説明

鈍感性固体推進剤組成物

【課題】衝撃及び熱反応に鈍感な固体ロケット推進機関に使用することができる新規な固体推進剤組成物を提供する。
【解決手段】バインダーとして水酸基末端ポリエーテル及び水酸基末端ポリカプロラクトンエーテル中から選ばれる1種以上を5〜10重量%、可塑剤としてN−ブチル−N-(2-ニトレートエチル)ニトラミンを5〜15重量%、主酸化剤としてアンモニウムパークロレートを10〜70重量%、副酸化剤としてアンモニウムニトレートを10〜30重量%及びAl化合物、Zr化合物、B化合物及びFe化合物からなる群から選ばれる1種以上を1〜30重量%含む鈍感性固体推進剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水酸基末端ポリエーテル(Hydroxy-terminated polyether:HTPE)、N-ブチル-N-(2-ニトレイトエチル)ニトラミン(N-butyl-(2-nitratoethyl)nitramine:BuNENA)、アンモニウムパークロレート(ammonium perchlorate:AP)を含む推進剤組成物に関するものであって、衝撃及び熱反応に鈍感な固体ロケット推進機関用の固体推進剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
推進機関は、推進機関のサイズ、ケースおよび推進剤の特性に従って、外部の衝撃及び熱に対して種々な異なる反応現象を表す。推進機関が外部衝撃及び熱に対して何らの反応を表さなければ最も理想的であるが、実際には燃焼(burning)、爆燃(deflagration)、爆発(explosion)や爆轟(detonation)のような反応中の一つを表すようになる。
【0003】
前記のような外部衝撃及び熱に対する反応を低減させるための、固体ロケット推進機関の鈍感化技術に関しては、大きくケースに関連された技術と推進剤組成に関連された技術に区分することができ、この二つの技術を適切に使用することにより、目標とする燃焼反応を表すようにすることができる。
【0004】
弾丸衝撃(bullet impact)または破片衝撃(fragment impact)に鈍感な固体ロケット推進機関を製作するためには、少なくとも推進剤の特性がUN Test series7(c)(ii)の破砕性(friability)テストを通過しなければならないし(通過基準 15MPa/ms以下)、更に米海軍研究所 NOL(Naval Ordnance Laboratory)で開発した大形カード間隔試験(large scale card gap test:LSGT)で1.3等級の付与を受けなければならない。
【0005】
更に、熱的に鈍感な固体ロケット推進機関を製作するためには、推進剤に対し UN Test series 7(f)のEIDSスロークックオフ(Slow cook-off:SCO)試験を実施した場合、金属パイプの破壊状態が、下上の蓋を除いて、破片の数が2個以下である基準を満たさなければならない。
【0006】
既存の固体ロケット推進機関の製作において、80〜90%に殆どを占める程度に産業的に最も広く使用されている推進剤としては、水酸基末端ポリブタジエン(hydroxyl-terminated polybutadiene:HTPB)/AP推進剤がある。APは他の酸化剤または分子火薬に比べて燃焼速度が速く、温度が高いほど燃焼速度が更に速い。更にAPの自然発火温度は250℃以上に、ニトレートエステル可塑化ポリエーテル(Nitrate ester plasticized polyether:NEPE)推進剤に比べて相対的に高く、該温度近くではバインダー及びAPが多孔性になり、燃焼面積が鼠算式に増える。HTPB/AP推進剤の性能の保障を受けるためには、APの含量が高くなければならないし(69〜86%)、バインダーであるHTPBは二重結合から架橋反応が生成され、バインダーの脆性(brittle)が増加すると共に、原料成分が分解または気化しながらバインダーの亀裂を招く。斯かる理由で、HTPB/AP推進剤は本来SCOに不利な推進剤である。
【0007】
このようなHTPB/AP推進剤の鈍感特性は、破砕性及びLSGT特性は良好であるが、SCOでは通過できない。結論的に、HTPB/AP推進剤は弾丸衝撃(Bullet Impact)試験、破片衝撃(Fragment Impact)試験及び早いクックオーフ(Fast Cook-Off)においては全て良好な特性を見せるが、SCO特性が問題となる。
【0008】
一方、固体推進用酸化剤として、APの性能を代替できる鈍感酸化剤は現在としては無いので、APを利用するが満足なSCO特性を表す、HTPB/AP推進剤を代替できるSCO特性が改善された鈍感性推進剤が軍事的及び産業的側面で要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は前記のような従来技術の問題点を解決しようとするものであって、本発明の目的は、衝撃及び熱反応に鈍感な固体ロケット推進機関に使用することができる新規な固体推進剤組成物を提供するものであって、具体的には、LSGT試験結果が1.3等級であり、破砕特性が15MPa/ms以下であり、SCO特性が改善された固体推進剤組成物を提供しようとすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記のような目的を達成するための、本発明に基づいた鈍感性固体推進剤組成物は、バインダーとして水酸基末端ポリエーテル(HTPE)及び水酸基末端ポリカプロラクトンエーテル(Hydroxy-terminated polycaprolactone ether: HTPC)から選ばれる1種以上を5〜10重量%、可塑剤としてN−ブチル−N-(2-ニトレートエチル)ニトラミン(BuNENA)を5〜15重量%、主酸化剤としてのアンモニウムパークロレート(AP)を10〜70重量%、副酸化剤としてアンモニウムニトレート(ammonium nitrate:AN)を1〜30重量%及びAl化合物、Zr化合物、B化合物及びFe化合物から選ばれる1種以上を1〜30重量%含むことを特徴とする。
【0011】
本発明の固体推進剤組成物にバインダーとして使用されるプレポリマー成分であるHTPE及びHTPCは特別に制限されず、任意のHTPE及びHTPCが使用されてよく、前記HTPE及びHTPCは本発明の固体推進剤組成物内で併行使用することができる。
【0012】
HTPCは、現在軍事用にのみ適用されるHTPEに比べて、原料の単価が低廉であり、商用的に各産業分野で使用されているので供給が円滑である。さらに、HTPCはポリマー主鎖がカプロラクトンで構成されているので、向後老化後加水分解処理が可能であり、より環境親和的であるという長所がある。
【0013】
前記バインダーは、本発明の固体推進剤組成物中に5〜10重量%の量で使用されてよく、5重量%未満で使用時、推進剤の高温機械的特性が弱くなり好ましくなく、10重量%超過時、推進剤の粘度が増加して推進機関の製作工程上好ましくない。HTPEとHTPCの併行使用時、HTPCはバインダー全体重量の10〜60重量%の量で使用されることが好ましい。HTPCは全体バインダー中最少10重量%の量で使用されなければ、HTPCの効果(推進剤製造単価節減、老化後加水分解処理可能)を得ることができ、HTPCの使用量が全体バインダー中60重量%を超えれば、HTPEの優秀な特性及び可塑剤との優秀な親和性を期待することができない。
【0014】
前記可塑剤として使用されるBuNENAは、通常使用される他の可塑剤としてニトログリセリン(NG)、ブタントリオールトリニトレート(BTTN)、トリメチオールエタントリニトレート(TMETN)及びジエチレングリコールジニトレート(DEGDN)に比べてエネルギーが低く、相対的に低い温度で分解され得る可塑剤であって、前記バインダーとして使用されるHTPE及びHTPCに対して熱力学的に常用性がある。
【0015】
前記BuNENAは、本発明の固体推進剤組成物中に5〜15重量%の量で使用されてよく、5重量%未満で使用時、推進剤の比推力性能が低下されるので好ましくなく、15%超過時、推進剤の高温機械的特性が弱くなり好ましくない。
【0016】
本発明の固体推進剤組成物は可塑剤として前記BuNENAに追加して、通常の可塑剤であるTMETN及びBTTN中1種以上を更に含むことができる。TMETN及びBTTN中1種以上を更に含む場合、TMETN及び/またはBTTNの総量はBuNENA重量の30%以下であることが好ましい。
【0017】
前記主酸化剤として使用されるAPは特別に制限されず、任意のAPが使用されてよく、APの商業的例として、AP200、AP6(以上、(株)韓化製造)等を使用することができ、本発明の固体推進剤組成物中に10〜70重量%の量で使用され得る。10重量%未満で使用時、推進剤内に酸素が不足して正常燃焼がならないので好ましくなく、70重量%超過時、推進剤が外部衝撃に敏感であるので好ましくない。
【0018】
前記副酸化剤として使用されるANは、相対的に低い分解温度を有する酸化剤であって、ANの商業的例として、AN150、AN50(以上、ドンウオン特殊化学製造)等を挙げることができ、1重量%未満で使用時、効果が微々であり、30重量%超過時、推進剤の性能が低下されるのは勿論、ANの高い吸湿性のため好ましくない。
【0019】
本発明の固体推進剤組成物に金属燃料として使用されるAl化合物、Zr化合物、Fe化合物及びB化合物からなる群から1種以上選ばれる成分は、1重量%未満で使用時、その効果が微々であり、30重量%超過時、却って推進剤の性能減少及び酸化剤の低い含有率のため、推進剤内に酸素が不足であるので好ましくない。
【0020】
本発明の固体推進剤組成物は、通常の固体推進剤組成物で使用し得る追加の添加剤を更に含むことができ、特に硬化剤として、イソポロンジイソシアネート(Isophorone Diisocyanate:IPDI)、多官能性脂肪族イソシアネイト(Polyfunctional aliphatic isocyanate:商業的例としてMobay Chem社製造のDesmodure(登録商標)N-100またはDesmodure(登録商標)N-3200)から選ばれる1種以上の成分、結合剤としてTEPANOL(テトラエチレンペンタミンニトリル(TEPAN)とグリシドルの反応生成物)、安定剤としてN-メチル-p-ニトロアニリン(NMA)または2−ニトロジフエニルアミン(2NDPA)をそれぞれ0.1〜1重量%の量でさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に基づいて、衝撃及び熱反応に鈍感な固体ロケット推進機関用の固体推進剤組成物を提供することが可能であり、主酸化剤としてAPを使用しながらも熱反応においてSCO特性が好ましい推進剤を収得することが可能である。具体的に、本発明によって、LGST試験結果が1.3等級(0カード)、破砕特性が15MPa/ms以下に良好であり、低い温度で反応が起こり、熱反応特性即ち、SCO特性が優秀な鈍感性固体推進剤組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0022】
下記実施例及び比較例を通じて本発明を更に詳しく説明する。
【0023】
実施例及び比較例で適用された衝撃及び熱反応性に対する試験は下記に記載された方法に基づいて実施された。
【0024】
LSGT試験
LSGTは、米海軍研究所NOLで開発した大型カード間隔試験であって、衝撃圧(Shock pressure)の形態で伝達されるエネルギーと推進剤の反応関係を測定する試験である。試片に伝達される衝撃圧は、爆薬である供与体(donor)の爆轟を利用して発生させ、爆薬と試片の間に緩衝材として挿入されるカードの間隔を使用して調節される。
【0025】
前記供与体としては、ペントライト(Pentolite)またはテトリル(Tetrile)が使用され、カード材料としてはワックス(wax)、ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate:PMMA)、セルロースアセテート等が使用される。
【0026】
カード数が70枚以上(厚さ17.78mm以上、衝撃圧31.74Kbar以下)であれば、危険等級が爆轟が起こり得る1.1等級に分類され、鈍感性固体ロケット推進機関の製作のためには、推進剤が少なくとも1.3等級(0カード)の付与を受けなければならない。
【0027】
破砕性試験
破砕性試験は、UN Test series 7(c)の方法に応じ、直径が18mm,重さ9gの円筒型推進剤試片を、厚さ20mmの鋼鉄板に150m/sの速度で衝突させた後、変形された推進剤を捕集し、これを平均直径が0.75mmの黒色火薬0.5gと熱線(hot wire)(M100)で構成された点火バッグを使用して、体積が108ccであり、時間当たり圧力変化を測定できる密閉容器(closed bomb)で燃焼させて実施される。
【0028】
この時、計測された圧力変化資料から、単位時間当たりの圧力上昇率であるdP/dtを計算し、最大値を求める。UN Test series 7(c)による破砕性試験の通過基準は、前記の如き衝突速度150m/sで試験時、試験結果であるdP/dt最大値等の平均値が15MPa/ms以下である。
【0029】
SCO試験
SCO試験は、熱的に鈍感な反応性を測定するための試験で、UN Test series 7(f)のEIDS SCO試験に基づいて実施して、金属パイプの破壊状態が、上下の蓋を除き、破片の数が2個以下であれば通過であり、それを超えれば不適合である。
【0030】
その他の試験
その他の試験として、燃焼速度、圧力指数、引張強度、変形率及び密度を大韓民国国防科学研究所の推進剤分析方法規格(ADP-STD)に基づいて実施し、燃焼速度及び圧力指数はADP-STD-2008に基づいて測定し、引張強度及び変形率はADP-STD-2004に基づいて測定し、密度はADP-STD-2002に基づいて測定した。
【0031】
実施例1
HTPE 6.5重量%、N-3200 0.5重量%、IPDI 0.3重量%、BuNENA 10.8重量%、AP 69.75重量%(AP200 46重量% 及び AP6 23.75重量%)、AN 10重量%(AN150)、ZrC 1.0重量%、Fe2O3 0.25重量%、TEPANOL 0.15重量%、NMA 0.5重量%、及び2NDPA 0.25重量%で構成される固体推進剤組成物を製造した。
【0032】
前記組成物の各種物性試験の結果を下記及び表1に示した:
1,000psia(20℃)で燃焼速度 9.85mm/s、圧力指数 0.5334、引張強度 7.5バー(bar)、変形率 65%、弾性率 20.2バー、密度 1.714g/cc 及び EIDS SCO試験結果 2片。
【0033】
実施例2
HTPE 6.5重量%、N-3200 0.5重量%、IPDI 0.3重量%、BuNENA 10.8重量%、AP 69.75重量%(AP200 46重量%、及びAP6 23.75重量%)、AN 10重量%(AN50)、ZrC 1.0重量%、Fe2O3 0.25重量%、TEPANOL 0.15重量%、NMA 0.5重量%、及び2NDPA 0.25%重量%で構成される固体推進剤組成物を製造した。
【0034】
前記組成物の各種物性試験の結果を下記及び表1に示した:
1,000psia(20℃)で燃焼速度 9.87mm/s、圧力指数 0.5321、引張強度 9.7バー、変形率 59%、弾性率 24バー、密度 1.715g/cc、及びEIDS SCO試験結果 2片。
【0035】
実施例3
HTPE 7.6重量%、N-100 0.7重量%、IPDI 0.4重量%、BuNENA 10.4重量%、AP 68.7重量%(AP200 45重量%、及びAP6 23.7重量%)、AN 10重量%(AN50)、ZrC 1.0重量%、Fe2O3 0.3重量%、TEPANOL 0.15重量%、NMA 0.5重量%、及び2NDPA 0.25%重量%で構成される固体推進剤組成物を製造した。
【0036】
前記組成物の各種物性試験の結果を下記及び表1に示した:
1,000psia(20℃)で燃焼速度 9.92mm/s、圧力指数 0.5342、引張強度 10.3バー、変形率 52%、弾性率 29バー、密度 1.703g/cc、及びEIDS SCO試験結果 2片。
【0037】
実施例4
HTPE 7.5重量%、N-3200 0.9重量%、IPDI 0.3重量%、BuNENA 10.4重量%、AP 68.7重量%(AP200 45重量%、及びAP6 23.7重量%)、AN 10重量%(AN50)、ZrC 1.0重量%、Fe2O3 0.3重量%、TEPANOL 0.15重量%、NMA 0.5重量%、及び2NDPA 0.25%重量%で構成される固体推進剤組成物を製造した。
【0038】
前記組成物の各種物性試験の結果を下記及び表1に示した:
1,000psia(20℃)で燃焼速度 9.89mm/s、圧力指数 0.5340、引張強度 6.9バー、変形率 34%、弾性率 27バー、密度 1.707g/cc、及びEIDS SCO試験結果 2片。
【0039】
実施例5
HTPE 6.5重量%、N-3200 0.5重量%、IPDI 0.3重量%、BuNENA 10.8重量%、AP 59.5重量%(AP200 46重量% 及び AP6 13.5重量%)、AN 20重量%(AN50)、ZrC 1.0重量%、Fe2O3 0.5重量%、TEPANOL 0.15重量%、NMA 0.5重量%、及び2NDPA 0.25重量%で構成される固体推進剤組成物を製造した。
【0040】
前記組成物の各種物性試験の結果を下記及び表1に示した:
1,000psia(20℃)で燃焼速度 9.18mm/s、圧力指数 0.5422、引張強度 6.2バー、変形率 46%、弾性率 18バー、密度 1.693g/cc、及びEIDS SCO試験結果 2片。
【0041】
実施例6
HTPE 7.4重量%、N-3200 0.5重量%、IPDI 0.3重量%、BuNENA 9.9重量%、AP 52.0重量%(AP200 46重量%、及びAP6 13.5重量%)、AN 10重量%(AN50)、Al 19重量%、TEPANOL 0.15重量%、NMA 0.5重量%、及び2NDPA 0.25%重量%で構成される固体推進剤組成物を製造した。
【0042】
前記組成物の各種物性試験の結果を下記及び表1に示した:
1,000psia(20℃)で燃焼速度 8.32mm/s、圧力指数 0.5663、引張強度 7.7バー、変形率 44%、弾性率 29バー、密度 1.789g/cc、及びEIDS SCO試験結果 2片。
【0043】
実施例7
HTPE 6.3重量%、HTPC 0.63重量%、N-3200 0.8重量%、IPDI 0.5重量%、BuNENA 10.87重量%、AP 68.7重量%(AP200 45重量%、及びAP6 23.7重量%)、AN 10重量%(AN50)、ZrC 1.0重量%、Fe2O3 0.3重量%、TEPANOL 0.15重量%、NMA 0.5重量%、及び2NDPA 0.25%重量%で構成される固体推進剤組成物を製造した。前記で、HTPCはHTPE重量の10%で使用した。
【0044】
前記組成物の各種物性試験の結果を下記及び表1に示した:
1,000psia(20℃)で 燃焼速度 9.86mm/s、圧力指数 0.5331、引張強度 6.5バー、変形率 35%、弾性率 29バー、密度 1.707g/cc、及びEIDS SCO試験結果 2片。
【0045】
実施例8
HTPC 6.8重量%、N-3200 0.5重量%、IPDI 0.3重量%、BuNENA 11.5重量%、AP 68.7重量%(AP200 45重量%、及びAP6 23.7重量%)、AN 10重量%(AN50)、ZrC 1.0重量%、Fe2O3 0.3重量%、TEPANOL 0.15重量%、NMA 0.5重量%、及び2NDPA 0.25重量%で構成される固体推進剤組成物を製造した。
【0046】
前記組成物の各種物性試験の結果を下記及び表1に示した:
1,000psia(20℃)で燃焼速度 9.76mm/s、圧力指数 0.5362、引張強度 8.1バー、変形率 38%、弾性率 38バー、密度 1.713g/cc、及びEIDS SCO試験結果 2片。
【0047】
比較例1
HTPB 8.15重量%、IPDI 1.5重量%、ジオクチルアジペート(DOA) 3.0重量%、AP 85.5重量%(AP200 59.5重量%、及びAP6 26重量%)、ZrC 1.5重量%、TEPANOL 0.1重量% 及び AO2246(2,2-メチレン-ビス(4―メチル6-tert-ブチルフエノール;酸化防止剤;American Cyanamid社製) 0.25重量%で構成される固体推進剤組成物を製造した。
【0048】
前記組成物の各種物性試験の結果を下記及び表1に示した:
1,000psia(20℃)で燃焼速度 13.25mm/s、圧力指数 0.4628、引張強度 8.1バー、変形率 38%、弾性率 38バー、密度 1.713g/cc、EIDS SCO試験結果 13片 及び 破砕性 10.51MPa/ms。
【0049】
比較例2
HTPE 7.0重量%、N-3200 0.5重量%、IPDI 0.3重量%、BuNENA 10.8重量%、AP 79.5重量%(AP200 56重量%、AP6 23.5重量%)、ZrC 1.0重量%、Fe2O3 0.5重量%、TEPANOL 0.15重量%、NMA 0.25重量%で構成される固体推進剤組成物を製造した。
【0050】
前記組成物の各種物性試験の結果を下記及び表1に示した:
1,000psia(20℃)で燃焼速度 11.77mm/s、圧力指数 0.4560、引張強度 8.2バー、変形率 55%、弾性率 22.4バー、密度 1.739g/cc、EIDS SCO試験結果 11片、及び破砕性 9.39MPa/ms。
【0051】
比較例3
HTPE 6.5重量%、N-3200 0.5重量%、IPDI 0.3重量%、BuNENA 10.8重量%、AP 79.5重量%(AP200 66重量%、AP6 13.5重量%)、ZrC 1.0重量%、Fe2O3 0.5重量%、TEPANOL 0.15重量%、NMA 0.5重量%、2NDPA 0.25重量%で構成される固体推進剤組成物を製造した。
【0052】
前記組成物の各種物性試験の結果を下記及び表1に示した:
1,000psia(20℃)で燃焼速度 11.54mm/s、圧力指数 0.4430、引張強度 8.0バー、変形率 57%、弾性率 23.4バー、密度 1.738g/cc、EIDS SCO試験結果 7片。
【0053】
【表1】

【0054】
前記表1で分かるように、本発明に基づいた成分及び組成を有する実施例の固体推進剤組成物によって、主酸化剤としてAPを用いるにも拘らず2つ以下のSCO試験結果が満たしている一方、本発明に基づいたバインダー及びAPを用いたが、本発明に基づいた組成比を使用しない比較例の場合、SCO結果が3以上に満たしていないことを分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バインダーとして水酸基末端ポリエーテル及び水酸基末端ポリカプロラクトンエーテル中から選ばれる1種以上を5〜10重量%、可塑剤としてN−ブチル−N-(2-ニトレートエチル)ニトラミンを5〜15重量%、主酸化剤としてアンモニウムパークロレートを10〜70重量%、副酸化剤としてアンモニウムニトレートを10〜30重量%及びAl化合物、Zr化合物、B化合物及びFe化合物からなる群から選ばれる1種以上を1〜30重量%含む鈍感性固体推進剤組成物。
【請求項2】
前記バインダーとして水酸基末端ポリエーテル及び水酸基末端ポリカプロラクトンエーテルを共に使用することを特徴とする請求項1に記載の鈍感性固体推進剤組成物。
【請求項3】
可塑剤としてトリメチルオールエタントリニトレート及びブタントリオールトリニトレートから選ばれる1種以上を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の鈍感性固体推進剤組成物。
【請求項4】
イソポロンジイソシアネート及び多官能性脂肪族イソシアネートから選ばれる1種以上の硬化剤を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の鈍感性固体推進剤組成物。
【請求項5】
N-メチル-p-ニトロアニリンまたは2−ニトロジフエニルアミンを更に含むことを特徴とする請求項1に記載の鈍感性固体推進剤組成物。

【公開番号】特開2012−188340(P2012−188340A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158964(P2011−158964)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(592127297)国防科学研究所 (6)
【氏名又は名称原語表記】Agency for Defense Development
【住所又は居所原語表記】Jochiwongil 462,Yuseong−gu,Daejeon−si,Republic of Korea