説明

銀ナノ粒子含有印刷可能組成物、該組成物を用いた導電性被膜の製造方法、および該方法により製造された被膜

【課題】水性組成物中のナノスケール銀粒子および少なくとも1種の分散剤に基づいた、導電性印刷物の製造に適したインクを提供する。
【解決手段】(a)5〜40重量部のレーザー相関分光法により測定された最大有効径150nmを有する銀ナノ粒子;(b)50〜99.5重量部の水;(c)0.01〜15重量部の分散剤;(d)0.5〜5重量部のフィルム形成剤;および(g)30〜70重量部のレーザー相関分光法により測定された最大有効径10μmを有する金属粒子を含んでなり、少なくとも1Pa・sの粘度を有する印刷可能組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
表面導電性が低い対象物の表面上の導電性構造物に対する要求は、基本的に存在する。導電性に関しては、例えば、電子部品表面に導電性材料を刷ることによる、電子回路の電子部品との一体化という用法が望ましい。それによって、独立回路を有する部品のコストがかかる複合問題を最小化できる。とりわけ、軟質材料表面に電気条導体を印刷することは特に興味深い。軟質部分を有する部品全体の設計自由度は、印刷される回路による影響をもはや受けないはずである。
【背景技術】
【0002】
銅条導体の適用は知られている。しかしながら、銅条導体は、コストがかかる付着(蒸着)およびエッチング法でしか表面に適用できない。続いて表面に適用でき、接触のために使用される導電性ペースト(例えば導電性銀)は、更なる発展形である。
【0003】
ポリマー材料の印刷は特に興味深い。表面を導電性にする印刷工程の間、表面材料の軟化点(例えば、ポリマー表面のガラス転位温度)を超えて基材表面を加熱してはならない。また、表面を溶解または部分的に溶解する溶媒を使用してはならない。
【0004】
安価かつ良好な処理量で構造物を表面に適用できる既知の方法は、スクリーン印刷法またはオフセット印刷法である。しかしながら、これら2つの方法では、使用する印刷物質について更なる要求が存在する。例えば、これらの印刷法で使用すべきインクまたは染料が印刷インクの粘度について最低必要条件を有することが、当業者に知られている。良好な印刷結果を達成できるようにするため、粘度は、1Pa・sを超える範囲でなければならない。
【0005】
US 5,882,722およびUS 6,036,889は、金属粒子、前駆体および有機溶媒を含有し、200℃以上の焼結温度でしか導電性構造物を形成しない導電性組成物を記載しており、これら特許の全てを引用してここに組み込む。これら既知の組成物は、約10Pa・sの粘度を有する。組成物は、実際、記載された印刷技術(スクリーン印刷、オフセット印刷)で使用できるが、必要な焼結温度が高いので、ポリマー表面に適用するための使用は制限される。
【0006】
WO 2003/038002およびUS 2005/0078158は、とりわけセルロースメチルカルボン酸ナトリウムで安定化された銀ナノ粒子含有組成物を開示しており、これら特許の全てを引用してここに組み込む。これらの特許公報は、実際、例えば熱または凝集剤による後処理の必要性を記載しているが、配合物から得られる微細構造物の処理温度または導電性を記載していない。更に、使用され、かつ得られるナノ粒子の粒度範囲は100nm未満であるが、正確な分布は開示されていない。開示されている組成物の銀粒子含有量は1.2重量%以下である。記載されているインクジェット法に典型的に必要な印刷組成物の粘度は、約10mPa・sである。従って、該組成物はスクリーン印刷またはオフセット印刷には全く適さない。
【0007】
EP 1586604は、エポキシ樹脂、銀フレークおよび銀ナノ粒子からなる銀ペーストを開示しており、同特許の全てを引用してここに組み込む。このペーストは、ベース材料表面への印刷または適用および続く熱処理後に、導電性フィルムを形成する。200℃を超える焼結温度で、5×10Ω/cm未満の抵抗を達成する。この高い焼結温度により、印刷できるポリマー基材の選択は著しく制限される。
【0008】
WO 2008/031015は、銀フレークも含有する水性組成物を開示しており、同特許の全てを引用してここに組み込む。この組成物を用いて、120℃で、0.022Ω/スクエアの導電率を達成できる。
【0009】
ハリマ化成は、低粘性のナノ粒子ベース銀導電性インクである、製品ライン「NP Series ナノペースト」を提供している。しかしながら、ハリマ化成は、210〜230℃の焼結温度を示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】US 5,882,722
【特許文献2】US 6,036,889
【特許文献3】WO 2003/038002
【特許文献4】US 2005/0078158
【特許文献5】EP 1586604
【特許文献6】WO 2008/031015
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は一般に、水性組成物中のナノスケール銀粒子および少なくとも1種の分散剤(好ましくはポリマー分散剤)に基づいた、導電性印刷物の製造に適したインク、およびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の様々な態様は、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、写真版印刷法またはオフセット印刷法により、そのような組成物を適用することによって、表面上に導電性構造物を提供できる。これは、銀に加えて少なくとも1種のポリマーを含有する銀含有水性組成物を、スクリーン印刷、フレキソ印刷、写真版印刷またはオフセット印刷により表面に適用し、印刷表面を最終的に熱処理して導電性表面または反射表面を製造することによって達成できる。
【0013】
本発明以前には、オフセット印刷技術またはスクリーン印刷技術を用いて特に熱に不安定な表面上に導電性構造物を製造できる、元素銀を用いた導電性組成物の提供は知られていない。本発明における低温は、例えば、ポリマー表面のガラス転位温度(例えば、PVCでは約80℃)より低い温度を含む。
【0014】
本発明の様々な態様は、スクリーン印刷、フレキソ印刷、写真版印刷またはオフセット印刷により表面に適用でき、140℃以下、場合により100℃未満の温度での熱処理により表面を焼結して導電性構造物を製造できる、銀含有組成物を提供する。
【0015】
本発明は、少なくとも、
a)5〜40重量部の、レーザー相関分光法により測定された有効径が最大150nm、好ましくは最大100nm、特に好ましくは20〜80nm、とりわけ好ましくは40〜80nmである金属銀粒子(銀粒子は、特に二峰性粒度分布を有する。);
b)50〜99.5重量部の水および任意に30重量部までの溶媒;
c)0.01〜15重量部の少なくとも1種の分散剤(特にポリマー分散剤);
e)0〜5重量部の添加剤、好ましくは0.5〜5重量部、特に好ましくは1〜4重量部の添加剤;
f)0〜5重量部の、場合により水溶性であってよい導電性ポリマー、好ましくは0.5〜5重量部、特に好ましくは1〜4重量部の導電性ポリマー
を含んでなる、水中に分散した銀粒子に基づいた、導電性被膜を製造するための印刷可能組成物であって、
d)0.5〜5重量部、好ましくは1〜4重量部の増粘剤;および
g)30〜70重量部の、有効径が最大10μm、特に500nm〜10μmである金属粒子、好ましくは銀粒子または銀被覆銅粒子
を含んでなり、少なくとも1Pa・sの粘度を有することを特徴とする組成物を提供する。
【0016】
組成物の成分の重量部の合計は、特に100重量部である。
【0017】
本発明の一態様は、
(a)5〜40重量部のレーザー相関分光法により測定された最大有効径150nmを有する銀ナノ粒子;
(b)50〜99.5重量部の水;
(c)0.01〜15重量部の分散剤;
(d)0.5〜5重量部のフィルム形成剤;および
(g)30〜70重量部のレーザー相関分光法により測定された最大有効径10μmを有する金属粒子
を含んでなり、少なくとも1Pa・sの粘度を有する印刷可能組成物を包含する。有効径とは、レーザー相関分光法により測定された平均径である(適当な測定機器は、例えば、Brookhaven BIC-90 Plusである)。
【0018】
本発明の別の態様は、
(i)基材を用意し;
(ii)スクリーン印刷、フレキソ印刷、写真版印刷およびオフセット印刷の1種以上により、本発明の様々な態様のいずれかに従った組成物を基材上に印刷し;
(iii)印刷した組成物を熱処理して条導体を形成する
ことを含む方法を包含する。
【0019】
本発明の更に別の態様は、本発明の方法によって製造された導電性被膜含有基材を包含する。
【0020】
レーザー相関分光法による粒度測定は、文献から知られており、例えば、T. Allen, Particle Size Measurements, 第1巻、Kluver Academic Publishers, 1999に記載されている。同文献の全てを引用してここに組み込む。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書で使用する場合、用語および/または文脈が特に明らかに示していない限り、単数用語「a」および「the」は同義語であり、「1つ以上」および「少なくとも1つ」と同じ意味で使われる。従って、例えば、本明細書または付記の特許請求の範囲における「a dispersing agent」は、単独の分散剤または2種以上の分散剤を表し得る。また、全ての数値は、特に記載のない限り、用語「約」によって修飾されていると理解される。
【0022】
本発明の様々な態様における使用に適した分散剤は、好ましくは、以下からなる群から選択される少なくとも1種の剤を含んでなる:アルコキシレート、アルキロールアミド、エステル、アミンオキシド、アルキルポリグルコシド、アルキルフェノール、アリールアルキルフェノール、水溶性ホモポリマー、水溶性統計コポリマー、水溶性ブロックコポリマー、水溶性グラフトポリマー、特にポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールおよびポリ酢酸ビニルのコポリマー、ポリビニルピロリドン、セルロース、デンプン、ゼラチン、ゼラチン誘導体、アミノ酸ポリマー、ポリリシン、ポリアスパラギン酸、ポリアクリレート、ポリエチレンスルホネート、ポリスチレンスルホネート、ポリメタクリレート、芳香族スルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合生成物、ナフタレンスルホネート、リグニンスルホネート、アクリルモノマーのコポリマー、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、ポリ(2−ビニルピリジン)、ブロックコポリエーテル、ポリスチレンブロック含有ブロックコポリエーテルおよび/またはポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド。
【0023】
分散剤は、特に好ましくは、以下の群から選択される:ポリビニルピロリドン、ブロックコポリエーテル、およびポリスチレンブロック含有ブロックコポリエーテル。約8000〜400,000AMUのモル質量を有するポリビニルピロリドン(例えば、Fluka社製ポリビニルピロリドンのPVP K15(モル質量約10,000AMU)、またはFluka社製PVP K90(モル質量約360,000AMU))が特に好ましく使用される。CポリエーテルのCポリエーテルに対するブロック長さ比が7:2単位である、乾燥分散剤に基づいて、62重量%のCポリエーテル、23重量%のCポリエーテルおよび15重量%のポリスチレンを含むポリスチレンブロック含有ブロックコポリエーテル(例えば、BYK-Chemie(ヴェーゼル)社製Disperbyk 190)も特に好ましい。
【0024】
以下の群:C〜Cアルコール、特にC〜Cアルコール、エーテル、特にジオキサラン、グリコール、特にグリセロール、ケトン、特にアセトンから選択される溶媒(b)が特に好ましく使用される。
【0025】
適当なフィルム形成剤(d)は、好ましくは、以下の群から選択され得る:ポリジメチルシロキサン、ポリアクリレート、ポリアクリレートのアンモニウム塩、シロキサン、ワックス混合物、顔料活性基含有コポリマー、低分子量ポリマー、変性セルロース、特にヒドロキシエチルセルロースまたはメチルセルロース、カーボンナノチューブおよびポリビニルアルコール、好ましくは、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースおよびカーボンナノチューブ。他の好ましいフィルム形成剤(d)は、上記した分散剤の群、本発明では特に好ましくは、例えば、BYK-Chemie(ヴェーゼル)社製の分散剤BYK 356(ポリアクリレート)およびBYK 154(アクリレートコポリマーのアンモニウム塩)から選択される。フィルム形成剤(d)は、あらゆる組み合わせで使用することもできる。ヒドロキシエチルセルロースおよび/またはメチルセルロースとカーボンナノチューブとの組み合わせを使用することが好ましい。
【0026】
適当な添加剤(e)は、好ましくは、以下の群から選択され得る:顔料、消泡剤、光安定剤、蛍光増白剤、腐蝕防止剤、酸化防止剤、殺藻剤、可塑剤、増粘剤、界面活性剤。添加剤は、特に好ましくは、還元剤、例えば、ホルムアルデヒド、グリセロール、アスコルビン酸などである。ホルムアルデヒドが、添加剤として特に好ましく使用される。
【0027】
適当な導電性ポリマー(f)は、好ましくは、以下の群から選択され得る:ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレン、ポリパラフェニレン、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリフルオレン、ポリアセチレン、特に好ましくは、ポリスチレンスルホン酸と組み合わせたポリエチレンジオキシチオフェン。導電性塩は、好ましくは、「イオン液体」、特に、以下のタイプの塩である:フッ素化アニオンを含有する、テトラアルキルアンモニウム、ピリジニウム、イミダゾリウム、テトラアルキルホスホニウム。
【0028】
特に好ましい組成物は、銀粒子(a)が、レーザー相関分光法により測定された有効径10〜150nm、好ましくは20〜80nm、特に好ましくは40〜80nmを有することを特徴とする。
【0029】
銀粒子(a)は、好ましくは、組成物中に、10〜35重量部、特に好ましくは15〜30重量部の濃度で含有される。分散剤(c)の含有量は、好ましくは0.1〜15重量部、特に好ましくは5〜10重量部である。
【0030】
使用される粒子が、低い濃度および処理温度でさえ印刷構造物の望ましい導電率をもたらす密充填を最終組成物中で形成できるならば、このこともまた有利であり得る。それに関して、低濃度の要求は純粋に経済的背景を有する。より低濃度の粒子が同じまたは同等の導電率を維持できると、得られる組成物の材料コストがより安価になる。従って、粒子重量の大部分を別の材料に置き換えることが望ましい。
【0031】
更に、本発明は、導電性被膜、特に条導体を製造するための、本発明の組成物の使用を提供する。
【0032】
本発明はまた、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、写真版印刷法またはオフセット印刷法を用いて新規な組成物を基材表面に印刷し、特に最高140℃、好ましくは最高100℃の温度で熱処理して残留水および場合により溶媒を除去し、存在する銀粒子を場合により焼結することを特徴とする、条導体の製造方法も提供する。
【0033】
特に好ましい組成物は、異なった大きさの銀粒子を使用することを特徴とする。意外にも、このタイプの分布が、銀ナノ粒子の含有量が低い場合でさえ、導電性構造物の形成に有利であることが見出された。このことは、大きい粒子間に生じたかみ合い容積を小さい粒子で充填することによりもたらされると考えられる。これにより、インクの熱による後処理において、大きい連続接触面積が生じる。その結果、得られる組成物は、より低い質量含有率で、ほぼ同じ有効径でほぼ単分散分布を有するインクと同じ導電率、または同じ質量含有率かつ同じ有効径で、より高い導電率を達成する。
【0034】
本発明は更に、本発明の組成物から得られる導電性被膜を有する基材、特に透明プラスチック基材を提供する。導電性被膜が最低5×10S/mの導電率を有する条導体を含んでなる基材が好ましい。
【0035】
上記した要求は、更に、銀ナノ粒子、銀粒子、溶媒、フィルム形成剤、分散剤および添加剤を含有する組成物によって満足される。組成物は、好ましくは、実質上、20〜80nm、好ましくは40〜80nmの有効径を有する二峰性分布の小さい銀ナノ粒子を、5〜40重量%、好ましくは15〜30重量%の濃度で含有する。組成物は、例えばポリカーボネートに適用でき、次いで少なくとも80℃で数分間、乾燥および熱処理できる。その後、高接着性の導電性構造物または表面適用を伴って光反射層が得られ、これらは共に、ポリカーボネートへの接着性が高い。
【0036】
組成物に好ましく使用される銀ゾルを、分散剤の予備添加後、ホルムアルデヒド水溶液(FA)のような還元剤で還元することにより、AgOから調製する。このため、例えば、迅速な撹拌によって硝酸銀溶液とNaOHとを迅速に混合することにより回分式で、またはDE 10 2006 017 696に従ったマイクロミキサーを用いて連続法で、AgOゾルを調製する。その後、AgOナノ粒子を回分式で過剰のFAによって還元し、最後に、遠心分離または膜分離によって、好ましくは膜分離によって精製する。この方式の製造方法は、ナノ粒子表面に結合する有機補助物質の量を少なくでき、更に、二峰性粒度分布を得ることができるので、特に有利である。とりわけ、例えばポリマーの存在下での予備還元のような予備処理工程、或いはエネルギー投入は別として、例えば前駆体系の活性化、または凝集のような後処理工程は不要である。
【0037】
ここで、以下の非限定例を参照して、本発明を更に詳細に記載する。
【実施例1】
【0038】
ナノ銀の製造:
0.054molの硝酸銀溶液を、0.054molの水酸化ナトリウムと分散剤Disperbyk 190(製造業者:BYK Chemie)(1g/L)との体積比1:1での混合物に添加し、10分間撹拌した。Agと還元剤との比が1:10になるように、この反応混合物に、4.6molのホルムアルデヒド水溶液を撹拌しながら添加した。この混合物を60℃まで加熱し、その温度で30分間維持し、次いで冷却した。粒子を、膜分離法による第一工程で未反応出発物質から分離し、次いで、ゾルを、30,000ダルトンの膜を用いて濃縮した。20重量%の固形分(銀粒子および分散剤)を有するコロイド安定ゾルを得た。膜濾過後の元素分析によれば、Disperbyk 190の含有量は、銀含有量に基づいて6重量%であった。レーザー相関分光法(Brookhaven BIC-90 Plus)による試験は、78nmの有効径を示した。
【実施例2】
【0039】
1.5gのPVP K40(SIGMA-ALDRICH)および1.5のDisperbyk 190(Altana, Byk-Additives)を、実施例1の20%ナノ銀ゾル15mlに溶解した。次いで、最大性能の30%の振幅で超音波フィンガー(G. Heinemann, Ultraschal und Labortechnik)を用いて、30gの銀粉末(Metalor K-1332 P)を混合物に導入した。続いて、スクリーン印刷によってペーストをポリカーボネートフィルム(Makrolon(登録商標)、Bayer MaterialScience AG)に適用し、130℃で熱処理した。2×10S/mの比導電率に達した。
【0040】
本発明の広範な概念から逸脱することなく、先に記載した態様を変更できることは、当業者に理解されるであろう。従って、本発明は開示した特定の態様に制限されないが、付記した特許請求の範囲によって規定された本発明の意図および範囲を超えることなく変更が包含されることが意図されていると理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)5〜40重量部のレーザー相関分光法により測定された最大有効径150nmを有する銀ナノ粒子;
(b)50〜99.5重量部の水;
(c)0.01〜15重量部の分散剤;
(d)0.5〜5重量部のフィルム形成剤;および
(g)30〜70重量部のレーザー相関分光法により測定された最大有効径10μmを有する金属粒子
を含んでなり、少なくとも1Pa・sの粘度を有する印刷可能組成物。
【請求項2】
銀ナノ粒子が二峰性粒度分布を有する請求項1に記載の印刷可能組成物。
【請求項3】
5重量部までの量で存在する添加剤(e)を更に含んでなる、請求項1に記載の印刷可能組成物。
【請求項4】
5重量部までの量で存在する導電性ポリマー(f)を更に含んでなる、請求項1に記載の印刷可能組成物。
【請求項5】
分散剤がポリマー分散剤を含んでなる請求項1に記載の印刷可能組成物。
【請求項6】
ポリマー分散剤が、ブロックコポリエーテル、ポリスチレンブロック含有ブロックコポリエーテルおよびそれらの混合物からなる群から選択される1種以上を含んでなる、請求項5に記載の印刷可能組成物。
【請求項7】
金属粒子が、銀粒子、銀被覆銅粒子またはそれらの組み合わせからなる群から選択される1種以上を含んでなる、請求項1に記載の印刷可能組成物。
【請求項8】
金属粒子が500nm〜10μmの有効径を有する請求項1に記載の印刷可能組成物。
【請求項9】
30重量部までの量で存在する溶媒を更に含んでなる、請求項1に記載の印刷可能組成物。
【請求項10】
溶媒が、C1〜5アルコール、エーテル、グリコール、ケトンおよびそれらの混合物からなる群から選択される1種以上の化合物を含んでなる、請求項9に記載の印刷可能組成物。
【請求項11】
フィルム形成剤が、ポリアクリレート、ポリアクリレートのアンモニウム塩、シロキサン、ポリエチレングリコール、ワックス、変性セルロース、カーボンナノチューブ、ポリビニルアルコール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1種以上を含んでなる、請求項1に記載の印刷可能組成物。
【請求項12】
フィルム形成剤が変性セルロースおよびカーボンナノチューブの混合物を含んでなる、請求項1に記載の印刷可能組成物。
【請求項13】
導電性ポリマーが、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレン、ポリパラフェニレン、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリフルオレン、ポリアセチレンおよびそれらの混合物からなる群から選択される1種以上を含んでなる、請求項1に記載の印刷可能組成物。
【請求項14】
導電性ポリマーがポリエチレンジオキシチオフェンおよびポリスチレンスルホン酸を含んでなる、請求項1に記載の印刷可能組成物。
【請求項15】
銀ナノ粒子が10〜35重量部の量で存在し、分散剤が0.1〜15重量部の量で存在する、請求項1に記載の印刷可能組成物。
【請求項16】
銀ナノ粒子が15〜30重量部の量で存在し、分散剤が5〜10重量部の量で存在する、請求項1に記載の印刷可能組成物。
【請求項17】
(i)基材を用意し;
(ii)スクリーン印刷、フレキソ印刷、写真版印刷およびオフセット印刷の1種以上により、請求項1に記載の組成物を基材上に印刷し;
(iii)印刷した組成物を熱処理して条導体を形成する
ことを含む方法。
【請求項18】
熱処理を最高温度140℃で実施する請求項17に記載の方法。
【請求項19】
請求項17に記載の方法によって製造された導電性被膜含有基材。
【請求項20】
導電性被膜が少なくとも5×10S/mの導電率を有する請求項19に記載の基材。

【公開番号】特開2009−275227(P2009−275227A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−119559(P2009−119559)
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】