説明

鋳片の切断ノロ除去装置

【課題】 鋳片の断面形状が四辺形以外であっても、また四辺形であっても、何れにも適用可能であり、しかも、保守メンテナンスが容易な構造であり、且つ、鋳片が切断ノロ除去装置に対して一定の位置関係で搬送されなくとも、その鋳片の切断ノロの除去が可能である、鋳片の切断ノロ除去装置を提供する。
【解決手段】 上記課題を解決するための鋳片の切断ノロ除去装置1は、鋳片14の切断ノロ15の付着部分に対向する多針タガネ束2と、該多針タガネ束を打撃するハンマー4と、該ハンマーを往復させる往復機構5と、前記多針タガネ束、ハンマー及び往復機構を装備するケーシング6と、を具備することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続鋳造された鋳片をガス切断した際に切断面の端部に発生する切断ノロを除去する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
連続鋳造により製造された鋳片(スラブ、ブルーム、ビームブランクまたはビレットなど)は、連続鋳造機から払い出す際には、連続した状態から所定の長さに切断する必要がある。この場合の切断方法としては、鋳片が高温であり且つ切断厚みが厚いことから、一般的にはガス切断が用いられている。ガス切断のような溶断方式で上部からガス噴流を吹き付けた場合、溶融した鋳片の一部が切断面下部で凝固して切断ノロ(「切断バリ」、「切断ダレ」とも呼ぶ)となって付着する。
【0003】
この切断ノロには、地金分が含まれており、切断ノロが鋳片に付着した状態のまま圧延されると、圧延される鋼板の裏面に巻き込まれたり、圧延用ロールを損傷したりして、圧延される鋼材の表面疵の原因となり、鋼製品の品質を低下させるので、切断ノロは圧延工程の前に除去する必要がある。
【0004】
鋳片の切断面が四辺形状の場合には、平刃による切削で切断ノロを除去することが可能であるが、ビームブランクや丸ビレットなどの切断面が四辺形状でない場合や、角部に丸みがある場合には、平刃による切削では切断ノロを完全に除去することができない。
【0005】
そこで、切断面が四辺形状でない場合に切断ノロを除去する従来技術として、回転ハンマーによる衝撃で除去する方法(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)や、鋳片幅方向に分割された複数のバイトで除去する方法(例えば、特許文献3を参照)などが提案されている。
【0006】
回転ハンマーによる除去方法は、それぞれのハンマー長を切断面形状に合わせた複数の回転ハンマーを鋳片幅方向に配置し、ビームブランクなどの切断面凹部の切断ノロを除去するものである。一方、幅方向に分割された複数のバイトで除去する方法は、鋳片幅方向に並べた、独立して昇降可能な複数のバイトによってビームブランクなどの切断面凹部の切断ノロを除去するものである。この分割バイトの場合には、幅の狭いブルームの場合でも中央部のバイトのみを用いることで、切断ノロを除去することができるとしている。
【特許文献1】特開平8−33970号公報
【特許文献2】特開平4−270043号公報
【特許文献3】特開昭58−217213号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
連続鋳造機の中には、鋳型を交換することによって、ビームブランクのような四辺形以外の断面形状の鋳片を鋳造するとともに、ブルームやスラブなどの四辺形の断面形状の鋳片を鋳造する連続鋳造機が存在する。特に、ビームブランクを鋳造可能な連続鋳造機では、ビームブランクの鋳造だけでは対象量が限られて稼働率が低くなることから、一般的にブルームの鋳造も可能としている。ビームブランク及びブルームの双方を鋳造する連続鋳造機の場合、ビームブランク用の切断ノロ除去装置と、ブルーム用の切断ノロ除去装置との両方を設置すれば、切断ノロによる鋼製品の品質低下を防止できるが、設備投資費が二重になるという問題点がある。
【0008】
従って、ビームブランクなどの四辺形以外の断面形状の鋳片であっても、また、ブルームやスラグなどの四辺形の断面形状の鋳片であっても、何れにも適用可能な切断ノロ除去装置が切望されていた。
【0009】
また、鋳片は常に切断ノロ除去装置の中央に搬送されるわけではなく、切断ノロ除去装置の幅方向左右にずれる。四辺形断面の鋳片であれば左右にずれても切断ノロを除去できるが、ビームブランクのような非四辺形の鋳片が左右に大きくずれた場合には、例えば複数の分割バイトで除去するとすると、分割バイトが所定の位置に接触せず、切断ノロの除去が不可能となる部分が発生する。従って、非四辺形断面の鋳片の切断ノロ除去装置としては、鋳片が切断ノロ除去装置に対して常に一定の位置関係で搬送されなくとも、切断ノロの除去が可能な装置である必要がある。また更に、当然のことではあるが、保守メンテナンスが容易な構造とする必要がある。
【0010】
このような観点から上記従来技術を検証すれば、特許文献1,2は、ハンマーをそれぞれの鋳片断面形状に応じて交換すれば、どのような断面形状の鋳片であっても対処できるが、その都度ハンマーを交換しなければならず、極めて能率が悪い。また、所定の打撃力を得るためにハンマーの回転直径が一定以上必要であり、しかも、回転軸の上側で必要となるハンマーの回転ストローク(半径)に対し、上下高さ方向及び鋳片長さ前後方向ともに、2倍のスペースを確保する必要があり、広い設置空間を必要とすることから設置位置が限られ、更に、多数の回転ハンマーを有していることから、メンテナンスに時間を費やすという問題点もある。
【0011】
特許文献3は、ビームブランクの凹部よりも鋳片幅の狭いブルームであるならば対処可能であるが、それ以外の寸法のブルームには対処できない。また、ビームブランクの左右フランジ部に当接するように分割バイトを押し広げるため、鋳片中央部分では、分割バイトに間隙が生じて分割バイトが接触せず、切断ノロが除去できず、また、前述したように、ビームブランク鋳片が切断ノロ除去装置に対して大きくずれた場合には、分割バイトが所定の位置に接触せず、切断ノロの除去されない個所が発生する。また更に、ビームブランク形状に追従させるための複雑な機構が必要であるという問題点もある。
【0012】
このように、ビームブランクのような非四辺形断面の鋳片にも、また、ブルームやスラグなどの四辺形断面の鋳片にも適用可能な切断ノロ除去装置が切望されていたにも拘わらず、従来、有効な手段はなく、対処できない形状の鋳片には、人手による除去作業を余儀なくされていた。
【0013】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、ビームブランクなどの四辺形以外の断面形状の鋳片であっても、また、ブルームやスラグなどの四辺形の断面形状の鋳片であっても、何れの鋳片にも適用可能であり、しかも、保守メンテナンスが容易な構造であり、且つ、鋳片が切断ノロ除去装置に対して常に一定の位置関係で搬送されなくとも、その鋳片の切断ノロの除去が可能である、鋳片の切断ノロ除去装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するための第1の発明に係る鋳片の切断ノロ除去装置は、鋳片の切断ノロの付着部分に対向する多針タガネ束と、該多針タガネ束を打撃するハンマーと、該ハンマーを往復させる往復機構と、前記多針タガネ束、ハンマー及び往復機構を装備するケーシングと、を具備することを特徴とするものである。
【0015】
第2の発明に係る鋳片の切断ノロ除去装置は、第1の発明において、前記多針タガネ束は、水平方向に対して傾斜していることを特徴とするものである。
【0016】
第3の発明に係る鋳片の切断ノロ除去装置は、第1または第2の発明において、前記ケーシングを昇降させる昇降機構を更に備えていることを特徴とするものである。
【0017】
第4の発明に係る鋳片の切断ノロ除去装置は、第1ないし第3の発明の何れかにおいて、前記多針タガネ束は、2以上の領域に分割され、分割された各領域は独立して作動することが可能であることを特徴とするものである。
【0018】
第5の発明に係る鋳片の切断ノロ除去装置は、第1ないし第4の発明の何れかにおいて、前記鋳片は、ビームブランクであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る鋳片の切断ノロ除去装置によれば、多針タガネ束の1つ1つの針は、それぞれが独立しているので、鋳片切断面の形状の如何に拘わらず、それぞれの鋳片の切断ノロ付着部を網羅する領域に亘って多針タガネ束を配置しておくことにより、どのような断面形状の鋳片であっても切断ノロを除去することができ、また、鋳片が切断ノロ除去装置の中心から外れて搬入されることを考慮してその範囲にも多針タガネ束を配置しておくことにより、ビームブランクのような非四辺形断面の鋳片が切断ノロ除去装置の中心から外れて搬入されても、その鋳片の切断ノロを除去することができる。これによって、鋳片をセンタリングするためのサイドガイド装置などが不要になる。また更に、構造が簡素であり、保守メンテナンス性に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して本発明を具体的に説明する。図1及び図2は、本発明に係る切断ノロ除去装置の構成を示す概略図で、図1は、切断ノロ除去装置で切断ノロを除去している状態を示し、図2は、切断ノロ除去装置を待機位置に収納した状態を示している。
【0021】
図1に示すように、本発明に係る切断ノロ除去装置1は、多数の針3からなる多針タガネ束2と、この多針タガネ束2を保持するためのケーシング6と、このケーシング6を支持・固定するための支持台7と、この支持台7を昇降させるための昇降装置8と、を備えている。ケーシング6には、往復運動をすることによって多針タガネ束2の一端を打撃し、発生する打撃力によって多針タガネ束2をケーシング6の外側の方向に移動させるためのハンマー4と、このハンマー4を往復運動させるための往復機構としての空気圧式の振動装置5と、が装備されている。尚、ハンマー4を往復運動させるための駆動源としては、空気圧のほかに油圧、電動式、磁気式などでもよく、往復運動変換機構は種々の方法が公知であり、どのような方法を採用しても構わない。
【0022】
針3の寸法は特に規定する必要はないが、2〜5mm程度の直径とすればよく、また、針3の移動距離(ストローク)は40mm程度確保できればよい。個々の針3のケーシング6に挿入される側の端部には、外径の拡大した針頭3aが設けられており、針3がケーシング6から抜け出さないように構成されている。当然ではあるが、針3は、ケーシング6から取り外してメンテナンスが可能な構成となっている。
【0023】
このようにして構成されるケーシング6を保持・固定する支持台7が、ビームブランク14などの鋳片を搬送するための搬送ラインであるローラーテーブルを構成する搬送用ロール12と搬送用ロール12との間に、軸9によって架台(図示せず)に取り付けられている。この場合、支持台7は軸9に対して回転可能になっている。この支持台7と接続軸11を介して接続される昇降装置8も軸10によって架台に取り付けられている。昇降装置8も軸10に対して回転可能になっている。昇降装置8は、空気圧または油圧によって駆動するように構成されている。
【0024】
この昇降装置8の駆動によって切断ノロ除去装置1を上限位置に上昇させると、図1に示す状態となり、多針タガネ束2が、ビームブランク14などの鋳片切断面の切断ノロ15の付着位置に対向するように構成されている。また、昇降装置8の駆動によって切断ノロ除去装置1を下限位置に下降させると、図2に示す状態となり、ビームブランク14などの鋳片の搬送の妨げにならない位置に待機できるように構成されている。尚、図1及び図2で示すビームブランク14の破線は、ビームブランク14の下面側の凹部位置(ウエブ)を表しており、実線はビームブランク14のフランジの下端を表しており、それに応じて切断ノロ15の付着位置を表示している。
【0025】
図1及び図2に示す切断ノロ除去装置1では、支持台7と昇降装置8とが接続軸11を介して回転可能に接続された構成であるが、支持台と昇降装置とを一体的に構成しても構わない。支持台と昇降装置とを一体的に構成した切断ノロ除去装置の例を図3に示す。
【0026】
図3に示す切断ノロ除去装置1Aにおいては、ケーシング6は支持台17によって支持・固定されており、この支持台17は、昇降装置13のシリンダーロッド19の先端に設けられた伸縮先端部18と接続固定され、昇降装置13は、基礎20に固定されている。つまり、昇降装置13の駆動によって、ケーシング6が昇降し、上限位置で多針タガネ束2がビームブランク14などの鋳片切断面の切断ノロ15の付着部分に対向し、下限位置で、ビームブランク14などの鋳片の搬送の妨げにならない位置に待機できるように構成されている。また、図3に示す切断ノロ除去装置1Aにおいては、多針タガネ束2がビームブランク14などの鋳片切断面に対して斜め下方から打撃されるように、ケーシング6は水平方向に対して角度θで傾斜して設置されている。切断ノロ除去装置1Aは、その他の構造は図1に示す切断ノロ除去装置1と同一構造となっており、同一の部分は同一符号により示し、その説明は省略する。
【0027】
その他、ケーシング6が鋳片搬送の妨げとならないようにする退避機構は様々な構成が考えられ、昇降装置をローラーテーブルの下方に配置するだけではなく、ローラーテーブルの上方に配置して、ケーシング6を上方から昇降させてもよく、また、横行装置をローラーテーブルの横に配置して、ケーシング6をローラーテーブルの側面から横行させることもできる。
【0028】
図3に示すように、多針タガネ束2を斜め下方から切断ノロ15に向けて打撃することで、切断ノロ15の逃げ代が少なくなるので、カエリ発生を抑える効果が期待できる。つまり、切断ノロ15の除去効率の向上が期待できる。従って、図1に示す切断ノロ除去装置1においても、多針タガネ束2を斜め下方から切断ノロ15に向けて打撃するようにしてもよい。尚、このように、多針タガネ束2を斜め下方から打撃する場合には、多針タガネ束2のストロークにもよるが、ケーシング6を昇降させずに固定したままであっても、鋳片搬送を可能とすることもできる。
【0029】
本発明に係る切断ノロ除去装置1,1Aは、ビームブランク14のような非四辺形断面の鋳片であっても、ブルームのような四辺形断面の鋳片であっても、その切断面に付着した切断ノロ15を除去することを目的としており、そのためには、ケーシング6の断面形状、つまり、多針タガネ束2の断面形状を、ビームブランク14における切断面の切断ノロ付着範囲をカバーするとともに、ブルームにおける切断面の切断ノロ付着範囲をカバーするように、決定する必要がある。つまり、対象とする鋳片の切断ノロ15の付着部を網羅する範囲に多針タガネ束2を配置しておく必要がある。また、鋳片搬入時の切断ノロ除去装置1,1Aに対する左右のずれを見込み、その領域まで多針タガネ束2を配置しておくことが好ましい。多針タガネ束2を構成する針3は1本ごとに独立しているので、多針タガネ束2はどのような形状でも対応可能であり、このような形状とすることは何ら問題にならない。
【0030】
図4に、鋳片がビームブランクであっても、またブルームであっても切断ノロ15を除去可能なケーシング6の断面形状の例と、ビームブランク及びブルームの断面形状との関係を示す。図4(A)は、ビームブランク14の断面とケーシング6の断面との関係を示し、図4(B)は、ブルーム16の断面とケーシング6の断面との関係を示している。図4においては斜線部の部分に、多針タガネ束2が配置される。
【0031】
図4に示すように、ケーシング6の断面は、長方形と台形とを組み合せた形状であり、その中央部には空間部が設けられている。この空間部の部分は、ビームブランク14においても、またブルーム16においても、切断ノロ15が付着しない領域であり、多針タガネ束2の設置範囲を狭くするために設けたものであり、従って、空間部は必ずしも必要なものではない。
【0032】
図4(A)に示すように、ビームブランク14の切断ノロ15を除去するに当たり、ビームブランク14の切断面の切断ノロ15の付着していない部分も含め、多針タガネ束2の設置範囲内は全て打撃される。切断ノロ15はこの打撃力によって破壊され、除去される。切断ノロ15の付着していない切断面も多針タガネ束2で打撃されるが、ビームブランク14の切断面は多針タガネ束2の打撃力では破壊されない十分な強度を持っているので何ら問題ない。また、ビームブランク14の切断面から外れた部分の多針タガネ束2は空振りするためこれも問題にならない。
【0033】
同様に、ブルーム16の切断ノロ15を除去する際には、図4(B)に示すように、ブルーム16の切断面の切断ノロ15の付着していない部分も含め、多針タガネ束2の設置範囲内は全て打撃される。切断ノロ15はこの打撃力によって破壊され、除去される。切断ノロ15の付着していない切断面も多針タガネ束2で打撃されるが、ブルーム16の切断面は多針タガネ束2の打撃力では破壊されない十分な強度を持っているので何ら問題ない。また、ブルーム16の切断面から外れた部分の多針タガネ束2は空振りするためこれも問題にならない。
【0034】
この場合、鋳片の中心が搬送ラインであるローラーテーブルの中心から外れる場合が発生する。図4(A)では、ビームブランク14が中心から外れた場合を破線で示している。図4に示すように、多針タガネ束2を鋳片断面形状に対して広く配置しておくことにより、この範囲内のずれであれば、多針タガネ束2の打撃範囲になり、問題なく切断ノロ15を除去することができる。従って、多針タガネ束2の配置断面形状は対象とする鋳片形状とセンターずれを考慮して設計することが好ましい。当然ではあるが、ガイド装置などを搬送ラインに配置し、鋳片が本発明に係る切断ノロ除去装置1,1Aの中心に搬送されるようにすることが好ましい。
【0035】
切断ノロ15の付着していない切断面の打撃はできるだけ少ない方が望ましい。理由は、多針タガネ2の寿命を縮める原因となること、及び、不要な打撃による鋳片への品質面の影響が懸念される場合があるからである。そこで、このような場合には打撃領域を複数に分割し、鋳片断面形状に応じて各領域の打撃のON/OFFを切り替えるようにすればよい。打撃が空気圧式であれば圧縮空気の供給をON/OFFする電磁弁を配置すればよく、また、電動式であれば、電気的な制御を実施すればよい。図5に、多針タガネ束2を領域Iと領域IIとに二分割した例を示す。
【0036】
図5(A)は、ビームブランク14の切断ノロを除去する状態を示す図であり、この場合には、分割した多針タガネ束2の領域I及び領域IIの双方ともに打撃し、一方、図5(B)は、ブルーム16の切断ノロを除去する状態を示す図であり、この場合には、分割した多針タガネ束2のうちの領域IIのみで打撃する。このような多針タガネ束2の分割によって、最適な打撃領域を設定することができる。
【0037】
切断ノロ15を除去するに当たり、一般的には、鋳片搬送ラインの長手方向の二箇所に切断ノロ除去装置1或いは切断ノロ除去装置1Aを設け、それぞれの位置に鋳片の端部が位置するように鋳片を停止させ、必要に応じてケーシング6を上昇させ、鋳片の前端部及び後端部の切断ノロ15を除去する。尚、図1及び図3では、切断ノロ15に対して、切断面に対向する側から多針タガネ束2を打撃しているが、その反対側から多針タガネ束2を打撃するようにしてもよい。
【0038】
このように、本発明に係る鋳片の切断ノロ除去装置1,1Aによれば、多針タガネ束2の1つ1つの針3は、それぞれが独立しているので、鋳片切断面の形状の如何に拘わらず、どのような断面形状の鋳片であっても切断ノロ15を除去することができ、また、ビームブランク14のような非四辺形断面の鋳片が切断ノロ除去装置1,1Aの中心から外れて搬入されても、切断ノロ15を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係る切断ノロ除去装置の構成を示す概略図で、切断ノロを除去している状態を示す図である。
【図2】本発明に係る切断ノロ除去装置の構成を示す概略図で、切断ノロ除去装置を待機位置に収納した状態を示す図である。
【図3】本発明に係る他の構成の切断ノロ除去装置の構成を示す概略図である。
【図4】ケーシングの断面形状の例と、ビームブランク及びブルームの断面形状との関係を示す図である。
【図5】多針タガネ束を領域Iと領域IIとに二分割した例を示す図である。
【符号の説明】
【0040】
1 切断ノロ除去装置
1A 切断ノロ除去装置
2 多針タガネ束
3 針
4 ハンマー
5 振動装置
6 ケーシング
7 支持台
8 昇降装置
9 軸
10 軸
11 接続軸
12 搬送用ロール
13 昇降装置
14 ビームブランク
15 切断ノロ
16 ブルーム
17 支持台
18 伸縮先端部
19 シリンダーロッド
20 基礎

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳片の切断ノロの付着部分に対向する多針タガネ束と、該多針タガネ束を打撃するハンマーと、該ハンマーを往復させる往復機構と、前記多針タガネ束、ハンマー及び往復機構を装備するケーシングと、を具備することを特徴とする、鋳片の切断ノロ除去装置。
【請求項2】
前記多針タガネ束は、水平方向に対して傾斜していることを特徴とする、請求項1に記載の鋳片の切断ノロ除去装置。
【請求項3】
前記ケーシングを昇降させる昇降機構を更に備えていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の鋳片の切断ノロ除去装置。
【請求項4】
前記多針タガネ束は、2以上の領域に分割され、分割された各領域は独立して作動することが可能であることを特徴とする、請求項1ないし請求項3の何れか1つに記載の鋳片の切断ノロ除去装置。
【請求項5】
前記鋳片は、ビームブランクであることを特徴とする、請求項1ないし請求項4の何れか1つに記載の鋳片の切断ノロ除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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