説明

鉛蓄電池用排気栓及び該排気栓を備えた鉛蓄電池

【課題】防爆フィルタに含浸された電解液が排気孔を通して外部に放出されるのを防ぐことができる排気栓を提供得する。
【解決手段】排気栓本体11を鉛蓄電池の電槽に取り付けた際に、排気栓本体の筒状部12の下部が電槽内の電解液32中に浸漬されるように筒状部12の長さを設定する。筒状部12の下部に電解液還流孔21を設けて筒状部12内の下部に電解液を導入する。排気栓本体の筒状部12内の空間を上下に仕切るように防爆フィルタ18を配置し、防爆フィルタ18よりも上方の位置で排気栓本体11の筒状部12内を電槽内のガス空間Gに連通させるように通気孔19を設ける。防爆フィルタ18の外周面に対面する位置に一端が開口し、他端が排気栓本体の頭部に開口した排気孔20を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉛蓄電池用排気栓及び該排気栓を備えた鉛蓄電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉛蓄電池においては、充電時に負極から水素ガスが発生し、正極から酸素ガスが発生する。これらのガスが電槽内に溜まると電槽内の圧力が上昇して危険であるため、電槽の蓋に設けられた液口に排気栓を取り付けて、電槽内で発生したガスを排気させるようにしている。この種の鉛蓄電池において、充電時に排気栓から外部に排出された水素ガスに周囲の工具で発生したスパークや、タバコの火などが触れて引火したときに、その火点が電槽内に進入すると、電池が爆発するおそれがある。そのため、この種の鉛蓄電池においては、排気栓として、防爆形のものを用いている。
【0003】
防爆形の排気栓は、例えば図5に示したように構成されていた。図示の排気栓1は、鉛蓄電池の電槽の蓋(図示せず。)に設けられた液口を通して電槽内に挿入される筒状部101を有して液口を液密に閉じた状態で電槽の蓋に取り付けられる排気栓本体102と、排気栓本体102の筒状部101内に配置された防爆フィルタ2とを備えている。排気栓本体102の頭部には、一端が筒状部101内に開口し、他端が外気に開放された排気孔103が設けられている。筒状部101の下端には、電槽内の上部のガス空間を筒状部101内に連通させる通気孔104が設けられ、防爆フィルタ2は、通気孔104と排気孔103との間に介在するように配置されている。またこの排気栓においては、電槽内の電解液の飛沫が防爆フィルタ2に触れるのを抑制するために、筒状部101内に、防沫板105が配置されている。筒状部101の上部の外周には液口の開口部の周囲に当接する鍔部106が形成され、この鍔部の下面には、鍔部106と図示しない液口の周囲との間をシールするパッキン107が貼り付けられている。筒状部101の外周にはまた、排気栓を電槽の蓋に取り付ける際に液口の下部内周に設けられた雌ネジ部に螺合される雄ねじ部108が形成されている。この種の排気栓は例えば特許文献1に示されている。
【0004】
防爆フィルタ2は、多孔性を有するセラミック等により円盤状に形成されていて、充電時に電槽内で発生した酸素ガス及び水素ガスを排気する機能と、排気された水素ガスに引火したときにその火点が電槽内に進入するのを阻止する機能とを果たす。
【特許文献1】特開2003−132867号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図5に示した排気栓においては、車両の走行時等に振動により電槽内で電解液が波立ち、跳ね上がると、防爆フィルタ2が電解液を多量に含んだ状態になることがある。このような状態が生じると、充電時に発生した水素ガス及び酸素ガスが防爆フィルタを通り抜けて排気孔から外部に放出される際に、同時に電解液が漏出するおそれがあった。
【0006】
本発明の目的は、防爆フィルタが電解液を多量に含んだ状態で電池が充電されてガスが発生した際に、電解液が外部に漏出するおそれをなくした鉛蓄電池用排気栓及びこの排気栓を用いた鉛蓄電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、鉛蓄電池の電槽の蓋に設けられた液口を通して電槽内に挿入される筒状部を有して液口を液密に閉じた状態で電槽の蓋に取り付けられる排気栓本体と、排気栓本体の筒状部内に配置された防爆フィルタとを備えた鉛蓄電池用排気栓を対象とする。本発明が対象とする排気栓においては、排気栓本体に、一端が筒状部内に開口し他端が外気に開放された排気孔と、電槽内の上部のガス空間を筒状部内に連通させる通気孔とが設けられ、防爆フィルタは、通気孔と排気孔との間に介在するように配置されている。
【0008】
本発明においては、排気栓本体を電槽に取り付けた際に、排気栓本体の筒状部の下部が電槽内の電解液中に浸漬されるように、筒状部の長さが設定され、防爆フィルタは、排気栓本体の筒状部内の空間を上下に仕切るように配置されている。通気孔は、防爆フィルタよりも上方の位置で排気栓本体の筒状部内に連通するように設けられ、筒状部の下部には、一端が筒状部内に開口し、他端が電槽内の電解液中に開口させられる電解液還流孔が設けられている。そして本発明においては、排気栓本体が鉛蓄電池の電槽の蓋に取り付けられて、筒状部の下部が電解液中に浸漬された際に、電解液還流孔を通して筒状部内の下部に電解液が導入されて、防爆フィルタの下方に形成された筒状部内のガス空間が、筒状部内の下部に導入された電解液により、電槽内の上部のガス空間から遮断されるように電解液還流孔が設けられている。
【0009】
上記のように、排気栓本体の筒状部内の空間を上下に仕切るように防爆フィルタを配置して、防爆フィルタよりも上方の位置で通気孔を排気栓本体の筒状部内に連通させるように設けるとともに、電解液還流孔を通して筒状部の下部の内側に電解液を導入することにより、筒状部内の防爆フィルタより下方の空間を電槽内のガス空間から遮断する構造にすると、排気栓本体の筒状部内の下部の電解液側から防爆フィルタ側にガスが進入することは殆どなく、電池で発生したガスは、通気孔から排気栓本体内に流入する。通気孔から排気栓本体内に流入したガスは、防爆フィルタを上方より下方に抜けるため、防爆フィルタに含浸された電解液の殆どは、このガスの流れにより下方に押し出されて、排気栓本体の筒状部内の下部に落下する。従って、電池に加わる振動等による電解液面の波立ちにより電解液が防爆フィルタに触れて、防爆フィルタに電解液が含浸された状態が生じたとしても、含浸された電解液の大部分を電槽内に戻すことができ、電解液が排気孔から外部に漏出するのを防ぐことができる。
【0010】
本発明の好ましい態様では、排気孔の一端が、防爆フィルタの外周面に対面する位置で排気栓本体の筒状部の内周面に開口するように設けられていて、排気孔が防爆フィルタ内と該防爆フィルタよりも上方に形成された筒状部内の上部空間とを通して通気孔に連通させられている。
【0011】
本発明の他の好ましい態様では、排気孔の一端が防爆フィルタよりも下方の位置で排気栓本体の筒状部の内周面に開口するように排気孔が設けられていて、排気孔が防爆フィルタと該防爆フィルタよりも上方に形成された筒状部内の上部空間とを通して通気孔に連通させられている。
【0012】
上記通気孔は、防爆フィルタよりも上方の位置で筒状部の周壁部の上部を径方向に貫通した状態で設けることができる。
【0013】
本発明の好ましい態様では、排気栓本体の筒状部の下端が底壁部で閉鎖される。この場合、電解液還流孔は、排気栓本体の筒状部の周壁部の下部の底壁部寄りの部分を径方向に貫通した状態で設けられていてもよく、底壁部を上下に貫通した状態で設けられていてもよい。
【0014】
本発明はまた極板群を電解液と共に収容した電槽の蓋部に液口が設けられて、該液口を閉じるように排気栓が取り付けられている鉛蓄電池を対象とする。本発明に係わる鉛蓄電池は、排気栓として、前述の各構成を有するものを用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
上記のように、本発明においては、排気栓本体の筒状部内の空間を上下に仕切るように防爆フィルタを配置して、防爆フィルタよりも上方の位置で通気孔を排気栓本体の筒状部内に連通させるように設けるとともに、電解液還流孔を通して筒状部の下部の内側に電解液を導入することにより、筒状部内の防爆フィルタより下方の空間を電槽内のガス空間から遮断する構造にしたので、電池で発生したガスの殆どを通気孔から排気栓本体内に流入させて、防爆フィルタを上方から下方に通過させることができる。従って、本発明によれば、防爆フィルタに含浸された電解液の殆どを、ガスの流れにより下方に押し出して排気栓本体の筒状部内の下部に存在する電解液中に戻すことができ、防爆フィルタに含浸された電解液が排気孔側に流れるのを防いで、電解液が排気孔を通して外部に漏出するのを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係わる排気栓10を示したもので、同図において、11は排気栓本体で、この排気栓本体は、円筒状の筒状部12と、筒状部12の上端の開口部を閉じるように設けられた頭部13と、筒状部12の下端の開口部を閉鎖する底壁部14とを有している。本発明においては、排気栓本体11を鉛蓄電池の電槽に取り付けた際に、排気栓本体の筒状部12の下部が電槽内の電解液中に浸漬されるように、筒状部12の長さが設定されている。図1において、Lは本実施形態の排気栓10を鉛蓄電池の電槽の蓋に取り付けた際の電解液の液面レベルの一例を示している。
【0017】
図示の頭部13は板状に形成されていて、その外周側には筒状部12の外周面よりも径方向の外側に突出した鍔板部13aが形成されている。また頭部13の上面には、この排気栓を電槽の蓋に取り付ける際に指でつまんだり、工具を係合させたりするためのつまみ15が突設されている。筒状部12の周壁部の上端寄りの外周には、電槽の液口の内周に形成された雌ネジ部に螺合される雄ネジ部16が形成され、鍔板部13aの下面にはパッキン17が貼り付けられている。
【0018】
なお、本実施形態では、排気栓本体11の頭部13につまみ15を突設しているが、つまみ15に代えて、頭部13の上面にコイン溝を設けることもできる。
【0019】
排気栓本体11の筒状部12の周壁部の上部の内周には、円板状の防爆フィルタ18が隙間なく嵌合されて、接着等により筒状部12に固定され、この防爆フィルタ18により、筒状部12内の空間が2つの空間S1と空間S2とに上下に仕切られている。防爆フィルタ18は、多孔性セラミックス等からなっていて、軸線方向にも径方向にも通気性を有するように形成されている。防爆フィルタ18よりも上方の位置で筒状部12内の空間と外部(電槽内)とを連通させるように、筒状部12の周壁部の、防爆フィルタ18よりも上方の部分を径方向に貫通させて、少なくとも一つの通気孔19が形成されている。
【0020】
また筒状部12の周壁部の上部の肉厚部内と頭部13内とを上下に伸びるように排気孔20が形成されている。排気孔20は、その一端20aが防爆フィルタ18の外周面に対面する位置で排気栓本体11の筒状部12の内周面に開口し、他端(上端)20bが排気栓の頭部13の上面に開口するように設けられていて、排気孔20が防爆フィルタ18内と該防爆フィルタよりも上方に形成された筒状部12内の上部空間S1とを通して通気孔19に連通させられている。
【0021】
排気栓本体11の筒状部12の周壁部の下端を径方向に貫通させて、電解液環流孔21が設けられ、排気栓本体11が鉛蓄電池の電槽の蓋に取り付けられて、筒状部12の下部が電解液中に浸漬された際に、電解液還流孔21を通して筒状部12内の下部に電解液が導入されるようになっている。このように、排気栓本体11の筒状部12内の下部に電解液が導入された状態では、防爆フィルタ18の下方に形成された筒状部内のガス空間S2が、筒状部12内の下部の電解液により、電槽内の上部のガス空間から遮断される。また防爆フィルタ18の下方に形成された空間S2は、防爆フィルタ18により筒状部内の上部空間S1から遮断される。
【0022】
図4を参照すると、図1に示した排気栓を用いた鉛蓄電池30の要部の構成が示されている。図4において31は鉛蓄電池の電槽の上端の開口部を閉じる蓋、32は、正極板と負極板とをセパレータを介して積層してなる極板群(図示せず。)とともに電槽内のセル室33に収容された電解液である。電槽の蓋31には、セル室33内に突出した筒部34が一体に形成され、この筒部34の内側に液口35が形成されている。液口35は、その下端がセル室33内に開口し、上端が蓋31の上面に開口するように設けられていて、液口35の下部内周には雌ネジ部36が形成されている。また液口35の上端には排気栓10の頭部13を収容し得る内径と深さとを有する拡大径部37が形成され、筒部34の周壁部の雌ネジ部36よりも上方に位置する部分を径方向に貫通させて、排気栓10の通気孔19に連通する通気孔38が形成されている。
【0023】
排気栓10は、排気栓本体11の筒状部12を液口35を通して電槽(のセル室)内に挿入した状態で配置され、筒状部12の外周の雄ネジ部16が液口35の内周の雌ネジ部36に螺合されて締め付けられることにより、蓋31に取り付けられる。このようにして排気栓10を蓋31に取り付けた状態で、パッキン17が排気栓本体の頭部13の鍔板部13aと、液口35の拡大径部37の下部に形成された段部との間に圧縮された状態で配置されることにより、排気栓10と液口35との間のシールが図られている。
【0024】
上記のように排気栓10を蓋31に取り付けた状態では、防爆フィルタ18よりも上方に位置する筒状部12内の空間S1が通気孔19及び38を通して、電槽内の上部のガス空間(蓋31と電解液32との間の空間)Gに連通させられる。また電解液還流孔21を通して筒状部12の下部の内側に電解液32が導入され、筒状部12内の下部の電解液32により、筒状部12内の防爆フィルタ18よりも下方の空間S2が、電槽内のガス空間Gから遮断される。
【0025】
上記のように構成すると、排気栓本体11の筒状部12内の下部の電解液32側から防爆フィルタ18側にガスが進入することはほとんどないため、電池の充電時に正極板及び負極板で発生したガスの殆どは、通気孔38及び19から排気栓本体11内に流入する。通気孔19から排気栓本体11内に流入したガスは、防爆フィルタ18内を上方より下方に流れる。このガスの流れにより、防爆フィルタ18に含浸されていた電解液が防爆フィルタ18よりも下方の空間S2に押し出されて、筒状部12内の下部に存在する電解液に向けて落下する。また通気孔38及び19を通して排気栓本体内にガスが流入すると、排気栓本体内の圧力が大気圧よりも高くなるため、防爆フィルタ18の外周面から排気孔20を通してガスが外部に排出される。
【0026】
上記のように、充電時に電池で発生したガスは防爆フィルタ18内を上から下に流れるため、防爆フィルタ18に含浸された電解液の殆どは、下方に押し出されて、排気栓本体の筒状部12内の下部に存在する電解液32中に戻される。従って、電池に加わる振動等による電解液面の波立ちにより電解液が防爆フィルタ18に触れて、防爆フィルタ18に電解液が含浸された状態が生じたとしても、含浸された電解液が排気孔20側に流れるのを防ぐことができ、電解液が排気孔20から外部に漏出するのを防ぐことができる。
【0027】
本発明においては、基本的には排気栓本体11の筒状部12内に防沫板を設けることを要しないが、従来の排気栓と同様に、筒状部12内に防沫板を設けることを妨げるものではない。
【0028】
上記の実施形態では、排気栓本体の筒状部12の周壁部の下端に電解液環流孔21を設けたが、電解液還流孔21は、排気栓本体11を電槽内に挿入してその筒状部12の下端を電解液中に挿入したときに、該還流孔21を通して筒状部12内の下部に電解液を流入させるように、その電槽内への開口部及び筒状部12内への開口部をともに電解液の液面レベルLよりも下方に位置させた状態で設ければよく、電解液還流孔21の設け方は上記の例に限定されない。例えば、図2に示したように、筒状部12の底壁部14を上下に貫通させて電解液環流孔21を設けるようしてもよい。また底壁部14を設けることなく、筒状部12の下端を下方に開口させて、筒状部12の下端の開口部を電解液還流孔とするようにしてもよい。
【0029】
また図1に示した実施形態では、排気孔20の一端20aを防爆フィルタ18の外周面に対面する位置で排気栓本体の筒状部12の内周面に開口させたが、図3に示すように、排気孔20の一端20aを防爆フィルタ18よりも下方の位置で排気栓本体の筒状部12の内周面に(筒状部12の防爆フィルタ18よりも下方の空間S2に)開口させて、排気孔20を防爆フィルタ18と該防爆フィルタ18よりも上方に形成された筒状部内の上部空間S2とを通して通気孔19に連通させるようにしてもよい。
【0030】
このように、排気孔20の一端20aを防爆フィルタ18よりも下方に位置する筒状部内の空間S2に開口させると、防爆フィルタ18に含浸された電解液が排気孔20側に流れるのを更に効果的に防止することができる。
【0031】
上記の各実施形態では、排気孔20を1つだけ設けているが、排気抵抗を調整するために、必要に応じて、複数の排気孔を設けることができるのはもちろんである。同様に、通気孔19も複数個設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施形態に係わる排気栓の縦断面図である。
【図2】本発明の他の実施形態に係わる排気栓の縦断面図である。
【図3】本発明の更に他の実施形態に係わる排気栓の縦断面図である。
【図4】本発明に係わる鉛蓄電池の実施形態の要部の構成を示した断面図である。
【図5】従来の排気栓を示した縦断面図である。
【符号の説明】
【0033】
10 排気栓
11 排気栓本体
12 排気栓本体の筒状部
13 排気栓本体の頭部
16 雄ネジ部
18 防爆フィルタ
19 通気孔
20 排気孔
21 電解液環流孔
30 鉛蓄電池
31 電槽の蓋
32 電解液
35 液口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛蓄電池の電槽の蓋に設けられた液口を通して前記電槽内に挿入される筒状部を有して前記液口を液密に閉じた状態で前記電槽の蓋に取り付けられる排気栓本体と、前記排気栓本体の筒状部内に配置された防爆フィルタとを備え、前記排気栓本体には、一端が前記筒状部内に開口し他端が外気に開放された排気孔と、前記電槽内の上部のガス空間を前記筒状部内に連通させる通気孔とが設けられ、前記防爆フィルタは、前記通気孔と排気孔との間に介在するように配置されている鉛蓄電池用排気栓において、
前記排気栓本体を前記電槽に取り付けた際に、前記排気栓本体の筒状部の下部が前記電槽内の電解液中に浸漬されるように、前記筒状部の長さが設定され、
前記防爆フィルタは前記排気栓本体の筒状部内の空間を上下に仕切るように配置され、
前記通気孔は、前記防爆フィルタよりも上方の位置で前記排気栓本体の筒状部内に連通するように設けられ、
前記筒状部の下部には、一端が前記筒状部内に開口し、他端が前記電槽内の電解液中に開口させられる電解液還流孔が設けられ、
前記排気栓本体が前記電槽の蓋に取り付けられて、前記筒状部の下部が電解液中に浸漬された際に、前記電解液還流孔を通して前記筒状部内の下部に電解液が導入されて、前記防爆フィルタの下方に形成された前記筒状部内のガス空間が前記筒状部内の下部に導入された電解液により前記電槽内の上部のガス空間から遮断されるように前記電解液還流孔が設けられていること、
を特徴とする鉛蓄電池用排気栓。
【請求項2】
前記排気孔の前記一端は、前記防爆フィルタの外周面に対面する位置で前記排気栓本体の筒状部の内周面に開口するように設けられ、
前記排気孔が前記防爆フィルタ内と該防爆フィルタよりも上方に形成された筒状部内の上部空間とを通して前記通気孔に連通させられていること、
を特徴とする請求項1に記載の鉛蓄電池用排気栓。
【請求項3】
前記排気孔は、一端が前記防爆フィルタよりも下方の位置で前記排気栓本体の筒状部の内周面に開口するように設けられていて、前記排気孔が前記防爆フィルタと該防爆フィルタよりも上方に形成された筒状部内の上部空間とを通して前記通気孔に連通させられていること、
を特徴とする請求項1に記載の鉛蓄電池用排気栓。
【請求項4】
前記通気孔は前記防爆フィルタよりも上方の位置で前記筒状部の周壁部の上部を径方向に貫通した状態で設けられている請求項1,2または3に記載の鉛蓄電池用排気栓。
【請求項5】
前記排気栓本体の筒状部の下端は底壁部で閉鎖され、
前記電解液還流孔は、前記排気栓本体の筒状部の周壁部の下部の前記底壁部寄りの部分を径方向に貫通した状態で設けられている請求項1、2、3または4に記載の鉛蓄電池用排気栓。
【請求項6】
前記排気栓本体の筒状部の下端は底壁部で閉鎖され、
前記電解液還流孔は、前記底壁部を貫通した状態で設けられている請求項1、2、3または4に記載の鉛蓄電池用排気栓。
【請求項7】
極板群を電解液と共に収容した電槽の蓋部に液口が設けられて、該液口を閉じるように排気栓が取り付けられている鉛蓄電池において、
前記排気栓は、請求項1ないし6の何れか一つに記載された構成を有すること、
を特徴とする鉛蓄電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−73326(P2010−73326A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−236232(P2008−236232)
【出願日】平成20年9月16日(2008.9.16)
【出願人】(000001203)新神戸電機株式会社 (518)
【Fターム(参考)】