説明

釣竿用口栓並びに釣竿用玉口金具及び釣竿

【課題】着脱が容易な釣竿用口栓の提供。ブランクの連結及び連結解除を容易に行うことができる釣竿の提供。そのような釣竿に用いられ、かつ釣竿の調子を変化させることがない玉口金具の提供。
【解決手段】この口栓10は、栓本体11と操作キャップ12とを有する。操作キャップ12は、複数の窓部21を備えている。釣竿50は、ブランクに取り付けられる玉口金具64を備える。玉口金具64は切欠窓部66を備えている。切欠窓部66は矩形状に形成され、玉口金具64の圧縮強度を確保しつつ曲げ剛性を低下させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、釣竿、具体的には釣竿を構成するブランクの玉口部分の構造に関するものである。また、この発明は、釣竿を構成するブランクの玉口周縁に装着される玉口金具の構造に関するものである。さらに、この発明は、釣竿を構成するブランクの玉口に装着される口栓の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
釣竿は、一般に外径及び内径が異なる複数のブランクからなり、各ブランクが長手方向に連結されることにより所定長さの釣竿が形成される。釣竿がn本のブランクから構成される場合は、各ブランクは、外径が小さいものから順に第1番節、第2番節と称され、最も外径が大きいブランクが元節、この元節に隣り合うブランクが元上節と称される。
【0003】
各ブランクの連結方式は、一般に振出方式あるいは継ぎ方式である。振出方式では、各ブランクがいわゆる入れ子形式で組み合わされており、第1番節が第2番節から引き出され、第2番節が第3番節から引き出され、同様に、隣り合うブランクのうち小径のブランクが大径のブランクから引き出されることによって当該釣竿が伸長する。また、継ぎ方式では、小径のブランクの後端部が大径のブランクの先端部に嵌め合わされることによって伸長状態の釣竿が形成される。
【0004】
釣竿が使用されないときには、各ブランクは、隣り合う大径のブランク内に入れ子形式で収納される。この状態で、元節の先端に口栓が装着される場合がある(たとえば、特許文献1参照)。この口栓は、釣竿が収納状態にあるときに元節に収納されたブランクが元節から飛び出すことを防止する。
【0005】
釣竿が使用されるときは、隣り合うブランクのうち一方のブランクの後端部と他方のブランクの先端部とが嵌合する。各ブランクが確実に伸長状態を維持し、釣竿の性能が発揮されるために、各ブランクが確実に嵌合される必要がある。そのために各ブランクの先端部が補強されることがあり、具体的には、当該先端部の肉厚が大きくされ、当該先端部に玉口金具が装着されることがある(たとえば、特許文献2、3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−143474号公報
【特許文献2】特開2007−319133号公報
【特許文献3】特開2006−166841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
実釣では、釣り場での迅速な道具の展開及び撤収が要請される。そのため、口栓は、釣人が釣竿に容易且つ迅速に着脱可能なものであることが望ましい。さらに、釣竿を構成する各ブランクは、釣人が容易且つ迅速に連結し、連結を解除することができるものであることが望ましい。
【0008】
釣人は、口栓の着脱の際に当該口栓を指で摘んで元節に挿抜する。口栓の大きさは、元節の外径寸法に対応するから、本来的に釣人が摘みやすいサイズではない。そのため、釣人の手は口栓に対して滑りやすく、しかも、釣り場では釣竿や釣人の手に水が付着することが多いためなおさらである。このようなことから、口栓の着脱作用が容易でない場合がある。
【0009】
釣人は、各ブランクの連結及び連結を解除する操作の際に、一方の手で一方のブランクの先端部分を把持し、他方の手で他方のブランクの後端部分を把持しながら両ブランクを操作する。このとき、各ブランクに対して手が滑りやすく、しかも、釣り場では釣竿や釣人の手に水が付着することが多いためなおさらである。このようなことから、特に撤収時の各ブランクの連結解除動作(つまり、釣竿の収納動作)が容易でない場合がある。
【0010】
前述のように、従来の釣竿では、各ブランクに上記玉口金具が装着される場合がある。この玉口金具は各ブランクの連結部分の補強を担うが、これにより、当該連結部分の機械的強度(特に曲げ剛性)が局部的に向上する。そのため、釣竿の設計された性能(いわゆる調子)が維持されにくいという不都合がある。したがって、かかる不都合が解消されるために、玉口金具が設けられることによるブランクの局部的な剛性の増加が抑えられる必要がある。
【0011】
本発明はかかる背景のもとになされたものであって、その第1の目的は、着脱が容易な釣竿用口栓を提供することである。また、本発明の第2の目的は、各ブランクの連結及び連結解除を容易に行うことができる釣竿ならびにそのような釣竿に用いられ、かつ釣竿の調子を変化させることがない玉口金具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1) 本発明に係る釣竿用口栓は、一端部及び他端部を有し、当該一端部が釣竿を構成するブランクの玉口に圧入されることにより当該玉口を塞ぐ弾性体からなる栓本体と、栓本体の他端部に外嵌された操作キャップとを備え、当該操作キャップの周面に上記栓本体の他端部の一部を露出させる窓部が形成されている。
【0013】
この構成によれば、たとえば釣人が操作キャップを摘んで栓本体をブランクの玉口に圧入することができる。操作キャップの周面に窓部が設けられているから、この窓部は、釣人が操作キャップを摘んだ際の滑り止めとして機能する。
【0014】
(2) 上記栓本体の周面に凸部が形成されており、当該凸部が上記操作キャップの窓部に嵌合しているのが好ましい。
【0015】
この構成では、栓本体に対して操作キャップの回転が防止されるので、上記栓本体を上記玉口に圧入する作業が一層容易になる。
【0016】
(3) 上記操作キャップは上記栓本体に接着剤を介して固着されていてもよい。その場合、上記栓本体に付着された接着剤が上記窓部から露出しているのが好ましい。
【0017】
この構成では、接着剤が栓本体の全体に塗布され、当該栓本体に操作キャップが被せられることにより両者が固着される。この接着剤が乾燥して操作キャップが栓本体に固着されると、固化した接着剤が上記窓部から露出する。この固化した接着剤は、釣人が操作キャップを摘んだ際の滑り止めとして機能する。
【0018】
(4) 本発明に係る玉口金具は、釣竿を構成するブランクの玉口に外嵌される金属製筒状本体を有し、当該金属製筒状本体の周面に当該周面を貫通する複数の窓部が一様に分散して配置されている。この窓部の形状は、当該金属製筒状本体の曲げ剛性を均一に低下させるように形成されている。
【0019】
この玉口金具は、ブランクの先端部に玉口の周囲を取り囲むように嵌め込まれる。これにより、ブランクの玉口周縁部が補強される。ただし、この玉口金具に窓部が設けられているから、玉口金具の曲げ剛性が均一に低下している。したがって、上記ブランクに玉口金具が装着された場合、玉口周縁部の圧縮強度が向上されながら、当該部分の曲げ剛性が局部的に大きくなることが回避される。
【0020】
(5) 上記金属製筒状本体の内周面に上記ブランクと係合し得る凹条が形成されているのが好ましい。
【0021】
この構成では、ブランクに対する金属製筒状本体の回転が規制され、金属製筒状本体がブランクに位置決めされる。したがって、金属製筒状本体が強固にブランクに固着される。
【0022】
(6) 本発明に係る釣竿は、複数のブランクを有し、各ブランクが長手方向に連結される釣竿本体と、上記ブランクの玉口に外嵌された金属製筒状部材とを備え、当該金属製筒状部材の周面に上記ブランクを露出させる切欠窓部が形成されている。
【0023】
この構成によれば、各ブランクが長手方向に連結されることにより、所定長さの釣竿が形成される。なお、各ブランクは、振出式又は継ぎ形式によって連結される。各ブランクに金属製筒状部材が嵌め込まれ、玉口周辺部が金属製筒状部材によって覆われる。これにより、各ブランクの連結部分が補強され、圧縮強度が向上する。金属製筒状部材に切欠窓部が設けられているから、上記玉口周辺部の圧縮強度は向上されつつ当該玉口周辺部の曲げ剛性の向上は抑えられる。したがって、金属製筒状部材が設けられたとしても当該釣竿の調子が大きく変更されることはない。さらに、上記切欠窓部は、釣人が釣竿を伸縮させるべくブランクを操作する際に滑り止めとして機能する。
【0024】
(7) 上記金属製筒状部材は上記ブランクに接着剤を介して固着されてもよい。その場合、上記ブランクに付着された接着剤が上記切欠窓部から露出しているのが好ましい。
【0025】
この構成では、接着剤がブランクの玉口周縁部の全体に塗布され、当該玉口周縁部金属製筒状部材が被せられることにより両者が固着される。この接着剤が乾燥して金属製筒状部材がブランクに固着された状態で、固化した接着剤が上記切欠窓部から露出する。この固化した接着剤は、釣人がブランクを操作する際の滑り止めとして機能する。
【0026】
(8) 上記切欠窓部は、上記金属製筒状本体の周面を貫通して一様に分散して配置されており、当該窓部の形状は、上記金属製筒状本体の曲げ剛性を均一に低下させるように形成されているのが好ましい。
【0027】
この構成では、金属製筒状部材の曲げ剛性が均一に低下されるから、上記ブランクに玉口金具が装着された場合、玉口周縁部の圧縮強度が向上されながら、当該部分の曲げ剛性が局部的に大きくなることが回避される。したがって、予め設計された釣竿の調子が維持される。
【0028】
(9) 上記金属製筒状部材の内周面に凹条が形成され、上記ブランクの外周面に当該凹条が係合する凸条が設けられており、当該凹条と上記凸条とが係合することにより上記ブランクに対する上記金属製筒状部材の回転が規制されているのが好ましい。
【0029】
この構成では、ブランクに対する金属製筒状部材の回転が規制され、金属製筒状部材がブランクに位置決めされる。したがって、金属製筒状本体が強固にブランクに固着される。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係る釣竿用口栓によれば、操作キャップが滑止効果を発揮するするので、たとえば実釣において釣人の手が濡れている場合であっても、釣人は操作キャップを摘んで容易に釣竿用口栓を釣竿に着脱することができる。
【0031】
本発明に係る釣竿用玉口金具によれば、当該釣竿用玉口金具がブランクの玉口周辺部に装着されることにより、当該玉口周辺部の圧縮強度を向上させ且つ局部的な曲げ剛性の上昇を抑えることができる。その結果、釣竿の重量増加を抑えつつ玉口周辺部の補強と釣竿の調子の維持が可能となる。
【0032】
本発明に係る釣竿によれば、各ブランクの玉口周辺部が補強されているので釣竿の強度が向上する。しかも、当該玉口周辺部を補強する金属製筒状部材に切欠窓部が設けられているから、補強による重量増加が抑えられる。また、上記切欠窓部が設けられることによって各ブランクの玉口周辺部の曲げ剛性が局部的に大きくなることがないので、予め設計された釣竿の調子が維持される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る口栓10の外観斜視図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に係る口栓10の外観斜視図である。
【図3】図3は、口栓10の分解斜視図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態の第1変形例に係る口栓30の外観斜視図である。
【図5】図5は、口栓30の分解斜視図である。
【図6】図6は、図4におけるVI−VI断面図である。
【図7】図7は、本発明の一実施形態の第2変形例に係る口栓40の外観斜視図である。
【図8】図8は、本発明の一実施形態に係る釣竿50の正面図である。
【図9】図9は、釣竿50の要部拡大分解者視図である。
【図10】図10は、本発明の第2の実施形態の第1変形例に係る釣竿の要部拡大分解斜視図である。
【図11】図11は、本発明の第2の実施形態の第2変形例に係る釣竿の要部拡大斜視図である。
【図12】図12は、本実施形態の第3変形例に係る釣竿の要部拡大分解斜視図である。
【図13】図13は、本実施形態の第4変形例に係る釣竿の要部拡大分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の好ましい実施形態が、適宜図面が参照されつつ説明される。
【0035】
<第1の実施形態(口栓)>
【0036】
図1及び図2は、本発明の一実施形態に係る口栓10の外観斜視図である。図3は、口栓10の分解斜視図である。
【0037】
この口栓10(請求項に記載された「釣竿用口栓」の一例)は、複数のブランクを有する釣竿に装着されるものである。具体的には、釣竿の収納状態において、元節の玉口に口栓10が装着されることにより、元節から他のブランクが飛び出すことが防止される。
【0038】
口栓10は、栓本体11と操作キャップ12とを有する。この操作キャップ12は、栓本体11の他端部13に嵌め込まれており、したがって、栓本体11の先端部14が操作キャップ12から突出している。この栓本体11の先端部14が上記元節の玉口に圧入されるようになっている。
【0039】
栓本体11は、本実施形態ではアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)から構成されている。もっとも、栓本体11を構成する材料はこれに限定されるものではなく、他のゴムのほか樹脂その他の弾性体により構成され得る。
【0040】
栓本体11は、図3が示すように円柱状に形成されている。栓本体11の外径は、当該口栓10が装着される元節のサイズ(玉口の内径)に対応して決定される。栓本体11の外形形状は、円柱状に限定されるものではなく、たとえば断面形状が多角形である柱状に形成されていてもよい。その場合、栓本体の断面形状について、頂点を結ぶ包絡線が円形であり、その直径が上記玉口の内径に対応していればよい。
【0041】
栓本体11の外周面に凹条15が設けられている。この凹条15は、栓本体11の軸方向に沿って延びる溝として形成されている。凹条15の内面は、円弧状に形成されている。凹条15は、栓本体11の一端面16から栓本体11の中央部まで延びている。本実施形態では、3つの凹条15が栓本体11に設けられており、各凹条15は、栓本体11の周方向に均等に分散配置されている。なお、凹条15の内面形状は円弧状に限定されるものではなく、他の形状(たとえば矩形状)であってもよい。また、凹条15の数も3つに限定されるものではないし、凹条15が省略されていてもよい。この凹条15が設けられることにより、上記元節と栓本体11との接触面積が減少し、したがって、口栓10が上記元節に対して固着することが防止され、着脱操作が簡単になる。
【0042】
また、栓本体11に貫通孔17が設けられている。この貫通孔17は、栓本体11の一端面16から栓本体11の中心軸に沿って延びている。この貫通孔17が設けられているので、栓本体11が径方向に変形しやすくなっており、したがって、口栓10を上記元節に嵌め込む作業が容易になる。もっとも貫通孔17が省略されていてもよい。
【0043】
操作キャップ12は、リング部材18と、蓋19とを有する。
【0044】
リング部材18は、本実施形態ではアルミニウム合金からなる。もっとも、リング部材18を構成する材料は、アルミニウム合金に限定されるものではなく、真鍮、ステンレス鋼、マグネシウム合金、その他の金属のほか樹脂も採用され得る。リング部材18は、図1ないし図3が示すように栓本体11の他端部13に外嵌される。リング部材18は、円筒状に形成されており、側壁20(請求項に記載された「周面」の一例)に窓部21が設けられている。これにより、当該窓部21から栓本体11の他端部13の一部が露出している。なお、リング部材18の外形形状は円筒状に限定されるものではなく、栓本体11の他端部13の外形形状に対応した形状に形成され得る。
【0045】
リング部材18の肉厚寸法は、本実施形態では0.3mmに設定されている。もっとも、リング部材18の肉厚寸法は、0.25mm〜0.5mmの範囲で設定され得る。また、本実施形態では、4つの窓部21がリング部材18に設けられており、各窓部21は、リング部材18の周方向に均等に分散配置されている。なお、窓部21の数は2個〜12個の範囲で適宜設定され得る。さらに、本実施形態では、窓部21の形状は矩形に形成されている。ただし、窓部21の形状は矩形に限定されるものではなく、円形、楕円形、その他の形状が採用されてもよい。
【0046】
蓋19は、リング部材18の端面22に取り付けられている。蓋19は、本実施形態では円盤状に形成されており、リング部材18の端面22を塞ぐように配置されている。蓋19の材質はリング部材18と同様であるが、樹脂その他の材料が採用されてもよい。この蓋19の外側面に装飾が施されてもよいし、当該口栓10が装着される釣竿のスペックの表示がなされてもよい。なお、この蓋19は、省略されていてもよい。
【0047】
口栓10は、栓本体11に操作キャップ12が嵌め込まれることによって組み立てられる。具体的には、たとえば接着剤がリング部材18の内面に塗布され、当該リング部材18が栓本体11の他端部13に嵌め込まれる。上記接着剤によってリング部材18が栓本体11に固着される。
【0048】
この口栓10は、前述のように釣竿の元節に嵌め込まれる。このとき、釣人は操作キャップ12を指で摘み、栓本体11を元節の玉口に挿入する。栓本体11の一端部14の外径は元節の玉口の内径に対応しているから、栓本体11は、元節に圧入され、確実に装着される。リング部材18に上記窓部21が設けられているから、操作キャップ12と栓本体11との間に段差が形成される。この段差寸法は、リング部材18の肉厚寸法に相当する。そして、この段差は、釣人が操作キャップ12を摘んだ際の滑り止めとして機能し、したがって、釣人は、手が濡れていたとしても簡単に口栓10を釣竿に対して着脱することができる。
【0049】
<第1の実施形態の第1変形例>
【0050】
図4は、本実施形態の第1変形例に係る口栓30の外観斜視図である。図5は、口栓30の分解斜視図である。図6は、図4におけるVI−VI断面図である。
【0051】
この変形例に係る口栓30が上記第1の実施形態に係る口栓10と異なるところは、口栓10では、栓本体11に対して操作キャップ12が単に嵌め込まれていただけであるのに対して、本変形例に係る口栓30では、栓本体11に凸部31が設けられており、この凸部31がリング部材18の窓部21に嵌合している点である。なお、その他の構成については、上記口栓10と同様である。
【0052】
上記凸部31は、栓本体11の他端部13に当該栓本体11と一体的に形成されている。本変形例では、4つの凸部31が栓本体11に設けられている。各凸部31は、栓本体11の他端部13に突設されており、径方向に突出している。各凸部31は、栓本体11の周面に均等に分散配置されている。各凸部31の外形形状は、リング部材12に設けられた窓部21の形状に対応されており、各凸部31が対応する窓部21に嵌め込まれるようになっている。
【0053】
本実施形態では、各凸部31の高さ寸法は、リング部材18の肉厚寸法に対応されている。したがって、図4及び図6が示すように、操作キャップ12が栓本体11に嵌め込まれた状態で、各凸部31が上記窓部21に嵌め込まれ、両者はいわゆる面一状態となる。すなわち、上記窓部21と栓本体11との間に段差が生じない。このように段差が生じない場合であっても、リング部材18が金属であるから、一定の滑止効果が発揮される。ただし、上記窓部21と栓本体11との間に段差が形成されるように上記凸部31の高さ寸法が調整されてもよい。
【0054】
この変形例に係る口栓30によれば、上記各凸部31が上位窓部21と嵌合することにより、栓本体11に対して操作キャップ12の回転が防止される。したがって、釣人が口栓30を釣竿に装着する作業において栓本体11が回転せず、したがって、口栓30を釣竿の玉口に圧入する作業が一層容易になる。
【0055】
<第1の実施形態の第2変形例>
【0056】
図7は、本実施形態の第2変形例に係る口栓40の外観斜視図である。
【0057】
この変形例に係る口栓40が上記第1の実施形態に係る口栓10と異なるところは、口栓10では、栓本体11に対して操作キャップ12が単に嵌め込まれていただけであるのに対して、本変形例に係る口栓40では、栓本体11と操作キャップ12の窓部21との間に形成された段差部分が接着剤41によって埋められている点である。なお、その他の構成については、上記口栓10と同様である。
【0058】
上記接着剤41の種類は特に限定されないが、本実施形態では、2液混合型エポキシ系接着剤が採用され得る。本変形例では、口栓40が組み立てられる際に、栓本体11の他端部13(図3参照)の周囲に充分な量の接着剤41が塗布される。この状態で操作キャップ12が栓部材11に嵌め込まれることにより、操作キャップ12が栓本体11に固着され、且つ乾燥後の接着剤41が操作キャップ12の窓部21から露出する。なお、上記第1の実施形態に係る口栓10と同様に操作キャップ12が栓本体11に固着された後に、上記接着剤41が上記窓部21を埋めるように塗布されてもよい。
【0059】
この口栓40では上記接着剤41が乾燥すると、操作キャップ12の上記窓部21から固化した接着剤41が露出する。この接着剤41は、釣人が操作キャップ12を摘んだ際の滑り止めとして機能する。したがって、釣人は、手が濡れていたとしても口栓10を摘んで釣竿に対して着脱することができる。
【0060】
<第2の実施形態(釣竿)>
【0061】
図8は、本発明の一実施形態に係る釣竿50の正面図である。
【0062】
この釣竿50は、釣竿本体51とグリップ52とを備えている。
【0063】
釣竿本体51は、複数のブランクが連結されることにより構成されている。すなわち、釣竿本体51は、第1番節53、元上節54及び元節55を備えており、これらが長手方向に連結されている。各ブランクは既知の製法により構成される。すなわち、たとえばカーボン繊維強化樹脂シート(いわゆるプリプレグ)がマンドレルに巻回され、所要の熱処理が施されることにより円筒状に焼成される。説明の簡略化のため、同図は、第1番節53及び元上節54の一部の図示が省略されている。第1番節53及び元上節54並びに元上節54及び元節55は、それぞれ、本実施形態ではいわゆる印籠継ぎにより連結されている。なお、ブランク同士の連結は、印籠継ぎ以外の継ぎ形式であってもよいことは勿論である。同図では、元上節54及び元節55の連結部分56が図示されている。
【0064】
第1番節53、元上節54及び元節55に複数のラインガイド57が所定の間隔で配置されている。このラインガイド57は、グリップ52に装着された釣用リールから延びる釣糸が挿通されるようになっており、当該釣糸を支持する。元節55の後端部は、グリップ52に差し込まれており、これにより、釣竿本体51はグリップ52によって支持されている。グリップ52は、釣人によって把持されるものであって、フロント部58及びリアエンド部59を備えている。フロント部58とリアエンド部59との間にリールシート60が形成されている。このリールシート60は、釣用リールの脚を挟み込めるようになっており、これにより、釣用リールがグリップ52に確実に固定される。
【0065】
図9は、釣竿50の要部拡大分解者視図であって、上記連結部分56の構造を詳細に示している。
【0066】
元上節54の後端63に継芯61が突設されており、この継芯61が元節55の内側に嵌め込まれることにより、元節55と元上節54とが印籠継ぎにより連結される。元節55の玉口62に玉口金具64(請求項に記載された「金属製筒状部材」の一例)が装着されている。また、元上節54の後端部にも玉口金具64が装着されている。したがって、元上節54が元節55に連結されることによって2つの玉口金具64が対向する。
【0067】
玉口金具64は、本実施形態ではアルミニウム合金からなる。もっとも、玉口金具64を構成する材料は、アルミニウム合金に限定されるものではなく、真鍮、ステンレス鋼、マグネシウム合金、その他の金属が採用され得る。玉口金具64は、図8及び図9が示すように元上節54の後端部及び元節55の玉口62に外嵌される。玉口金具64は、円筒状に形成されており、側壁20(請求項に記載された「周面」の一例)に切欠窓部66が設けられている。これにより、当該切欠窓部66から元節55の玉口62の周縁部及び元上節54の後端部が露出している。
【0068】
玉口金具64の肉厚寸法は、本実施形態では0.3mmに設定されている。もっとも、玉口金具64の肉厚寸法は、0.25mm〜0.5mmの範囲で設定され得る。また、本実施形態では、8つの切欠窓部66が玉口金具64に設けられている。具体的には、各切欠窓部66は、玉口金具64の周方向に均等に4カ所に分散配置され、且つ長手方向に2列に配置されている。なお、切欠窓部66の数は特に限定されるものではなく、周方向に均等に分散配置され、且つ長手方向に1〜5列程度に配置され得る。
【0069】
さらに、本実施形態では、切欠窓部66の形状は矩形に形成されている。このように切欠窓部66が矩形に形成されることにより、玉口金具64は籠状に形成され、周方向に巻回する環状部が長手方向に所定の間隔をあけて3列に配置されると共に各環状部を連結する4つの柱状部周方向に均等に配置されることになる。切欠窓部66がかかる籠状に形成されることにより、玉口金具64の径方向の圧縮強度は、切欠窓部66が無い場合に比べて大きく減少しないが、長手方向についての曲げ剛性は大きく且つ均一に減少する。玉口金具64がかかる籠状に形成されることによる効果については後述される。なお、切欠窓部66の形状は矩形に限定されるものではなく、前述のように、玉口金具64の径方向の圧縮強度を確保しつつ長手方向についての曲げ剛性を均一に低下させることが可能であれば、円形、楕円形、その他の形状が採用されてもよい。
【0070】
本実施形態では、玉口金具64の端面22に底壁67が形成されている。そして、この底壁67に円形の貫通孔68が設けられている。この貫通孔68の内径は、上記継芯61の外径に対応されている。したがって、玉口金具64が元上節54に装着された状態で、継芯61が玉口金具64の底壁67を貫通する。他方、元節55の先端面69に嵌合孔70が設けられている。この嵌合孔70は、元節55の先端から長手方向に沿って形成されており、その内径は、元上節54の継芯61の外径に対応されている。したがって、玉口金具64が元節55に装着されると、貫通孔68を通じて嵌合孔70が露出する。なお、上記底壁67は省略されてもよい。
【0071】
玉口金具64は、たとえば接着剤により元上節54及び元節55に取り付けられる。具体的には、接着剤が玉口金具64の内面に塗布され、当該玉口金具64が元上節54の後端部及び元節55の玉口62に被せるように嵌め込まれる。この接着剤によって玉口金具64が元上節54及び元節55に固着される。
【0072】
この釣竿50では、元上節54の後端部及び元節55の玉口62に玉口金具64が嵌め込まれ、玉口62の周辺部が玉口金具64によって覆われる。これにより、特に元節55の玉口62の圧縮強度が向上し、元上節54と元節55との連結部分56が補強される。玉口金具64に上記形状の切欠窓部66が設けられているから、上記玉口62の周辺部の圧縮強度が向上されつつ当該玉口62の周辺部の曲げ剛性の向上は抑えられる。したがって、玉口金具64が釣竿本体51に装着されたとしても、釣竿50の調子が大きく変更されることはないという利点がある。
【0073】
加えて、上記切欠窓部66が設けられることにより、当該切欠窓部66と元上節54ないし元節55との間に段差が形成される。この段差は、釣人が元上節54と元節55とを手で把持し、両者を連結あるいは離脱させる作業をする際に滑り止めとして機能する。したがって、釣人は、手が濡れていたとしても簡単に元上節54と元節55とを連結あるいは離脱させることができる。
【0074】
<第2の実施形態の第1変形例>
【0075】
図10は、本実施形態の第1変形例に係る釣竿の要部拡大分解斜視図である。
【0076】
本変形例に係る釣竿が上記実施形態に係る釣竿50と異なるところは、元上節54と元節55との間の連結部56の構造である。すなわち、本変形例では、元節55の外周面75に凸条76が形成され、元節55に装着される玉口金具64の内周面77に凹条78が形成されており、これら凸条76と凹条78とが係合している。また、元上節54の外周面79に凸条76が形成され、元上節54に装着される玉口金具64の内周面77に凹条78が形成されており、これら凸条76と凹条78とが係合している。なお、その他の構成については、上記実施形態に係る釣竿50と同様である。
【0077】
本変形例に係る釣竿では、元節55に対する玉口金具64の回転並びに元上節54に対する玉口金具64の回転が規制される。すなわち、玉口金具64が元節55及び元上節54に対して位置決めされ、強固に固着される。その結果、玉口金具64を元節55及び元上節54に装着する作業が容易になると共に、釣人は、玉口金具64を強く把持して元節55及び元上節54を操作することができる。
【0078】
<第2の実施形態の第2変形例>
【0079】
図11は、本実施形態の第2変形例に係る釣竿の要部拡大斜視図である。
【0080】
本変形例に係る釣竿50が上記実施形態に係る釣竿50と異なるところは、釣竿50では、元上節54及び元節55に対して玉口金具64が単に嵌め込まれていただけであるのに対して、本変形例では、元節55と玉口金具64の切欠窓部66との間に形成された段差部分並びに元上節54と玉口金具64の切欠窓部66との間に形成された段差部分が、接着剤79によって埋められている点である。なお、その他の構成については、上記釣竿50と同様である。
【0081】
上記接着剤79の種類は特に限定されないが、本実施形態では、2液混合型エポキシ系接着剤が採用され得る。本変形例では、元節55又は元上節54に玉口金具64が装着される際に、元節55の玉口62の周辺部及び元上節54の後端部に充分な量の接着剤79が塗布される。この状態で玉口金具64が元節55又は元上節54に嵌め込まれることにより、玉口金具64が元節55又は元上節54に固着され、且つ乾燥後の接着剤79が上記切欠窓部66から露出する。なお、上記第2の実施形態に係る釣竿50と同様に玉口金具64が元節55又は元上節54に固着された後に、上記接着剤79が上記切欠窓部66を埋めるように塗布されてもよい。
【0082】
この変形例では、上記接着剤79が乾燥すると、上記切欠窓部66から固化した接着剤79が露出する。この接着剤79は、釣人が元節55の玉口62あるいは元上節54の後端部を握った際の滑り止めとして機能する。したがって、釣人は、元節55及び元上節54に玉口金具64が設けられていない場合に比べて手が滑ることなく元節55及び元上節54を把持することができる。その結果、釣人は、たとえば手が濡れていたとしても元節55及び元上節54を把持し、両者の連結動作及び連結解除動作をすることができる。
【0083】
<第2の実施形態の第3変形例>
【0084】
図12は、本実施形態の第3変形例に係る釣竿の要部拡大分解斜視図である。
【0085】
この変形例に係る釣竿が上記実施形態に係る釣竿50と異なるところは、釣竿50では、元上節54及び元節55が印籠継ぎにより連結されており、各節54、55にそれぞれ玉口金具64が装着されていたのに対して、本変形例では、元上節54及び元節55が並継ぎにより連結されており、玉口金具64は元節55にのみ装着されている点である。なお、その他の構成については、上記釣竿50と同様である。
【0086】
同図が示すように、元節55の内径は、元上節54の外径に対応しており、元上節54の後端63が矢印80の向きに沿って元節54の先端部に挿入される。元上節54は、所定のはめあいにより元節55に圧入されるようになっている。また、玉口金具64は、矢印81の向きに沿って元節55の玉口62に嵌め込まれる。本変形例では、元上節54の後端が元節55に挿入されるので、玉口金具64の両端が開放されている。すなわち、上記玉口金具64の底壁67(図9参照)が削除されている。
【0087】
なお、この変形例では、元節55に元上節54が内嵌されているが、元節55に元上節54が外嵌されたいわゆる逆並継ぎにより元節55及び元上節54が連結されていてもよいことは勿論である。
【0088】
<第2の実施形態の第4変形例>
【0089】
図13は、本実施形態の第4変形例に係る釣竿の要部拡大分解斜視図である。
【0090】
この変形例に係る釣竿が上記実施形態に係る釣竿50と異なるところは、釣竿50では、元上節54及び元節55が印籠継ぎにより連結されており、各節54、55にそれぞれ玉口金具64が装着されていたのに対して、本変形例では、元上節54及び元節55が入れ子形式(いわゆる振出形式)により連結されており、玉口金具64は元節55にのみ装着されている点である。なお、その他の構成については、上記釣竿50と同様である。
【0091】
元節55の内径は、元上節54の後端部の外径よりも小さく設定されており、同図が示すように元上節54が元節55から引き出されることによって両者が嵌合連結される。また、玉口金具64は、矢印82の向きに沿って元節55の玉口62に嵌め込まれる。本変形例では、元上節54が元節55から突出した状態となるので、玉口金具64の両端が開放されている。すなわち、上記玉口金具64の底壁67(図9参照)が削除されている。
【符号の説明】
【0092】
10・・・口栓
11・・・栓本体
12・・・操作キャップ
13・・・他端部
14・・・異端部
15・・・凹条
18・・・リング部材
20・・・側壁
21・・・窓部
30・・・口栓
31・・・凸部
40・・・口栓
41・・・接着剤
50・・・釣竿
51・・・釣竿本体
55・・・元節
56・・・連結部分
62・・・玉口
64・・・玉口金具
65・・・側壁
66・・・切欠窓部
75・・・外周面
76・・・凸条
77・・・内周面
78・・・凹条
79・・・接着剤



【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部及び他端部を有し、当該一端部が釣竿を構成するブランクの玉口に圧入されることにより当該玉口を塞ぐ弾性体からなる栓本体と、
栓本体の他端部に外嵌された操作キャップとを備え、
当該操作キャップの周面に上記栓本体の他端部の一部を露出させる窓部が形成されている釣竿用口栓。
【請求項2】
上記栓本体の周面に凸部が形成されており、当該凸部が上記操作キャップの窓部に嵌合している請求項1に記載の釣竿用口栓。
【請求項3】
上記操作キャップは上記栓本体に接着剤を介して固着されており、
上記栓本体に付着された接着剤が上記窓部から露出している請求項1に記載の釣竿用口栓。
【請求項4】
釣竿を構成するブランクの玉口に外嵌される金属製筒状本体を有し、
当該金属製筒状本体の周面に当該周面を貫通する複数の窓部が一様に分散して配置されており、
当該窓部の形状は、当該金属製筒状本体の曲げ剛性を均一に低下させるように形成されている釣竿用玉口金具。
【請求項5】
上記金属製筒状本体の内周面に上記ブランクと係合し得る凹条が形成されている請求項4に記載の釣竿用玉口金具。
【請求項6】
複数のブランクを有し、各ブランクが長手方向に連結される釣竿本体と、
上記ブランクの玉口に外嵌された金属製筒状部材とを備え、
当該金属製筒状部材の周面に上記ブランクを露出させる切欠窓部が形成されている釣竿。
【請求項7】
上記金属製筒状部材は上記ブランクに接着剤を介して固着されており、
上記ブランクに付着された接着剤が上記切欠窓部から露出している請求項6に記載の釣竿。
【請求項8】
上記切欠窓部は、上記金属製筒状本体の周面を貫通して一様に分散して配置されており、
当該窓部の形状は、上記金属製筒状本体の曲げ剛性を均一に低下させるように形成されている請求項6又は7に記載の釣竿。
【請求項9】
上記金属製筒状部材の内周面に凹条が形成され、上記ブランクの外周面に当該凹条が係合する凸条が設けられており、当該凹条と上記凸条とが係合することにより上記ブランクに対する上記金属製筒状部材の回転が規制されている請求項6から8のいずれかに記載の釣竿。






【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−75372(P2012−75372A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222244(P2010−222244)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000002439)株式会社シマノ (1,038)
【Fターム(参考)】