説明

鉄道車両の脱線検知装置

【課題】脱線に基づいて発生する振動等の物理量を確実に検知でき、しかも、この物理量の値を正常運行時にも発生する物理量の値と確実に判別できる様にして、鉄道車両が脱線した事をいち早く検知できる構造を実現する。
【解決手段】鉄道車両の車軸を、台車に対し回転自在に支持する転がり軸受の一部に、前記車輪の状態に応じて変化する物理量である振動を測定する振動センサを設ける。この振動センサが測定した、その瞬間のその車輪に関する振動値αと、比較すべき振動値βとの差の絶対値|α−β|を求める。そして、判定器により、この差の絶対値|α−β|が所定値γ以上の場合に脱線していると判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、鉄道車両が脱線した事をいち早く検知して、迅速且つ適切な対応をできる様にする事で、脱線がより重大な事故に繋がらない様にする、鉄道車両の脱線検知装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両が脱線した場合、そのまま走行を続けると、転覆等の、より重大な事故に繋がる。一方、脱線は、運転席のある1両目で発生するとは限らず、多両連結の列車で、中間乃至後方の車両のみが脱線する場合もある。この様な場合に、運転手が気付かずに走行し続けると、初めに脱線した車両以外の車両迄もが脱線したり、更には転覆したりする、より重大な事故に繋がる。この様な、より重大な事故を未然に防止する為に従来から、例えば特許文献1〜4に記載された構造が知られている。
【0003】
図5は、このうちの特許文献1に記載された鉄道車両の脱線検知装置を示している。車体1、1は、それぞれ1対ずつの台車2、2上に載っており、これら各台車2、2には、それぞれ1対ずつの車軸が、転がり軸受により回転自在に支持されている。又、これら各車軸の両端部には、それぞれ車輪3、3が固定されており、これら各車輪3、3が、それぞれレール4上を、転動しつつ走行する様になっている。前記特許文献1に記載された鉄道車両の脱線検知装置の場合には、前記各台車2、2に、脱線検知装置5、5を設置している。これら各脱線検知装置5、5は、振動センサを備えたもので、この振動センサが測定する、前記各台車2、2の振動が閾値を越えた場合に、当該台車2に支持された車輪3、3がレール4から外れた(脱線した)と判定する。
【0004】
この様な特許文献1に記載された鉄道車両の脱線検知装置は、運転者の感覚に頼るよりも、遥かに迅速且つ確実に脱線を検知できるが、より迅速且つ確実な脱線検知を行う面からは、改良の余地がある。この理由の第一は、前記各脱線検知装置5、5を前記各台車2、2に設置している事に伴って、これら各脱線検知装置5、5を構成する振動センサにより前記脱線に基づく振動を、必ずしも感度良く検知できない為である。即ち、台車は車輪に比べて質量が大きく、この台車を振動させる為に要するエネルギが大きくなる。しかも、両端部に車輪を固定した車軸と台車との間には(台車と車体との間のばねとは別に)ばねを設ける場合がある為、この車軸の振動がこの台車に伝わる迄に或る程度の緩衝作用が働く事がある。この結果、脱線の初期に発生する振動が比較的小さい場合に、この振動を検出できない可能性がある。
【0005】
又、理由の第二は、前記振動センサが検知した振動が、脱線によるものか否かを判定する為の閾値の設定が難しい為である。即ち、脱線には、乗り上り脱線、滑り上り脱線、跳び上がり脱線等、各種形態の脱線が存在するが、跳び上がり脱線の場合を除き、脱線の初期に発生する振動が小さい場合がある。この様な小さな振動を、ポイント通過時等、通常時にも発生し得る比較的大きな振動と見分けて脱線の発生を検知する為の閾値の設定が難しい。即ち、閾値を低く設定し過ぎると、ポイント通過時等に脱線が発生したと誤判定する可能性が大きくなる。これに対して、閾値を高く設定し過ぎると、脱線の初期に発生する振動が小さい場合に、この脱線の発生を初期段階では検知できない。
【0006】
又、特許文献2、3には台車よりも上側に作用する上下方向加速度により、特許文献4には軸箱支持部と台車枠との間に作用する上下方向荷重により、それぞれ脱線を検知する装置が記載されている。これら特許文献2〜4に記載された従来構造の場合も、運転者の感覚に頼るよりも、遥かに迅速且つ確実に脱線を検知できるにしても、構造が複雑になったり、脱線の態様によってはこれを初期段階で検知しにくい等の問題がある。
【0007】
一方、特許文献5には、鉄道車両の車軸を回転自在に支持する為の転がり軸受ユニットに、振動センサを含む複数種類のセンサを組み込み、この転がり軸受ユニットが寿命に達した事を検出する等、この転がり軸受ユニットの運転状態を検知する構造が記載されている。図6は、この様な特許文献5に記載された従来構造の1例を示している。本発明の鉄道車両の脱線検知装置は、この特許文献5に記載された構造を利用するので、先ず、この構造に就いて簡単に説明する。
【0008】
鉄道車両の台車2(図5参照)に設置された軸受箱6の内径側に車軸7の端部を、転がり軸受である、複列円すいころ軸受ユニット8により、回転自在に支持している。車輪3(図5参照)は、前記車軸7の一部で、この複列円すいころ軸受ユニット8よりも少しだけ中央寄り部分に固定(一般的には車軸7と一体に成形)している。この複列円すいころ軸受ユニット8を構成する外輪9の内周面と内輪10の外周面との間で、複数個の転動体(円すいころ)11を設置した軸受内部空間12の外端開口部に、内径側環体13と外径側環体14とを組み合わせた、ラビリンスシールユニット15を設けている。このうちの内径側環体13は、前記車軸7の端部に外嵌固定している。又、前記外径側環体14の基部は、前記外輪9の外端部に内嵌固定している。
【0009】
前記外径側環体14は、十分な強度及び剛性を有する金属板を曲げ形成する事により、全体を円環状としたもので、径方向中間部に形成した円輪部16の外側面にセンサユニット17を、複数本のボルト18とナットプレート19とにより結合固定している。このセンサユニット17は、センサケース20内に設置したプリント基板21に、それぞれが検出素子と処理回路とをIC化した、回転速度センサ22と、温度センサ23と、振動センサ24とを設けて成る。又、この回転速度センサ22により前記車軸7の回転速度検出を可能にする為に、この車軸7の端部に螺着したナット筒25の外周面内半部に歯車状の凹凸部26を形成して、当該部分にトーンホイールとしての機能を持たせている。前記回転速度センサ22は、前記センサケース20に形成した透孔27部分に設置されて、検出部を前記凹凸部26に近接対向させている。
【0010】
前記各センサ22〜24のうち、回転速度センサ22の検出信号からは、前記車軸7の回転速度が分かる。又、この回転速度は、鉄道車両の走行速度を求める為に利用できる他、前記振動センサ24が検出した、前記複列円すいころ軸受ユニット8の振動との関係で、この複列円すいころ軸受ユニット8の異常の有無の判定に利用できる。又、前記温度センサ23の検出信号からは、この複列円すいころ軸受ユニット8の温度が分かる。そして、この温度が異常に上昇した場合には、この複列円すいころ軸受ユニット8に、焼き付きに結び付く様な重大な損傷が発生していると判定できる。更に、前記振動センサ24の検出信号からは、前記複列円すいころ軸受ユニット8の運転に伴う振動(大きさ及び周波数)が分かる。そして、この振動に基づき(必要に応じて前記回転速度検出センサ22の検出信号を勘案しつつ)、前記複列円すいころ軸受ユニット8に剥離等の損傷が発生しているか否かが分かる。
【0011】
上述の様な特許文献5に記載された構造を脱線検知に利用すれば、前記振動センサ24の感度を良好にできる為、脱線の初期に発生する振動を検出できるものと考えられる。但し、単に前記特許文献5に記載された構造を脱線検知に利用しただけでは、前述した理由の第二を解決できない。即ち、ポイント通過時等、通常時にも発生し得る比較的大きな振動と見分けて脱線の発生を検知する為の閾値の設定が難しいままとなる。
【0012】
【特許文献1】特開平10−278795号公報
【特許文献2】特開平9−39790号公報
【特許文献3】再公表特許公報WO00/09379号公報
【特許文献4】特開2002−79941号公報
【特許文献5】特開2005−207516号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、脱線に基づいて発生する振動等の物理量を確実に検知でき、しかも、この物理量の値を正常運行時にも発生する物理量の値と確実に判別できる様にして、鉄道車両が脱線した事をいち早く検知できる鉄道車両の脱線検知装置を実現すべく発明したものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の鉄道車両の脱線検知装置は、転がり軸受と、センサと、判定器とを備える。
このうちの転がり軸受は、両端部に車輪を固定した鉄道車両の車軸を、台車に対し回転自在に支持する。
又、前記センサは、前記転がり軸受の一部(一般的には回転しない外輪)の一部に、直接、又はシールケース等の他の部材を介して支持固定されていて、前記車輪の状態に応じて変化する物理量を測定する。
更に、前記判定器は、前記センサが測定した、その瞬間のその車輪に関する物理量と比較すべき物理量との差を求め、この差の絶対値が所定値以上の場合に脱線していると判定する。
【0015】
この様な本発明を実施する場合、比較すべき物理量としては、例えば請求項2に記載した発明の様に、別の台車に別の転がり軸受により回転自在に支持した、別の車輪に関する同種の物理量とする。この場合に前記判定器は、各瞬間毎に、異なる車輪に関する物理量同士の間の差を求め、この差に基づいて、脱線しているか否かを判定する。
或は、請求項3に記載した発明の様に、同じ車輪に関して直前に測定した同種の物理量とする。この場合に前記判定器は、メモリ中に記憶した比較すべき物理量とその瞬間のその車輪に関する物理量との差を求め、この差に基づいて、脱線しているか否かを判定する。
【0016】
一方、前記物理量の具体的種類に関しては、例えば請求項4に記載した発明の様に、車軸の振動値とする事ができる。この場合には、前記センサを振動センサとする。
或は、請求項6に記載した発明の様に、前記物理量を車軸の回転速度とする事もできる。この場合には、前記センサを回転速度検出センサとする。
或は、請求項7に記載した発明の様に、前記物理量を、任意の所定方向(例えば水平方向、前後方向、幅方向等)に関する車軸の角度(角速度を含む)とする事もできる。この場合には、前記センサをジャイロセンサとする。
【0017】
尚、前記請求項4に記載した発明の様に、前記物理量を振動値とし、前記センサを振動センサとする場合には、ポイント通過時に、ポイントに進入した車輪に関する振動値と、ポイント未進入の車輪に関する振動値とを比較する事に伴い、脱線ありとの誤判定をするのを防止する為に、遅延時間を設ける事もできる。又、この遅延時間は、回転速度検出センサの検出信号等から求められる車速との関係で変化させる。例えば、請求項2に記載した発明と請求項4に記載した発明とを合わせて実施する場合には、振動値を比較すべき1対の車軸の距離分だけ鉄道車両が走行する前後で(これら両車軸が、レール上の同じ位置に存在する瞬間同士の間で)、進行方向前側の車軸に関する振動値と、進行方向後側の車軸に関する振動値とを比較する。
但し、1対の車軸に関する振動値の差が、ポイント通過では発生し得ない程大きくなった場合には、前記遅延時間を待たずに、直ちに脱線ありと判定する。
【0018】
これに対して、請求項3に記載した発明と請求項4に記載した発明とを合わせて実施する場合には、その瞬間の振動値と、前記メモリ中に記憶させておいた振動値とは、必ず測定時期が前後したものとなる。そして、振動値を表す1対の信号が、レール上での互いに異なる地点での測定値となる事は避けられない(遅延時間の設定により測定点を合わせる事はできないか、仮にできたとしても、判定のタイミングの遅れが大きくなる)。従って、この場合には、脱線したか否かを判定する為の所定値(閾値)を、ポイントを通過する際に発生する振動の値よりも大きく設定する。
【0019】
更に、前記請求項4に記載した発明の様に、前記物理量を振動値とし、前記センサを振動センサとする場合には、請求項5に記載した発明の様に、前記差の絶対値に関して、前記所定値よりも小さな第二の所定値を設定する事もできる。この場合には、前記判定器に、比較する1対の振動値の差がこの所定値未満であるがこの第二の所定値以上である場合に、車輪若しくは転がり軸受に異常が発生していると判定する機能を持たせる。
【発明の効果】
【0020】
上述の様に構成する本発明の鉄道車両の脱線検知装置によれば、脱線に基づく、振動等の物理量の変化を確実に検知でき、しかも、この物理量の値を正常運行時にも発生する物理量の変化量と確実に判別できる為、鉄道車両が脱線した事をいち早く検知できる。
先ず、脱線に基づいて発生する振動等の物理量を確実に検知する事は、この物理量を測定する為のセンサを、転がり軸受の一部に支持固定する事により実現できる。この構成により、この転がり軸受により回転自在に支持された車輪に関する、振動値、回転速度、傾斜角度等の物理量が前記センサに確実に伝わり、この物理量を確実に検知できる。
又、この物理量の値を正常運行時にも発生する物理量の値と確実に判別する事は、前記センサが測定した、その瞬間のその車輪に関する物理量と、比較すべき物理量との差を求め、この差に基づいて脱線しているか否かを判定する事により実現できる。この様にして脱線しているか否かを判定すれば、ポイント通過時等、通常時にも発生し得る比較的大きな振動と見分けて脱線の発生を検知する為の閾値の設定が容易になり、鉄道車両が脱線した事を確実且ついち早く検知できる。
【0021】
そして、前記比較すべき物理量との差に関しては、請求項2又は請求項3に記載した発明の様にして、容易に得る事ができる。
又、前記物理量に関しては、請求項4に記載した発明が採用する振動値にしても、請求項6に記載した発明が採用する回転速度にしても、請求項7に記載した発明が採用する車軸の角度にしても、脱線の前後(更には脱線の瞬間)に大きく変化する。この為、前記比較すべき物理量との差を明りょうに求める事ができる。
更に、前記振動値は、急制動に伴う摩耗等により車輪の一部に平坦部が形成された場合にも、脱線の場合程ではないにしろ、通常時よりも大きく増大する。そこで、前記物理量を振動値とした場合には、請求項5に記載した発明の構成を採用する事により、前記平坦部が形成された事を運転者に知らせる事ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
[実施の形態の第1例]
図1は、請求項1〜4に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本例を含め、本発明を実施する場合には、前述の図6に示した特許文献5に記載した従来構造の様に、鉄道車両の車軸を回転自在に支持する為の転がり軸受ユニットに、振動センサを含む複数種類のセンサを組み込んだ、センサ付転がり軸受ユニットの構造を利用する。前記従来構造の場合には、前記各センサの測定データを、この転がり軸受ユニットの運転状態を検知する為にのみ利用していたのに対して、本例の場合には、この運転状態に加えて、脱線を検知する為に利用する。前記センサ付転がり軸受ユニットの構造に就いては、前記特許文献5に記載された通りであるから、重複する説明を省略し、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
【0023】
本例の鉄道車両の脱線検知装置は、前記特許文献5に記載された従来構造と同様、前記図6に示す様に、転がり軸受である複列円すいころ軸受ユニット8と、回転速度センサ22と、温度センサ23と、振動センサ24と、図示しない判定器とを備える。このうちの複列円すいころ軸受ユニット8は、両端部に車輪3(図5参照)を固定した鉄道車両の車軸7を、台車2(図5参照)に対し回転自在に支持する。又、前記回転速度センサ22は、この車軸7の端部外周面に形成した凹凸部26との組み合わせにより、この車軸7の回転速度を求める為に利用する。又、前記温度センサ23は、前記複列円すいころ軸受ユニット8の設置部分の温度を測定する。この温度センサ23が測定した、この温度を表す信号は、焼き付き等の、前記複列円すいころ軸受ユニット8の故障を検知する為に利用する。更に、前記振動センサ24は、この複列円すいころ軸受ユニット8の設置部分の振動を測定する。この振動センサ24が測定した、この複列円すいころ軸受ユニット8の設置部分の振動を表す信号は、この複列円すいころ軸受ユニット8に剥離等の損傷が発生したか否かを判断する為に利用する他、次述する様に、鉄道車両が脱線したか否かを検知する為に利用する。
【0024】
鉄道車両が脱線したか否かを検知する為に、前記振動センサ24が検出した、前記複列円すいころ軸受ユニット8の設置部分の振動を表す信号は、図示しない判定器に送る。すると、この判定器は、図1のフローチャートに示した作用により、前記鉄道車両が脱線したか否かを判定する。この図1に基づき、本例の鉄道車両の脱線検知装置の作用に就いて説明する。
【0025】
先ず、ステップ1で、前記複列円すいころ軸受ユニット8の振動を測定し、この振動の値αを表す信号を、前記判定器に取り込む。又、ステップ2で比較用の複列円すいころ軸受ユニット8の振動を測定し、この振動の値βを表す信号を、前記判定器に取り込む。この比較用の振動値βとしては、次の(1)(2)のうちの何れか一方を採用する。
(1) 別の台車(同じ車体のものでも良いが、好ましくは別の車体の台車)に別の複列円すいころ軸受ユニット8により回転自在に支持した、別の車輪に関する振動値。
(2) 同じ車輪に関して直前に測定し、判定器内のメモリに記憶しておいた振動値。
【0026】
比較用の振動値βとして、これら(1)(2)のうちの何れに示したものを採用した場合でも、判定器は、ステップ3で、前記両振動値α、βの差の絶対値|α−β|を求め、更にこの差の絶対値|α−β|を、前記判定器の比較回路中に予め設定しておいた、所定値(閾値)γと比較する。
例えば、前記(1) の様に、前記比較用の振動値βとして、別の車輪に関する振動値を採用する場合には、この比較用の振動値βを比較回路に取り込む瞬間と、判定対象となる前記振動値αをこの比較回路に取り込む瞬間との間に、所定の遅延時間を設ける。この遅延時間は、両振動値α、βに関する車輪同士の間の距離Lを、鉄道車両の走行速度Vで除した値(L/V)である。この距離Lは既知の値であり、走行速度Vは、前記回転速度センサ22の測定信号に基づいて求められる。
【0027】
この様な遅延時間を設定する事で、前記両振動値α、βに関して、同じ条件での振動の大きさを比較できる。従って、前記所定値(閾値)を低めに設定しても、ポイント通過時に、ポイントに進入した車輪に関する振動値と、ポイント未進入の車輪に関する振動値とを比較して、脱線ありとの誤判定をする事を防止できる。逆に、ポイントを通過し切った車輪に関する振動値と、ポイント通過中の車輪に関する振動値とを比較して、脱線ありとの誤判定をする事も防止できる。但し、前記所定値(閾値)を低めに設定すると共に前記遅延時間を設ける場合に好ましくは、この所定値よりも高い、ポイント通過では発生し得ない程の第二の所定値(第二の閾値)を設定し、振動値αと、この振動値αと同じ瞬間に測定した振動値βとの差の絶対値|α−β|がこの第二の所定値よりも大きくなった場合には、前記遅延時間を待たずに、直ちに脱線ありと判定する。この様にすれば、激しい振動を伴う急な脱線に関して、より迅速な対応が可能になる。
【0028】
これに対して、前記(2) の様に、同じ車輪に関して直前に測定した振動値と比較する場合には、その瞬間の振動値と、前記メモリ中に記憶させておいた振動値とは、必ず測定時期が前後したものとなる。そして、振動値を表す1対の信号が、レール上での互いに異なる地点での測定値となる事は避けられない(遅延時間の設定により測定点を合わせる事ができない)。従って、この場合には、脱線したか否かを判定する為の所定値(閾値)を、ポイントを通過する際に発生する振動の値よりも大きく設定する。ポイント通過に伴う振動の増大は限られたもので、鉄道車両の走行速度が分かればその値(増大量)を精度良く推定できる。又、この走行速度は、前記回転速度センサ22の測定信号に基づいて求められる。従って、前記(2) の様に、同じ車輪に関して直前に測定した振動値と比較して脱線しているか否かを判定する場合でも、前記走行速度に対応して前記所定値(閾値)を変えれば(走行速度が高い程所定値を大きくすれば)、単に各瞬間の振動の大きさに基づいてこの判定を行う場合に比べて、判定の精度を向上させられる。
【0029】
前記(1)(2)のうちの何れに示したものを採用した場合でも、前記差の絶対値|α−β|が前記所定値γ未満の場合には、脱線していないと判定した上で、前記ステップ1に戻り、以下、前記鉄道車両が走行している限り、以上の動作を繰り返す。これに対して、前記差の絶対値|α−β|が、前記所定値γ以上である場合には、脱線していると判定し、ステップ4で、運転者に注意を喚起する為の警報(ブザーやベルによる警報音の発音や警告灯の点灯等)を発する。又、必要に応じて、自動的に駆動を停止したり、更には制動を行う。即ち、脱線に伴って前記車輪は、滑らかなレール上から凹凸の激しい枕木やバラス上を走行する事になる為、仮に低速走行時に脱線が発生した場合でも、大きな振動が発生し、その結果、前記差の絶対値|α−β|が急拡大する。そこで、この差の絶対値|α−β|に基づいて脱線しているか否かを判定すれば、脱線の状況如何に拘らず、この判定を精度良く行える。
【0030】
上述の様に構成する本例の鉄道車両の脱線検知装置によれば、脱線に基づく振動の変化を確実に検知でき、しかも、この変化を正常運行時にも発生する振動値と確実に判別できる為、鉄道車両が脱線した事をいち早く検知できる。
先ず、脱線に基づいて発生する振動を確実に検知する事は、この振動を測定する為の振動センサ24を組み込んだセンサユニット17を、前記複列円すいころ軸受ユニット8を構成する外輪9の端部に締り嵌めにより固定した外径側環体14(図6参照)に固定している事により実現できる。この構成により、前記複列円すいころ軸受ユニット8により回転自在に支持された、両端部に車輪3(図5参照)を固定した車軸7(図6参照)に関する振動値が、前記振動センサ24に確実に伝わり、この振動を確実に検知できる。この為、前記振動値α、比較用の振動値β、延ては前記差の絶対値|α−β|を、精度良く求められる。
【0031】
又、前記車軸7に加わる振動値を、正常運行時にも発生する振動値と確実に判別する事は、前記振動センサ24が測定した、その瞬間のその車輪3(車軸7)に関する振動値αと、比較すべき振動値βとの差の絶対値|α−β|を求め、この差の絶対値|α−β|に基づいて脱線しているか否かを判定する事により実現できる。即ち、この差の絶対値|α−β|により判定すれば、軌道(レール)が荒れている等により通常走行時に発生する振動が大きい様な場合でも、脱線に基づく振動の変化を確実に検知できる。又、ポイント通過時等、通常時にも発生し得る比較的大きな振動とも見分けられる。この為、前記差の絶対値|α−β|に関する、脱線の発生を検知する為の閾値の設定が容易になり、鉄道車両が脱線した事を確実且ついち早く検知できる。
尚、脱線検知装置は全車軸に関して設ける。そして、前記(1)を採用した場合には、振動値α、βを相互に比較し合う。
【0032】
[実施の形態の第2例]
図2は、請求項1〜3、6に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。上述した実施の形態の第1例が、車輪3(車軸7)の振動値により脱線しているか否かを判定するのに対して、本例の場合には、この車輪3(車軸7)の回転速度により脱線しているか否かを判定する。この回転速度の測定は、例えば、前述の図6に示した、回転速度センサ22と凹凸部26との組み合わせにより行う。鉄道車両がレール上を走行している場合、総ての車輪3、3(図4参照)の回転速度は互いに等しくなるのに対して、一部の車輪3が脱線した場合には、当該車輪3の回転速度は他の車輪3の回転速度と異なる値になる。そこで本例の構造は、この様な、脱線した車輪3と、未だ脱線していない車輪3との間に生じる回転速度の差に基づいて、前記鉄道車両が脱線しているか否かを判定する様にしている。尚、本例の場合も、回転速度の値αと比較する為の回転速度の値βとして、次の(1)(2)のうちの何れか一方を採用する。
(1) 別の台車に回転自在に支持した、別の車輪に関する回転速度値。
(2) 同じ車輪に関して直前に測定し、判定器内のメモリに記憶しておいた回転速度値。
【0033】
以下、本例の構造の作用に就いて説明する。
前記回転速度センサ22が検出した、前記車輪3(車軸7)の回転速度を表す信号は、図示しない判定器に送る。すると、この判定器は、図2のフローチャートに示した作用により、前記鉄道車両が脱線したか否かを判定する。先ず、ステップ1で、ブレーキが作動しているか否かを判定する。この判定は、前記(1)(2)のうちの(2) を採用した場合には必須である。ブレーキ作動に伴う速度変化を、脱線と誤判定する事を防止する為である。これに対して、前記(1) を採用した場合には省略する事もできる。ブレーキ作動時には、総ての車輪3、3の回転速度がほぼ同期して低下する為である。前記ステップ1を設けた場合で、ブレーキが作動状態にある場合には、脱線しているか否かを判定する事なく、そのまま元に戻る。脱線している場合に運転者が施す処置が、「駆動停止→制動」に限られる以上、ブレーキ作動時に前記判定を行う事の意味が小さい事と、前記(2) を採用した場合には、前記理由により、信頼性のある判定を行えない為である。
【0034】
前記ステップ1でブレーキが作動していないと判定した場合、或いは、前記(1) を採用してこのステップ1を省略した場合には、ステップ2で前記車輪3の回転速度を測定し、この回転速度の値αを表す信号を、前記判定器に取り込む。又、ステップ3で、比較用の車輪3の回転速度の値βを表す信号を、前記判定器に取り込む。この比較用の振動値βとして、前記(1)(2)の何れに示したものを採用した場合でも、判定器は、ステップ4で、前記両回転速度値α、βの差の絶対値|α−β|を求め、この差の絶対値|α−β|を、前記判定器の比較回路中に予め設定しておいた所定値(閾値)γと比較する。この場合に、前述した実施の形態の第1例の場合の様な遅延時間を設定する必要はない。
【0035】
前記(1)(2)の何れに示したものを採用した場合でも、前記差の絶対値|α−β|が前記所定値γ未満の場合には、脱線していないと判定した上で、前記ステップ1に戻り、以下、前記鉄道車両が走行している限り、以上の動作を繰り返す。これに対して、前記差の絶対値|α−β|が、前記所定値γ以上である場合には、脱線していると判定し、ステップ4で、運転者に注意を喚起する為の警報(ブザーやベルによる警報音の発音や警告灯の点灯等)を発する。又、必要に応じて、自動的に駆動を停止したり、更には制動を行う。即ち、脱線に伴って前記車輪は、滑らかなレール上から凹凸の激しい枕木やバラス上を走行する事になる為、脱線前とは回転速度が変化し、しかも短時間の間に大きく変動する結果、前記差の絶対値|α−β|が急拡大し、しかも、この差の絶対値|α−β|が、短時間の間に激しく変動する。そこで、この差の絶対値|α−β|に基づいて脱線しているか否かを判定すれば、脱線の状況如何に拘らず、この判定を精度良く行える。
その他の構成及び作用は、前述した実施の形態の第1例の場合と同様である。
【0036】
[実施の形態の第3例]
図3は、請求項1〜3、7に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。前述した実施の形態の第1例が車輪3(車軸7)の振動値により、上述した実施の形態の第2例が同じく回転速度により、それぞれ脱線しているか否かを判定するのに対して、本例の場合には、車軸7(図6参照)の角度により脱線しているか否かを判定する。この角度の測定は、例えば、前述の図6に示した軸受箱6内に支持固定したジャイロセンサ(図示せず)により行う。鉄道車両がレール上を走行している場合、所定方向(例えば、水平面上で、車両の幅方向或いは長さ方向)に対する前記車軸7の傾斜角度の変動は限られている。カーブやポイント部分の走行に伴って変化する場合でも、その変化は緩徐で済み、変化量も限られた値に止まる。
【0037】
これに対して、一部の車輪3が脱線した場合には、当該車輪3を端部に固定した車軸7の、前記所定方向に対する傾斜角度が、急激に、且つ、大きく変化する。そこで本例の構造は、この様な、脱線した車輪3と、未だ脱線していない車輪3との間に生じる、前記所定方向に対する傾斜角度の差に基づいて、前記鉄道車両が脱線しているか否かを判定する様にしている。尚、本例の場合も、傾斜角度の値αと比較する為の傾斜角度の値βとして、次の(1)(2)のうちの何れか一方を採用する。
(1) 別の台車に回転自在に支持した、別の車軸に関する傾斜角度値。
(2) 同じ車輪に関して直前に測定し、判定器内のメモリに記憶しておいた傾斜角度値。
【0038】
以下、本例の構造の作用に就いて説明する。
前記ジャイロセンサが検出した、前記車軸7の傾斜角度を表す信号は、図示しない判定器に送る。すると、この判定器は、図3のフローチャートに示した作用により、前記鉄道車両が脱線したか否かを判定する。先ず、ステップ1で前記車軸7の傾斜角度(この車軸7の方向)を測定し、この傾斜角度(方向)の値αを表す信号を、前記判定器に取り込む。又、ステップ2で、比較用の車軸7の傾斜角度(方向)の値βを表す信号を、前記判定器に取り込む。この比較用の傾斜角度の値βとして、前記(1)(2)のうちの何れに示したものを採用した場合でも、判定器は、ステップ3で、前記両傾斜角度の値α、βの差の絶対値|α−β|を求め、この差の絶対値|α−β|を、前記判定器の比較回路中に予め設定しておいた所定値(閾値)γと比較する。この場合に、前述した実施の形態の第1例の場合の様な遅延時間を設定する必要はない。ポイント通過等に伴って、異なる台車の傾斜角度が異なった場合でも、その差は限られた値に止まる為、前記所定値(閾値)をこの値よりも大きく設定すれば、通常時の状態で前記異なる台車の置かれている状況が異なっても、その影響を排除できる為である。
【0039】
前記(1)(2)のうちの何れに示したものを採用した場合でも、前記差の絶対値|α−β|が前記所定値γ未満の場合には、脱線していないと判定した上で、前記ステップ1に戻り、以下、前記鉄道車両が走行している限り、以上の動作を繰り返す。これに対して、前記差の絶対値|α−β|が、前記所定値γ以上である場合には、脱線していると判定し、ステップ4で、運転者に注意を喚起する為の警報(ブザーやベルによる警報音の発音や警告灯の点灯等)を発する。又、必要に応じて、自動的に駆動を停止したり、更には制動を行う。即ち、脱線に伴って前記車軸7は大きく傾斜する為、脱線前とは前記所定方向に対する傾斜角度が変化し、しかも短時間の間に大きく変動する結果、前記差の絶対値|α−β|が急拡大し、しかも、この差の絶対値|α−β|が、短時間の間に激しく変動する。そこで、この差の絶対値|α−β|に基づいて脱線しているか否かを判定すれば、脱線の状況如何に拘らず、この判定を精度良く行える。
その他の構成及び作用は、前述した実施の形態の第1〜2例の場合と同様である。
【0040】
[実施の形態の第4例]
図4は、請求項1〜5に対応する、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例の構造は、前述の特許文献5に示した様に、車軸7を回転自在に支持する為の複列円すいころ軸受ユニット8の構成部品の損傷の有無に就いて判定する機能の他、脱線しているか否かを判定する機能に加えて、急制動等により車輪3(図5参照)の一部に平坦部が形成されているか否かも判定できる様にしている。この様な判定は、前述の図6の構造で、センサユニット17を構成する回転速度センサ22及び振動センサ24(図6参照)が検出した、前記車軸7の回転速度及び前記複列円すいころ軸受ユニット8の振動に基づいて行う。以下、その動作に就いて、図4のフローチャートに基づいて説明する。
【0041】
先ず、ステップ1で前記振動センサ24の測定信号を取り込み、ステップ2でこの測定振動をディジタル化し、更にステップ3で増幅してから、ステップ4で、前記測定信号をフィルタ処理する。更に、このフィルタ処理した測定信号を、ステップ5でエンベロープ処理してから、ステップ6で周波数分析する。この周波数分析は、下記の表1に示す様な式に基づいて行い、前記複列円すいころ軸受ユニット8の各構成部品毎の振動周波数成分Sx(内輪軌道に基づく振動周波数成分Si、外輪軌道に基づく振動周波数成分So、各転動体に基づく振動周波数成分Sb、保持器に基づく振動周波数成分Sc)と、前記車輪3に基づく振動周波数成分Srとを求める。これら各周波数成分は、前記複列円すいころ軸受ユニット8の仕様及び前記車輪3の直径と、前記回転速度センサ22の測定値に基づいて求まる、前記車軸7の回転速度(Hz)とに基づいて求める。同時に、ステップ8で、これら各周波数成分Sx(Si、So、Sb、Sc)、Srの基準値(閾値)を求める。この基準値とは、正常状態でも前記複列円すいころ軸受ユニット8部分で発生すると想定される、各周波数の振動の大きさで、この様な基準値に就いても、前記仕様及び前記回転速度と前記車軸7の回転速度とに基づいて求める。
【0042】
【表1】

【0043】
前記各周波数成分Sx(Si、So、Sb、Sc)、Srそれぞれの基準値を求めたならば、続くステップ9で、これら各周波数成分Sx(Si、So、Sb、Sc)、Srに関して、前記ステップ8で求めた各基準値と実際に発生している振動の大きさとを比較する。そして、何れかの各周波数成分Sx(Si、So、Sb、Sc)、Srに関して、発生している振動の大きさが基準値を越えている(ピークが何れかの周波数成分に一致している)と判定した場合には、ステップ10に移る。このステップ10では、前記複列円すいころ軸受ユニット8の各構成部品の何れか又は前記車輪3の何れかの部分に異常が発生していると判定し、ピークを生じている周波数に基づいて、何れの部分に異常が発生しているかを特定する。そして、ステップ11で、異常が発生している旨、及び、異常箇所を示す表示を表す信号を出力する。そして、この信号に基づいて、運転席等に、警告を挟持する。
【0044】
これに対して、前記ステップ9で、前記各周波数成分Sx(Si、So、Sb、Sc)、Srに関する限り、発生している振動の大きさが基準値を越えていない(ピークが何れの周波数成分にも一致していない)と判定した場合には、ステップ12に移る。そして、このステップ12では、前述の図1又は図2に示した様な作用により、振動値或いは回転速度値の変化量の絶対値の差を求め、脱線しているか否かを判定する。そして、脱線していないと判定した場合には、ステップ13で、前記複列円すいころ軸受ユニット8の各構成部品にも、前記車輪3にも異常が発生しておらず、且つ、脱線もしていないと判定して、再び前記ステップ1に戻る。これに対して、前記ステップ12で脱線していると判定した場合には、ステップ14に移り、「駆動停止→制動」等の、転覆防止に必要な処置を運転者に促す。
その他の構成及び作用は、前述した実施の形態の第1〜3例の場合と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の形態の第1例の作用を示すフローチャート。
【図2】同第2例の作用を示すフローチャート。
【図3】同第3例の作用を示すフローチャート。
【図4】同第4例の作用を示すフローチャート。
【図5】従来から知られている鉄道車両の脱線検知装置の1例を示す略側面図。
【図6】従来から知られている、センサ付鉄道車両用転がり軸受ユニットの1例を示す部分断面図。
【符号の説明】
【0046】
1 車体
2 台車
3 車輪
4 レール
5 脱線検知装置
6 軸受箱
7 車軸
8 複列円すいころ軸受ユニット
9 外輪
10 内輪
11 転動体
12 軸受内部空間
13 内径側環体
14 外径側環体
15 ラビリンスシールユニット
16 円輪部
17 センサユニット
18 ボルト
19 ナットプレート
20 センサケース
21 プリント基板
22 回転速度センサ
23 温度センサ
24 振動センサ
25 ナット筒
26 凹凸部
27 透孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端部に車輪を固定した鉄道車両の車軸を、台車に対し回転自在に支持する転がり軸受と、この転がり軸受の一部に支持固定されて、前記車輪の状態に応じて変化する物理量を測定するセンサと、このセンサが測定した、その瞬間のその車輪に関する物理量と比較すべき物理量との差を求め、この差の絶対値が所定値以上の場合に脱線していると判定する判定器とを備えた鉄道車両の脱線検知装置。
【請求項2】
比較すべき物理量が、別の台車に別の転がり軸受により回転自在に支持した、別の車輪に関する同種の物理量であり、判定器は、各瞬間毎に、異なる車輪に関する物理量同士の間の差を求める、請求項1に記載した鉄道車両の脱線検知装置。
【請求項3】
比較すべき物理量が、同じ車輪に関して直前に測定した同種の物理量であり、判定器は、メモリ中に記憶した比較すべき物理量とその瞬間のその車輪に関する物理量との差を求める、請求項1に記載した鉄道車両の脱線検知装置。
【請求項4】
物理量が車軸の振動値であり、センサが振動センサである、請求項1〜3のうちの何れか1項に記載した鉄道車両の脱線検知装置。
【請求項5】
差の絶対値に関して、所定値よりも小さな第二の所定値を設定し、判定器は、比較する1対の振動値の差がこの所定値未満であるがこの第二の所定値以上である場合に、車輪若しくは転がり軸受に異常が発生していると判定する機能を備えている、請求項4に記載した鉄道車両の脱線検知装置。
【請求項6】
物理量が車軸の回転速度であり、センサが回転速度検出センサである、請求項1〜3のうちの何れか1項に記載した鉄道車両の脱線検知装置。
【請求項7】
物理量が任意の所定方向に関する車軸の角度であり、センサがジャイロセンサである、請求項1〜3のうちの何れか1項に記載した鉄道車両の脱線検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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