説明

鋼製竪形魚道及びその構築方法

【課題】魚類の遡上を容易にした鋼製竪形魚道及びその施工方法を提供すること。
【解決手段】河川に沿った岩盤側壁12に、鋼製受梁13が横方向に間隔をおくと共に複数段、岩盤側壁12から突出するように配置されると共に、前記各鋼製受梁1312の基端側は岩盤側壁にアンカー材により固定され、水平方向に延びる鋼製横梁18が前記鋼製受梁13に渡って架設されると共に鋼製横梁18は上下方向に複数段設置され、魚道ユニットを支持するための鋼製縦梁21が前記鋼製横梁18に架設され、前記鋼製縦梁21に鋼製魚道ユニット25が設置されて、魚道が形成されている鋼製竪形魚道とする。鋼製受梁、横梁縦梁を設置した後、鋼製魚道ユニット25を設置する竪形魚道の構築方法とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、堰堤、砂防ダム工などの河川を横断するコンクリート製構造物とは別個に、河川の側壁がコンクリート製側壁とされていない場合にも、河川の側壁の岩盤地山に設けて魚類の遡上を容易にする鋼製竪形魚道及びその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、魚類の遡上を容易にするために、堰堤、砂防ダム工などの河川を横断するコンクリート製構造物本体自体の平坦な壁面に直接アンカーボルトにより、平面コ字状の折り返し部を有する縦断面U字状のプレキャストブロック製貯水室を左右交互にレベル差をつけて取り付けると共に、左右の貯水室をプレキャスト製遡上樋により接続して、魚類の遡上を容易にするようにした竪形魚道が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、特許文献1には、河川を横断するコンクリート製構造物自体の壁面に直接アンカーボルトにより取り付けられた支持台に、プレキャストブロック製貯水室を堰堤本体等に取り付けることも記載されている。また、特許文献1には、プレキャストブロック製貯水室の下側に配置されアンカーボルトにより取り付けられた支持部と、プレキャストブロック製貯水室の上面側に配置された支持梁とを堰堤本体に取り付けて、貯水室を支持し、魚類の遡上を容易にする竪形魚道も記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−219662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来の場合は、堰堤本体、砂防ダム工本体などの河川を横断するコンクリート製構造物がある場合で、そのコンクリート製構造物自体の壁面に、アンカーボルトを利用して簡易な構造で魚道を形成することができる。
また、堰堤本体周辺の河川側壁が、平坦面のコンクリート製側壁(擁壁)とされている場合には、そのコンクリート製側壁を利用して、プレキャスト魚道をアンカーボルトにより直接又は魚道支持ブラケットに支持させるようにして設けて、魚道を形成することができる。
しかし、前記のようにコンクリート製の側壁とする場合には、自然の地山面を掘削または盛土を形成しコンクリート製側壁(擁壁)を構築していたため、自然環境にやさしい工法ではなかった。
そして、堰堤本体周辺に平坦なコンクリート製側壁が形成されていない場合には、前記従来のような魚道支持構造を利用できないため、魚道を設置することができなかった。
本発明者は、堰堤本体周辺にコンクリート製側壁が形成されていない場合、例えば、ダムが構築されている谷の側壁においては、岩盤側壁が露出して、堰堤本体周辺の側壁が岩盤地山(硬質岩盤又は軟質岩盤の場合で、あるいは局部的にコンクリート補強されている場合を含む)である場合、魚道の設置が可能でるか否か種々検討した。
また、前記のようなコンクリート構造物である堰堤或は側壁(擁壁)が構築さていない河川で、遡上が困難な場所であり、岩盤地山を利用できる場合に、遡上を可能にするために魚道の縦断勾配(例えば、一般的には1:10)を重視される設備である魚道設備について検討した。
図19に示すように、河川等谷部における両側壁面の岩盤地山1の側壁面2は、例えば、凹曲面壁部3(3a〜3c)と凸曲面壁部4(4a〜4c)が存在し、このような曲面壁部に魚道を設置する場合に、魚道を設置可能な形態について、種々検討した結果、従来のようなコンクリート製の魚道としたのでは、魚道の重量も重いため、上流から下流に渡りコンクリート製擁壁を構築するようになりその構築費用も必要になり、設備が大掛かりになり、施工期間も長く高価になる。
このようなことから、岩盤地山を有効に利用し岩盤地山にピンポイントに支持部を複数個所に形成し、その部分で魚道を支持する構造で確実に魚の遡上が可能な魚道について研究した結果、岩盤から片持ち式に張り出す鋼製受梁を複数設けると共に、これらに支持させるように鋼製横梁を設け、その鋼製横梁に鋼製縦梁を設けて、魚道ユニットを支持させることで、魚道の設置が可能になり、工期も短く安価になることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、堰堤、砂防ダム工などの河川の岩盤側壁を利用して、魚類の遡上を容易にした鋼製竪形魚道及びその施工方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の課題を有利に解決するために、第1発明の鋼製竪形魚道においては、河川に沿った岩盤側壁に、鋼製受梁が横方向に間隔をおくと共に複数段、岩盤側壁から突出するように配置されると共に、前記各鋼製受梁の基端側は岩盤側壁にアンカー材により固定され、
水平方向に延びる鋼製横梁が前記鋼製受梁に渡って架設されると共に鋼製横梁は上下方向に複数段設置され、魚道ユニットを支持するための鋼製縦梁が前記鋼製横梁に架設され、前記鋼製縦梁に鋼製魚道ユニットが設置されて、魚道が形成されていることを特徴とする。
第2発明では、第1発明の鋼製竪形魚道において、岩盤側壁に複数のアンカー孔が形成された支承縦壁が複数形成され、各支承縦壁における各アンカー孔にそれぞれアンカーボルトが定着され、各支承縦壁に定着プレートが当接されて前記各アンカーボルトにねじ込まれた定着金具により定着プレートが支承縦壁に固定され、前記定着プレートに前記鋼製受梁の基端側が固定されていることを特徴とする。
第3発明では、第1発明又は第2発明の鋼製竪形魚道において、鋼製受梁の先端部に、鋼製横梁の端部が載置されてボルト・ナットにより固定されていることを特徴とする。
第4発明では、第1発明〜第3発明のいずれかの鋼製竪形魚道において、前記鋼製縦梁の上下方向に間隔をおいて魚道支持ブラケットが上下方向に間隔をおいて複数設けられ、横方向に間隔をおいた鋼製縦梁における魚道支持ブラケットに渡って鋼製魚道ユニットが設置されて魚道が形成されていることを特徴とする。
第5発明では、第1発明〜第4発明のいずれかの鋼製竪形魚道において、鋼製縦梁の下部が、魚道におけるコンクリート製プール等のコンクリート製設備に設置されていることを特徴とする。
第6発明の鋼製竪形魚道の構築方法においては、河川に沿った岩盤側壁に、鋼製受梁を横方向に間隔をおくと共に複数段、岩盤側壁から突出するように配置すると共に、前記各鋼製受梁の基端側を岩盤側壁にアンカー材により固定した後、水平方向に延びる鋼製横梁を前記鋼製受梁に渡って架設すると共に鋼製横梁を上下方向に複数段設置し、魚道ユニットを支持するための鋼製縦梁を前記鋼製横梁に架設し、前記鋼製縦梁に鋼製魚道ユニットを設置して魚道を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
第1発明によると、河川に沿った岩盤側壁に、鋼製受梁が横方向に間隔をおくと共に複数段、岩盤側壁から突出するように配置されると共に、前記各鋼製受梁の基端側は岩盤側壁にアンカー材により固定され、水平方向に延びる鋼製横梁が前記鋼製受梁に渡って架設されると共に鋼製横梁は上下方向に複数段設置され、魚道ユニットを支持するための鋼製縦梁が前記鋼製横梁に架設され、前記鋼製縦梁に鋼製魚道ユニットが設置されて、魚道が形成されているので、コンクリート製魚道の場合に比べて、組立が容易で、短工期で、安価で軽量な鋼製竪形魚道とすることができる。
また、保守管理がコンクリート製の場合に比べて、容易で、点検作業期間が短くてすみ、補修も容易であり、保守管理費用が、コンクリート製魚道の場合に比べて、安価になる。
また、岩盤地山に支持させるように鋼製受梁を固定すればよいので、大きな鉄筋コンクリート製基礎あるいは鉄筋コンクリート製擁壁に鋼製受梁を固定する場合に比べて、鋼製受梁の固定を安価に行うことができ、その分、安価な鋼製竪形魚道とすることができる等の効果が得られる。
岩盤側壁からの鋼製受梁の突出長さを適宜設定することにより、鋼製受梁に渡って鋼製横梁を容易に設置することができる等の効果が得られる。
第2発明によると、岩盤側壁に複数のアンカー孔が形成された支承縦壁が複数形成され、各支承縦壁における各アンカー孔にそれぞれアンカーボルトが定着され、各支承縦壁に定着プレートが当接されて前記各アンカーボルトにねじ込まれた定着金具により定着プレートが支承縦壁に固定され、前記定着プレートに前記鋼製受梁の基端側が固定されているので、岩盤側壁に設けた支承縦壁に鋼製受梁基端側の定着プレートを容易に固定することができ、また、岩盤側壁にする定着プレートの固定構造が簡単な構造になると共に、岩盤側壁に簡単な支持構造の竪形魚道を設置することができる等の効果が得られる。
第3発明によると、鋼製受梁の先端部に、鋼製横梁の端部が載置されてボルト・ナットにより固定されているので、鋼製受梁と鋼製横梁とを容易に固定することができ、鋼製受梁に鋼製横梁を載置するので、鋼製横梁の設置が容易であり、また、ボルト・ナットにより固定するので、固定構造も簡単で容易である。
第4発明によると、前記鋼製縦梁の上下方向に間隔をおいて魚道支持ブラケットが上下方向に間隔をおいて複数設けられ、横方向に間隔をおいた鋼製縦梁における魚道支持ブラケットに渡って鋼製魚道ユニットが設置されて魚道が形成されているので、鋼製縦梁にブラケットを介して設置された簡単な構造で軽量な鋼製魚道とすることができる等の効果が得られる。
第5発明によると、鋼製縦梁の下部が、魚道におけるコンクリート製プール等のコンクリート製設備に設置されているので、鋼製縦梁の下部をコンクリート製プール等のコンクリート製設備を利用して固定することもできる等の効果が得られる。
第6発明によると、河川に沿った岩盤側壁に、鋼製受梁を横方向に間隔をおくと共に複数段、岩盤側壁から突出するように配置すると共に、前記各鋼製受梁の基端側を岩盤側壁にアンカー材により固定した後、水平方向に延びる鋼製横梁を前記鋼製受梁に渡って架設すると共に鋼製横梁を上下方向に複数段設置し、魚道ユニットを支持するための鋼製縦梁を前記鋼製横梁に架設し、前記鋼製縦梁に鋼製魚道ユニットを設置して魚道を形成するので、岩盤側壁を利用して組立容易な鋼製竪形魚道を短工期でしかも安価に構築することができる等の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の竪形魚道を、下流側の岩盤側壁、副堤間、本堤と副堤間に設置した場合の魚道の水路を示す概略正面図である。
【図2】図1における下流側の岩盤側壁、及び副堤間に設置した竪形魚道の水路を示す概略平面図である。
【図3】(a)(b)(c)は、それぞれ図2のa矢視,b矢視,c矢視断面図である。
【図4】(d)(e)(f)は、それぞれ図2のd矢視,e矢視,f矢視断面図である。
【図5】図3(c)を拡大して示す図である。
【図6】(a)(b)(c)は、下流側の岩盤側壁、及び副堤間に設置の竪形魚道の水路を取り出して示す概略左側断面図と、概略正面図と、概略右側断面図である。
【図7】鋼製受梁の岩盤への固定手段、及び鋼製受梁に固定されている鋼製横梁とを示す縦断側面図である。
【図8】(a)は図7の示す平面図、(b)は(a)における鋼製受梁付近の縦断正面図である。
【図9】(a)は鋼製横梁に対する鋼製縦梁の取り付け部を示す側面図、(b)は(a)の平面図である。
【図10】複数の鋼製横梁に井桁状に架設されている複数の鋼製縦梁を示す正面図で、鋼製縦梁に固定されるブラケットを省略してブラケット基端側の座板配置のみを示した図である。
【図11】図1における副堤と本堤間に設置した竪形魚道の水路を示す概略平面図である。
【図12】(g)(h)(i)は、それぞれ図11のg矢視,h矢視,i矢視断面図である。
【図13】(j)(k)(l)は、それぞれ図11のj矢視,k矢視,l矢視断面図である。
【図14】図12(i)の一部を拡大して示す図である。
【図15】(a)(b)(c)は、副堤と本堤間に設置の竪形魚道の水路を取り出して示す概略左側面図と、概略正面図と、概略右側面図である。
【図16】(a)は、折り返し部の魚道ユニットの断面図、(b)は中間部に位置する魚道ユニットの断面図である。
【図17】複数の鋼製横梁に井桁状に架設されている複数の鋼製縦梁及び鋼製縦梁下部の固定状態を示す正面図で、鋼製縦梁に固定されるブラケットを省略してブラケット基端側の座板配置のみを示した図である。
【図18】(a)は鋼製縦梁の下部をアンカーボルトにより岩盤地山に固定した状態を示す正面図、(b)は(a)の横断平面図である。
【図19】本堤と複数の副堤並びに凸凹曲面状の岩盤壁面を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本発明を図示の実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0009】
図1には、河川における幅方向両側部の硬質岩盤あるいは軟質岩盤等の岩盤側壁12に、本発明の鋼製竪形魚道を河川に沿って間隔をおいて3箇所に、第1、第2、第3の鋼製竪形魚道5(5a,5b,5c)として設け、各鋼製竪形魚道5間を、堰堤7又は副堤上方において岩盤側壁12に設置の直線状の接続用鋼製魚道6により接続することで、魚の遡上が困難な場所でも、遡上を可能にした形態が示されている。図示の形態では、岩盤側壁12における凹曲面壁部3(3a〜3c)を挟む両凸曲面壁部4(4a〜4c)付近、又は凹曲面壁部3と凸曲面壁部4(4a〜4c)付近とに支持させるようにして鋼製竪形魚道5を設けている。
本発明においては、前記の堰堤7及び副堤8が設けられていない場所であっても、実施可能な鋼製竪形魚道5とされている形態である。
なお、下流側のコンクリート製プール38に下流側の蛇行回数の多い第3の鋼製竪形魚道5(5c)の入り口が接続され、その鋼製竪形魚道5(5c)の上部出口に、第2副堤8(8b)上方の岩盤側壁12に設置された第3接続用鋼製魚道6(6c)の入口が接続され、以下、第2の鋼製竪形魚道5(5b)、第2接続用鋼製魚道6(6b)、第1の鋼製竪形魚道5(5a)、第1接続用鋼製魚道6(6a)を順次上昇するように、岩盤側壁12に設置し、第1接続用鋼製魚道6(6a)の出口を本堰堤7の遡上入口に接続することで、魚の遡上を可能にした魚道設備とされている。
【0010】
最初に、図1の中央及び右側(上流側)に設置されている2つの折り返し蛇行回数の少ない第1、第2の鋼製竪形魚道5(5a,5b)について、同様な構造であるのでまとめて説明し、その後、左側(下流側)の折り返し蛇行回数の多い形態の第3の鋼製竪形魚道5(5c)について説明する。
【0011】
図1〜図10(特に、図2〜図10に)は、本発明の一実施形態の鋼製竪形魚道5(5a、5b)が示されている。この鋼製竪形魚道5は、図18に示すように、上流側の本堰堤7よりも下流側の岩盤側壁12、又は第1副堤8と第2副堤8との間の岩盤側壁12に設置されている形態である。
【0012】
本発明では、図2及び図3(a)(b)並びに図7に示すように、岩盤側壁12をアンカー材の定着部として有効に活用するために、河川に沿った岩盤側壁12に、上下方向に間隔を置くと共に左右方向に間隔をおいて、支承縦壁9とこれに接続する平坦な水平部10とを備えた凹部11がピンポイントに掘削されて形成されている。
前記の凹部11は、岩盤側壁12における凸曲面壁部4における頂部又はその付近に設けることで、後記の鋼製受梁13の張り出し長さを短くすることができる。前記の凹部11を凹曲面壁部3の底部付近に設けては、鋼製受梁13の張り出し長さが長くなり、鋼製受梁13の大型化に繋がり、鋼製魚道ユニットを含む魚道設備の荷重を受けることによる曲げモーメントも大きくなるため、好ましくない。
前記の上下方向に間隔をおいて設けられた凹部11は、上部に設けられる凹部11に比べて、順次下方側に設けられる凹部11になるにしたがって、河川幅方向中央寄りに横方向に変位した位置で、河川の水位レベルよりも高い位置に設けられる。このようにすることで、同レベルで横方向に間隔をおいた複数の凹部11が、河川に沿った岩盤側壁12の上下方向に段状に形成されることで、前記各凹部11に設置される鋼製受梁13を、岩盤側壁12の下方に向かって、順次河川側に向かって階段状に形成することができる。
前記の凹部11は、その垂直な支承縦壁9が、例えば、平面視で、岩盤側壁12における等高線に直角となるように設けることで、後記の鋼製受梁13を等高線に対して直角に設置することが可能になる。
横方向にほぼ同レベルで設けられる凹部11間の距離は、岩盤側壁12における凹曲面壁部3を水平に切断した時の凹みの大きさ・寸法により、適宜設定される。
【0013】
図3(a)(b)及び凹部11の部分を拡大して示す図7及び図8に示すように、前記の凹部11における垂直な支承縦壁9には、横方向にアンカー孔14が上下方向及び左右方向に間隔をおいて複数形成され、各アンカー孔14には、アンカーボルト15の基端側が配設されて、モルタルあるいは硬化性樹脂からなる常温硬化性充填材16が充填されて、各アンカーボルト15は岩盤側壁12に定着されている。前記の垂直な支承縦壁9の形成にあたっては、必要に応じ、均しモルタルを用いて垂直な平坦面を形成するとよい。
【0014】
定着プレート付き鋼製受梁13における定着プレート17の各ボルト挿通孔に、それぞれ前記各アンカーボルト15が挿通されて、前記定着プレート付き鋼製受梁13における定着プレート17が支承縦壁9に当接されて、前記アンカーボルト15にねじ込まれたナット及びロックナット34により、各定着プレート付き鋼製受梁13は、岩盤側壁12に固定されている。
前記のように、各凹部11における支承縦壁9に鋼製受梁13が固定されていることで、河川に沿った岩盤側壁12に、上流側から下流側に向かって横方向に間隔をおくと共に、上下方向に間隔をおいて鋼製受梁13が岩盤側壁12から突出するように配置されている。 前記の鋼製受梁13は、その縦中心軸線が水平面に直角な垂直面に位置するように設けてもよく、前記垂直面に平行な垂直面に中心が位置するように設けてもよいものであり、横方向に隣り合う鋼製受梁13間の間隔は、各段の鋼製受梁13間において異なっていてもよい。
なお、各定着プレート付き鋼製受梁13のフランジとウェブとに固着された補強リブが設けられている。各定着プレート付き鋼製受梁13における各鋼製受梁13の張り出し長さ寸法は、適宜調整された所定の張り出し長さのものが用いられる。そして、ほぼ同レベルで横方向に隣り合う鋼製受梁13の先端取り付け部を結ぶ平面視の線分と、下位においてほぼ同レベルで横方向に隣り合う鋼製受梁13の先端取り付け部を結ぶ平面視の線分とは平行になるようにされている。これにより、同レベルの鋼製受梁13に渡って配置されて端部が取り付けられる鋼製横梁18と、その上位又は下位のレベルの鋼製横梁18は、平行に複数、段状に配置可能にされている。
なお、前記の定着プレート17を岩盤側壁12に固定する場合には、アンカー孔内に打ち込まれるアンカー金具を用いて岩盤側壁12に定着させるようにしてもよい。
前記のアンカー金具としては、図示を省略するが、截頭円錐状楔片とその外側に拡開式円筒状片を備え、前記截頭円錐状楔片に雌ねじ孔を設けて、前記截頭状楔片にねじ込まれるボルトにより前記截頭状楔片を引き寄せると共に拡開式円筒状片の外周面をアンカー孔内周面に食い込ませるように定着させる形態のアンカー金具を用いるようにしてもよい。また。前記以外にも、截頭円錐状楔片の外側に拡開式円筒状片を備えたアンカー金具を打ち込んで、アンカー孔内周面に拡開式円筒状片を圧着させるようにしてもよい。
各定着プレート付き鋼製受梁13を前記のような各種のアンカー材により岩盤側壁12に確実に固定することで、これに支持させることが可能になる。
【0015】
図示の形態では、定着プレート付き鋼製受梁13は、基端側に垂直な縦向き配置の定着プレート17を備え、その定着プレート17の平坦な中央部には、鋼製受梁13の基端側が溶接により固定されている。前記定着プレート17には、前記アンカーボルト15を挿通可能な複数のアンカーボルト挿通孔(例えば、図示の場合は4つ)を備えている。図示の形態では、前記鋼製受梁13は、断面H形の形鋼からなり、各フランジ及びウェブの基端側が定着プレート17に溶接により固定されて、一体化されている。
鋼製受梁13の先端部における上フランジ22には、間隔をおいて複数のボルト挿通用長孔41が設けられ、ほぼ同レベルで岩盤側壁12に設置された横方向の各鋼製受梁13における上フランジ22上には、端部の下フランジ35にボルト挿通用長孔42を備えた鋼製横梁18の端部が載置されて、ボルト・ナット23により、鋼製横梁18は固定されている。前記鋼製横梁18としては、H形鋼が用いられる。
図8(a)に示すように、鋼製受梁13の上フランジ22に設けた各ボルト挿通用長孔41と鋼製横梁18の下フランジ35に設けた各ボルト挿通用長孔42とが交差するように配置されていることで、鋼製受梁13に鋼製横梁18が直角(90°)から例えば±1°〜30°程度の交差角度で、交差するように載置されても、前記各ボルト挿通用長孔41,42により両部材の多少の角度(位置)ずれを吸収して、両部材をボルト・ナットにより着脱可能に接合することができる。
また、定着プレート付き鋼製受梁13は、等高線に対して中心軸線が直角となるように配置され、鋼製受梁13と鋼製横梁18との交差角度は、各鋼製受梁13の設置場所により異なるが、上位又は下位に位置する各段の鋼製横梁18は平行であり、上下の鋼製横梁18を結ぶ傾斜角度は一定の傾斜角度となるようにされている。
前記のほぼ同レベルに設置されている定着プレート付き鋼製受梁13間の距離及び鋼製横梁18の長さ寸法は、魚道縦断勾配を考慮して設定される。したがって、鋼製横梁18は一定の長さ寸法にする必要はなく、例えば、図示のように、上位のレベルの鋼製横梁18を長尺に、下位の鋼製横梁をそれより短い寸法とした形態でもよい。定着プレート付き鋼製受梁13間の距離及び鋼製横梁18の長さ寸法は、適宜、岩盤側壁12の形態及び魚道の重量を加味して設定される。
【0016】
図2、図3(c)、図4、図9に示すように、上下に間隔をおいた鋼製横梁18に渡って、横方向に間隔をおいて、背面側に水平な載置プレート19を有する断面倒T字状の鋼製のアーム20を備えた鋼製縦梁21が傾斜配置されて、前記載置プレート19が各鋼製横梁18上に載置されて、前記載置プレート19と鋼製横梁18における上フランジ35bとが、ボルト・ナット23bにより固定されて、各鋼製縦梁21は、鋼製横梁18に取り付けられている。前記ボルト・ナット23bの接合にあたっては、前記載置プレート19側の長孔と横梁18の上フランジ35b側の長孔とが交差するように設けられていることから、縦梁21の位置調整が可能になり、正確な位置に配置することができるようにされている。
【0017】
各鋼製縦梁21の前面側には、上下方向に間隔をおいて、水平部と斜材部とを備えた鋼製ブラケット24が配置されて、前記水平部と斜材部の先端側の鋼板製の取り付け座がボルト・ナットにより鋼製縦梁21に固定されている。
【0018】
横方向に間隔をおいた鋼製縦梁21に固定の前記鋼製ブラケット24の水平部に魚道ユニット25の一端側がボルト・ナット36(図16)により着脱可能に固定され、一方の前記魚道ユニット25の他端側は、間隔をおいた鋼製ブラケット24に一端側がボルト・ナットにより着脱可能に固定され、かつ鋼製ブラケット24の水平部から張り出すように架設された隣接の他方の魚道ユニット25の他端部に重ねるように嵌合載置することで支持させるように配置して、断面角U字状の鋼板製の魚道部を備えた魚道ユニット25相互が重合されて、各魚道ユニット25と側壁板26相互は、ボルト・ナット37(図6b参照)により着脱可能に固定されている。
したがって、各魚道ユニット25は、これを固定している着脱可能なボルト・ナット36,37を取り外すことで、交換可能な形態とされている。
魚道ユニット25は、一方向に傾斜して配置される直線状の魚道ユニット25と、平面U字状に屈曲する折り返し端部側に配置される折り返し部魚道ユニット25(25b)とが用いられ、折り返し部魚道ユニット25の端部は僅かに小さくされて、直線状の魚道ユニット25の端部に重なるようにその内側に配置されて、魚道側壁部相互と底部相互がボルト・ナット37により連結されて、複数の鋼製魚道ユニット25により魚道が上昇するに従って交互に折り返すように直列に連結されて、鋼製の魚道27が形成されている。
このような形態では、鋼製の魚道27は、鋼製縦梁21,鋼製横梁18,定着用プレート付き鋼製受梁13を介して岩盤地山1に支持されている形態とされている。
また、各鋼製縦梁21は、岩盤地山1から離れた状態とされており、横梁18を介して、アンカー材により岩盤側壁12に固定された各定着用プレート付き鋼製受梁13により、支持する構造とされている。
【0019】
次に、前記の鋼製魚道ユニット25の構造について、図6及び図16を参照して説明すると、各鋼製魚道ユニット25は、下部に間隔をおいて平行に配置された横断面矩形管体からなる一対の鋼製下部枠材28を備えており、各鋼製下部枠材28相互は、これらの下面に渡って溶接等により固着された1枚又は複数枚の鋼製横連結板29により連結されて下部フレーム30が形成され、その下部フレーム30上に断面角溝形の鋼板製魚道本体31が載置されて溶接又はボルト等により固定されている。
魚道長手方向で、下部フレーム30に対して鋼板製魚道本体31の長手方向の一端側端部が同じ位置となるように設置され、鋼板製魚道本体31の他端側は前記下部フレーム30から突出するように設けられ、その他端側の突出した部分は僅かに小さくされて、隣接する鋼板製魚道本体31の内側に嵌合可能にされている。
前記の一端側付近に設置されている横連結板29には、魚道巾方向に間隔をおいて複数のボルト挿通孔が設けられて、前記の横連結板29を鋼製縦梁21側のブラケット24における水平部分32にボルト・ナット36により取り付け可能にされ、他端側の鋼製魚道本体31を隣接する魚道本体31に嵌合載置すると共に、隣接する鋼板製魚道本体31における側壁板26相互をボルト・ナットにより連結することで、直列に隣り合う鋼製魚道ユニット25相互を直列に接続可能にされ、魚道路が連通するようにされている。
平面直線状の鋼製魚道ユニット25と、平面U字状の鋼製魚道ユニット25とは、前記の鋼製下部枠材28及び鋼製魚道本体31が平面直線状であるか、平面U字状であるかの点で相違している。また、平面U字状の鋼製魚道ユニット25は、側面視で一端側が低レベル位置に、他端側がそれよりも高レベル位置となるように設定されている。
また、各鋼製魚道ユニット25における底板には、魚道本体31の幅方向に凸部と凹部とを交互に形成した断続隔壁33を、魚道路の長手方向に間隔をおいて形成することで、遡上する場合の通路と流れの緩やかな魚の休憩場となる静穏域とを形成可能にされ、魚道路は魚の遡上が容易なようにされている。
【0020】
(第1の鋼製竪形魚道について)
次に、図1左側の鋼製魚道27の折り返し蛇行する回数の多い第3の鋼製竪形魚道5(5c)について説明する。
【0021】
図11〜図18は、図1における左側(下流側)に位置する第3の鋼製竪形魚道5(5c)の形態を示したもので、この形態では、鋼製横梁18を上下方向に間隔をおいて3段所定の傾斜配置となるように設けている。前記の鋼製横梁18を支持するのに必要な定着プレート付き鋼製受梁13の設置、及び鋼製横梁18に対する鋼製縦梁21の設置、前記鋼製縦梁21に対する鋼製ブラケット24の設置、鋼製ブラケット24に対する鋼製魚道ユニット25の架設は、前記の実施形態と同様であり、岩盤地山1にアンカー材により定着された鋼製受梁13を設けることで、鋼製竪形魚道全体の荷重を各鋼製受梁13で分散して支持できるようにされている。前記実施形態と同様な部分には同様な符号を付して、相違点を主に説明する。
この形態では、鋼製縦梁21のブラケット24に取り付けられる最下段の鋼製魚道ユニット25における下流側魚道部分が、コンクリート製プール34に接続するように設置した形態とされ、下流側魚道は、ブラケットからコンクリート製プール上に支持されて、コンクリート製プール内に順次下降するように設置されていることで、魚の遡上が可能にされている。
この形態でも鋼製受梁13を設けることで、前記のように、鋼製魚道全体の荷重を各鋼製受梁13で分散して支承できるようにされているが、鋼製縦梁21の下端部を、鋼製魚道27の下方に設けられるコンクリート製プール34の壁部又はコンクリート製基礎39(図14又は図17参照)のコンクリート製設備を利用して、その壁部内に埋め込み固定することで、鋼製縦梁21の安定性を向上させるように、また、鋼製縦梁21を同じ長さ寸法のものを利用して、鋼製縦梁21下端の収まりがよいようにされている。図示の形態では、鋼製縦梁21に架設される鋼製魚道27を鋼製受梁13により支持できる構造になっているため、鋼製縦梁21下端をコンクリート製プール34又は地山上のコンクリート製基礎39に固定しなくてもよい。
鋼製竪形魚道5における上端レベルの出口レベルは、第2副堤8よりも高いレベル位置において岩盤側壁12に設置された第3接続用鋼製魚道6(6c)の入口に接続されている。
【0022】
各接続用鋼製魚道6は、適宜一つの接続用魚道ユニット又は複数の接続用魚道ユニットが直列に接続されて構成され、適宜岩盤側壁12側に基端側が設置され、上流から下流側に間隔をおいて設けられた複数のアングル材又はH形鋼を備えた支持部材43に渡って設置されている。
前記の支持部材43は、その基端側に定着用プレート(図示を省略した)が設けられ、鋼製受梁13の基端側の定着プレート17を岩盤地山に定着する構造と同様な構造により、岩盤地山に定着させている。
【0023】
なお、鋼製竪形魚道5間では、下位に位置する鋼製竪形魚道5における出口に、直線状の接続用鋼製魚道6の入り口が接続され、その接続用鋼製魚道6の出口には、隣接の鋼製竪形魚道5の入り口が接続され、上流側の鋼製竪形魚道5における出口が、堰堤本体7側の魚道入り口に接続するようにされている。
なお、この形態では、上下3段の横梁18により、その部分に架設される縦梁21及びこれに設置される魚道ユニット25を十分支持できる構造になっているが、図18に示すように、鋼製縦梁21の下端部を固定したい場合には、コンクリート製プール38又はそれに付属するコンクリート製部分39を利用して、鋼製縦梁21の下端部をアンカーボルト40等により固定するようにしてもよい。
【0024】
(竪形魚道の構築方法について)
前記のような鋼製竪形魚道5(5a〜5c)を構築する手順について説明する。
河川に沿った岩盤側壁12に、左右方向に間隔を置くと共に上下方向に間隔をおいて、予め定着プレート付き鋼製受梁13を設置するために、垂直な支承縦壁9と水平な平坦部とこれらに接続する側部壁を備えた段状の凹部11を、上下方向の各段の鋼製横梁18端部の位置を考慮して、所定の位置にピンポイントに掘削して、上下方向(垂直方向又は傾斜した方向等を含む)複数段にわたって形成し、必要に応じ、モルタル等により平坦で垂直な支承縦壁9とする。
次いで、前記各支承縦壁9に岩盤側壁に向かって複数のアンカー孔を形成し、各アンカー孔14にそれぞれアンカーボルト15を挿入し、アンカー孔内に充填材を充填してアンカーボルト15を定着する。その後、各支承縦壁9に定着プレート付き鋼製受梁13における定着プレート17のボルト挿通孔にアンカーボルトを挿通するようにして、定着プレート17を支承縦壁9に当接し、ナット及びロックナット34をアンカーボルト15にねじ込んで、定着プレート付鋼製受梁13を支承縦壁9の所定の位置に強固に固定して設置する。
又は、アンカー孔を形成した後、前記以外の適宜のアンカー材により定着プレート付き鋼製受梁13の基端側を支承縦壁9に定着する。
鋼製受梁13におけるフランジ等にアンカー材を固着している場合には、そのアンカー材をアンカー孔に挿入して充填材を充填することで、鋼製受梁13を所定の位置に設置することができる。
前記のようにして、定着プレート付き鋼製受梁13等の鋼製受梁13を岩盤側壁12から突出するように配置して、各鋼製受梁13の基端側を岩盤側壁12に固定した後、横方向に間隔をおいた鋼製受梁13に渡って鋼製横梁18を載置して、鋼製受梁13の上フランジと鋼製横梁18の下フランジをボルト・ナットにより固定することで架設する。
そして、上下方向に間隔をおいてかつ下方レベルに配置される鋼製横梁18が順次河川中央寄りに変位するように複数段(図示例では、3段又は5段)の鋼製横梁18を設置する。
前記のように、鋼製横梁18が設置されることで、各鋼製横梁18を鋼製受梁13により片持ち式に支持しても確実に支持することができる。
【0025】
次で、上下方向(又は傾斜した方向等)に間隔をおいた複数段設けられた複数の鋼製横梁18に渡って、縦向きに、横方向に間隔をおいて平行に配置された複数の鋼製縦梁21を配置すると共に鋼製縦梁21背面の上下に間隔をおいた複数の支承プレート19付きのアーム20を各鋼製横梁18に載置すると共に、支承プレート19と鋼製横梁18の上フランジ22とをボルト・ナット23bにより固定することで、鋼製縦梁21を架設する。
また、前記鋼製縦梁21の前面側に、予め又は鋼製縦梁21の架設後、上下方向に間隔をおいて水平部分32と斜材部とを備えた鋼製のブラケット24を配置して、各鋼製のブラケット24をボルト・ナット等により、鋼製縦梁21に固定する。
その後、横方向に間隔をおいた前記鋼製縦梁21に渡って複数の鋼製魚道ユニット25を直列に連続するように載置し、ボルト・ナット等により固定して、魚道ユニット25を設置する。
前記のように、本発明では、河川に沿った岩盤側壁12に、鋼製受梁13を横方向に間隔をおくと共に複数段、岩盤側壁12から突出するように配置すると共に、前記各鋼製受梁13の基端側を岩盤側壁12にアンカー材により固定した後、水平方向に延びる鋼製横梁18を前記鋼製受梁13に渡って架設すると共に鋼製横梁18を上下方向に複数段設置し、魚道ユニット25を支持するための鋼製縦梁21を前記鋼製横梁18に架設し、前記鋼製縦梁21に鋼製魚道ユニット25を設置して魚道を形成することで、従来のコンクリート製魚道とする場合に比べて、組立が容易であり、施工工期も短く、構造も簡素で、軽量で安価に施工できる鋼製竪形魚道を構築できる。
なお、岩盤側壁12の近傍には、適宜、下部の岩盤側壁あるいは河床等から立設された足場は設置される(図示を省略した)。
【0026】
図示の実施形態では、鋼製横梁の平面形態として直線状の形態を示したが、本発明を実施する場合、鋼製受梁に設置する鋼製横梁としては、岩盤側壁の横断面凸面状あるいは凹面状の形態に応じて、平面凹曲線状又は平面凸曲線状あるいは直線状等の形態としてもよい。鋼製横梁は複数の部材を連結した形態であってもよい。
【0027】
本発明を実施する場合、図示を省略するが、鋼製受梁13の上フランジ22上に長孔を備えた調整プレートを設けることで、左右方向の鋼製受梁13の上下方向のレベルが多少相違しても、鋼製横梁18の両端部を同レベルに設置するようにしてもよい。
本発明を実施する場合、図示を省略するが、岩盤側壁における左右の凹曲面部に、それぞれ鋼製受梁13を設置する場合には、平面視で、鋼製横梁及び鋼製魚道ユニットを弧状に湾曲させた形態とすることで対応するようにしてもよい。
本発明を実施する場合、鋼製魚道ユニット25全体を鋼製としてもよいが、一部に複合樹脂材料を用いて被覆し、防錆機能を向上させたユニットとしてもよい。
前記実施形態の場合には、河川の片側に設置する形態を示したが、本発明を実施する場合に、河川における両側壁に設けるようにしてもよい。
なお、本発明を実施する場合に、地山側壁が、軟質岩盤側壁あるいは硬質岩盤側壁と同等以上の強度を有している場合には、その地山側壁に前記実施形態な鋼製竪形魚道を形成するようにしてもよい。
また、本発明を実施する場合に、図示を省略するが、河川に沿った鋼製受梁13間の間隔が広がると(長スパンになると)、鋼製横梁18が長くなり鋼製横梁18に作用する負担(曲げ荷重)が大きくなるため、そのような場合には、岩盤側壁の凹凸の状況により、スパンの中間部に鋼製中間受梁を設けて横梁を支持してもよく、前記のような鋼製中間受梁を設けられない場合には、下部地盤から鋼製架台を立ち上げて、受梁(又は横梁の中間部)を支えるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0028】
1 岩盤地山
2 側壁面
3 凹曲面壁部
4 凸曲面壁部
5 鋼製竪形魚道
6 接続用鋼製魚道
7 堰堤(本堰堤)
8 副堤
9 支承縦壁
10 水平部
11 凹部
12 岩盤側壁
13 鋼製受梁
14 アンカー孔
15 アンカーボルト
16 常温硬化性充填材
17 定着プレート
18 鋼製横梁
19 載置プレート
20 アーム
21 鋼製縦梁
22 上フランジ
23 ボルト・ナット
23b ボルト・ナット
24 鋼製ブラケット
25 魚道ユニット
26 側壁板
27 鋼製の魚道
28 鋼製下部枠材
29 横連結板
30 下部フレーム
31 鋼板製魚道本体
32 水平部分
33 断続隔壁
34 ナット及びロックナット
35 下フランジ
36 ボルト・ナット
37 ボルト・ナット
38 コンクリート製プール
39 コンクリート製基礎
40 アンカーボルト
41 ボルト挿通孔
42 ボルト挿通孔
43 支持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
河川に沿った岩盤側壁に、鋼製受梁が横方向に間隔をおくと共に複数段、岩盤側壁から突出するように配置されると共に、前記各鋼製受梁の基端側は岩盤側壁にアンカー材により固定され、水平方向に延びる鋼製横梁が前記鋼製受梁に渡って架設されると共に鋼製横梁は上下方向に複数段設置され、魚道ユニットを支持するための鋼製縦梁が前記鋼製横梁に架設され、前記鋼製縦梁に鋼製魚道ユニットが設置されて、魚道が形成されていることを特徴とする鋼製竪形魚道。
【請求項2】
岩盤側壁に複数のアンカー孔が形成された支承縦壁が複数形成され、各支承縦壁における各アンカー孔にそれぞれアンカーボルトが定着され、各支承縦壁に定着プレートが当接されて前記各アンカーボルトにねじ込まれた定着金具により定着プレートが支承縦壁に固定され、前記定着プレートに前記鋼製受梁の基端側が固定されていることを特徴とする請求項1に記載の鋼製竪形魚道。
【請求項3】
鋼製受梁の先端部に、鋼製横梁の端部が載置されてボルト・ナットにより固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の鋼製竪形魚道。
【請求項4】
前記鋼製縦梁の上下方向に間隔をおいて魚道支持ブラケットが上下方向に間隔をおいて複数設けられ、横方向に間隔をおいた鋼製縦梁における魚道支持ブラケットに渡って鋼製魚道ユニットが設置されて魚道が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の鋼製竪形魚道。
【請求項5】
鋼製縦梁の下部が、魚道におけるコンクリート製プール等のコンクリート製設備に設置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の鋼製竪形魚道。
【請求項6】
河川に沿った岩盤側壁に、鋼製受梁を横方向に間隔をおくと共に複数段、岩盤側壁から突出するように配置すると共に、前記各鋼製受梁の基端側を岩盤側壁にアンカー材により固定した後、水平方向に延びる鋼製横梁を前記鋼製受梁に渡って架設すると共に鋼製横梁を上下方向に複数段設置し、魚道ユニットを支持するための鋼製縦梁を前記鋼製横梁に架設し、前記鋼製縦梁に鋼製魚道ユニットを設置して魚道を形成することを特徴とする鋼製竪形魚道の構築方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−188877(P2012−188877A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−54156(P2011−54156)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(000006839)日鐵住金建材株式会社 (371)
【出願人】(391028155)株式会社山辰組 (11)