説明

鋳型造型用砂組成物の製造方法、及び鋳型の製造方法

【課題】水分量の多い酸硬化性樹脂を用いても、亜硫酸ガスの発生量を低減でき、かつ製造工程を複雑化することなく十分な強度の鋳型を得ることが可能な鋳型造型用砂組成物を安定して製造する方法、及び鋳型の製造方法の提供。
【解決手段】耐火性粒状材料と、スルホン酸及び/又は硫酸とを混合して混合物を調製した後に、該混合物に酸硬化性樹脂を混合すると同時に、または混合した後に塩化カルシウム溶液及び/又は塩化マグネシウム溶液を混合する、鋳型造型用砂組成物の製造方法、または耐火性粒状材料と、スルホン酸及び/又は硫酸と、酸硬化性樹脂と、塩化カルシウム溶液及び/又は塩化マグネシウム溶液とを同時に混合する、鋳型造型用砂組成物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳型造型用砂組成物の製造方法、及び鋳型の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鋳造用鋳型の一つとして自硬性鋳型が知られている。自硬性鋳型とは、珪砂等の耐火性粒状材料に、酸硬化性樹脂を主成分とした粘結剤とキシレンスルホン酸やリン酸等の硬化剤とを添加、混練した後、得られた混練砂を型に充填し、粘結剤を硬化させる方法で製造されているものである。
【0003】
酸硬化性樹脂とは、一般的にフルフリルアルコール、尿素、フェノール、ホルムアルデヒド等を主原料としている樹脂で、酸により脱水反応しながら重縮合し、硬化するものである。このような酸硬化性樹脂の硬化の進行は、脱水反応により発生する水に影響される。つまり、空気に触れる表面部は脱水反応が進行しやすく、硬化しやすい傾向にある。従って、酸硬化性樹脂を主成分とした粘結剤を用いた自硬性鋳型は、その内部と表面の硬化度に差が生じ強度が不足する。
【0004】
そこで、酸として硫酸を多く使用し、全体の硬化速度を速くすることにより、内部と表面の硬化度の差を小さくする方法がある。しかしながら硫酸を多量に使用すると、得られた鋳型への注湯時に、鋳型を構成している硬化物が熱分解し、亜硫酸ガスが発生することが知られている。亜硫酸ガスは、作業環境を悪化させたり、鋳物球状化阻害の原因となったりする。従って、硫酸を多量に用いることは好ましくない。
【0005】
硫酸を用いずに鋳型の強度を向上させる方法として、耐火性粒状材料中に塩化カルシム等の塩化物を配合する方法がある(特許文献1参照。)。
特許文献1に記載の方法では、脱水反応により生成した水を吸収させるため、塩化カルシウム等の塩化物を粉末状で用いて吸湿させている。さらに、塩化物から硬化触媒作用を有する塩酸を発生させ、硬化を促している。
【0006】
また、亜硫酸ガスの発生を抑制し、作業環境を良好に維持でき、かつ高強度の鋳型を成形できる粘結剤と硬化剤の組み合わせとして、酸硬化性樹脂と2,5−ビスヒドロキシメチルフラン等の硬化促進剤とを含有する粘結剤組成物と、含燐原子化合物と含硫黄原子化合物とを含有し、硫黄原子含量と燐原子含量との重量割合が特定の範囲内である硬化剤組成物との組み合わせが提案されている(例えば特許文献2参照。)。
特許文献2によれば、特定の粘結剤組成物と硬化剤組成物とを組み合わせて用いることで、酸硬化性樹脂の硬化速度の低下を防止できる。さらに、硬化剤組成物中の含硫黄原子化合物の重量割合が比較的少ないので、亜硫酸ガスの発生を抑制し作業環境を良好に維持できる。加えて、硬化剤として含燐原子化合物と含硫黄原原子化合物を併用することで、高強度の鋳型を成型できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特公昭51−3294号公報
【特許文献2】特許第2826588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1では、塩化物の粉末を配合するため、混練砂を得る製造ラインとは別に、予め、ホッパーなどを用いて、耐火性粒状材料と塩化物とを混合させておく必要があり、製造工程が複雑化した。また、塩化物の粉末は吸湿し易い性質を有している。従って、粉末の状態で工場において管理することは難しく、また、吸湿すると塊状になるため、耐火性粒状材料中に均一に混合させることが難しいという問題があった。
このように、特許文献1の製造方法は、製造上の不都合が多く実用的ではなく、殆ど実施されていなかった。
なお、硬化速度を速めるために、硬化触媒作用を有する塩酸を直接配合する方法も考えられるが、塩酸は、腐食作用のある塩化水素を発生するため、鋳型製造工場での保存が難しく、現実的ではなかった。
【0009】
さらに、特許文献1では塩化物から硬化触媒作用を有する塩酸を発生させるために燐酸を使用するので、耐火性粒状材料の特性が低下し、得られる鋳型の品質(強度)が下がることがあった。
また、特許文献2では、含燐原子化合物として燐酸またはその塩を用いるため、特許文献1と同様に耐火性粒状材料の特性が低下し、鋳型の品質が下がることがあった。
【0010】
本発明者らは上記課題について鋭意検討したところ、予め酸硬化性樹脂と水と固体状の金属の塩化物とを混合して粘結剤を調製しておき、鋳型の製造時に粘結剤と耐火性粒状材料と硬化剤とを混合して砂組成物とし、該砂組成物を用いて鋳型を製造することで、亜硫酸ガスの発生量を低減できると共に、製造工程を複雑化することなく十分な強度の鋳型が得られることを見出した。この粘結剤は貯蔵タンクなどの容器に保存でき、砂組成物を製造する際に必要な量だけ容器から取り出して使用することができる。
しかし、さらに検討を重ねた結果、上記粘結剤は水層と樹脂層とに分離(層分離)する場合があることに気が付いた。すなわち、酸硬化性樹脂が塩化物と混ざることで層分離が発生する場合があった。粘結剤が層分離すると、塩化物が水層中に溶解し、かつ比重の重い樹脂層が水層の下側になる。また、容器に保存しておいた粘結剤は、容器の下方から取り出す場合が多い。従って、容器に保存しておいた粘結剤が層分離すると、該粘結剤を容器から取り出す際に、塩化物を十分に含有しない樹脂層が採取される場合があり、高品質の砂組成物を安定して製造しにくくなる。なお、酸硬化性樹脂は、その合成過程において生じる結合水由来の水を含有するが、酸硬化性樹脂の水分量が多くなるに連れて、粘結剤の層分離が発生しやすくなる傾向にあることが分かった。
【0011】
本発明は上記事情を鑑みてなされたもので、水分量の多い酸硬化性樹脂を用いても、亜硫酸ガスの発生量を低減でき、かつ製造工程を複雑化することなく十分な強度の鋳型を得ることが可能な鋳型造型用砂組成物を安定して製造する方法、及び鋳型の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、以下の構成を有する。
[1]耐火性粒状材料と、スルホン酸及び/又は硫酸とを混合して混合物を調製した後に、該混合物に酸硬化性樹脂を混合すると同時に、または混合した後に塩化カルシウム溶液及び/又は塩化マグネシウム溶液を混合する、鋳型造型用砂組成物の製造方法。
[2]耐火性粒状材料と、スルホン酸及び/又は硫酸と、酸硬化性樹脂と、塩化カルシウム溶液及び/又は塩化マグネシウム溶液とを同時に混合する、鋳型造型用砂組成物の製造方法。
[3]前記酸硬化性樹脂は、フルフリルアルコール、フェノール類及び尿素よりなる群から選ばれる1種又は2種以上とアルデヒド類との縮合物又は共縮合物の1種又は2種以上、並びにフルフリルアルコールを含むものである、[1]又は[2]に記載の鋳型造型用砂組成物の製造方法。
[4]前記塩化カルシウム溶液及び塩化マグネシウム溶液の溶媒は、水及びアルコールから選ばれる1種又は2種以上である、[1]〜[3]のいずれかに記載の鋳型造型用砂組成物の製造方法。
[5][1]〜[4]のいずれかに記載の方法で製造された鋳型造型用砂組成物を鋳型製造用の型に充填し、前記鋳型造型用砂組成物を硬化させる、鋳型の製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、水分量の多い酸硬化性樹脂を用いても、亜硫酸ガスの発生量を低減でき、かつ製造工程を複雑化することなく十分な強度の鋳型を得ることが可能な鋳型造型用砂組成物を安定して製造する方法、及び鋳型の製造方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明について、実施形態例を挙げて詳細に説明する。
[鋳型造型用砂組成物の製造方法]
本実施形態例の鋳型造型用砂組成物(以下、単に「砂組成物」という場合がある。)の製造方法は、酸硬化性樹脂と、塩化カルシウム溶液及び/又は塩化マグネシウム溶液と、耐火性粒状材料と、スルホン酸及び/又は硫酸とを用いる。
【0015】
酸硬化性樹脂は、酸により重縮合して硬化する物質である。
酸硬化性樹脂としては、フルフリルアルコール、フェノール類及び尿素よりなる群から選ばれる1種又は2種以上とアルデヒド類との縮合物又は共縮合物の1種又は2種以上、並びにフルフリルアルコールを含むものを用いることが好ましい。
【0016】
アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、グリオキザール、フルフラール等が挙げられる。これらは2種以上を組み合わせて使用してもよい。ただし、縮合物の種類によっては、アルデヒド類としてグリオキザールやフルフラールを単独で使用した際には、酸硬化が進行しない場合もある。そのような場合には、アルデヒド類として少なくともホルムアルデヒドを使用すればよい。
【0017】
フェノール類としては、フェノール、クレゾール、レゾルシノール、ビスフェノールA、ビスフェノールC、ビスフェノールE、ビスフェノールF、ビスフェノールZなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0018】
また、フェノール類とアルデヒド類の縮合物を製造する場合には、フェノール類1モルに対して、アルデヒド類を1〜3モル使用することが好ましい。アルデヒド類の使用量が1モル以上であれば、重合度の低い縮合物となるため、可使時間設定が容易となり、3モル以下であれば、重合度の高い縮合物となるため、鋳型強度発現が良好となる。
【0019】
フルフリルアルコールとアルデヒド類の縮合物を製造する場合には、フルフリルアルコール1モルに対して、アルデヒド類を0.1〜1モル使用することが好ましい。アルデヒド類の使用量が0.1モル以上であれば、重合度の低い縮合物となるため、可使時間設定が容易となり、1モル以下であれば、重合度の高い縮合物となるため、最終鋳型強度発現が良好となる。
【0020】
また、尿素等を由来とする窒素原子含有量は、酸硬化性樹脂100質量%あたり、0.1〜6質量%の範囲となるようにすることが好ましく、0.1〜4.5質量%であることがより好ましい。
窒素原子含有量は鋳型の初期強度及び最終強度に影響を与えるものであり、窒素原子含有量が低い場合には鋳型の初期強度が高くなる傾向にあり、窒素原子含有量が高い場合には鋳型の最終強度が高くなる傾向にある。
従って、必要に応じて窒素原子含有量を適宜調節することが好ましく、窒素原子含有量が上記範囲内であれば、初期強度と最終強度が共に好ましい鋳型を得ることが可能である。
【0021】
酸硬化性樹脂の特に好ましい態様として以下の4つが挙げられる。尚、以下における(共)縮合物とは、縮合物及び/又は共縮合物を意味する。
i)尿素、フルフリルアルコール及びアルデヒド類を縮合させて得られる(共)縮合物と、フルフリルアルコールの混合物。
ii)尿素とアルデヒド類の縮合物と、フルフリルアルコールの混合物。
iii)尿素、フルフリルアルコール及びアルデヒド類を縮合させて得られる(共)縮合物と、フェノールとアルデヒド類の縮合物と、フルフリルアルコールの混合物。
iv)フェノールとアルデヒド類の縮合物と、フルフリルアルコールの混合物。
【0022】
酸硬化性樹脂がこのようなi)〜iv)の態様であると、可使時間設定が容易で、且つ鋳型強度を向上させることができる砂組成物が得られるので好ましい。
i)の態様においては、酸硬化性樹脂に占める尿素、フルフリルアルコール及びアルデヒド類を縮合させて得られる(共)縮合物の比率は15〜45質量%であると好ましく、25〜35質量%であるとより好ましい。フルフリルアルコールの比率は55〜85質量%であると好ましく、65〜75質量%であるとより好ましい。
ii)の態様においては、酸硬化性樹脂に占める尿素とアルデヒド類の縮合物の比率は3.5〜20質量%であると好ましく、6.9〜13.5質量%であるとより好ましい。フルフリルアルコールの比率は80〜96.5質量%であると好ましく、86.5〜93.1質量%であるとより好ましい。
iii)の態様においては、酸硬化性樹脂に占める尿素、フルフリルアルコール及びアルデヒド類を縮合させて得られる(共)縮合物の比率は7.5〜22.5質量%であると好ましく、12.5〜17.5質量%であるとより好ましい。フェノールとアルデヒド類の縮合物の比率は、7.5〜22.5質量%であると好ましく、12.5〜17.5質量%であるとより好ましい。フルフリルアルコールの比率は55〜85質量%であると好ましく、65〜75質量%であるとより好ましい。
iv)の態様においては、酸硬化性樹脂に占めるフェノールとアルデヒド類の縮合物の比率は10〜40質量%であると好ましく、20〜30質量%であるとより好ましい。フルフリルアルコールの比率は60〜90質量%であると好ましく、70〜80質量%であるとより好ましい。
【0023】
酸硬化性樹脂は、一般的な製法で得ることができる。その一例を以下に示す。
まず、酸硬化性樹脂の原料(フルフリルアルコール、アルデヒド類、尿素及びフェノール類等)の一部に水酸化ナトリウム水溶液などを混合してアルカリ性とし、昇温して(共)縮合物を生成する。次に、塩酸等を用いて酸性にし、尿素とアルデヒド類の縮合物等の反応を進行させた後、再びアルカリ性にし、残りの酸硬化性樹脂の原料を混合して酸硬化性樹脂を得る。
なお、ここで添加する塩酸は量が少ないため、硬化反応まで進行しない。
【0024】
このようにして得られる酸硬化性樹脂中には、通常、(共)縮合物を合成する際に生じる結合水由来の水が含まれる。酸硬化性樹脂の水分量は、製法の条件や酸硬化性樹脂の分子量などによって変わるが、多いものでは15質量%以上の水分量を有する酸硬化性樹脂もある。
【0025】
塩化カルシウム溶液及び塩化マグネシウム溶液は、硬化触媒作用を有する塩酸(酸触媒)の供給源となる。具体的には、溶媒に溶解した塩化カルシウムや塩化マグネシウム(以下、これらを総称して「塩化物」という場合がある。)が、後述するスルホン酸及び/又は硫酸と接触することで塩酸を発生させる。
塩化カルシウム溶液及び塩化マグネシウム溶液の溶媒としては、水及びアルコールから選ばれる1種又は2種以上の溶媒を用いることが好ましい。アルコールとしては、1価の低級アルコールが好ましい。特に、酸硬化性樹脂の硬化条件において気化しやすく、硬化の妨げを抑制できる点で、メタノール、エタノール、プロパノールなどが適している。
これらの溶媒の中でも、塩化物の溶解性に優れ、かつ酸硬化性樹脂がより硬化しやすくなる点で、水、メタノール、エタノールが好ましく、コスト面や作業性の点で水が特に好ましい。なお、混合溶媒として用いる場合は、水とアルコールの組み合わせでもよいし、種類の異なるアルコールの組み合わせでもよい。
【0026】
塩化カルシウム溶液及び塩化マグネシウム溶液は、溶媒の種類により塩化物の溶解度が異なるため一概に濃度範囲を決定することは困難であるが、通常、20〜70質量%が好ましく、30〜60質量%がより好ましい。濃度が20質量%以上であれば、酸硬化性樹脂が十分に硬化しやすくなる。一方、濃度が70質量%以下であれば、特に低温環境下において塩化物が砂組成物から析出するのを抑制できる。
なお、本発明において「濃度」とは、溶液100質量%中の塩化物の量(質量%)のことである。
【0027】
耐火性粒状材料としては、珪砂、クロマイト砂、ジルコン砂、オリビン砂、アルミナ砂、ムライト砂、合成ムライト砂等の従来公知のものを使用でき、また、使用済みの耐火性材料を回収したものや再生処理をしたものなども使用できる。
特に、耐火性を要求される部分には、クロマイト砂、ジルコン砂及びアルミナ砂を用いることが好ましく、中でも、コストがかからず、廃棄性に問題のないアルミナ砂を用いることが好ましい。
【0028】
上述したように、溶媒に溶解した塩化物は、スルホン酸及び/又は硫酸と接触することで塩酸を発生させる。この発生した塩酸により酸硬化性樹脂の硬化が促進され、高強度の鋳型を得ることが可能な砂組成物を製造できる。
本発明において「スルホン酸」とは、スルホ基が炭素骨格に置換した有機化合物のことである。スルホン酸としては、例えばキシレンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸などが挙げられる。
【0029】
スルホン酸及び硫酸は、硬化速度で比較すると硫酸の方がスルホン酸より早い傾向が見られる。一方、硬化強度で比較すると、スルホン酸の方が硫酸より強い傾向が見られる。
従って本発明では、鋳型の初期強度と最終強度とのバランス、及び亜硫酸ガスの発生等を考慮してスルホン酸及び硫酸を用いればよい。スルホン酸及び硫酸は単独で用いてもよいし、併用してもよいが、併用するのが好ましい。併用する場合、スルホン酸と硫酸の質量比は、スルホン酸:硫酸=1:2〜20:1が好ましい。
【0030】
本発明においては、上述した各成分の他に、得られる鋳型の強度を向上させる目的で、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のシランカップリング剤を用いてもよい。
【0031】
本発明では、上述した酸硬化性樹脂と、塩化カルシウム溶液及び/又は塩化マグネシウム溶液と、耐火性粒状材料と、スルホン酸及び/又は硫酸とを、後述する手順Aまたは手順Bにて混合することで、砂組成物を製造する。
酸硬化性樹脂の配合量は、耐火性粒状材料100質量部に対して0.3〜2.0質量部であることが好ましく、0.5〜1.0質量部であることがより好ましい。酸硬化性樹脂の配合量が0.3質量部以上であれば、十分な強度の鋳型が得られやすい。一方、酸硬化性樹脂の配合量が2.0質量部以下であれば、注湯後の鋳型を解体しやすくなる。
【0032】
塩化カルシウム溶液及び/又は塩化マグネシウム溶液の配合量は無水物換算で、耐火性粒状材料100質量部に対して0.005〜0.150質量部であることが好ましく、0.0075〜0.0600質量部であることがより好ましい。塩化カルシウム溶液及び/又は塩化マグネシウム溶液の配合量が無水物換算で0.005質量部以上であれば、亜硫酸ガスの発生量を効果的に低減できる。なお、塩化カルシウム溶液及び/又は塩化マグネシウム溶液の配合量が増えるほど亜硫酸ガスの発生量の低減効果は大きくなるが、その一方で鋳型の強度が低下する傾向にある。鋳型としては2.50N/mm以上の強度を有すれば十分であるので、この程度の強度を保持するには塩化カルシウム溶液及び/又は塩化マグネシウム溶液の配合量の上限値を0.150質量部とするのが好ましい。特に、配合量が0.0075〜0.0600質量部であれば、亜硫酸ガスの発生量の低減に加え、鋳型の強度がより向上する。
【0033】
スルホン酸及び/又は硫酸の配合量は、耐火性粒状材料100質量部に対して0.045〜1.200質量部が好ましく、0.075〜0.900質量部がより好ましい。スルホン酸及び/又は硫酸の配合量が上記範囲内であれば、十分な強度の鋳型が得られやすい。
【0034】
また、シランカップリング剤を用いる場合、その配合量は、耐火性粒状材料100質量部に対して0.0005〜0.01質量部であることが好ましく、0.001〜0.005質量部であることがより好ましい。シランカップリング剤の配合量が0.0005質量部以上であれば、鋳型の強度を向上させることができる。一方、シランカップリング剤の配合量が0.01質量部以下であれば、大幅なコスト上昇を抑えることができる。
【0035】
混合方法としては、一般的な混合方法であれば特に制限はなく、例えば撹拌機などを用いて混合する方法などが挙げられる。
【0036】
混合の手順は、以下の通りである。
手順A:耐火性粒状材料と、スルホン酸及び/又は硫酸とを混合して混合物を調製した後に、該混合物に酸硬化性樹脂を混合すると同時に、または混合した後に塩化カルシウム溶液及び/又は塩化マグネシウム溶液を混合する。
手順B:耐火性粒状材料と、スルホン酸及び/又は硫酸と、酸硬化性樹脂と、塩化カルシウム溶液及び/又は塩化マグネシウム溶液とを同時に混合する。
【0037】
手順Aおよび手順Bは、いずれも酸硬化性樹脂と塩化物とが混ざるタイミングに、耐火性粒状材料とスルホン酸及び/又は硫酸が存在している。上述したように、固体状である耐火性粒状材料の配合量は、液体状である他の成分に比べて多い。そのため、手順Aおよび手順Bは、いずれも配合量の多い個体に、配合量の少ない液体が混ざることになるので、層分離が起こらない。よって、酸硬化性樹脂として水分量の多い、すなわち塩化物と混合すると水層と樹脂層に分離(層分離)しやすい酸硬化性樹脂を用いる場合でも、安定して砂組成物を製造できる。
従って、本発明は、酸硬化性樹脂として水分量の多い、特に水分量が15質量%以上の酸硬化性樹脂を用いる場合にも好適である。
【0038】
また、手順Aおよび手順Bは、いずれも塩化物が酸(スルホン酸及び/又は硫酸)と接触するタイミングにおいて、酸硬化性樹脂が存在する。よって、手順Aまたは手順Bを行うことで、十分な強度を有する、特に初期強度に優れた鋳型を製造可能な砂組成物を製造できる。かかる理由は以下のように考えられる。
塩化物が酸と接触すると、複分解反応によって硬化触媒作用を有する塩酸を発生する。塩酸が発生するときに酸硬化性樹脂が存在していると、発生した塩酸を効率よく酸硬化性樹脂の硬化に利用できるので、特に初期強度に優れた鋳型を製造可能な砂組成物を製造できると考えられる。
【0039】
手順Aの場合、混合物に酸硬化性樹脂と、塩化カルシウム溶液及び/又は塩化マグネシウム溶液を混合するタイミングは、同時でもよいし、酸硬化性樹脂を混合した後に塩化カルシウム溶液及び/又は塩化マグネシウム溶液を混合してもよい。特に、混合物に酸硬化性樹脂を混合した後に、塩化カルシウム溶液及び/又は塩化マグネシウム溶液を混合すれば、塩酸が発生するときには全ての酸硬化性樹脂の添加が完了しているので、全ての酸硬化性樹脂が均一に塩酸と接触できる。従って、より効率よく塩酸を酸硬化性樹脂の硬化に利用でき、初期強度により優れた鋳型が得られる。
【0040】
なお、混合物に酸硬化性樹脂を混合する前に、塩化カルシウム溶液及び/又は塩化マグネシウム溶液を混合物に混合することも考えられるが、その場合、混合直後から直ちに塩化物と酸による複分解反応が進行することとなる。その結果、硬化触媒作用を有する塩酸が大量に発生し、系外へと放出されてしまう。このような状態で後から酸硬化性樹脂を混合しても、系中における塩酸の濃度が低下しているので、硬化が十分に進行されず、鋳型の初期強度が低下すると考えられる。
【0041】
ところで、手順Aの場合、予め耐火性粒状材料と、スルホン酸及び/又は硫酸とを混合しておくので、耐火性粒状材料の表面がスルホン酸及び/又は硫酸によりコーティングされる。その結果、混合物中にはスルホン酸及び/又は硫酸が均一に分散していると考えられる。このような状態で混合物に酸硬化性樹脂を添加すると、添加直後は酸硬化性樹脂が混合物中において局在しやすいが、急激に硬化促進反応が進行するのを抑制できる。かかる理由は以下のように考えられる。
混合物に酸硬化性樹脂を添加した直後は、酸硬化性樹脂が均一に分散していないため、混合物中において酸硬化性樹脂が局在しやすい。しかし、スルホン酸及び/又は硫酸は混合物中において均一に分散しているので、局所的に酸硬化性樹脂の量が多くなっていても酸硬化性樹脂の割合に対してスルホン酸及び/又は硫酸の割合は少ない。従って、急激に硬化促進反応が進行するのを抑制できると考えられる。混合物に酸硬化性樹脂を添加した後、これらを混合すると、混合物中において酸硬化性樹脂が均一に分散される。その結果、酸硬化性樹脂に対するスルホン酸及び/又は硫酸の割合が均一になるので、均一に硬化促進反応が進行する。
【0042】
なお、塩化カルシウム溶液及び/又は塩化マグネシウム溶液の場合も、酸硬化性樹脂と同様である。
すなわち、混合物に酸硬化性樹脂と同時に、または酸硬化性樹脂を添加した後に塩化カルシウム溶液及び/又は塩化マグネシウム溶液を添加すると、添加直後は塩化カルシウム溶液及び/又は塩化マグネシウム溶液が混合物中において局在しやすい。しかし、混合物中にてスルホン酸及び/又は硫酸は均一に分散しているので、塩化カルシウム溶液及び/又は塩化マグネシウム溶液の割合に対して、スルホン酸及び/又は硫酸の割合は少ない。従って、急激に複分解反応が進行するのを抑制できると考えられる。
そして、混合物に塩化カルシウム溶液及び/又は塩化マグネシウム溶液を添加した後、これらを混合すると、混合物中において塩化カルシウム溶液及び/又は塩化マグネシウム溶液が均一に分散されるので、均一に複分解反応が進行する。
【0043】
従って、本発明においては、初期強度に特に優れた鋳型を製造できる点や、急激に硬化促進反応や複分解反応が進行するのを抑制できる点で、耐火性粒状材料と、スルホン酸及び/又は硫酸との混合物に酸硬化性樹脂を混合した後に、塩化カルシウム溶液及び/又は塩化マグネシウム溶液を混合する手順が、最も好ましい。
【0044】
手順A、手順Bは、いずれの場合もシランカップリング剤を添加するタイミングを制限されない。
手順Aの場合、シランカップリング剤は混合物中に配合してもよいし、酸硬化性樹脂や塩化カルシウム溶液及び/又は塩化マグネシウム溶液と共に混合物に添加して混合してもよい。また、予め酸硬化性樹脂にシランカップリング剤を配合しておき、これを混合物に添加してもよい。
手順Bの場合、シランカップリング剤は各成分の混合のタイミングに合わせて添加してもよいし、予め酸硬化性樹脂に配合しておいてもよい。
【0045】
本発明によれば、硫酸やスルホン酸などの使用を避けたり、その使用量を意図的に削減したりしなくても、亜硫酸ガスの発生量を低減できる。かかる理由は以下のように考えられる。
すなわち、本発明では、溶媒に溶解した塩化物が酸(スルホン酸及び/又は硫酸)と接触することで複分解反応して、硬化触媒作用を有する塩酸が発生すると共に、硫酸カルシウムや硫酸マグネシウムが生成される。硫酸カルシウムや硫酸マグネシウムの熱分解温度は1100℃以上であり熱的に安定であるため容易には分解されず、亜硫酸ガスが発生しにくいと考えられる。
従って、本発明により得られる砂組成物によれば、硬化触媒作用を有する塩酸を発生させることで、高強度の鋳型を製造できると共に、得られた鋳型へ高温(通常1000℃程度)に加熱して液体状にした材料を注湯しても、鋳型を構成する硬化物が熱分解しにくく、亜硫酸ガスの発生量を低減できる。
【0046】
また、本発明では、塩化物として塩化カルシウム溶液及び/又は塩化マグネシウム溶液を用いる。すなわち、溶媒に溶解した状態で塩化物を扱うので、鋳型の製造現場で、塩化物が吸湿しないように湿度管理する必要がない。また、砂組成物を得るための工程を複雑化する必要がない。
【0047】
さらに、本発明においては、塩酸の供給源として塩化カルシウム溶液及び/又は塩化マグネシウム溶液を用いるので、固体状の塩化カルシウムや塩化マグネシウムを用いる場合に比べて他の成分と均一に混合しやすい。
なお、塩化カルシウム及び塩化マグネシウムは、固体状のままでは硬化促進作用を示すことはできず、水などに溶解した状態で、かつ酸と接触することで塩酸を発生させて硬化促進作用を示すことができる。酸硬化性樹脂には、上述したように製造過程において結合水由来の水が含まれる。従って、固体状の塩化カルシウムや塩化マグネシウムを用いても、いずれは砂組成物中で溶解した状態となり、酸と接触することで塩酸を発生させることができる。しかし、固体状の塩化カルシウムや塩化マグネシウムを用いた場合、これらが砂組成物中で均一に分散したり溶解したりしにくく、その結果、亜硫酸ガスの発生量が十分に低減されにくくなることがある。よって、固体状の塩化カルシウムや塩化マグネシウムを用いる場合は、これらが砂組成物中で均一に分散し、かつ溶解した状態とするために、十分に混合する必要があり、作業性が低下しやすい。また、砂組成物中で固体状の塩化カルシウムや塩化マグネシウムが溶解するまでには時間がかかるため、砂組成物が使用できる状態になるまで待つ必要があり、すぐに鋳型を製造する場合には不向きである。なお、酸硬化性樹脂に塩化物を混合して粘結剤を調製する場合も、固体状の塩化カルシウムや塩化マグネシウムを用いると、これらが粘結剤中で均一に分散したり溶解したりしにくく、十分に混合する必要があると考えられる。
【0048】
対して、本発明であれば、既に塩化物が溶解した状態で用いるので、他の成分と均一に混合しやすく、砂組成物中で沈殿したり分離したりするおそれがない。また、本発明であれば塩化カルシウムや塩化マグネシウムが砂組成物中で溶解する時間を考慮する必要がない。従って、鋳型を製造するタイミングに併せて砂組成物を製造し、得られた砂組成物をすぐに使用することができる。
【0049】
このようにして得られた砂組成物は、鋳型の製造の際に亜硫酸ガスの発生量を低減しつつ、十分な強度の鋳型を得ることができる。
【0050】
[鋳型の製造方法]
本発明の鋳型の製造方法では、上述した方法により製造した砂組成物を用い、該砂組成物を鋳型製造用の型に充填し、砂組成物を硬化させること鋳型を製造する。
鋳型を製造する方法としては、自硬性鋳型造型法を採用することができる。すなわち、砂組成物を鋳型造型用の所定の型に充填すると、砂組成物が硬化剤の作用により硬化する。その結果、鋳型を得ることができる。
本発明の鋳型の製造方法では、塩化カルシウム溶液及び/又は塩化マグネシウム溶液を用いて製造した砂組成物を使用する。該砂組成物は、塩化カルシウム及び/又は塩化マグネシウムが砂組成物中に均一に分散しており、溶解した塩化カルシウム及び/又は塩化マグネシウムと酸(スルホン酸及び/又は硫酸)が接触するとすぐに反応して硬化触媒作用のある塩酸を発生させ、鋳型の表面だけでなく内部の硬化も良好となり、鋳型の強度をより向上させることができる。
【0051】
また、塩化カルシウム溶液及び/又は塩化マグネシウム溶液から硬化触媒作用のある塩酸が発生する際には、硫酸カルシウムや硫酸マグネシウムも生成されるが、これらは熱的に安定であるため亜硫酸ガスが発生しにくいと考えられる。
従って、本発明によれば、硬化剤として燐酸またはその塩などの含燐原子化合物を使用しなくても、本発明の砂組成物より得られた鋳型への注湯時に鋳型を構成する硬化物が熱分解しにくく、亜硫酸ガスの発生量を低減できる。よって、良好な作業環境が得られると同時に、亜硫酸ガス中の硫黄に起因する鉱物球状化阻害の発生率をも低下させることができる。
さらに、本発明では含燐原子化合物を使用しないので、耐火性粒状材料の特性が低下する恐れがなく、得られる鋳型の品質(強度)を良好に維持できる。
【0052】
また、本発明によれば、耐火性粒状材料として、アルミナ砂を用いても、亜硫酸ガスの発生量を低減しつつ、かつ従来の珪砂を用いた場合と同等の鋳型強度を得ることが可能となると考えられる。
アルミナ砂は、耐火度が高く耐破砕性に優れることから鋳型の耐火性粒状材料として注目されていたが、熱容量が従来の耐火性粒状材料である珪砂より大きい為、これを用いて製造した鋳型は、硬化速度が遅く、且つその内部と表面の硬化度の差が大きくなる傾向にあり、強度を得にくく、実用化が難しかった。
しかし、本発明により得られる砂組成物は、鋳型の表面だけでなく内部の硬化も良好なものとしながら、鋳型の初期強度と長時間経過した際の強度を向上させることができるため、熱容量が大きいアルミナ砂のような耐火性粒状材料を用いても、従来の珪砂を用いた場合と同等の鋳型強度を得られる。従って、アルミナ砂のような熱容量が高い耐火性粒状材料であっても鋳型製造が可能になったと考えられる。
【実施例】
【0053】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、各実施例及び比較例で用いた砂組成物の組成と、得られた鋳型(テストピース)の各物性の測定は以下の方法で行った。
【0054】
(水の含有量の測定)
水の含有量は、JIS K 0068の化学製品の水分試験方法によって求めた。
【0055】
(窒素原子含有量の測定)
窒素原子含有量は、JIS K 0102の工場排水試験方法の滴定法によって求めた。
【0056】
(圧縮強度の測定)
各実施例及び比較例で得られたテストピースの圧縮強度(鋳型強度)は、JIS Z 2601の鋳物砂の試験方法に準じて、卓上抗圧力試験機(高千穂機械(株)製)を用いることで測定した。
【0057】
(嵩密度の測定)
各実施例及び比較例で得られたテストピースの嵩密度は、下記一般式(I)により求めた。質量測定に用いた電子天秤には、METTLER PM 4000(日本シイベルヘグナー(株)製)を用いた。
なお、嵩密度は木型に略同質量の混練砂が充填されたことを確認するために測定している。
テストピースの嵩密度(g/cm)=テストピースの質量(g)/テストピースの体積(cm)・・・(I)
【0058】
(亜硫酸ガスの発生量の測定)
各実施例及び比較例で得られたテストピースを解体した後、5g採取し、1000℃の温度条件下にて曝露させ、そこから発生するガスを10Lのテトラバッグに捕集し、捕集したガスを北川式検知管にて分析し亜硫酸ガスの発生量を測定した。
【0059】
[実施例1−1]
(酸硬化性樹脂(I)の調製)
フルフリルアルコール859.20質量部と、尿素47.05質量部と、92質量%パラホルムアルデヒド65.90質量部と、15質量%水酸化ナトリウム水溶液2.00質量部とを温度計、冷却器及び攪拌機を備えた4つ口フラスコ中に入れて80℃で1時間反応させ、その後、10質量%塩酸3.00質量部を添加して、更に3時間反応させた。その後、15質量%水酸化ナトリウム水溶液2.00質量部と、尿素28.84質量部とを添加して、さらに30分間反応させ、その後、シランカップリング剤(N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン)2.00部を添加し、シランカップリング剤添加済みの酸硬化性樹脂(I)1010質量部を得た。該酸硬化性樹脂(I)1010質量部における水の含有量(水分量)は4.5質量%であり、酸硬化性樹脂(I)と水との合計量に対する窒素原子含有量は3.5質量%であった。
【0060】
(砂組成物の製造)
珪砂(三菱商事建材(株)製、フリーマントル新砂)100質量部に、上記シランカップリング剤添加済みの酸硬化性樹脂(I)0.80質量部と、50質量%塩化カルシウム水溶液0.01質量部(無水物換算で0.005質量部)と、キシレンスルホン酸67質量%及び硫酸8質量%を含有する75質量%水溶液0.32質量部とを同時に添加し、品川式万能攪拌機(MIXER、(株)品川工業所製)で混練して、砂組成物を得た。
【0061】
(テストピースの製造)
得られた砂組成物を、温度25℃、湿度60%の条件下、内径50mm、高さ50mmの型が形成されたテストピース作製用木型に充填して硬化させ、硬化開始から24時間経過後にテストピースを取り出した。
得られたテストピースについて、圧縮強度と嵩密度を測定した。また、テストピースを解体し、亜硫酸ガスの発生量を測定した。各結果を表1に示す。なお、亜硫酸ガスの発生量は、後述する比較例1−1の測定結果を100%としたときの値で表した。
【0062】
[実施例1−2]
50質量%塩化カルシウム水溶液の配合量を0.06質量部(無水物換算で0.030質量部)に変更した以外は、実施例1−1と同様にして砂組成物を製造し、得られた砂組成物を用いてテストピースを製造し、圧縮強度、嵩密度、および亜硫酸ガスの発生量を測定した。結果を表1示す。
【0063】
[実施例1−3]
50質量%塩化カルシウム水溶液の配合量を0.10質量部(無水物換算で0.050質量部)に変更した以外は、実施例1−1と同様にして砂組成物を製造し、得られた砂組成物を用いてテストピースを製造し、圧縮強度、嵩密度、および亜硫酸ガスの発生量を測定した。結果を表1示す。
【0064】
[実施例1−4]
50質量%塩化カルシウム水溶液の配合量を0.30質量部(無水物換算で0.150質量部)に変更した以外は、実施例1−1と同様にして砂組成物を製造し、得られた砂組成物を用いてテストピースを製造し、圧縮強度、嵩密度、および亜硫酸ガスの発生量を測定した。結果を表1示す。
【0065】
[実施例1−5]
50質量%塩化カルシウム水溶液の代わりに、50質量%塩化マグネシウム水溶液を0.01質量部(無水物換算で0.005質量部)配合した以外は、実施例1−1と同様にして砂組成物を製造し、得られた砂組成物を用いてテストピースを製造し、圧縮強度、嵩密度、および亜硫酸ガスの発生量を測定した。結果を表1示す。
【0066】
[実施例1−6]
50質量%塩化カルシウム水溶液の代わりに、50質量%塩化マグネシウム水溶液を0.06質量部(無水物換算で0.030質量部)配合した以外は、実施例1−1と同様にして砂組成物を製造し、得られた砂組成物を用いてテストピースを製造し、圧縮強度、嵩密度、および亜硫酸ガスの発生量を測定した。結果を表1示す。
【0067】
[実施例1−7]
50質量%塩化カルシウム水溶液の代わりに、50質量%塩化マグネシウム水溶液を0.10質量部(無水物換算で0.050質量部)配合した以外は、実施例1−1と同様にして砂組成物を製造し、得られた砂組成物を用いてテストピースを製造し、圧縮強度、嵩密度、および亜硫酸ガスの発生量を測定した。結果を表1示す。
【0068】
[実施例1−8]
50質量%塩化カルシウム水溶液の代わりに、50質量%塩化マグネシウム水溶液を0.30質量部(無水物換算で0.150質量部)配合した以外は、実施例1−1と同様にして砂組成物を製造し、得られた砂組成物を用いてテストピースを製造し、圧縮強度、嵩密度、および亜硫酸ガスの発生量を測定した。結果を表1示す。
【0069】
[比較例1−1]
50質量%塩化カルシウム水溶液を配合しなかった以外は、実施例1−1と同様にして砂組成物を製造し、得られた砂組成物を用いてテストピースを製造し、圧縮強度、嵩密度、および亜硫酸ガスの発生量を測定した。結果を表1示す。
【0070】
[比較例1−2]
珪砂100質量部に、塩化カルシウム2水和物0.04質量部を添加し、品川式万能攪拌機で混練して塩化カルシウム含有砂100.04質量部(無水物換算で塩化カルシウムを0.030質量部含有)を得た。
塩化カルシウム含有砂100.04質量部に、上記シランカップリング剤添加済みの酸硬化性樹脂(I)0.80質量部と、キシレンスルホン酸67質量%及び硫酸8質量%を含有する75質量%水溶液0.32質量部とを同時に添加し、品川式万能攪拌機で混練して、砂組成物を得た。
得られた砂組成物を用いた以外は、実施例1−1と同様にしてテストピースを製造し、圧縮強度、嵩密度、および亜硫酸ガスの発生量を測定した。結果を表1示す。
【0071】
【表1】

【0072】
表1中、実施例1−1〜1−8、および比較例1−1における50質量%塩化カルシウム水溶液及び50質量%塩化マグネシウム水溶液の配合量は、耐火性粒状材料(珪砂)100質量部に対する無水物換算した塩化カルシウムまたは塩化マグネシウムの量である。なお、比較例1−2の場合は、耐火性粒状材料(珪砂)100質量部に対する無水物換算した塩化カルシウム2水和物の量を示した。
【0073】
表1から明らかなように、50質量%塩化カルシウム水溶液を配合して砂組成物を製造した実施例1−1〜1−4では、亜硫酸ガスの発生量を低減できた。また、鋳型として十分な強度の圧縮強度を示した。
なお、圧縮強度は、50質量%塩化カルシウム水溶液の配合量が増えるに連れて低下する傾向にあった。また、亜硫酸ガスの発生量は、50質量%塩化カルシウム水溶液の配合量が増えるに連れて、より低減される傾向にあった。
【0074】
また、50質量%塩化マグネシウム水溶液を配合して砂組成物を製造した実施例1−5〜1−8では、亜硫酸ガスの発生量を低減できた。また、鋳型として十分な強度の圧縮強度を示した。
なお、圧縮強度は、50質量%塩化マグネシウム水溶液の配合量が増えるに連れて低下する傾向にあった。また、亜硫酸ガスの発生量は、50質量%塩化マグネシウム水溶液の配合量が増えるに連れて、より低減される傾向にあった。
【0075】
一方、50質量%塩化カルシウム水溶液を配合せずに砂組成物を製造した比較例1−1では、実施例1−1〜1−8と同様に鋳型として十分な強度の圧縮強度を示したが、亜硫酸ガスの発生量の低減効果は得られなかった。
珪砂と、塩化カルシウム2水和物を混合した後に、これに酸硬化性樹脂と、キシレンスルホン酸及び硫酸を含有する水溶液を添加して砂組成物を製造した比較例1−2では、塩化物が固体状であったため砂組成物中で均一に分散したり溶解したりしにくかった。そのため、複分解反応が起こりにくく、実施例1−2、1−6に比べて鋳型の圧縮強度が低かった。また、亜硫酸ガスの発生量の低減効果が得られなかった。
【0076】
[実施例2−1]
(酸硬化性樹脂(II)の調製)
シランカップリング剤を2.00部添加する際に、水124.8質量部を添加した以外は、実施例1−1と同様にして、シランカップリング剤添加済みの酸硬化性樹脂(II)1134.8質量部を得た。該酸硬化性樹脂(II)1134.8質量部における水分量は15.0質量%であり、酸硬化性樹脂(II)と水との合計量に対する窒素原子含有量は3.1質量%であった。
【0077】
(砂組成物の製造)
珪砂100質量部に、キシレンスルホン酸67質量%及び硫酸8質量%を含有する75質量%水溶液0.32質量部を添加し、品川式万能攪拌機で1分間混練して混合物を得た。
得られた混合物に、上記シランカップリング剤添加済みの酸硬化性樹脂(II)0.80質量部を添加し、ついで50質量%塩化カルシウム水溶液0.01質量部(無水物換算で0.005質量部)を添加し、品川式万能攪拌機で1分間紺連して砂組成物を得た。
【0078】
(テストピースの製造)
得られた砂組成物を用いた以外は、実施例1−1と同様にしてテストピースを製造し、その圧縮強度、嵩密度、亜硫酸ガスの発生量を測定した。各結果を表2に示す。なお、亜硫酸ガスの発生量は、後述する比較例2−1の測定結果を100%としたときの値で表した。
【0079】
[実施例2−2]
50質量%塩化カルシウム水溶液の配合量を0.06質量部(無水物換算で0.030質量部)に変更した以外は、実施例2−1と同様にして砂組成物を製造し、得られた砂組成物を用いてテストピースを製造し、圧縮強度、嵩密度、および亜硫酸ガスの発生量を測定した。結果を表2示す。
【0080】
[実施例2−3]
50質量%塩化カルシウム水溶液の配合量を0.10質量部(無水物換算で0.050質量部)に変更した以外は、実施例2−1と同様にして砂組成物を製造し、得られた砂組成物を用いてテストピースを製造し、圧縮強度、嵩密度、および亜硫酸ガスの発生量を測定した。結果を表2示す。
【0081】
[実施例2−4]
50質量%塩化カルシウム水溶液の配合量を0.30質量部(無水物換算で0.150質量部)に変更した以外は、実施例2−1と同様にして砂組成物を製造し、得られた砂組成物を用いてテストピースを製造し、圧縮強度、嵩密度、および亜硫酸ガスの発生量を測定した。結果を表2示す。
【0082】
[実施例2−5]
50質量%塩化カルシウム水溶液の代わりに、50質量%塩化マグネシウム水溶液を0.01質量部(無水物換算で0.005質量部)配合した以外は、実施例2−1と同様にして砂組成物を製造し、得られた砂組成物を用いてテストピースを製造し、圧縮強度、嵩密度、および亜硫酸ガスの発生量を測定した。結果を表2示す。
【0083】
[実施例2−6]
50質量%塩化カルシウム水溶液の代わりに、50質量%塩化マグネシウム水溶液を0.06質量部(無水物換算で0.030質量部)配合した以外は、実施例2−1と同様にして砂組成物を製造し、得られた砂組成物を用いてテストピースを製造し、圧縮強度、嵩密度、および亜硫酸ガスの発生量を測定した。結果を表2示す。
【0084】
[実施例2−7]
50質量%塩化カルシウム水溶液の代わりに、50質量%塩化マグネシウム水溶液を0.10質量部(無水物換算で0.050質量部)配合した以外は、実施例2−1と同様にして砂組成物を製造し、得られた砂組成物を用いてテストピースを製造し、圧縮強度、嵩密度、および亜硫酸ガスの発生量を測定した。結果を表2示す。
【0085】
[実施例2−8]
50質量%塩化カルシウム水溶液の代わりに、50質量%塩化マグネシウム水溶液を0.30質量部(無水物換算で0.150質量部)配合した以外は、実施例2−1と同様にして砂組成物を製造し、得られた砂組成物を用いてテストピースを製造し、圧縮強度、嵩密度、および亜硫酸ガスの発生量を測定した。結果を表2示す。
【0086】
[比較例2−1]
50質量%塩化カルシウム水溶液を配合しなかった以外は、実施例2−1と同様にして砂組成物を製造し、得られた砂組成物を用いてテストピースを製造し、圧縮強度、嵩密度、および亜硫酸ガスの発生量を測定した。結果を表2示す。
【0087】
[比較例2−2]
予め酸硬化性樹脂と塩化物とを混合し、これを実施例2−1で得た混合物に添加して砂組成物を製造しようと試みた。
そこで、まず、シランカップリング剤添加済みの酸硬化性樹脂(II)0.80質量部と、塩化カルシウム2水和物0.04質量部(無水物換算で0.030質量部)とを混合した。
しかし、水層と樹脂層とに分離してしまったため、砂組成物は製造しなかった。
【0088】
【表2】

【0089】
表2中、50質量%塩化カルシウム水溶液及び50質量%塩化マグネシウム水溶液の配合量は、耐火性粒状材料(珪砂)100質量部に対する無水物換算で示す。
【0090】
表2から明らかなように、50質量%塩化カルシウム水溶液を配合して砂組成物を製造した実施例2−1〜2−4では、亜硫酸ガスの発生量を低減できた。また、鋳型として十分な強度の圧縮強度を示した。
なお、圧縮強度は、50質量%塩化カルシウム水溶液の配合量が増えるに連れて低下する傾向にあった。また、亜硫酸ガスの発生量は、50質量%塩化カルシウム水溶液の配合量が増えるに連れて、より低減される傾向にあった。
【0091】
また、50質量%塩化マグネシウム水溶液を配合して砂組成物を製造した実施例2−5〜2−8では、亜硫酸ガスの発生量を低減できた。また、鋳型として十分な強度の圧縮強度を示した。
なお、圧縮強度は、50質量%塩化マグネシウム水溶液の配合量が増えるに連れて低下する傾向にあった。また、亜硫酸ガスの発生量は、50質量%塩化マグネシウム水溶液の配合量が増えるに連れて、より低減される傾向にあった。
【0092】
一方、50質量%塩化カルシウム水溶液を配合せずに砂組成物を製造した比較例2−1では、実施例2−1〜2−8と同様に鋳型として十分な強度の圧縮強度を示したが、亜硫酸ガスの発生量の低減効果は得られなかった。
比較例2−2は、水分量が15.0質量%と多い酸硬化性樹脂(II)と塩化カルシウム2水和物とを混合したため、酸硬化性樹脂(II)が析出し、水層と樹脂層に分離してしまった。なお、比較例2−2は固体状の塩化カルシウムを用いた例であるが、液体状の塩化カルシウムや塩化マグネシウムを用いても、同様に層分離が起こると考えられる。
【0093】
[実験例]
以下、実験例について説明する。
なお、以下の実験例1〜5では、本発明によれば耐火性粒状材料の種類によらず鋳型の強度向上効果が得られることを確認するために、耐火性粒状材料としてアルミナ砂を用いた場合の、鋳型の圧縮強度を測定した。
なお、鋳型の強度は、塩化物の状態(固体状または液体状)の影響を受けにくいと考えられるため、実験は便宜上、固体状の塩化カルシウムを用いて行った。
また、実験は便宜上、予め酸硬化性樹脂に固体状の塩化カルシウムを添加して調製した粘結剤を用いて行ったが、鋳型の強度は、予め酸硬化性樹脂に塩化物を添加することによっては損なわれない。なお、粘結剤は、層分離の問題が生じない水分量の酸硬化性樹脂を用いて調製した。
【0094】
<実験例1>
(粘結剤の調製)
フルフリルアルコール859.20質量部と、尿素47.05質量部と、92質量%パラホルムアルデヒド65.90質量部と、15質量%水酸化ナトリウム水溶液2.00質量部とを温度計、冷却器及び攪拌機を備えた4つ口フラスコ中に入れて80℃で1時間反応させ、その後、10質量%塩酸3.00質量部を添加して、更に3時間反応させた。その後、15質量%水酸化ナトリウム水溶液2.00質量部と、尿素28.84質量部とを添加して、さらに30分間反応させ、その後、シランカップリング剤(N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン)2.00部を添加し、シランカップリング剤添加済みの酸硬化性樹脂(III)1010質量部を得た。該酸硬化性樹脂(III)1010質量部における水分量は4.5質量%であり、酸硬化性樹脂(III)と水との合計量に対する窒素原子含有量は3.5質量%であった。
得られたシランカップリング剤添加済みの酸硬化性樹脂(III)98.68質量部に塩化カルシウム2水和物(CaCl・2HO)1.32質量部を混合溶解させて、粘結剤100質量部(無水物換算で塩化カルシウムを1.00質量%含有)を得た。
【0095】
(砂組成物の製造)
アルミナ砂((株)コスモ製、アルサンド350#新砂)100質量部に、上記粘結剤1.00質量部と、キシレンスルホン酸67質量%及び硫酸8質量%を含有する75質量%水溶液0.40質量部とを同時に添加し、品川式万能攪拌機混練して、砂組成物を得た。
なお、アルミナ砂100質量部に対する無水物換算した塩化カルシウムの配合量は0.031質量部である。
【0096】
(テストピースの製造)
得られた砂組成物を、温度25℃、湿度55%の条件下、内径50mm、高さ50mmの型が形成されたテストピース作製用木型に充填して硬化させ、硬化開始から24時間経過後にテストピースを取り出した。
得られたテストピースについて、圧縮強度と嵩密度を測定した。各結果を表3に示す。
【0097】
<実験例2>
実験例1得られたシランカップリング剤添加済みの酸硬化性樹脂(III)96.03質量部に塩化カルシウム2水和物(CaCl・2HO)3.97質量部を混合溶解させて、粘結剤100質量部(無水物換算で塩化カルシウムを3.00質量%含有)を調製した以外は、実験例1と同様にして砂組成物を製造し、得られた砂組成物を用いてテストピースを製造し、圧縮強度と嵩密度を測定した。各結果、およびアルミナ砂100質量部に対する無水物換算した塩化カルシウムの配合量を表3示す。
【0098】
<実験例3>
実験例1得られたシランカップリング剤添加済みの酸硬化性樹脂(III)93.38質量部に塩化カルシウム2水和物(CaCl・2HO)6.62質量部を混合溶解させて、粘結剤100質量部(無水物換算で塩化カルシウムを5.00質量%含有)を調製した以外は、実験例1と同様にして砂組成物を製造し、得られた砂組成物を用いてテストピースを製造し、圧縮強度と嵩密度を測定した。各結果、およびアルミナ砂100質量部に対する無水物換算した塩化カルシウムの配合量を表3示す。
【0099】
<実験例4>
実験例1得られたシランカップリング剤添加済みの酸硬化性樹脂(III)89.40質量部に塩化カルシウム2水和物(CaCl・2HO)10.60質量部を混合溶解させて、粘結剤100質量部(無水物換算で塩化カルシウムを8.00質量%含有)を調製した以外は、実験例1と同様にして砂組成物を製造し、得られた砂組成物を用いてテストピースを製造し、圧縮強度と嵩密度を測定した。各結果、およびアルミナ砂100質量部に対する無水物換算した塩化カルシウムの配合量を表3示す。
【0100】
<実験例5>
実験例1得られたシランカップリング剤添加済みの酸硬化性樹脂(III)86.75質量部に塩化カルシウム2水和物(CaCl・2HO)13.25質量部を混合溶解させて、粘結剤100質量部(無水物換算で塩化カルシウムを10.00質量%含有)を調製した以外は、実験例1と同様にして砂組成物を製造し、得られた砂組成物を用いてテストピースを製造し、圧縮強度と嵩密度を測定した。各結果、およびアルミナ砂100質量部に対する無水物換算した塩化カルシウムの配合量を表3示す。
【0101】
【表3】

【0102】
表3から明らかなように、塩化カルシウム2水和物を用いて予め粘結剤を調製し、該粘結剤を用いて砂組成物を製造した実験例1〜5では、鋳型として十分な強度の圧縮強度を示した。また、圧縮強度は、アルミナ砂100質量部に対する無水物換算した塩化カルシウムの配合量が0.050質量部までは、配合量が増えるに連れて強くなる傾向にあるが、配合量が0.080質量部以上になると低下する傾向にあった。




【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐火性粒状材料と、スルホン酸及び/又は硫酸とを混合して混合物を調製した後に、該混合物に酸硬化性樹脂を混合すると同時に、または混合した後に塩化カルシウム溶液及び/又は塩化マグネシウム溶液を混合する、鋳型造型用砂組成物の製造方法。
【請求項2】
耐火性粒状材料と、スルホン酸及び/又は硫酸と、酸硬化性樹脂と、塩化カルシウム溶液及び/又は塩化マグネシウム溶液とを同時に混合する、鋳型造型用砂組成物の製造方法。
【請求項3】
前記酸硬化性樹脂は、フルフリルアルコール、フェノール類及び尿素よりなる群から選ばれる1種又は2種以上とアルデヒド類との縮合物又は共縮合物の1種又は2種以上、並びにフルフリルアルコールを含むものである、請求項1又は2に記載の鋳型造型用砂組成物の製造方法。
【請求項4】
前記塩化カルシウム溶液及び塩化マグネシウム溶液の溶媒は、水及びアルコールから選ばれる1種又は2種以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の鋳型造型用砂組成物の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の方法で製造された鋳型造型用砂組成物を鋳型製造用の型に充填し、前記鋳型造型用砂組成物を硬化させる、鋳型の製造方法。