説明

釣竿と釣竿の製造方法

【課題】模様付和紙が竿表面に綺麗に巻き付けられ意匠的にも品質的にも優れ、厚いコーティング層で保護され、竿の撓み等にもしなやかに馴染み耐久性を高めた釣竿の製造方法と釣竿を提供する。
【解決手段】テーパー形状に裁断した模様のある模様付和紙U1,U2・・Unをテーパー竿部10Aに螺旋状に巻回して接着剤Sで貼着され、上記模様付和紙の表面にエポキシ樹脂等の合成樹脂Gの薄い塗布を繰り返してコーティング層Kを形成したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、竿の表面を和紙で装飾した釣竿に係り、特に、表面装飾和紙が竿表面に綺麗にコーティングされ竿の撓みにもしなやかに馴染むようにした釣竿と釣竿の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
竿の表面を装飾した釣竿は、例えば、次のようなものがある。強化繊維樹脂から成る釣竿であって、竿を形成する強化繊維層の表面に、所望の模様を印刷した和紙を巻装した和紙層を設け、この和紙層表面に、ガラス繊維に合成樹脂を含浸させたプリプレグから成るガラス繊維層を設けた釣竿である。この釣竿によると、加工が楽に行えながら、剥離の問題なく、しかも自由なマーク及び模様の選択ができ、意匠的に優れた釣竿となるというものである。(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、低コストで生産性も高く且つ高級感にあふれる表面の模様、絵柄を有する釣竿としたものが提供されている。その構成について、元竿は、長手方向中央付近において元竿の周面に配置された刺繍布と、刺繍布上に塗布されるクリア層とを有している。この刺繍布はナイロン繊維、レーヨン繊維等の合成繊維等によって織り込まれた布状部材である。この刺繍布には、合成繊維の表面にアルミニウムやチタン等の金属を蒸着させ糸状に裁断した金属蒸着樹脂糸によって模様や文字が刺繍されている。また、クリア層はエポキシ樹脂等の透明な合成樹脂から構成されている。刺繍布と共に元竿の周面をコーティングしているものである。(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】実開昭58−85961号公報
【特許文献2】特開2001−286239号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の釣竿の構成によると次のような問題があった。まず、竿を形成する強化繊維層の表面に、模様を印刷した和紙を巻装した和紙層を設け、この和紙層表面に、ガラス繊維に合成樹脂を含浸させたガラス繊維層を設けたものでは、魚釣り時に竿が大きくしなうと、和紙層やガラス繊維層も大きくしなつて延びや縮みの歪みが起きるから、特に和紙層がひび割れして破れてしまう。また、ガラス繊維層は、本質的にガラスと同質であるためその硬度が硬く、大きな曲げに対してひび割れし易いという問題があった。このため、釣竿を新品として購入時の表面模様の品質は、釣竿の使用とともに失われていた。
【0006】
他方、元竿の周面に配置した刺繍布とこの表面にクリア層とを塗布された釣竿においては、刺繍布がナイロン繊維やレーヨン繊維等の合成繊維等であり、刺繍布の表面にアルミニウムやチタン等の金属を蒸着させて糸状に裁断した金属蒸着樹脂糸によるものである。このために、製造工程が複雑になって加工コストと手間を要するという問題がある。更に、刺繍布の表面に金属を蒸着させて糸状に裁断した糸で模様、文字を刺繍しているから、釣竿の表面には、エポキシ樹脂等で処理しても模様、文字の凹凸が残ってしまい、完全に除去できず、釣竿の使用感覚を悪くするし、耐久性が乏しいという問題があった。
【0007】
本発明はこのような点に基づいてなされたものでその目的とするところは、模様付和紙が竿表面に綺麗に巻き付けられ意匠的にも品質的にも優れ、厚いコーティング層で保護され、竿の撓みにもしなやかに馴染み耐久性を高めた釣竿の製造方法と釣竿を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するべく本願発明の請求項1による釣竿は、テーパー形状に裁断した模様付和紙をテーパー竿部に螺旋状に巻回して接着剤で貼着し、上記模様付和紙の表面にエポキシ樹脂等の合成樹脂を塗布することによりコーティング層を形成したことを特徴とするものである。
【0009】
本発明の請求項2による釣竿は、テーパー竿部の表面形状に合わせてテーパー形状に裁断した模様付和紙をテーパー竿部に巻き付けて接着剤で貼着し、上記模様付和紙の表面にエポキシ樹脂等の合成樹脂を塗布することによりコーティング層を形成したことを特徴とするものである。
【0010】
本発明の請求項3による釣竿は、竿の握部の表面形状に合わせて矩形に裁断した模様付和紙を竿の握部に巻き付けて接着剤で貼着し、上記模様付和紙の表面にエポキシ樹脂等の合成樹脂を塗布することによりコーティング層を形成したことを特徴とするものである。
【0011】
本発明の請求項4による釣竿の製造方法は、模様付和紙をテーパー形状に裁断し、上記模様付和紙をテーパー竿部に螺旋状に巻回するとともに接着剤で貼着する工程と、上記模様付和紙の表面にエポキシ樹脂等の合成樹脂を塗布するコーティング工程と、を具備したことを特徴とするものである。
【0012】
本発明の請求項5による釣竿の製造方法は、模様付和紙をテーパー竿部の表面形状に合わせてテーパー形状に裁断し、上記模様付和紙をテーパー竿部に巻き付けるとともに接着剤で貼着する工程と、上記模様付和紙の表面にエポキシ樹脂等の合成樹脂を塗布するコーティング工程と、を具備したことを特徴とするものである。
【0013】
本発明の請求項6による釣竿の製造方法は、模様付和紙を竿の握部の形状に合わせて矩形に裁断し、上記模様付和紙を竿の握部に巻き付けるとともに接着剤で貼着する工程と、上記模様付和紙の表面にエポキシ樹脂等の合成樹脂を塗布するコーティング工程と、を具備したことを特徴とするものである。
【0014】
すなわち、本願発明による釣竿と釣竿の製造方法は、模様付和紙をテーパー形状に裁断し、上記模様付和紙をテーパー竿部に螺旋状に巻回するとともに接着剤で貼着し、上記模様付和紙の表面にエポキシ樹脂等の合成樹脂をコーティングして所定の厚さを有するコーティング層を形成するものである。上記模様付和紙は伸縮性があり、テーパー竿部に螺旋状に巻回する際、継ぎ目が見えないように綺麗に巻き付けることができる。模様付和紙は繊維が絡み合った構造を有するものであり、模様付和紙の表面はコーティング層で保護されているので、竿のしなり・撓み・ねじれ等によっても追従性が良く馴染んで、破れたりひび割れたりせず、耐久性の高い釣竿となる。
【0015】
模様付和紙を竿の握部又はテーパー竿部の形状に合わせて矩形又はテーパー状に裁断し、この模様付和紙を握部又はテーパー竿部に巻き付けるようにすることもできる。これにより、竿の握部又はテーパー竿部表面が模様付和紙で綺麗に巻装されコーティング層で保護されたものとなり、上記と同様に継ぎ目が見えないように綺麗に巻き付けることができ、竿のしなり・撓みにも馴染んで破れたりひび割れたりせず耐久性の高い釣竿となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の釣竿と釣竿の製造方法によると、模様付和紙が竿表面に巻き付けられて綺麗な外観が得られるとともに、竿のしなり・撓みにも馴染む耐久性のある釣竿が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図1乃至図21を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は釣竿の構成を示す側面図、図2は釣竿のテーパー竿部の拡大側面図、図3は釣竿のテーパー竿部の拡大断面図、図4はテーパー竿部に巻装される模様付和紙の形状図、図5は握部の拡大側面図、図6は握部の拡大断面図、図7は握部に巻装される模様付和紙の形状図、図8〜図14はテーパー竿部の製造工程図、図15〜図21は握部の製造工程図である。
【0018】
以下、図1〜図7を参照して本発明の第1の実施の形態を説明する。釣竿100は、カーボン製又はグラスソリッド製又はFRP樹脂製のものが使用され、全長がテーパー状をなすテーパー竿部10Aとして形成され、手元側は円筒形をなす握部10Bとして形成されている。上記テーパー竿部10Aには、模様付和紙が竿表面に巻き付けられる。すなわち、図4に示すように、一枚の模様付和紙(例えば、京和紙や友禅和紙)Uを用意し、この始端幅を0,5mmとし、終端幅を0.75mmとし、この2点間を結ぶ直線を裁断線C1とする。これに続く二段目の始端幅を0.75mmとし、終端幅を1.0mmとし、裁断線C2とする。このように、0.25mmずつ終端幅を拡げて裁断して最終端幅を3,0cmとした多数枚のテーパー形状に裁断した模様Mを有する模様付和紙U1,U2,U3・・Unを得る。この模様付和紙U1,U2,U3・・Unを、図2に示すように、上記テーパー竿部10Aに螺旋状に裁断辺が重なったり、隙間ができないように巻き付け接着剤Sで貼着される。模様付和紙U1,U2,U3・・Unは繊維が絡み合っていて伸縮性があり、且つ、破れにくいものであり、このため裁断辺をぴったり合わせた巻き付けが可能である。
【0019】
次に、図3に示すように、上記模様付和紙U1,U2,U3・・Unの表面に色落防止剤1(例えば、商品名:カラープリザーバー)が塗布・乾燥される。これは、模様付和紙U1の紫外線による褪色を防止するためである。上記模様付和紙U1の表面にエポキシ樹脂等の合成樹脂Gを薄く塗布するコーティングと乾燥を数回から10回程度繰り返してコーティング層Kを形成する。使用する合成樹脂Gとしてはエポキシ樹脂が最適であるが、ウレタン樹脂等他の透明な合成樹脂を使用しても良い。上記コーティング層Kの形成により、合成樹脂Gが模様付和紙U1に浸透してテーパー竿部10Aの表面に強固に固着される。尚、合成樹脂Gを薄く塗布するコーティンクと乾燥を繰り返し行うとテーパー竿部10Aの表面に凹凸ができる。そこで、乾燥した表面をサンドペーパーで磨いて平滑とし、次に、光沢を出すために再度エポキシ樹脂等の合成樹脂Gを薄くコーティングして仕上げられる。
【0020】
また、図7に示す第2の実施の形態のように所定の形状に裁断した模様付和紙Uを釣竿100における握部10Bに適用することもできる。まず、模様付和紙Uを使用し、握部10Bの形状に合わせて矩形の模様付和紙U10に裁断する。図5及び図6に示すように、上記模様付和紙U10を握部10Bに巻き付け接着剤Sで貼着する。そして、上記模様付和紙の表面に色落防止剤1を塗布・乾燥させ、更に、上記模様付和紙U10の表面にエポキシ樹脂等の合成樹脂Gを塗布してコーティング層Kを形成し、乾燥した表面をサンドペーパーで磨いて平滑とし、再度コーティングして仕上げられている。
【0021】
また、図示はしないが第3の実施の形態のように、模様付和紙Uをテーパー竿部10Aに適用することもできる。すなわち、模様付和紙Uを、釣竿100におけるテーパー竿部10Aの形状に合わせてテーパー状の模様付和紙U10に裁断する。上記模様付和紙U10をテーパー竿部10Aに巻き付け接着剤Sで貼着する。そして、上記模様付和紙の表面に色落防止剤1を塗布・乾燥させ、更に、上記模様付和紙U10の表面にエポキシ樹脂等の合成樹脂Gを塗布してコーティング層Kを形成し、乾燥した表面をサンドペーパーで磨いて平滑とし、再度コーティングして仕上げられている。
【0022】
上記のように、テーパー形状に裁断した模様Mを有する模様付和紙U1をテーパー竿部10Aに螺旋状に巻き付け接着剤Sで貼着し上記模様付和紙U1の表面に色落防止剤1を塗布・乾燥させ、更に、上記模様付和紙U1の表面にエポキシ樹脂等の合成樹脂Gの薄い塗布によるコーティングと乾燥を繰り返してコーティング層Kを形成した場合には、模様付和紙U1がテーパー竿部10Aの表面に巻き付けられ、その外側にエポキシ樹脂等の合成樹脂Gのコーティング層Kが形成されたものとなり、模様付和紙による綺麗な外観が得られるとともに、竿のしなり・撓みにも馴染む耐久性のある釣竿が得られる。更に、握部10B又はテーパー竿部10Aの形状に合わせて矩形又はテーパー状に模様付和紙U10を裁断し、上記模様付和紙が握部10B又はテーパー竿部10Aに巻き付ける手法を採った場合にも、握部10B又はテーパー竿部10Aの表面が模様付和紙により綺麗に巻装されコーティング層Kで保護されたものとなり、模様付和紙による綺麗な外観が得られるとともに、竿のしなり・撓み・ねじれ等にも馴染む耐久性のある釣竿が得られる。
【0023】
次に、図4、図8〜図14を参照して、模様付和紙U1,U2,U3・・Unをテーパー竿部10Aに巻装する製造工程を詳細に説明する。まず、例えばA4版の模様付和紙Uを用意し、図4に示すように、この始端幅を0,5mmにスケールで測定し、終端幅を0.75mmに測定し、この2点間を直線で結んで裁断線C1を引く。次に、二段目の始端幅を0.75mmに測定し、終端幅を1.0mmに測定し、この2点間に裁断線C2を引く。このように、0.25mmずつ終端幅を拡げて裁断線を引き最終端幅を3,0cmとした裁断線を引く(ステップS1)。尚、竿のテーパー角度は竿の部分により異なり一定ではないので、このテーパー角度に合わせて上記寸法を設定する。これにより、隙間のない巻回が可能となる。次に、図8に示すように、上記模様付和紙片Uに引いた裁断線C1,C2,C3・・Cnに沿ってカッターと定規で裁断し、テーパー状に裁断した多数枚の模様Mを有する模様付和紙片U1,U2,U3・・Unを得る(ステップS2)。この時、隣接して接合し合う模様付和紙片U1,U2の両端幅が正確に合うように確認し、大きさ順に並べる。これで模様付和紙片U1,U2,U3・・Unは連続したテーパー状のものができ、これを順次テーパー竿部10Aの細い部分から太い部分に巻回して行くことで隙間なく模様付和紙を巻き付けることができ、連続した模様Mによる綺麗な外観が得られる。
【0024】
続いて、図9に示すように、テーパー竿部10Aの表面をサンドペーパー3で磨いて滑らかにする竿の下地準備をする(ステップS3)。次に、図10に示すように、上記幅の狭い模様付和紙U1をテーパー竿部10Aの先端側から螺旋状に巻回するとともに接着剤Sで貼着する(ステップS4)。この時、模様付和紙U1の接合部が重なったり、隙間ができないように、模様付和紙片U1,U2,U3・・Unを順番に巻き上げる。続いて、図11において、テーパー竿部10Aに巻き上げた模様付和紙片U1,U2,U3・・Unの表面に筆5で色落防止剤1を塗布する(ステップS5)。この色落防止剤1で模様付和紙片U1,U2,U3・・Unが紫外線で変色しないように処置する。
【0025】
続いて、図12に示すように、テーパー竿部10Aに巻き付けられた模様付和紙片U1,U2,U3…Unの表面にエポキシ樹脂等の合成樹脂Gを薄く塗布し、6時間ほど回転乾燥させる工程を10回、10日間程度行いコーティング層Kを形成する(ステップS6)。エポキシ樹脂等の合成樹脂Gは柔らかいので、繰り返しコーティングすることで所定の厚さのコーティング層を形成する。次に、図13に示すように、テーパー竿部10Aに巻き付けた模様付和紙片U1,U2,U3・・Unの表面にコーティングした合成樹脂Gの凹凸をサンドペーパーにて研磨し、表面を平滑に仕上げする(ステップS7)。最後にサンドペーパーにて研磨した為に、表面に艶がなくなっているので、図14に示すように、コーティング層Kの表面にエポキシ樹脂等の合成樹脂Gを薄く塗布し、仕上げコーティングする(ステップS8)。
【0026】
更に、図7、図15〜図21を参照して、模様付和紙U10を握部10Bに巻装する製造工程を詳細に説明する。まず、図7に示すように、一枚の模様付和紙Uを用意し、釣竿100における握部10Bの表面形状に合わせて矩形の裁断線を引く(ステップS1)。次に、図15に示すように、上記模様付和紙Uに引いた裁断線C1に沿ってカッターと定規で裁断し、模様付和紙U10を得る(ステップS2)。次に、図16に示すように、握部10Bの表面をサンドペーパー3で磨いて滑らかにする竿の下地準備をする(ステップS3)。続いて、図17に示すように、上記模様付和紙U10を握部10Bに包み込むように巻き付けるとともに接着剤Sで貼着する(ステップS4)。この時、模様付和紙U10の接合部が重なったり、隙間ができないように巻き付ける。続いて、図18において、握部10Bに巻き付けた模様付和紙U10の表面に筆5で色落防止剤1を塗布する(ステップS5)。この色落防止剤1で模様付和紙片U10が紫外線で変色しないように処置する。
【0027】
続いて、図19に示すように、握部10Bに巻き付けた模様付和紙U10の表面に塗布した色落防止剤1が乾燥したら、模様付和紙片U10の表面にエポキシ樹脂等の合成樹脂Gを薄く塗布してコーティングし、6時間ほど回転乾燥させる工程を10回、10日間程度行いコーティング層Kを形成する(ステップS6)。次に、図20に示すように、模様付和紙U10表面の合成樹脂Gの凹凸をサンドペーパー3にて研磨する(ステップS7)。最後に、図21に示すように、エポキシ樹脂等の合成樹脂Gを薄く塗布して仕上げコーティングする(ステップS8)。
【0028】
更に、図示はしないが、握部10Bに代えて、テーパー竿部10Aを上記と同様の製造方法で製造することもできる。すなわち、模様付和紙Uを、釣竿100におけるテーパー竿部10Aの形状に合わせてテーパー状の模様付和紙U10に裁断する。後は、上記握部10Bに模様付和紙を巻き付けて接着剤で貼着する工程と、エポキシ樹脂等の合成樹脂Gを薄く塗布し、6時間ほど回転乾燥させる工程を10回、10日間程度行いコーティング層Kを形成する工程は、上記の実施の形態と同様であり、その説明を省略する。
【0029】
上記釣竿100の製造方法によると、テーパー形状に裁断した模様付和紙をテーパー竿部に螺旋状に巻回することにより、テーパー竿に継ぎ目が出ないように綺麗に巻き付けることができる。これにより、テーパー竿部表面が模様付和紙により綺麗に仕上げられ、コーティング層で保護されることになる。また、模様付和紙を使用したので、紙の繊維が絡み合い伸縮して追従性が良いので、竿のしなり・撓みにも馴染んで破れたりひび割れせず耐久性が高められる。更に、模様付和紙を竿の握部又はテーパー竿部の形状に合わせて矩形又はテーパー状に裁断し、上記模様付和紙を竿の握部又はテーパー竿部に巻き付ける手法を採ることもできる。これにより、竿の握部又はテーパー竿部表面が模様付和紙により綺麗に仕上げられ、多層の厚いコーティング層で保護されることになる。
【0030】
尚、本発明は上記各実施の形態に示す釣竿の製造方法に限定されるものではない。例えば、模様付和紙U1,U2・・Unの形状は、上記形状に限定されず、適宜任意形状に裁断されたものであっても良い。例えば、等幅のテープ状に裁断したものを巻回しても良い。また、一枚の模様付和紙U10を竿形状に合わせて適宜形状に裁断し、上記模様付和紙をテーパー竿部10Aや握部10Bに巻き付ける構成としても良いし、複数に分割した模様付和紙を部分的にテーパー竿部10Aや握部10Bに巻き付ける構成としても良い。また、模様付和紙表面に色落防止剤1を塗布するか否かは任意である。これらの実施の形態によるときも、上記実施の形態と同様な作用・効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、釣竿として一本ものの竿の例を挙げて説明したが、それに限定されるものではなく、例えばつなぎ竿等様々な形態の釣竿に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す図で、釣竿の側面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を示す図で、テーパー竿部の拡大側面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態を示す図で、テーパー竿部の拡大断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態を示す図で、テーパー竿部に巻装する模様付和紙の裁断形状図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態を示す図で、釣竿の握部の拡大側面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態を示す図で、釣竿の握部の拡大断面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態を示す図で、握部に巻装する模様付和紙の裁断形状図である。
【図8】模様付和紙をテーパー竿部に巻装する製造工程図である。
【図9】模様付和紙をテーパー竿部に巻装する製造工程図である。
【図10】模様付和紙をテーパー竿部に巻装する製造工程図である。
【図11】模様付和紙をテーパー竿部に巻装する製造工程図である。
【図12】模様付和紙をテーパー竿部に巻装する製造工程図である。
【図13】模様付和紙をテーパー竿部に巻装する製造工程図である。
【図14】模様付和紙をテーパー竿部に巻装する製造工程図である。
【図15】模様付和紙を握部に巻装する製造工程図である。
【図16】模様付和紙を握部に巻装する製造工程図である。
【図17】模様付和紙を握部に巻装する製造工程図である。
【図18】模様付和紙を握部に巻装する製造工程図である。
【図19】模様付和紙を握部に巻装する製造工程図である。
【図20】模様付和紙を握部に巻装する製造工程図である。
【図21】模様付和紙を握部に巻装する製造工程図である。
【符号の説明】
【0033】
1 色落防止剤
3 サンドペーパー
5 筆
10A テーパー竿部
10B 握部
100 釣竿
C1・・Cn 裁断線
G 合成樹脂
K コーティング層
S 接着剤
U1,U2・・Un模様付和紙
U10 模様付和紙
S1〜S8 製造工程のステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テーパー形状に裁断した模様付和紙をテーパー竿部に螺旋状に巻回して接着剤で貼着し、上記模様付和紙の表面にエポキシ樹脂等の合成樹脂を塗布することによりコーティング層を形成したことを特徴とする釣竿。
【請求項2】
テーパー竿部の表面形状に合わせてテーパー形状に裁断した模様付和紙をテーパー竿部に巻き付けて接着剤で貼着し、上記模様付和紙の表面にエポキシ樹脂等の合成樹脂を塗布することによりコーティング層を形成したことを特徴とする釣竿。
【請求項3】
竿の握部の表面形状に合わせて矩形に裁断した模様付和紙を竿の握部に巻き付けて接着剤で貼着し、上記模様付和紙の表面にエポキシ樹脂等の合成樹脂を塗布することによりコーティング層を形成したことを特徴とする釣竿。
【請求項4】
模様付和紙をテーパー形状に裁断し、上記模様付和紙をテーパー竿部に螺旋状に巻回するとともに接着剤で貼着する工程と、上記模様付和紙の表面にエポキシ樹脂等の合成樹脂を塗布するコーティング工程と、を具備したことを特徴とする釣竿の製造方法。
【請求項5】
模様付和紙をテーパー竿部の表面形状に合わせてテーパー形状に裁断し、上記模様付和紙をテーパー竿部に巻き付けるとともに接着剤で貼着する工程と、上記模様付和紙の表面にエポキシ樹脂等の合成樹脂を塗布するコーティング工程と、を具備したことを特徴とする釣竿の製造方法。
【請求項6】
模様付和紙を竿の握部の形状に合わせて矩形に裁断し、上記模様付和紙を竿の握部に巻き付けるとともに接着剤で貼着する工程と、上記模様付和紙の表面にエポキシ樹脂等の合成樹脂を塗布するコーティング工程と、を具備したことを特徴とする釣竿の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2006−149300(P2006−149300A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−345779(P2004−345779)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(504441727)
【Fターム(参考)】