説明

釣竿

【課題】 釣竿の操作性が良く、腕や肘の負担が少ない肘当てを実現した釣竿を提供することである。
【解決手段】 肘当て部3aの上面は軸部3bの中心後端から肘当て部3aの後端3dにかけて後端3dが上方になるように傾斜されている。
傾斜角度θは軸部3bの中心線aと、軸部3bの中心後端b点から肘当て部3aの後端3dの横幅中心で肉厚の中心c点を結ぶ線dとの角度とし、3゜〜15゜の範囲で、好ましくは5゜〜9゜である。
更に肘当て部3aの上面は軸線方向の両側3e、3fが上方に湾曲した肘当て面3gで形成され、裏面3hは大きくえぐられて軽量化が図られている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、竿管の後端に取り付けた肘当てを改善した釣竿の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来竿管の後端に取り付けた肘当ては特許文献1のように、肘当て面が竿の軸心に対して平行である構造であった。
したがって本願図5のようにリ−ルと共に釣竿を握ると、肘当て3′の肘当て面と肘との間に隙間が出来やすく、無理に肘当て面に肘を載置しようとすると手首や腕や肘に負担がかかり、その結果、スム−ズな竿操作が出来難いという問題がある。
【特許文献1】特開2002−142620号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
解決しようとする課題は、肘当て面と肘との間に隙間が出来やすく、無理に肘当て面に肘を載置しようとすると手首や腕や肘に負担がかかり、スム−ズな竿操作が出来難いことである。
【0004】
本発明の目的は前記欠点に鑑み、釣竿の操作性が良く、腕や肘の負担が少ない肘当てを実現した釣竿を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係わる本発明は、竿管の後端内周に肘当ての肘当て部に一体に形成した軸部を嵌合し、前記肘当て部の上面は前記軸部の中心後端から肘当て部の後端にかけて肘当て部の後端が上方になるように傾斜させると共に、軸線方向の両側が上方に湾曲した肘当て面で形成したことを要旨とするものである。
請求項2に係わる本発明は、肘当て部の傾斜角度は軸部の中心線と、軸部の中心後端から肘当て部の後端の横幅中心で肉厚の中心を結ぶ線との角度とし、3゜〜15゜の範囲であることを要旨とするものである。
請求項3に係わる本発明は、肘当て部の後端の両縁の間は軸線方向前側に湾曲していることを要旨とするものである。
請求項4に係わる本発明は、肘当て部の横幅は湾曲した肘当て面の領域より幅広に形成されていることを要旨とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によって、肘当てが後端に行くほどせり上がっている為、湾曲した肘当て面と肘がより密着しやすく肘が安定して、肘や腕の負担を軽減出来る。
又、釣竿操作が安定して出来る。
竿先を下に向けて釣竿を操作する際に湾曲した肘当て面がより密着する為、腕や肘への負担が軽減され、釣竿を安定して保持出来る。
誤って、落としてしまう危険が少ない。
手首と肘が水平に保てる為、無理に手首を使わなくて済み、手首への負担軽減になる。
竿を壁等に立てかける際に肘当ての後端部が竿管より径方向に偏芯する為、安定して立てかけられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
肘当て3の肘当て部3aは軸部3b側の前端部3cが円柱状で横幅が狭く、前端部3cの後側から後端3dにかけて漸次肉薄で横幅が後方に行くに従って幅が広いハ−ト形に形成されている。
肘当て部3aの上面は図2のように軸部3bの後側から肘当て部3aの後端3dにかけて後端3dが上方になるように傾斜されている。
傾斜角度θは軸部3bの中心線aと、軸部3bの中心後端b点から肘当て部3aの後端3dの横幅中心で肉厚の中心c点を結ぶ線dとの角度とし、3゜〜15゜の範囲で、好ましくは5゜〜9゜である。
更に肘当て部3aの上面は軸線方向の両側3e、3fが上方に湾曲した肘当て面3gで形成されている。
また肘当て部3aの後端3dの両縁α、βの間は軸線方向前側に図1のγのように湾曲している。
肘当て部3aの軸部3b側の前端部3cは円柱状で、裏面3hは大きくえぐられて軽量化が図られている。
軸部3bの外周には周溝3iで凹凸が形成されて周溝3iが接着剤溜めとなっている。
【実施例1】
【0008】
以下、本発明を一実施例で図面に基づき説明すると、図1は釣竿を断面にした肘当ての平面図、図2は図1のF2−F2断面線の肘当ての断面側面図、図3は肘当ての背面図、図4は釣竿を手で握って肘当てを肘に当てた使用状態の説明図と要部拡大図である。
【0009】
釣竿は竿管1の後端内周1aに金属管2を介して肘当て3の肘当て部3aに一体的に形成された軸部3bが嵌合されて接着剤で接着固定されている。
肘当て3は天然木、強化木、合成樹脂等で形成されている。
肘当て部3aは図1の平面図で軸部3b側の前端部3cが円柱状で横幅が狭く、前端部3cの後側から後端3dにかけて漸次肉薄で横幅が後方に行くに従って幅が広いハ−ト形に形成されている。
肘当て部3aの上面は図2のように軸部3bの後側から肘当て部3aの後端3dにかけて後端3dが上方になるように傾斜されている。
傾斜角度θは軸部3bの中心線aと、軸部3bの中心後端b点から肘当て部3aの後端3dの横幅中心で肉厚の中心c点を結ぶ線dとの角度とし、3゜〜15゜の範囲で、好ましくは5゜〜9゜である。
【0010】
更に肘当て部3aの上面は軸線方向の両側3e、3fが上方に湾曲した肘当て面3gで形成されている。
また肘当て部3aの後端3dの両縁α、βの間は軸線方向前側に図1のγのように湾曲している。
後端3dをγのように湾曲にすると、肘当て部3aの後端3dと肘との当接部で肘が痛くならない。
更に両縁α、βは面取りした円弧状に形成されていると、肘に両縁α、βが当接しても痛くならない。
また肘当て部3aの両側3e、3fの横幅は湾曲した肘当て面3gの領域より幅広に形成されている。
幅広に形成することで肘の安定性が向上する。
肘当て部3aの軸部3b側の前端部3cは円柱状で、裏面3hは大きくえぐられて軽量化が図られている。
軸部3bの外周には周溝3iで凹凸が形成されて周溝3iが接着剤溜めとなって強固に固定出来る。
接着剤を使用しないで脱着式の場合は、周溝3iにOリング等が嵌め込まれて嵌合するようにする。
【0011】
前記湾曲した肘当て面3gには例えば、ゴム系被膜の形成、ゴム板の貼着、スクリ−ン印刷、凹凸塗装等を施して滑り防止を行ってもよい。
肘当て部3aの前端部3cの外径は竿管1の後端外径と略同一径であると、肘や衣類が引っ掛からずにスム−ズに竿操作が出来る。
軸部3bの中心に前側から穴を穿設して穂先竿や替え穂先竿を保持出来るようにしてもよい。
【0012】
図4のように竿管1の後端内周に肘当て3が固定され、竿管1のリ−ル装着部1bにリ−ル4が装着されて釣りが行われる時、肘当て部3aの湾曲した肘当て面3gに肘が当てられる。
肘当て部3aの湾曲した肘当て面3gは後端に行くほどせり上がっているので、肘と密着しやすい。
腕を竿管1と平行に保持しても肘は湾曲した肘当て面3gに当接しやすい。
【0013】
前記のように釣竿が構成されると、肘当て3が後端に行くほどせり上がっている為、湾曲した肘当て面3gと肘がより密着しやすく肘が安定して、肘や腕の負担を軽減出来る。
又、釣竿操作が安定して出来る。
竿先を下に向けて釣竿を操作する際に湾曲した肘当て面3gがより密着する為、腕や肘への負担が軽減され、釣竿を安定して保持出来る。
誤って、落としてしまう危険が少ない。
手首と肘が水平に保てる為、無理に手首を使わなくて済み、手首への負担軽減になる。
竿を壁等に立てかける際に肘当て3の後端部が竿管1より径方向に偏芯する為、安定して立てかけられる。
【産業上の利用可能性】
【0014】
釣竿の肘当てに広く利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】釣竿を断面にした肘当ての平面図である。
【図2】図1のF2−F2断面線の肘当ての断面側面図である。
【図3】肘当ての背面図である。
【図4】釣竿を手で握って肘当てを肘に当てた使用状態の説明図と要部拡大図である。
【図5】従来の肘当てを肘に当てた使用状態の説明図である。
【符号の説明】
【0016】
1 竿管
3 肘当て
3a 肘当て部
3b 軸部
3e、3f 両側
3g 湾曲した肘当て面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
竿管の後端内周に肘当ての肘当て部に一体に形成した軸部を嵌合し、前記肘当て部の上面は前記軸部の中心後端から肘当て部の後端にかけて肘当て部の後端が上方になるように傾斜させると共に、軸線方向の両側が上方に湾曲した肘当て面で形成したことを特徴とする釣竿。
【請求項2】
肘当て部の傾斜角度は軸部の中心線と、軸部の中心後端から肘当て部の後端の横幅中心で肉厚の中心を結ぶ線との角度とし、3゜〜15゜の範囲であることを特徴とする請求項1記載の釣竿。
【請求項3】
肘当て部の後端の両縁の間は軸線方向前側に湾曲していることを特徴とする請求項1、2記載の釣竿。
【請求項4】
肘当て部の横幅は湾曲した肘当て面の領域より幅広に形成されていることを特徴とする請求項1〜3記載の釣竿。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−149283(P2006−149283A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−345074(P2004−345074)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(000002495)ダイワ精工株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】