説明

釣り用係止具

【課題】環状部を有する釣り用係止具において、ナス環等の係止部材を係止する際に、一方の手で釣り用係止具を支持した状態で他方の手で持った係止部材を係止させるというように両手を用いずに係止でき、また、ぶら下げた状態で上から視認してもその存在を識別しやすく、結果として、係止部材の係止が容易となるものを提供する。
【解決手段】釣り用係止具5は、係止具本体10と吊下げ具30とを有し、係止具本体10は、板状部12と突出部20とを有し、板状部12は、板状部本体14と、板状部本体14の左右方向の長さよりも左右方向の長さが短く形成され、板状部本体14の下端から板状部本体14の左右の端部から間隔を介して連設された先端部16とを有し、突出部20は、板状部本体14の下端で先端部16が連設された辺部の両側から板状部12の一方の面に対して突出して形成され、板状部本体14とともに環状を構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナス環、鉄砲環等の係止部材を係止するための釣り用係止具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、魚釣り用具において、ナス環(ナスカン、ナス鐶としてもよい)、鉄砲環(鉄砲カン、鉄砲鐶としてもよい)等の係止部材を係止する環状の部材としてD環(Dカン、D鐶としてもよい)が用いられる。
【0003】
このD環は、直線状部材と直線状部材の両端に接続された円弧状部材からなる略D形の環状を呈し(つまり、内側に略D形状の開口部を有し)、特許文献1の釣服に示されるように、折り返し布に固定して用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−340044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のD環においては、一方の手でD環を支持した状態で、他方の手でナス環等の係止部材を係止する必要があり、従来のD環にナス環等の係止部材を係止させる場合には、両手を用いる必要があるという問題があった。つまり、D環は折り返し布に揺動可能に垂下した状態で支持されているので、D環を一方の手で支持した状態で、他方の手で係止部材を係止させる。なお、一方の手でD環を支持する際には、係止部材を係止しやすくするために、D環の先端側を持ち上げた状態とすると係止部材を係止しやすくなる。
【0006】
また、従来のD環は略D形の環状であるので、従来のD環をズボン用のベルトに垂下してぶら下げた状態では、上から見るとD環の存在を識別しにくく、該D環への装着が容易ではないという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、開口部を有する釣り用係止具において、ナス環、鉄砲環等の係止部材を係止する際に、一方の手で釣り用係止具を支持した状態で他方の手で持った係止部材を係止させるというように両手を用いることなく係止することができるとともに、垂下してぶら下げた状態で上から視認してもその存在を識別しやすく、結果として、係止部材の係止が容易となるものを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記問題点を解決するために創作されたものであって、第1には、ナス環又は鉄砲環からなる係止部材を係止するための釣り用係止具であって、係止具本体(10)と、係止具本体を吊り下げた状態で支持する吊下げ具(30)とを有し、係止具本体が、平板状を呈し、吊下げ具を挿通するための開口部を有する板状部材(14)と、係止部材を係止する突出部で、板状部材の下端における左右両側の端部からそれぞれ板状部材の一方の面である正面側の面に対して突出して該両側の下端同士を架橋して形成され、板状部材との間に第2開口部を有する突出部(20)と、を有し、吊下げ具が開口部に挿通されることにより係止具本体に取り付けられ、吊下げ具の少なくとも一部が筒状に形成されていることを特徴とする。
【0009】
第1の構成の釣り用係止具においては、吊下げ具における筒状部分にズボン等のベルトを挿通して装着する。係止部材を係止具本体に係止させる際には、突出部が板状部材から突出して形成されているので、係止部材を一方の手で持って突出部に係止させればよく、係止具本体を他方の手で支持しておく必要がないので、係止部材を係止させる際に両手を用いる必要がない。
【0010】
また、突出部は、板状部材の一方の面に対して突出して形成されているので、釣り用係止具をズボンのベルトに装着して上側から視認した場合に、係止具本体の存在を識別しやすく、ナス環等の係止部材の係止を容易に行うことができる。
【0011】
なお、第1の構成を以下のようにしてもよい。すなわち、「ナス環又は鉄砲環からなる係止部材を係止するための釣り用係止具であって、係止具本体(10)と、係止具本体を吊り下げた状態で支持する吊下げ具(30)とを有し、係止具本体が、平板状の板状部で、吊下げ具を挿通するための開口部を有する板状部本体(14)と、板状部本体の左右方向の長さよりも左右方向の長さが短く形成され、板状部本体の下端から板状部本体の左右の端部から間隔を介して連設された先端部(16)とを有する板状部(12)と、係止部材を係止する突出部で、板状部本体の下端で先端部が連設されていない両側の下端からそれぞれ板状部の一方の面に対して突出して該両側の下端同士を架橋して形成され、板状部本体との間に第2開口部を有する突出部(20)と、を有し、吊下げ具が開口部に挿通されることにより係止具本体に取り付けられ、吊下げ具の少なくとも一部が筒状に形成されていることを特徴とする釣り用係止具。」としてもよい。
【0012】
また、第2には、上記第1の構成において、板状部材の下端における突出部が連設されてない箇所から下方に連設された先端部(16)を有することを特徴とする。
【0013】
よって、特に、先端部が板状部材の下端から下方に形成されているので、突出部を下方に押しても突出部が下方に回動することがなく、また、係止部材を係止させる際に突出部を下方に押さえておくことにより、先端部の背面側の面が先端部の背面側の他の物の面側に押されるので、これにより、係止具本体が固定され、係止部材を係止しやすくすることができる。なお、先端部は板状部材とともに平板状を呈し、正面側の面と背面側の面とが同一平面を形成するのが好ましい。
【0014】
また、第3には、上記第1又は第2の構成において、突出部が、U字状又は円弧状を呈することを特徴とする。よって、突出部が、U字状又は円弧状を呈しているので、角張った形状でなく、危険となることがない。
【発明の効果】
【0015】
本発明に基づく釣り用係止具によれば、ナス環等の係止部材を係止具本体に係止させる際に、突出部が板状部から突出して形成されているので、係止部材を一方の手で持って突出部に係止させればよく、係止具本体を他方の手で支持しておく必要がなく、係止部材を係止させる際に両手を用いる必要がない。特に、先端部を有する場合には、突出部を下方に押しても突出部が下方に回動することがなく、また、係止部材を係止させる際に突出部を下方に押さえておくことにより、先端部の背面側の面が先端部の背面側の他の物の面側に押されるので、これにより、係止具本体が固定され、係止部材を係止しやすくすることができる。
【0016】
また、突出部は、板状部の一方の面に対して突出して形成されているので、釣り用係止具をズボンのベルトに装着して上側から視認した場合に、係止具本体の存在を識別しやすく、ナス環等の係止部材の係止を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】釣り用係止具の前方斜視図である。
【図2】釣り用係止具の後方斜視図である。
【図3】係止具本体の前方斜視図である。
【図4】係止具本体の後方斜視図である。
【図5】係止具本体の構成を説明するための説明図である。
【図6】釣り用係止具の使用状態を示す説明図である。
【図7】釣り用係止具の使用状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明においては、開口部を有する釣り用係止具において、ナス環等の係止部材を係止する際に、両手を用いることなく係止することができるとともに、垂下してぶら下げた状態で上から視認してもその存在を識別しやすく、結果として、係止部材の係止が容易となるものを提供するという目的を以下のようにして実現した。
【0019】
本発明に基づく釣り用係止具5は、図1〜図5に示すように構成され、係止具本体10と、係止具本体10を吊り下げた状態で支持する吊下げ具30とを有している。なお、図面において、Y1−Y2方向は、X1−X2方向に直角な方向であり、Z1−Z2方向は、X1−X2方向及びY1−Y2方向に直角な方向である。
【0020】
ここで、係止具本体10は、板状部12と、板状部12の一方の面(正面側の面)に対して突出して形成された突出部(環状構成部、架橋部としてもよい)20とを有し、全体に一体に形成されている。係止具本体10は、金属製であり、具体的には、ステンレスにより形成されている。
【0021】
板状部12は、略逆凸状(略T字状としてもよい)の外形を有する平板状を呈し、上側の領域に吊下げ具30を挿通するための横長(左右方向(X1−X2方向)に横長)の開口部14aが形成されている。すなわち、板状部12は、略方形状の平板状を呈する板状部本体(板状部材)14と、板状部本体14の下端から下方に連設された先端部16とを有している。板状部12の正面側の面と背面側の面とは、平面状に形成され、板状部本体14と先端部16の正面側の面と背面側の面とは同一平面状に形成され、板状部12は、全体に1つの平板状に形成されている。
【0022】
すなわち、板状部本体14は、横長(左右方向に横長)の略長方形状を呈し、具体的には、板状部本体14の上辺と下辺とが直線状で互いに平行に形成され、一対の側辺は、外側に膨出した円弧状を呈している。また、板状部本体14の上側の領域には、横長の長穴状の開口部14aが一方の面(例えば、正面側(Y1側)の面)から他方の面(例えば、背面側(Y2側)の面)に貫通して設けられている。
【0023】
また、先端部16は、略方形状の平板状を呈し、具体的には、方形状(横長長方形状)の下端の2つの角部にアールが形成された形状を呈している。この先端部16の横幅h1は、突出部20の基端部(板状部12との接続部分)の内径h2(つまり、突出部20の背面側の端部における内径)よりも小さく形成され、先端部16における左右両側の端部と突出部20との間には、左右方向において間隔J1、J2が設けられている。つまり、先端部16は、板状部本体14の左右方向の長さよりも左右方向の長さが短く形成され、板状部本体14の下端から板状部本体14の左右の端部から間隔を介して連設され、先端部16は、板状部本体14の下端における突出部20が連設されてない箇所から下方に連設されている。なお、先端部16における左右両側の端部と突出部20との間に左右方向において間隔が設けられない構成としてもよい。この先端部16は、突出部20の上下方向の位置よりも下方に突出して形成されている。
【0024】
また、突出部20は、U字状の棒状を呈し、上面と下面とが平面状に形成されている。つまり、上面と下面とが平面状に形成された平板棒状の部材をU字状に形成した形状を呈している。突出部20の上面は同一平面上に形成され、突出部20の下面は同一平面上に形成されている。突出部20における一対の端部は、板状部本体14の左右両側の下端と連設されており、板状部本体14における左側面側の端部と突出部20の左側面側の端部(背面側の一方の端部でもある)間には、連続面が形成され、板状部本体14における右側面側の端部と突出部20の右側面側の端部(背面側の他方の端部でもある)間には、連続面が形成されている。
【0025】
なお、突出部20は、板状部12(特に、板状部本体14)に対して屈曲して形成され、具体的には、板状部12の正面側の面に対して突出して形成され、例えば、突出部20の上面と板状部12の正面側の面とがなす角度α(図7参照)は、100〜110度(好適には105度)となっている。なお、角度αは、略直角としてもよい。
【0026】
この突出部20と突出部20が連設された板状部本体14(特に、下端部分14−1)とによって、環状に形成され(つまり、図5のハッチングに示す部分が環状を形成する)、内側に開口部(第2開口部)Kが形成されている。なお、この突出部20と突出部20が連設された板状部本体14の下端部分14−1とによって略D形の環状部が形成される。つまり、突出部20は、板状部本体14の下端で先端部16が連設されていない両側の下端(つまり、板状部本体14の下端で、先端部16よりも右側面側の下端部分と先端部16よりも左側面側の下端部分)からそれぞれ板状部の一方の面(つまり、正面側の面)に対して突出して該両側の下端同士を架橋して形成され、板状部本体とともに環状を構成し、板状部本体14との間に開口部Kを有している。なお、板状部12(特に、板状部本体14)における左右方向に間隔を介した位置からそれぞれ突出し、板状部12から間隔を介した位置で連設することにより、板状部12とともに環状を構成する構成ともいえる。また、板状部12(特に、板状部本体14)の面のある位置(第1位置)から突出するとともに、板状部12のその面における第1位置から左右方向に間隔を介した位置(第2位置)において板状部12と連設することにより、板状部12とともに環状を構成するともいえる。
【0027】
なお、係止具本体10の製造に関しては、平板状の金属を突出部20が板状部12と同一平面状となっている形態に打ち抜き、その後、突出部20を板状部12に対して折曲した状態とすることにより形成することができる。
【0028】
また、吊下げ具30は、帯状の布製部材をループ状に形成したものであり、具体的には、帯状の布製部材を8の字状のループ状に形成したものであり、第1背面部30aと第1背面部30aから連設された正面部30bと正面部30bから連設された第2背面部30cとを有している。
【0029】
つまり、帯状の布製部材の一方の端部を上方に向けた状態で該一方の端部から下方の位置で正面側、かつ、上方に折り返し(この折り返し位置が下端の折り返し位置(係止具本体側の折り返し位置)となる)、さらに、上端位置で背面側、かつ、下方に折り返して(この折り返し位置が上端の折り返し位置となる)、帯状の布製部材の他方の端部領域を一方の端部領域の背面側の面と重なるようにして、帯状の布製部材の一方の端部と他方の端部とが重なった箇所で、第1背面部30aと正面部30bと第2背面部30cとを直線上に縫い付けて縫製部32を形成することにより構成したものである。布製部材の一方の端部から下端の折り返し位置までの部分が第1背面部30aとなり、布製部材の下端の折り返し位置から上端の折り返し位置までの正面側の部分が正面部30bとなり、上端の折り返し位置から布製部材の他方の端部までの部分が第2背面部30cとなる。縫製部32の位置では、正面部30bと第1背面部30aと第2背面部30cとは積層した状態となっていて、正面部30bの背面側の面に第1背面部30aが重なり、第1背面部30aの背面側の面に第2背面部30cが重なっている。
【0030】
吊下げ具30の下端部分が係止具本体10の開口部14aに挿通された状態となっていて、これにより、係止具本体10が吊下げ具30に吊り下げられた状態となっている。つまり、布製部材の下端の折り返し位置が係止具本体10の開口部14aに挿通されている。つまり、吊下げ具30の第1背面部30aと正面部30bにおける縫製部32よりも下側の部分が筒状に形成され、該筒状部分に板状部本体14の上端部分が挿通され、該筒状部分が、係止具本体10を吊り下げた状態で支持する部分となっている。
【0031】
また、正面部30bと第2背面部30cにおける縫製部32よりも上側の部分(すなわち、吊下げ具30の少なくとも一部)は筒状に形成されていて、この筒状に形成された部分がベルト通し部34となる。
【0032】
つまり、吊下げ具30は、開口部14aに挿通されることにより係止具本体10に取り付けられ、吊下げ具30の少なくとも一部が筒状に形成され、これにより、ベルト通し部34が形成されている。
【0033】
なお、縫製部32は、布製部材の下端の折り返し位置と略平行に形成されており、下端の折り返し位置に近い側に形成されている。これにより、ベルト通し部34を大きく形成することができる。なお、実際の製造に際しては、当然、布製部材を係止具本体10の開口部14aに通した状態で、布製部材の一方の端部領域と他方の端部領域とを重ねた状態で縫製を行う。
【0034】
釣り用係止具5は、左右対称に形成され、係止具本体10と吊下げ具30とはそれぞれ左右対称に形成されている。
【0035】
上記構成の釣り用係止具5の使用状態について説明する。釣り用係止具5を使用する際には、吊下げ具30のベルト通し部34にベルト(主として、ズボンのベルト)を通して釣りを行う使用者に装着する。釣り用係止具5の装着位置としては、使用者の腰の辺りとするのが好ましい。図6、図7は、ズボンのベルト50を吊下げ具30に挿通して装着した状態を示している。
【0036】
この状態で、ナス環等の係止部材を突出部20に係止させるが、図6、図7は、ナス環80を係止した状態を示している。ナス環80を釣り用係止具5に係止させる場合には、釣り用係止具5においては、突出部20が板状部本体14に対して屈曲して形成されていて、釣り用係止具5をベルト50に装着した状態では、突出部20が側方に突出した状態となっているので、ナス環80の留め具84をナス環本体82に対して開いた状態として(つまり、留め具84を内側に押さえることにより開いた状態となる)ナス環本体82を突出部20に係止させ、留め具84をナス環本体82に対して開けた状態を解除する(留め具84を押さえていた指を離すことにより解除される)ことにより留め具84をナス環本体82に対して閉じた状態としてナス環80を釣り用係止具5(特に、突出部20)に係止させる。
【0037】
なお、ナス環本体82を突出部20に係止させる際に、突出部20の先端側を下方に押しても、板状部12に先端部16が設けられているので、突出部20が下方に回動することがなく、ナス環本体82を突出部20に係止させる操作が容易である。つまり、先端部16が突出部20の上下方向の位置よりも下方に突出して形成されているので、突出部20を下方に押しても、先端部16の背面側の面が他の物(この場合には、使用者の腰の部分(図7では、Pの辺りが腰の辺りとなる))に接することにより突出部20が下方には回動しない。
【0038】
また、突出部20を下方に押さえておくことにより、板状部12の背面側の面が該他の物の面側に押されるので、これにより、係止具本体10が固定され、ナス環80を係止しやすくすることができる。
【0039】
留め具84を内側に押さえた状態でナス環本体82を突出部20に係止させ、留め具84を押さえていた指を離して留め具84をナス環本体82に対して開けた状態を解除する操作は、片手で行うことができるので、両手を用いることなくナス環80を釣り用係止具5に係止させることができる。なお、突出部20を下方に押さえる操作も、ナス環80を係止させる直前に行えばよく、ナス環80を持った手で行なうことができる。
【0040】
図6、図7の例では、曳舟60に設けられた紐体70の先端側がナス環80のリング状部86に挿通された状態となっている例を示している。
【0041】
本実施例の釣り用係止具5は、上記のように構成されているので、ナス環等の係止部材を係止させる際に係止させる部分(つまり、突出部20)を一方の手で持ち上げる必要がなく、ナス環等の係止部材を片手で係止させることができ、両手を用いることなくナス環80を釣り用係止具5に係止させることができる。特に、突出部20は板状部本体14に対して100〜110度に屈曲して形成されているので、突出部20の上下に十分な空間を確保することができ、係止部材を容易に係止することができ、また、突出部20が板状部本体14に対して100〜110度をなし、突出部20が板状部本体14に対して直角よりもやや下方に形成されているので、ナス環本体82を突出部20に掛止しやすい。また、突出部20が略U字状に形成されているので、危険となることがない。つまり、突出部20が略U字状ではなく角張った形状の場合には、手や腕が負傷するという危険が生じる可能性があるが、そのようなおそれがない。
【0042】
また、ベルト50を吊下げ具30のベルト通し部34に通して釣り用係止具5を装着した状態(つまり、垂下してぶら下げた状態)では、突出部20が側方に突出した状態となっているので、上側から視認した場合に、係止具本体10の存在を識別しやすく、ナス環等の係止部材の係止を容易に行うことができる。
【0043】
なお、上記の説明において、板状部12には先端部16が設けられるとしたが、板状部本体14が上下方向に十分な長さがあれば、突出部20を下方に押しても板状部12が回動してしまうことがないので、先端部16の構成を省略してもよい。
【0044】
なお、上記の説明においては、板状部12から正面側に突出した部材(突出部20)がU字状であるとしたが、板状部本体14の下端で先端部16が連設されていない両側の下端からそれぞれ板状部の一方の面に対して突出して該両側の下端同士を架橋して形成され、板状部本体とともに環状を構成し、板状部本体14との間に開口部を有する構成であれば他の形状でもよく、例えば、円弧状でもよく、略コ字状でもよい。なお、円弧状に形成する場合には、角張った形状でないので、危険となることがない。
【0045】
なお、突出部20は、板状部12に対して100〜110度又は略直角に形成されているとしたが、板状部本体14に対して屈曲して板状部12の正面側の面に対して突出して形成されていればよい。なお、ナス環等の係止部材が係止しやすいためには、角度αは、少なくとも45度〜135度程度が好ましい。つまり、角度αが45度よりも小さい場合や135度よりも大きい場合には、突出部20の先端と板状部12の正面側の面との間の距離を十分確保することができず、係止部材を係止しにくいという問題がある。
【符号の説明】
【0046】
5 釣り用係止具
10 係止具本体
12 板状部
14 板状部本体
14a、K 開口部
16 先端部
20 突出部
30 吊下げ具
30a 第1背面部
30b 正面部
30c 第2背面部
32 縫製部
34 ベルト通し部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナス環又は鉄砲環からなる係止部材を係止するための釣り用係止具であって、
係止具本体(10)と、係止具本体を吊り下げた状態で支持する吊下げ具(30)とを有し、
係止具本体が、
平板状を呈し、吊下げ具を挿通するための開口部を有する板状部材(14)と、
係止部材を係止する突出部で、板状部材の下端における左右両側の端部からそれぞれ板状部材の一方の面である正面側の面に対して突出して該両側の下端同士を架橋して形成され、板状部材との間に第2開口部を有する突出部(20)と、
を有し、
吊下げ具が開口部に挿通されることにより係止具本体に取り付けられ、吊下げ具の少なくとも一部が筒状に形成されていることを特徴とする釣り用係止具。
【請求項2】
板状部材の下端における突出部が連設されてない箇所から下方に連設された先端部(16)を有することを特徴とする請求項1に記載の釣り用掛止具。
【請求項3】
突出部が、U字状又は円弧状を呈することを特徴とする請求項1又は2に記載の釣り用係止具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−90612(P2013−90612A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236181(P2011−236181)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(594020536)有限会社ヤマワ産業 (8)
【Fターム(参考)】