説明

針装置

【課題】内ハブの外周面における気泡の滞留を防止することができる針装置を提供する。
【解決手段】先端に針が取り付けられた内ハブ9と、内ハブ9が収納されている筒状の本体とを備え、内ハブ9は、内ハブ9の径方向に貫通した貫通孔22と、貫通孔22の開口と内ハブ9の先端26との間に形成され、内ハブ9の外周面23から突出した突起25とを含む。内ハブ9に突起25を形成したことにより、内ハブ9に形成した貫通孔22の開口から流出した液体を、突起25の両側に分流させ、内ハブ9の周方向に進む流れも促進させることができる。このことにより、内ハブ9の周方向における気泡の排出が促進され、内ハブ9の外周面23における気泡の滞留を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、針が一体になった内ハブを筒状の本体内に備えた針装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療用の針装置として、例えば留置針装置が知られている。留置針装置は、輸液や輸血の際に用いられる。留置針装置には、筒状の本体の先端から針部分を突出させ、この針部分を軟質の外針と硬質の内針とで二重構造にしたものがある(特許文献1、2参照)。
【0003】
このような留置針装置では、軟質の外針から突出した硬質の内針を、患者の腕等に穿刺することにより、硬質の内針とともに軟質の外針も穿刺することができる。さらに、硬質の内針を筒状の本体内に引き込むことにより、軟質の外針のみを穿刺部分に留置することができ、患者が動いた際においても、穿刺部分の痛みを和らげることができ、血管の損傷も防止できることになる。
【0004】
一方、硬質の内針はチューブが接続された内ハブと一体になっている。硬質の内針を筒状の本体内に引き込む際には内ハブを移動させ、これと一体になって、硬質の内針が筒状の本体内に引き込まれることになる。
【0005】
前記のような留置針装置では、患者へ投与する薬液等は、内ハブに接続されたチューブから内ハブ内へ供給され、内ハブを経て軟質の外針を通り、患者へ投与されることになる。この薬液等の投与の際に、留置針装置内に空気があると、薬液等とともに空気が血管に入ってしまうことになる。
【0006】
このため、穿刺に先立って留置針装置内を、あらかじめ生理食塩水、栄養剤等の液体で満たしておくプライミングと呼ばれる操作をすることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−297062号公報
【特許文献2】再公表WO2007/083770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記のような従来の留置針装置の構成では、プライミング操作をしても、留置針装置内の気泡を排出するのが困難な場合があった。これは、留置針装置内に注入された液体は、内ハブを経て排出されるためである。具体的には、注入された液体は、いったん内ハブ内に流入し、内ハブに形成した孔から流出し、内ハブの外周面と筒状の本体との間の隙間を経て、外針内に至ることになる。この場合、内ハブの外周面に液体が十分に行き渡らず、内ハブの外周面に気泡が滞留し続ける場合があった。
【0009】
本発明は、前記のような従来の問題を解決するものであり、内ハブの外周面における気泡の滞留を防止することができる針装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明の針装置は、先端に針が取り付けられた内ハブと、前記内ハブが収納されている筒状の本体とを備え、前記内ハブは、前記内ハブの径方向に貫通した貫通孔と、前記貫通孔の開口と前記内ハブの先端との間に形成され、前記内ハブの外周面から突出した突起とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、内ハブの外周面における気泡の滞留を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施の形態に係る留置針装置1の外観斜視図。
【図2】図1に示した留置針装置1の長手方向の断面図。
【図3】図2に示した留置針装置1の先端側の拡大図。
【図4】図2の状態から内針8をシールド筒4に引き込んだ状態を示す断面図。
【図5】本発明の一実施の形態に係る内ハブ9近傍の拡大断面図であり、内ハブ9の貫通孔22の軸方向における拡大断面図。
【図6】本発明の一実施の形態に係る内ハブ9近傍の拡大断面図であり、内ハブ9の貫通孔22の径方向における拡大断面図。
【図7】本発明の一実施の形態に係る内ハブ9の拡大斜視図。
【図8】比較例に係る内ハブ100の拡大斜視図。
【図9】本発明の別の実施の形態に係る内ハブ40の拡大斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明によれば、内ハブに突起を形成したことにより、内ハブに形成した貫通孔の開口から流出した液体を、突起の両側に分流させ、内ハブの周方向に進む流れを促進させることができる。このことにより、内ハブの周方向における気泡の排出が促進されることになる。すなわち、本発明によれば、プライミング操作による液体の充填により、空気と液体との置換が確実になり、内ハブの外周面に気泡が滞留することを防止することができる。
【0014】
前記本発明の針装置においては、前記内ハブは、前記内ハブの外周面を窪ませた凹部を備えており、前記突起は、前記凹部から突出していることが好ましい。この構成によれば、内ハブの外径寸法を維持した状態で、突起を形成することができる。
【0015】
また、前記突起は、前記貫通孔の開口から流出した液体を前記内ハブの周方向に導くように配置されていることが好ましい。
【0016】
また、前記突起を平面視したときに、前記突起の壁面と前記貫通孔の開口とが対向していることが好ましい。この構成によれば、貫通孔から流出した液体の流れが突起の壁面により規制され、突起の両側に分流した流れが生じ、内ハブの周方向に進む液体の流れを促進させることができる。
【0017】
また、前記内ハブの周方向において、前記貫通孔の開口は前記凹部に挟まれていることが好ましい。この構成によれば、凹部が液体の流れを内ハブの周方向に案内する溝の役割を果たし、内ハブの周方向に進む液体の流れの促進に有利になる。
【0018】
また、前記内ハブを平面視したときに、前記内ハブの中心軸上において、前記突起と前記貫通孔の開口との間の隙間の寸法は、前記貫通孔の開口と前記内ハブの先端との間の最短距離の1/2以下であることが好ましい。この構成によれば、内ハブの貫通孔の形成位置における内ハブの周方向に、液体が行き渡り易くなり、気泡の排出により有利になる。
【0019】
また、前記突起を平面視したときに、前記突起の両側の側面が略V字状に配置されており、前記突起は前記貫通孔に向かうにつれて幅が広がっていることが好ましい。この構成によれば、突起の先端部が尖った形状になるので、突起の先端部に気泡が滞留することを防止することができる。
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明の一実施の形態について説明する。本発明は針装置に関するものであり、以下の実施の形態において、針装置は、針部分を外針と内針との二重構造にした医療用の留置針装置の例で説明する。このような留置針装置は、輸液や輸血の際に用いられ、軟質の外針のみを穿刺部分に留置した状態で、輸液や輸血を行なうことができる。
【0021】
図1は、本発明の一実施の形態に係る留置針装置1の外観斜視図である。図2は、図1に示した留置針装置1の長手方向の断面図である。図3は、図2に示した留置針装置1の先端側の拡大図である。図4は、図2の状態から内針8をシールド筒4に引き込んだ状態を示す断面図である。まず図1−4を参照しながら、留置針装置1の基本的な構成について説明する。
【0022】
図1、2において、留置針装置1は、シールド筒4の先端に外ハブ5が取り付けられて、筒状の本体2を構成している。本体2の先端側に針部3(図2)を備えている。図1の状態では針部3には、キャップ6が装着されている。シールド筒4及び外ハブ5の材料としては、例えばポリカーボネート、ポリプロピレンが挙げられる。
【0023】
図3に示したように、針部3は、チューブ状の軟質の外針7の中空部内に、金属製の硬質の内針8が挿通して二重構造になっている。外針7は外ハブ5に固定され、内針8は、内ハブ9に固定されている。内ハブ9の材料としては、例えばポリカーボネート、ポリプロピレンが挙げられる。外針7の材料としては、例えばポリウレタン系エラストマー、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂が挙げられる。
【0024】
図2に示したように、内ハブ9は本体2内に収納されており、シールド筒4内を、シールド筒4の軸方向に移動可能である。内ハブ9には、シール用のOリング15が装着されている。内ハブ9の後端側の管状部20に、チューブ10が接続されている(図5参照)。チューブ10を矢印a方向に引くことにより、内ハブ9はシールド筒4内を矢印a方向に移動する。このことにより、内ハブ9と一体の内針8は、図4に示したように、シールド筒4内に引き込まれることになる。
【0025】
図1において、シールド筒4には、シールド筒4の外周を包み込むようにリング部16が取り付けられている。リング部16には、一対の翼部17が一体になっている。さらに、シールド筒4には、ハブ移動規制部材11が取り付けられている。ハブ移動規制部材11は、一対の片持部12を備えている。図1では、一対の片持部12のうち一方しか図示されていないが、シールド筒4の側面を挟むように、一対の片持部12が配置されている。
【0026】
図1の状態で、一対の翼部17を上方に持ち上げ、一対の片持部12の先端部12aをリング部16に押し付けるように把持すれば、この把持の間はハブ移動規制部材11がシールド筒4に固定されることになる。
【0027】
一方、図2に示したように、ハブ移動規制部材11は、ストッパー13が一体になっている。図2の状態では、ストッパー13の先端13aが、内ハブ9の後端面9aに当接している。
【0028】
このため、ハブ移動規制部材11の片持部12を把持している状態では、内ハブ9及びこれと一体の内針8の移動も規制されることになる。したがって、この状態では、内針8がシールド筒4側に押し戻されることなく、内針8を患者に穿刺することが可能になる。
【0029】
内針8の穿刺の際に、軟質の外針7も穿刺されることになる。内針8及び外針7を穿刺した後に、片持部12の把持を解除し、チューブ10を矢印a方向に引くことにより、図4に示したように、内ハブ9と一体の内針8は、シールド筒4内に引き込まれることになる。このことにより、軟質の外針7のみを穿刺部分に留置することができ、患者が動いた際においても、穿刺部分の痛みを和らげることができ、血管の損傷も防止できることになる。
【0030】
図4の状態において、患者へ投与する薬液等の液体は、チューブ10から内ハブ9内へ供給される。内ハブ9は、流路21と内ハブ9の径方向に貫通した貫通孔22とを備えており、流路21と貫通孔22とがつながっている。内ハブ9内に供給された液体は、流路21及び貫通孔22を経て、内ハブ9から流出することになる。内ハブ9から流出した液体は、本体2内を経て外針7の中空部に至り、体内に投与されることになる。
【0031】
ここで、薬液等の投与の際に、留置針装置1内に空気があると、薬液等とともに空気が血管に入ってしまうことになる。このため、穿刺に先立って、留置針装置1内に、あらかじめ生理食塩水、栄養剤等の液体を充填するプライミングと呼ばれる操作をすることになる。
【0032】
図5−7を参照しながら、プライミング操作時の液体の流れについて説明する。図5は、図2における内ハブ9近傍の拡大断面図を示している。図5には、内ハブ9の貫通孔22の軸方向における断面が示されている。図6は、図5の断面方向と直交する方向における内ハブ9近傍の拡大断面図である。すなわち図6には、内ハブ9の貫通孔22の径方向における断面が示されている。図7は、内ハブ9の拡大斜視図を示している。
【0033】
プライミング操作は、図2のように内針8が外針7から突出した状態で行なう。図5において、プライミング操作時には、チューブ10側から内ハブ9に向けて(矢印b方向)生理食塩水等の液体が供給されることになる。内ハブ9に供給された液体は、流路21を経て貫通孔22に流入する。貫通孔22内に流入した液体は、内ハブ9の外周面側すなわち貫通孔22の両端の開口側に向けて(矢印c方向)流動するとともに、内針8内に向けて(矢印d方向)流動する。
【0034】
矢印c方向に流動した液体は、内ハブ9の外周面と外ハブ5の内周面との間を通って、内ハブ9の先端26側に向かうことになる。貫通孔22の両端の開口から流出した液体の流れについて説明する前に、内ハブ9の構成及び内ハブ9と外ハブ5との関係について説明する。
【0035】
図7は、内ハブ9の拡大斜視図を示している。内ハブ9の外周面23は、外周面23を窪ませた凹部23aを含んでおり、凹凸を形成している。さらに、貫通孔22の内ハブ9の先端26側には、凹部23aから突出した突起25を形成している。
【0036】
なお、図7の図示は、内ハブ9の外周面23の一部であり、貫通孔22の他方の開口側(紙面の裏側)にも、図7の図示と同様の凹凸を形成している。
【0037】
前記の通り、凹部23aは外周面23を窪ませて形成したものである。このため、図5に示したように、凹部23aと外ハブ5の内周面との間に空間30が形成されている。図5に示した空間30は、図7に示した内ハブ9の凹部23aのうち、突起25と内ハブ9の先端26との間の部分に相当する。
【0038】
また、図7において凹部23aから突出した突起25は、図5の断面図にも図示されている。図5において、突起25の表面は、外ハブ5の内周面と近接していいるが、完全に密着した状態ではない。このため、突起25の表面と外ハブ5の内周面との間には、隙間31を形成している。
【0039】
このことは、内ハブ9の外周面23のうち凹部23aが形成されていない部分と外ハブ5の内周面との間においても同様である。内ハブ9の外周面23のうち凹部23aが形成されていない部分は、図6の断面図にも図示されている。図6において、内ハブ9の外周面23は、外ハブ5の内周面と近接していいるが、完全に密着した状態ではない。このため、内ハブ9の外周面23と外ハブ5の内周面との間には、隙間32を形成している。
【0040】
以上より、貫通孔22から流出した液体は、隙間31(図5)、空間30(図5)、及び隙間32(図6)を流動しながら、内ハブ9の先端26側に向かうことになる。
【0041】
以下、貫通孔22から流出した液体の流動について具体的に説明する。図7の矢印e、f及びgは、貫通孔22から流出した液体の流動方向を示している。図7において、突起25を平面視すると、突起25の壁面25aと貫通孔22の開口とが対向している。このため、貫通孔22から液体が内ハブ9の先端26側に流出すると、液体の流れが突起25の壁面25aにより規制され、突起25の両側に分流した流れ(矢印e、f)が生じる。矢印e方向の流れは、主に空間30(図5)を内ハブ9の先端26側に向かって進み、矢印f方向の流れは、外周面23のうち凹部23aが形成されていない部分に回り込み、隙間32(図6)に流入することになる。
【0042】
また、前記の通り、突起25の表面と外ハブ5の内周面との間には、隙間31を形成しているので、隙間31に入り突起25を乗り越える流れ(矢印g)も生じることになる。
【0043】
すなわち、貫通孔22から流出した液体は、全体として見れば、内ハブ9の先端26側に向かって内ハブ9の軸方向に進むことになるが、突起25による液体の流れの規制により、内ハブ9の周方向に進む流れも促進されることになる。
【0044】
図3において、内ハブ9の先端26にまで流れた液体は、さらに外針7内に向かうことになる。内ハブ9の先端26近傍と外ハブ5の内周面とは、完全に密着した状態ではなく、隙間33を形成している。また、外ハブ5の孔35と内針8との間にも隙間34が形成されている。さらに外針7の内周面と内針8の外周面との間にも隙間35が形成されている。
【0045】
このため、内ハブ9の先端26の手前にまで流れた液体は、隙間33、隙間34及び隙間35を経て、外針7の先端から流出(矢印h)することになる。他方、図5において矢印d方向に進む液体は、内針8の中空部を経て、図3の矢印iで示したように、内針8の先端から流出することになる。
【0046】
したがって、前記のようなプライミング操作により、留置針装置1において、貫通孔22から内針8及び外針7の先端までの間の空間及び隙間には、液体が充填され、これらの空間及び隙間からは空気が排出されていることになる。
【0047】
次に、本実施の形態における内ハブ9を比較例と比較しながら説明する。図8は比較例に係る内ハブ100の斜視図を示している。内ハブ100は、凹凸のない外周面101に貫通孔102を形成したものである。このため、内ハブ100は図7に示した内ハブ9のように、凹部23a及び突起25は備えていない。
【0048】
図8の内ハブ100において、貫通孔102からの液体は、内ハブ100の先端103側に向かって流出する。このため、貫通孔102と先端103とを結ぶ線上の液体の流れ(矢印j)は強くなり、この流れと共に空気も排出され易くなる。これに対して、内ハブ100の周方向への流れ(矢印k)は弱くなる。このため、内ハブ100の周方向においては、貫通孔102の開口から離れるにつれて、液体が行き渡りにくくなる。したがって、内ハブ100の周方向のうち、貫通孔102の開口から遠ざかった部分については、気泡が滞留し易くなる。
【0049】
本実施の形態では、前記の通り、図7に示したように、突起25を形成したことにより、貫通孔22の開口から流出した液体を、突起25の両側に分流させ、内ハブ9の周方向に進む流れも促進させることができる。このため、内ハブ9の周方向のうち、貫通孔22の開口から遠ざかった部分についても、気泡の排出が促進されることになる。
【0050】
また、図7に示したように、内ハブ9の周方向において、貫通孔22の開口は凹部23aに挟まれている。この構成では、凹部が液体の流れを内ハブ9の周方向に案内する溝の役割を果たし、このことによっても、内ハブ9の周方向に進む液体の流れが促進されることになる。
【0051】
したがって、本実施の形態によれば、プライミング操作による液体の充填により、空気と液体との置換が確実になり、内ハブ9の外周面に気泡が滞留することを防止することができる。
【0052】
なお、図7において突起25の形状は、貫通孔22の開口から流出し内ハブ9の先端26側に向かう液体を内ハブ9の周方向に導くように配置されていればよく、図7の形状に限るものではない。本実施の形態では、突起25を平面視したときに、突起25の両側の側面が略V字状に配置されており、突起25は貫通孔22に向かうにつれて幅が広がっている。この構成は、前記の通り、貫通孔22の開口から流出した直後の液体を突起25の壁面25aにより、内ハブ9の周方向に導くことができるとともに、突起25の先端部(A部)が尖った形状になるので、突起25の先端部に気泡が滞留することを防止することができる。
【0053】
図9は、本発明の別の実施の形態に係る内ハブ40の斜視図を示している。本図に示した内ハブ40は、図7に示した内ハブ9と突起25の位置が異なっている。図7に示した内ハブ9の突起25は、貫通孔22側の端部と貫通孔22の開口との間に隙間が形成されていない。これに対して図8に示した内ハブ40は、突起25と貫通孔22の開口との間に、d寸法の隙間を形成している。d寸法は、内ハブ9を平面視したときに、内ハブ9の中心軸18上において、突起25と貫通孔22の開口との間の隙間の寸法である。
【0054】
この構成であっても、貫通孔22の開口から流出した液体は、突起25の壁面25aに規制されて分流し、内ハブ40の周方向に進む流れが促進されることになる。一方、突起25が貫通孔22の開口から離れるにつれて、貫通孔22の形成位置における周方向においては、液体が行き渡りにくくなる。このため、d寸法の隙間は、貫通孔22の開口と内ハブ9の先端26との間の最短距離Lの1/2以下であることが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
以上のように、本発明に係る針装置は、内ハブの外周面における気泡の滞留を防止することができるので、例えば輸液や輸血の際に用いられる医療用の針装置として有用である。
【符号の説明】
【0056】
1 留置針装置
2 筒状の本体
3 針状部
4 シールド筒
5 外ハブ
7 外針
8 内針
9 内ハブ
18 内ハブの中心軸
22 貫通孔
23 内ハブの外周面
23a 凹部
25 突起
25a 突起の壁面
26 内ハブの先端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に針が取り付けられた内ハブと、
前記内ハブが収納されている筒状の本体とを備え、
前記内ハブは、
前記内ハブの径方向に貫通した貫通孔と、
前記貫通孔の開口と前記内ハブの先端との間に形成され、前記内ハブの外周面から突出した突起とを含むことを特徴とする針装置。
【請求項2】
前記内ハブは、前記内ハブの外周面を窪ませた凹部を備えており、前記突起は、前記凹部から突出している請求項1に記載の針装置。
【請求項3】
前記突起は、前記貫通孔の開口から流出した液体を前記内ハブの周方向に導くように配置されている請求項1又は2に記載の針装置。
【請求項4】
前記突起を平面視したときに、前記突起の壁面と前記貫通孔の開口とが対向している請求項1から3のいずれかに記載の針装置。
【請求項5】
前記内ハブの周方向において、前記貫通孔の開口は前記凹部に挟まれている請求項2から4のいずれかに記載の針装置。
【請求項6】
前記内ハブを平面視したときに、前記内ハブの中心軸上において、前記突起と前記貫通孔の開口との間の隙間の寸法は、前記貫通孔の開口と前記内ハブの先端との間の最短距離の1/2以下である請求項1から5のいずれかに記載の針装置。
【請求項7】
前記内ハブを平面視したときに、前記突起の両側の側面が略V字状に配置されており、前記突起は前記貫通孔に向かうにつれて幅が広がっている請求項1から6のいずれかに記載の針装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−120830(P2011−120830A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−283018(P2009−283018)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【出願人】(000153030)株式会社ジェイ・エム・エス (452)
【Fターム(参考)】