用いた以外は、同様にして、酸化亜鉛を得た。この酸化亜鉛の比表面積は10m2/gであり、平均短径は80.9nm、平均長径は363.8nm、アスペクト比は4.5であった。
【0037】
実施例11
実施例1において、135g/L濃度の塩化亜鉛水溶液1500mL(塩化亜鉛として1.48モル)に代えて、181g/L濃度の酢酸亜鉛水溶液1500mL(酢酸亜鉛として1.48モル)を用いると共に、142g/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液750mL(水酸化ナトリウムとして2.66モル)に代えて、126g/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液750mL(水酸化ナトリウムとして2.37モル)を用いた以外は、同様にして、酸化亜鉛を得た。この酸化亜鉛の比表面積は6m2/gであり、平均短径は132.2nm、平均長径は588.6nm、アスペクト比は4.5であった。
【0038】
比較例1
実施例1において、142g/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液750mL(水酸化ナトリウムとして2.66モル)に代えて、158g/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液750mL(水酸化ナトリウムとして2.96モル)を用いた以外は、同様にして、酸化亜鉛を得た。しかし、この酸化亜鉛は粒状であった。比表面積は20m2/gであった。
【0039】
比較例2
実施例1において、135g/L濃度の塩化亜鉛水溶液1500mL(塩化亜鉛として1.48モル)に代えて、181g/L濃度の酢酸亜鉛水溶液1500mL(酢酸亜鉛として1.48モル)を用いると共に、142g/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液750mL(水酸化ナトリウムとして2.66モル)に代えて、158g/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液750mL(水酸化ナトリウムとして2.96モル)を用いた以外は、同様にして、酸化亜鉛を得た。しかし、この酸化亜鉛は粒状であった。比表面積は18m2/gであった。
【0040】
比較例3
実施例1において、135g/L濃度の塩化亜鉛水溶液1500mL(塩化亜鉛として1.48モル)に代えて、189g/L濃度の硝酸亜鉛水溶液1500mL(硝酸亜鉛として1.48モル)を用いると共に、142g/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液750mL(水酸化ナトリウムとして2.66モル)に代えて、158g/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液750mL(水酸化ナトリウムとして2.96モル)を用いた以外は、同様にして、酸化亜鉛を得た。しかし、この酸化亜鉛は粒状であった。比表面積は18m2/gであった。
【0041】
比較例4
実施例1において、142g/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液750mL(水酸化ナトリウムとして2.66モル)に代えて、110g/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液750mL(水酸化ナトリウムとして2.07モル)を用いた以外は、同様にして、酸化亜鉛を得た。この酸化亜鉛の比表面積は4m2/gであり、平均短径は242.7nm、平均長径は989.4nm、アスペクト比は4.1であった。
【0042】
比較例5
3L容量の反応槽に161g/L濃度の硫酸亜鉛水溶液1000mL(硫酸亜鉛として1.0モル)を仕込み、加熱して、100℃に保った。この硫酸亜鉛水溶液を十分に攪拌しながら、これに40g/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液1900mL(水酸化ナトリウムとして1.9モル)を2時間かけて滴下した後、得られた混合物を100℃の温度で30分間保持して、最終的にpHを6.2として沈殿を生成させた。
【0043】
このようにして生成した沈殿を濾過、水洗、乾燥して、酸化亜鉛を白色粉体として得た。この酸化亜鉛の比表面積は10m2/gであった。また、この酸化亜鉛の平均短径は83.5nm、平均長径は230.5nm、アスペクト比は2.8であった。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】実施例1において得られた本発明による微細針状酸化亜鉛の透過型電子顕微鏡写真(倍率80000倍)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水酸化物イオン/亜鉛イオンモル比を1.50〜1.85の範囲に保つと共に、得られる混合物のpHを6.0から8.0の範囲に保ちながら、55℃以下の温度にて亜鉛塩水溶液とアルカリ水溶液を反応槽に同時に加えることを特徴とするアスペクト比が4以上の針状酸化亜鉛の製造方法。
【請求項2】
亜鉛塩水溶液とアルカリ水溶液を超音波照射下に反応槽に同時に加える請求項1に記載の針状酸化亜鉛の製造方法。


【図1】
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