説明

釣銭機、釣銭機システムおよび紙葉類処理システム

【課題】紙葉類を順番通りに確実に収納することができ、強制的に収納された紙葉類とレジ係などの操作者との紐付けを確実に行うこと。
【解決手段】釣銭機は、筐体1と、紙葉類を受け付ける受入部20と、受入部20に連結され、受入部20に受け付けられた紙葉類を搬送する搬送機構70と、搬送機構70に設けられ、該搬送機構70上を搬送される紙葉類を識別する識別部55と、搬送機構70の端部に連結され、識別部55による識別結果に基づいて金種別に紙葉類を収納する金種別収納庫25a,25b,25cと、を備えている。筐体1には、搬送機構70の端部に連結され、受入部20に受け付けられた紙葉類を強制的に収納するテープリール式回収庫10が、着脱可能に設けられている。釣銭機は、少なくとも操作者に関する情報を含む操作ログ情報を記憶する記憶部51も備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受入部に受け付けられた紙葉類を強制的に収納することができる釣銭機および釣銭機システムと、このような釣銭機を含んだ紙葉類処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、顧客から受け取った貨幣を識別し、真券と鑑別した貨幣を収納し、真券以外と識別された貨幣をリジェクトするPOS用貨幣処理機(釣銭機)が知られている(特許文献1参照)。特許文献1に記載された釣銭機は、レジ係(操作者)により操作されて、リジェクトされた貨幣を強制入金させるための強制入金キー、強制入金する貨幣の金額を入力するための強制入金金額入力キー等を有するスイッチ手段と、スイッチ手段の強制入金キーによって強制入金された貨幣を収納するとともに、強制入金金額入力キーによって入力された貨幣の金額を強制入金金額データとして記憶する制御部と、を備えている。
【特許文献1】特開平7−239980号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の釣銭機では、強制的に収納された紙葉類は束状に集積されることから、後から収納された紙葉類が先に収納された紙葉類の下方に周り込んでしまうなど、強制的に収納された紙葉類の順番が入れ代わる可能性があった。このため、強制的に収納された紙葉類とレジ係などの操作者との紐付けを確実に行うことができなかった。
【0004】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、紙葉類を順番通りに確実に収納することができ、強制的に収納された紙葉類とレジ係などの操作者との紐付けを確実に行うことができる釣銭機および釣銭機システムと、このような釣銭機を含んだ紙葉類処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による釣銭機は、
筐体と、
紙葉類を受け付ける受入部と、
前記受入部に連結され、該受入部に受け付けられた紙葉類を搬送する搬送機構と、
前記搬送機構に設けられ、該搬送機構上を搬送される紙葉類を識別する識別部と、
前記搬送機構の端部に連結され、前記識別部による識別結果に基づいて金種別に紙葉類を収納する金種別収納庫と、
前記筐体に着脱可能に設けられるとともに、前記搬送機構の端部に連結され、前記受入部に受け付けられた紙葉類を強制的に収納するテープリール式回収庫と、
少なくとも操作者に関する情報を含む操作ログ情報を記憶する記憶部と、
を備えている。
【0006】
本発明による釣銭機において、
前記記憶部は、操作ログ情報と、強制的に収納された紙葉類に関する情報とを関連させて記憶することが好ましい。
【0007】
本発明による釣銭機において、
通常の取引を行う通常取引モードと、強制的に紙葉類を収納する強制収納モードとが切換可能となっており、
前記強制収納モードのときには、前記受入部に受け付けられた紙葉類は、前記テープリール式回収庫内に強制的に収納されることが好ましい。
【0008】
本発明による釣銭機において、
前記強制収納モードは、汚損紙幣を強制的に収納させる汚損紙幣モードと、商品券を強制的に収納させる商品券モードとを有することが好ましい。
【0009】
本発明による釣銭機において、
前記識別部は、強制収納モードのときに、識別レベルを下げて紙幣を識別することが好ましい。
【0010】
本発明による釣銭機において、
前記受入部に受け付けられた紙葉類に関する情報が入力可能な入力部をさらに備えたことが好ましい。
【0011】
本発明による釣銭機において、
前記受入部に受け付けられた紙葉類を、前記搬送機構を介して前記テープリール式収納庫に繰り入れるよう制御する制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記テープリール式収納庫と前記搬送機構を制御して、一の操作者のもとで強制的に収納される紙葉類と他の操作者のもとで強制的に収納される紙葉類との間の間隔を、同じ操作者のもとで強制的に収納された紙葉類の間の間隔よりも大きくすることが好ましい。
【0012】
本発明による釣銭機において、
前記記憶部は、前記テープリール式回収庫に設けられていることが好ましい。
【0013】
本発明による釣銭機において、
前記記憶部は、前記釣銭機の本体に設けられていることが好ましい。
【0014】
本発明による釣銭機システムは、
筐体と、紙葉類を受け付ける受入部と、該受入部に連結され、該受入部に受け付けられた紙葉類を搬送する搬送機構と、該搬送機構に設けられ、該搬送機構上を搬送される紙葉類を識別する識別部と、該搬送機構の端部に連結され、該識別部による識別結果に基づいて金種別に紙葉類を収納する金種別収納庫と、該筐体に着脱可能に設けられるとともに、該搬送機構の端部に連結され、該受入部に受け付けられた紙葉類を強制的に収納するテープリール式回収庫と、を有する釣銭機と、
前記釣銭機と通信可能な外部装置と、を備え、
前記外部装置が、少なくとも操作者に関する情報を含む操作ログ情報を記憶する記憶部を有している。
【0015】
本発明による紙葉類処理システムは、
筐体と、紙葉類を受け付ける受入部と、該受入部に連結され、該受入部に受け付けられた紙葉類を搬送する搬送機構と、該搬送機構に設けられ、該搬送機構上を搬送される紙葉類を識別する識別部と、該搬送機構の端部に連結され、該識別部による識別結果に基づいて金種別に紙葉類を収納する金種別収納庫と、該筐体に着脱可能に設けられるとともに、該搬送機構の端部に連結され、該受入部に受け付けられた紙葉類を強制的に収納するテープリール式回収庫と、少なくとも操作者に関する情報を含む操作ログ情報を記憶する記憶部と、を有する釣銭機と、
前記筐体から取り外されたテープリール式回収庫を取り付けることができ、該テープリール式回収庫内に収納された紙葉類を一枚ずつ繰り出す繰出装置と、
を備えている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、強制的に収納された紙葉類がテープリール式回収庫によって収納されるので、紙葉類を順番通りに確実に収納することができる。そして、記憶部が、少なくとも操作者に関する情報を含む操作ログ情報を記憶するので、テープリール式回収庫に収納された紙葉類と操作者との紐付けを確実に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施の形態
以下、本発明に係る釣銭機、釣銭機システムおよび紙葉類処理システムの実施の形態について、図面を参照して説明する。ここで、図1乃至図6は本発明の実施の形態を示す図である。
【0018】
図2に示すように、釣銭機は、筐体1(図1参照)と、紙幣や商品券などの紙葉類を受け付ける入金口20a(図1参照)を有する受入部20と、受入部20に連結され、受入部20に受け付けられた紙葉類を搬送する搬送機構70と、搬送機構70に設けられ、搬送機構70上を搬送される紙葉類を識別する識別部55と、搬送機構70の端部に連結され、識別部55による識別結果に基づいて金種別に紙葉類を収納する金種別収納庫25a,25b,25cと、を備えている。
【0019】
このうち、搬送機構70は、図2に示すように、搬送路71と、搬送路71内の紙葉類に駆動力を付与する搬送駆動部(図示せず)と、を有している。また、搬送路71の所定の箇所には、紙葉類が正常に通過したかを検知するためのセンサSが配置されている。
【0020】
また、図2において、金種別収納庫25a,25b,25cには各々異なる金種の紙幣が集積され、例えば、金種別収納庫25aには1,000円紙幣が集積され、金種別収納庫25bには5,000円紙幣が集積され、金種別収納庫25cには10,000円紙幣が集積されるようになっている。
【0021】
また、図2に示すように、搬送路71の別の端部には、出金時に紙幣が搬送される出金一時保留部30が設けられ、この出金一時保留部30の隣には、出金時に異常があると判断された紙幣が搬送されて集積される出金リジェクト部35が連結されている。なお、出金一時保留部30は、筐体1の外方へと繋がる出金口30aを有している(図1参照)。また、入金時に異常があると判断された紙幣は、出金一時保留部30へ搬送されるよう構成されている。
【0022】
ところで、本願で「異常」とは識別異常や搬送異常のことを意味する。そして、識別異常とは、識別部55によって識別された情報が予め記憶された情報と一致しない場合のことを意味している。このような識別異常としては、例えば、汚損紙幣などで金種を識別することができなかったときなどを挙げることができる。
【0023】
また、搬送異常とは、搬送機構70によって紙葉類を搬送する際の異常を意味している。このような搬送異常としては、例えば、紙葉類が斜めに搬送されている場合(斜行)や、複数の紙葉類が重なって搬送されている場合(重送)や、複数の紙葉類が所定の間隔を隔てないで搬送されている場合(連鎖)などを挙げることができる。
【0024】
なお、本実施の形態において、斜行および連鎖は、搬送路71に設けられたセンサSからの情報に基づいて判断され、重送は、識別部55に設けられた厚みセンサ(図示せず)からの情報に基づいて判断される。
【0025】
また、図2に示すように、搬送路71のさらに別の端部には、金種別収納庫25a,25b,25cに収納された紙幣を回収する際に用いられる回収カセット39が連結されている。
【0026】
また、図2に示すように、筐体1には、搬送路71の端部に連結され、受入部20に受け付けられた紙葉類を強制的に収納するテープリール式回収庫10が着脱可能に設けられている。
【0027】
このテープリール式収納庫10は、図3に示すように、出入口2が設けられたカセット6と、カセット6内に配置された出入口ローラ3a,3bと、カセット6内に配置され、テープTが巻き架けられた第一ローラ4a,4bと、第一ローラ4a,4bに連結された第一ギヤ11a,11bと、第一ギヤ11a,11bに係合された第二ギヤ12と、第二ギヤ12に連結され、テープTが巻き架けられた第二ローラ7と、を有している。また、出入口ローラ3a,3bと第一ローラ4a,4bとの間には、テープTを案内するアイドラ9a,9bが配置されている。
【0028】
また、図3に示すように、第二ローラ7内には第二回転軸8が設けられ、この第二回転軸8には駆動モータ(図示せず)が連結されている。また、第一ローラ4a,4b内には第一回転軸5a,5bが設けられている。なお、本実施の形態では、第二回転軸8が駆動モータによって回転駆動されることによって、第二ギヤ12が回転駆動され、この第二ギヤ12に係合している第一ギヤ11a,11bが回転駆動されることとなり、第一ローラ4a,4bが回転駆動されることとなる。
【0029】
また、図3に示すように、カセット6の出入口2に対向する位置には、カセット6内に紙葉類を繰り入れる搬送路71の端部が位置している。この搬送路71は、対向するローラ15a,15bと、このローラ15a,15bに巻き架けられたベルト71a,71bと、を有している。
【0030】
また、図2および図3に示すように、テープリール式収納庫10には、操作日時および操作者に関する操作ログ情報と、紙葉類の種類(紙幣や商品券など)および金種およびからなる紙葉類に関する情報とを関連させて記憶する記憶部51が設けられている(図6参照)。
【0031】
また、図2に示すように、釣銭機の本体には、テープリール式収納庫10、金種別収納庫25a,25b,25c、識別部55、搬送機構70、センサSなどに接続され、これらテープリール式収納庫10、金種別収納庫25a,25b,25c、識別部55、搬送機構70、センサSなどを制御する制御部50が設けられている。そして、この制御部50は、後述する入力部40からの信号を受けることによって、通常の取引を行う通常取引モードと、強制的に紙葉類を収納する強制収納モードとが切り換えるように構成されている。さらに、この制御部50は、テープリール式収納庫10に設けられた記憶部51に接続され、記憶部51に操作ログ情報と紙葉類に関する情報を記憶させるよう構成されている。なお、強制収納モードのときには、受入部20に受け付けられた紙葉類は、テープリール式回収庫10内に強制的に収納されることとなる。
【0032】
なお、制御部50は、受入部20に受け付けられた紙葉類を、搬送機構70を介してテープリール式収納庫10に繰り入れるよう制御するように構成されている。そして、この制御部50は、テープリール式収納庫10と搬送機構70の搬送路71の駆動を制御して、一の操作者(例えば、Aさん)のもとで強制的に収納された紙葉類P1と他の操作者(例えば、Bさん)のもとで強制的に収納された紙葉類P2との間の間隔G2を、同じ操作者(例えば、Aさん)のもとで強制的に収納された紙葉類P1,P1の間の間隔G1よりも大きくするように構成されている(図5および図6参照)。
【0033】
ところで、強制収納モードは、汚損紙幣を強制的に収納させる汚損紙幣モードと、商品券を強制的に収納させる商品券モードとを有している。そして、強制収納モードの汚損紙幣モードのときには、識別部55は、識別レベルを下げて紙幣を識別するように構成されている。
【0034】
また、図1に示すように、筐体1には、識別レベルを下げても識別できない紙幣を強制的に収納するときや、商品券を収納するときなどに、受入部20に受け付けられた紙葉類に関する情報が入力される入力部40が設けられている。なお、上述のように、この入力部40によって、通常取引モードから強制収納モードへ切り換えることも可能となる。
【0035】
また、図2に示すように、釣銭機にはPOSレジスタ(外部装置)60が接続され、釣銭機の制御部50とPOSレジスタ60とは通信可能となっている。そして、釣銭機は、POSレジスタ60から指示を受けたり、POSレジスタ60へ入金された紙幣に関する情報を提供したりする。なお、このPOSレジスタ60と、上述した釣銭機とによって、釣銭機システムが構成されている。
【0036】
ところで、本実施の形態では、筐体1に、受入部20に受け付けられた紙葉類に関する情報を入力する入力部40が設けられている態様を用いて説明するが、これに限られることなく、例えば、POSレジスタ60の画面61がタッチパネルディスプレイからなり、この画面61が入力部40として機能するようにしてもよい(図2参照)。
【0037】
また、本実施の形態では、図4に示すように、釣銭機とは別に、筐体1から取り外されたテープリール式回収庫10を取り出すことができ、このテープリール式回収庫10内に収納された紙幣や商品券などの紙葉類を一枚ずつ繰り出す繰出装置80が設けられている。なお、この繰出装置80は、テープリール式回収庫10に設けられた記憶部51内の操作ログ情報と紙葉類に関する情報を読み出すことができるように構成されている。
【0038】
また、図4に示すように、繰出装置80は、繰出筐体81と、テープリール式回収庫10を受け入れる受入部83と、繰出筐体81内に配置されて、テープリール式回収庫10から繰り出された紙葉類を搬送する繰出搬送機構85と、繰出搬送機構85によって搬送された紙葉類を繰出筐体81の外方へと放出する放出口86と、記憶部51から読み出された操作ログ情報と紙葉類に関する情報を表示する繰出表示部82と、を有している。なお、この繰出装置80と、上述した釣銭機とによって、紙葉類処理システムが構成されている。
【0039】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について述べる。
【0040】
(入金時)
最初に、通常の取引を行う通常取引モードにおける、入金時の作用効果について説明する。
【0041】
まず、受入部20の入金口20a内に紙幣が挿入されて、受入部20に紙幣が受け付けられる(図1および図2参照)。このように受入部20に受け付けられた紙幣は、搬送駆動部(図示せず)からの駆動力を受けつつ搬送路71内を搬送されて、識別部55に達せられる(図2参照)。
【0042】
次に、識別部55によって、この識別部55での情報が予め記憶された情報と一致するかどうかが判断される(図2参照)。そして、識別部55において、予め記憶された金種などの情報と識別された情報とが一致した場合には、正常であると判断され、他方、予め記憶された情報と識別された情報とが一致しない場合には、識別異常であると判断される。
【0043】
なお、識別部55(または制御部50)は、搬送路71に設けられたセンサSからの情報に基づいて、紙幣が斜行および連鎖を起こしていないかを判断し、識別部55に設けられた厚みセンサ(図示せず)からの情報に基づいて、紙幣が重送していないかを判断する(図2参照)。
【0044】
そして、正常であると判断された紙幣は、金種別収納庫25a,25b,25cに搬送され、各金種別収納庫25a,25b,25cに金種別に集積される(図2参照)。他方、識別異常や搬送異常(斜行、連鎖または重送)などの異常があると判断された紙幣は、出金一時保留部30へ搬送され、出金口30aから出金される(図1および図2参照)。
【0045】
(出金時)
次に、出金時の作用効果について説明する。
【0046】
まず、金種別収納庫25a,25b,25cから紙幣が繰り出される。このように繰り出された紙幣は、搬送駆動部からの駆動力を受けつつ搬送路71内を搬送されて、識別部55に達せられる(図2参照)。
【0047】
次に、識別部55によって、この識別部55での情報が予め記憶された情報と一致するかどうかが判断される(図2参照)。そして、識別部55において、予め記憶された情報と識別された情報とが一致した場合には、正常であると判断され、他方、予め記憶された情報と識別された情報とが一致しない場合には、識別異常であると判断される。
【0048】
そして、正常であると判断された紙幣は、出金一時保留部30に搬送され、この出金一時保留部30の出金口30aから出金される(図1および図2参照)。他方、識別異常や搬送異常(斜行、連鎖または重送)などの異常があると判断された紙幣は、出金リジェクト部35に搬送され、この出金リジェクト部35内に集積される(図2参照)。
【0049】
(汚損紙幣モード)
次に、強制的に紙葉類を収納する強制収納モードの汚損紙幣モードにおける、入金時の作用効果について説明する。
【0050】
まず、操作者によって、入力部40で通常取引モードから強制収納モードの汚損紙幣モードへ切り換える旨の信号が入力され(図1参照)、制御部50によって、通常取引モードから強制収納モードの汚損紙幣モードへ切り換えられる(図2参照)。このとき、制御部50によって、記憶部51に、操作日時および操作者に関する操作ログ情報を記憶される(図6参照)。
【0051】
次に、受入部20の入金口20a内に紙幣が挿入され、受入部20に紙幣が受け付けられる(図1および図2参照)。このように受入部20に受け付けられた紙幣は、搬送駆動部からの駆動力を受けつつ搬送路71内を搬送されて、識別部55に達せられる(図2参照)。
【0052】
次に、識別部55によって紙幣が識別される。このとき、識別部55は、例えば紙幣の大きさのみによって判断するなど、識別レベルを下げて紙幣を識別する。このため、通常取引モードで識別異常と判断された紙幣でも金種を識別することができ、操作者が紙幣の金種を誤って入力したり、実際とは異なる金種を不正に入力したりすることを防止することができる。
【0053】
なお、このように識別レベルを下げても識別されなかった紙幣は出金一時保留部30へリジェクトされる(図2参照)。この場合には、操作者によって、リジェクトされた紙幣が、再度、入金口20aに挿入されるとともに、入力部40を用いて手入力で金種が入力される(図1および図2参照)。この場合には、当該紙幣について、識別部55による識別は行われない。
【0054】
このとき、識別部55によって識別された金種、または、入力部40によって入力された金種に関する情報は、操作日時および操作者に関する操作ログ情報と、関連されて記憶される(図6参照)。
【0055】
次に、識別部55を通過した紙幣は、搬送路71上をテープリール式収納庫10に向かって搬送される(図2参照)。
【0056】
このようにテープリール式収納庫10に向かって搬送された紙幣は、搬送路71の端部に達する(図2および図3参照)。そして、搬送路71の端部に達した紙幣は、上方駆動部のベルト16aと下方駆動部のベルト16bの間で挟持され、テープリール式収納庫10内に繰り入れられる(図3参照)。
【0057】
このとき、制御部50は、テープリール式収納庫10と搬送機構70の搬送路71の駆動を制御して、一の操作者(例えば、Aさん)のもとで強制的に収納された紙葉類P1と他の操作者(例えば、Bさん)のもとで強制的に収納された紙葉類P2との間の間隔G2を、同じ操作者(例えば、Aさん)のもとで強制的に収納された紙葉類P1,P1の間の間隔G1よりも大きくして、紙葉類P1,P2をテープリール式収納庫10内に繰り入れる。
【0058】
このため、後述するように繰出装置80によってテープリール式収納庫10から紙葉類P1,P2を繰り出す際に(図4参照)、テープリール式収納庫10内に繰り入れられた紙葉類P1,P2の順番、金種および種類と、記憶部51に記憶された操作ログ情報および紙葉類に関する情報だけではなく、紙葉類P1,P2の間隔G1,G2も考慮することによって、強制的に収納された紙葉類とレジ係などの操作者との紐付けをより確実に行うことができる。なお、ここで言う紙葉類には、汚損紙幣モードで収納された紙幣と、後述する商品券モードで収納された商品券の両方が含まれる。
【0059】
上述のように搬送路71の端部から繰り入れられた紙幣は、出入口ローラ3a,3bに巻き架けられたテープT間に挟持され、第二ローラ7に向かって取り込まれていく(図3参照)。このとき、駆動モータ(図示せず)によって第二ローラ7が反時計回り方向に回転され、第一ローラ4a,4bが時計回り方向に回転される(図3参照)。
【0060】
(商品券モード)
次に、強制的に紙葉類を収納する強制収納モードの商品券モードにおける、入金時の作用効果について説明する。
【0061】
この強制収納モードの商品券モードにおける作用効果は、上述した強制収納モードの汚損紙幣モードにおける作用効果と略同一である。
【0062】
具体的には、上述のように汚損紙幣では識別部55による識別が行われるのに対して、商品券では識別部55による識別が行われることなく、入力部40を用いて手入力で金種が入力される。この点が両者は異なるが、その他の点では、強制収納モードの商品券モードにおける作用効果は、強制収納モードの汚損紙幣モードにおける作用効果と同一である。
【0063】
上述のように、強制収納モードの汚損紙幣モードおよび商品券モードでテープリール式回収庫10内に収納された紙葉類は、繰出装置80によって繰り出され放出される(図4参照)。具体的には、まず、強制的に収納した紙葉類を含むテープリール式回収庫10が筐体1から取り外される。次に、このテープリール式回収庫10が繰出装置80に取り付けられる。その後、繰出装置80によって、テープリール式回収庫10内に収納された紙幣や商品券などの紙葉類が、一枚ずつ繰り出され放出される。
【0064】
上述のように、本実施の形態によれば、強制的に収納された紙葉類がテープリール式回収庫10によって収納されるので、紙葉類を順番通りに確実に収納することができる(図3参照)。そして、記憶部51によって、操作ログ情報が記憶されるので、テープリール式回収庫10に収納された紙葉類と、操作者との紐付けを確実に行うことができる(図6参照)。
【0065】
すなわち、従来技術では強制的に収納された紙葉類は束状に集積されることから、後から収納された紙葉類が先に収納された紙葉類の下方に周り込んでしまうなど、強制的に収納された紙葉類の順番が入れ代わる可能性があった。このため、例え紙葉類を強制的に収納させた操作者が誰であるかを記憶していたとしても、強制的に収納された紙葉類とレジ係などの操作者との紐付けを確実に行うことができなかった。
【0066】
これに対して、本実施の形態では、テープTの間に紙葉類が挟持されて巻き取られるので、テープリール式回収庫10に収納される紙葉類は、強制的に収納された順番に必ずなっており、紙葉類を順番通りに確実に収納することができる(図3参照)。
【0067】
このため、本実施の形態によれば、テープリール式回収庫10に収納されている紙葉類の順番、金種および種類と、記憶部51に記憶されている操作日時および操作者に関する操作ログ情報とを比較することによって、強制的に収納された紙葉類とレジ係などの操作者との紐付けを確実に行うことができる(図6参照)。
【0068】
なお、本実施の形態では、記憶部51は、操作ログ情報と、金種および種類からなる紙葉類に関する情報とを関連づけて記憶している(図6参照)。このため、テープリール式回収庫10に収納されている紙葉類の順番、金種および種類を確認する際に、金種および種類からなる紙葉類に関する情報を補助的に用いることができ、強制的に収納された紙葉類と操作者との紐付けを、効率よく行うことができる。
【0069】
ところで、本実施の形態では、テープリール式回収庫10に記憶部51が設けられていているので、繰出装置80によって紙葉類を繰り出している際に、この繰出装置80によって記憶部51に記憶されている操作ログ情報と紙葉類に関する情報を読み出して、繰出表示部82に表示させることができる(図4参照)。このため、繰出装置80によって実際に繰り出される紙葉類の順番、金種および種類を、記憶部51から読み出された操作ログ情報および紙葉類に関する情報と比較しつつ確認することができ、さらに効率よく処理することができる。
【0070】
ところで、上記では、記憶部51がテープリール式回収庫10に設けられている態様を用いて説明したが、これに限られることなく、例えば、釣銭機の本体に記憶部51が設けられていてもよく、また、POSレジスタ60が記憶部51を有していてもよい(図2に点線で示した符号“51”参照)。
【0071】
このように、釣銭機の本体に記憶部51が設けられている場合や、POSレジスタ60が記憶部51を有していている場合には、記憶部51に記憶された操作ログ情報と紙葉類に関する情報を、紙媒体に印刷したり、繰出装置80に送信したりすることによって、繰出装置80によって実際に繰り出される紙葉類の順番、金種および種類を、記憶部51から読み出された操作ログ情報および紙葉類に関する情報と比較することとなる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施の形態による釣銭機を示す斜視図。
【図2】本発明の実施の形態による釣銭機システムの構成を示す概略図。
【図3】本発明の実施の形態による釣銭機のテープリール式回収庫の構成を示す概略図。
【図4】本発明の実施の形態による紙葉類処理システムの繰出装置の構成を示す概略図。
【図5】本発明の実施の形態による釣銭機において、一の操作者のもとで強制的に収納された紙葉類と他の操作者のもとで強制的に収納された紙葉類との間隔が、同じ操作者のもとで強制的に収納された紙葉類の間隔よりも大きくなっている態様を示す概略図。
【図6】本発明の実施の形態による釣銭機の記憶部内に記憶されている情報を示した表図。
【符号の説明】
【0073】
1 筐体
10 テープリール式回収庫
20 受入部
25a,25b,25c 金種別収納庫
30 出金一時保留部
35 出金リジェクト部
39 回収カセット
40 入力部
50 制御部
51 記憶部
55 識別部
60 POSレジスタ(外部装置)
70 搬送機構
71 搬送路
80 繰出装置
S センサ
P 紙葉類

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
紙葉類を受け付ける受入部と、
前記受入部に連結され、該受入部に受け付けられた紙葉類を搬送する搬送機構と、
前記搬送機構に設けられ、該搬送機構上を搬送される紙葉類を識別する識別部と、
前記搬送機構の端部に連結され、前記識別部による識別結果に基づいて金種別に紙葉類を収納する金種別収納庫と、
前記筐体に着脱可能に設けられるとともに、前記搬送機構の端部に連結され、前記受入部に受け付けられた紙葉類を強制的に収納するテープリール式回収庫と、
少なくとも操作者に関する情報を含む操作ログ情報を記憶する記憶部と、
を備えたことを特徴とする釣銭機。
【請求項2】
前記記憶部は、操作ログ情報と、強制的に収納された紙葉類に関する情報とを関連させて記憶することを特徴とする請求項1に記載の釣銭機。
【請求項3】
通常の取引を行う通常取引モードと、強制的に紙葉類を収納する強制収納モードとが切換可能となっており、
前記強制収納モードのときには、前記受入部に受け付けられた紙葉類は、前記テープリール式回収庫内に強制的に収納されることを特徴とする請求項1に記載の釣銭機。
【請求項4】
前記強制収納モードは、汚損紙幣を強制的に収納させる汚損紙幣モードと、商品券を強制的に収納させる商品券モードとを有することを特徴とする請求項3に記載の釣銭機。
【請求項5】
前記識別部は、強制収納モードのときに、識別レベルを下げて紙幣を識別することを特徴とする請求項3に記載の釣銭機。
【請求項6】
前記受入部に受け付けられた紙葉類に関する情報が入力可能な入力部をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の釣銭機。
【請求項7】
前記受入部に受け付けられた紙葉類を、前記搬送機構を介して前記テープリール式収納庫に繰り入れるよう制御する制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記テープリール式収納庫と前記搬送機構を制御して、一の操作者のもとで強制的に収納される紙葉類と他の操作者のもとで強制的に収納される紙葉類との間の間隔を、同じ操作者のもとで強制的に収納された紙葉類の間の間隔よりも大きくすることを特徴とする請求項1に記載の釣銭機。
【請求項8】
前記記憶部は、前記テープリール式回収庫に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の釣銭機。
【請求項9】
前記記憶部は、前記釣銭機の本体に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の釣銭機。
【請求項10】
筐体と、紙葉類を受け付ける受入部と、該受入部に連結され、該受入部に受け付けられた紙葉類を搬送する搬送機構と、該搬送機構に設けられ、該搬送機構上を搬送される紙葉類を識別する識別部と、該搬送機構の端部に連結され、該識別部による識別結果に基づいて金種別に紙葉類を収納する金種別収納庫と、該筐体に着脱可能に設けられるとともに、該搬送機構の端部に連結され、該受入部に受け付けられた紙葉類を強制的に収納するテープリール式回収庫と、を有する釣銭機と、
前記釣銭機と通信可能な外部装置と、を備え、
前記外部装置は、少なくとも操作者に関する情報を含む操作ログ情報を記憶する記憶部を有することを特徴とする釣銭機システム。
【請求項11】
筐体と、紙葉類を受け付ける受入部と、該受入部に連結され、該受入部に受け付けられた紙葉類を搬送する搬送機構と、該搬送機構に設けられ、該搬送機構上を搬送される紙葉類を識別する識別部と、該搬送機構の端部に連結され、該識別部による識別結果に基づいて金種別に紙葉類を収納する金種別収納庫と、該筐体に着脱可能に設けられるとともに、該搬送機構の端部に連結され、該受入部に受け付けられた紙葉類を強制的に収納するテープリール式回収庫と、少なくとも操作者に関する情報を含む操作ログ情報を記憶する記憶部と、を有する釣銭機と、
前記筐体から取り外されたテープリール式回収庫を取り付けることができ、該テープリール式回収庫内に収納された紙葉類を一枚ずつ繰り出す繰出装置と、
を備えたことを特徴とする紙葉類処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−33439(P2010−33439A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−196563(P2008−196563)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】