説明

鉛酸蓄電池用改良負極板

減少したペースト密度を有し、さらに、実質的に増加したBET表面積を有する負極板を提供し、結果として、改良した性能を有する電池を提供する鉛酸蓄電池の負極板用ペーストが開示される。開示されたペーストが、DFT窒素吸着等温線によって決定されるような、約20オングストロームから約320オングストロームの範囲のメソ細孔サイズ及び約0.1cm/g以上のメソ細孔体積を有する活性炭添加剤を含む。ペーストの炭素充填レベルが、各々乾燥ペースト鉛酸化物に対して、約1重量%及び2重量%である場合、開示されたペーストから製造された硬化負極板が、約9m/g及び19m/gのBET表面積を有する。開示されたペーストから製造された負極板を備えた電池が、鉛含量が少ないにもかかわらず、充電容量及びサイクル寿命などの性能を維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
鉛酸蓄電池は、電気化学的な蓄電池であって、通常、正極板と,負極板と,通常は液体の硫酸である電解質と、を備える。この板が、平行配向に保持され、多孔質セパレータによって電気的に分離され、電荷イオンの自由移動を可能にする。電池の正極板が、その表面上において、正の、導電性の二酸化鉛(PbO)の層で覆われた電流コレクタ(すなわち、金属板又はグリッド)を備える。電池の負極板が、負の、通常鉛(Pb)金属である活性材料で覆われた電極コレクタを備える。
【背景技術】
【0002】
放電サイクルの間、負極板によって供給された鉛金属(Pb)が、イオン化硫酸電解質と反応し、負極板の表面上に硫酸鉛(PbSO)を形成し、一方、正極板上に位置するPbOを、正極板上又はそれ付近において、PbSOに変化させる。(外部電流から供給される電子による)充電サイクルの間、負極板の表面上のPbSOが、Pb金属に戻り、正極板の表面上のPbSOが、PbOに戻る。実際には、充電サイクルにおいて、PbSOを、Pb金属とPbOとに変化させ;放電サイクルにおいて、Pb金属とPbOとをPbSOに戻すことにより、蓄積された電気ポテンシャルをリリースする。
【0003】
適切に機能するために、鉛酸蓄電池では、負極板が多孔質のまま維持されることを必要とする。しかしながら、負極板上の多孔質な鉛の表面が、放電の間に形成するPbSOの不可侵性膜によって覆われる。従って、負極板のPb金属の固化及び収縮を防ぐために、少量の増量剤(expander)が負極活性材料に追加され、この結果、負極板内の細孔の収縮又は閉鎖を防ぐ。有機増量添加剤の例には、液体硫酸塩及び亜硫酸塩から得られる有機材料、フミン酸,フミン,木質材料,リグニン,等が含まれる。
【0004】
近年、鉛酸蓄電池が、電気自動車用の電源として使用されており、大電流及び充電・放電の繰り返しを必要とする。さらに、自動車の内部空間を最大化させるために、電気自動車に使用される電池が、狭い空間内に配置されなければならない。
【0005】
従来の鉛酸蓄電池の負極板では、高温下での使用に対して、上記の電動の乗り物用の鉛酸蓄電池におけるような、満足な寿命性能を得ることが困難である。リグニン及び他の有機増量剤は、特に高温下で使用された場合、しばしば、初期段階で分解し、又は電解質内に逃げ、電池の耐用年数が減少する。
【0006】
さらに、鉛酸蓄電池に対する多くの新しいエンド−ユーズが、高率の充電性能に加えて、高入出力特性を必要とする(すなわち、短時間における高い入力性能)。高い充電性能は、負極板上に存在するPbSOの特性に大きく依存する。放電サイクルの間に生成されたPbSOが、イオン伝導率又は電子電導率のいずれかを欠く絶縁物質となる。さらに、PbSOが、極めて低い溶解度を有する。その極端に低いイオン伝導率及び溶解度のために、充電サイクルの間に、PbSOが、極めてゆっくりと金属のPbに変化し、鉛酸蓄電池が、しばしば、低率の充電性能を有する。
【0007】
リグニンのような従来の増量剤に加えて、添加剤が、鉛酸蓄電池の負極板に使用されるペーストに追加されることが可能であり、耐用年数を増やし、電池の高率の充電性能を高める。
【0008】
特許文献1では、材料を含むバリウムのような無機増量剤及びリグノスルホン酸塩のような有機増量剤と組み合わせて、鉛酸蓄電池用の負の電池ペーストにおける添加剤としてカーボンブラックを使用する。特許文献2には、鉛酸蓄電池の板を形成する活性材料への添加剤として、ポリアクリロニトリル(PAN)前駆体又はピッチ(pitch)前駆体のいずれかからの位置関係的な等方性グラファイトファイバーの使用が説明されている。特許文献3には、鉛酸蓄電池の負極板用の添加剤として有用であり、10マイクロメートル以下の直径、50以上のアスペクト比、及び2m/gの比表面積を有する、炭素、グラファイト又はチタンカリウムから製造された電気−導電性ウィスカが説明されている。特許文献4には、100ナノメートル以下の平均粒径を有する、鉛酸蓄電池の負極板用の導電性添加剤が説明されている。これらの添加剤が、炭素、アセチレンブラック、ポリアニリン、錫粉末、又は錫化合物粉末であってよい。特許文献5には、鉛酸蓄電池用の負極板用の添加剤としての、30マイクロメートル以下の平均粒径を有するグラファイト粉末の使用が教示されている。
【0009】
鉛酸蓄電池の負極板ペースト用の添加剤としてのカーボンブラック、グラファイトカーボン、及びそれらの誘導体の使用には、多くの欠点がある。カーボンブラック及びグラファイトの各々が、充電サイクルの間に、及びペースト内に混合された場合に、極めて低い密度、極めて悪い粒径の保持率を有する。結果として、これらが、セパレータを介して負極板の外に容易に流出し、自己放電が増加する。さらに、鉛酸蓄電池の通常の作動電圧に曝された場合、グラファイトカーボンに、硫酸塩が侵入することが可能であり、結果として、その有効性が大きく減少する。
【0010】
通常、電池用の負極板ペーストが、約70g/inの密度を有し、標準的な電池容量、充電、及び寿命性能を得る。低密度の負極板が、資源を節約し、電池製造コストを低減させうる。悪いことに、通常、機械的な欠点又は不十分な化学的及び/若しくは電気化学的活性のいずれかのために、低密度の負極板の性能が悪い。
【0011】
ペースト混合物への水及び/又は硫酸の追加によって、ペースト密度が減少しうる。しかしながら、これは、しばしば、不十分なペーストの接着性を引き起こし、結果として、ペースト処理の終了時及び/又は板硬化の後で、板の完全性の減少を引き起こす。このペーストが、ペースト処理の間に装置に接着するために、板のグリッドに元の状態のままに保たれない。板が硬化する間、グリッド接触が悪いために、ペーストが、グリッドを“崩し(crumble)”うる。さらに、硬化板とのペーストの接着の悪さが、処理上の問題を生じる。
【0012】
特許文献6では、活性炭、カーボンブラック等の炭素材料上に担持されている、脱硫用の触媒又はSOx酸化用の触媒を含む鉛酸蓄電池用の負極板用の添加剤が説明されている。このような炭素添加剤から形成された負極板が、減少した板の密度を示す。しかしながら、得られた負極板が、減少した表面積を有し、これによって、それを含む鉛酸の性能が悪くなる。
【0013】
従って、資源を節約し、電池の製造コストを下げるためには、負極板ペーストが低い密度を有する必要性が残り、さらに、それによって製造される負極板の性能を、高めることができないにせよ、維持する必要がある。
【0014】
さらに、従来の鉛酸蓄電池と比較して、鉛酸蓄電池が、増加したサイクル寿命、改良された容量及び充電特性を有することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第6740452号明細書
【特許文献2】米国特許第5223352号明細書
【特許文献3】米国特許第5156935号明細書
【特許文献4】米国特許第5547783号明細書
【特許文献5】米国特許第6548211号明細書
【特許文献6】米国特許第7083876号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
減少したペースト密度を有し、さらに、実質的に増加したBET表面積を有する負極板を提供し、結果として、改良された性能を有する電池を提供する、鉛酸蓄電池の負極板用のペーストが、開示される。開示されたペーストが、DFT窒素吸着等温線によって決定されるような、約20オングストロームから約320オングストロームの範囲のメソ細孔サイズ及び約0.1cm/g以上のメソ細孔体積を有する活性炭添加剤を含む。ペーストの炭素充填レベルが、各々乾燥ペースト鉛酸化物に対して、約1重量%及び2重量%である場合、開示されたペーストから製造された硬化負極板が、約9m/g及び19m/gのBET表面積を有する。開示されたペーストから製造された負極板を備えた電池が、鉛含量が少ないにもかかわらず、充電容量及びサイクル寿命などの性能を維持する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本開示のペーストと、ココナッツ−ベースの活性炭、カーボンブラック、フレークグラファイト、膨張グラファイト、又はグラファイト及びカーボンブラックの混合物を含むペーストとを比較する、異なる添加剤充填レベルでの湿潤(wet)ペースト密度を示すグラフである。
【図2】ココナッツ−ベースの活性炭、カーボンブラック、フレークグラファイト又は膨張グラファイトを含むペーストから製造された負極板と、本開示のペーストを含む負極板とを比較する、異なる添加剤充填レベルでの硬化負極板のBET表面積を示すグラフである。
【図3】異なるペースト:1%の炭素が充填された開示されたペースト、1%の炭素が充填されたココナッツ−ベースの活性炭を含むペースト、及び炭素添加剤を含まないペースト:から製造された負極板を有する鉛酸蓄電池の冷間割れ(cold cracking)性能及び予備容量(reserve capacity)を示すグラフである。
【図4】異なるペースト:1%の炭素が充填された開示されたペースト、1%の炭素が充填されたココナッツ−ベースの活性炭を含むペースト、及び炭素添加剤を含まないペースト:から製造された負極板を有する鉛酸蓄電池のサイクル寿命を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ここで、本開示は、以下においてさらに十分に説明されるが、本開示の全ての実施形態が、必ずしも示さるわけではない。本開示が、例示的な実施形態を参照して説明されるが、本開示の範囲を逸脱することなく、様々な変更がなされてよく、その構成要素が、同等な物で置換されてもよいことを、当業者は理解するだろう。さらに、特定の状況又は材料に適応するために、本開示の教示に対し、本開示の本質的な範囲を逸脱することなく、多くの修正がなされてよい。
【0019】
本開示の用語“メソ細孔”とは、DFT窒素吸着等温線によって決定されるような、約20オングストロームから約320オングストロームの範囲の細孔サイズ及び約0.1cm/g以上の細孔体積をいう。
【0020】
本開示のペーストは、鉛酸蓄電池の負極板に適している。開示されたペーストが、DFT窒素吸着等温線によって決定されるような、約20オングストロームから約320オングストロームの範囲のメソ細孔サイズ及び約0.1cm/g以上のメソ細孔体積を有する活性炭添加剤を含む。本開示の一実施形態において、活性炭添加剤が、約0.1cm/gから約1.5cm/gの範囲のメソ細孔体積を有し、及びDFT窒素吸着等温線によって決定されるような、約20オングストロームから約320オングストロームの範囲のメソ細孔サイズを有する。開示されたペーストにおける活性炭添加剤の量が、目的とされるエンドユーズの用途に応じて、変えられ、最適化される。
【0021】
活性炭に対する炭素原料として、様々な材料が、本開示において使用されてよい。これらが、制限するものではないが、木材、コットンリンター、ピート、コール、ココナッツ、褐炭、炭水化物、石油ピッチ、石油コークス、コールタールピッチ、フルーツピット(fruit pits)、ナッツ殻、ナッツピット(nut pits)、おがくず、木粉、カーボンブラック、グラファイト、アセチレン−ベースの材料、合成ポリマー、及び天然ポリマー、並びにこれらの組み合わせを含む。さらに、活性炭が、制限するものではないが、化学活性化、熱活性化、及びこれらの組み合わせを含む様々なプロセスを使用して、製造されてよい。
【0022】
異なる充填レベルの活性炭添加剤を含む開示されたペーストが準備された。開示されたペーストの密度が、測定され、異なる炭素添加剤を有するペーストの密度と比較された。比較となる炭素添加剤は、ココナッツ−ベースの活性炭、カーボンブラック、グラファイトカーボン、カーボンブラックとグラファイトとの混合物であった。同じ充填レベルにおいて、開示されたペーストとココナッツ−ベースの活性炭を含むペーストとの湿潤ペースト密度が、カーボンブラック、グラファイトカーボン又はこれらの組み合わせを含むペーストの密度と比較して、低いペースト密度を示した(図1)。負極ペーストに、(酸化物に対して)1重量%以上の炭素添加剤が充填された場合、活性炭添加剤を含むペーストが、グラファイト又はカーボンブラック添加剤を含むそれらと比較して、かなり低い密度を示した。
【0023】
本開示における負極板が、以下のステップを含むプロセスによって製造される:
(a)DFT窒素吸着等温線によって決定されるような、約20オングストロームから約320オングストロームの範囲のメソ細孔サイズ及び約0.1cm/g以上のメソ細孔体積を有する活性炭を含むペースト混合物を提供するステップ、
(b)ペースト混合物を処理して負極板にするステップ。
【0024】
本開示における一実施形態において、負極板が、以下のステップを含むプロセスによって製造される。
(a)DFT窒素吸着等温線によって決定されるような、約20オングストロームから約320オングストロームの範囲のメソ細孔サイズ及び約0.1cm/gから約1.5cm/gの範囲のメソ細孔体積を有する活性炭を含むペースト混合物を提供するステップ、
(b)ペースト混合物を処理して負極板にするステップ。
【0025】
開示されたペーストによって製造された鉛酸蓄電池用の硬化負極板が、異なる炭素添加剤を含むペーストから製造された同等な負極板と比較して、予想以上に極めて大きなBET表面積を示し、従って、周知の鉛酸蓄電池と比較して、著しく優れた性能を有する電池を提供する。
【0026】
異なる充填レベルの活性炭添加剤を有する開示されたペーストから製造された負極板が、準備され、硬化された。得られた硬化負極板のBET表面積(窒素吸着)が、測定され、同じ充填レベルでの異なる炭素添加剤を含む負極板のBET表面積と比較された。比較となる炭素添加剤は、ココナッツ−ベースの活性炭、カーボンブラック、フレークグラファイト、及び膨張グラファイトであった(表1)。
【0027】
乾燥ペースト鉛酸化物に対して、約0.3重量%以上の炭素添加剤充填レベルにおいて、本開示の硬化負極板のBET表面積が、比較となる炭素添加剤を含む負極板のBET表面積よりも、予想以上に極めて大きいものであった。乾燥ペースト鉛酸化物に対して、約1重量%の炭素添加剤充填において、本開示の負極板が、約9m/gのBET表面積を示し、一方、ココナッツ−ベースの活性炭を含むペーストから製造された負極板が、約4m/gのBET表面積を示した。同じ炭素添加剤充填レベルにおいて、カーボンブラック,フレークグラファイト,及び膨張グラファイトを含むペーストから製造された負極板のBET表面積が、各々、わずか約3,2,及び3m/gであった。乾燥ペースト鉛酸化物に対して、約2重量%の炭素添加剤充填において、本開示の負極板が、約19m/gのBET表面積を示し、一方、ココナッツ−ベースの活性炭を含むペーストから製造された負極板が、わずか約7m/gのBET表面積を示した。同じ炭素添加剤充填レベルにおいて、カーボンブラック,フレークグラファイト,及び膨張グラファイトを含むペーストから製造された負極板のBET表面積が、各々、わずか約3,2,及び3m/gであった(図2)。
【0028】
【表1】

【0029】
活性炭添加剤を含むペーストの湿潤密度が、カーボンブラック,フレークグラファイト,又は膨張グラファイトを含むペーストの湿潤密度よりも小さい。予期したとおり、活性炭添加剤を含むペーストが、カーボンブラック,フレークグラファイト,又は膨張グラファイト添加剤を含むペーストよりも、大きなBET表面積を有する硬化負極板を提供する。開示されたペーストが、ココナッツ−ベースの活性炭添加剤を含むペーストとほぼ同じ湿潤密度を有する。従って、開示されたペーストから製造された硬化負極板が、ココナッツ−ベースの活性炭添加剤を含むペーストから製造された負極板とほぼ同じBET表面積を有することを、当業者は予期するだろう。しかしながら、開示されたペーストから製造された開示された負極板が、ココナッツ−ベースの活性炭を含むペーストから製造された負極板よりも、予想以上に極めて大きなBET表面積を示す。
【0030】
さらに、予備容量、冷間割れ性能、及びサイクル寿命などの電池性能に著しく有害な影響を及ぼすことなく、本開示のペーストの密度が減少しうる。
【0031】
電池の予備容量及び冷間割れ性能が、蓄電池向けの自動車技術者協会(the Society of Automotive Engineering)の規格 SAE J537プロトコルに従って、試験された。1重量%(酸化物に対して)の活性炭添加剤を含む開示されたペーストから製造された負極板を備えた鉛酸蓄電池が、炭素添加剤を含まないペーストから製造された負極板を備えた同等な電池と、ほぼ同じ予備容量及び冷間割れ性能を有していた(図3)。
【0032】
電池サイクル寿命が、自動車用蓄電池向けの自動車技術者協会の規格 SAE J240プロトコルに従って、試験された。図4に示されるように、酸化物に対して約1重量%の活性炭を充填した開示されたペーストから製造された負極板を備えた鉛酸蓄電池のサイクル寿命が、炭素添加剤を含まないペーストから製造された負極板を備えた同等な電池のサイクル寿命とほぼ同じサイクル寿命性能を有していた。反対に、同じ充填レベルのココナッツ−ベースの活性炭を含むペーストから製造された負極板を備えた同等な電池のサイクル寿命が、実質的に短かい。
【0033】
本開示の鉛酸蓄電池が、増大した耐用年数及び改良した充電容量を有する。開示された電池が、いくつも用途に対するエネルギー源として使用されてよい。制限するものではないが、これらには、電動の乗り物、ハイブリッド車、フォークリフトや特殊な短距離実用車などの電動ツール、電力変換及び記憶装置、テレコミュニケーションステーション、エレベーター、無停電電源、分散電源等のような電源システム、並びに、安定した制御と、高入出力特性とを必要とするいずれの他のシステムが含まれる。
【0034】
上記説明は、本発明の実施形態に関するものであるが、当業者には明らかになるように、その中で変更及び修正がなされうると理解される。このようなバリエーションは、特許請求の範囲に定義されるような本発明の範囲内に含まれると判断される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
DFT窒素吸着等温線によって決定される約20オングストロームから約320オングストロームの範囲のメソ細孔サイズ及び約0.1cm/g以上のメソ細孔体積を有する活性炭を含むことを特徴とする電池の負極板用ペースト。
【請求項2】
前記活性炭が、約0.1cm/gから約1.5cm/gの範囲のメソ細孔体積を有することを特徴とする請求項1に記載のペースト。
【請求項3】
前記活性炭の原料には、木材、コットンリンター、ピート、コール、ココナッツ、褐炭、炭水化物、石油ピッチ、石油コークス、コールタールピッチ、フルーツピット、ナッツ殻、ナッツピット、おがくず、木粉、カーボンブラック、グラファイト、アセチレン−ベースの材料、合成ポリマー、天然ポリマー、及びこれらの組み合わせで構成される群から選択された要素が含まれることを特徴とする請求項1に記載のペースト。
【請求項4】
化学活性化、熱活性化、及びこれらの組み合わせで構成される群から選択された要素を含む活性化プロセスによって、前記活性炭が、製造されることを特徴とする請求項1に記載のペースト。
【請求項5】
炭素−ベースの添加剤を含み、乾燥ペースト鉛酸化物に対して約1重量%の炭素添加剤充填レベルにおいて少なくとも約5m/gのBET表面積を有する負極板を提供することを特徴とする電池の負極板用ペースト。
【請求項6】
前記炭素−ベースの添加剤が、活性炭を含むことを特徴とする請求項5に記載のペースト。
【請求項7】
前記活性炭の原料には、木材、コットンリンター、ピート、コール、ココナッツ、褐炭、炭水化物、石油ピッチ、石油コークス、コールタールピッチ、フルーツピット、ナッツ殻、ナッツピット、おがくず、木粉、カーボンブラック、グラファイト、アセチレン−ベースの材料、合成ポリマー、天然ポリマー、及びこれらの組み合わせで構成される群から選択された要素が含まれることを特徴とする請求項6に記載のペースト。
【請求項8】
化学活性化、熱活性化、及びこれらの組み合わせで構成される群から選択された要素を含む活性化プロセスによって、前記活性炭が、製造されることを特徴とする請求項6に記載のペースト。
【請求項9】
炭素−ベースの添加剤を含み、乾燥ペースト鉛酸化物に対して約2重量%の炭素添加剤充填レベルにおいて少なくとも約8m/gのBET表面積を有する負極板を提供することを特徴とする電池の負極板用ペースト。
【請求項10】
前記炭素−ベースの添加剤が、活性炭を含むことを特徴とする請求項9に記載のペースト。
【請求項11】
前記活性炭の原料には、木材、コットンリンター、ピート、コール、ココナッツ、褐炭、炭水化物、石油ピッチ、石油コークス、コールタールピッチ、フルーツピット、ナッツ殻、ナッツピット、おがくず、木粉、カーボンブラック、グラファイト、アセチレン−ベースの材料、合成ポリマー、天然ポリマー、及びこれらの組み合わせで構成される群から選択された要素が含まれることを特徴とする請求項10に記載のペースト。
【請求項12】
化学活性化、熱活性化、及びこれらの組み合わせで構成される群から選択された要素を含む活性化プロセスによって、前記活性炭が、製造されることを特徴とする請求項10に記載のペースト。
【請求項13】
DFT窒素吸着等温線によって決定される約20オングストロームから約320オングストロームの範囲のメソ細孔サイズ及び約0.1cm/g以上のメソ細孔体積を有する活性炭を含むことを特徴とする電池用負極板。
【請求項14】
前記活性炭が、約0.1cm/gから約1.5cm/gの範囲のメソ細孔体積を有することを特徴とする請求項13に記載の負極板。
【請求項15】
前記活性炭の原料には、木材、コットンリンター、ピート、コール、ココナッツ、褐炭、炭水化物、石油ピッチ、石油コークス、コールタールピッチ、フルーツピット、ナッツ殻、ナッツピット、おがくず、木粉、カーボンブラック、グラファイト、アセチレン−ベースの材料、合成ポリマー、天然ポリマー、及びこれらの組み合わせで構成される群から選択された要素が含まれることを特徴とする請求項13に記載の負極板。
【請求項16】
化学活性化、熱活性化、及びこれらの組み合わせで構成される群から選択された要素を含む活性化プロセスによって、前記活性炭が、製造されることを特徴とする請求項13に記載の負極板。
【請求項17】
炭素−ベースの添加剤を含むペーストを備え、
前記ペースト中の前記炭素の添加剤の量が、乾燥ペースト鉛酸化物に対して約1重量%である場合に、少なくとも約5m/gのBET表面積を有することを特徴とする電池用負極板。
【請求項18】
前記炭素−ベースの添加剤が、活性炭を含むことを特徴とする請求項17に記載の負極板。
【請求項19】
前記活性炭の原料には、木材、コットンリンター、ピート、コール、ココナッツ、褐炭、炭水化物、石油ピッチ、石油コークス、コールタールピッチ、フルーツピット、ナッツ殻、ナッツピット、おがくず、木粉、カーボンブラック、グラファイト、アセチレン−ベースの材料、合成ポリマー、天然ポリマー、及びこれらの組み合わせで構成される群から選択された要素が含まれることを特徴とする請求項18に記載の負極板。
【請求項20】
化学活性化、熱活性化、及びこれらの組み合わせで構成される群から選択された要素を含む活性化プロセスによって、前記活性炭が、製造されることを特徴とする請求項18に記載の負極板。
【請求項21】
炭素−ベースの添加剤を含むペーストを備え、
前記ペースト中の前記炭素の添加剤の量が、乾燥ペースト鉛酸化物に対して約2重量%である場合に、少なくとも約8m/gのBET表面積を有することを特徴とする電池用負極板。
【請求項22】
前記炭素−ベースの添加剤が、活性炭を含むことを特徴とする請求項21に記載の負極板。
【請求項23】
前記活性炭の原料には、木材、コットンリンター、ピート、コール、ココナッツ、褐炭、炭水化物、石油ピッチ、石油コークス、コールタールピッチ、フルーツピット、ナッツ殻、ナッツピット、おがくず、木粉、カーボンブラック、グラファイト、アセチレン−ベースの材料、合成ポリマー、天然ポリマー、及びこれらの組み合わせで構成される群から選択された要素が含まれることを特徴とする請求項22に記載の負極板。
【請求項24】
化学活性化、熱活性化、及びこれらの組み合わせで構成される群から選択された要素を含む活性化プロセスによって、前記活性炭が、製造されることを特徴とする請求項22に記載の負極板。
【請求項25】
DFT窒素吸着等温線によって決定される約20オングストロームから約320オングストロームの範囲のメソ細孔サイズ及び約0.1cm/g以上のメソ細孔体積を有する活性炭を含むペーストから製造された負極板を備えることを特徴とする電池。
【請求項26】
前記活性炭が、約0.1cm/gから約1.5cm/gの範囲のメソ細孔体積を有することを特徴とする請求項25に記載の電池。
【請求項27】
前記活性炭の原料には、木材、コットンリンター、ピート、コール、ココナッツ、褐炭、炭水化物、石油ピッチ、石油コークス、コールタールピッチ、フルーツピット、ナッツ殻、ナッツピット、おがくず、木粉、カーボンブラック、グラファイト、アセチレン−ベースの材料、合成ポリマー、天然ポリマー、及びこれらの組み合わせで構成される群から選択された要素が含まれることを特徴とする請求項25に記載の電池。
【請求項28】
化学活性化、熱活性化、及びこれらの組み合わせで構成される群から選択された要素を含む活性化プロセスによって、前記活性炭が、製造されることを特徴とする請求項25に記載の電池。
【請求項29】
負極板を備えた電池であって、
前記負極板が、
炭素−ベースの添加剤を含み、
ペースト中の前記炭素の添加剤の量が、乾燥ペースト鉛酸化物に対して約1重量%である場合に、少なくとも約5m/gのBET表面積を有することを特徴とする電池。
【請求項30】
前記炭素−ベースの添加剤が、活性炭を含むことを特徴とする請求項29に記載の電池。
【請求項31】
負極板を備えた電池であって、
前記負極板が、
炭素−ベースの添加剤を含み、
ペースト中の前記炭素の添加剤の量が、乾燥ペースト鉛酸化物に対して約2重量%である場合に、少なくとも約8m/gのBET表面積を有することを特徴とする電池。
【請求項32】
前記炭素−ベースの添加剤が、活性炭を含むことを特徴とする請求項31に記載の電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−528844(P2011−528844A)
【公表日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−518696(P2011−518696)
【出願日】平成20年7月18日(2008.7.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/070400
【国際公開番号】WO2010/008392
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(504376810)ミードウエストベコ・コーポレーション (55)
【Fターム(参考)】