説明

鉄筋コンクリート構造物の補強構造及び補強方法

【課題】
本発明は、鉄筋コンクリート構造物の表面に電磁溶着金具で補強材及び合成樹脂板を張設・固定すると共に充填材を注入して、鉄筋コンクリート構造物の表面の補強や防食を実現する鉄筋コンクリート構造物の補強構造及び補強方法の技術を提供する。
【解決手段】
電磁溶着金具15はスペーサ15bと、スペーサ15bの表面に固定された電磁誘導金属板の機能を有する電磁溶着シート15cとで構成し、鉄筋コンクリート構造物13の表面13aに張設された補強材16を介して、スペーサ15b及び電磁溶着シート15cの略中央部(中心孔)を貫通して皿ボルト15aで鉄筋コンクリート構造物13に固定する。電磁溶着機20により合成樹脂板14と電磁溶着金具15の電磁溶着シート15cを接合・溶着し、補強材16と合成樹脂板14で形成された空間19内に充填材18を注入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋コンクリート構造物の表面に補強材を張設し、この補強材を電磁溶着金具で仮固定して鉄筋コンクリート構造物の補強効果や防食機能を実現する鉄筋コンクリート構造物の補強構造及び補強方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種、コンクリート構造物の補強・補修方法の第1の例としては図8(a)、(b)に示すに示す特開2003−49544号公開特許公報に開示した技術がある。これについて説明すれば、補強層1は図8(a)に示してある。すなわち、覆工コンクリート2の表面と型枠3との間に不織布マット4を挟み込むように配置する。図8(a)は、型枠3を繊維補強ボードによる埋め込み型枠とした例であり、この場合型枠3の内面に不織布マット4を接着剤等により貼り付け、アンカー5により型枠3を覆工コンクリート2に固定する。そして、型枠3に設けた注入口6から、覆工コンクリート2と型枠3との間に形成される閉空間にセメント系固化材を注入し、不織布マット4に含浸させて硬化させ、これにより注入硬化層7が形成される。注入するセメント系固化材としては、セメントミルク、セメントモルタル等が使用される。注入されたセメント系固化材は、不織布マット4の多孔状空隙を通ってマット全体に含浸する。セメント系固化材が硬化して形成される注入硬化層7は、内部に繊維がほぼ均一に配置されたものとなる結果、引っ張りに対して高い強度を発現し、高じん性セメント版、あるいは高じん性モルタル版を構成する。ここで型枠3は、不織布マット4と同様の繊維マットに予め上記のようなセメント系固化材を含浸させ、プレスして成形したボードである。したがって、この型枠3を埋め込み型枠とすることにより注入硬化層7と一体化して補強層1を構成し、互いに隣接して配置される型枠3の突き合わせ端部に、前記セメント系固化材の漏洩を防止するためのパッキンを配置する。また、互いに隣接して配置される前記不織布マット4の端部に、各端部間で応力伝達が可能な手段、例えば互いに重なり合う切欠き段部を形成する。
【0003】
次に、コンクリート構造物の補強・補修方法に於ける第2の例としては図9及び図10に示す特許第2954582号特許公報に開示した技術がある。これについて説明すれば、既設部材8、例えばコンクリート構造物である橋脚と、鋼板からなる板材9の対向面のそれぞれに全面四方に適宜の間隔で、適宜の寸法の例えば10cmから50cm間隔で5cm角程度の面ファスナー10を対となる凸側10aと凹側10bとが向い合うようにして接着剤11で接着する。既設部材8と板材9に接着する面ファスナー10は、いずれが凸側10aであっても凹側10bであっても差し支えない。板材9に接着された面ファスナー10の凹側10bにはその表面にも接着剤12を塗布する。接着剤12は凸側10a又は凸凹側両方10a、10bに塗布しても良い。ついで、既設部材8に板材9を対となる面ファスナー10の凸側10aと凹側10bとを向い合わせて既設部材8に板材9を面ファスナー10の凹側10bに塗布した接着剤12を介して取り付ける。
【0004】
さらに、コンクリート構造物に於けるコンクリート表面の補修・補強材に於ける他の例としては特許第3403988号特許公報に開示した技術がある。これについて説明すれば、繊維強化樹脂成形体のような板状の補修・補強材をコンクリート構造物と補修・補強材の間に隙間を確保する形で、アンカーボルト等で仮止めした後、隙間に注入材を注入し、一体化する方法に用いる補修・補強材であって、該補修・補強材が、透光性を有さない高強度繊維および硝子繊維を少なくとも一部に有し、且つ一方向補強基材である補強繊維織物体に、透光性を有する樹脂を含浸して得られる厚さ2〜6mmで、表面に凹凸を付与してなる繊維強化樹脂成形体であり、該成形体の少なくとも一部が透光性を有して注入材の注入状況が視覚で観察できる技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−49544号公開特許公報
【特許文献2】特許第2954582号特許公報
【特許文献3】特許第3403988号特許公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の技術は叙上した構成であるので次の課題が存在した。すなわち、第1の例によれば、コンクリート構造物の補強・補修方法でコンクリート面と型枠間に不織布マットを挟み込みセメント系固化剤を含浸させ硬化させる構造・方法であるが、不織布マットの連続性を確保する構造・方法である。それは切欠き段部の重ね合わせ、U字形あるいは半円形の針刺し、マット端部間の棒状の針の針刺しの構造であり、構造物としての補強構造・方法としては信頼性に欠けるという問題点があった。
また、第2の例によれば、コンクリート構造物の補強・補修方法であって特に板材の設置方法に於いてコンクリートに面ファスナーを接着し、コンクリートと板材の間隙に注入材を注入する方法であるが、コンクリート面に接着した片側一方の面ファスナーと板材に接着した他方一方の面ファスナーとが位置的に合致していないと設置できないため、精密な墨出し作業が求められ作業性が劣るという問題点があった。また若干の位置ずれであっても接着効果が悪く、品質上問題があるうえにその修正は困難を極めるという問題点があった。
さらに、その他の例によれば、コンクリートの補修・補強材の発明であるが、施工場所の入口が狭隘である場合、施工場所に搬入する繊維強化樹脂成形体は長さ、幅の両方から制限を受けるので、多数の細かな板材としての繊維強化樹脂成形体をコンクリート表面に設置しなければならないから設置工数がかかるという問題点があり、補強すべき長さの区間に於いて、補強材としての繊維強化樹脂成形体間は補強構造としての連続性を保つことができないという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る鉄筋コンクリート構造物の補強構造及び補強方法は、鉄筋コンクリート構造物の表面に補強材を張設し、この補強材を電磁溶着金具で固定して鉄筋コンクリート構造物の補強効果や防食機能を実現することを目的として発明したものであって次の構成から成立する。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、鉄筋コンクリート構造物の表面の所定領域に布設した網目状の補強材と、該補強材を鉄筋コンクリート構造物の表面に固定するアンカーボルト、スペーサ及びスペーサの表面に固定された電磁溶着シートで構成された多数個の電磁溶着金具と、電磁溶着機を使用して前記多数個の電磁溶着金具に溶着すると共に該電磁溶着金具の電磁溶着シートの表面に設定しかつ前記鉄筋コンクリート構造物の表面から所定間隔Aを有して固定・配置した合成樹脂板と、前記鉄筋コンクリート構造物の表面から所定間隔Aにより形成された空間に注入された充填材とでなることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1記載の発明に於いて前記補強材は網目を有した連続繊維シートであって、ロール状の形態を有することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1記載の発明に於いて前記合成樹脂板は埋設型枠であって、内側面を凹凸状又は粗面で仕上げてなり、地方共同法人日本下水道事業団制定のシートライニング工法品質規格D種を充足することを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1記載の発明に於いて前記合成樹脂板は透明性を有することを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明によれば、鉄筋コンクリート構造物の表面を表面処理した後にボルト挿入孔を穿孔し合成樹脂板の大きさに応じて該表面に割付けを決定し墨出しする工程と、前記鉄筋コンクリート構造物の表面の所定領域に渉り補強材を布設する工程と、アンカーボルトを前記ボルト挿入孔にねじ込み・打込みかつ嵌合して所望数かつ多数個の当該電磁溶着金具を当該鉄筋コンクリート構造物の表面に配置・固定する工程と、電磁溶着機を使用して電磁溶着金具を配置・固定した部位に於ける前記合成樹脂板を電磁溶着金具の電磁溶着シート(溶着部)を溶着・固定する工程と、前記鉄筋コンクリート構造物の表面と該表面から間隙Aを有して配置・固定された前記合成樹脂板との間に形成された空間に充填材を注入する工程とでなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る鉄筋コンクリート構造物の補強構造及び補強方法は叙上した構成、作用を有するので、次の効果がある。
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、鉄筋コンクリート構造物の表面の所定領域に布設した網目状の補強材と、該補強材を鉄筋コンクリート構造物の表面に固定するアンカーボルト、スペーサ及びスペーサの表面に固定された電磁溶着シートで構成された多数個の電磁溶着金具と、電磁溶着機を使用して前記多数個の電磁溶着金具に溶着すると共に該電磁溶着金具の電磁溶着シートの表面に設定しかつ前記鉄筋コンクリート構造物の表面から所定間隔Aを有して固定・配置した合成樹脂板と、前記鉄筋コンクリート構造物の表面から所定間隔Aにより形成された空間に注入された充填材とでなることを特徴とする鉄筋コンクリート構造物の補強構造を提供する。
このような構成としたので、所定間隔Aを有する空間内には充填剤が充満し一定時間後に該鉄筋コンクリート構造物の表面において該充填材が完全に固化し、前記電磁溶着金具が該表面及び合成樹脂板に完全に配置・固定される。この際、一方に於いて合成樹脂板14の内表面の(内側面)は凹凸状又は粗面に仕上げられており、他方に於いて補強材は網目状に構成されていることから当該充填剤は合成樹脂板の凹凸状又は粗面内に及び補強材の網目内の全域に浸入し、該合成樹脂板は充填材及び補強材により表面に強固に固化され、鉄筋コンクリート構造物の表面部分が補強材に於ける元来の補強効果に加えて更に補強することができ、防食品質の確保ができるという効果がある。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、前記補強材は網目を有した連続繊維シートであって、ロール状の形態を有することを特徴とした請求項1記載の鉄筋コンクリート構造物の補強構造を提供する。
このような構成としたので、請求項1に記載の発明の効果に加えて、ロール状のアラミド繊維材料でなる補強材は、所定量に切断することで入り口の狭隘な地下構造物でも搬入容易であるという効果があり、また、その繊維量を変化させることで補強強度の程度を設定することができるという効果がある。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、前記合成樹脂板は埋設型枠であって、内側面を凹凸状又は粗面で仕上げてなり、地方共同法人日本下水道事業団制定のシートライニング工法品質規格D種を充足することを特徴とする請求項1記載の鉄筋コンクリート構造物の補強構造を提供する。
このような構成としたので、請求項1に記載の発明の効果に加えて、合成樹脂板と鉄筋コンクリート構造物との固着性は0.24MPa以上の圧力値を確保することができると共に、該合成樹脂板は10%の硫酸水溶液に60日間浸漬しても被覆にふくれ、われ、軟化、溶出がない耐酸性能を確保でき、また水酸化カルシウム飽和水溶液に60日間浸漬しても被覆にふくれ、われ、軟化、溶出がない耐アルカリ性能を確保できという効果がある。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、前記合成樹脂板は透明性を有することを特徴とした請求項1記載の鉄筋コンクリート構造物の補強構造を提供する。
このような構成としたので、請求項1に記載の発明の効果に加えて、充填材を注入孔から注入する際、その注入状況が確認することができるという効果がある。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、鉄筋コンクリート構造物の表面を表面処理した後にボルト挿入孔を穿孔し合成樹脂板の大きさに応じて該表面に割付けを決定し墨出しする工程と、前記鉄筋コンクリート構造物の表面の所定領域に渉り補強材を布設する工程と、アンカーボルトを前記ボルト挿入孔にねじ込み・打込みかつ嵌合して所望数かつ多数個の当該電磁溶着金具を当該鉄筋コンクリート構造物の表面に配置・固定する工程と、電磁溶着機を使用して電磁溶着金具を配置・固定した部位に於ける前記合成樹脂板を電磁溶着金具の電磁溶着シート(溶着部)を溶着・固定する工程と、前記鉄筋コンクリート構造物の表面と該表面から間隙Aを有して配置・固定された前記合成樹脂板との間に形成された空間に充填材を注入する工程とでなることを特徴とした鉄筋コンクリート構造物の補強方法を提供する。
このような構成としたので、一方に於いて合成樹脂板の内壁面の(内側面)は凹凸状又は粗面に仕上げられており、他方に於いて補強材は網目状に構成されていることから充填剤は合成樹脂板の凹凸状又は粗面内に及び補強材の網目内の全域に浸入し、該合成樹脂板は充填材及び補強材により表面に強固に固化されるので鉄筋コンクリート構造物の表面部分が補強材の補強効果に加えて更に補強することができ、しかも短工期で鉄筋コンクリート構造物の補強や防食処理を実現できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る鉄筋コンクリート構造物の補強構造及び補強方法の実施の形態を示す図面であって、その垂直断面図である。
【図2】図1の本発明に係る鉄筋コンクリート構造物の補強構造及び補強方法の実施の形態に於いて、電磁溶着機を使用して鉄筋コンクリート構造物の表面に合成樹脂板を配置・固定する状態を示す垂直断面図である。
【図3】本発明に係る鉄筋コンクリート構造物の補強構造及び補強方法の実施の形態に於いて、コンクリート構造物の表面に布設する補強材の外観形状を示す平面図である。
【図4】本発明に係る鉄筋コンクリート構造物の補強構造及び補強方法の実施の形態に於いて、電磁溶着金具の配置・構成を示す平面図である。
【図5】本発明に係る鉄筋コンクリート構造物の補強構造の実施例1を示す図面であって、その垂直断面図である。
【図6】本発明に係る鉄筋コンクリート構造物の補強構造の実施例2を示す図面であって、その垂直断面図である。
【図7】本発明に係る鉄筋コンクリート構造物の補強構造の実施例3を示す図面であって、その要部垂直断面図である。
【図8】従来の技術に於ける鉄筋コンクリート構造物の補強構造の第1の例を示す図面であって、要部垂直断面図である。
【図9】従来の技術に於ける鉄筋コンクリート構造物の補強構造の第2の例を示す図面であって、表面に補強材を設置した状態を示す垂直断面図である。
【図10】従来の技術に於ける鉄筋コンクリート構造物の補強構造の第2の例を示す図面であって、表面に補強材を設置する前の状態を示す垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る鉄筋コンクリート構造物の補強構造及び補強方法についてその実施の形態を図1ないし図4に基づき説明する。
【0021】
13は、三面水路や水路トンネル、地下構造物、下水処理施設又は薬液貯留槽等各種の水利構造物等でなる鉄筋コンクリート構造物である。該鉄筋コンクリート構造物13の表面13a例えば天井面や側壁面等表面にはその水平方向であって、所定位置に高周波誘電加熱により後述する合成樹脂板14に溶着される電磁溶着金具15を固定・配置している。この電磁溶着金具15も、補強材16を介して前記鉄筋コンクリート構造物13の表面13aに固定される。これは補強材16を該電磁溶着金具15により仮固定することである。上述した電磁溶着金具15は鉄筋コンクリート構造物13の表面13aに固定する際、例えば、電磁溶着金具15の中心孔に挿通した例えば皿ボルト15aが該鉄筋コンクリート構造物13に形成したボルト挿入孔13bに埋設されたコンクリートアンカー((図示せず)にねじ込まれて構成する。詳しくは該ボルト挿入孔13bは、前記表面13aに所定位置に於いてドリル等の工具で穿孔し形成する。そしてくさび型等のコンクリートアンカーを該ボルト挿入孔13bの内壁面に打込み・固定する。そして電磁溶着金具15の中心孔に皿ボルト15aを係入してねじ込み固定する。このように構成して鉄筋コンクリート構造物13内を流送する用水や下水等の流れを円滑化し、乱流を防止する。
【0022】
ここで前記電磁溶着金具15はスペーサ15bと、該スペーサ15bの表面に固定された電磁誘導金属板の機能を有する電磁溶着シート15cとで構成されている。該スペーサ15b及び電磁溶着シート(溶着部)15cの略中央には中心孔(図示せず)が貫通されている。そして該電磁溶着金具15は皿ボルト15aにより補強材16を介して鉄筋コンクリート構造物13の表面13aに固定されている。該電磁溶着シート15cはその外被が例えばアイオノマー樹脂材料で成形され中央部分にアルミ材料でなる直径0.2(mm)、間隔1.5(mm)程度に設計されたアルミメッシュ体で形成する。また、例えば電磁溶着シート15cはスペーサ15bに接着剤により一体化・固定されている。そして、該電磁溶着金具15は鉄筋コンクリート構造物13の表面13aに張設された補強材16を介して鉄筋コンクリート構造物13の所定領域に所定間隔毎に多数個かつ一連に配置・固定される。前記スペーサ15bは樹脂、鋼材やゴム等の非金属材料で構成される。図中15dは皿ボルト15aのボルト頭部である。
【0023】
前記補強材16は網目を有した連続繊維シートであって、望ましくはアラミド繊維シートでなり、例えば、図3に全体の外観形状及び構造の一例を示す。そして鉄筋コンクリート構造物13の所定領域や劣化した全領域に布設する。また所定の繊維量の変化によって補強を自由に選択可能とし、かつ運搬可能なロール状でなる連続繊維シートである。具体的には繊維強度が10〜120(t/m)の数値を有した連続繊維シートである。そして、該補強材16は防食機能を有すると共に該鉄筋コンクリート構造物13の表面13aの補強効果も兼備したシートでなる。そして、電磁溶着金具15のアンカーボルト15aを補強材16の網目内又は網目を縫って打込み固定するので該補強材16を毀損することがなく補強効果の減退をまねくことはない。
【0024】
14は、パネルとしての合成樹脂板であって、例えばガラスマット混入不飽和ポリエステル樹脂材料で成形され、電磁溶着可能な板材であれば熱硬化性樹脂板、熱可塑性樹脂板を問わない。合成樹脂板14は熱可塑性樹脂板としては例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、アセテート、セロファン、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂材料であり、熱硬化性樹脂板としては例えばエポキシ、ポリエステル、フェノール樹脂材料であり、前記鉄筋コンクリート構造物13の表面13aから所定間隙Aを有して電磁溶着金具15に配置・固定されている。そして、該合成樹脂板14は所定幅を有してなり、その単一又は複数個を連続して貼合せて全体として一つの合成樹脂板14及びその両側部分に同一の合成樹脂板14A・・・・を順次に継目14aを介して接合して構成されている。つまり、所定間隔Aを有して配置した際、当該合成樹脂板14と同一の合成樹脂板14Aとを接合・配置する。
【0025】
ここで、前記合成樹脂板14はその厚さは約4(mm)程度であり、内側面を凹凸状又は粗面に仕上げている。そして鉄筋コンクリート構造物13に使用するものであって、透明性、非透明性でなり該鉄筋コンクリート構造物13と一体化して防食被覆材としての機能を有する。つまり、鉄筋コンクリート構造物の防食品質を高めることができる。そして、腐食原因・要素となる気相側のHSガスから生成される硫酸や炭酸ガス、下水中、つまり液相側の硫酸塩や炭酸などに対して耐食機能を確保する必要から腐食作用が激しいとされる硫酸に対する耐食品質を具備している。そして地方共同法人日本下水道事業団が制定したシートライニング工法に於ける工法規格D種で明記した。そこで腐食環境に応じて所定品質規格つまり工法規格を満足しなければならないこととなる。例えば下水道施設の鉄筋コンクリート構造物13に使用する合成樹脂板14としてはその性能に於いて、先ず該合成樹脂板14が硫酸に曝されたとき、脆化や溶出などの劣化が無く遮断性が維持できることである。加えて、鉄筋コンクリート構造物13との固着性とアルカリに対する耐久性を確保する観点から常に鉄筋コンクリート構造物13との一体化を維持することが必要である。
【0026】
具体的には合成樹脂板14の外観の要件としては、しわ、むら、はがれ、割れのないことである。また合成樹脂板14が鉄筋コンクリート構造物13に固着した際、その固着性能は0.24MPa以上の圧力値を確保する。また、合成樹脂板14の耐酸性能としては10%の硫酸水溶液に60日間浸漬しても被覆にふくれ、われ、軟化、溶出がないことが要求される。また、その耐アルカリ性能としては水酸化カルシウム飽和水溶液に60日間浸漬しても被覆にふくれ、われ、軟化、溶出がないこと。またその透水性能としては透水量が0.15g以下であることが必要である。ここで、合成樹脂板14に於ける硫黄侵入深さについてはシート部で10%の硫酸水溶液に120日間浸漬した時の侵入深さが設計厚さに対して1%以下であること、目地部で10%の硫酸水溶液に120日間浸漬した時の侵入深さが設計厚さに対して5%以下であること、かつ、100μm以下であることが要求される。
【0027】
前記合成樹脂板14は埋設型枠であって、図4に示すように鉄筋コンクリート構造物13の表面13aに設置したときその形状が矩形で構成され、相互の継目14a間の水平長(横長)Lが例えば2(m)、高さ長(縦長)Hが例えば2.1(m)に設定する。そして水平長(横長)L間に長さL毎に電磁溶着金具15を設置・固定する。ここでLは325(mm)程度である。また高さ長(縦長)H間に幅長L毎に電磁溶着金具15を設置・固定する。ここでLは500(mm)程度である。例えば一つの施工で合成樹脂板の全長は水平長(横長)Lの3倍で構成される。そして該合成樹脂板14,14Aは図2に示す電磁溶着機20の動作により電磁溶着金具15に接合・溶着される。該合成樹脂板14の内側には電磁溶着金具15・・・・が多数個かつ所定数個配置される。17は前記補強材16と前記合成樹脂板14との間に形成された空間19に注入樹脂を注入するための注入孔であり、前記合成樹脂板14の所望位置にそれぞれ穿孔している。そして前記合成樹脂板14を鉄筋コンクリート構造物13の表面13aから所定間隔Aを配して配置・固定した後に前記注入孔17から形成された空間19内に充填材18すなわち、湿潤面接着用エポキシ樹脂注入材を注入し、固化形成する。尚、上記注入孔17に代えて該注入孔17に連なる注入パイプ又は注入パイプのみで構成してもよい。
【0028】
ここで前記合成樹脂板14は、例えばその表面に100(μm)のビニルエステル樹脂でコーティングを施しており卓越した耐酸性を有している。そしてその表面は円滑に仕上げており水の流下能力を向上させる。また、前記合成樹脂板14は外観性状としては淡黄緑色透明シート体でなり、透明性を確保し、前記充填材18を注入孔17から注入する際、その注入状況が確認できる特質を有する。
【0029】
上述した鉄筋コンクリート構造物の補強構造によれば、空間19内には充填剤18が充満し一定時間後に固化され該鉄筋コンクリート構造物13の表面13aには該充填材18を完全に固化する。そして、前記電磁溶着金具15が表面13a及び合成樹脂板14に完全に配置・固定される。この際、一方に於いて合成樹脂板14の内壁面の(内側面)は凹凸状又は粗面に仕上げられており、他方に於いて補強材16は網目状に構成されていることから当該充填剤18は合成樹脂板14の凹凸状又は粗面内に及び補強材16の網目内の全域に浸入し、該合成樹脂板14は充填材18及び補強材16により表面13aに強固に固化され、鉄筋コンクリート構造物13の表面13a部分が補強材16に於ける元来の補強効果に加えて更に補強することができ防食品質の確保ができるという鉄筋コンクリート構造物の補強構造を提供することができた。
【0030】
次に、鉄筋コンクリート構造物の補強構造についてその製作手順、すなわち補強工法(補強方法)を説明する。
先ず、鉄筋コンクリート構造物13の表面13aの表面処理、つまり下地処理を行なう。該下地処理方法としては、例えば超高圧水やディスクサンダーで該鉄筋コンクリート構造物13の表面13aの汚れや脆弱物を除去し、断面修復材で素地を平滑に仕上げる。そして、当該鉄筋コンクリート構造物13の表面13aに前記合成樹脂板14の大きさに応じて割付けを決定し、墨出し作業を行なう。この墨出しは電磁溶着金具15を仮固定するので正確な位置・寸法を設定することは必要なく、作業性・施工性を向上させる。すなわち後述する電磁溶着金具15の配置・固定位置を決定し、該鉄筋コンクリート構造物13の表面13a及び合成樹脂板14に墨出しを行なう。ボルト挿入孔13bは、前記表面13aに前記墨出し作業に従い所定位置に於いてドリル等の工具で穿孔し形成する。そしてくさび型等のコンクリートアンカー(図示せず)を該ボルト挿入孔13bに打込み・固定する。また該合成樹脂板14を所望位置に例えば500(mm)毎の間隔で充填材18を注入する注入孔17・・・を穿孔する。而して、以上のような工程を実施する。
【0031】
ここで、該合成樹脂板14の形状・寸法は一例として図4に示している。すなわち例えば鉄筋コンクリート構造物13が地下構造物としての下水管路である場合、そのコンクリート壁の高さ長Hは約2100(mm)で、全長が水平長(横長)Lの3倍で約2150×3(mm)程度となる。鉄筋コンクリート構造物13の表面13aの所定位置に所望数のボルト挿入孔13bを穿孔する。ここで前記合成樹脂板14は例えば下水管路の地下構造物の内部への入口は狭隘なためその大きさは制限される。次に鉄筋コンクリート構造物13の表面13aの所定領域や劣化部位に渉り、補強材16を布設する。該補強材16は網目を有した連続繊維シートであり、ロール状のアラミド繊維材料で構成し、所定量に切断し入り口の狭隘な地下構造物でも搬入容易となる。そしてその繊維量を変化させることで補強強度程度を設定することが可能となる。
【0032】
次に補強材16を布設することが完了すれば所望数かつ多数個の電磁溶着金具15を当該鉄筋コンクリート構造物13の表面13aに固設する。これは該電磁溶着金具15を仮固定するこことなる。これにより該電磁溶着金具15により補強材16を表面13aに固定・配置する。具体的には前記鉄筋コンクリート構造物13の表面13aに形成したボルト挿入孔13bに打込み・固定したコンクリートアンカー(図示せず)に皿ボルト15aをねじ込み嵌合する。この際、該皿ボルト15aは例えばM6×30の設計仕様であって、前記補強材16の網目に於ける間隙に差込み固定する。これで該電磁溶着金具15のスペーサ15bが該補強材16を押圧・介在させて電磁溶着金具15を鉄筋コンクリート構造物13の表面13aに固定する。ところで前記電磁溶着金具15は図4に示すような配置状態となり一連に所定間隔を置きかつ一連に多数個を鉄筋コンクリート構造物13の表面13aに設置する。以上のような工程を実施する。
【0033】
次に、作業者は図2に示すように電磁溶着機20を使用して電磁溶着金具15を配置した部位に於ける前記合成樹脂板14の表面に当接して該電磁溶着機20を動作させ、前記合成樹脂板14の裏面と電磁溶着金具15の電磁溶着シート(溶着部)15cを溶着・固定する。この際、作業者は一方の手で電磁溶着機20のハンドル20cを把持し、内蔵した高周波溶着手段を作動させてその本体部20bの表面に設置した電磁誘導金属板20aを加熱させると共に合成樹脂板14を加熱・溶着させ、該合成樹脂板14に前記電磁溶着金具15の電磁溶着シート(溶着部)15cを溶着・固定する。以上のような工程を実施する。
【0034】
このようにして上述した電磁溶着金具15・・・・のすべてについて順次電磁溶着金具15によりパネルとしての前記合成樹脂板14が鉄筋コンクリート構造物13の表面13aに間隙Aを有して配置・固定される。次に作業者は前記合成樹脂板14の所望部位に穿孔した注入孔17・・・・から充填剤18を注入する。空間19内には充填剤18が充満し一定時間後に固化され該鉄筋コンクリート構造物13の表面13aには該充填材18を完全に固化する。以上のような工程を実施する。
【0035】
本発明に係る鉄筋コンクリート構造物の補強方法(工法)によれば、一方に於いて合成樹脂板14の内表面の(内側面)は凹凸状又は粗面に仕上げられており、他方に於いて補強材16は網目状に構成されていることから当該充填剤18は合成樹脂板14の凹凸状又は粗面内に及び補強材16の網目内の全域に浸入し、該合成樹脂板14は充填材18及び補強材16により表面13aに強固に固化されるので鉄筋コンクリート構造物13の表面13a部分が補強材16の補強効果に加えて更に補強することができ、しかも短工期で鉄筋コンクリート構造物の補強や防食処理を実現できるという鉄筋コンクリート構造物の補強方法を提供することができた。
【実施例1】
【0036】
次に鉄筋コンクリート構造物の補強構造に係る実施例1を図5に基づき説明する。当該実施例1は上述した実施の形態の項で説明した電磁溶着金具15の変形例である。15Aは電磁溶着金具であり、鉄筋コンクリート構造物13の表面13aに高周波誘電加熱法の原理を利用した当該電磁溶着金具15Aを介して合成樹脂板14が固定・配置される構成例を示してある。当該電磁溶着金具15Aは、一般的の高周波誘電加熱法の原理を利用したもので適度な透磁性を有す電磁誘導金属板15eを熱可塑性樹脂シートに挟み込んだ取付金具である。被融着物の界面に配することにより、通電すると電磁誘導金属板15eが加熱機能を発揮し、両面の樹脂を直ちに溶融して、両面の樹脂が一体化すること及び取付けられる合成樹脂板14、シート材の建造物への保持力を向上するには、電磁誘導金属板15eの単位面積当たりの配置数を増やす、電磁誘導金属板15eの融着面積を増やす、或いは電磁誘導金属板15eに開けた小孔の開口率を増やす方法があり、この開口率を増やす方法として小孔一つ一つの面積を広くすることが簡便的な方法だが、面積が広がると、通電して電磁誘導金属板15eを加温しても小孔の中心部分の樹脂昇温に時間がかかり、中心部の樹脂が溶融するまでに電磁誘導金属板15eの表面の樹脂が過剰な加熱を受け、焦げて劣化する危険があるので、必ず施工する前に試験をして加熱時間を決定しておくことが肝要である。
【0037】
図5に示すように、鉄筋コンクリート構造物13の表面13aから所定間隙Aを有して合成樹脂板14が配置されている。そして、電磁溶着金具15Aの電磁誘導金属板15eの略中心部に形成された固定手段挿入用孔としての貫通孔に挿通する固定手段としての例えば、丸ボルト15fが該鉄筋コンクリート構造物13の表面13aに穿孔したボルト挿入孔13b内にコンクリートアンカー(図示せず)が打込まれ、このコンクリートアンカーに丸ボルト15fをねじ込み固定する。そして該電磁溶着金具15Aの電磁誘導金属板15eが固定される。当該実施例1は図1に示す皿ボルト15aに代えて丸ボルト15fを採用した。電磁溶着金具15Aの電磁誘導金属板15eは、図5に示すように全体形状が略円盤状であって、その周縁部段差面15g及びその略中心部、すなわち前記貫通孔(中心孔)の周辺部に段差面15hを形成している。そして電磁誘導金属板15eの表面に電磁溶着シート15iを固定している。ここで当該電磁溶着金具15Aは電磁誘導金属板15eと、電磁溶着シート15iとで構成される。図中15jは丸ボルト15fのボルト頭である。他の構成や動作等は図1の本発明に於ける実施の形態に示すものと略同一であり、同一番号・符号を付しその説明を省略する。
【実施例2】
【0038】
次に鉄筋コンクリート構造物の補強構造に係る実施例2を図6に基づき説明する。
図6は鉄筋コンクリート構造物13Aの表面13aに所定間隔Aを有して所定枚数の合成樹脂板14、14A・・・を配置・固定した構成を示すもので垂直断面した概要図である。尚、図6は鉄筋コンクリート構造物13Aの表面13aに補強材16を布設するが本実施例2では省略した。13Aは鉄筋コンクリート構造物に於いて地下構造物等の入口が狭隘で成立するほかの例を示す鉄筋コンクリート構造物である。15は鉄筋コンクリート構造物13Aの表面13aに所定数個を配置・固定した電磁溶着金具でありその細部の構成は省略しているが、図1、図5及び後述する図7に示すものと略同一である。当該実施例2の特徴点はパネルとしての前記合成樹脂板14、14Aの接合位置に存在する継目14aの設定位置は図6に示すように前記電磁溶着金具15の略中央位置である。このように構成したので電磁溶着機20を使用して前記合成樹脂板14、14Aを溶着する際、該電磁溶着金具15の表面に該合成樹脂板14、14Aを溶着すること及びそれと同時に合成樹脂板14、14Aの相互間を溶着でき、かつ継目14aも接合できるという作用があり、作業性が向上する。そして、該鉄筋コンクリート構造物13AのL字壁の隅部13cと合成樹脂板14の端面14b間に略L字状注入パイプ21を配置し、この略L字状注入パイプ21から充填材18を空間19に向かって注入する。一方に於いて合成樹脂板14、14Aの所定部位に所定数の注入兼空気抜きパイプ22を配置・固定し、この注入兼空気抜きパイプ22から外部へ空間19内の空気抜きを行いまた、充填材18を空間19に向かって注入することもできる。他の構成や動作等は図1の本発明に於ける実施の形態に示すものと略同一であり、同一番号・符号を付しその説明を省略する。
【実施例3】
【0039】
次に鉄筋コンクリート構造物の補強構造に係る実施例3について図7に基づき説明する。
15Bは電磁溶着金具の他の例を示すものであって、特にボルト挿入孔13bにコンクリートアンカーを打込み・固定することなく図1に示す皿ボルト15aに代えて直接にアンカーボルト15kをボルト挿入孔13bに打込み・固定する方式である。該アンカーボルト15kの外周部には雄ねじが存在せず、当該電磁溶着金具15Bを鉄筋コンクリート構造物13に固定する際に作業者はハンマー等で該アンカーボルト15kを予め設定してあるボルト挿入孔13bに向かって叩き込み、該電磁溶着金具15Bを鉄筋コンクリート構造物13の表面13aに配置・固定する。尚、図7は鉄筋コンクリート構造物13の表面13aに補強材16を布設するが本実施例3では省略した。このような構成としたので作業者は簡易・迅速に電磁溶着金具15Bを鉄筋コンクリート構造物13の表面13aに固定することができ鉄筋コンクリート構造物13の補強・補修工期を大幅に短縮することができる。15dはアンカーボルト15kのボルト頭部である。他の構成や動作等は図1の本発明の実施の形態に示すものと略同一であり、同一番号・符号を付してその説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明に係る鉄筋コンクリート構造物の補強構造及び補強方法は、三面水路や水路トンネル、地下構造物、下水処理施設又は薬液貯留槽等各種の水利構造物等でなる鉄筋コンクリート構造物の表面に適用する。
【符号の説明】
【0041】
13 鉄筋コンクリート構造物
13A 鉄筋コンクリート構造物
13a 鉄筋コンクリート構造物の表面
13b ボルト挿入孔
13c L字壁の隅部
14 合成樹脂板
14A 合成樹脂板
14a 継目
14b 端面
15 電磁溶着金具
15A 電磁溶着金具
15B 電磁溶着金具
15a 皿ボルト
15b スペーサ
15c 電磁溶着シート
15d ボルト頭部
15e 電磁誘導金属板
15f 丸ボルト
15g 周縁部段差面
15h 段差面
15i 電磁溶着シート
15j ボルト頭
15k アンカーボルト
16 補強材
17 注入孔
18 充填材
19 空間
20 電磁溶着機
20b 本体部
20c ハンドル
21 略L字状注入パイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄筋コンクリート構造物の表面の所定領域に布設した網目状の補強材と、該補強材を鉄筋コンクリート構造物の表面に固定するアンカーボルト、スペーサ及びスペーサの表面に固定された電磁溶着シートで構成された多数個の電磁溶着金具と、電磁溶着機を使用して前記多数個の電磁溶着金具に溶着すると共に該電磁溶着金具の電磁溶着シートの表面に設定しかつ前記鉄筋コンクリート構造物の表面から所定間隔Aを有して固定・配置した合成樹脂板と、前記鉄筋コンクリート構造物の表面から所定間隔Aにより形成された空間に注入された充填材とでなることを特徴とする鉄筋コンクリート構造物の補強構造。
【請求項2】
前記補強材は網目を有した連続繊維シートであって、ロール状の形態を有することを特徴とした請求項1記載の鉄筋コンクリート構造物の補強構造。
【請求項3】
前記合成樹脂板は埋設型枠であって、内側面を凹凸状又は粗面で仕上げてなり、地方共同法人日本下水道事業団制定のシートライニング工法品質規格D種を充足することを特徴とする請求項1記載の鉄筋コンクリート構造物の補強構造。
【請求項4】
前記合成樹脂板は透明性を有することを特徴とした請求項1記載の鉄筋コンクリート構造物の補強構造。
【請求項5】
鉄筋コンクリート構造物の表面を表面処理した後にボルト挿入孔を穿孔し合成樹脂板の大きさに応じて該表面に割付けを決定し墨出しする工程と、前記鉄筋コンクリート構造物の表面の所定領域に渉り補強材を布設する工程と、アンカーボルトを前記ボルト挿入孔にねじ込み・打込みかつ嵌合して所望数かつ多数個の当該電磁溶着金具を当該鉄筋コンクリート構造物の表面に配置・固定する工程と、電磁溶着機を使用して電磁溶着金具を配置・固定した部位に於ける前記合成樹脂板を電磁溶着金具の電磁溶着シート(溶着部)を溶着・固定する工程と、前記鉄筋コンクリート構造物の表面と該表面から間隙Aを有して配置・固定された前記合成樹脂板との間に形成された空間に充填材を注入する工程とでなることを特徴とした鉄筋コンクリート構造物の補強方法。






















【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−179249(P2011−179249A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−45120(P2010−45120)
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【出願人】(000107044)ショーボンド建設株式会社 (71)
【Fターム(参考)】