説明

銀、銅又は亜鉛が挿入されたベントナイトを備える外用の消毒軟膏剤

本発明は、基剤としての医薬のワセリン又は医薬のワセリンのラノリンとの混合物と、消毒剤としてのAg、Cu2+、Zn2+からなる群において選択される1種以上の金属イオンが挿入された分散ベントナイト粉末とを備える外用の消毒軟膏剤に関する。加えて、上記軟膏剤は、エーテルの植物油を含有する。より正確には、活性消毒剤が、Agイオン若しくはCu2+イオンが挿入された分散ベントナイト粉末であってもよいし、前述のベントナイトの混合物であってもよい。代替案によれば、消毒剤の分散ベントナイト粉末が、Ag及びZn2+のイオン、又はCu2+及びZn2+のイオン、又はAg、Cu2+及びZn2+のイオンが挿入されてもよい。どんな場合であっても、軟膏剤の組成物中における金属の合計含有量が、0.05〜0.5%の間に含まれる。本発明に従う軟膏剤は、ヒト及び動物の様々な外皮と生物学的に適合性があり、低費用で長期に渡る消毒作用を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学・医薬産業に関するものであり、医学及び獣医学において、抗菌及び抗真菌作用を有し、ヒト及び動物の様々な原因論からの外皮の疾患の処置を対象とする外用の消毒軟膏剤を製造するために適用できる。
【背景技術】
【0002】
現時点では、銅、銀及び亜鉛含有成分に基づく消毒剤を備えた軟膏剤を含めて、広範な抗菌作用をもたらす各種軟膏剤が、ヒト及び動物の様々な原因論からの外皮の情動の処置に適用されている。
【0003】
医療行為及び獣医学では、指定された金属の抗菌作用、同様にAu、Pt、Pdの抗菌作用が、広く知られている(非特許文献1及び2参照)。
【0004】
特に、スルファジアジン銀及びピペラシリンナトリウムを含有する軟膏剤(1985年の特許US4535078)又はスルファジアジンの銀塩が含浸した動物組織に基づく創傷治療材料(1987年の特許US4599226)が知られている。
【0005】
与えられた医薬製品の一般的な欠点としては、微生物の習慣性を含めて、以下のものが挙げられる:
・サルファ剤に特有の副作用による禁忌症の存在:白血球減少症,アレルギー,消化不良;
・滲出の多い化膿した創傷及び熱傷面の処置への使用の不都合。
【0006】
特許RU N.2146127の技術的明細書においては、ポリエチレンオキシドのゲルとしてのキャリヤーと、原子状のコロイド銀としての抗菌成分と、ポリビニルピロリドン及びポリエチレンオキシドとしての最後の成分の安定剤とを含有する軟膏剤が、感染した傷のより急速な治癒を目的として記載されている。
【0007】
しかしながら、軟膏剤の形態としてのコロイド銀の適用は、その構造中に、銀粒子の凝集を回避するための軟膏剤システムの安定剤として、追加成分の注入を求める。これは、軟膏剤の製造費用を増大させる。
【0008】
特許RU N.2331407の明細書においては、電解銀に基づく消毒剤を含有する水溶性物質のリポソーム形態でのゲルが記載されており、液相としての酢酸ナトリウム緩衝液の電解質と、銀の含量が99.99%である平らな銀電極とが充填された電解槽中において得られる。
【0009】
エネルギーの適用は、電解銀を得るのに費用のかかる方法であり、また、水溶性物質のリポソーム形態でのゲルを得る技術プロセスは、先に指定したロシア国特許に記載されるように、発明に従う組成物の製造の費用を増大させる。
【0010】
ポリエチレングリコールとしてのキャリヤーと、酢酸銅Cu(CHCOO)、HO及び酢酸銀(AgC)の塩の混合物とを1:0.1の比で含有する消毒特性を備えた軟膏剤が、特許RU N.2297840において、alvearyのotitusesの処置及び予防管理を目的として記載されている。塩の混合物は、軟膏剤の生成した組成物中における銀及び銅イオンの供与体である。
【0011】
特定した化合物は可溶性塩として有効であるが、それらは、銀及び銅の遊離イオンの複合体形成のせいで消毒作用が減少する理由から長期の保護を提供するものではない。
【0012】
外用の消毒軟膏剤における亜鉛含有成分の適用(特許RU N.2160089参照)もまたよく知られている。それによれば、軟膏剤は、脂肪質基剤としてのキャリヤーと、ビタミンA、D及びE、サリチル酸、酸化亜鉛等としての活性成分とを含有する。軟膏剤の適用は、外皮の炎症過程を軽減させることを対象とする。
【0013】
与えられた消毒軟膏剤は、酸化亜鉛のかなりの部分を含有する。それは、製造費用を増大させる多くの成分を有することである。
【0014】
また、既知の文献(1999年6月10日の特許RU2131269−WO94046003/14参照)からも、金属粉末の水分散体中におけるAg、Cu及びZnイオンの活性化を増大させる技術的課題の解決が、前述の金属の結晶格子の重大な線状及び点状欠陥の存在にて実現できることが分かる。それら欠陥は、ナノメートルレベルでの表面及び構造上の不均一性の不規則さを与える。しかしながら、かかる構造体をナノ結晶粉末として得るための方法は、それらの再結晶温度より低い温度での低温機械加工(粉砕、破砕、微粉砕)に基づいており、特別な技術様式の発展を要し、費用の増加を引き起こす。
【0015】
それ故に、当該技術の状況からは、総じて、既知の外用消毒軟膏剤が、銀、銅及び亜鉛含有成分に基づく消毒剤の使用により、長期間に渡って作用する非常に効果的な消毒手段を低いレベルの製造費用で得るための要件に対応していないことが分かる。
【0016】
同時に、無機成分に基づき作られた非常に効果的な消毒剤が知られている(特許RU N.2330673参照)。Agイオン又は/及びCu2+イオンが挿入された分散ベントナイト粉末の形態としての消毒剤が、先に指定された特許において記載されている。上記イオンは、硝酸銀又は硫酸銅等の無機塩の溶液を用いてベントナイトを改質することによって得られる。ベントナイトは、ナトリウム無機塩の水溶液を用いた処理とその後のアニオンからの清浄とによってNaカチオンが予め豊富にされている。
【0017】
上記特許から、Agイオン又は/及びCu2+イオンが挿入されたベントナイト粉末からなる消毒剤が、生態学的に安全な鉱物性の成分から得られることが分かる。それらは、生きている生物の組織と生物学的に適合し、医学及び獣医学を含む様々な部門において、外皮の負傷した領域の抗菌処理のための添加剤として、例えば各種軟膏基剤又はゲルと組み合わせて、適用できる。
【0018】
しかしながら、与えられた特許において、外用軟膏剤の組成物は、治癒が困難な創傷、栄養障害性潰瘍、熱傷、皮膚病及び皮膚の膿疱性疾患の処理を含めて、解決されていない。
【0019】
その上、外用軟膏剤の構造中におけるAgイオンとCu2+イオンとが挿入されたベントナイト粉末の混合物に基づく与えられた消毒剤は、糖尿病の患者の外皮の処理時にアレルギーをもたらす可能性がある。
【0020】
与えられた欠点を除去するための消毒剤が、以下の通り、同一出願人による優先日が09年5月13日のロシア国特許出願第2009117737号に記載されている:
・Ag及びZn2+イオンが挿入された分散ベントナイト粉末が1:(0.2〜0.8)の比にある混合物、又は
・Ag、Zn2+及びCu2+イオンが挿入されたベントナイト粉末が1:(0.2〜0.8):(0.2〜0.5)の比にある混合物、又は
・Zn2+及びCu2+イオンが挿入されたベントナイト粉末が1:(0.2〜0.5)の比にある混合物。
【0021】
上記混合物は、硝酸銀、硫酸銅、塩化亜鉛又は硫酸亜鉛の水溶液を用いたベントナイトの改質によって得られる。ベントナイトは、ナトリウム無機塩の水溶液を用いた処理とその後のアニオンからの清浄とによってNaカチオンが予め豊富にされている。
【0022】
与えられた組成物中における亜鉛イオンが挿入された分散ベントナイト粉末としての消毒剤の存在は、外皮処理時でのアレルギーを引き起こす過程の抑制を促進する。
【0023】
しかしながら、外用の消毒軟膏剤の配合は、与えられた技術的明細書においても具体化されていない。
【0024】
特許RU No.2330673の技術的明細書は、第一の変形に従う消毒軟膏剤の最も近い先行技術として選ばれ、出願RU No.2009117737の技術的明細書は、第二の変形に従う軟膏剤の最も近い先行技術として選ばれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】特許US4535078
【特許文献2】特許US4599226
【特許文献3】特許RU N.2146127
【特許文献4】特許RU N.2331407
【特許文献5】特許RU N.2297840
【特許文献6】特許RU N.2160089
【特許文献7】特許RU2131269
【特許文献8】WO94046003/14
【特許文献9】特許RU N.2330673
【特許文献10】ロシア国特許出願第2009117737号
【非特許文献】
【0026】
【非特許文献1】H.E. Morton, Pseudomonas in Disinfection, Sterilisation and Preservation, ed. S.S. Block, Lea and Febider 1977
【非特許文献2】N. Grier, Silver and Its Compounds in Disinfection, Sterilisation and Preservation, ed. S.S. Block, Lea and Febiger, 1977
【発明の概要】
【0027】
本発明の最も近い先行技術文献を選んで、本発明者は、以下の要素を考慮した:
・軟膏剤の組成物は、先行技術に従う消毒軟膏剤中において少なくとも2つの基礎成分、つまり基礎キャリヤー及び消毒剤を含有し、その機能的特徴は、軟膏剤の技術的性質を外用にて提供するものである;
・与えられた消毒剤を備えた基礎キャリヤーは、上述の金属のイオンが挿入された分散ベントナイト粉末に基づく組成物の調製に適用される。それは、作業面上での組成物の効果的な分布を促進し、効果的な消毒活性の保存を備えた組成物の製造費用を削減する。
【0028】
与えられた発明の目的は、構造内に存在する活性成分の、低費用での、長期に渡る消毒作用の技術的結果を提供する外用軟膏剤の創作であった。それ故に、活性成分は、ヒトと更には動物の様々な外皮と生物学的に適合する。
【発明を実施するための形態】
【0029】
第一の変形に従う外用の消毒軟膏剤は、基剤と、Agイオン又は/及びCu2+イオンが挿入された分散ベントナイト粉末としての消毒剤とを備えてなり、宣言した技術的課題の解決を目的として記載されている。上記イオンは、硝酸銀又は硫酸銅の水溶液を用いたベントナイトの改質によって得られる。ベントナイトは、ナトリウム無機塩の水溶液を用いた処理とその後のアニオンからの清浄とによってNaカチオンが予め豊富にされている。発明によれば、医療用ワセリン又は医療用ワセリンのラノリンとの混合物が、基剤として、1:(0.1〜0.5)の重量部の比で使用される。加えて、軟膏剤は、エーテルの植物油を含有し、以下に示す成分の含有量(重量%):
Agイオンが挿入されたベントナイト粉末若しくはCu2+イオンが挿入されたベントナイト粉末又は言及した粉末が1:(0.1〜0.4)の比にある混合物 1〜10
オイル 0.01〜0.3
基剤 残り
を有しており、それ故に、軟膏剤の組成物における金属の合計含有量は、0.05〜0.5重量%である。
【0030】
本発明の第二の変形に従う外用の消毒軟膏剤は、基剤と、Ag及びZn2+イオンが挿入された分散ベントナイト粉末が1:(0.2〜0.8)の比にある混合物、又はAg、Zn2+及びCu2+イオンが挿入されたベントナイト粉末が1:(0.2〜0.8):(0.2〜0.5)の比にある混合物、又はZn2+及びCu2+イオンが挿入されたベントナイト粉末が1:(0.2〜0.5)の比にある混合物としての消毒剤とを備えてなり、宣誓した技術的課題の解決策として記載されている。上記イオンは、硝酸銀、硫酸銅、硫酸亜鉛又は塩化亜鉛の水溶液によるベントナイトの改質によって得られる。ベントナイトは、ナトリウム無機塩の水溶液を用いた処理とその後のアニオンからの清浄とによってNaカチオンが予め豊富にされている。
【0031】
本発明によれば、医療用ワセリン又は医療用ワセリンのラノリンとの混合物が、基剤として1:(0.1〜0.5)の比で適用される。
【0032】
加えて、上記軟膏剤は、エーテルの植物油を含有し、以下に示す成分の含有量(重量%)を有する:
ベントナイト粉末の混合物 1〜10
オイル 0.01〜0.3
基剤 残り
【0033】
それ故に、軟膏剤の組成物中における金属の合計含有量は、0.05〜0.5重量%である。
【0034】
上述した銀、銅及び亜鉛の無機塩は、ベントナイト:溶液が1:(10〜40)の比であるときに、本発明に従って、Naイオンが豊富にあるベントナイトの挿入のために使用される。
【0035】
本発明によれば、銀、銅、亜鉛イオンが挿入されたベントナイト粉末は、特定した金属の重量分率が2〜6重量%である。
【0036】
本発明によれば、桃色油若しくはセージ油又はそれらの1:(0.1〜0.5)の混合物が、エーテルの植物油として使用される。
【0037】
本発明を具現化したとき、
・軟膏剤の組成物中におけるエーテルの植物油の存在のため、軟膏剤の消毒の麻酔特性及び抗炎症特性が、皮膚疾患の処置の際に向上する;
・銀、銅及び亜鉛イオンが挿入された分散ベントナイト粉末としての消毒剤の存在のため、軟膏剤の指定された脂肪質基剤中におけるそれらの分布の効率性をもたらす。細菌環境での上述した薬剤の接触面積が大きくなると、病原性ミクロフローラへの抗菌及び抗真菌作用の効率が上昇する;
・医療用ワセリン又は医療用ワセリンのラノリンとの混合物としての基剤の存在のため、外皮上での軟化及び保護作用がもたらされる。
【0038】
本発明に従う組成物に使用する場合、成分比は、それらの相乗的適合性の要件に対応する。
【0039】
宣誓した当面の技術的課題に対応し且つ温血生物の外皮に対する殺菌(抗菌)及び抗真菌効率の持続作用の上述した結果を実現する一連の特徴を記載する特許は、技術者の分析でも、全く見つからなかった。
【0040】
技術者の分析の結果は、宣誓した技術的解決策が「新規性」及び「発明性の程度」の基準に適合していることを証明する。
【0041】
宣誓した発明は、例えば様々な原因論からの外皮の負傷した、火傷した、潰瘍化した領域の処置を対象とした消毒軟膏剤を得ることを目的として、工業的に実現できる。
【0042】
すぐに適用できる成分は、本発明の実現のために使用される:
・エーテルの植物油;抗炎症特性に対して最も効果的なものとして、桃色油がより好ましい;医療用ワセリン(GOST3582−84又はFS42−2456−97);無水ラノリン;
・銀イオンが挿入された、銀の質量分率が2%未満の、ベントナイト粉末−TR1794−001−99699175−2007;
・既知の特許に従って得られるCu2+及びZn2+イオンが挿入されたベントナイト粉末(特許RU No.2330673及び特許出願RU No.2009117737−特許権者−CSC「Institute of Applied Nanotechnology」参照)。
【0043】
与えられた特許文献において特定されるような装置、方法及び原料は、上述したベントナイト粉末を製造するために使用され、それらの中には以下のものがある:
・Na形態のベントナイト(モンモリロナイト)、例えばSarigyuh堆積物(アルメニア);それは、モンモリロナイト(Na形態のベントナイト)の含有量が約75〜85%b.w.のアルカリ性ベントナイトである。与えられた鉱物を選択して、発明者は、全ての粘土鉱物が一定のカチオン交換能力を有することを確認した。この値は、鉱物の重要な特徴であり、それは、粘土100gに対して言及される他の種類のカチオンに置換できる交換カチオン量を指定する。モンモリロナイトは、粘土鉱物間で最も高いカチオン交換能力を有する(150mg eqv/100g以下);
・硝酸銀(AgNO)、硫酸銅(CuSO)、塩化亜鉛(ZnCl)(最も利用し易い塩)の15〜20%水溶液;塩化ナトリウム(NaCl);脱イオン水。
【0044】
特定した塩の溶液を用いてアニオンから予め清浄(脱イオン水中での洗浄、ろ過、乾燥)した、ナトリウムイオンが豊富にあるベントナイトの挿入の方法は、ベントナイト:溶液が1:(20〜40)の比で行われた。
【0045】
銀、銅、亜鉛のイオンを用いた挿入の後に得られるベントナイトの粉末を、ナトリウム塩から清浄し、乾燥させ、粉砕した。
【0046】
与えられた特許に従い特定した金属のイオンが挿入され得られるベントナイト粉末の粒子の分散性は、電子顕微鏡の適用によって決定された。それらの挿入過程、脱イオン水中におけるナトリウム塩からの清浄、乾燥、及び水中での分散の後、ベントナイト粉末の粒子の大きさは、基本的にわずか150ナノメートルであった。
【0047】
金属イオンが挿入されたベントナイト粉末中における銀、銅及び亜鉛の質量分率は、滴定分析の適用によって決定された。
【0048】
特に、ベントナイト粉末(TR1794−001−99699175−2007)中における銀の含有量の%b.w.を規定するため滴定分析を行う際に、分析サンプルの分解試薬として、硫酸及び硝酸の混合物が使用された;チオシアン酸アンモニウム(又はカリウム)の溶液を溶液−滴定剤として用いた;鉄ミョウバンの溶液を指示薬として用いた。
【0049】
実行した研究の結果として、既知の特許に従って得られたベントナイト粉末は、最初の原料の特性、並びに活性化試薬及び修飾試薬の量に応じて、2%b.w.から6%b.w.までの銀、銅及び亜鉛を含有することが確立された。
【0050】
ベントナイト粉末中における上述した金属の特定された%b.w.含有量は、最適である。それらの%b.w.含有量の増加は、費用の増加をもたらすが、挿入ベントナイト粉末中における上述した金属の%b.w.含有量の減少は、生成物の消毒活性を減少させる。
【0051】
本発明の具現化において、費用のかからない相乗的な組成物を形成する成分を備えた外用軟膏剤を提供する。新規の組成物の適用は、非常に効果的な持続性のある殺菌作用をもたらし、温血の固体の組織の外皮に対して抗アレルギー効果があり、既知の手段による処置に反応しない様々な感染した傷の処置が含まれる。
【0052】
本発明に従う外用軟膏剤は、毒性がなく、アレルギーを引き起こさず、禁忌がなく、高い抗浮腫特性、収着特性、イオン交換特性及び抗炎症特性を有する。
【0053】
適用された成分の組成とその組の重量比とを変更する発明の具現化は、軟膏剤の治療特性の悪化やその製造方法の費用の増加を招くであろう。
【実施例】
【0054】
発明の具現化を以下に示す具体例によって詳細に説明する。ここで、各種処方は、軟膏剤50gの調製を目的として与えられている。
【0055】
例1:
・Agイオンが挿入され、粉末中における銀の含有量が4%b.w.であるベントナイト粉末 2.5g.
・桃色油 0.075ml
・医療用ワセリン 軟膏剤50gに至るまでの残り
軟膏剤中における銀の含有量は、0.2%b.w.であった。
【0056】
例2:
・Ag及びCu2+のイオンが挿入されたベントナイト粉末が1:0.2の比にある混合物 2.5g.
ベントナイト粉末中における銀の含有量が4%b.w.であり、銅の含有量が3.5%b.w.であった。
・桃色油 0.075ml
・医療用ワセリンと無水ラノリンが1:0.3の比にある混合物 軟膏剤50gに至るまでの残り
軟膏剤中における金属の合計含有量は、0.375%b.w.であった。
【0057】
例3:
・Ag及びZn2+のイオンが挿入されたベントナイト粉末が1:0.5の比にある混合物 2.55g.
ベントナイト粉末中における銀の合計含有量が2%b.w.であり、亜鉛の含有量が5%b.w.であった。
・桃色油 0.075ml
・医療用ワセリン 軟膏剤50gに至るまでの残り
軟膏剤中における金属の合計含有量は、0.355%b.w.であった。
【0058】
例4:
・Ag、Zn2+及びCu2+のイオンが挿入されたベントナイト粉末が1:0.5:0.2の比にある混合物 3.4g.
ベントナイト粉末中における銀の合計含有量が2%b.w.であり、亜鉛の含有量が2%b.w.であり、銅の含有量が2%b.w.であった。
・桃色油 0.075ml
・医療用ワセリン 軟膏剤50gに至るまでの残り
軟膏剤中における金属の合計含有量は、0.2%b.w.であった。
【0059】
例5:
・Cu2+のイオンが挿入されたベントナイト粉末 2.0g.
銅の合計含有量が2%b.w.であった。
・桃色油 0.05ml
・医療用ワセリン 軟膏剤50gに至るまでの残り
銅の合計含有量は、0.08%b.w.であった。
【0060】
例1〜5に従って消毒軟膏剤を製造するため、所定の例において特定された成分を、20℃以上の温度にて、均質ペーストの形成まで、一緒に混合した。蓋が厳重に閉じられたわずか体積50gの容器中に、調製された軟膏剤を詰めた。
【0061】
軟膏剤は、高い安定性及び高い品質を有する。それは、十分な生体適合性を特徴とする。光から保護された乾いた場所において、+5℃以下の温度にて、軟膏剤を保つのが好ましい。
【0062】
例1〜5に従って作られた軟膏剤の消毒特性は、最も典型的な病原微生物に対するその活性から推定された:
・グラム陽性及びグラム陰性菌,従って、スタフィロコッカス・アウレウス;
シュードモナス・エルギノーサ;
・真菌の培養物:アスペルギルス・ニガー
【0063】
牛肉抽出物ブロス上にて、10−9cfu/mlの濃度に至るまで、微生物を培養した。次いで、Saburoの堅い栄養培地中における培養物の接種をアルペルギルス・ニガーの培養のために行った。牛肉抽出物寒天中の接種を他の培養物についても行った。
【0064】
試験されるべき例1〜5のサンプルを用いて処置された直径5mmの標準ディスクを、試験微生物の1つを予め接種された栄養培地の表面上に押し付けた。
【0065】
生理溶液を栄養培地上に0.05mlの量加えることにより、該生理溶液をコントロールとして用いた。培養物のインキュベーションは、細菌について24〜36時間、ミセル真菌について5〜7日かかった。
【0066】
軟膏剤の消毒活性は、接種の場所における、上述したディスク周囲の(直径の測定による)mm単位での試験微生物の増殖阻害領域の存在によって決定された。調査は、細菌及び真菌の適用した全ての培養物について軟膏剤の高い活性を示した。
【0067】
例1〜5の軟膏剤を用いて処置された標準ディスク周囲のmm単位での試験微生物(スタフィロコッカス・アウレウス;シュードモナス・エルギノーサ)の増殖阻害領域の直径は、平均分析によれば12mmであった。試験微生物の増殖阻害領域の最も大きな直径は、例1〜3の軟膏剤を用いた場合に決定された。
【0068】
コントロールの例から得られたデータは、生理溶液を蒔いた領域における特定された試験微生物の増殖の存在が示された。
【0069】
試験微生物(アスペルギルス・ニガー)の増殖は、例1〜5の組成物を用いた場合、6日以内に明らかにならなかった。
【0070】
また、本発明に従う外用軟膏剤の消毒特性の決定は、その患者への適用によって推定された:
【0071】
例1.1 にきびの診断を受けた患者。皮膚上での複数の炎症を起こした要素について、患者の訴えがあった。
処置: 例1の軟膏剤を10日間毎日塗布するように処方された。
結果: 7日後、炎症を起こした要素が10倍減少した;赤みと実体が消失した。
【0072】
例1.2 12歳の若者。既往歴:左手のひらに直径3mmのいぼがあった。
処置: 例2の軟膏剤の一ヶ月間毎日の塗布によって、いぼが塗られた。
結果: いぼが一月後に黒くなった。次いで、いぼが2日間塗られた;2ヶ月目の3日目で、いぼが離れ落ちた。いぼのあった場所は、新しい薄皮によって覆われた。
【0073】
例1.3 糖尿病の診断を受け、すねの軟組織に化膿した追加の突起がある患者。創傷の中身の分析は、グラム陽性及びグラム陰性のミクロフローラの存在を示した。
処置:
・例4の軟膏剤の層によって覆われた包帯の適用;
・3〜10分間のUV照射によって創傷を予め処理し、化膿及び生き残れない組織を除去した包帯の毎日の交換。
結果:3日目で、創傷がきれいにされた。接種は無菌である。5日後、活性な上皮形成が現れた。
【0074】
本発明に従う消毒軟膏剤の適用後の効果は、軟膏剤の宣誓した形態での分散したベントナイト粉末の適用によって説明される。
【0075】
ベントナイト粉末は、化膿した壊死塊及び組織分解の他の産物の生物学的に活性のある吸着剤である。同時に、組織分解の各種産物との相互作用で、挿入されたベントナイトの層状構造中にある金属のカチオンとのイオン交換反応が起こり、各種微生物の影響を受け、処置された外皮への長期に渡る殺菌性の影響をもたらす。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外用の消毒軟膏剤であって、基剤と、該基剤上に分散した活性消毒剤としてのベントナイト粉末であって、Ag、Cu2+、Zn2+からなる群において選択される少なくとも1種の金属イオンが挿入されたベントナイト粉末とを備えており、前記軟膏剤中における金属の合計含有量が0.05重量%と0.5重量%の間に含まれる消毒軟膏剤。
【請求項2】
前記基剤が、医薬のワセリン単独か又はラノリンとの混合物からなる請求項1に記載の消毒軟膏剤。
【請求項3】
前記活性消毒剤が、Agイオンが挿入された分散ベントナイト粉末である請求項1に記載の消毒軟膏剤。
【請求項4】
前記活性消毒剤が、Cu2+イオンが挿入された分散ベントナイト粉末である請求項1に記載の消毒軟膏剤。
【請求項5】
前記活性消毒剤が、Ag及びCu2+のイオンが挿入された分散ベントナイト粉末である請求項1に記載の消毒軟膏剤。
【請求項6】
前記活性消毒剤が、Ag及びZn2+のイオンが挿入された分散ベントナイト粉末である請求項1に記載の消毒軟膏剤。
【請求項7】
前記活性消毒剤が、Zn2+及びCu2+のイオンが挿入された分散ベントナイト粉末である請求項1に記載の消毒軟膏剤。
【請求項8】
前記活性消毒剤が、Ag、Zn2+及びCu2+のイオンが挿入された分散ベントナイト粉末である請求項1に記載の消毒軟膏剤。
【請求項9】
Agイオンが挿入されたベントナイト粉末とCu2+イオンが挿入されたベントナイト粉末の比が1:(0.1〜0.4)である請求項5に記載の消毒軟膏剤。
【請求項10】
Agイオンが挿入されたベントナイト粉末とZn2+イオンが挿入されたベントナイト粉末の比が1:(0.2〜0.8)である請求項6に記載の消毒軟膏剤。
【請求項11】
Zn2+イオンが挿入されたベントナイト粉末とCu2+イオンが挿入されたベントナイト粉末の比が1:(0.2〜0.5)である請求項7に記載の消毒軟膏剤。
【請求項12】
Agイオンと、Zn2+イオンと、Cu2+イオンとが挿入されたベントナイト粉末間の比が1:(0.2〜0.8):(0.2〜0.5)である請求項8に記載の消毒軟膏剤。
【請求項13】
前記基剤が、医薬のワセリンとラノリンとが1:(0.1〜0.5)の重量比にある混合物からなる請求項2に記載の消毒軟膏剤。
【請求項14】
前記軟膏剤の合計に対するベントナイト粉末の含有量が1〜10重量部である請求項1に記載の消毒軟膏剤。
【請求項15】
挿入されたベントナイト粉末の形態における金属Ag、Cu、Znの含有量が、軟膏剤の合計に対して2〜6重量%である請求項14に記載の消毒軟膏剤。
【請求項16】
更に、エーテルの植物油を合計に対して0.01〜0.5重量%の量で備える請求項1に記載の消毒軟膏剤。
【請求項17】
前記エーテルの植物油が、桃色油若しくはセージ油又はそれらが1:(0.1〜0.5)の比にある混合物である請求項16に記載の消毒軟膏剤。

【公表番号】特表2013−505904(P2013−505904A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530195(P2012−530195)
【出願日】平成22年8月17日(2010.8.17)
【国際出願番号】PCT/EP2010/061992
【国際公開番号】WO2011/035988
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(511275005)クローズド ストック カンパニー“インスティテュート オブ アプライド ナノテクノロジー” (4)
【出願人】(512075268)
【出願人】(511275027)シブ ラボラトリーズ リミテッド (6)
【Fターム(参考)】