説明

釣り竿受け

【課題】 当たりがあったことを報知可能な釣り竿受けを提供する。
【解決手段】 船縁等に固定可能な支持部と、該支持部に前傾可能に枢支される竿保持部と、該竿保持部を常態で一定の角度に保持すると共に、竿先にかかる重みにより前傾する竿保持部によって弾縮可能な弾性部と、前記竿保持部からその前傾方向に一定距離乖離して設けられ、前記弾性部が所定以上弾縮したとき前記竿保持部に押圧されスイッチがオンとなる報知部とからなる。また、弾性部は竿保持部と報知部の間に位置して支持部に設けられる。さらに、報知部は竿保持部との距離を調整可能に支持部に取付けられる。竿保持部は揺動可能に支持部に枢支することもある。報知部はブザーから構成することがある。さらにまた、弾性部は竿保持部と金属板の間にウレタンやゴム等の弾性部材を介装してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、釣り竿のホルダーに係り、当たりがあった場合にこれを知らさせる手段を備えた釣り竿受けに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から当たりがくるまで手放しの状態で釣り竿を船縁等に固定するための釣り竿受けは公知である(例えば特許文献1参照)。また、特に夜釣りにおいて、当たりを知らせる手段として蛍光浮子(俗にケミホタルということもある)が知られている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−97135
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の釣り竿受けはそれ単独で当たりを釣り人に知らせる手段は具備しない。一方、蛍光浮子を常に監視することは釣り人にとって負担が大きく、また波の状態等によっては目視しづらいという欠点がある。
【0005】
本発明は上述した課題に鑑みなされたもので、その目的とするところは、当たりがあったことを報知可能な釣り竿受けを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するために本発明では、船縁等に固定可能な支持部と、該支持部に前傾可能に枢支される竿保持部と、該竿保持部を常態で一定の角度に保持すると共に、竿先にかかる重みにより前傾する竿保持部によって弾縮可能な弾性部と、前記竿保持部からその前傾方向に一定距離乖離して、言い換えれば一定のクリアランスをもって設けられ、前記弾性部が所定以上弾縮したとき前記竿保持部に押圧されスイッチがオンとなる報知部とから釣り竿受けを構成するという手段を用いる。支持部は本ホルダーを船縁、防波堤、砂地、磯など釣り場に応じた環境に固定するものとする。竿保持部は釣り竿を一定角度に保つように柄(グリップ)を保持し、竿先に何らかの重みがかかれば竿先を垂れる方向に前傾するように支持部に枢支される。そして前記重みが一定以上となれば、それを当たりとして竿保持部は弾性部の弾性力に抗して報知部と接触押圧して報知部のスイッチをオンにする。弾性部は常態では竿保持部を一定角度に保持すると共に、当たりの大きさによって竿保持部が報知部をスイッチオンするのに必要な傾動域(前傾動作に必要な力の領域)を制御する。このため弾性部は竿保持部と報知部の間に位置して支持部に設けることが好ましい。
【0007】
当たりの大きさ(釣果目的の魚の種類)に応じて、竿保持部が報知部をスイッチオンするのに必要な傾動域を予め調整できることが好ましい。その最も合理的な構成は、報知部が竿保持部との距離を調整可能に支持部に取付けられることである。即ち、両者の距離を大きくすれば、報知部の起動により大きな当たりが必要となる。なお、本発明では同目的を達成する別の手段として、竿保持部と報知部の距離を一定とし、弾性部の弾縮力を調整可能とすることも排除するものではない。具体的には、弾性部としてスプリング、バネ、ゴム、ウレタン等を採用した場合には、当初の圧縮の程度を調整することによって、これを弾縮するために必要な力も変わり、もって当たりに応じた報知が可能となる。
【0008】
当たりがあれば、釣り竿を本ホルダーから外すことなく、巻き取り動作等を行えることが好ましい。そのための構成として、竿保持部は揺動可能に支持部に枢支する。即ち、竿保持部を一定範囲(例えば120度の範囲)で揺動可能に枢支することによって、釣り竿を本ホルダーから外すことなくシャクリ動作を行うことができる。
【0009】
当たりがあったことは視覚的、聴覚的に知らせることができるが、好ましくは報知部としてブザーを採用する。ただし、報知部として発光手段を、それ単独またはブザーとの併用により採用してもよい。
【0010】
上述したように弾性部はスプリングやバネにより構成することができるが、竿保持部と金属板の間にウレタンやゴム等の弾性部材を介装して構成することも可能である。金属板は弾性部材を竿保持部とで挟持して安定した弾縮動作を行わしめると共に、弾性部材のヘタリを防止する。
【発明の効果】
【0011】
上述した手段を採用した本発明によれば、釣り竿の竿先にかかる重みを利用して竿保持部を前傾可能とし、この動作によって報知部を起動可能としたので、釣り人の注意力に負担をかけず、より確実に当たりを知らせることができる。また、竿保持部と報知部の距離を調整可能としたので、報知部のスイッチタイミングを当たりの大きさに応じて変更でき、特に大きな当たりを要する場合には報知部の誤作動を回避することができる。さらに、竿保持部を前傾方向だけでなく、後方にも回動するように揺動可能に枢支したので、釣り竿をホルダーに取付けた状態で巻き取り等に必要なシャクリ動作を行うことができる。さらに、報知部が発光手段であれば太陽光によって発光を判別しづらいことも考えられるが、ブザーを採用することによって、昼夜を問わず当たりを確実に知ることができる。さらにまた、弾性部としてウレタンやゴム等の弾性部材を竿保持部と金属板の間に介装して構成したので、弾性部の安定した動作が可能となり、また弾性部の耐久性も高まる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施の形態を添付した図面に従って説明する。図1は本発明の一実施形態に係る釣り竿受けの斜視図である。図中、1は船縁等に固定可能な支柱状の支持部、2は支持部1に揺動可能に枢支された竿保持部、3はその弾発力により竿保持部2を所定角度に維持する弾性部、4は弾性部3を介して竿保持部2と一定距離(クリアランス)をもって固定された報知部である。
【0013】
図2、図3と併用して各部について詳細を説明すると、支持部1はレバー1aによりホルダーの高さ及び向きの調整を可能としている。竿保持部2は回動軸2aを支点として台座2bが支持部1に揺動可能に枢支され、台座2bには前方(竿先方向)に凹状アーム2cと後方にリング状アーム2dが設けられており、両アーム2c・2dによって釣り竿Sを載置状態で保持するものである。また、台座2bからは凹状アーム2cと平行して前方に延長した板状の押圧部材2eが形成されている。弾性部3は竿保持部2の台座2bの裏面に位置して弾性部材3a(本実施形態ではウレタン)が設けられ、該弾性部3aを台座2bと金属板3bとで挟持するように介装している。3cは支持部1に螺合されたボルトであり、金属板3bを下から突き上げることによって、弾性部材3aを介して台座2b(竿保持部2)の傾きを調整してる。報知部4は、支持部1にネジ4aを軸として回動可能に取付けられた板状部材4bと、この板状部材4bに固定されたブザー4cとからなる。ブザー4cは上面にスイッチ4dを備え、竿保持部2の押圧部材2eによりスイッチング操作を可能としている。
【0014】
次に本ホルダーの動作を説明すると、先ず支持部1を船縁や防波堤、砂地、磯など、所望の場所に設置し、高さ調整や方向調整を行った後、釣り竿Sを図1に示したように竿保持部2にセットする。そして、仕掛けを投入した後、竿先に何らかの重みがかかれば、釣り竿Sの傾動と連動して竿保持部2が前傾しようとする。このとき、竿先にかかる重みが一定以下であれば、その重みに対して弾性部材3aの弾発力が勝り、竿保持部2は前傾しない。しかし、竿先にかかる重みが一定以上であれば、竿保持部2の前傾により弾性部材3aが弾縮し、竿保持部2の押圧部材2eが報知部4におけるブザー4cのスイッチ4dを押圧してオンする。当該スイッチング操作によりブザー4cが音を発生し、釣り人に当たりがあったことを聴覚的に知らせる。
【0015】
このような基本的動作を行う本ホルダーにおいて、さらに詳述すると、報知部4の起動により当たりがあったと判断された後は、釣り竿Sを竿保持部2から取り外すことなく、当該保持を維持した状態で竿保持部2の揺動構成によりシャクリ動作を行うことができる。なお、ここでいうシャクリ動作とは、イカ釣り時に用いられる手法以外に、釣り針をより確実に魚の口に引っ掛けるためや、釣糸の巻き上げるために、当たりがくる前の置き竿の状態から釣り竿Sを立てるように引き寄せる動作を含むものとする。
【0016】
また、本実施形態では板状部材4bの角度調整機能により、報知部4と竿保持部2の距離を調整可能とした。当該構成により、板状部材4bの回動調整により報知部4と竿保持部2の距離を小さくすれば、ブザー4cのスイッチ4dと竿保持部2の押圧部材2eの距離が接近するから、スイッチ4dの反応が高まり、小さい魚の当たりを感知することができる。逆に、前記距離を大きくとれば、ブザー4cのスイッチ4dと竿保持部2の押圧部材2eの距離が大きくなるから、スイッチ4dのスイッチタイミングが鈍くなり、大きな魚を対象とした当たりでしか反応しなくなる。
【0017】
なお、報知部4のスイッチイングは、スイッチ4d自体の高さを調整したり、弾性部3の弾性力を調整あるいは変更することで、随時制御するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態にかかる釣り竿受けの斜視図
【図2】同、側面図
【図3】同、正面図(但し、報知部省略)
【符号の説明】
【0019】
1 支持部
2 竿保持部
3 弾性部
4 報知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
船縁等に固定可能な支持部と、該支持部に前傾可能に枢支される竿保持部と、該竿保持部を常態で一定の角度に保持すると共に、竿先にかかる重みにより前傾する竿保持部によって弾縮可能な弾性部と、前記竿保持部からその前傾方向に一定距離乖離して設けられ、前記弾性部が所定以上弾縮したとき前記竿保持部に押圧されスイッチがオンとなる報知部とからなることを特徴とした釣り竿受け。
【請求項2】
弾性部は竿保持部と報知部の間に位置して支持部に設けられる請求項1記載の釣り竿受け。
【請求項3】
報知部は竿保持部との距離を調整可能に支持部に取付けられる請求項1または2記載の釣り竿受け。
【請求項4】
竿保持部は揺動可能に支持部に枢支した請求項1、2または3記載の釣り竿受け。
【請求項5】
報知部はブザーである請求項1、2、3または4記載の釣り竿受け。
【請求項6】
弾性部は竿保持部と金属板の間にウレタンやゴム等の弾性部材を介装してなる請求項1から5のうち何れか一項記載の釣り竿受け。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−25759(P2006−25759A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−212882(P2004−212882)
【出願日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【出願人】(592193269)株式会社スリーエッチ (7)
【Fターム(参考)】