説明

鋳型造型装置におけるサンドタンクの砂供給口開閉装置

【課題】レール上面に砂が堆積するのを防止することができると共に部品の交換やメンテナンスを容易に行うことができる鋳型造型装置におけるサンドタンクの砂供給口開閉装置を提供する。
【解決手段】鋳型造型装置におけるサンドタンク1に連通されたケーシング2と、該ケーシングの内部に配設されると共に移動することにより砂供給口を開閉させるゲート部材4と、該ゲート部材を移動させるアクチュエータ5と、前記ゲート部材の下方に配置されると共に前記ケーシングに装着され、前記ゲート部材を受けるローラ8と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳型造型装置におけるサンドタンクの砂供給口開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鋳型造型装置におけるサンドタンクの砂供給口開閉装置としては、ゲートシリンダで開閉されるスライド板が対に2枚配置され、該スライド板の下部にはV形のローラが接続され、該ローラは底板に設けたV形のレール上を転動して該スライド板を移動可能にしたものが公知にされている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−239685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のものは、レール上面に砂が堆積することにより、ローラ走行の妨げになったり、レールやローラの偏摩耗を起こすことがあるという問題がある。また特許文献1のものは、部品(ローラやゲートシリンダ等)の交換やメンテナンスを行う際には、ケーシング上部に取り付けられた厚くて重い一枚ものの蓋部材(特許文献1では符号8のフタ板)を取り外さなければならないため、該部品の交換やメンテナンスが困難であるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑みて成されたもので、レール上面に砂が堆積するのを防止することができると共に部品の交換やメンテナンスを容易に行うことができる鋳型造型装置におけるサンドタンクの砂供給口開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために本発明の鋳型造型装置におけるサンドタンクの砂供給口開閉装置は、鋳型造型装置におけるサンドタンクに連通されたケーシングと、該ケーシングの内部に配設されると共に移動することにより砂供給口を開閉させるゲート部材と、該ゲート部材を移動させるアクチュエータと、前記ゲート部材の下方に配置されると共に前記ケーシングに装着され、前記ゲート部材を受けるローラと、を具備することを特徴とする。
【0007】
また本発明の鋳型造型装置におけるサンドタンクの砂供給口開閉装置は、前記ゲート部材の下部にレールを固定し、前記ゲート部材を該レールを介して前記ローラで受けるようにしたことを特徴とする。
【0008】
さらに本発明の鋳型造型装置におけるサンドタンクの砂供給口開閉装置は、前記ケーシングの上部に複数に分割された蓋部材を着脱可能に取り付けたことを特徴とする。
【0009】
さらに本発明の鋳型造型装置におけるサンドタンクの砂供給口開閉装置は、前記複数に分割された蓋部材の各々の面積が、前記ケーシングの天井部の面積の半分以下であることを特徴とする。
【0010】
さらに本発明の鋳型造型装置におけるサンドタンクの砂供給口開閉装置は、前記ローラを支持部材に固定し、前記ローラを該支持部材を介して前記ケーシングの側面に装着したことを特徴とする。
【0011】
さらに本発明の鋳型造型装置におけるサンドタンクの砂供給口開閉装置は、前記ケーシングの天井部に排気口を穿設すると共に前記ケーシングの上方に排気弁を配設し、前記ケーシングと該排気弁を該排気口を介して連通させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、鋳型造型装置におけるサンドタンクに連通されたケーシングと、該ケーシングの内部に配設されると共に移動することにより砂供給口を開閉させるゲート部材と、該ゲート部材を移動させるアクチュエータと、前記ゲート部材の下方に配置されると共に前記ケーシングに装着され、前記ゲート部材を受けるローラと、を具備するようにしたから、レール上面に砂が堆積するのを防止することができると共に部品の交換やメンテナンスを容易に行うことができる等種々の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態を示す正面断面図である。
【図2】図1の右側面断面図である。
【図3】図1のA−A矢視図である。
【図4】図1のB−B矢視図である。
【図5】図1のA−A矢視図であって、ケーシングの天井部、第1蓋部材及び第2蓋部材の外寸法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳しく説明する。なお本実施形態では、枠付鋳型造型装置におけるサンドタンクの砂供給口開閉装置の一例を説明する。図1は主に鋳型造型装置におけるサンドタンクと該サンドタンクの砂供給口開閉装置を示している。このため、それ以外の鋳型造型装置の構成要素については図示を省略している。
【0015】
図1において、鋳型造型装置におけるサンドタンク1の上部にはケーシング2が連通して連結されており、該ケーシング2の内部には水平に移動することにより砂供給口3を開閉させるゲート部材4が配設されている。そして、前記ケーシング2の一端側面には該ゲート部材4を水平に移動させるアクチュエータとしてのシリンダ5が装着されており、該シリンダ5の先端には連結部材6を介して前記ゲート部材4が連結されている。
【0016】
そして、該ゲート部材4の両端(図2参照)の下部には、縦断面が四角形状のレール7が着脱可能に固定されており、該レール7を円形で鍔付きの複数のローラ8で受けるようになっている。そして、該ローラ8は支持部材9に固定されており、該支持部材9はケーシング2における前記シリンダ5の伸縮方向と直交する方向の両側面に着脱可能に装着されている。
【0017】
そして、前記ケーシング2の上部には複数に分割された蓋部材としての第1蓋部材10及び第2蓋部材11が各々、着脱可能に取り付けられている。そして、前記第1蓋部材10の下部にはシール取り付け部材12が着脱可能に固定されており、該シール取り付け部材12の下端周縁には全周に亘って凹状の溝部12aが形成されている。なお該シール取り付け部材12の下端と前記ゲート部材4の上面との間には若干の隙間(本実施形態では1mm)が確保されている。
【0018】
そして、前記第1蓋部材10及びシール取り付け部材12には、前記溝部12aまで貫通する複数の通し孔13が穿孔されており、該通し孔13は図示されない開閉弁を介して図示されない圧縮空気源に連通されている。そして、前記溝部12aには、内部空間に圧縮空気が導入されることにより膨張するシール部材14が装着されている。なお、前記砂供給口3は前記第1蓋部材10及びシール取り付け部材12を通しで貫通する開口にされている。
【0019】
また前記ケーシング2の天井部2aには複数の排気口2bが穿設されており、前記ケーシング2の上方には複数の排気弁15(本実施形態ではダイヤフラムバルブ)が配設されている。そして、前記ケーシング2と排気弁15は、前記排気口2b及び配管16を介して連通されている。なお該排気弁15は図示されない排気配管に連通されている。また前記ケーシング2の天井部2aには、前記排気口2bのほかに、開口2c及び2dが設けられている。
【0020】
また前記サンドタンク1の下端には砂充填用ノズル17が設けられている。そして、前記サンドタンク1の周側1a及び下位内部1bには図示されないエヤー噴出チャンバーが設けられており、該エヤー噴出チャンバーは図示されない切り替え弁に連通されている。該切り替え弁を開くと、該エヤー噴出チャンバーから前記サンドタンク1内に圧縮空気が噴出されて鋳物砂Sが浮遊流動化され、前記砂充填用ノズル17を介して図示されない造型空間に充填されるようになっている。なお本発明における鋳物砂Sとしては、例えば、生砂、セラミックス製の人工砂などが挙げられる。
【0021】
このように構成されたものの作動について説明する。まず、前記シリンダ5が収縮端にある状態、即ち、砂供給口3が開いている状態で、図示されない鋳物砂供給手段(例えば、ベルトフィーダ)により、砂供給口3を介してサンドタンク1内に鋳物砂Sを供給する。次に、前記シリンダ5を伸長作動させることにより、ゲート部材4を水平移動させ、砂供給口3を閉じる。
【0022】
次に、通し孔13に連通された前記図示されない開閉弁を開く。そうすると、該通し孔13を介してシール部材14の内部空間に圧縮空気が導入され、これによりシール部材14が膨張してゲート部材4の上面に密着される。その後、排気弁15を閉じる。
【0023】
次に、前記図示されないエヤー噴出チャンバーに連通された前記図示されない切り替え弁を開く。そうすると、該エヤー噴出チャンバーからサンドタンク1内に圧縮空気が噴出されて鋳物砂Sが浮遊流動化され、砂充填用ノズル17を介して前記図示されない造型空間に充填される。
【0024】
次に、排気弁15を開く。そうすると、サンドタンク1内に残存する圧縮空気が排気され、前記図示されない排気配管を介して大気へ放出される。次に、通し孔13に連通された前記図示されない開閉弁を閉じる。そうすると、シール部材14が収縮してゲート部材4の上面から離反する。次に、前記シリンダ5を収縮作動させることにより、ゲート部材4を水平移動させ、砂供給口3を開く。その後、上記の作動が繰り返される。
【0025】
なお本発明では、ケーシング2の底板上にレール7を設けず、ゲート部材4の下部にレール7を固定し、該レール7をローラ8で受ける構成にしている。このため、レール7上面に砂が堆積することが無い。これにより、レール7やローラ8の偏摩耗を防止することができる。また、レール7はローラ8上を走行するから、ローラ8上に砂が堆積してレール7走行の妨げになるということもない。なお本発明の実施形態では、ゲート部材4の下部にレール7を固定するようにしているが、これに限定されるものではなく、レール7を無くし、ゲート部材4自体の両端がローラ8上を走行するようにしてもよい。
【0026】
また本発明では、ケーシング2の上部に複数に分割された蓋部材(本実施形態では第1蓋部材10及び第2蓋部材11)を着脱可能に取り付けた構成にしている。このため、部品の交換やメンテナンスを行う際には、面積(平面積)の小さい蓋部材を取り外せばよく、該部品の交換やメンテナンスを容易に行うことができる。
【0027】
なお前記複数に分割された蓋部材の各々の面積は、ケーシング2の天井部2aの面積の半分以下であると、より好ましい。本実施形態では図5に示すA1が100cm及びA2が87cmでケーシング2の天井部2aの面積が8700cm2である。またB1が46cm及びB2が86cmで第1蓋部材10の面積が3956cm2である。またC1が30cm及びC2が40cmで第2蓋部材11の面積が1200cm2である。このように本実施形態では、第1蓋部材10及び第2蓋部材11の各々の面積がケーシング2の天井部2aの面積の半分以下になっている。
【0028】
さらに本発明では、ローラ8を支持部材9に固定し、該ローラ8を該支持部材9を介してケーシング2の側面に装着した構成にしている。これにより、支持部材9を取り外せばローラ8をケーシング2の側方から抜き出すことができるため、該ローラ8の交換やメンテナンスを容易に行うことができる。
【0029】
さらに本発明では、ケーシング2の天井部2aに排気口2bを穿設すると共にケーシング2の上方に排気弁15を配設し、ケーシング2と該排気弁15を該排気口2bを介して連通させた構成にしている。例えば、特許文献1のものではケーシング内の両側端に消音部材を配設し、且つ、ケーシングの側面に排気弁を取り付けた構成にしているが、この場合、該消音部材や排気弁に砂が付着して溜まりやすい。これに対し、上述した本発明の構成では、サンドタンク1内に残存する圧縮空気が排気される際、砂を一緒に持ち出してしまうことが少ないため、排気弁15に砂が付着しにくく溜まりにくい。これにより、該排気弁15の砂詰まりを防止することができるという利点がある。
【0030】
なお本発明の実施形態では、枠付鋳型造型装置におけるサンドタンクの砂供給口開閉装置の一例を示したが、これに限定されるものではなく、本発明は、無枠鋳型造型装置におけるサンドタンクの砂供給口開閉装置として使用することもできる。
【0031】
また本発明の実施形態では、前記複数に分割された蓋部材として、第1蓋部材10及び第2蓋部材11を示したが、これに限定されるものではなく、該蓋部材を三つ以上に分割するようにしてもよい。
【0032】
さらに本発明の実施形態では、ゲート部材4を水平に移動させるアクチュエータとして、シリンダ5を示したが、これに限定されるものではなく、例えば、モータの駆動によりゲート部材4を水平に移動させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 サンドタンク
2 ケーシング
2a ケーシングの天井部
2b 排気口
3 砂供給口
4 ゲート部材
5 アクチュエータ
7 レール
8 ローラ
9 支持部材
10 11 蓋部材
15 排気弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳型造型装置におけるサンドタンクに連通されたケーシングと、該ケーシングの内部に配設されると共に移動することにより砂供給口を開閉させるゲート部材と、該ゲート部材を移動させるアクチュエータと、前記ゲート部材の下方に配置されると共に前記ケーシングに装着され、前記ゲート部材を受けるローラと、を具備することを特徴とする鋳型造型装置におけるサンドタンクの砂供給口開閉装置。
【請求項2】
前記ゲート部材の下部にレールを固定し、前記ゲート部材を該レールを介して前記ローラで受けるようにしたことを特徴とする請求項1記載の鋳型造型装置におけるサンドタンクの砂供給口開閉装置。
【請求項3】
前記ケーシングの上部に複数に分割された蓋部材を着脱可能に取り付けたことを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の鋳型造型装置におけるサンドタンクの砂供給口開閉装置。
【請求項4】
前記複数に分割された蓋部材の各々の面積が、前記ケーシングの天井部の面積の半分以下であることを特徴とする請求項3記載の鋳型造型装置におけるサンドタンクの砂供給口開閉装置。
【請求項5】
前記ローラを支持部材に固定し、前記ローラを該支持部材を介して前記ケーシングの側面に装着したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の鋳型造型装置におけるサンドタンクの砂供給口開閉装置。
【請求項6】
前記ケーシングの天井部に排気口を穿設すると共に前記ケーシングの上方に排気弁を配設し、前記ケーシングと該排気弁を該排気口を介して連通させたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の鋳型造型装置におけるサンドタンクの砂供給口開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−245500(P2011−245500A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−119258(P2010−119258)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(000191009)新東工業株式会社 (474)
【Fターム(参考)】