釣り糸の巻き取り制御ユニット及び自動合わせ釣り装置
【課題】釣り糸を引く合わせのタイミングを自動的に判断して、魚をしっかりと針掛かりさることができ、必要に応じて、希望する対象魚にしぼって針掛かりさせて釣り上げることもできる釣り具を提供すること。
【解決手段】釣り糸3の巻き取りを行う巻き取り手段44と、釣り糸を介して伝えられる魚の食い付き行動時の振動を検出する検出手段47と、魚種毎の魚の食い付き行動時の振動パターンをデータ化して登録したデータベース45と、検出手段で検出された振動パターンをデータベースの振動パターンと比較して魚の食い付き行動時の振動パターンであるか否かを判断する判断手段48と、判断手段において魚の食い付き行動時の振動パターンであると判断したときに巻き取り手段に巻き取り指示信号を出力する制御部40とを備えている。
【解決手段】釣り糸3の巻き取りを行う巻き取り手段44と、釣り糸を介して伝えられる魚の食い付き行動時の振動を検出する検出手段47と、魚種毎の魚の食い付き行動時の振動パターンをデータ化して登録したデータベース45と、検出手段で検出された振動パターンをデータベースの振動パターンと比較して魚の食い付き行動時の振動パターンであるか否かを判断する判断手段48と、判断手段において魚の食い付き行動時の振動パターンであると判断したときに巻き取り手段に巻き取り指示信号を出力する制御部40とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣り糸を介して伝えられる魚の食い付き行動時の振動を検出して自動合わせを可能にするための釣り糸の巻き取り制御ユニット及び自動合わせ釣り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
漁獲方法の一つに、釣り具を利用する方法は従来から広く知られている。釣り具の中でも、釣り糸を巻いたリールを釣り竿に装着して用いる釣り具は、磯釣りや防波堤釣り等に限らず、レジャーボート、遊漁船、職業船等の船釣りにおいても広く普及している。
【0003】
ところで、このようにリール付きの釣り竿を利用しての釣りでは、釣り針に魚を針掛かりさせるタイミングの取り方、即ち、竿先を煽ったり釣り糸を巻いたりする、いわゆる「合わせ」のタイミングが難しい。なぜなら、針掛かりする魚種は多種類に及び、その魚種毎に食い付き行動時の釣り糸の微妙な引き方(あたり)の態様が異なるからである。
【0004】
この「あたり」は、釣り糸を介してリール及び釣り竿に伝えられるが、「あたり」の態様が魚種毎に異なるだけでなく、同一魚種でも季節や大きさ等によって相違することがあるため、釣り糸を引く「合わせ」のタイミングはさらに難しくなる。その結果、特に、釣りの初心者ではその釣果を大きく低下させてしまうことになる。
【0005】
近年、電動リールの普及が進み、10m前後の浅場から200m以上の深場の船釣りまで活発に行われている。船釣りでは、波浪による船体の揺れの影響が釣り竿や釣り糸、リール等に直接及ぶため、「あたり」の判断が難しく、この点からも「合わせ」のタイミングが難しい。
【0006】
特許文献1には、超音波を利用して比較的深海でも確実に魚掛かりを検知できる一本釣り漁における自動釣り装置の技術が開示されている。この自動釣り装置は、釣り具とウインチと魚掛かり検知器とを備え、釣り具先端近傍には魚掛かり検知器と、複数の超音波振動子と、魚掛かり検知器の信号に基づいて各超音波振動子を駆動して超音波信号を送出する送波回路と、これらを作動させる電源とを装備し、船側には超音波信号を受波してウインチに制御信号を送出する受波振動子及び受波回路を設けたものである。
【0007】
この自動釣り装置では、魚掛かり(針掛かり)したことを検知してからウインチを巻き上げる考え方を採用している。したがって、まだ針掛かりしていない、いわゆる「あたり」があった状態から「合わせ」の操作によってタイミング良くかつしっかりと針掛かりさせるという考え方はない。即ち、この自動釣り装置には、熟練者の技である魚種毎に対応した「合わせ」の操作を行うことができない問題がある。さらに、単に針掛かりした魚の全てを吊り上げる方法であるため、釣り上げを希望する魚種のみを吊り上げることも不可能である。
【特許文献1】特開平5−284882号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
よって、本発明の課題は、釣り糸を引く合わせのタイミングを自動的に判断して、魚をしっかりと針掛かりさせることができ、必要に応じて、希望する対象魚にしぼって針掛かりさせて釣り上げることもできる、釣り糸の巻き取り制御ユニット及び自動合わせ釣り装
置の技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る釣り糸の巻き取り制御ユニットは、釣り糸の巻き取りを行う巻き取り手段と、釣り糸を介して伝えられる魚の食い付き行動時の振動を検出する検出手段と、魚種毎の魚の食い付き行動時の振動パターンをデータ化して登録したデータベースと、検出手段で検出された振動パターンをデータベースに登録されている振動パターンと比較して対象魚の食い付き行動時の振動パターンと同一であるか否かを判断する判断手段と、判断手段において対象魚の食い付き行動時の振動パターンであると判断したときに巻き取り手段に巻き取り指示信号を出力する制御部と、を備えている。
【0010】
ここで、魚の食い付き行動時の振動パターンとは、熟練した釣り師が感知するあたり時の振動パターンを、振動f[Hz]、あたり間隔T[s]、引きの強さF[N]などの物理量を用いて魚種毎にモデル化したものをいう。
【0011】
本発明によれば、検出手段によって魚の食い付き行動時の釣り糸に伝わる振動を検出し、判断手段によって魚の食い付き行動時の振動パターンをデータベースに登録してある振動パターンと比較し、魚の食い付き行動時の振動パターンであると判断したときに、制御部によって巻き取り手段に巻き取り指示信号を出力して釣り糸を巻き上げることで「合わせ」の操作を行う。これにより、タイミング良くかつしっかりと魚を針掛かりさせることができる。
【0012】
また、本発明に係る釣り糸の巻き取り制御ユニットは、釣り糸の巻き取りを行う巻き取り手段と、釣り糸を介して伝えられる魚の食い付き行動時の振動を検出する検出手段と、あらかじめ魚種毎に登録された食い付き行動時の振動パターンをデータ化して魚名と関連づけて登録したデータベースと、釣り上げを希望する魚種名を入力する入力手段と、検出手段で検出された振動パターンをデータベースの振動パターンと比較して入力手段で入力された魚種であるか否かを判断する判断手段と、判断手段において釣り上げを希望する魚種であるときには巻き取り手段に巻き取り指示信号を出力する制御部と、を備えている。
【0013】
この発明によれば、あらかじめ魚種毎に登録された食い付き行動時の振動パターンをデータ化して魚名と関連づけて登録したデータベースと、釣り上げを希望する魚種名を入力する入力手段とを備えているので、必要に応じて、希望する対象魚にしぼって針掛かりさせて釣り上げることができる。したがって、希望しない対象魚はできるかぎり針掛かりさせないように自動制御することができる。
【0014】
本発明に係る自動合わせ釣り装置は、釣り竿に装着される電動リールを備え、その電動リールは、前記釣り糸の巻き取り制御ユニットを含むことを特徴としている。
【0015】
この発明によれば、既存の電動リールは巻き取り指示信号によってスプールが回転し、釣り糸を巻き上げる機能を備えているので、この機能を巻き取り手段として利用(兼用)することで、自動合わせできる釣り糸の巻き取り制御ユニットを装備した電動リールを比較的低コストで製作することができる。
【0016】
本発明に係る自動合わせ釣り装置は、釣り竿の竿先とリールとの間に装着される合わせ装置を備え、その合わせ装置は、前記釣り糸の巻き取り制御ユニットを含むことを特徴としている。
【0017】
この発明によれば、手動リールを用いた釣り竿でも対応可能にすることができる。
【0018】
本発明に係る自動合わせ釣り装置は、釣り竿のグリップと竿先との間に設けられたヒンジを中心に竿先を煽る方向へ回動させる回動手段と、その回動手段の制御手段とを備え、制御手段は、釣り糸を介して伝えられる魚の食い付き行動時の振動を検出する検出手段と、魚種毎の魚の食い付き行動時の振動パターンをデータ化して登録したデータベースと、検出手段で検出された振動パターンをデータベースに登録されている振動パターンと比較して対象魚の食い付き行動時の振動パターンと同一であるか否かを判断する判断手段と、判断手段において対象魚の食い付き行動時の振動パターンであると判断したときに、回動手段に回動指示信号を出力する制御部と、を備えたことを特徴としている。
【0019】
この発明によれば、釣り竿のグリップと竿先との間に設けられたヒンジを中心に竿先を煽る方向へ回動させる回動手段と、その回動手段の制御手段とを備えているので、釣り竿を自動的に直接煽ることができる。これにより、竿釣りにおいて通常行う合わせ動作と同じような操作とすることができる。
【0020】
ここで、制御手段としては、釣り糸を介して伝えられる魚の食い付き行動時の振動を検出する検出手段と、あらかじめ魚種毎に登録された食い付き行動時の振動パターンをデータ化して魚名と関連づけて登録したデータベースと、釣り上げを希望する魚種名を入力する入力手段と、前記検出手段で検出された振動パターンを前記データベースに登録されている振動パターンと比較して前記入力手段で入力された魚種であるか否かを判断する判断手段と、前記判断手段において前記釣り上げを希望する魚種であるときには前記巻き取り手段に巻き取り指示信号を出力する制御部と、を備えた構成を採用することもできる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、釣り糸を引く合わせのタイミングを自動的に判断して、魚をしっかりと針掛かりさせることができ、必要に応じて、希望する対象魚にしぼって針掛かりさせて釣り上げることもできる、釣り糸の巻き取り制御ユニット及び自動合わせ釣り装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(第1の実施形態)
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る自動合わせ釣り装置の概要図であり、図2は電動リールの斜視図である。図3は電動リールの一部の概略平面図である。図4は本発明の実施の形態に係る釣り糸の巻き取り制御ユニットの機能ブロック図である。図5は検出部の原理図である。
【0023】
この実施の形態に係る自動合わせ釣り装置は、図1に示すように、釣り竿1と、釣り竿1に装着される電動リール2と、電動リール2によって巻き取られる釣り糸(道糸)3とを備えている。釣り糸3の先端には釣り針付きの仕掛けが設けられる。
【0024】
電動リール2は、図2に示すように、釣り竿1に装着される装着部を有するリール本体21と、リール本体21の側部に配置されたスプール回転用のハンドル22と、リール本体21の側部とハンドル22との間に設けられたドラグ調整用のスタードラグ23と、リール本体21の上部に設けられたケース部材24とを備えている。
【0025】
リール本体21は、左右1対の側板25a、25bとそれらを連結する複数の連結部26とからなるフレーム25と、フレーム25の左右を覆う左右の側カバー27a、27bとを有している。ハンドル22側の側カバー27bには、ハンドル22の図示しない回転軸が回転自在に支持されている。
【0026】
リール本体21の内部には、ハンドル22に連結されたスプール28が回転自在に支持されている。スプール28の内部には、スプール28を糸巻き上げ方向に回転駆動するモータ29が配置されている。また、側カバー27bのハンドル22側の側面には図示しないクラッチ機構を操作するためのクラッチレバー30が配置されている。後部の連結部26の側板25a側には図示しない外部電源及び後述する合わせ情報の入力装置(パソコン等)を接続するためのリールコード31が装着されている。
【0027】
ケース部材24は、リール本体21の上部に配置されたアルミニウム合金製のケースであり、内部の空間に各種の電気部品が収納されている。ケース部材24の上面には、透明樹脂製の表示窓を介して仕掛けの水深や棚位置を水面からと底からとの2つの基準でリールに関する情報を表示するための液晶ディスプレイからなる第1表示部5と、第1表示部5の周囲に配置された操作キー部6とが設けられている。操作キー部6は、後述する、釣り上げ希望魚種名の入力キー(入力手段)としても機能する。
【0028】
第1表示部5は、図3に示すように、数字や文字、アイコン等を表示するための液晶ディスプレイであり、例えば、「底から」、「学習」、「指定」、「下巻」、「修正」、「入力」、「糸送止」、「0セット」等のリールに関する一般情報の他、後述する「情報収集」、「希望魚種名」を文字やアイコン等で表示可能である。
【0029】
操作キー部6は、第1表示部5の図3右側に上下に並べて配置された変速キー61、62及び情報収集入力キー63、釣り上げ希望魚種名入力キー64と、図3左側に上下に並べて配置された底メモキー65及びモードキー66とを有している。変速キー61、62は、駆動されたモータ29を増減速するためのキーであり、変速キー61を押すと増速し、変速キー62を押すと減速する。
【0030】
底メモキー65は、仕掛けが底に到達したときに押されるスイッチであり、そのときの水深が底として設定される。モードキー66は、複数種類の糸巻モードに切り替えるため、及び後述する第1合わせモード、第2合わせモードに切り替えるためのスイッチである。
【0031】
ケース部材24の内部には、図4に示すように、水深表示制御やモータ駆動制御等を行うCPU、RAM、ROM、I/Oインターフェイス等を含むマイクロコンピュータからなる制御部40を有している。制御部40には、操作キー部6の各種キー、スプール28の回転位置及び方向を検出するためのスプールセンサ41、スプールセンサ41からの所定パルス毎に値が変化するスプールカウンタ42が接続されている。
【0032】
また、制御部40には、各種の表示を行うための第1表示部5、各種のデータを記憶する記憶部45、モータ29をPWM駆動するFETを含むPWM駆動回路44、及び情報入力部46が接続されている。
【0033】
さらに、制御部40には、釣り竿1および釣り糸3を介して伝えられる魚の食い付き行動時の振動を検出する検出部47が接続されている。図4において、制御部40は判断部48を有する。そして、この判断部48に、検出部47で検出した魚の食い付き行動時の振動パターンを示すデータが伝送される。
【0034】
検出部47には、釣り竿1および釣り糸3に伝えられる振動(振動パターン)を光学的、電気的あるいは機械的に検出して電気信号として出力する振動感知センサが利用される。この振動感知センサを設ける位置は、センサ自体の検出原理や構造、大きさ等によっても異なるが、この実施形態では、リール本体21の釣り糸ガイド(道糸ガイド)部分に設けられている。
【0035】
図5は、検出部47を構成する振動感知センサの構成を原理図として示したものである。この振動感知センサは、釣り糸3に伝えられる振動(振動パターン)を高精度ロータリエンコーダを用いて、角度の変位と速度を示す電気信号(パルス)に変換する。即ち、この振動感知センサは、高精度ロータリエンコーダ470と、第1プーリ471および第2プーリ472と、調整ばね473とを備えている。
【0036】
ロータリエンコーダ470も釣り糸3との摩擦によって回転する回転プーリ474を有する。そして、これら回転プーリ474、第1プーリ471、第2プーリ472の各回転軸は、その軸線が図示のように互いに並行にかつ一列に並ぶように配置されている。即ち、回転プーリ474が第1プーリ471を中心にしてリール本体のスプールと反対側に配置され、第2プーリ472がスプール側(釣り糸3の巻き取り方向側)に配置されて横一列に並べられている。中央に位置する第1プーリ471は調整ばね473によって図5に示す定位置へ位置決めされている一方、調整ばねの附勢力に抗して一方向(図において矢印C、Dで示す上下方向)へ往復移動可能に構成されている。
【0037】
釣り糸3は第1プーリ471によってS字状に湾曲された状態で、その巻き取り方向A及び繰り出し方向Bのいずれの方向へも走行移動可能になっている。ここで、調整ばね473の主たる機能は回転プーリ474に対する釣り糸3の摩擦力を一定に保ち、魚の食い付き行動時の振動を回転プーリ474に対して機械的に高精度に伝達させることにある。回転プーリ474に対する釣り糸3の摩擦力は、摩擦係数が同一の場合、互いの接触面積(釣り糸3のプーリへの接触長)と接触強さによって左右される。したがって、釣り糸3に一定以上の張力が掛かると、中央に位置する第1プーリ471はC方向へ変位させられて接触長が短くなるように構成されている。この変位量は釣り糸3に掛かる張力に比例して大きくなるように設定されている。
【0038】
なお、この検出部47としては、リールからの釣り糸の負荷データを高精度に検出した負荷変動パターンを振動パターンの電気信号(パルス)として出力するようにしてもよい。
【0039】
また、検出部47としては、図6に示すように、釣り竿1および釣り糸3を介して伝えられた振動パターンを、釣り竿1に取り付けた加速度センサやジャイロセンサを用いて電気信号として出力するようにしてもよい。
【0040】
また、図7に示すように、釣り竿1の先端に光学距離センサ47aを備えたガイド47bを取り付けて、振動パターンを釣り竿1の先端のしなり長αとして検出してもよい。
【0041】
記憶部45には、制御プログラムや種々の表示データの他に、魚種毎の魚の食い付き行動時の振動パターンをデータ化して魚名と関連づけて登録されたデータベースが構築されている。
【0042】
図8は、測定装置を用いて予め採取した魚種:「めじな」の振動パターンを示すもので、振動周波数ピークf=約4.5KHz、あたり間隔T=4秒であった。図9は、魚種:「石鯛」の振動パターンを示すもので、振動周波数ピークf=約100Hz、あたり間隔T=3秒であった。したがって、記憶部45には、このような多種類に及ぶ魚種毎の食い付き行動時の振動パターンをデータ化して魚名と関連づけて登録されている。勿論、釣り上げを希望する魚種のみの振動パターンをデータ化して魚名と関連づけて登録してもよい。
【0043】
データベースを構築する際の情報入力は、情報入力部46を利用して行われる。その際
、釣り上げを希望する魚の情報の入力方法としては、あらかじめ作成した情報を外部より入力する方法と、本発明の釣り装置自体を用いて作成する方法とがある。あらかじめ作成した情報を外部より入力する方法では、情報入力部46に接続して行なうケーブル伝送や無線伝送などの情報通信手段を用いてパソコンなどから本装置に転送する。あるいは、本装置の記憶部に使われるROMやフラッシュメモリなどの記憶素子を更新(交換)する。
【0044】
本装置を用いてデータベースを作成する方法としては、実際に釣りを行うことにより本装置の検出部47で検出した魚の食い付き行動時の振動パターンを記憶部45に登録する。
【0045】
判断部48は、検出部47で検出された振動パターンを、記憶部45のデータベースの振動パターンと比較して魚の食い付き行動時の振動パターンであるか否かを判断する機能を有する。そして、制御部40は、判断部48において魚の食い付き行動時の振動パターンであると判断したときに巻き取り手段を構成するPWM駆動回路44に巻き取り指示信号を出力する機能を有する(第1合わせモード)。
【0046】
さらに、この判断部48は、検出部47で検出された振動パターンをデータベースの振動パターンと比較して、図3で示した釣り上げ希望魚種名入力キー64で入力された魚種であるか否かを判断する機能を有する。そして、制御部40は、判断部48において釣り上げを希望する魚種名であるときには巻き取り手段を構成する駆動回路44に巻き取り指示信号を出力する機能を有する(第2合わせモード)。
【0047】
なお、第1合わせモードと第2合わせモードは、モードキー66によって切り替え可能である。
【0048】
次に、制御部40によって行われる自動合わせの制御処理を、図4に示す機能ブロック図及び図10に示す制御フローチャートに従って説明する。
まず、モードキー66によって、第1合わせモードに設定されている場合について説明する。
【0049】
ステップS1では、検出部47で検出したあたり(振動情報)INの読み取りが行われる。即ち、釣り糸3を介して伝えられる魚の食い付き行動時の振動(あたり)が検出部47により検出されると、その振動パターンに対応する振動情報が電気信号(パルス)として判断部48に入力される。
【0050】
判断部48において振動情報INが検出されると(ステップS2)、ステップS3へ移行する。ステップS3では、釣り上げ希望魚種名入力キー64からの魚種名情報inが入力されているか否かを判断する。ここで、モードキー66によって第1合わせモードに設定され、魚種名情報inの入力なし(NO)の場合、ステップS4へ移行する。
【0051】
ステップS4では、記憶部45に格納されているデータベースから魚種1〜Nの振動パターンD(i)のうち、魚種1の振動パターンが読み出される。次に、判断部48で、検出部47で検出したあたり(振動情報)INを、記憶部45のデータベースから読み出した振動パターンD(i)と比較して魚の食い付き行動時の振動パターンと同一(D(i)=IN)であるか否かを判断(比較)する(ステップ5)。
【0052】
ステップS5において同一である(YES)と判断された場合、即ち、魚の食い付き行動時の振動パターンであると判断されたときには、ステップS9へ移行する。ステップS9では、制御部40からPWM駆動回路44に巻き取り指示信号が出力され、次いでPMW駆動回路44からモータ29にPWM信号が出力され(ステップS10)、モータ29
が駆動されてスプール28が回転し(ステップS11)、釣り糸3が巻き取られることにより、自動合わせ動作が行われる。
【0053】
一方、ステップS5において同一でない(NO)と判断された場合には、記憶部45から次(i+1)の魚種の振動パターンを読み出して比較し(ステップS6)、魚種Nの振動パターン情報まで順次読み出して比較する(ステップS7)。
【0054】
ステップS7において、変数iが、i<NであるときにはステップS5へ戻り、魚種Nまでの比較動作が繰り返される。その比較動作が繰り返される過程で、(D(i)=IN)がYESとなった場合には、前述したステップS9以降の合わせ動作が行われる。変数iが、i>Nとなった場合にはステップS1へ戻り、次のINの読み取りを行う。
【0055】
次に、モードキー66によって、第2合わせモードに設定されている場合について、図10に示す制御フローチャートに従って説明する。
【0056】
ステップS1では、検出部47で検出したあたり(振動情報)INの読み取りが行われる。即ち、釣り糸3を介して伝えられる魚の食い付き行動時の振動(あたり)が検出部47により検出されると、その振動パターンに対応する振動情報が電気信号(パルス)として判断部48に入力される。
【0057】
判断部48において振動情報INが検出されると(ステップS2)、ステップS3へ移行する。ステップS3では、釣り上げ希望魚種名入力キー64からの魚種名入力情報inが入力されているか否かを判断する。ここで、モードキー66によって第2合わせモードに設定され、魚種名情報inの入力あり(YES)の場合、ステップS8へ移行する。
【0058】
ステップS8では、魚名と関連付けて記憶部45に格納されている魚種1〜Nの振動パターンD(i)のうち、指定された魚種名の振動パターンD(in)が読み出される。そして、検出部47で検出したあたり(振動情報)INを、指定された魚種名の振動パターンD(in)と比較して、指定された魚種名(釣り上げ希望魚種名入力キー64で入力された魚種)であるか否かを判断する。
【0059】
YESの場合には、ステップS9へ移行し、制御部40からPWM駆動回路44に巻き取り指示信号が出力され、PMW駆動回路44からモータ29にPWM信号が出力され(ステップS10)、モータ29が駆動されてスプール28が回転し(ステップS11)、釣り糸3が巻き取られることにより、自動合わせ動作が行われる。
【0060】
一方、ステップS8において、NOと判断された場合には、ステップS1へ戻り、次のINの読み取りを行う。
【0061】
なお、この自動合わせ動作におけるスプール28の回転動作については、自動合わせに必要な時間だけ、例えば1〜3秒間だけ一時的に回転させる制御方法を採用してもよい。また、スプール28の回転速度については、釣り糸3を引く合わせの速さに直接的に関係する。この合わせの速さを魚種によって相違させる方が望ましい場合には、巻き取り指示信号に加えて巻き取り速度指示信号を出力する制御方法を採用してもよい。
【0062】
また、合わせ情報については、魚の種類や大きさなどの釣り対象の情報に加えて、季節、気温などの使用環境の情報をも含ませることが好ましい。さらに、釣り名人などの合わせ情報をパッケージとして用意することもできる。
【0063】
(第2の実施形態)
図11は、本発明に係る自動合わせ装置の他の実施形態を示す概略斜視図であり、図12はその要部の動作原理図である。この実施形態の自動合わせ装置は、手動リールやリールを用いない竿でも対応可能に構成したものである。即ち、釣り竿1のグリップ1a部分にはヒンジ1bが設けられ、そのヒンジ1bを支点にして竿先1c側が上方へ回動可能に構成されている。ヒンジ1bにはモータ1dが組み込まれており、モータ1dの駆動信号によって、図12に示す仮想線の位置から実線の位置へ向けて竿先を煽る形態の合わせ動作を行うことができるように構成されている。これにより、釣り竿1のグリップ1aと竿先との間に設けられたヒンジ1bを中心にして竿先を煽る方向へ回動させる回動手段が構成されている。
【0064】
検出部としては、図5〜図7に示した振動感知センサを好適に採用することができる。検出部で検出した振動情報の処理やモータ1dの駆動制御を行う制御部(マイクロコンピュータ)を含む制御手段としては、電源(電池)と共にグリップ1a部分に装備(内蔵)する構成としてもよい。
【0065】
回動手段の制御を行うための、制御部を含む制御手段としては、図4に示した巻き取りユニットの考え方を採用することができる。その場合、制御手段は、釣り糸を介して伝えられる魚の食い付き行動時の振動を検出する検出手段と、魚種毎の魚の食い付き行動時の振動パターンをデータ化して登録したデータベースと、検出手段で検出された振動パターンをデータベースに登録されている振動パターンと比較して対象魚の食い付き行動時の振動パターンと同一であるか否かを判断する判断手段と、判断手段において対象魚の食い付き行動時の振動パターンであると判断したときに、回動手段に回動指示信号を出力する制御部と、を備えた構成とすることができる。なお、モータの代わりにばね(ぜんまい)を用いてもよい。
【0066】
(第3の実施形態)
図13は、本発明に係る自動合わせ装置のさらに他の実施形態を示す原理図であり、図14はそれを背面側から見た概略斜視図である。この実施形態の自動合わせ装置は、手動リールを用いた釣り竿でも対応可能に構成したものである。
【0067】
この自動合わせ装置は、釣り竿の竿先とリールとの間に装着される合わせ装置を備え、その合わせ装置は、釣り糸の巻き取り制御ユニットを含む。その構成としては、ロータリエンコーダで振動を感知し、プーリをモータで回転させて合わせを行う。即ち、この自動合わせ装置は、釣り糸3に伝えられる振動(振動パターン)をロータリエンコーダを用いて、角度の変位と速度を示す電気信号(パルス)に変換する高精度ロータリエンコーダ470と、第1プーリ471および第2プーリ472と、調整ばね473と、第2プーリ473の駆動モータ47Mとを備えている。
【0068】
ロータリエンコーダ470も釣り糸3との摩擦によって回転する回転プーリ474を有する。そして、これら回転プーリ474、第1プーリ471、第2プーリ472の各回転軸は、その軸線が図示のように互いに並行にかつ一列に並ぶように配置されている。即ち、回転プーリ474が第1プーリ471を中心にして竿先側に配置され、第2プーリ472が手動リール側に配置されて横一列に並べれている。中央に位置する第1プーリ471は調整ばね473によって図13に示す定位置へ位置決めされている一方、調整ばねの附勢力に抗して一方向(図において矢印C、Dで示す上下方向)へ往復移動可能に構成されている。
【0069】
釣り糸3は第1プーリ471によってS字状に湾曲された状態で、その巻き取り方向A及び繰り出し方向Bのいずれの方向へも走行移動可能になっている。調整ばね473の機能は図5で説明したものと同様であり、さらに、ロータリエンコーダ470、第1プーリ
471、第2プーリ472も同様の機能である。しかし、この実施の形態では、駆動モータ47Mが設けられ、その駆動モータ47Mの出力軸に第2プーリ472が取り付けられている点で相違している。これにより、振動感知センサ(検出部)の機能と、合わせのための釣り糸自動巻き取り機能とを有する構成となっている。検出部で検出した振動情報の処理や駆動モータ47Mの駆動制御を行う制御部(コンピュータ)としては、例えば電源と共にロータリエンコーダのケース部分に装備(内蔵)する構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明第1の実施形態に係る自動合わせ釣り装置の概要図
【図2】本発明の第1の実施形態に係る電動リールの斜視図。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る電動リールの一部の概略平面図。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る釣り糸の巻き取り制御ユニットの機能ブロック図。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る検出部(振動感知センサ)の原理図。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る検出部(振動感知センサ)の概略斜視図。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る検出部(振動感知センサ)の概略斜視図
【図8】魚(めじな)の食い付き行動時の振動パターン例を示す説明図。
【図9】魚(石鯛)の食い付き行動時の振動パターン例を示す説明図。
【図10】本発明の第1の実施形態に係る制御フローチャート。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る自動合わせ釣り装置の概要図。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る自動合わせ釣り装置の概要図。
【図13】本発明の第3の実施形態に係る合わせ装置の原理図。
【図14】本発明の第3の実施形態に係る合わせ装置を背面からみた概要図。
【符号の説明】
【0071】
1 釣り竿
2 電動リール
21 リール本体
28 スプール
29 モータ
5 第1表示部
6 操作キー部
40 制御部
44 PWM駆動回路
45 記憶部
46 情報入力部
47 検出部
48 判断部
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣り糸を介して伝えられる魚の食い付き行動時の振動を検出して自動合わせを可能にするための釣り糸の巻き取り制御ユニット及び自動合わせ釣り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
漁獲方法の一つに、釣り具を利用する方法は従来から広く知られている。釣り具の中でも、釣り糸を巻いたリールを釣り竿に装着して用いる釣り具は、磯釣りや防波堤釣り等に限らず、レジャーボート、遊漁船、職業船等の船釣りにおいても広く普及している。
【0003】
ところで、このようにリール付きの釣り竿を利用しての釣りでは、釣り針に魚を針掛かりさせるタイミングの取り方、即ち、竿先を煽ったり釣り糸を巻いたりする、いわゆる「合わせ」のタイミングが難しい。なぜなら、針掛かりする魚種は多種類に及び、その魚種毎に食い付き行動時の釣り糸の微妙な引き方(あたり)の態様が異なるからである。
【0004】
この「あたり」は、釣り糸を介してリール及び釣り竿に伝えられるが、「あたり」の態様が魚種毎に異なるだけでなく、同一魚種でも季節や大きさ等によって相違することがあるため、釣り糸を引く「合わせ」のタイミングはさらに難しくなる。その結果、特に、釣りの初心者ではその釣果を大きく低下させてしまうことになる。
【0005】
近年、電動リールの普及が進み、10m前後の浅場から200m以上の深場の船釣りまで活発に行われている。船釣りでは、波浪による船体の揺れの影響が釣り竿や釣り糸、リール等に直接及ぶため、「あたり」の判断が難しく、この点からも「合わせ」のタイミングが難しい。
【0006】
特許文献1には、超音波を利用して比較的深海でも確実に魚掛かりを検知できる一本釣り漁における自動釣り装置の技術が開示されている。この自動釣り装置は、釣り具とウインチと魚掛かり検知器とを備え、釣り具先端近傍には魚掛かり検知器と、複数の超音波振動子と、魚掛かり検知器の信号に基づいて各超音波振動子を駆動して超音波信号を送出する送波回路と、これらを作動させる電源とを装備し、船側には超音波信号を受波してウインチに制御信号を送出する受波振動子及び受波回路を設けたものである。
【0007】
この自動釣り装置では、魚掛かり(針掛かり)したことを検知してからウインチを巻き上げる考え方を採用している。したがって、まだ針掛かりしていない、いわゆる「あたり」があった状態から「合わせ」の操作によってタイミング良くかつしっかりと針掛かりさせるという考え方はない。即ち、この自動釣り装置には、熟練者の技である魚種毎に対応した「合わせ」の操作を行うことができない問題がある。さらに、単に針掛かりした魚の全てを吊り上げる方法であるため、釣り上げを希望する魚種のみを吊り上げることも不可能である。
【特許文献1】特開平5−284882号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
よって、本発明の課題は、釣り糸を引く合わせのタイミングを自動的に判断して、魚をしっかりと針掛かりさせることができ、必要に応じて、希望する対象魚にしぼって針掛かりさせて釣り上げることもできる、釣り糸の巻き取り制御ユニット及び自動合わせ釣り装
置の技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る釣り糸の巻き取り制御ユニットは、釣り糸の巻き取りを行う巻き取り手段と、釣り糸を介して伝えられる魚の食い付き行動時の振動を検出する検出手段と、魚種毎の魚の食い付き行動時の振動パターンをデータ化して登録したデータベースと、検出手段で検出された振動パターンをデータベースに登録されている振動パターンと比較して対象魚の食い付き行動時の振動パターンと同一であるか否かを判断する判断手段と、判断手段において対象魚の食い付き行動時の振動パターンであると判断したときに巻き取り手段に巻き取り指示信号を出力する制御部と、を備えている。
【0010】
ここで、魚の食い付き行動時の振動パターンとは、熟練した釣り師が感知するあたり時の振動パターンを、振動f[Hz]、あたり間隔T[s]、引きの強さF[N]などの物理量を用いて魚種毎にモデル化したものをいう。
【0011】
本発明によれば、検出手段によって魚の食い付き行動時の釣り糸に伝わる振動を検出し、判断手段によって魚の食い付き行動時の振動パターンをデータベースに登録してある振動パターンと比較し、魚の食い付き行動時の振動パターンであると判断したときに、制御部によって巻き取り手段に巻き取り指示信号を出力して釣り糸を巻き上げることで「合わせ」の操作を行う。これにより、タイミング良くかつしっかりと魚を針掛かりさせることができる。
【0012】
また、本発明に係る釣り糸の巻き取り制御ユニットは、釣り糸の巻き取りを行う巻き取り手段と、釣り糸を介して伝えられる魚の食い付き行動時の振動を検出する検出手段と、あらかじめ魚種毎に登録された食い付き行動時の振動パターンをデータ化して魚名と関連づけて登録したデータベースと、釣り上げを希望する魚種名を入力する入力手段と、検出手段で検出された振動パターンをデータベースの振動パターンと比較して入力手段で入力された魚種であるか否かを判断する判断手段と、判断手段において釣り上げを希望する魚種であるときには巻き取り手段に巻き取り指示信号を出力する制御部と、を備えている。
【0013】
この発明によれば、あらかじめ魚種毎に登録された食い付き行動時の振動パターンをデータ化して魚名と関連づけて登録したデータベースと、釣り上げを希望する魚種名を入力する入力手段とを備えているので、必要に応じて、希望する対象魚にしぼって針掛かりさせて釣り上げることができる。したがって、希望しない対象魚はできるかぎり針掛かりさせないように自動制御することができる。
【0014】
本発明に係る自動合わせ釣り装置は、釣り竿に装着される電動リールを備え、その電動リールは、前記釣り糸の巻き取り制御ユニットを含むことを特徴としている。
【0015】
この発明によれば、既存の電動リールは巻き取り指示信号によってスプールが回転し、釣り糸を巻き上げる機能を備えているので、この機能を巻き取り手段として利用(兼用)することで、自動合わせできる釣り糸の巻き取り制御ユニットを装備した電動リールを比較的低コストで製作することができる。
【0016】
本発明に係る自動合わせ釣り装置は、釣り竿の竿先とリールとの間に装着される合わせ装置を備え、その合わせ装置は、前記釣り糸の巻き取り制御ユニットを含むことを特徴としている。
【0017】
この発明によれば、手動リールを用いた釣り竿でも対応可能にすることができる。
【0018】
本発明に係る自動合わせ釣り装置は、釣り竿のグリップと竿先との間に設けられたヒンジを中心に竿先を煽る方向へ回動させる回動手段と、その回動手段の制御手段とを備え、制御手段は、釣り糸を介して伝えられる魚の食い付き行動時の振動を検出する検出手段と、魚種毎の魚の食い付き行動時の振動パターンをデータ化して登録したデータベースと、検出手段で検出された振動パターンをデータベースに登録されている振動パターンと比較して対象魚の食い付き行動時の振動パターンと同一であるか否かを判断する判断手段と、判断手段において対象魚の食い付き行動時の振動パターンであると判断したときに、回動手段に回動指示信号を出力する制御部と、を備えたことを特徴としている。
【0019】
この発明によれば、釣り竿のグリップと竿先との間に設けられたヒンジを中心に竿先を煽る方向へ回動させる回動手段と、その回動手段の制御手段とを備えているので、釣り竿を自動的に直接煽ることができる。これにより、竿釣りにおいて通常行う合わせ動作と同じような操作とすることができる。
【0020】
ここで、制御手段としては、釣り糸を介して伝えられる魚の食い付き行動時の振動を検出する検出手段と、あらかじめ魚種毎に登録された食い付き行動時の振動パターンをデータ化して魚名と関連づけて登録したデータベースと、釣り上げを希望する魚種名を入力する入力手段と、前記検出手段で検出された振動パターンを前記データベースに登録されている振動パターンと比較して前記入力手段で入力された魚種であるか否かを判断する判断手段と、前記判断手段において前記釣り上げを希望する魚種であるときには前記巻き取り手段に巻き取り指示信号を出力する制御部と、を備えた構成を採用することもできる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、釣り糸を引く合わせのタイミングを自動的に判断して、魚をしっかりと針掛かりさせることができ、必要に応じて、希望する対象魚にしぼって針掛かりさせて釣り上げることもできる、釣り糸の巻き取り制御ユニット及び自動合わせ釣り装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(第1の実施形態)
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る自動合わせ釣り装置の概要図であり、図2は電動リールの斜視図である。図3は電動リールの一部の概略平面図である。図4は本発明の実施の形態に係る釣り糸の巻き取り制御ユニットの機能ブロック図である。図5は検出部の原理図である。
【0023】
この実施の形態に係る自動合わせ釣り装置は、図1に示すように、釣り竿1と、釣り竿1に装着される電動リール2と、電動リール2によって巻き取られる釣り糸(道糸)3とを備えている。釣り糸3の先端には釣り針付きの仕掛けが設けられる。
【0024】
電動リール2は、図2に示すように、釣り竿1に装着される装着部を有するリール本体21と、リール本体21の側部に配置されたスプール回転用のハンドル22と、リール本体21の側部とハンドル22との間に設けられたドラグ調整用のスタードラグ23と、リール本体21の上部に設けられたケース部材24とを備えている。
【0025】
リール本体21は、左右1対の側板25a、25bとそれらを連結する複数の連結部26とからなるフレーム25と、フレーム25の左右を覆う左右の側カバー27a、27bとを有している。ハンドル22側の側カバー27bには、ハンドル22の図示しない回転軸が回転自在に支持されている。
【0026】
リール本体21の内部には、ハンドル22に連結されたスプール28が回転自在に支持されている。スプール28の内部には、スプール28を糸巻き上げ方向に回転駆動するモータ29が配置されている。また、側カバー27bのハンドル22側の側面には図示しないクラッチ機構を操作するためのクラッチレバー30が配置されている。後部の連結部26の側板25a側には図示しない外部電源及び後述する合わせ情報の入力装置(パソコン等)を接続するためのリールコード31が装着されている。
【0027】
ケース部材24は、リール本体21の上部に配置されたアルミニウム合金製のケースであり、内部の空間に各種の電気部品が収納されている。ケース部材24の上面には、透明樹脂製の表示窓を介して仕掛けの水深や棚位置を水面からと底からとの2つの基準でリールに関する情報を表示するための液晶ディスプレイからなる第1表示部5と、第1表示部5の周囲に配置された操作キー部6とが設けられている。操作キー部6は、後述する、釣り上げ希望魚種名の入力キー(入力手段)としても機能する。
【0028】
第1表示部5は、図3に示すように、数字や文字、アイコン等を表示するための液晶ディスプレイであり、例えば、「底から」、「学習」、「指定」、「下巻」、「修正」、「入力」、「糸送止」、「0セット」等のリールに関する一般情報の他、後述する「情報収集」、「希望魚種名」を文字やアイコン等で表示可能である。
【0029】
操作キー部6は、第1表示部5の図3右側に上下に並べて配置された変速キー61、62及び情報収集入力キー63、釣り上げ希望魚種名入力キー64と、図3左側に上下に並べて配置された底メモキー65及びモードキー66とを有している。変速キー61、62は、駆動されたモータ29を増減速するためのキーであり、変速キー61を押すと増速し、変速キー62を押すと減速する。
【0030】
底メモキー65は、仕掛けが底に到達したときに押されるスイッチであり、そのときの水深が底として設定される。モードキー66は、複数種類の糸巻モードに切り替えるため、及び後述する第1合わせモード、第2合わせモードに切り替えるためのスイッチである。
【0031】
ケース部材24の内部には、図4に示すように、水深表示制御やモータ駆動制御等を行うCPU、RAM、ROM、I/Oインターフェイス等を含むマイクロコンピュータからなる制御部40を有している。制御部40には、操作キー部6の各種キー、スプール28の回転位置及び方向を検出するためのスプールセンサ41、スプールセンサ41からの所定パルス毎に値が変化するスプールカウンタ42が接続されている。
【0032】
また、制御部40には、各種の表示を行うための第1表示部5、各種のデータを記憶する記憶部45、モータ29をPWM駆動するFETを含むPWM駆動回路44、及び情報入力部46が接続されている。
【0033】
さらに、制御部40には、釣り竿1および釣り糸3を介して伝えられる魚の食い付き行動時の振動を検出する検出部47が接続されている。図4において、制御部40は判断部48を有する。そして、この判断部48に、検出部47で検出した魚の食い付き行動時の振動パターンを示すデータが伝送される。
【0034】
検出部47には、釣り竿1および釣り糸3に伝えられる振動(振動パターン)を光学的、電気的あるいは機械的に検出して電気信号として出力する振動感知センサが利用される。この振動感知センサを設ける位置は、センサ自体の検出原理や構造、大きさ等によっても異なるが、この実施形態では、リール本体21の釣り糸ガイド(道糸ガイド)部分に設けられている。
【0035】
図5は、検出部47を構成する振動感知センサの構成を原理図として示したものである。この振動感知センサは、釣り糸3に伝えられる振動(振動パターン)を高精度ロータリエンコーダを用いて、角度の変位と速度を示す電気信号(パルス)に変換する。即ち、この振動感知センサは、高精度ロータリエンコーダ470と、第1プーリ471および第2プーリ472と、調整ばね473とを備えている。
【0036】
ロータリエンコーダ470も釣り糸3との摩擦によって回転する回転プーリ474を有する。そして、これら回転プーリ474、第1プーリ471、第2プーリ472の各回転軸は、その軸線が図示のように互いに並行にかつ一列に並ぶように配置されている。即ち、回転プーリ474が第1プーリ471を中心にしてリール本体のスプールと反対側に配置され、第2プーリ472がスプール側(釣り糸3の巻き取り方向側)に配置されて横一列に並べられている。中央に位置する第1プーリ471は調整ばね473によって図5に示す定位置へ位置決めされている一方、調整ばねの附勢力に抗して一方向(図において矢印C、Dで示す上下方向)へ往復移動可能に構成されている。
【0037】
釣り糸3は第1プーリ471によってS字状に湾曲された状態で、その巻き取り方向A及び繰り出し方向Bのいずれの方向へも走行移動可能になっている。ここで、調整ばね473の主たる機能は回転プーリ474に対する釣り糸3の摩擦力を一定に保ち、魚の食い付き行動時の振動を回転プーリ474に対して機械的に高精度に伝達させることにある。回転プーリ474に対する釣り糸3の摩擦力は、摩擦係数が同一の場合、互いの接触面積(釣り糸3のプーリへの接触長)と接触強さによって左右される。したがって、釣り糸3に一定以上の張力が掛かると、中央に位置する第1プーリ471はC方向へ変位させられて接触長が短くなるように構成されている。この変位量は釣り糸3に掛かる張力に比例して大きくなるように設定されている。
【0038】
なお、この検出部47としては、リールからの釣り糸の負荷データを高精度に検出した負荷変動パターンを振動パターンの電気信号(パルス)として出力するようにしてもよい。
【0039】
また、検出部47としては、図6に示すように、釣り竿1および釣り糸3を介して伝えられた振動パターンを、釣り竿1に取り付けた加速度センサやジャイロセンサを用いて電気信号として出力するようにしてもよい。
【0040】
また、図7に示すように、釣り竿1の先端に光学距離センサ47aを備えたガイド47bを取り付けて、振動パターンを釣り竿1の先端のしなり長αとして検出してもよい。
【0041】
記憶部45には、制御プログラムや種々の表示データの他に、魚種毎の魚の食い付き行動時の振動パターンをデータ化して魚名と関連づけて登録されたデータベースが構築されている。
【0042】
図8は、測定装置を用いて予め採取した魚種:「めじな」の振動パターンを示すもので、振動周波数ピークf=約4.5KHz、あたり間隔T=4秒であった。図9は、魚種:「石鯛」の振動パターンを示すもので、振動周波数ピークf=約100Hz、あたり間隔T=3秒であった。したがって、記憶部45には、このような多種類に及ぶ魚種毎の食い付き行動時の振動パターンをデータ化して魚名と関連づけて登録されている。勿論、釣り上げを希望する魚種のみの振動パターンをデータ化して魚名と関連づけて登録してもよい。
【0043】
データベースを構築する際の情報入力は、情報入力部46を利用して行われる。その際
、釣り上げを希望する魚の情報の入力方法としては、あらかじめ作成した情報を外部より入力する方法と、本発明の釣り装置自体を用いて作成する方法とがある。あらかじめ作成した情報を外部より入力する方法では、情報入力部46に接続して行なうケーブル伝送や無線伝送などの情報通信手段を用いてパソコンなどから本装置に転送する。あるいは、本装置の記憶部に使われるROMやフラッシュメモリなどの記憶素子を更新(交換)する。
【0044】
本装置を用いてデータベースを作成する方法としては、実際に釣りを行うことにより本装置の検出部47で検出した魚の食い付き行動時の振動パターンを記憶部45に登録する。
【0045】
判断部48は、検出部47で検出された振動パターンを、記憶部45のデータベースの振動パターンと比較して魚の食い付き行動時の振動パターンであるか否かを判断する機能を有する。そして、制御部40は、判断部48において魚の食い付き行動時の振動パターンであると判断したときに巻き取り手段を構成するPWM駆動回路44に巻き取り指示信号を出力する機能を有する(第1合わせモード)。
【0046】
さらに、この判断部48は、検出部47で検出された振動パターンをデータベースの振動パターンと比較して、図3で示した釣り上げ希望魚種名入力キー64で入力された魚種であるか否かを判断する機能を有する。そして、制御部40は、判断部48において釣り上げを希望する魚種名であるときには巻き取り手段を構成する駆動回路44に巻き取り指示信号を出力する機能を有する(第2合わせモード)。
【0047】
なお、第1合わせモードと第2合わせモードは、モードキー66によって切り替え可能である。
【0048】
次に、制御部40によって行われる自動合わせの制御処理を、図4に示す機能ブロック図及び図10に示す制御フローチャートに従って説明する。
まず、モードキー66によって、第1合わせモードに設定されている場合について説明する。
【0049】
ステップS1では、検出部47で検出したあたり(振動情報)INの読み取りが行われる。即ち、釣り糸3を介して伝えられる魚の食い付き行動時の振動(あたり)が検出部47により検出されると、その振動パターンに対応する振動情報が電気信号(パルス)として判断部48に入力される。
【0050】
判断部48において振動情報INが検出されると(ステップS2)、ステップS3へ移行する。ステップS3では、釣り上げ希望魚種名入力キー64からの魚種名情報inが入力されているか否かを判断する。ここで、モードキー66によって第1合わせモードに設定され、魚種名情報inの入力なし(NO)の場合、ステップS4へ移行する。
【0051】
ステップS4では、記憶部45に格納されているデータベースから魚種1〜Nの振動パターンD(i)のうち、魚種1の振動パターンが読み出される。次に、判断部48で、検出部47で検出したあたり(振動情報)INを、記憶部45のデータベースから読み出した振動パターンD(i)と比較して魚の食い付き行動時の振動パターンと同一(D(i)=IN)であるか否かを判断(比較)する(ステップ5)。
【0052】
ステップS5において同一である(YES)と判断された場合、即ち、魚の食い付き行動時の振動パターンであると判断されたときには、ステップS9へ移行する。ステップS9では、制御部40からPWM駆動回路44に巻き取り指示信号が出力され、次いでPMW駆動回路44からモータ29にPWM信号が出力され(ステップS10)、モータ29
が駆動されてスプール28が回転し(ステップS11)、釣り糸3が巻き取られることにより、自動合わせ動作が行われる。
【0053】
一方、ステップS5において同一でない(NO)と判断された場合には、記憶部45から次(i+1)の魚種の振動パターンを読み出して比較し(ステップS6)、魚種Nの振動パターン情報まで順次読み出して比較する(ステップS7)。
【0054】
ステップS7において、変数iが、i<NであるときにはステップS5へ戻り、魚種Nまでの比較動作が繰り返される。その比較動作が繰り返される過程で、(D(i)=IN)がYESとなった場合には、前述したステップS9以降の合わせ動作が行われる。変数iが、i>Nとなった場合にはステップS1へ戻り、次のINの読み取りを行う。
【0055】
次に、モードキー66によって、第2合わせモードに設定されている場合について、図10に示す制御フローチャートに従って説明する。
【0056】
ステップS1では、検出部47で検出したあたり(振動情報)INの読み取りが行われる。即ち、釣り糸3を介して伝えられる魚の食い付き行動時の振動(あたり)が検出部47により検出されると、その振動パターンに対応する振動情報が電気信号(パルス)として判断部48に入力される。
【0057】
判断部48において振動情報INが検出されると(ステップS2)、ステップS3へ移行する。ステップS3では、釣り上げ希望魚種名入力キー64からの魚種名入力情報inが入力されているか否かを判断する。ここで、モードキー66によって第2合わせモードに設定され、魚種名情報inの入力あり(YES)の場合、ステップS8へ移行する。
【0058】
ステップS8では、魚名と関連付けて記憶部45に格納されている魚種1〜Nの振動パターンD(i)のうち、指定された魚種名の振動パターンD(in)が読み出される。そして、検出部47で検出したあたり(振動情報)INを、指定された魚種名の振動パターンD(in)と比較して、指定された魚種名(釣り上げ希望魚種名入力キー64で入力された魚種)であるか否かを判断する。
【0059】
YESの場合には、ステップS9へ移行し、制御部40からPWM駆動回路44に巻き取り指示信号が出力され、PMW駆動回路44からモータ29にPWM信号が出力され(ステップS10)、モータ29が駆動されてスプール28が回転し(ステップS11)、釣り糸3が巻き取られることにより、自動合わせ動作が行われる。
【0060】
一方、ステップS8において、NOと判断された場合には、ステップS1へ戻り、次のINの読み取りを行う。
【0061】
なお、この自動合わせ動作におけるスプール28の回転動作については、自動合わせに必要な時間だけ、例えば1〜3秒間だけ一時的に回転させる制御方法を採用してもよい。また、スプール28の回転速度については、釣り糸3を引く合わせの速さに直接的に関係する。この合わせの速さを魚種によって相違させる方が望ましい場合には、巻き取り指示信号に加えて巻き取り速度指示信号を出力する制御方法を採用してもよい。
【0062】
また、合わせ情報については、魚の種類や大きさなどの釣り対象の情報に加えて、季節、気温などの使用環境の情報をも含ませることが好ましい。さらに、釣り名人などの合わせ情報をパッケージとして用意することもできる。
【0063】
(第2の実施形態)
図11は、本発明に係る自動合わせ装置の他の実施形態を示す概略斜視図であり、図12はその要部の動作原理図である。この実施形態の自動合わせ装置は、手動リールやリールを用いない竿でも対応可能に構成したものである。即ち、釣り竿1のグリップ1a部分にはヒンジ1bが設けられ、そのヒンジ1bを支点にして竿先1c側が上方へ回動可能に構成されている。ヒンジ1bにはモータ1dが組み込まれており、モータ1dの駆動信号によって、図12に示す仮想線の位置から実線の位置へ向けて竿先を煽る形態の合わせ動作を行うことができるように構成されている。これにより、釣り竿1のグリップ1aと竿先との間に設けられたヒンジ1bを中心にして竿先を煽る方向へ回動させる回動手段が構成されている。
【0064】
検出部としては、図5〜図7に示した振動感知センサを好適に採用することができる。検出部で検出した振動情報の処理やモータ1dの駆動制御を行う制御部(マイクロコンピュータ)を含む制御手段としては、電源(電池)と共にグリップ1a部分に装備(内蔵)する構成としてもよい。
【0065】
回動手段の制御を行うための、制御部を含む制御手段としては、図4に示した巻き取りユニットの考え方を採用することができる。その場合、制御手段は、釣り糸を介して伝えられる魚の食い付き行動時の振動を検出する検出手段と、魚種毎の魚の食い付き行動時の振動パターンをデータ化して登録したデータベースと、検出手段で検出された振動パターンをデータベースに登録されている振動パターンと比較して対象魚の食い付き行動時の振動パターンと同一であるか否かを判断する判断手段と、判断手段において対象魚の食い付き行動時の振動パターンであると判断したときに、回動手段に回動指示信号を出力する制御部と、を備えた構成とすることができる。なお、モータの代わりにばね(ぜんまい)を用いてもよい。
【0066】
(第3の実施形態)
図13は、本発明に係る自動合わせ装置のさらに他の実施形態を示す原理図であり、図14はそれを背面側から見た概略斜視図である。この実施形態の自動合わせ装置は、手動リールを用いた釣り竿でも対応可能に構成したものである。
【0067】
この自動合わせ装置は、釣り竿の竿先とリールとの間に装着される合わせ装置を備え、その合わせ装置は、釣り糸の巻き取り制御ユニットを含む。その構成としては、ロータリエンコーダで振動を感知し、プーリをモータで回転させて合わせを行う。即ち、この自動合わせ装置は、釣り糸3に伝えられる振動(振動パターン)をロータリエンコーダを用いて、角度の変位と速度を示す電気信号(パルス)に変換する高精度ロータリエンコーダ470と、第1プーリ471および第2プーリ472と、調整ばね473と、第2プーリ473の駆動モータ47Mとを備えている。
【0068】
ロータリエンコーダ470も釣り糸3との摩擦によって回転する回転プーリ474を有する。そして、これら回転プーリ474、第1プーリ471、第2プーリ472の各回転軸は、その軸線が図示のように互いに並行にかつ一列に並ぶように配置されている。即ち、回転プーリ474が第1プーリ471を中心にして竿先側に配置され、第2プーリ472が手動リール側に配置されて横一列に並べれている。中央に位置する第1プーリ471は調整ばね473によって図13に示す定位置へ位置決めされている一方、調整ばねの附勢力に抗して一方向(図において矢印C、Dで示す上下方向)へ往復移動可能に構成されている。
【0069】
釣り糸3は第1プーリ471によってS字状に湾曲された状態で、その巻き取り方向A及び繰り出し方向Bのいずれの方向へも走行移動可能になっている。調整ばね473の機能は図5で説明したものと同様であり、さらに、ロータリエンコーダ470、第1プーリ
471、第2プーリ472も同様の機能である。しかし、この実施の形態では、駆動モータ47Mが設けられ、その駆動モータ47Mの出力軸に第2プーリ472が取り付けられている点で相違している。これにより、振動感知センサ(検出部)の機能と、合わせのための釣り糸自動巻き取り機能とを有する構成となっている。検出部で検出した振動情報の処理や駆動モータ47Mの駆動制御を行う制御部(コンピュータ)としては、例えば電源と共にロータリエンコーダのケース部分に装備(内蔵)する構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明第1の実施形態に係る自動合わせ釣り装置の概要図
【図2】本発明の第1の実施形態に係る電動リールの斜視図。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る電動リールの一部の概略平面図。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る釣り糸の巻き取り制御ユニットの機能ブロック図。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る検出部(振動感知センサ)の原理図。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る検出部(振動感知センサ)の概略斜視図。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る検出部(振動感知センサ)の概略斜視図
【図8】魚(めじな)の食い付き行動時の振動パターン例を示す説明図。
【図9】魚(石鯛)の食い付き行動時の振動パターン例を示す説明図。
【図10】本発明の第1の実施形態に係る制御フローチャート。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る自動合わせ釣り装置の概要図。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る自動合わせ釣り装置の概要図。
【図13】本発明の第3の実施形態に係る合わせ装置の原理図。
【図14】本発明の第3の実施形態に係る合わせ装置を背面からみた概要図。
【符号の説明】
【0071】
1 釣り竿
2 電動リール
21 リール本体
28 スプール
29 モータ
5 第1表示部
6 操作キー部
40 制御部
44 PWM駆動回路
45 記憶部
46 情報入力部
47 検出部
48 判断部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣り糸の巻き取りを行う巻き取り手段と、
釣り糸を介して伝えられる魚の食い付き行動時の振動を検出する検出手段と、
魚種毎の魚の食い付き行動時の振動パターンをデータ化して登録したデータベースと、
前記検出手段で検出された振動パターンを前記データベースに登録されている振動パターンと比較して対象魚の食い付き行動時の振動パターンと同一であるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段において対象魚の食い付き行動時の振動パターンであると判断したときに前記巻き取り手段に巻き取り指示信号を出力する制御部と、
を備えた釣り糸の巻き取り制御ユニット。
【請求項2】
釣り糸の巻き取りを行う巻き取り手段と、
釣り糸を介して伝えられる魚の食い付き行動時の振動を検出する検出手段と、
あらかじめ魚種毎に登録された食い付き行動時の振動パターンをデータ化して魚名と関連づけて登録したデータベースと、
釣り上げを希望する魚種名を入力する入力手段と、
前記検出手段で検出された振動パターンを前記データベースに登録されている振動パターンと比較して前記入力手段で入力された魚種であるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段において前記釣り上げを希望する魚種であるときには前記巻き取り手段に巻き取り指示信号を出力する制御部と、
を備えた釣り糸の巻き取り制御ユニット。
【請求項3】
釣り竿に装着される電動リールを備え、
前記電動リールは、請求項1又は請求項2記載の釣り糸の巻き取り制御ユニットを含む、自動合わせ釣り装置。
【請求項4】
釣り竿の竿先とリールとの間に装着される合わせ装置を備え、
前記合わせ装置は、請求項1又は請求項2記載の釣り糸の巻き取り制御ユニットを含む、自動合わせ釣り装置。
【請求項5】
釣り竿のグリップと竿先との間に設けられたヒンジを中心に竿先を煽る方向へ回動させる回動手段と、その回動手段の制御手段とを備え、
前記制御手段は、釣り糸を介して伝えられる魚の食い付き行動時の振動を検出する検出手段と、魚種毎の魚の食い付き行動時の振動パターンをデータ化して登録したデータベースと、前記検出手段で検出された振動パターンを前記データベースに登録されている振動パターンと比較して対象魚の食い付き行動時の振動パターンと同一であるか否かを判断する判断手段と、前記判断手段において対象魚の食い付き行動時の振動パターンであると判断したときに、前記回動手段に回動指示信号を出力する制御部と、を備えた自動合わせ釣り装置。
【請求項6】
前記制御手段は、釣り糸を介して伝えられる魚の食い付き行動時の振動を検出する検出手段と、あらかじめ魚種毎に登録された食い付き行動時の振動パターンをデータ化して魚名と関連づけて登録したデータベースと、釣り上げを希望する魚種名を入力する入力手段と、前記検出手段で検出された振動パターンを前記データベースに登録されている振動パターンと比較して前記入力手段で入力された魚種であるか否かを判断する判断手段と、前記判断手段において前記釣り上げを希望する魚種であるときには前記巻き取り手段に巻き取り指示信号を出力する制御部と、を備えた請求項5に記載の自動合わせ釣り装置。
【請求項1】
釣り糸の巻き取りを行う巻き取り手段と、
釣り糸を介して伝えられる魚の食い付き行動時の振動を検出する検出手段と、
魚種毎の魚の食い付き行動時の振動パターンをデータ化して登録したデータベースと、
前記検出手段で検出された振動パターンを前記データベースに登録されている振動パターンと比較して対象魚の食い付き行動時の振動パターンと同一であるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段において対象魚の食い付き行動時の振動パターンであると判断したときに前記巻き取り手段に巻き取り指示信号を出力する制御部と、
を備えた釣り糸の巻き取り制御ユニット。
【請求項2】
釣り糸の巻き取りを行う巻き取り手段と、
釣り糸を介して伝えられる魚の食い付き行動時の振動を検出する検出手段と、
あらかじめ魚種毎に登録された食い付き行動時の振動パターンをデータ化して魚名と関連づけて登録したデータベースと、
釣り上げを希望する魚種名を入力する入力手段と、
前記検出手段で検出された振動パターンを前記データベースに登録されている振動パターンと比較して前記入力手段で入力された魚種であるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段において前記釣り上げを希望する魚種であるときには前記巻き取り手段に巻き取り指示信号を出力する制御部と、
を備えた釣り糸の巻き取り制御ユニット。
【請求項3】
釣り竿に装着される電動リールを備え、
前記電動リールは、請求項1又は請求項2記載の釣り糸の巻き取り制御ユニットを含む、自動合わせ釣り装置。
【請求項4】
釣り竿の竿先とリールとの間に装着される合わせ装置を備え、
前記合わせ装置は、請求項1又は請求項2記載の釣り糸の巻き取り制御ユニットを含む、自動合わせ釣り装置。
【請求項5】
釣り竿のグリップと竿先との間に設けられたヒンジを中心に竿先を煽る方向へ回動させる回動手段と、その回動手段の制御手段とを備え、
前記制御手段は、釣り糸を介して伝えられる魚の食い付き行動時の振動を検出する検出手段と、魚種毎の魚の食い付き行動時の振動パターンをデータ化して登録したデータベースと、前記検出手段で検出された振動パターンを前記データベースに登録されている振動パターンと比較して対象魚の食い付き行動時の振動パターンと同一であるか否かを判断する判断手段と、前記判断手段において対象魚の食い付き行動時の振動パターンであると判断したときに、前記回動手段に回動指示信号を出力する制御部と、を備えた自動合わせ釣り装置。
【請求項6】
前記制御手段は、釣り糸を介して伝えられる魚の食い付き行動時の振動を検出する検出手段と、あらかじめ魚種毎に登録された食い付き行動時の振動パターンをデータ化して魚名と関連づけて登録したデータベースと、釣り上げを希望する魚種名を入力する入力手段と、前記検出手段で検出された振動パターンを前記データベースに登録されている振動パターンと比較して前記入力手段で入力された魚種であるか否かを判断する判断手段と、前記判断手段において前記釣り上げを希望する魚種であるときには前記巻き取り手段に巻き取り指示信号を出力する制御部と、を備えた請求項5に記載の自動合わせ釣り装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−67831(P2006−67831A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−252391(P2004−252391)
【出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【出願人】(000125369)学校法人東海大学 (352)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【出願人】(000125369)学校法人東海大学 (352)
【Fターム(参考)】
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