説明

針駆動ノックオーバ・シンカ

【課題】編み機の編成カムアッセンブリの設計を単純化するシンカ、編成システム、編み機を提供する。
【解決手段】編成システム6が示唆されており、システムではロッカー・ガイド23により、ホールドダウン・ノックオーバ・シンカ5が編み針4の縦方向の位置に応じて動かされる。編み針4の往復線形動作に従うように、ホールドダウン・ノックオーバ・シンカ5の軸周りの回動動作が強制される。この編成システム6の制御は単一のボックス・カムで行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホールドダウン(押し下げ)・ノックオーバ・シンカ、この種のホールドダウン・ノックオーバ・シンカから成る編成システム、同様にこの種の編成システムから成る編み機に関する。
【背景技術】
【0002】
編成システムは、しばしば、例えばべら針として、少なくとも一つの編み針と、例えば、編み物を適所にまたは編み目形成の間特定の位置に保持することを目的とする、編成プロセスにおいて動作するシンカとを含む。そのために、シンカと同様に針が動いている際は、針とシンカは相対運動をする。これは、先行技術から公知であった。
【0003】
特許文献1には、ホールドダウン・ノックオーバ・シンカおよび編み針を含む編成システムを備えた丸編み機が開示されている。編成システムは、針筒(編成シリンダ)として設計される針床に配置される。ホールドダウン・ノックオーバ・シンカと同様に、編み針は、動作に供される。この動作のために、編み針およびホールドダウン(押し下げ)シンカは、各々、それ自身のボックス溝に連通したフット(足)を有する。従って、編み針と同様にホールドダウン・ノックオーバ・シンカは主に前後に動くように駆動される、すなわち、それらは縦方向に駆動される。ホールドダウン・ノックオーバ・シンカはそのシンカ溝の斜面に支持される突起を有し、その結果、その縦方向の運動は上下する方向を持った横動作に部分的に変換される。
【0004】
シンカと針間の望ましい相対運動は、針床の形状により、特にそこに備わる斜面により、定められる。加えて、少なくとも2つのボックス・カムを有するカムが、一つは編み針のため、もう一つはホールドダウン・ノックオーバ・シンカのために必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許第31 08 041号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これを考慮し、編成システムおよびそれに関連する構成部品を提供するのが本発明の目的であり、当該編成システムは少なくとも前述の側面の一つからみて改善されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、本発明のホールドダウン・ノックオーバ・シンカにより達成される。ホールドダウン・ノックオーバ・シンカに関連した効果は、本発明のシステムでのホールドダウン・ノックオーバ・シンカの使用、そして編み機におけるこの編成システムの使用において、特に明らかである。
【0008】
本発明のホールドダウン・ノックオーバ・シンカは、当該シンカと編み針との駆動関係を確立する装置に設けられる。この装置では、編み針の動作と押さえシンカの保持の動作との間に動作および力の伝達が実行される。装置は、ホールドダウン・ノックオーバ・シンカの動作を編み針の動作に結合し、編み針をホールドダウン・ノックオーバ・シンカの駆動に利用する。最も広義の用語によれば、編み針とホールドダウン・ノックオーバ・シンカとの駆動関係を確立する装置は伝達装置に相当する。例えば、ホールドダウン・ノックオーバ・シンカまたはその部分の構成部品、および編み針の部分または部品は、相互に直接連結してあるか、または追加の構成要素を介して相互に運動伝達する結合にある、伝達要素として作用する。
【0009】
この方策の結果、ホールドダウン・ノックオーバ・シンカのための個別の駆動装置は省略されうる。このホールドダウン・ノックオーバ・シンカにより構成される編成システムは、編み針と相互に作用する一つの外部駆動装置のみを必要とする。この駆動装置は、編み針に付随する編成カムアッセンブリのカム経路でもよい。ホールドダウン・ノックオーバ・シンカの動作は、編み針の動作から生じる。結果として、本発明により、実質的に編み機の編成カムアッセンブリの設計を単純化することが可能である。
【0010】
また、ホールドダウン・ノックオーバ・シンカの動作は、シンカ溝の底部の設計に依存しない。編み針の移動経路あるいは湾曲に対する、ホールドダウン・ノックオーバ・シンカの移動経路あるいは湾曲の変更は、針およびシンカ床上の変更を必要としない。例えば、それは、ホールドダウン・ノックオーバ・シンカそして/または編み針またはボックス・カムを変えることで十分である。
【0011】
好ましくは、ホールドダウン・ノックオーバ・シンカは針床に支持され、例えば、当該ホールドダウン・ノックオーバ・シンカは針の縦方向の動作または出力動作に対して、しかるべき位置に固定され、この動作を行わない。針とホールドダウン・ノックオーバ・シンカ間に結果として生じる相対運動は、針に対するホールドダウン・ノックオーバ・シンカの横動作を生成するために利用できる。原則として、この横動作は、線形動作でもよい、が、最も単純なケースで、当該動作は回動動作の要素であって、従って実質的にホールドダウン・ノックオーバ・シンカの支持とガイド(案内)を単純化する。従って、ホールドダウン・ノックオーバ・シンカは、好ましくは回動可能であるように支持される。回動可能な支持は、例えば、編み針に直角に伸びている回転軸を定めるピボット軸受により具体化される。好ましくは、回転軸は、編み針の平坦側に対してと、同様に、ホールドダウン・ノックオーバ・シンカの平坦側に対して、ほぼ直角に配列される。
【0012】
好ましくは、ホールドダウン・ノックオーバ・シンカは、湾曲したノックオーバ端を有する。後者は、編み針によって、取り込まれる半編み目(ハーフステッチ)の位置を制御するため湾曲した外観を有していてもよい。この外観は(断面において)ホールドダウン・ノックオーバ・シンカの回転軸に対して、一定半径の、従って固定した曲率を有してもよい。編み針の動作に対して向けられる、追加の運動構成要素(反対の動作)を編み物に与えるために、変化する曲率を備えることも、例えば、可能である。この対向するあるいは反対動作の結果、針のストローク(工程)は短縮され得、それが編成システムおよび編み機に広範囲にわたる影響を及ぼす。針動作の短縮は、編成速度の増加のため、編み機の小型化のため、そして、設計の簡略化のための基礎を与えうる。
【0013】
好ましくは、ホールドダウン・ノックオーバ・シンカは、半編み目(ハーフステッチ)または編み物のための押さえ空間を構成するスリット状の凹所を有する。この押さえ空間は、押さえ端とノックオーバ端の部分との間に形成される。スリットの上部に、シンカは突出部を有する。半編み目が潜在的にこのノックオーバ空間に滑りこむリスクなしに、その半編み目が針幹によって問題なく捕捉されるよう、突出部の形状はホールドダウン・ノックオーバ・シンカの回転動作に適合するよう構成される。これを達成するために、ホールドダウン・ノックオーバ・シンカの突出部は、押さえ端のその正面領域に面取りされた部分を有してもよい。この傾斜した入口領域を利用することにより、針幹に位置する半編み目は、安全にホールドダウン・ノックオーバ・シンカにより把握され、そして押さえ空間によって受けられる。
【0014】
最も単純な場合、ホールドダウン・ノックオーバ・シンカと針の間の力の伝達装置は、ホールドダウン・ノックオーバ・シンカ上の少なくとも一つのガイドカムと、編み針に結合したガイド要素から成るカムガイドとして設計されうる。編み針が動いているとき、この要素はガイドカムに沿って動き、それにより、ホールドダウン・ノックオーバ・シンカの軸位置を調整する。ガイドカムとガイド要素が相互に係合を保つように、ホールドダウン・ノックオーバ・シンカは、例えば、適切な付勢手段(例えば、ばね)によって、回動方向に付勢されうる。
【0015】
しかしながら、好ましい実施例については、ガイドカムはロッカー・ガイドの一部であって、ホールドダウン・ノックオーバ・シンカ中に、縦方向のスリット状の凹所により構成されてもよい。このスリット状の凹所は好ましくは、それがホールドダウン・ノックオーバ・シンカの回転軸に対して(その長さに沿って)異なる半径を有するように、配置される。最も単純なケースにおいては、ロッカー・ガイドは、ホールドダウン・ノックオーバ・シンカ中に設けられた曲率をもったスリットによって形成される。それから、編み針には、ガイド要素として、例えば、編み針から横に伸びるピンを設け、当該ピンがこのロッカーと係合するようにする。編み針の前後への運動は、このようにホールドダウン・ノックオーバ・シンカの軸周りを行き来する回動を奏する。それから、編み針のピンは、直接ロッカーの側壁(横腹)と係合する滑り子(スライド・ブロック)でもよい。あるいは、衝撃吸収または摩耗最小化のための中間要素、例えば、スライドシュー等がピンに装着されていてもよい。
【0016】
少なくとも一つのホールドダウン・ノックオーバ・シンカおよび少なくとも一つの編み針から成る編成システムは、針およびシンカ床の共通溝に配置されてもよい。そうすることにより、ホールドダウン・ノックオーバ・シンカおよび編み針は、平坦な側が平坦な側に対することとなる。ホールドダウン・ノックオーバ・シンカのためのピボット軸受が、針およびシンカ床の細長の壁に設けられてもよい。ホールドダウン・ノックオーバ・シンカの軸周りの回動を考慮し、最大可能な動きを成し遂げるため、針およびシンカ・スリットは、それらのシンカ側の端に底を開けた状態で設けられてもよい。
【0017】
ホールドダウン・ノックオーバ・シンカの好ましい実施例を考慮して、当該ホールドダウン・ノックオーバ・シンカは、その本体に、そのノックオーバ端に隣接して、減じた厚みを示す部分が設けられる。好ましくは、動作中針に対し当接する平坦な側には、段差が設けられる。ノックオーバ端に隣接し、編み針に面する外側面の部分は、この結果編み針の外側面に対してもはや直接当接しない。むしろ、それとともに距離を持つ。距離が十分に大きい場合、これは編成システムに相当の対称性を導く。2つの隣接する編成システムとそれらの編み針を見ると、編み針の間に位置するホールドダウン・ノックオーバ・シンカのノックオーバ端は編み針の間の中央あるいはほぼ中央に置かれる。従って、装置の脚部上の様々な引張応力および種々の不利な効果が回避される。ホールドダウン・ノックオーバ・シンカ上の段差の形状による一方的なオフセットに代えて、ホールドダウン・ノックオーバ・シンカに適切なオフセットを備えさせることも可能であり、そこではホールドダウン・ノックオーバ・シンカの厚みは、均一となる。しかしながら、ノックオーバ端の領域の肉厚の減少とホールドダウン・ノックオーバ・シンカの横方向のオフセットとを組み合わせることも可能である。
【0018】
本発明の有利な実施例のさらなる詳細は、従属請求項、記載および/または図面の主題である。記載は、本発明の本質的な側面および種々の状況に限定される。図面は、さらなる詳細を開示して、補足的に言及されるべきものである。以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のホールドダウン・ノックオーバ・シンカから成る編み機の一部分の斜視図であって、当該シンカは本発明の編成システムに帰属している。
【図2】第一位置にある図1の編成システムの模式的な側面図。
【図3】他の相対位置にある図2の編成システムの図。
【図4】図2の編み機の針床の詳細の平面図。
【図5】編み目形成方法の各段階にある本発明の編成システムの模式的な側面図。
【図6】編み目形成方法の各段階にある本発明の編成システムの模式的な側面図。
【図7】編み目形成方法の各段階にある本発明の編成システムの模式的な側面図。
【図8】編み目形成方法の各段階にある本発明の編成システムの模式的な側面図。
【図9】編み目形成方法の各段階にある本発明の編成システムの模式的な側面図。
【図10】編み目形成方法の各段階にある本発明の編成システムの模式的な側面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、編み機1の詳細のきわめて概略な図である。この詳細には、例えば、針筒、丸編み機、リブ・ダイヤル(円板、上釜)等から成る針およびシンカ床2を含む。針およびシンカ床2は多くの溝3を有し、その各々はホールドダウン・ノックオーバ・シンカと編み針を収納するために設けられる。図1は、ホールドダウン・ノックオーバ・シンカ5と同様、共に編成システム6を構成する編み針4を示す。図1の矢印7で象徴的に示されるように、この編成システム6は今編み針4の縦方向運動により駆動されている。編み針4に目標とする前後方向への動作を与えるために、当該針には、いわゆるボックス・カムに当接するフット(足)8が備えられている。針及びシンカ床2とボックス・カム9との間の相対運動は、ボックス・カムに沿って摺動するフットがボックス・カム9の傾斜に合わせて、矢印7の方向に、前後に移動するようにさせ、それにより編み針4を駆動する。
【0021】
図2乃至図4は、編み針4のより詳細かつより良い理解を提供する。針幹10は一端に針頭11を有する。針胸(ブレスト)部12は針頭11の近くで盛り上がり、当該針胸部は、べら溝13およびそこで回動可能に支持されるべら14を有する。
【0022】
ホールドダウン・ノックオーバ・シンカ5は、編み針に直角に配列された回転軸16について回動可能であるように、支持装置15で支えられたシートメタルの平坦な、好ましくはほぼ平面の部品である。さまざまな編成システム6の支持装置15は、例えば、溝3を区切る細長の壁の孔あるいは凹所に設けられたピンから成る。好ましくは、個々の支持装置5の回転軸16は、(針筒またはリブ・ダイヤルのような丸い針床を考慮して)あってもごくわずかなの角度偏差で相互に対応する。編み針4が矢印7の方向に線形動作を行う一方、ホールドダウン・ノックオーバ・シンカ5は矢印17の方向に軸周りの回動動作を行う。
【0023】
装置18がホールドダウン・ノックオーバ・シンカを駆動するために用いられるが、その装置は変速機と見なすこともできる。装置は、ホールドダウン・ノックオーバ・シンカ5に設けられたスリット21の側面に構成された、少なくとも一つ、好ましくは二つのカム経路19、20から成る。好ましくは、カム経路19、20、すなわちスリットの側面は、スリット21の取りうる曲線にかかわらず、回動軸16周辺の各々に関してほぼ平行に、すなわち、スリットの幅は好ましくはスリットの各々の位置で同じ大きさをもつ。
【0024】
編み針4は、例えば、編み針4に付着あるいは固着されたピン22として構成される側部突起を有する。ピン22は、スリット21を貫通するか、または、少なくとも、前記スリットにまで延びる。ピンの直径の大きさは、カム経路19、20の間の距離よりわずかに小さい。そのようにして、ピン22およびカム経路19、20およびスリット21は、それぞれ、編み針4の線形動作をホールドダウン・ノックオーバ・シンカ5の軸周りの回動動作に変換するために設けられるロッカー・ガイド23を構成する。これは、回動軸16からのカム経路19の距離がカム経路19の長さに亘って変化することにより達成される。
【0025】
ホールドダウン・ノックオーバ・シンカ5は、回転軸16周りに曲がるノックオーバまたはループ押さえ端24を有する。ループ押さえ端24は、まっすぐな断面と曲がった断面を有してもよい。最も単純な場合では、ループ押さえ端は、当該ループ押さえ端の中心である回転軸16について円弧の輪郭を有する。このループ押さえ端24は、編み目形成のためのノックオーバ端に相当する。加えて、受け入れ空間25がこのループ押さえ端24に用意され、当該空間はホールドダウン(押さえ)空間とも呼ばれる。受け入れ空間25は、一方側ではノックオーバ端24によって、反対側では押さえ端26によって区切られ、当該押さえ端は、端から少し離れたループ押さえ端24に面した突出部側に伸びている。
【0026】
すでに述べたように、ノックオーバ端24は円弧として構成され、従って一定の湾曲を示すものでよい。あるいは、図2および図3に示すように、ループ押さえ端24は、交互に変化する湾曲を有してもよい。このようにすると、ノックオーバ・シンカ5が回転するときに、静止基準点とループ押さえ端24間との間に相対運動、当該運動は反対運動とも呼ばれる、も起こるので編み目形成が進行されうる。この相対運動は針動作に基本的に逆らって(対立して)発生し、その結果、針のストロークは短縮されうる。
【0027】
突出部の形状は、半編み目(ハーフステッチ)がこの受け入れ空間にひっかかることなくしっかりと滑り込むように、ホールドダウン・ノックオーバ・シンカ5の回転動作に適したものとなっている。これを達成するために、シンカの突出部は、押さえ端26の正面のより広い領域27に傾斜した部分を有していてもよい。この傾斜する入口部分を利用して、針幹に置かれた半編み目は、安全にシンカにより把握され、受け入れ空間25に導かれうる。傾斜した部分27は、一面で受け入れ空間25の漏斗形の拡張部分を構成する。
【0028】
図から明らかなように、ホールドダウン・ノックオーバ・シンカ5はループ押さえ端24に隣接した領域28において厚みを減じてあってもよい。ホールドダウン・ノックオーバ・シンカ5の平坦な、好ましくは平面の外側面29が編み針4(図4を参照)の基本的に平面の側面30に対しては当接する一方、編み針4に対向する領域28の側面31は側面30からは間隔を維持する。側面29、31は、段差32によって相互に分離される。加えてあるいはそれに代えて、領域28は、オフセットされていてもよい。図4から明らかなように、その方策の目的とするところは、ホールドダウン・ノックオーバ・シンカ5が、図4の右に示されるように、編み針4の間に非対称的に位置するにもかかわらず、ループ押さえ端24を隣接する編み針4の間のほぼ中央に配置することである。明らなように、ホールドダウン・ノックオーバ・シンカ5および編み針4を合わせて成る編成システム6は細長の壁33、34によって区切られる溝3に配置される。細長の壁33、34によって、区切られる溝3の底部は、シンカが下の方向に自由に回転できるように、ホールドダウン・ノックオーバ・シンカ5のところで穴あけされて(またはスリットを有して)いてもよい。これは、図1に示される。このようにすると、回動シンカのための取付け空間ができ、溝3はシンカの回動領域において完全にスリットとなり、すなわち、針筒の上方領域で、溝の底部は全て省略される。しかしながら、仮に針筒の分割がこれを可能とするなら、回動するホールドダウン・ノックオーバ・シンカ5を収納する針溝のその区域だけを完全にスリットとすることもでき、それにより隣接する編み針4が、図1に示すように、それらの編み目形成領域の直前まで支持され、案内されるようになる。
【0029】
ホールドダウン・ノックオーバ・シンカ5は、細長の壁33、34の対応する凹所において、支持される。図1により示されるように、それらの各々は上方向の突起35を有してもよい。この突起35は、支持装置15を収容する。支持は、例えば、針筒の外側の方へ向いて開いていてもよい。その結果として、例えば、ホールドダウン・ノックオーバ・シンカ5に接続しているピン36を容易に嵌入することが可能であり、当該ピンが支持装置(図2乃至図4)に相当する。受口のピン36は渦巻ばね、緊締クリップ、その他により固定されうる。あるいは、突起35は、ホールドダウン・ノックオーバ・シンカ5のピン36のための閉じられた収容孔を有してもよく、特定の横方向弾性を持つものでもよい。ホールドダウン・ノックオーバ・シンカ5が取り付けられるときには、ピン36が適切な開口に位置するよう、突起35は横にわずかに弾性をもって曲げられる。
【0030】
図5乃至図10に従い、前述の編成システム6は、以下の通りに動作する。
【0031】
図5は、編み針が溝3から完全に脱出した開始位置を示す。べら14の後に位置する編み目37は、ホールドダウン・ノックオーバ・シンカの受け入れ空間25において、保持されている。
【0032】
図6は、編み針4の戻り行程の開始時に、次の糸38が挿入される様を示す。図5の位置におけるロッカー・ガイド23が反時計回り方向のその最大の位置にホールドダウン・ノックオーバ・シンカを移動させたのに対して、図6の編み針4の戻り行程の開始はホールドダウン・ノックオーバ・シンカ35を時計回り方向に回転させ始める、すなわち、受け入れ空間25が広がり、ホールドダウン・ノックオーバ・シンカ5の突出部がちょうどその前にあり、従って針幹10を離そうとする。
【0033】
図7は、継続動作を示す。押さえ端26が半編み目37を開放するように、編み針4の戻り行程の動きがホールドダウン・ノックオーバ・シンカにロッカー・ガイド23を介して伝達された。べら14はその閉動作を開始し、そして、ホールドダウン・ノックオーバ・シンカ5はその軸周りの回動動作を続ける。針幹10にある半編み目37は針頭11の方向にホールドダウン・ノックオーバ・シンカ5のループ押さえ端24に位置しながら摺動し、それにより、徐々にべらを閉じ、最終的に図8の位置に至る。
【0034】
図8では、編み針4は、その後退動作を続け、古い半編み目が最後に編み目として形成されるまで、当該古い半編み目37は閉じたべら14の背を超えて摺動する。編み針4の針頭11に入ったのは新規な半編み目39(図9)である。ホールドダウン・ノックオーバ・シンカ5は、編み物を完全に解放している。それは今針頭11だけで保持されている。
【0035】
図9は、ループ押さえの過程を示す。編み針は、その最も後退した位置に動く。それにより、半編み目39および次の編み目の長さが、それぞれ、定められる。これは、ループ押さえ端24に対する針頭11の内側曲線からの距離から生じる。図示のホールドダウン・ノックオーバ・シンカ5の膨隆形の輪郭の結果として、押さえ端24は針頭11から離れるように動き、望ましい編み目長が比較的短い針のストロークにより形成される。この針のストロークは、それが針の縦方向には動かないループ押さえ端を使用している場合より短くなりうる。ループ押さえ端24の膨隆形の輪郭がなければ、針4は、同じ編み目長を形成するためには、溝3内で更に後退させられなければならない。これは、より大きいボックス・カムが必要となることになり、それは、逆に、針筒上のシステム(編成システム)の数を減らすことになりかねない。
【0036】
図10は捕捉位置を示す。このようにして、半編み目37がべら14を開き、べら14を越えて摺動するまで、編み針4は再びその溝3から外へ移動する。編み針4の動作により、ホールドダウン・ノックオーバ・シンカ15が再びその押さえ位置に復帰し、すなわち、矢印17の方向に反時計回りに回転した。すぐに、図5の開始位置に再び至る。
【0037】
本発明では、編成システム6が示唆されており、当該システムではロッカー・ガイド23により、ホールドダウン・ノックオーバ・シンカ5が編み針4の縦方向の位置に応じて動かされる。結果として、編み針4の往復線形動作に従うように、ホールドダウン・ノックオーバ・シンカ5の軸周りの回動動作が強制される。この編成システム6を制御するには単一のボックス・カムで充分である。いずれにせよ、ボックス・カムを編み針4に割り当てることが必要なだけである。ホールドダウン・ノックオーバ・シンカ5は、専用の駆動装置およびボックス・カムを必要としない。
【符号の説明】
【0038】
1 編み機
2 針およびシンカ床
3 溝
4 編み針
5 ホールドダウン(押し下げ)・ノックオーバ・シンカ
6 編成システム
7 矢印
8 フット(足)
9 ボックス・カム
10 針幹
11 針頭
12 針胸部
13 べらスリット
14 べら
15 支持装置
16 回転軸
17 矢印
18 装置
19、20 カム経路
21 スリット
22 ピン
23 ロッカー・ガイド
24 ループ押さえ端
25 受け入れ空間
26 押さえ端
27 部分
28 領域
29、30、31 側面
32 段差
33、34 細長の壁
35 突起
36 ピン
37 半編み目(ハーフステッチ)
38 糸
39 半編み目(ハーフステッチ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
編成システム(6)のためのホールドダウン・ノックオーバ・シンカ(5)であって、
少なくとも一つの編み針(4)と、
当該編み針(4)と当該ホールドダウン・ノックオーバ・シンカ(5)との駆動結合を形成する装置(18)とからなる
ホールドダウン・ノックオーバ・シンカ(5)。
【請求項2】
針床(2)上で回動可能な支持装置(15)が備えられた
ことを特徴とする請求項1に記載のホールドダウン・ノックオーバ・シンカ。
【請求項3】
平坦な本体がノックオーバ端(24)に備えられた
ことを特徴とする請求項1に記載のホールドダウン・ノックオーバ・シンカ。
【請求項4】
前記編み針(4)によって捕捉される半編み目(37、39)位置の制御ため前記ノックオーバ端(24)は、曲がった外形を有する
ことを特徴とする請求項2および3に記載のホールドダウン・ノックオーバ・シンカ。
【請求項5】
受け入れ空間(25)を構成するスリットを有する
ことを特徴とする請求項1に記載のホールドダウン・ノックオーバ・シンカ。
【請求項6】
前記装置(18)は、前記ホールドダウン・ノックオーバ・シンカに設けられる少なくとも一つのガイド曲線(19、20)と前記編み針(4)に接続したガイド要素(22)とからなるカムガイドとして構成される
ことを特徴とする請求項1に記載のホールドダウン・ノックオーバ・シンカ。
【請求項7】
前記カムガイドはロッカー・ガイド(23)の一部分であり、前記ガイド要素(22)は滑り子(スライド・ブロック)である
ことを特徴とする請求項6に記載のホールドダウン・ノックオーバ・シンカ。
【請求項8】
前記ノックオーバ端(24)に隣接して、前記シンカはその本体が減じた厚みを示す部分(28)を有する
ことを特徴とする請求項3に記載のホールドダウン・ノックオーバ・シンカ。
【請求項9】
請求項1に記載のホールドダウン・ノックオーバ・シンカと、前記編み針(4)とを含み、
前記ホールドダウン・ノックオーバ・シンカ(5)および前記編み針(4)は、平坦な側面(29、30)に沿って相互に当接する
ことを特徴とする編成システム。
【請求項10】
前記ホールドダウン・ノックオーバ・シンカ(5)および前記編み針(4)は、針床(2)の共通する針溝(3)内に配置され、
前記編み機(1)は、前記編み針(4)の動作を制御するためのボックス・カム(9)を有し、
それにより、前記ホールドダウン・ノックオーバ・シンカ(5)の動作は、専ら、前記編み針(4)と前記ホールドダウン・ノックオーバ・シンカ(5)との間の駆動結合による編み針(2)の動作の関数となる
ことを特徴とする請求項9に記載の編成システムを有する編み機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−293180(P2009−293180A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−132405(P2009−132405)
【出願日】平成21年6月1日(2009.6.1)
【出願人】(598132646)グロツ・ベッケルト コマンディートゲゼルシャフト (77)
【Fターム(参考)】