説明

鋳片の凝固完了位置算出方法および凝固完了位置算出装置

【課題】鋳片の凝固完了位置をオンラインで精度高く算出すること。
【解決手段】単重算出部101は、切断機によって切断された鋳片の長さ、幅、および厚さに関する情報を用いて鋳片の体積を算出し、鋳片の重量を算出された体積で除算することによって単位体積あたりの鋳片の重量を算出する。熱膨張係数算出部102は、比重DB110から鋳片の材質に対応する鋳片の比重を抽出し、単重算出部101によって算出された単位体積あたりの鋳片の重量を抽出された比重で除算することによって鋳片の熱膨張係数を算出する。鋳片温度算出部103は、熱膨張係数DB120から鋳片の材質と熱膨張係数算出部102によって算出された鋳片の熱膨張係数とに対応する鋳片の温度をトーチによって切断された鋳片の温度として抽出する。凝固完了位置算出部104は、鋳片温度算出部103によって抽出された鋳片の温度を用いて鋳片の凝固完了位置を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続鋳造機において鋳造される鋳片の凝固完了位置を算出する鋳片の凝固完了位置算出方法および凝固完了位置算出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、連続鋳造機の生産性を向上させるためには、鋳造速度を上昇させる必要がある。しかしながら、鋳造速度を上昇させた場合、鋳片の凝固完了位置(クレーターエンド位置)がモールドメニスカス位置から鋳造方向下流側へ移動する。そして、鋳片の凝固完了位置が鋳片支持ロールの範囲を越えてしまうと、鋳片が静鉄圧の作用によって膨らむバルジングが発生し、内質の悪化やバルジングが巨大である場合には鋳造停止といった問題が生じる。
【0003】
このような背景から、鋳片の凝固完了位置を検出又は算出し、検出又は算出された鋳片の凝固完了位置に基づいて鋳片の凝固完了位置を所定範囲内に制御する技術が提案されている(特許文献1,2参照)。具体的には、特許文献1には、センサを利用して鋳片の凝固完了位置を検出し、検出された鋳片の凝固完了位置に基づいて鋳片の凝固完了位置を所定範囲内に制御する技術が記載されている。また、特許文献2には、鋳片の温度を算出する鋳片の凝固モデルを利用して鋳片の凝固完了位置を算出し、算出された鋳片の凝固完了位置に基づいて鋳片の凝固完了位置を所定範囲内に制御する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−238257号公報
【特許文献2】特開平01−127161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の技術のように、センサを利用して鋳片の凝固完了位置を検出する場合、鋳片の近傍にセンサを配置する必要があり、センサの耐久性に問題がある。また一般に、このようなセンサは高価であるために、鋳片の凝固完了位置を安価に検出することが困難になる。これに対して、特許文献2記載の技術のように、鋳片の凝固モデルを利用して鋳片の凝固完了位置を算出する場合には、上述のようなセンサを利用して鋳片の凝固完了位置を検出する場合に発生する問題点はない。
【0006】
ところが、鋳片の凝固モデルを利用して鋳片の凝固完了位置を算出する場合には、凝固モデルに含まれる各種特性値と実際値との間に誤差が発生した際、鋳片の凝固完了位置を精度高く算出することができなくなる。なお、このような問題を解決するために、鋲打ちなどの作業を行うことによって特性値を実際値に合わせて補正する方法が考えられる。しかしながら、このような作業はオフラインで行われものであるために、特性値をオンラインで補正することができない。
【0007】
このため、凝固モデルの特性値をオンラインで補正可能にすることによって、鋳片の凝固完了位置をオンラインで精度高く算出できる技術の提供が期待されていた。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、鋳片の凝固完了位置をオンラインで精度高く算出可能な鋳片の凝固完了位置算出方法および凝固完了位置算出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る鋳片の凝固完了位置算出方法は、連続鋳造機において鋳造される鋳片の凝固完了位置を算出する鋳片の凝固完了位置算出方法であって、切断機によって切断された鋳片の長さ、幅、および厚さに関する情報を用いて該鋳片の体積を算出し、該鋳片の重量を算出された体積で除算することによって単位体積あたりの鋳片の重量を算出する単重算出ステップと、鋳片の材質と比重との関係を示す比重データを用いて前記鋳片の材質に対応する前記鋳片の比重を算出し、前記単重算出ステップにおいて算出された単位体積あたりの鋳片の重量を算出された比重で除算することによって前記鋳片の熱膨張係数を算出する熱膨張係数算出ステップと、鋳片の熱膨張係数と温度との関係を示す熱膨張係数データを用いて熱膨張係数算出ステップにおいて算出された鋳片の熱膨張係数から切断機によって切断された鋳片の温度を算出する鋳片温度算出ステップと、前記鋳片温度算出ステップにおいて算出された鋳片の温度を用いて鋳片の凝固完了位置を算出する凝固完了位置算出ステップと、を含むことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る鋳片の凝固完了位置算出方法は、上記発明において、前記鋳片温度算出ステップが、鋳片の温度と凝固モデルによって算出された鋳片の温度との差分値を凝固モデルによって算出された鋳片の温度の補正値として算出するステップを含み、前記凝固完了位置算出ステップは、前記補正値を用いて前記凝固モデルによって算出された温度を補正し、補正された温度を用いた前記凝固モデルの計算によって鋳片の凝固完了位置を算出するステップを含むことを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る鋳片の凝固完了位置算出装置は、連続鋳造機において鋳造される鋳片の凝固完了位置を算出する鋳片の凝固完了位置算出装置であって、前記鋳片の材質と比重との関係を示す比重データを格納する比重データベースと、前記鋳片の熱膨張係数と温度との関係を示す熱膨張係数データを前記鋳片の材質毎に格納する熱膨張係数データベースと、切断機によって切断された鋳片の長さ、幅、および厚さに関する情報を用いて該鋳片の体積を算出し、該鋳片の重量を算出された体積で除算することによって単位体積あたりの鋳片の重量を算出する単重算出部と、前記比重データベースから前記鋳片の材質に対応する前記鋳片の比重を抽出し、前記単重算出部によって算出された単位体積あたりの鋳片の重量を抽出された比重で除算することによって鋳片の熱膨張係数を算出する熱膨張係数算出部と、前記熱膨張係数データベースから前記鋳片の材質と前記熱膨張係数算出部によって算出された鋳片の熱膨張係数とに対応する鋳片の温度を切断機によって切断された鋳片の温度として抽出する鋳片温度算出部と、前記鋳片温度算出部によって抽出された鋳片の温度を用いて鋳片の凝固完了位置を算出する凝固完了位置算出部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る鋳片の凝固完了位置算出方法および凝固完了位置算出装置によれば、鋳片の凝固完了位置をオンラインで精度高く算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の一実施形態である鋳片の凝固完了位置算出装置が適用される連続鋳造機の一構成例を示す模式図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態である鋳片の凝固完了位置算出装置が適用される凝固完了位置算出システムの構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、図2に示す比重DBの一構成例を示す図である。
【図4】図4は、図2に示す熱膨張係数DBの一構成例を示す図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態である凝固完了位置算出処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態である鋳片の凝固完了位置算出装置の構成およびその動作について説明する。
【0015】
〔連続鋳造機の構成〕
始めに、図1を参照して、本発明の一実施形態である鋳片の凝固完了位置算出装置が適用される連続鋳造機の構成について説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態である鋳片の凝固完了位置算出装置が適用される連続鋳造機の一構成例を示す模式図である。
【0017】
図1に示すように、連続鋳造機は、図示しない取鍋から溶鋼1が注入されるタンディッシュ2と、浸漬ノズル3を介してタンディッシュ2から注がれた溶鋼1を表面の凝固シェルが樹枝状晶に成長するまで整形しつつ半凝固させる銅製のモールド4と、モールド4から半凝固状態の鋳片5を垂直下方に引き抜きつつ冷却する鋳片支持ロール6と、を主な構成要素として備えている。また、連続鋳造機は、タンディッシュ2内の溶鋼1の温度を測定する測温機7と、鋳片5に冷却水を噴射することによって鋳片5を冷却する二次冷却スプレー8と、鋳片5の切断長さを測定する測長ロール9と、鋳片5を切断するトーチ(切断機)10と、鋳片5を切断することによって得られたスラブSの重量を測定する秤量機11と、を備えている。
【0018】
このような連続鋳造機では、モールド4に注がれた溶鋼1は、モールド4の表面から冷却されることによって固相部を形成し、内部に液相を有する鋳片5として鋳造方向下流側に引き抜かれる。モールド4から引き抜かれた鋳片5は、二次冷却スプレー8から噴射される冷却水によって冷却され、軽圧下帯12において中心部まで完全に凝固される。この中心部まで完全に凝固した位置が鋳片5の凝固完了位置となる。そして、凝固が完了した鋳片5は、トーチ10によって所定の長さに切断され、スラブSとして圧延工程などの後工程へと順次搬送される。
【0019】
〔凝固完了位置算出システムの構成〕
次に、図2乃至図4を参照して、本発明の一実施形態である鋳片の凝固完了位置算出装置が適用される凝固完了位置算出システムの構成について説明する。
【0020】
図2は、本発明の一実施形態である鋳片の凝固完了位置算出装置が適用される凝固完了位置算出システムの一構成例を示すブロック図である。図3は、図2に示す比重DB110の一構成例を示す図である。図4は、図2に示す熱膨張係数DB120の一構成例を示す図である。
【0021】
図2に示すように、凝固完了位置算出システムは、凝固完了位置算出装置100と、比重データベース(DB)110と、熱膨張係数データベース(DB)120と、出力装置130と、を主な構成要素として備えている。
【0022】
凝固完了位置算出装置100には、測長ロール9と、秤量機11と、プロセスコンピュータ13とが電気的に接続されている。測長ロール9は、切断された鋳片5の鋳造方向長さに関する情報を凝固完了位置算出装置100に入力する。秤量機11は、切断された鋳片5の重量に関する情報を凝固完了位置算出装置100に入力する。プロセスコンピュータ13は、溶鋼1の温度や材質、モールドの大きさ(鋳片5の幅、厚み)などに関する情報を凝固完了位置算出装置100に入力する。溶鋼1の温度は、タンディッシュ2に設けられた測温機7によって測定される。
【0023】
凝固完了位置算出装置100は、パーソナルコンピュータやワークステーションなどの情報処理装置によって構成されている。凝固完了位置算出装置100は、情報処理装置内部のCPUなどの演算処理装置がROMなどの記憶部に記憶されたコンピュータプログラムを実行することによって、単重算出部101、熱膨張係数算出部102、鋳片温度算出部103、および凝固完了位置算出部104として機能する。これら各部の機能については後述する。
【0024】
比重DB110は、図2に示すように、鋳片5の材質(成分)と比重との関係を示す比重データを格納している。熱膨張係数DB120は、図3に示すように、鋳片5の温度と熱膨張係数との関係を示す熱膨張係数データを鋳片5の材質毎に格納している。なお、本実施形態では、凝固完了位置算出装置100と比重DB110および熱膨張DB120とが別体により構成されているが、これらを一体化してもよい。出力装置130は、表示装置や印刷装置などの公知の出力装置によって構成されている。出力装置130は、凝固完了位置算出装置100によって算出された鋳片5の温度や凝固完了位置に関する情報を出力する。
【0025】
このような構成を有する凝固完了位置算出システムは、以下に示す凝固完了位置算出処理を実行することによって、鋳片5の凝固完了位置をオンラインで算出する。以下、図5に示すフローチャートを参照して、この凝固完了位置算出処理を実行する際の凝固完了位置算出システムの動作について説明する。
【0026】
〔凝固完了位置算出処理〕
図5は、本発明の一実施形態である凝固完了位置算出処理の流れを示すフローチャートである。図5に示すフローチャートは、トーチ10によって鋳片5が切断される度毎に開始となり、凝固完了位置算出処理はステップS1の処理に進む。
【0027】
ステップS1の処理では、単重算出部101が、測長ロール9から入力された鋳片5の鋳造方向長さに関する情報とプロセスコンピュータ5から入力された鋳片5の幅および厚さに関する情報とを用いて、トーチ10によって切断された鋳片5の実績体積V(=長さ×幅×厚さ)を算出する。そして、単重算出部101は、秤量機11から入力された鋳片5の重量Wの値を算出された実績体積Vで除算することによって単位体積あたりの鋳片5の重量を算出する。これにより、ステップS1の処理は完了し、凝固完了位置算出処理はステップS2の処理に進む。
【0028】
ステップS2の処理では、熱膨張係数算出部102が、プロセスコンピュータ13から鋳片5の材質に関する情報を取得し、比重DB110から鋳片5の材質に対応する比重の情報を抽出する。そして、熱膨張係数算出部102は、ステップS1の処理によって算出された単位体積あたりの鋳片5の重量を抽出された比重で除算した値をトーチ10によって切断された鋳片5の熱膨張係数として算出する。これにより、ステップS2の処理は完了し、凝固完了位置算出処理はステップS3の処理に進む。
【0029】
ステップS3の処理では、鋳片温度算出部103が、熱膨張係数DB120からステップS2の処理において取得した鋳片5の材質に対応する熱膨張係数データを取得する。そして、鋳片温度算出部103は、取得した熱膨張係数データからステップS2の処理によって算出された鋳片5の熱膨張係数に対応する鋳片5の温度を読み出し、凝固モデルによって演算された鋳片5の温度と読み出された鋳片5の温度との差分値を凝固モデルによって演算された鋳片5の温度の補正値として算出する。これにより、ステップS3の処理は完了し、凝固完了位置算出処理はステップS4の処理に進む。
【0030】
ステップS4の処理では、凝固完了位置算出部104が、ステップS3の処理によって算出された補正値を用いて凝固モデルによって演算された鋳片5の温度を補正し、補正された鋳片5の温度を利用した凝固モデル計算によって鋳片5の凝固完了位置を算出する。なお、鋳片5の凝固完了位置の算出方法は、本発明の出願時点で既に公知であるので詳細な説明は省略するが、溶鋼1の成分や温度から鋳片5の液相線温度および固相線温度を算出し、算出された液相線および固相線温度と鋳片5の温度とを比較することによって算出できる。以後、図示しない制御装置が、算出された鋳片5の凝固完了位置に基づいて、例えば軽圧下帯12に設置されているサポートロールの間隔を制御することによって鋳片5の凝固完了位置が所定範囲内に入るように制御する。これにより、ステップS4の処理は完了し、一連の凝固完了位置算出処理は終了する。
【0031】
以上の説明から明らかなように、本発明の一実施形態である凝固完了位置算出処理では、単重算出部101は、切断機によって切断された鋳片5の長さ、幅、および厚さに関する情報を用いて鋳片5の体積を算出し、鋳片5の重量を算出された体積で除算することによって単位体積あたりの鋳片5の重量を算出する。熱膨張係数算出部102は、比重DB110から鋳片5の材質に対応する鋳片5の比重を抽出し、単重算出部101によって算出された単位体積あたりの鋳片の重量を抽出された比重で除算することによって鋳片の熱膨張係数を算出する。鋳片温度算出部103は、熱膨張係数DB120から鋳片5の材質と熱膨張係数算出部102によって算出された鋳片5の熱膨張係数とに対応する鋳片5の温度をトーチ10によって切断された鋳片5の温度として抽出する。そして、凝固完了位置算出部104は、鋳片温度算出部103によって抽出された鋳片5の温度を用いて鋳片5の凝固完了位置を算出する。このような凝固完了位置算出処理によれば、鋳片温度算出部104が、トーチ10によって鋳片5が切断される度毎に切断された鋳片5の温度を算出し、凝固完了位置算出部104が、鋳片温度算出部104によって算出された鋳片5の温度に基づいて鋳片5の凝固完了位置を算出するので、鋳片の凝固完了位置をオンラインで精度高く算出することができる。
【0032】
また、本発明の一実施形態である凝固完了位置算出処理では、鋳片温度算出部103は、鋳片の温度と凝固モデルによって算出された鋳片の温度との差分値を凝固モデルによって算出された鋳片の温度の補正値として算出し、凝固完了位置算出部104は、鋳片温度算出部103によって算出された補正値を用いて凝固モデルによって算出された温度を補正し、補正された温度を用いた凝固モデルの計算によって鋳片の凝固完了位置を算出する。このような凝固完了位置算出処理によれば、凝固モデルをオンラインで補正し、鋳片の凝固完了位置をオンラインで精度高く算出することができる。
【0033】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述および図面により本発明は限定されることはない。すなわち、本実施形態に基づいて当業者などによりなされる他の実施の形態、実施例、および運用技術などは全て本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0034】
1 溶鋼
2 タンディッシュ
3 浸漬ノズル
4 モールド
5 鋳片
6 鋳片支持ロール
7 測温機
8 二次冷却スプレー
9 測長ロール
10 トーチ(切断機)
11 秤量機
12 軽圧下帯
13 プロセスコンピュータ
100 凝固完了位置算出装置
101 単重算出部
102 熱膨張係数算出部
103 鋳片温度算出部
104 凝固位置算出部
110 比重データベース(DB)
120 熱膨張係数データベース(DB)
130 出力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続鋳造機において鋳造される鋳片の凝固完了位置を算出する鋳片の凝固完了位置算出方法であって、
切断機によって切断された鋳片の長さ、幅、および厚さに関する情報を用いて該鋳片の体積を算出し、該鋳片の重量を算出された体積で除算することによって単位体積あたりの鋳片の重量を算出する単重算出ステップと、
鋳片の材質と比重との関係を示す比重データを用いて前記鋳片の材質に対応する前記鋳片の比重を算出し、前記単重算出ステップにおいて算出された単位体積あたりの鋳片の重量を算出された比重で除算することによって前記鋳片の熱膨張係数を算出する熱膨張係数算出ステップと、
鋳片の熱膨張係数と温度との関係を示す熱膨張係数データを用いて熱膨張係数算出ステップにおいて算出された鋳片の熱膨張係数から切断機によって切断された鋳片の温度を算出する鋳片温度算出ステップと、
前記鋳片温度算出ステップにおいて算出された鋳片の温度を用いて鋳片の凝固完了位置を算出する凝固完了位置算出ステップと、
を含むことを特徴とする鋳片の凝固完了位置算出方法。
【請求項2】
前記鋳片温度算出ステップは、鋳片の温度と凝固モデルによって算出された鋳片の温度との差分値を凝固モデルによって算出された鋳片の温度の補正値として算出するステップを含み、前記凝固完了位置算出ステップは、前記補正値を用いて前記凝固モデルによって算出された温度を補正し、補正された温度を用いた前記凝固モデルの計算によって鋳片の凝固完了位置を算出するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の鋳片の凝固完了位置算出方法。
【請求項3】
連続鋳造機において鋳造される鋳片の凝固完了位置を算出する鋳片の凝固完了位置算出装置であって、
前記鋳片の材質と比重との関係を示す比重データを格納する比重データベースと、
前記鋳片の熱膨張係数と温度との関係を示す熱膨張係数データを前記鋳片の材質毎に格納する熱膨張係数データベースと、
切断機によって切断された鋳片の長さ、幅、および厚さに関する情報を用いて該鋳片の体積を算出し、該鋳片の重量を算出された体積で除算することによって単位体積あたりの鋳片の重量を算出する単重算出部と、
前記比重データベースから前記鋳片の材質に対応する前記鋳片の比重を抽出し、前記単重算出部によって算出された単位体積あたりの鋳片の重量を抽出された比重で除算することによって鋳片の熱膨張係数を算出する熱膨張係数算出部と、
前記熱膨張係数データベースから前記鋳片の材質と前記熱膨張係数算出部によって算出された鋳片の熱膨張係数とに対応する鋳片の温度を切断機によって切断された鋳片の温度として抽出する鋳片温度算出部と、
前記鋳片温度算出部によって抽出された鋳片の温度を用いて鋳片の凝固完了位置を算出する凝固完了位置算出部と、
を備えることを特徴とする鋳片の凝固完了位置算出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−52405(P2013−52405A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191579(P2011−191579)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】