鉄筋切断装置
【課題】 長尺の鉄筋を比較的長い鉄筋片に切断できるのはもちろんのこと、従来では不可能とされていた短い鉄筋片にも確実に切断できる汎用性の高い鉄筋切断装置の提供。
【解決手段】 鉄筋Bを長手方向に沿って送り出す送出経路1と、送出経路1上にある鉄筋Bを切断する切断刃3を備えた切断装置4と、切断刃3より送出経路1の後方側で鉄筋Bを送出経路1上に押し付けて保持する押え部材5を備えている鉄筋切断装置で、送出経路1上にある鉄筋Bの後端に当接して切断刃3側へ送り出す送出部材14が設けられ、送出部材14を駆動する送出駆動機構が、鉄筋Bの設定切断長さに対応する設定距離ずつ、送出部材14を送出経路1に沿って切断刃3側へ移動させる。
【解決手段】 鉄筋Bを長手方向に沿って送り出す送出経路1と、送出経路1上にある鉄筋Bを切断する切断刃3を備えた切断装置4と、切断刃3より送出経路1の後方側で鉄筋Bを送出経路1上に押し付けて保持する押え部材5を備えている鉄筋切断装置で、送出経路1上にある鉄筋Bの後端に当接して切断刃3側へ送り出す送出部材14が設けられ、送出部材14を駆動する送出駆動機構が、鉄筋Bの設定切断長さに対応する設定距離ずつ、送出部材14を送出経路1に沿って切断刃3側へ移動させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋を長手方向に沿って送り出す送出経路と、その送出経路上にある鉄筋を切断する切断刃を備えた切断装置と、その切断刃より前記送出経路の後方側で前記鉄筋を送出経路上に押し付けて保持する押え部材を備えている鉄筋切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような鉄筋切断装置は、送出経路上にある長尺の鉄筋を切断刃側へ送り出しながら切断刃で切断し、長尺の鉄筋を所望する長さの鉄筋片に順次切断するために使用される。
ところで、従来の装置では、鉄筋の切断長さを設定するため、切断刃より送出経路の前方側に送出経路に沿って位置変更固定自在なストッパを設け、そのストッパに鉄筋の先端を当接させて切断することにより、切断する鉄筋片の長さを所望の長さに設定するように構成されていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特許公報第2824409号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、鉄筋を切断するための切断刃は、それ自体単独で存在するものではなく、切断刃の駆動機構を含む各種の構成部品が周囲に存在するため、それら駆動機構などを含む切断装置全体の中央近くに位置する構成となっている。
そのため、従来の装置では、切断刃の前方側に設けられたストッパは、切断装置の前端面近くにまでしか移動することができず、言い換えると、切断刃の駆動機構などが邪魔になって切断刃の近くにまで移動することができず、したがって、切断する鉄筋片の長さに自ずと限界があり、あまり短い鉄筋片に切断することは不可能であった。
【0005】
本発明は、このような従来装置の欠点に着目したもので、その目的は、長尺の鉄筋を比較的長い鉄筋片に切断できるのはもちろんのこと、従来では不可能とされていた短い鉄筋片にも確実に切断できる汎用性の高い鉄筋切断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の特徴構成は、鉄筋を長手方向に沿って送り出す送出経路と、その送出経路上にある鉄筋を切断する切断刃を備えた切断装置と、その切断刃より前記送出経路の後方側で前記鉄筋を送出経路上に押し付けて保持する押え部材を備えている鉄筋切断装置であって、前記送出経路上にある鉄筋の後端に当接して前記切断刃側へ送り出す送出部材が設けられ、その送出部材を駆動する送出駆動機構が、鉄筋の設定切断長さに対応する設定距離ずつ、前記送出部材を送出経路に沿って前記切断刃側へ移動させるように構成されているところにある。
【0007】
本発明の第1の特徴構成によれば、送出経路上にある鉄筋の後端に当接して切断刃側へ送り出す送出部材が設けられ、その送出部材を駆動する送出駆動機構が、鉄筋の設定切断長さに対応する設定距離ずつ、送出部材を送出経路に沿って切断刃側へ移動させるように構成されているので、その送出部材を切断刃近くにまで移動させる必要はなく、送出部材の移動量を変更することによって、鉄筋の切断長さを自由に設定することができる。
したがって、従来の装置と同様に、比較的長い鉄筋片に切断できるのはもちろんのこと、従来不可能とされていた短い鉄筋片にも確実に切断することができ、非常に汎用性の高い鉄筋切断装置を提供することができる。
【0008】
本発明の第2の特徴構成は、前記切断刃による切断後の鉄筋片を前記送出経路と異なる方向へ排出する排出部材が、前記切断装置より前記送出経路の前方側に設けられ、その排出部材の前記切断刃側の端部が、前記切断装置内に入り込んで前記切断刃の近傍にまで延出されているところにある。
【0009】
本発明の第2の特徴構成によれば、切断刃による切断後の鉄筋片を送出経路と異なる方向へ排出する排出部材が、切断装置より送出経路の前方側に設けられているので、長尺の鉄筋を鉄筋片に切断するだけでなく、切断後の鉄筋片を排出部材により排出することによって鉄筋片の回収も容易となる。
そして、その排出部材の切断刃側の端部が、切断装置内に入り込んで切断刃の近傍にまで延出されているので、上述したように、従来不可能とされていた短い鉄筋片に切断した場合においても、短い鉄筋片を切断装置外へ排出して容易に回収することができる。
【0010】
本発明の第3の特徴構成は、前記送出経路が複数の送出ローラにより形成されて、それら複数の送出ローラを駆動するローラ駆動機構が設けられているところにある。
【0011】
本発明の第3の特徴構成によれば、送出経路が複数の送出ローラにより形成されて、それら複数の送出ローラを駆動するローラ駆動機構が設けられているので、送出ローラの回転に伴って鉄筋を円滑に送り出すことができる。
【0012】
本発明の第4の特徴構成は、前記鉄筋切断装置の作動を制御する制御装置が、前記送出経路上にある鉄筋の長さに応じて、その鉄筋の長さが所定の長さ以上の場合、前記送出ローラを正回転させて鉄筋を送り出しながら、その送出ローラの送り出し速度よりも早い速度で前記送出部材により鉄筋を送り出し、前記所定の長さ未満の場合、前記送出ローラを逆回転させながら前記送出部材により鉄筋を送り出すように制御するところにある。
【0013】
本発明の第4の特徴構成によれば、鉄筋切断装置の作動を制御する制御装置が、送出経路上にある鉄筋の長さに応じて、その鉄筋の長さが所定の長さ以上の場合、つまり、鉄筋が比較的重たい状態では、送出ローラを正回転させて鉄筋を送り出しながら、その送出ローラの送り出し速度よりも早い速度で送出部材により鉄筋を送り出すように制御するので、鉄筋の後端は送出部材に確実に当接することになり、鉄筋は所望どおりの設定切断長さに切断される。
しかし、鉄筋が所定の長さ未満になって軽くなると、慣性力の影響などによって、鉄筋の後端が送出部材に先行する可能性があるが、その場合には、送出ローラを逆回転させながら送出部材により鉄筋を送り出すように制御するので、たとえ鉄筋が短くなって軽くなっても、鉄筋の後端は送出部材に確実に接当し、その結果、鉄筋の切断始めから切断終わりに至るまで、鉄筋を所望どおりの設定切断長さに切断することが可能となる。
【0014】
本発明の第5の特徴構成は、前記制御装置が、鉄筋の切断時において、前記押え部材により鉄筋を保持し、かつ、前記送出部材を鉄筋の後端から前記送出経路の送出方向と逆方向へ後退させた後、前記切断刃により切断するように制御するところにある。
【0015】
本発明の第5の特徴構成によれば、鉄筋切断装置を制御する制御装置が、鉄筋の切断時において、切断刃より送出経路の後方側で鉄筋を送出経路上に押し付けて保持する押え部材により鉄筋を保持するように制御するので、切断時における鉄筋の跳ね上がりが防止されて、鉄筋は切断刃により確実に切断される。
しかし、鉄筋が長い場合には、たとえ押え部材により保持していても、鉄筋の後端が跳ね上がって送出部材の上方に乗り上げる可能性がある。送出部材上に乗り上げると、その後の鉄筋の送り出しに支障をきたすが、鉄筋の切断時において、送出部材を鉄筋の後端から送出経路の送出方向と逆方向へ後退させた後、切断刃により切断するように制御するので、その後の鉄筋の送り出しに支障をきたすこともなく、鉄筋を所望どおりに送り出すことができる。
【0016】
本発明の第6の特徴構成は、前記鉄筋切断装置の作動を制御する制御装置が、前記送出経路上にある鉄筋の長さに応じて、その鉄筋の長さが所定の長さ以上の場合、前記送出部材により鉄筋を高速で送り出し、前記所定の長さ未満の場合、前記送出部材により鉄筋を低速で送り出すように制御するところにある。
【0017】
本発明の第6の特徴構成によれば、鉄筋切断装置の作動を制御する制御装置が、送出経路上にある鉄筋の長さに応じて、その鉄筋の長さが所定の長さ以上の場合、つまり、鉄筋が比較的重たい状態では、送出部材により鉄筋を高速で送り出すように制御するので、鉄筋切断の高能率化を図ることができる。
しかし、鉄筋が所定の長さ未満になって軽くなると、慣性力の影響などによって、鉄筋の後端が送出部材に先行する可能性があるが、その場合には、送出部材により鉄筋を低速で送り出すように制御するので、たとえ鉄筋が短くなって軽くなっても、鉄筋の後端は送出部材に確実に接当し、その結果、鉄筋切断の高能率化を図りながら、鉄筋を所望どおりの設定切断長さに確実に切断することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明による鉄筋切断装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。
この鉄筋切断装置は、図1〜図3に示すように、鉄筋Bを長手方向に沿って送り出す送出経路1を上面に備えた装置本体2、送出経路1の中間に位置して送出経路1の上にある鉄筋Bを切断する切断刃3を備えた切断装置4、切断刃3より送出経路1の後方側と前方側で鉄筋Bを送出経路1上に押し付けて保持する後方押え部材5と前方押え部材6、切断装置4より送出経路1の前方側で切断刃3による切断後の鉄筋片Ba,Bb(例えば、図8参照)を送出経路1の側方へ排出する排出部材7などを備え、切断刃3は、上方に位置する可動刃3aと下方に位置する固定刃3bにより構成されている。
なお、本明細書では、鉄筋Bを送出経路1に沿って送り出す際の鉄筋Bの送出後端側、つまり、図1や図2において右側を「後方側」と称し、鉄筋Bの送出先端側、つまり、図1や図2において左側を「前方側」と称する。
【0019】
鉄筋Bを送り出すための送出経路1は、切断装置4を中心として後方側と前方側に分けられていて、その両送出経路1のいずれもが、図6や図9にも示すように、装置本体2の上面近くに回転自在に保持された多数の送出ローラ8により形成され、各送出ローラ8に取り付けられたスプロケット8aには送出経路用チェン9が巻き掛けられて、そのチェン9を介して各送出ローラ8が電動モータ10により回転駆動されるように構成され、電動モータ10、チェン9、スプロケット8aなどにより、多数の送出ローラ9を駆動するローラ駆動機構11が構成されている。
このような送出経路1を備えた装置本体2には、切断装置4より後方側に位置して送出経路1上に鉄筋Bを供給する鉄筋供給装置12が、また、切断装置4より前方側に位置して切断後の鉄筋片Ba,Bbを回収する鉄筋回収装置13が配置され、鉄筋切断装置全体の作動を制御する制御装置Cも設けられている。
【0020】
切断装置4より後方側の送出経路1上には、図3〜図6に示すように、送出経路1上にある鉄筋Bの後端に当接して鉄筋Bを切断刃3側へ送り出す送出部材14が、その送出経路1に沿って往復移動自在に配置されている。
すなわち、送出部材14は、平面視においてほぼT字状に形成され、送出部材14の後方側に取り付けられた可動部材15には、多数の遊転ローラ15aが取り付けられていて、その多数の遊転ローラ15aが、装置本体2の上面に送出経路1と平行に配置されたレール16に当接されている。そして、その可動部材15には、送出部材用チェン17が取り付けられ、そのチェン17が装置本体2に取り付けられたスプロケット18間に巻き掛けられ、送出駆動機構としての電動モータ19によって、送出部材14がレール16に沿って往復移動されるように構成されている。
【0021】
後方押え部材5は、図7に示すように、切断装置4のケーシング後方側に上下昇降自在に取り付けられ、その切断装置4のケーシングと後方押え部材5との間に介在されたエアシリンダ20によって上下昇降されるように構成されている。
その後方押え部材5の上方には、後方押え部材5の上昇位置を規制するストッパ21が配置されて、切断装置4のケーシング側に取り換え自在に設けられている。つまり、ストッパ21は、後方押え部材5の上端部が当接することによって、後方押え部材5の上昇位置を規制するためのもので、上下方向幅の異なる多数のストッパ21が予め準備されていて、切断対象となる鉄筋Bの太さに応じて適宜取り換えることにより、後方押え部材5の下端面と送出経路1を形成する送出ローラ8の上端面との間の間隔を鉄筋Bの太さに最適な間隔に調整できるように構成されている。
なお、前方押え部材6は、切断装置4のケーシング前方側に取り付けられている点で後方押え部材5とは異なるが、具体的な構成については後方押え部材5とほぼ同じなので、詳細な説明は省略する。
【0022】
切断後の鉄筋片Ba,Bbを排出するための排出部材7は、図8および図9に示すように、送出経路1に沿って延びる板状体により構成され、特に、その後方側の端部7a、換言すると、切断刃3側の端部7aは、切断装置4内に入り込んで切断刃3の近傍にまで延出され、かつ、上方に位置する可動刃3aとの干渉を避けるため、その切断刃3側の端部7aには切欠き7bが設けられている。
この排出部材7は、装置本体2との間に介在されたエアシリンダ22により送出経路1と直交する方向へ往復移動して、切断後の鉄筋片Ba,Bbを後述する鉄筋回収装置13側へ排出するように構成されるとともに、切断刃3による鉄筋Bの切断時に、切断後の鉄筋片Ba,Bbが飛散するのを防止するためのカバー部材23が、送出経路1を挟んで排出部材7の反対側に位置されて、そのカバー部材23が連結部材23aを介して排出部材7に連結されている。
【0023】
鉄筋Bを送出経路1上に供給するための鉄筋供給装置12は、装置本体2の後方側に配置された鉄筋供給枠体24を備え、その鉄筋供給枠体24には、図10に示すように、複数の第1供給具25が、送出経路1上へ突出する作用姿勢と側方へ退出する非作用姿勢との間で往復移動自在に設けられている。さらに、装置本体2には、複数の第2供給具27が、送出経路1の下方に位置して、送出経路1上へ突出する作用姿勢と下方へ退出する非作用姿勢との間で往復移動自在に設けられ、両供給具25,27によって鉄筋供給装置12が構成されている。
第1供給具25と第2の供給具27は、互いに干渉するのを避けるため、送出経路1に沿う方向に位置を異ならせて配置され、第1供給具25は第1エアシリンダ26により、第2供給具27は第2エアシリンダ28によりそれぞれ往復移動されるように構成されている。
【0024】
切断後の鉄筋片Ba,Bbを回収する鉄筋回収装置13は、図11に示すように、装置本体2の前方側に配置された鉄筋回収枠体29を備え、その鉄筋回収枠体29は、側面視において、送出経路1から床面へ傾斜する傾斜上面29aを備えたほぼ三角形状を有している。
その傾斜上面29aの上方部分には、下方を回動中心として回動する案内板30が取り付けられ、エアシリンダ31により案内板30が下方へ回動されて、後に詳しく説明するように、廃材となる廃材鉄筋片Bbを下方の廃材回収容器33へ回収する廃材回収姿勢と、上方へ回動されて、製品となる製品鉄筋片Baを下方の製品回収容器32へ回収する製品回収姿勢とに切り換えられるように構成され、これら案内板30、エアシリンダ31、両容器32,33などにより鉄筋回収装置13が構成されている。
【0025】
つぎに、この鉄筋切断装置の作動について説明する。
鉄筋切断装置全体の作動は制御装置Cにより制御され、まず、鉄筋供給装置12を構成する複数の第1供給具25が、図10の(イ)および(ロ)に示すように、各第1エアシリンダ26の作動に伴って、その上に複数本の鉄筋Bを載置した状態で送出経路1上へ突出する作用姿勢となり、同時に、複数の第2供給具27が、各第2エアシリンダ28の作動に伴って、送出経路1上へ突出する作用姿勢となって第1供給具26上の複数本の鉄筋Bを受け取る。
その後、第1供給具25が側方へ退出するとともに、第2供給具27が送出経路1の下方へ退出して、図10の(ハ)に示すように、複数本の鉄筋Bを送出経路1上、つまり、送出ローラ8上へ供給する。
【0026】
すると、電動モータ19の正回転に伴って、送出部材14が、図12の(イ)に示すように、送出部材用チェン17や可動部材15を介して前方側へ移動されて複数本の鉄筋Bの後端に当接し、その後、ローラ駆動機構11の作動に伴って送出ローラ8も正回転され、複数本の鉄筋Bは、送出部材14と送出ローラ8により前方側へ送り出される。
その際、送出部材14は高速で移動され、各送出ローラ8も高速で回転されて鉄筋Bを送り出すのであるが、送出部材14による送り出し速度の方が、送出ローラ8による送り出し速度よりも早い速度で鉄筋Bを送り出し、それによって、複数本の鉄筋Bは、その後端が送出部材14に確実に当接された状態で送り出される。
【0027】
鉄筋Bの1回目の切断は、複数本の鉄筋Bにおける長さの不揃いを整えるための切断で、予め設定された距離だけ送り出されると、送出部材14の移動と送出ローラ8の回転が停止され、図12の(ロ)に示すように、後方押え部材5が下降して鉄筋Bを送出経路1上へ押し付けて保持するとともに、電動モータ19の逆回転に伴って、送出部材14が鉄筋Bの後端から離れて後方側へ移動される。そして、その状態で可動刃3aが下降し、図12の(ハ)に示すように、可動刃3aと固定刃3bにより、各鉄筋Bの先端近くを切断して、送出経路1上にある鉄筋Bの長さを揃える。
切断された鉄筋片Bbは、いわゆる廃材鉄筋片Bbとなるもので、エアシリンダ22の作動に伴って排出部材7により鉄筋回収装置13側へ排出される。その場合には、図11において実線で示すように、エアシリンダ31により案内板30が下方へ回動されており、廃材鉄筋片Bbは案内板30に案内されて下方の廃材回収容器33へ回収される。
【0028】
2回目以後の切断が、いわゆる製品鉄筋片Baを切断するためのもので、まず、図13の(イ)に示すように、送出部材14が前方側へ移動されて鉄筋Bの後端に当接し、その後、1回目の切断と同様に、送出部材14が高速で移動され、各送出ローラ8も高速で回転されるとともに、送出部材14による送り出し速度の方が、送出ローラ8による送り出し速度よりも早い速度で鉄筋Bを送り出す。
そのときの鉄筋Bの送り出し量、つまり、鉄筋Bの切断長さは、制御装置Cにより自由に設定することができ、複数本の鉄筋Bは、図13の(ロ)に示すように、制御装置Cによる制御に基づいて鉄筋Bの設定切断長さLに対応する設定距離Lずつ、送出部材14を送出経路1に沿って切断刃3側へ移動させて鉄筋Bを送り出す。
【0029】
その後は1回目の切断と同様で、鉄筋Bの送り出しが停止された後、鉄筋Bの設定切断長さLが短い場合には、後方押え部材5のみが下降し、設定切断長さLが長い場合には、後方押え部材5と前方押え部材6が下降して鉄筋Bを保持するとともに、送出部材14が鉄筋Bの後端から離れて後方側へ移動される。
その状態で可動刃3aが下降し、図13の(ハ)に示すように、各鉄筋Bが設定切断長さLで切断され、切断された鉄筋片Baは、排出部材7により鉄筋回収装置13側へ排出される。2回目以後に切断された鉄筋片Baは、いわゆる製品鉄筋片Baであるため、その場合には、図11において仮想線で示すように、エアシリンダ31により案内板30が上方へ回動されており、製品鉄筋片Baは下方の製品回収容器32へ回収される。
【0030】
このようにして、鉄筋Bを設定切断長さLに順次切断して行き、送出経路1上にある残りの鉄筋Bの長さが第1所定長さ未満になると、送出部材14は今までより低速で移動され、各送出ローラ8も今までより低速で回転されて鉄筋Bを送り出す。その場合にも、送出部材14による送り出し速度の方が、送出ローラ8による送り出し速度よりも早い速度で鉄筋Bを送り出し、鉄筋Bの後端が送出部材14に確実に当接されるようにする。
その状態で、さらに鉄筋Bを設定切断長さLに順次切断して行き、送出経路1上にある残りの鉄筋Bの長さが第2所定長さ未満になると、図14の(イ)に示すように、送出ローラ8を逆回転させながら送出部材14により鉄筋Bを前方側へ送り出し、それによって、たとえ鉄筋Bが短くなっても、その後端が送出部材14に確実に当接されるようにし、図14の(ロ)および(ハ)に示すように、後方押え部材5で鉄筋Bを保持して設定切断長さLに切断するのである。
【0031】
〔別実施形態〕
先の実施形態では、電動モータ10、チェン9、スプロケット8aなどによりローラ駆動機構11を構成した例を示したが、ローラ駆動機構11の具体的な構成については種々の変更が可能であり、また、送出部材14の形状やその送出駆動機構についても、特に先の実施形態に限定されることなく、種々の変更が可能である。
同様に、後方押え部材5や前方押え部材6の形状、および、その駆動機構などについても、特に先の実施形態の限定されることなく、種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】鉄筋切断装置の全体を示す平面図
【図2】切断装置の近傍を示す正面図
【図3】送出部材を示す斜視図
【図4】送出部材を示す一部切欠き平面図
【図5】送出部材を示す断面図
【図6】送出部材を示す背面図
【図7】後方押え部材の側面図と正面図
【図8】排出部材を示す斜視図
【図9】排出部材を示す正面図
【図10】鉄筋供給装置を示す正面図
【図11】鉄筋回収装置の側面図
【図12】鉄筋の切断状態を示す説明図
【図13】鉄筋の切断状態を示す説明図
【図14】鉄筋の切断状態を示す説明図
【符号の説明】
【0033】
1 送出経路
3 切断刃
4 切断装置
5 押え部材
7 排出部材
7a 排出部材の切断刃側の端部
8 送出ローラ
11 ローラ駆動機構
14 送出部材
19 送出駆動機構
B 鉄筋
Ba 製品鉄筋片
Bb 廃材鉄筋片
C 制御装置
L 鉄筋の切断長さおよびその切断長さに対応する設定距離
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋を長手方向に沿って送り出す送出経路と、その送出経路上にある鉄筋を切断する切断刃を備えた切断装置と、その切断刃より前記送出経路の後方側で前記鉄筋を送出経路上に押し付けて保持する押え部材を備えている鉄筋切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような鉄筋切断装置は、送出経路上にある長尺の鉄筋を切断刃側へ送り出しながら切断刃で切断し、長尺の鉄筋を所望する長さの鉄筋片に順次切断するために使用される。
ところで、従来の装置では、鉄筋の切断長さを設定するため、切断刃より送出経路の前方側に送出経路に沿って位置変更固定自在なストッパを設け、そのストッパに鉄筋の先端を当接させて切断することにより、切断する鉄筋片の長さを所望の長さに設定するように構成されていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特許公報第2824409号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、鉄筋を切断するための切断刃は、それ自体単独で存在するものではなく、切断刃の駆動機構を含む各種の構成部品が周囲に存在するため、それら駆動機構などを含む切断装置全体の中央近くに位置する構成となっている。
そのため、従来の装置では、切断刃の前方側に設けられたストッパは、切断装置の前端面近くにまでしか移動することができず、言い換えると、切断刃の駆動機構などが邪魔になって切断刃の近くにまで移動することができず、したがって、切断する鉄筋片の長さに自ずと限界があり、あまり短い鉄筋片に切断することは不可能であった。
【0005】
本発明は、このような従来装置の欠点に着目したもので、その目的は、長尺の鉄筋を比較的長い鉄筋片に切断できるのはもちろんのこと、従来では不可能とされていた短い鉄筋片にも確実に切断できる汎用性の高い鉄筋切断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の特徴構成は、鉄筋を長手方向に沿って送り出す送出経路と、その送出経路上にある鉄筋を切断する切断刃を備えた切断装置と、その切断刃より前記送出経路の後方側で前記鉄筋を送出経路上に押し付けて保持する押え部材を備えている鉄筋切断装置であって、前記送出経路上にある鉄筋の後端に当接して前記切断刃側へ送り出す送出部材が設けられ、その送出部材を駆動する送出駆動機構が、鉄筋の設定切断長さに対応する設定距離ずつ、前記送出部材を送出経路に沿って前記切断刃側へ移動させるように構成されているところにある。
【0007】
本発明の第1の特徴構成によれば、送出経路上にある鉄筋の後端に当接して切断刃側へ送り出す送出部材が設けられ、その送出部材を駆動する送出駆動機構が、鉄筋の設定切断長さに対応する設定距離ずつ、送出部材を送出経路に沿って切断刃側へ移動させるように構成されているので、その送出部材を切断刃近くにまで移動させる必要はなく、送出部材の移動量を変更することによって、鉄筋の切断長さを自由に設定することができる。
したがって、従来の装置と同様に、比較的長い鉄筋片に切断できるのはもちろんのこと、従来不可能とされていた短い鉄筋片にも確実に切断することができ、非常に汎用性の高い鉄筋切断装置を提供することができる。
【0008】
本発明の第2の特徴構成は、前記切断刃による切断後の鉄筋片を前記送出経路と異なる方向へ排出する排出部材が、前記切断装置より前記送出経路の前方側に設けられ、その排出部材の前記切断刃側の端部が、前記切断装置内に入り込んで前記切断刃の近傍にまで延出されているところにある。
【0009】
本発明の第2の特徴構成によれば、切断刃による切断後の鉄筋片を送出経路と異なる方向へ排出する排出部材が、切断装置より送出経路の前方側に設けられているので、長尺の鉄筋を鉄筋片に切断するだけでなく、切断後の鉄筋片を排出部材により排出することによって鉄筋片の回収も容易となる。
そして、その排出部材の切断刃側の端部が、切断装置内に入り込んで切断刃の近傍にまで延出されているので、上述したように、従来不可能とされていた短い鉄筋片に切断した場合においても、短い鉄筋片を切断装置外へ排出して容易に回収することができる。
【0010】
本発明の第3の特徴構成は、前記送出経路が複数の送出ローラにより形成されて、それら複数の送出ローラを駆動するローラ駆動機構が設けられているところにある。
【0011】
本発明の第3の特徴構成によれば、送出経路が複数の送出ローラにより形成されて、それら複数の送出ローラを駆動するローラ駆動機構が設けられているので、送出ローラの回転に伴って鉄筋を円滑に送り出すことができる。
【0012】
本発明の第4の特徴構成は、前記鉄筋切断装置の作動を制御する制御装置が、前記送出経路上にある鉄筋の長さに応じて、その鉄筋の長さが所定の長さ以上の場合、前記送出ローラを正回転させて鉄筋を送り出しながら、その送出ローラの送り出し速度よりも早い速度で前記送出部材により鉄筋を送り出し、前記所定の長さ未満の場合、前記送出ローラを逆回転させながら前記送出部材により鉄筋を送り出すように制御するところにある。
【0013】
本発明の第4の特徴構成によれば、鉄筋切断装置の作動を制御する制御装置が、送出経路上にある鉄筋の長さに応じて、その鉄筋の長さが所定の長さ以上の場合、つまり、鉄筋が比較的重たい状態では、送出ローラを正回転させて鉄筋を送り出しながら、その送出ローラの送り出し速度よりも早い速度で送出部材により鉄筋を送り出すように制御するので、鉄筋の後端は送出部材に確実に当接することになり、鉄筋は所望どおりの設定切断長さに切断される。
しかし、鉄筋が所定の長さ未満になって軽くなると、慣性力の影響などによって、鉄筋の後端が送出部材に先行する可能性があるが、その場合には、送出ローラを逆回転させながら送出部材により鉄筋を送り出すように制御するので、たとえ鉄筋が短くなって軽くなっても、鉄筋の後端は送出部材に確実に接当し、その結果、鉄筋の切断始めから切断終わりに至るまで、鉄筋を所望どおりの設定切断長さに切断することが可能となる。
【0014】
本発明の第5の特徴構成は、前記制御装置が、鉄筋の切断時において、前記押え部材により鉄筋を保持し、かつ、前記送出部材を鉄筋の後端から前記送出経路の送出方向と逆方向へ後退させた後、前記切断刃により切断するように制御するところにある。
【0015】
本発明の第5の特徴構成によれば、鉄筋切断装置を制御する制御装置が、鉄筋の切断時において、切断刃より送出経路の後方側で鉄筋を送出経路上に押し付けて保持する押え部材により鉄筋を保持するように制御するので、切断時における鉄筋の跳ね上がりが防止されて、鉄筋は切断刃により確実に切断される。
しかし、鉄筋が長い場合には、たとえ押え部材により保持していても、鉄筋の後端が跳ね上がって送出部材の上方に乗り上げる可能性がある。送出部材上に乗り上げると、その後の鉄筋の送り出しに支障をきたすが、鉄筋の切断時において、送出部材を鉄筋の後端から送出経路の送出方向と逆方向へ後退させた後、切断刃により切断するように制御するので、その後の鉄筋の送り出しに支障をきたすこともなく、鉄筋を所望どおりに送り出すことができる。
【0016】
本発明の第6の特徴構成は、前記鉄筋切断装置の作動を制御する制御装置が、前記送出経路上にある鉄筋の長さに応じて、その鉄筋の長さが所定の長さ以上の場合、前記送出部材により鉄筋を高速で送り出し、前記所定の長さ未満の場合、前記送出部材により鉄筋を低速で送り出すように制御するところにある。
【0017】
本発明の第6の特徴構成によれば、鉄筋切断装置の作動を制御する制御装置が、送出経路上にある鉄筋の長さに応じて、その鉄筋の長さが所定の長さ以上の場合、つまり、鉄筋が比較的重たい状態では、送出部材により鉄筋を高速で送り出すように制御するので、鉄筋切断の高能率化を図ることができる。
しかし、鉄筋が所定の長さ未満になって軽くなると、慣性力の影響などによって、鉄筋の後端が送出部材に先行する可能性があるが、その場合には、送出部材により鉄筋を低速で送り出すように制御するので、たとえ鉄筋が短くなって軽くなっても、鉄筋の後端は送出部材に確実に接当し、その結果、鉄筋切断の高能率化を図りながら、鉄筋を所望どおりの設定切断長さに確実に切断することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明による鉄筋切断装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。
この鉄筋切断装置は、図1〜図3に示すように、鉄筋Bを長手方向に沿って送り出す送出経路1を上面に備えた装置本体2、送出経路1の中間に位置して送出経路1の上にある鉄筋Bを切断する切断刃3を備えた切断装置4、切断刃3より送出経路1の後方側と前方側で鉄筋Bを送出経路1上に押し付けて保持する後方押え部材5と前方押え部材6、切断装置4より送出経路1の前方側で切断刃3による切断後の鉄筋片Ba,Bb(例えば、図8参照)を送出経路1の側方へ排出する排出部材7などを備え、切断刃3は、上方に位置する可動刃3aと下方に位置する固定刃3bにより構成されている。
なお、本明細書では、鉄筋Bを送出経路1に沿って送り出す際の鉄筋Bの送出後端側、つまり、図1や図2において右側を「後方側」と称し、鉄筋Bの送出先端側、つまり、図1や図2において左側を「前方側」と称する。
【0019】
鉄筋Bを送り出すための送出経路1は、切断装置4を中心として後方側と前方側に分けられていて、その両送出経路1のいずれもが、図6や図9にも示すように、装置本体2の上面近くに回転自在に保持された多数の送出ローラ8により形成され、各送出ローラ8に取り付けられたスプロケット8aには送出経路用チェン9が巻き掛けられて、そのチェン9を介して各送出ローラ8が電動モータ10により回転駆動されるように構成され、電動モータ10、チェン9、スプロケット8aなどにより、多数の送出ローラ9を駆動するローラ駆動機構11が構成されている。
このような送出経路1を備えた装置本体2には、切断装置4より後方側に位置して送出経路1上に鉄筋Bを供給する鉄筋供給装置12が、また、切断装置4より前方側に位置して切断後の鉄筋片Ba,Bbを回収する鉄筋回収装置13が配置され、鉄筋切断装置全体の作動を制御する制御装置Cも設けられている。
【0020】
切断装置4より後方側の送出経路1上には、図3〜図6に示すように、送出経路1上にある鉄筋Bの後端に当接して鉄筋Bを切断刃3側へ送り出す送出部材14が、その送出経路1に沿って往復移動自在に配置されている。
すなわち、送出部材14は、平面視においてほぼT字状に形成され、送出部材14の後方側に取り付けられた可動部材15には、多数の遊転ローラ15aが取り付けられていて、その多数の遊転ローラ15aが、装置本体2の上面に送出経路1と平行に配置されたレール16に当接されている。そして、その可動部材15には、送出部材用チェン17が取り付けられ、そのチェン17が装置本体2に取り付けられたスプロケット18間に巻き掛けられ、送出駆動機構としての電動モータ19によって、送出部材14がレール16に沿って往復移動されるように構成されている。
【0021】
後方押え部材5は、図7に示すように、切断装置4のケーシング後方側に上下昇降自在に取り付けられ、その切断装置4のケーシングと後方押え部材5との間に介在されたエアシリンダ20によって上下昇降されるように構成されている。
その後方押え部材5の上方には、後方押え部材5の上昇位置を規制するストッパ21が配置されて、切断装置4のケーシング側に取り換え自在に設けられている。つまり、ストッパ21は、後方押え部材5の上端部が当接することによって、後方押え部材5の上昇位置を規制するためのもので、上下方向幅の異なる多数のストッパ21が予め準備されていて、切断対象となる鉄筋Bの太さに応じて適宜取り換えることにより、後方押え部材5の下端面と送出経路1を形成する送出ローラ8の上端面との間の間隔を鉄筋Bの太さに最適な間隔に調整できるように構成されている。
なお、前方押え部材6は、切断装置4のケーシング前方側に取り付けられている点で後方押え部材5とは異なるが、具体的な構成については後方押え部材5とほぼ同じなので、詳細な説明は省略する。
【0022】
切断後の鉄筋片Ba,Bbを排出するための排出部材7は、図8および図9に示すように、送出経路1に沿って延びる板状体により構成され、特に、その後方側の端部7a、換言すると、切断刃3側の端部7aは、切断装置4内に入り込んで切断刃3の近傍にまで延出され、かつ、上方に位置する可動刃3aとの干渉を避けるため、その切断刃3側の端部7aには切欠き7bが設けられている。
この排出部材7は、装置本体2との間に介在されたエアシリンダ22により送出経路1と直交する方向へ往復移動して、切断後の鉄筋片Ba,Bbを後述する鉄筋回収装置13側へ排出するように構成されるとともに、切断刃3による鉄筋Bの切断時に、切断後の鉄筋片Ba,Bbが飛散するのを防止するためのカバー部材23が、送出経路1を挟んで排出部材7の反対側に位置されて、そのカバー部材23が連結部材23aを介して排出部材7に連結されている。
【0023】
鉄筋Bを送出経路1上に供給するための鉄筋供給装置12は、装置本体2の後方側に配置された鉄筋供給枠体24を備え、その鉄筋供給枠体24には、図10に示すように、複数の第1供給具25が、送出経路1上へ突出する作用姿勢と側方へ退出する非作用姿勢との間で往復移動自在に設けられている。さらに、装置本体2には、複数の第2供給具27が、送出経路1の下方に位置して、送出経路1上へ突出する作用姿勢と下方へ退出する非作用姿勢との間で往復移動自在に設けられ、両供給具25,27によって鉄筋供給装置12が構成されている。
第1供給具25と第2の供給具27は、互いに干渉するのを避けるため、送出経路1に沿う方向に位置を異ならせて配置され、第1供給具25は第1エアシリンダ26により、第2供給具27は第2エアシリンダ28によりそれぞれ往復移動されるように構成されている。
【0024】
切断後の鉄筋片Ba,Bbを回収する鉄筋回収装置13は、図11に示すように、装置本体2の前方側に配置された鉄筋回収枠体29を備え、その鉄筋回収枠体29は、側面視において、送出経路1から床面へ傾斜する傾斜上面29aを備えたほぼ三角形状を有している。
その傾斜上面29aの上方部分には、下方を回動中心として回動する案内板30が取り付けられ、エアシリンダ31により案内板30が下方へ回動されて、後に詳しく説明するように、廃材となる廃材鉄筋片Bbを下方の廃材回収容器33へ回収する廃材回収姿勢と、上方へ回動されて、製品となる製品鉄筋片Baを下方の製品回収容器32へ回収する製品回収姿勢とに切り換えられるように構成され、これら案内板30、エアシリンダ31、両容器32,33などにより鉄筋回収装置13が構成されている。
【0025】
つぎに、この鉄筋切断装置の作動について説明する。
鉄筋切断装置全体の作動は制御装置Cにより制御され、まず、鉄筋供給装置12を構成する複数の第1供給具25が、図10の(イ)および(ロ)に示すように、各第1エアシリンダ26の作動に伴って、その上に複数本の鉄筋Bを載置した状態で送出経路1上へ突出する作用姿勢となり、同時に、複数の第2供給具27が、各第2エアシリンダ28の作動に伴って、送出経路1上へ突出する作用姿勢となって第1供給具26上の複数本の鉄筋Bを受け取る。
その後、第1供給具25が側方へ退出するとともに、第2供給具27が送出経路1の下方へ退出して、図10の(ハ)に示すように、複数本の鉄筋Bを送出経路1上、つまり、送出ローラ8上へ供給する。
【0026】
すると、電動モータ19の正回転に伴って、送出部材14が、図12の(イ)に示すように、送出部材用チェン17や可動部材15を介して前方側へ移動されて複数本の鉄筋Bの後端に当接し、その後、ローラ駆動機構11の作動に伴って送出ローラ8も正回転され、複数本の鉄筋Bは、送出部材14と送出ローラ8により前方側へ送り出される。
その際、送出部材14は高速で移動され、各送出ローラ8も高速で回転されて鉄筋Bを送り出すのであるが、送出部材14による送り出し速度の方が、送出ローラ8による送り出し速度よりも早い速度で鉄筋Bを送り出し、それによって、複数本の鉄筋Bは、その後端が送出部材14に確実に当接された状態で送り出される。
【0027】
鉄筋Bの1回目の切断は、複数本の鉄筋Bにおける長さの不揃いを整えるための切断で、予め設定された距離だけ送り出されると、送出部材14の移動と送出ローラ8の回転が停止され、図12の(ロ)に示すように、後方押え部材5が下降して鉄筋Bを送出経路1上へ押し付けて保持するとともに、電動モータ19の逆回転に伴って、送出部材14が鉄筋Bの後端から離れて後方側へ移動される。そして、その状態で可動刃3aが下降し、図12の(ハ)に示すように、可動刃3aと固定刃3bにより、各鉄筋Bの先端近くを切断して、送出経路1上にある鉄筋Bの長さを揃える。
切断された鉄筋片Bbは、いわゆる廃材鉄筋片Bbとなるもので、エアシリンダ22の作動に伴って排出部材7により鉄筋回収装置13側へ排出される。その場合には、図11において実線で示すように、エアシリンダ31により案内板30が下方へ回動されており、廃材鉄筋片Bbは案内板30に案内されて下方の廃材回収容器33へ回収される。
【0028】
2回目以後の切断が、いわゆる製品鉄筋片Baを切断するためのもので、まず、図13の(イ)に示すように、送出部材14が前方側へ移動されて鉄筋Bの後端に当接し、その後、1回目の切断と同様に、送出部材14が高速で移動され、各送出ローラ8も高速で回転されるとともに、送出部材14による送り出し速度の方が、送出ローラ8による送り出し速度よりも早い速度で鉄筋Bを送り出す。
そのときの鉄筋Bの送り出し量、つまり、鉄筋Bの切断長さは、制御装置Cにより自由に設定することができ、複数本の鉄筋Bは、図13の(ロ)に示すように、制御装置Cによる制御に基づいて鉄筋Bの設定切断長さLに対応する設定距離Lずつ、送出部材14を送出経路1に沿って切断刃3側へ移動させて鉄筋Bを送り出す。
【0029】
その後は1回目の切断と同様で、鉄筋Bの送り出しが停止された後、鉄筋Bの設定切断長さLが短い場合には、後方押え部材5のみが下降し、設定切断長さLが長い場合には、後方押え部材5と前方押え部材6が下降して鉄筋Bを保持するとともに、送出部材14が鉄筋Bの後端から離れて後方側へ移動される。
その状態で可動刃3aが下降し、図13の(ハ)に示すように、各鉄筋Bが設定切断長さLで切断され、切断された鉄筋片Baは、排出部材7により鉄筋回収装置13側へ排出される。2回目以後に切断された鉄筋片Baは、いわゆる製品鉄筋片Baであるため、その場合には、図11において仮想線で示すように、エアシリンダ31により案内板30が上方へ回動されており、製品鉄筋片Baは下方の製品回収容器32へ回収される。
【0030】
このようにして、鉄筋Bを設定切断長さLに順次切断して行き、送出経路1上にある残りの鉄筋Bの長さが第1所定長さ未満になると、送出部材14は今までより低速で移動され、各送出ローラ8も今までより低速で回転されて鉄筋Bを送り出す。その場合にも、送出部材14による送り出し速度の方が、送出ローラ8による送り出し速度よりも早い速度で鉄筋Bを送り出し、鉄筋Bの後端が送出部材14に確実に当接されるようにする。
その状態で、さらに鉄筋Bを設定切断長さLに順次切断して行き、送出経路1上にある残りの鉄筋Bの長さが第2所定長さ未満になると、図14の(イ)に示すように、送出ローラ8を逆回転させながら送出部材14により鉄筋Bを前方側へ送り出し、それによって、たとえ鉄筋Bが短くなっても、その後端が送出部材14に確実に当接されるようにし、図14の(ロ)および(ハ)に示すように、後方押え部材5で鉄筋Bを保持して設定切断長さLに切断するのである。
【0031】
〔別実施形態〕
先の実施形態では、電動モータ10、チェン9、スプロケット8aなどによりローラ駆動機構11を構成した例を示したが、ローラ駆動機構11の具体的な構成については種々の変更が可能であり、また、送出部材14の形状やその送出駆動機構についても、特に先の実施形態に限定されることなく、種々の変更が可能である。
同様に、後方押え部材5や前方押え部材6の形状、および、その駆動機構などについても、特に先の実施形態の限定されることなく、種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】鉄筋切断装置の全体を示す平面図
【図2】切断装置の近傍を示す正面図
【図3】送出部材を示す斜視図
【図4】送出部材を示す一部切欠き平面図
【図5】送出部材を示す断面図
【図6】送出部材を示す背面図
【図7】後方押え部材の側面図と正面図
【図8】排出部材を示す斜視図
【図9】排出部材を示す正面図
【図10】鉄筋供給装置を示す正面図
【図11】鉄筋回収装置の側面図
【図12】鉄筋の切断状態を示す説明図
【図13】鉄筋の切断状態を示す説明図
【図14】鉄筋の切断状態を示す説明図
【符号の説明】
【0033】
1 送出経路
3 切断刃
4 切断装置
5 押え部材
7 排出部材
7a 排出部材の切断刃側の端部
8 送出ローラ
11 ローラ駆動機構
14 送出部材
19 送出駆動機構
B 鉄筋
Ba 製品鉄筋片
Bb 廃材鉄筋片
C 制御装置
L 鉄筋の切断長さおよびその切断長さに対応する設定距離
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄筋を長手方向に沿って送り出す送出経路と、その送出経路上にある鉄筋を切断する切断刃を備えた切断装置と、その切断刃より前記送出経路の後方側で前記鉄筋を送出経路上に押し付けて保持する押え部材を備えている鉄筋切断装置であって、
前記送出経路上にある鉄筋の後端に当接して前記切断刃側へ送り出す送出部材が設けられ、その送出部材を駆動する送出駆動機構が、鉄筋の設定切断長さに対応する設定距離ずつ、前記送出部材を送出経路に沿って前記切断刃側へ移動させるように構成されている鉄筋切断装置。
【請求項2】
前記切断刃による切断後の鉄筋片を前記送出経路と異なる方向へ排出する排出部材が、前記切断装置より前記送出経路の前方側に設けられ、その排出部材の前記切断刃側の端部が、前記切断装置内に入り込んで前記切断刃の近傍にまで延出されている請求項1に記載の鉄筋切断装置。
【請求項3】
前記送出経路が複数の送出ローラにより形成されて、それら複数の送出ローラを駆動するローラ駆動機構が設けられている請求項1または2に記載の鉄筋切断装置。
【請求項4】
前記鉄筋切断装置の作動を制御する制御装置が、前記送出経路上にある鉄筋の長さに応じて、その鉄筋の長さが所定の長さ以上の場合、前記送出ローラを正回転させて鉄筋を送り出しながら、その送出ローラの送り出し速度よりも早い速度で前記送出部材により鉄筋を送り出し、前記所定の長さ未満の場合、前記送出ローラを逆回転させながら前記送出部材により鉄筋を送り出すように制御する請求項3に記載の鉄筋切断装置。
【請求項5】
前記制御装置が、鉄筋の切断時において、前記押え部材により鉄筋を保持し、かつ、前記送出部材を鉄筋の後端から前記送出経路の送出方向と逆方向へ後退させた後、前記切断刃により切断するように制御する請求項4に記載の鉄筋切断装置。
【請求項6】
前記鉄筋切断装置の作動を制御する制御装置が、前記送出経路上にある鉄筋の長さに応じて、その鉄筋の長さが所定の長さ以上の場合、前記送出部材により鉄筋を高速で送り出し、前記所定の長さ未満の場合、前記送出部材により鉄筋を低速で送り出すように制御する請求項1〜3のいずれか1項に記載の鉄筋切断装置。
【請求項1】
鉄筋を長手方向に沿って送り出す送出経路と、その送出経路上にある鉄筋を切断する切断刃を備えた切断装置と、その切断刃より前記送出経路の後方側で前記鉄筋を送出経路上に押し付けて保持する押え部材を備えている鉄筋切断装置であって、
前記送出経路上にある鉄筋の後端に当接して前記切断刃側へ送り出す送出部材が設けられ、その送出部材を駆動する送出駆動機構が、鉄筋の設定切断長さに対応する設定距離ずつ、前記送出部材を送出経路に沿って前記切断刃側へ移動させるように構成されている鉄筋切断装置。
【請求項2】
前記切断刃による切断後の鉄筋片を前記送出経路と異なる方向へ排出する排出部材が、前記切断装置より前記送出経路の前方側に設けられ、その排出部材の前記切断刃側の端部が、前記切断装置内に入り込んで前記切断刃の近傍にまで延出されている請求項1に記載の鉄筋切断装置。
【請求項3】
前記送出経路が複数の送出ローラにより形成されて、それら複数の送出ローラを駆動するローラ駆動機構が設けられている請求項1または2に記載の鉄筋切断装置。
【請求項4】
前記鉄筋切断装置の作動を制御する制御装置が、前記送出経路上にある鉄筋の長さに応じて、その鉄筋の長さが所定の長さ以上の場合、前記送出ローラを正回転させて鉄筋を送り出しながら、その送出ローラの送り出し速度よりも早い速度で前記送出部材により鉄筋を送り出し、前記所定の長さ未満の場合、前記送出ローラを逆回転させながら前記送出部材により鉄筋を送り出すように制御する請求項3に記載の鉄筋切断装置。
【請求項5】
前記制御装置が、鉄筋の切断時において、前記押え部材により鉄筋を保持し、かつ、前記送出部材を鉄筋の後端から前記送出経路の送出方向と逆方向へ後退させた後、前記切断刃により切断するように制御する請求項4に記載の鉄筋切断装置。
【請求項6】
前記鉄筋切断装置の作動を制御する制御装置が、前記送出経路上にある鉄筋の長さに応じて、その鉄筋の長さが所定の長さ以上の場合、前記送出部材により鉄筋を高速で送り出し、前記所定の長さ未満の場合、前記送出部材により鉄筋を低速で送り出すように制御する請求項1〜3のいずれか1項に記載の鉄筋切断装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−136969(P2006−136969A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−328077(P2004−328077)
【出願日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(000223056)東陽建設工機株式会社 (17)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(000223056)東陽建設工機株式会社 (17)
【Fターム(参考)】
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