説明

鋲留め装置及び鋲留め装置配備方法

本実施形態は、グラフト部材を組織に結合したり身体開口部を閉合したりするのに適した器械及び方法を提供している。1つの実施形態では、鋲留め装置は、第1端と第2端を有するワイヤであって、更に送達状態と配備状態を有するワイヤを備えている。収縮状態では、ワイヤは、直線的な細長い形態を備えている。展開状態では、ワイヤは、頭領域と胴領域とを備えており、頭領域は第1直径を有する少なくとも1つの完周巻き部を備え、胴領域は第2直径を有する少なくとも2つの完周巻き部を備えており、第1直径は第2直径よりも大きい。それら鋲留め装置の1つ又はそれ以上を、腹腔鏡的手法、内視鏡的手法、又は経皮的手法を使用して送達することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本発明は、2009年5月28日出願の「鋲留め装置及び鋲留め装置配備方法」という名称の米国仮特許出願第61/181,946号の優先権の恩典を主張し、同仮出願の開示をこれにより参考文献としてそっくりそのまま援用する。
【0002】
本実施形態は、概括的には医療装置に、より厳密には、グラフト部材を組織へ固定したり身体開口部を閉合したりするための器械及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
組織又は体壁の穿孔は、意図的に形成されることもあれば、偶発的に形成されることもある。例えば、重い物の持ち上げ、咳、排便又は排尿中に加えられるいきみ、腹腔の体液、又は他の理由により、偶発的な腹部前壁ヘルニアが腹壁に形成されることがある。意図的な穿孔は、例えば、経管腔的処置の様な外科的処置中に形成されることがある。経管腔的処置では、内視鏡の様な1つ又はそれ以上の器具が、胃壁の様な臓器壁を貫いて挿入されるかもしれない。経管腔的処置中、臓器壁の穿孔を閉合するのに、閉合器具が使用されることがある。穿孔を備える構造によっては、穿孔を的確に閉合し、体液の漏出を防ぐのが難しいこともある。
【0004】
穿孔を密閉する試みは、グラフト部材を組織に結合することによって行われてきた。例えば、ヘルニア修復時、メッシュ又はパッチの様なグラフト材料を、穿孔を覆うように配置することができる。グラフト材料は穿孔と完全に重なり合わされ、グラフト材料の縁部は穿孔を取り囲んでいる組織と少なくとも部分的に重なり合わされる。次いで、グラフト材料は、穿孔を有効に覆って密閉することを目的に周辺組織に固定される。
【0005】
グラフト材料を周辺組織に固定するには、縫合糸が、普通は手を使って、周辺組織の全層に通される。腹部前壁ヘルニアの症例では、縫合糸は腹壁の厚さを貫いて通され、次いで縛られ、結紮される。しかしながら、その様な手を使った縫合技法は、時間が掛かったり、施行が難しかったりする。
【0006】
穿孔を覆って密閉することに加え、グラフト材料を組織に結合するのが望ましいとされる症例は他にも様々ある。例えば、局所組織を再建することが目的でグラフト材料を組織の或る領域に結合するのが必要になることや又は望ましいとされることもあろう。グラフト材料の組織への結合が、局所組織を再建するためであろうと、穿孔を密閉するためであろうと、或いは別の目的であろうと、グラフト材料を組織に迅速且つ有効に結合するための器械及び方法が提供されれば望ましいであろう。
【0007】
ヘルニア処置中にグラフトを組織に結合するのに様々な鋲留め装置が使用されている。鋲留め装置のなかには、螺旋状部材又はねじの切られた部材を備えているものもある。事例によっては、鋲留め装置を組織の中へねじ込んだり或いは代わりに組織との係合を緩めたりするのにねじ回しを鋲留め装置の頭領域に係合させるものもある。しかしながら、その様な鋲留め装置は、固定された外形を有する剛性部材を備えており、その結果、比較的大きな送達装置と切開が要求される。また、発明人らは、鋲留め装置が、グラフト部材が組織に対して滑ることを許してしまう可能性のあることや、頭領域が身体空間の中へ大きく突き出し、誤って腸の様な器官を引き裂いて外科的な合併症を引き起こしてしまう可能性のあることを発見した。
【特許文献1】米国仮特許出願第61/181,946号
【特許文献2】米国特許第6,206,931号
【発明の概要】
【0008】
本実施形態は、組織に係合させるための鋲留め装置であって、グラフトの組織への結合、身体開口部の閉合促進などに有用となり得る鋲留め装置を提供している。1つの実施形態では、鋲留め装置は、第1端と第2端を有するワイヤであって、更に送達状態と配備状態を有するワイヤを備えている。送達状態では、ワイヤは、直線的な細長い形態を備えている。配備状態では、ワイヤは、頭領域と胴領域とを備えており、頭領域は第1直径を有する少なくとも1つの完周巻き部を備え、胴領域は第2直径を有する少なくとも2つの完周巻き部を備えている。
【0009】
頭領域の完周巻き部の第1直径は、胴領域の少なくとも2つの完周巻き部の第2直径より大きくされていてもよい。更には、胴領域の長手方向距離は、頭領域の長手方向距離より少なくとも3倍大きくされていてもよい。鋲留め装置のワイヤは、送達状態から配備状態へ自己展開するように構成されているニッケル-チタン合金を備えていてもよい。
【0010】
本発明により提供されている鋲留め装置は、数々の病態を治療するのに使用することができるであろう。例えば、腹壁ヘルニアを治療するべくグラフト部材を組織に結合するのに使用する場合、頭領域の少なくとも1つの完周巻き部をグラフト部材に当接させ、一方で胴領域の少なくとも2つの完周巻き部を組織に係合させる。
【0011】
鋲留め装置は、送達状態で挿入道具の中空ルーメン内に入れて送達し、多数の技法を使用して配備することができる。例えば、腹腔鏡的送達技法を使用することができ、その場合は、挿入道具が腹腔鏡装置を通して進められ、ワイヤの胴領域が頭領域に先立って配備される。代わりに、内視鏡的送達技法が使用されてもよく、その場合、挿入道具は内視鏡のルーメンを通して進められ、ワイヤの胴領域が頭領域に先立って配備される。更には、経皮的送達技法が使用されてもよく、その場合、挿入道具は直接腹部の皮膚を貫いて進められ、ワイヤの頭領域が胴領域に先立って配備される。上記技法の何れにおいても、複数の鋲留め装置は、挿入道具の中空ルーメン内に連段式に装填され、次いで、複数の異なった場所でグラフト部材を組織に固定するべく順次に配備されることになる。
【0012】
好都合にも、鋲留め装置の頭領域の設計は、配備状態では、誤って腸を引き裂くという様な合併症の危険性を低減することができる。また、頭領域の直径が大きいおかげで、グラフト部材が鋲留め装置から滑り落ちて組織から離れてしまう可能性が小さくなる。更には、鋲留め装置は、送達状態では細長いワイヤとして送達することができるため、挿入道具及び身体切開の外形を小さくすることができる。
【0013】
当業者には、添付図面及び以下の詳細な説明を考察すれば、本発明の他のシステム、方法、特徴、及び利点が明らかであろう、又は明らかになってくるであろう。全てのその様な追加のシステム、方法、特徴、及び利点は、本発明の範囲に含まれ、付随の特許請求の範囲に網羅されるものとする。
【0014】
本発明は、添付図面及び以下の記述を参照することにより、より深く理解することができる。図中の構成要素は、必ずしも縮尺合わせされているわけではなく、むしろ本発明の原理を説明することに重点が置かれている。また、図中、同様の参照番号は、異なった図全部を通して対応する部分を表している。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1A】鋲留め装置の少し上から見た側面図を示している。
【図1B】鋲留め装置の上面図を示している。
【0016】
【図2】挿入道具内での送達形態にある複数の鋲留め装置を示している斜視破断図である。
【0017】
【図3】腹壁ヘルニアを治療するために図1−図2の鋲留め装置を1つ又はそれ以上配備する場合の例示としての腹腔鏡的配備の一段階を示している側面断面図である。
【図4】上記例示としての腹腔鏡的配備の別の段階を示している側面断面図である。
【図5】上記例示としての腹腔鏡的配備の別の段階を示している側面断面図である。
【0018】
【図6】例示としての端部視認式内視鏡の遠位領域の斜視図である。
【0019】
【図7】図1−図2の鋲留め装置を1つ又はそれ以上使用して腹壁ヘルニアを治療する場合の内視鏡的手法を示している側面図である。
【0020】
【図8】腹壁ヘルニアを治療するために図1−図2の鋲留め装置を1つ又はそれ以上配備する場合の例示としての経皮的配備の一段階を示している側面断面図である。
【図9】上記例示としての経皮的配備の別の段階を示している側面断面図である。
【図10】上記例示としての経皮的配備の別の段階を示している側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本出願では、「近位」という用語は、概して医療処置中の医師に向かう方向を指し、一方「遠位」という用語は、概して医療処置中の患者の解剖学的構造内の目標部位に向かう方向を指す。よって、装置又は身体領域の「近位」部分と「遠位」部分は、処置での進入点(例えば、経皮的対腹腔鏡的)次第で変わり得る。
【0022】
これより図1A−図1Bを参照すると、鋲留め装置20の第1の実施形態が、配備状態又は展開状態で示されている。鋲留め装置20は、第1端38と第2端48を有する単一ワイヤ21を備えている。「ワイヤ」という用語がここで使用されている場合、それは概してワイヤ様の部材を指し、金属製の部材に限定されるものではなく、むしろプラスチックやその他の材料を含んでいてもよい。図1A−図1Bの展開状態では、ワイヤ21は、以下に更に詳細に説明されている様に、頭領域30と胴領域40を備えており、両領域に亘って連続した巻き部を有している。参考までに、鋲留め装置20は、図1−図2に示されている様に長手方向中心軸Cを有している。
【0023】
頭領域30は、概して、第1端38から、頭領域30と胴領域40を区切っている連接部に向けて伸びている。第1端38は、長手方向中心軸Cと交わるように、或いは長手方向中心軸Cに隣接するように配置されていて、半径方向外向きに長手方向中心軸Cから離れて伸びる実質的直線区間32へと移行していてもよい。実質的直線区間32は、次に湾曲区間33へと移行しており、当該湾曲区間33は、図1A−図1Bに描かれている様に、少なくとも360度に及んで連接部35で終端しているのが好適である。
【0024】
連接部35は、単一の点を備えていてもよいし、第1領域30と第2領域40の間の移行を線引きしている短い直線区間を備えていてもよい。連接部35は、ワイヤ21の湾曲の方向を有効に変化させている。例えば、図1A−図1Bに示されている様に、ワイヤ21は、頭領域30に亘って略反時計回りの方向に伸びているが、連接部35が、ワイヤ21が胴領域40に亘って時計回りの方向に伸びるように方向を変化させている。
【0025】
図1A−図1Bの例示としての実施形態では、湾曲区間33は、約450度に及んでおり、即ち、反時計回りの360度完全一周に90度分が追加されている。より具体的には、図1A−図1Bに示されている様に、湾曲区間33に沿って実質的直線区間32に平行になっている部分34が在って、それにより360度の曲率が指し示されているが、ワイヤ21は更に当該部分34から連接部35まで更に約90度分伸びている。従って、この例では、連接部35は、図1A−図1Bに描かれている様に、実質的直線区間32に大凡直交する向きにある。連接部35は、横向けに、長手方向中心軸Cによって画定されている線に交わる方向に又は当該線にほぼ一致する方向に伸びていてもよい。連接部35は、従って、ワイヤ21の第1端38から長手方向及び/又は半径方向にオフセットし、展開状態で連接部35が第1端38に干渉しないようにしている。
【0026】
湾曲区間33は、必ずしも、完全に輪になった円を形成しているわけではないが、図1A−図1Bに描かれている様に長手方向中心軸Cから離れた最大直線幅と定義することのできる直径Dを備えている。以下に更に詳細に説明されているように、大きくされた直径Dは、頭領域30と組織の穿孔を覆うグラフト部材との間の係合を強化し、それにより、グラフト部材が鋲留め装置20から滑り落ちて組織から離れてしまう可能性が小さくなる。
【0027】
湾曲区間33は大凡450度に及んでいることが示されているが、湾曲区間33はそれより短い長さ又は長い長さに及んでいてもよい。例えば、湾曲区間は、反時計回りの方向に、少なくとも2つの360度又はそれ以上の完周巻き部(full turns)に亘って伸びていてもよい。しかしながら、2つより少ない完周巻き部を利用すれば、頭領域30の長手方向距離Lが小さくなり、それにより好都合にも、以下に更に説明されている様に腹壁ヘルニアの治療中の頭領域30の腹膜内への突出が低減されることを指摘しておく。
【0028】
引き続き図1Aに関し、胴領域40は、概して連接部35から第2端48に向けて伸びている。以上に言及されている様に、連接部35は、ワイヤの方向を変化させて、胴領域40を時計回りの方向に伸ばさせている。図1Aの例示としての実施形態では、胴領域40は、それぞれが360度に及んでいる少なくとも2つの完周巻き部41及び42を備えている。360度未満の部分周巻き部(partial turn43)が、完周巻き部42とワイヤ21の第2端48の間に伸びている。しかしながら、胴領域40は、完周巻き部2つ分又はそれ以下に及んでいてもよいし、代わりに、完周巻き部3つ分又はそれ以上に及んでいてもよい。注目すべきこととして、胴領域40の巻き部41及び42の直径Dは、頭領域30の直径Dよりも小さい。直径D対直径Dの比は、約2対1とすることができるが、それより大きい或いは小さい比が提供されていてもよい。
【0029】
示されている実施形態では、胴領域40は、配備形態では、巻き部それぞれの直径Dが大凡等しい円筒形の形状を画定している。しかしながら、或る代わりの実施形態では、巻き部41の直径は、巻き部42の直径より大きく、その結果、胴領域40はねじの様な恰好に先細りしている。
【0030】
胴領域40の少なくとも2つの完周巻き部41及び42は、図1Bに示されている様に、中に内部空間49を形成しながら長手方向中心軸C周りを回っている。頭領域30の一部分も、図1Bに示されている内部空間49の周りを回っている。連接部35は、長手方向に第1領域30と第2領域40の間の内部空間49を突っ切って、ワイヤ21の湾曲方向を有効に変化させるように伸びている。
【0031】
図1Aに描かれている様に、胴部領域40は、巻き部の直径Dに加えて一部には巻き部の数に基づいて、長手方向距離Lに及んでいる。完周巻き部の数は、特定の医療用途に基づいて選択することができる。例えば、腹壁ヘルニアの治療では、以下に更に説明されている様に、胴領域40に沿っている巻き部の数は、胴領域40が実質的に腹部組織内に配置されるように選択することができる。また、鋲留め装置20の長手方向の長さ全体を占めている長手方向距離L及びLは、以下の例で示されている組織74とグラフト部材80それぞれを合わせた厚さt及びtに実質的に等しいか又はそれ未満の寸法とすることができる。
【0032】
或る好適な実施形態では、胴領域40の長手方向距離Lは、頭領域30の長手方向距離Lより少なくとも3倍大きくされている。しかしながら、長手方向距離Lは、長手方向距離Lの約1.5倍から約10.0倍の大きさの範囲にあってもよい。好都合にも、頭領域30の長手方向距離Lが相対的に短いことにより、鋲留め装置20の腹膜の様な身体空間内への突出が低減され、一方で胴領域40の長手方向距離Lが相対的に長いことにより、組織74との係合が高まることであろう。
【0033】
鋲留め装置20は、図1A−図1Bに示されている展開された配備状態に加え、図2に示されている収縮状態又は送達状態を備えている。或る好適な実施形態では、鋲留め装置20のワイヤ21は、ニッケル‐チタン合金(ニチノール)の様な形状記憶材料を備えていてもよい。ニチノールの様な形状記憶材料が採用されている場合、ワイヤ21は、或る特定の冷媒体又は温媒体を適用すると図1A―図1Bに示されている事前に設定されている展開状態をとることができるように製造されていてもよい。より具体的には、形状記憶材料には、同材料に以前の形状又は形態を「思い出させ」その形状又は形態に復帰させる実質的に可逆性の相変態を経験させてもよい。例えば、ニチノールの場合、オーステナイト相とマルテンサイト相の間の変態は、冷却及び/又は加熱すること(形状記憶効果)によって、又は応力を等温的に印加及び/又は除去すること(超弾性効果)によって起こすことができる。オーステナイトは、特質的には、より強い相であり、マルテンサイトはより簡単に変形させることのできる相である。
【0034】
形状記憶効果の一例では、初期形態がオーステナイト相であるニッケル‐チタン合金を変態温度(M)より下に冷却してマルテンサイト相へ変態させ、次いで第2の形態へ変形させることができる。材料は、もう1つの変態温度(A)へ加熱されると、図1A−図1Bに示されている様に、その初期の既定の形態に自発的に復帰する。一般的に、記憶効果は一方行であり、つまりは1つの形態からもう1つの形態への自発的な変化は加熱された場合にのみ起こるという意味である。しかしながら、形状記憶材料が加熱された場合同様に冷却された場合にも自発的に形状を変化させる二方向形状記憶効果を得ることは可能である。
【0035】
代わりに、ワイヤ21は、配備に先立って拘束できるように付勢され、配備されると自身の弛緩展開形態に復帰しようとする他の金属及び合金から作られていてもよい。単に一例として、ワイヤ21は、ステンレス鋼、コバルト‐クロム合金、アモルファス金属、タンタル、白金、金、及びチタンの様な他の材料を備えていてもよいし、又は熱可塑性プラスチック及び他のポリマーの様な非金属材料から作られていてもよい。
【0036】
図2に示されている様に、鋲留め装置20のワイヤ21は、収縮状態では細長い形態を備えており、つまり、ワイヤ21は、長手方向中心軸Cに沿った向きにある。この状態で、1つ又はそれ以上の鋲留め装置20は、挿入道具50を使用して、患者の解剖学的構造の目標部位へ送達することができる。1つの実施形態では、挿入道具50は、図2に描かれ、また以下に説明されている様に、1段目の鋲留め装置20a及び2段目の鋲留め装置20bの様な複数の異なった鋲留め装置を担持することができる。
【0037】
1つの実施形態では、挿入装置50は、尖った遠位先端52と中空ルーメン54を有する針様の本体を備えている。挿入道具50は、ステンレス鋼又は他の適した如何なる材料から製造されていてもよく、内視鏡超音波(EUS)又はエコー源性の針を備えていてもよい。単に一例として、挿入道具は、何れもノースカロライナ州ウインストン・セーレムのCook Endoscopy社製であるEchoTip(登録商標)超音波針又はEchoTip(登録商標)超内視鏡超音波針を備えていてもよい。
【0038】
挿入道具50の中空ルーメン54は、鋲留め装置を形成するワイヤ21の外径より大きい内径を備えるものとすることができる。その結果、1段目の鋲留め装置20a及び2段目の鋲留め装置20bは、挿入道具50の中空ルーメン54の中へ、図2に示されている様に連段式に装填することができる。ワイヤ21の装填の方向は重要であり、以下に更に説明されている様に、処置及び関連する進入点、例えば腹腔鏡的対経皮的、に基づいて確定されることになる。図2では、1段目の鋲留め装置20a及び2段目の鋲留め装置20bは、腹腔鏡的処置又は内視鏡的措置に適合しており、それらの処置では、胴領域40が頭領域30に先立って配備される。従って、図2に描かれている様に、1段目の鋲留め装置20aの第2端48が挿入道具50の尖った遠位先端52に最も近く、一方、1段目の鋲留め装置20aの第1端38は2段目の鋲留め装置20bの第2端48に当接することになる。
【0039】
図2に示されている様に、スタイレット60を挿入道具50の中空ルーメン52内に、長手方向に動かせるように配置することができる。スタイレット60は、ステンレス鋼又は他の適した如何なる材料を備えていてもよい。スタイレット60は、2段目又は最後尾の鋲留め装置20bより近位に配置されている。使用時は、以下に更に説明されている様に1段目の鋲留め装置20a及び2段目の鋲留め装置20bの順次配備を容易にするために、スタイレット60を長手方向に固定保持したまま、挿入道具50を近位方向に後退させる。
【0040】
挿入道具50は、図2に示されている様に1つ又はそれ以上のマーカー56を備えていてもよく、マーカーは挿入道具50の遠位端付近に配置されていてもよい。マーカー56は、例えば、医師が挿入道具50を、以下に図3に描かれている様に組織74の中へどれほど深く穿通させたかを見極めることができるように、挿入道具の遠位端の位置確定を容易にするべく他の画像化技法の蛍光透視法下で視覚化されるように構成することができる。以下に更に説明されている様に、挿入道具50は、腹腔鏡装置又は内視鏡の様な別の装置と関連付けて使用することができる。
【0041】
鋲留め装置20の寸法は、特定の外科的処置、特定の患者の解剖学的構造、及び/又はその他の要因に基づき、特注仕様化することもできる。好都合にも、鋲留め装置20は、図1A−図1Bの形状へ配備されるより前は細長いワイヤとして送達することができるので、挿入道具の全体外形を縮小することができ、その結果切開がより小さくて済む。
【0042】
次に図3−図5を参照すると、グラフト部材80を使用する穿孔75の治療を容易にするのに上述の1つ又はそれ以上の鋲留め装置20が使用されている。示されている例では、穿孔75は、腹壁の組織74に在る腹壁ヘルニアである。腹壁ヘルニアの治療が例示目的で示されているが、ここに記載の鋲留め装置は、限定するわけではないがここに記載されている何れの例示としての処置も含め、広範な医療処置に使用することができる。
【0043】
腹壁ヘルニア修復の最初の段階は、知られている技法を使用して施行することができる。図3−図5の例では、腹腔鏡的技法が採用されており、それによれば、ヘルニア部位へアクセスするために複数の比較的小さい切開が作成される。第1の腹腔鏡装置(図示せず)が腹壁を視覚化するのに使用され、一方、第2の腹腔鏡装置90が挿入道具50を送達するのに使用されている。
【0044】
グラフト部材80は、穿孔75を覆い、且つ腹腔内容物の突出を実質的又は完全に阻止するのに適した如何なる材料を備えていてもよい。1つの実施形態では、グラフト部材80は、インディアナ州ウエストラファイエットのCook Biotech,Inc.社から入手できるSURGISIS(登録商標)BIODESIGN(商標)軟組織グラフトの様な小腸粘膜下組織(SIS)を備えていてもよく、その様な組織は、その3次元細胞外基質(ECM)を介したスマートな組織再建を提供するものであって、宿主組織細胞及び血管をコロニー形成させるとともに足場となって結合組織及び上皮組織を当該ECM構成要素と一体に成長及び分化させる。好適には、グラフト部材80は、幾つもの組織工学製品から作られた1層乃至4層の凍結乾燥軟組織グラフトということになろう。再生又は天然由来コラーゲン材料を使用することもでき、その様な材料は少なくとも生体分解吸収性であり、それらが生体再建性で細胞の侵入と内方成長を促して特定の利点を提供する材料と共に用いられれば或る利点がもたらされることになろう。適した生体再建性材料は、向生物性を持つコラーゲンECMによって提供することができ、それには一部の特定の形態では血管由来コラーゲン細胞外基質材料が含まれる。例えば、適したコラーゲン材料には、粘膜下組織、腎被膜、真皮コラーゲン、硬膜、心膜、大腿筋膜、漿膜、腹膜、又は肝臓基底膜を含む基底膜層の様なECMが含まれる。これらの目的に適した粘膜下組織材料には、例えば、小腸粘膜下組織を含む腸粘膜下組織、胃粘膜下組織、膀胱粘膜下組織、及び子宮粘膜下組織が含まれる。グラフト部材80は、生体材料と生体分解性ポリマーの複合材を備えることもできる。更なる詳細はCookらへの米国特許第6,206,931号に見い出すことができ、同特許の開示をここに参考文献としてそっくりそのまま援用する。
【0045】
次に図3を参照すると、既知の技法を使用して、グラフト部材80が穿孔75を覆うように置かれた後、腹腔鏡装置90が腹膜内の所望位置へ操縦されている。図3に示されている様に、腹腔鏡装置90の遠位端は、グラフト部材80に面して位置付けられる。次の段階で、挿入道具50は、遠位方向に腹腔鏡装置90のルーメンを通して進められ、グラフト部材80を刺し貫き、更に穿孔75の周囲周りの第1の場所で組織74の中へ少なくとも途中まで穿刺する。
【0046】
この例では、挿入道具50は2つの連続する鋲留め装置20a及び20bを担持しており、それら装置は以上に図2に示されている様に、挿入道具50の中空ルーメン54内に配置されている。鋲留め装置20a及び20bを収縮送達状態にさせたまま、挿入道具50の尖った先端52を組織74の中へ所定の深さまで前進させてゆく。図2のマーカー56は、挿入道具50を組織74の中へどれほど深く穿通させたかを見極めるのに役立つ。
【0047】
次の段階では、図2のスタイレット60を挿入道具50に関して固定保持し、その間に挿入道具50を近位方向に、即ち組織74から遠ざかり腹膜に向かう方向に後退させる。これにより、最遠位の鋲留め装置20aの第2端48が、図4に描かれている様に挿入道具50の尖った先端52より遠位に伸ばされ、それから部分周巻き部43、それに続いて胴領域40の第2完周巻き部42そして第1完周巻き部41が段階的に配備されてゆく。ワイヤ21の胴領域40がもはや挿入道具50によって半径方向に拘束されなくなると、部分周巻き部43と完周巻き部41及び42は、組織74に係合することのできる各自の既定の展開形態をとる。好適にも、部分周巻き部43と完周巻き部41及び42は組織74に埋まるか又は組織74と織り交ぜられ、例えば、組織はワイヤ21の巻き部と巻き部の間の空いた空間を満たし、それにより胴領域40を組織74内に固定することができる。
【0048】
挿入道具50を1段目の鋲留め装置20aに対して更に近位方向に後退させると、頭領域30が、図5に示されている様に、もはや半径方向に拘束されなくなって、その既定の展開形態をとる。展開形態では、頭領域30はグラフト部材80に係合又は当接することができる。この様にして、鋲留め装置20aは、グラフト材料80を組織74に押し当てて固定するのを助ける。
【0049】
或る代わりの配備技法では、挿入道具50を固定保持し、その間にスタイレット60を遠位方向に前進させて、1段目の鋲留め装置20aを挿入道具50に対して遠位方向に前進させる。更に、スタイレット60を遠位方向に前進させ、一方で挿入道具50を近位方向に後退させて、1段目の鋲留め装置20aを配備する。何れの技法を使用しても、鋲留め装置20a自体は、特に連接部35は、蛍光透視法の様な所望の様式を使用して視覚化することができる。
【0050】
1段目の鋲留め装置20aが配備された後、穿孔75の周囲周りに2段目の鋲留め装置20bを配備するために挿入装置50を位置変えする。2段目の鋲留め装置20bは、鋲留め装置20aと同じやり方で配備することができる。この様にして、複数の鋲留め装置は、図5に示されている様に、グラフト部材80を穿孔75の周囲周りに固定することができる。自明であろうが、使用される鋲留め装置は2つより多くてもよく、鋲留め装置の位置付けは、穿孔75を実質的に密閉するためにグラフト部材80の組織74への固定が最適化されるように変えられてもよい。
【0051】
好都合にも、頭領域30の長手方向距離Lが相対的に小さいため、頭領域30は、図5に描かれている様に、鋲留め装置20の腹膜内への突出を低減できる比較的平坦な面を提供している。また、頭領域30は、腸の様な身体器官を誤って裂いたり突い通したりしかねない実質的に鋭利な面を一切備えていない。所望に応じ、頭領域30の代替的な第1端38’は内向きに、つまりは図5に示されている組織74及び第2端48に向けて、曲げられていてもよく、すると鋲留め装置20が誤って裂き裂くという様な合併症は更に低減される。また、頭領域30の大きくされた直径Dは、グラフト部材80との面接触を強化することができ、それによりグラフト部材80が鋲留め装置20から抜け落ちたり組織74から滑って離れたりする可能性が小さくなる。
【0052】
随意的に、腹腔鏡装置90を断続的に遠位方向に押し出してグラフト部材80に当接させ、挿入道具50を近位方向に後退させながら頭領域30を配備するようにしてもよい。この技法は、確実に、頭領域30全体がグラフト部材80より近位に配備され、それによりグラフト部材80が頭領域30と胴領域40の間に挟まれるようにするのを支援する。代わりに、尖っていない外シースを挿入道具50の上から腹腔鏡装置90と挿入道具50の間の環状空間を経由して前進させ、配備中の必要に応じて組織74を押圧させるようにしてもよい。
【0053】
更に代わりの実施形態で、複数の鋲留め装置20a及び20bが半環状又は環状の形状をしている穿孔75の周りに順次位置付けられる場合の実施形態では、縫合糸を複数の鋲留め装置の間に配置させてもよい。例えば、縫合糸を1段目の鋲留め装置20aと2段目の鋲留め装置20bの頭領域30の下か又は周りに輪にし、縫合糸の第1端と第2端を医師が操縦できるようにしておく。次に縫合糸の第1端と第2端を巾着式に引っ張って鋲留め装置間の距離を縮め組織74を穿孔75の周りに圧縮させる。縫合糸の端は、組織74の圧縮が維持されるように、結び目を形成するなどの何らかの適した技法を用いるか又はクランプやリベットなどを使用して固定されることになる。
【0054】
次に図6−図7を参照すると、腹壁ヘルニアを治療するための内視鏡的手法が記載されている。内視鏡的手法は、以上に図3−図5に記載されている腹腔鏡的手法に似ているが、但し、腹腔鏡装置の代わりに内視鏡100が使用され、患者の皮膚には目に見える切開は作成されない。具体的には、図7に描かれている様に、内視鏡100を、消化管の様な身体管腔を通して前進させながら消化管を貫くアクセス孔を作成して、腹腔側からの腹壁ヘルニアへのアクセスを得る。
【0055】
挿入道具50の様な1つ又はそれ以上の構成要素は、内視鏡の作業ルーメン102を通して前進させることができる。挿入道具50の遠位端は、内視鏡100より遠位側を照らし画像を捕捉するために光ファイバー構成要素を備えていてもよいとされる内視鏡100の光学素子103及び104を介して視認することができる。光源と接眼レンズを使用する適した視覚化の下に、医師は挿入道具50を使用して複数の鋲留め装置を1度に1つずつ配備することができる。
【0056】
この内視鏡的手法が採用される場合、挿入道具50は、後で消化管のアクセス孔を閉合するために追加の鋲留め装置20を担持していてもよい。具体的には、複数の鋲留め装置20の第1のセットが、以上に図3−図5に記載されている様にグラフト部材80を組織74に固定するのに使用され、複数の鋲留め装置20の第2のセットが、消化管のアクセス孔の閉合を促すために使用されるが、その際グラフト部材は使用されても使用されなくてもよい。図7には内視鏡的配備段階の特定の1つの段階しか示されていないが、他の段階は以上に図3−図5に示され説明されており、鋲留め装置20a及び20bの内視鏡的手法を用いての最終的な配備は、以上に図5に描かれているのと実質的に同じであることに留意されたい。
【0057】
次に図8−図10を参照すると、腹壁ヘルニアを治療するための経皮的手法が記載されている。経皮的手法は、以上に図3−図5に記載されている腹腔鏡的手法と似ているが、幾つかの注目すべき相違点がある。第1に、経皮的手法では、挿入道具50は腹部組織74からグラフト部材80へ向かう方向に進められる。従って、以下に説明されている様に頭領域30が胴領域40に先立って配備される。また、挿入道具50は直接患者の腹部の皮膚を貫いて進められる。
【0058】
経皮的手法が使用される場合、鋲留め装置20は、以上に説明されている腹腔鏡的手法及び内視鏡的手法の場合の装填に対してそれとは逆の方向に挿入道具50内に装填されなくてはならない。より具体的には、先の図2に関し、経皮的手法では、1段目の鋲留め装置20aの頭領域30の第1端38が針の尖った先端52に最も近く位置することになる。更に、1段目の鋲留め装置20aの第2端48は、2段目の鋲留め装置20bの第1端38に当接し、スタイレット60は、2段目の鋲留め装置20bの第2端48に当接することになる。
【0059】
構成要素が上述のように装填された状態で、次に、図8に示されている様に、挿入道具50を、直接、患者の腹部の皮膚を貫き、組織74を貫き、グラフト部材80より僅かに遠位へ、腹膜の中まで前進させる。挿入道具50を最適に視覚化するために、先の実施形態で言及されている様に、腹腔鏡的視認装置を腹膜に配置してもよいし、又は内視鏡を経管腔的に目標部位の近傍まで前進させてもよい。代わりに、挿入道具50、特にマーカー56を、他の適した技法のうちの蛍光透視法を使用して視認することもできる。
【0060】
次の段階では、図2のスタイレット60を挿入道具50に関して固定保持し、その間に挿入道具50を近位方向に、即ち腹膜から遠ざかり組織74に向かう方向に後退させる。これにより、1段目の鋲留め装置20aの第1端38が、挿入道具50の尖った先端52より遠位に伸ばされ、頭領域30が配備される。挿入道具50の尖った先端52をグラフト部材80と整列させることにより、頭領域30は、図9に示されている様に、グラフト部材80と突合接触に配備される。挿入道具50を1段目の鋲留め装置20aに対して近位方向に更に後退させると、胴領域40の第1完周巻き部41が配備され、続いて第2完周巻き部42そして部分周巻き部43が配備される。以上に言及されている様に、展開状態では、完周巻き部41及び42と部分周巻き部43は、組織74に埋まるか又は組織74と織り交ぜられ、それにより胴領域40を組織74の中へ固定することができる。1段目の鋲留め装置20aが配備された後、以上に概説されている様に、穿孔75の周囲周りに追加の鋲留め装置を配備するために挿入装置50を位置変えする。
【0061】
以上に言及されている様に、或る代わりの実施形態では、巻き部41の直径が巻き部42の直径より大きくされていて、その結果、胴領域40がねじの様な恰好に先細りしていてもよい。更に代わりの実施形態では、複数の相対的に大径の巻き部が複数の相対的に小径又は中径の巻き部によって区切られていてもよい。例えば、頭領域から胴領域に向けて、相対的に大きい巻き部、次に相対的に小さい巻き部、次に相対的に大きい巻き部、次に中程度の巻き部、そして次に相対的に小さい巻き部という具合に続いていてもよい。幾つかの異なったこの様な巻き部直径の組合せが実施可能である。また、更に代わりの実施形態では、鋲留め装置は、その長手方向の長さ全体に亘って均一の螺旋状の直径を備えていてもよい。
【0062】
例示としての実施形態は、ここでは、腹部前壁に形成された穿孔75を覆う場合の1つ又はそれ以上の鋲留め装置20の使用を説明しているが、ここに開示されている鋲留め装置は、他の多くの処置で有用であろう。単に一例として、1つ又はそれ以上の鋲留め装置20は、胃壁の様な臓器壁の穿孔を治療するのに使用することができる。更に、鋲留め装置20は、局所組織を再建するなどで組織にグラフト部材を固定するのに使用することもできる。
【0063】
本発明の範囲内での更に別の適用では、鋲留め装置20はグラフト部材を組織に結合することのために使用される必要はない。例えば、鋲留め装置20は、吻合処置に使用されてもよい。吻合を作成するために、例えば、近位側の脈管、管道、又は器官を、遠位側の脈管、管道、又は器官に結合するべく、複数の鋲留め装置20が円形式に配備されてもよい。その様な事例では、内視鏡の様な適した挿入装置が、消化管の様な身体管腔を通して目標場所に近接する位置まで進められる。挿入道具50の様な1つ又はそれ以上の構成要素は、内視鏡の作業ルーメンを通して進めることができる。挿入道具50の遠位端は、蛍光透視法下に、又は内視鏡の光学素子を介して、又は何か他の視覚化技法を介して、視認することができる。適した視覚化の下に、次いで複数の鋲留め装置要素が、例えば挿入道具50を使用して、一度に送達される。次に、配備されたそれら鋲留め装置の真ん中を貫いて孔が開けられ、近位側と遠位側の脈管/管道/器官同士の間に流れの経路が作成される。
【0064】
鋲留め装置20の更に別の適用が実施可能であることは自明であろう。最後に、例示としての腹腔鏡的、内視鏡的、及び経皮的な送達技法を記載してきたが、ここに記載されている鋲留め装置20は開放性医療処置中に目標部位に配備されてもよいことに留意されたい。
【0065】
更に当業者には認識される様に、以上に記載されている方法は、概して、装置を、体内管腔を通して組織に設置することを含んでいるが、本システム、装置、及び方法は、人間又は動物の身体及び身体管腔に関連し得る材料かそうでないかを問わず、如何なる材料(例えば、織物、布、ポリマー、エラストマー、プラスチック、及びゴム)の層に使用されてもよいことが認識されるであろう。例えば、本システム、装置、及び方法に関しては、研究施設及び産業環境で、人間又は動物の身体への適用が見い出され得る材料かそうでないかを問わず、1層又はそれ以上の材料の層を通して装置を設置する場合の利用、及び同様に、身体組織ではない材料の層の孔又は穿孔を閉合する場合の利用を見い出すことができる。幾つかの例として、縫製又は縫合及び関連の製造工程、合成組織を用いた作業、ポリマーシートの接続又は修復、動物の研究、獣医学的適用、及び死体解剖活動が挙げられる。
【0066】
本発明の様々な実施形態を記載してきたが、本発明は、付随の特許請求の範囲及びそれらの等価物に照らした場合を除き限定されるものではない。更に、ここに記載されている利点は必ずしも本発明の唯一の利点というわけではなく、また必ずしも本発明の実施形態のどれもが、記載されている利点の全てを実現できるものと期待されているわけではない。
【符号の説明】
【0067】
20、20a、20b 鋲留め装置
21 ワイヤ
30 頭領域
32 実質的直線区間
33 湾曲区間
34 実質的直線区間に平行の部分
35 連接部
38、38’ 第1端
40 胴領域
41、42 完周巻き部
43 部分周巻き部
48 第2端
49 内部空間
50 挿入道具
52 挿入道具の尖った先端
54 挿入道具のルーメン
56 マーカー
60 スタイレット
74 組織
75 穿孔
80グラフト部材
90 腹腔鏡装置
100 内視鏡
102 作業ルーメン
103、104 光学素子
C 長手方向中心軸
頭領域の巻き部の直径
胴領域の巻き部の直径
頭領域の長手方向距離
胴領域の長手方向距離
組織の厚さ
グラフト部材の厚さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端と第2端とを有し、更に送達状態と配備状態とを有するワイヤを備えている鋲留め装置において、
前記送達状態では、前記ワイヤは、直線的な細長い形態を備え、
前記配備状態では、前記ワイヤは、頭領域と胴領域とを備え、前記頭領域は第1直径を有する少なくとも1つの完周巻き部を備え、前記胴領域は第2直径を有する少なくとも2つの完周巻き部を備えており、前記第1直径は前記第2直径より大きい、鋲留め装置。
【請求項2】
前記配備状態では、前記胴領域は、円筒形の形状を画定している、請求項1に記載の鋲留め装置。
【請求項3】
前記第1直径は、前記第2直径より約2倍大きい、請求項1に記載の鋲留め装置。
【請求項4】
前記配備状態では、前記胴領域の長手方向距離は、前記頭領域の長手方向距離より少なくとも3倍大きい、請求項1に記載の鋲留め装置。
【請求項5】
前記頭領域と前記胴領域の間の連接部を更に備えており、前記連接部は、前記ワイヤの湾曲の方向を反時計回りの方向から時計回りの方向へ変化させている、請求項1に記載の鋲留め装置。
【請求項6】
前記頭領域の前記少なくとも1つの完周巻き部と前記胴領域の前記少なくとも2つの完周巻き部は、長手方向中心軸の周りを周方向に伸びており、前記連接部は、前記長手方向中心軸に大凡一致している、請求項5に記載の鋲留め装置。
【請求項7】
前記頭領域は、前記第1端に隣接する実質的直線区間を更に備えており、前記実質的直線区間は、前記長手方向中心軸に大凡一致している、請求項6に記載の鋲留め装置。
【請求項8】
前記頭領域は、前記第1端と前記胴領域との連接部の間が、合計で約400度から約500度の間で湾曲している、請求項1に記載の鋲留め装置。
【請求項9】
前記ワイヤが前記配備状態にあるとき、前記ワイヤの前記第1端は前記第2端に向かう方向に曲がっている、請求項1に記載の鋲留め装置。
【請求項10】
グラフト部材を材料の層に結合するのに適した方法において、
前記グラフト部材を前記材料の層の選択された領域を覆って位置付ける段階と、
送達状態と配備状態とを有するワイヤを備えた少なくとも1つの鋲留め装置を提供する段階と、
送達装置の中空ルーメン内の鋲留め装置を送達する段階であって、前記ワイヤは直線的な細長い形態を有する前記送達状態で提供されている、鋲留め装置を送達する段階と、
前記挿入道具と前記鋲留め装置を互いに対して動かして、前記ワイヤを前記挿入道具から排出させ、配備状態に配備する段階と、を備えており、
前記配備状態では、前記ワイヤは、前記グラフト部材に当接している少なくとも1つの完周巻き部を備える頭領域を備え、更に、前記材料の層に係合している少なくとも2つの完周巻き部を備える胴領域を備えている、方法。
【請求項11】
前記ワイヤの前記胴領域は、前記頭領域に先立って配備される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ワイヤの前記頭領域は、前記胴領域に先立って配備される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
複数の鋲留め装置が前記挿入道具の前記中空ルーメン内に連段式に装填されており、前記複数の鋲留め装置のそれぞれは、前記グラフト材料を前記材料の層に複数の異なった場所で固定するように配備される、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記頭領域と前記胴領域は、それぞれ、前記挿入道具の前記中空ルーメンによってもはや拘束されなくなると自己展開する、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
第1端と第2端とを有し、更に送達状態と配備状態とを有するワイヤを備えている鋲留め装置において、
前記送達状態では、前記ワイヤは直線的な細長い形態を備え、
前記配備状態では、前記ワイヤは、頭領域と胴領域とそれらの間に配置されている連接部とを備え、前記頭領域は少なくとも1つの完周巻き部を備え、前記胴領域は少なくとも2つの完周巻き部を備え、
前記連接部は、前記ワイヤの湾曲の方向を時計回りの方向から反時計回りの方向へ変化させている、鋲留め装置。
【請求項16】
前記配備状態では、前記胴領域の長手方向距離は、前記頭領域の長手方向距離より少なくとも3倍大きい、請求項15に記載の鋲留め装置。
【請求項17】
前記頭領域の前記完周巻き部の第1直径は、前記胴領域の前記少なくとも2つの完周巻き部の第2直径より大きい、請求項15に記載の鋲留め装置。
【請求項18】
前記頭領域は、前記第1端と前記連接部の間が、合計で約400度から約500度の間で湾曲している、請求項15に記載の鋲留め装置。
【請求項19】
前記ワイヤが前記配備状態にあるとき、前記ワイヤの前記第1端は前記第2端に向かう方向に曲がっている、請求項15に記載の鋲留め装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2012−527970(P2012−527970A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513205(P2012−513205)
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【国際出願番号】PCT/US2010/036188
【国際公開番号】WO2010/138579
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(511152957)クック メディカル テクノロジーズ エルエルシー (76)
【氏名又は名称原語表記】COOK MEDICAL TECHNOLOGIES LLC
【Fターム(参考)】