説明

鋼製蓋の固定装置

【課題】 破損した円形水路に取り付ける鋼製蓋を、簡単に円形水路に固定する装置を提供することを課題とする。
【解決手段】 鋼製蓋と回転ボルトにより連結され、回転ボルト周りに回転する固定板と、固定板の回転を制御するガイドボックスにより構成される固定装置を円形水路のスリットに挿入し、円形水路内で固定板を回転させた上、円形水路内面に圧着させることにより鋼製蓋を円形水路に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
破損した円形水路に取り付ける鋼製蓋を、簡単に円形水路に固定する装置を提供することを課題とする。
【背景技術】
【0002】
道路側溝として円形水路が採用されることが多いが、コンクリートや鉄筋の経年劣化や重車両の通過などにより円形水路上部が破損し、大きな開口が開くことがある。
【0003】
円形水路は道路面と連続しているため、このような大きな開口に二輪車両や軽自動車などのタイヤがはまり込み、重大事故が発生する危険がある。
【0004】
この危険を回避するため、破損した円形水路上部をはつり取ってグレーチングを取り付けたり、路面排水の呑み口を持った縞鋼板製の鋼製蓋を円形水路上面にボルトで取り付けたりする対策が取られてきた。
【0005】
グレーチングを取り付けるには、グレーチングの上面を道路面に合わせるため、グレーチングの高さ分円形水路上部をはつり取る必要があるが、はつり作業は人力となり作業時間がかかり費用もかかるなど問題が多い。
【0006】
また、円形水路上部をはつり取ることなく、厚さの薄い縞鋼板製の鋼製蓋を直接円形水路上面にボルトで固定する対策が行われているが、走行車両が鋼製蓋上を走行し、鋼製蓋に衝撃を与えた場合の固定ボルトの長期の信頼性に問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、破損した円形水路に取り付ける鋼製蓋を、ボルトを用いることなく簡単に円形水路に固定する装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、鋼製蓋と回転ボルトにより連結され、回転ボルト周りに回転する固定板と、鋼製蓋下面に取り付けられた、固定板の回転を制御するガイドボックスにより構成される固定装置を円形水路のスリットに挿入し、円形水路内で固定板を回転させた上、円形水路内面に圧着させることにより鋼製蓋を円形水路に固定するものである。
【0009】
固定板は、鋼板を円形水路内面の曲率より少し大きな曲率に成型した曲面板で、中央部に取り付けた回転ナットで回転ボルトとつながっており、取り付け時の様に固定板がフリーの状態では、鋼製蓋上の回転ボルトの頭部を回転することにより、固定板も回転する。
【0010】
ガイドボックスは、鋼製蓋下面に取り付けられるもので、内部を鋼製蓋上面から回転ボルトが貫通しており、円形水路のスリットの深さと同じ高さの基底部と、その対角線上の二か所に固定板の回転を止める突起部をもっている。
【0011】
鋼製蓋取り付け時には、回転ボルトを緩めて固定板を円形水路のスリットと平行にしてガイドボックスをスリット内に挿入し、固定板を固定するため回転ボルトを回転させると、固定板は90度回転して突起部に当たり回転が止められる。この時固定板は円形水路のスリットと直交している。
【0012】
さらに回転ボルトを回転させると、固定板の回転が突起部により止められているため、回転ナットは鋼製蓋方向に引き寄せられ、固定板は円形水路の内面に締め付けられるとともに鋼製蓋は円形水路上面に圧着され、鋼製蓋の円形水路への固定が完了する。
【0013】
また固定板の曲率が円形水路内面の曲率より大きいため、固定板中央部を締め上げることにより、固定板全体が均一に円形水路内面に押しつけられることになり、走行車両が鋼製蓋上を走行し、鋼製蓋に衝撃を与えた場合でも固定がゆるんだりすることがない。
【0014】
鋼製蓋を取り外す場合、回転ボルトを緩めると固定板が基底部から離れてやがて回転を始め、取り付け時と反対方向に90度回転すると突起部に当って回転が止められ、固定板はスリットと平行の位置となり、鋼製蓋の取り外しが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、鋼製蓋上の回転ボルトを回転するだけで容易に鋼製蓋を円形水路に取り付けられ、通過車両の走行によってもゆるんだり外れたりすることのない信頼性の高い取り付けが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】円形水路の断面図である。
【図2】鋼製蓋を円形水路に取り付けた平面図である。
【図3】ガイドボックスの鳥瞰図である。
【図4】固定板の回転を示した側面図である。
【図5】固定板の回転を示した平面図である。
【図6】鋼製蓋の取り付け順序図(1)である。
【図7】鋼製蓋の取り付け順序図(2)である。
【図8】鋼製蓋の取り付け順序図(3)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
図1に円形水路の断面図を示す。1は円形水路本体、2は路面排水を呑みこむスリット、3は円形水路内面、4は円形水路上面、5は破損部分、6は道路面であり、5の破損部分が円形水路内に脱落して2と5を合わせた幅が開口となりタイヤがはまり込む危険性がある。
【0019】
図2に鋼製蓋を円形水路に取り付けた平面図を示す。7は鋼製蓋、8は鋼製蓋に開けられた路面排水の呑み口、9はガイドボックス、10は固定板である。
【0020】
図3にガイドボックスの鳥瞰図を示す。11は基底部、12は固定板の動きを止める突起部である。固定板はガイドボックス内を上下に貫通する回転ボルトで鋼製蓋からつり下げられ基底部から突起部先端までの幅で上下動する。
【0021】
図4にガイドボックスを円形水路のスリットに挿入して、鋼製蓋を円形水路に取り付けた状況を円形水路側面図で示す。13は鋼製蓋と固定板をつなぐ回転ボルト、14は固定板に取り付けられた回転ナットである。
【0022】
固定板をスリットと平行にしてガイドボックスをスリットに挿入し(この時の固定板の位置は15である)、回転ボルト13を締め付けのため右回転させると、固定板は回転を拘束されていないため右回転して突起部12に当たり回転が拘束される(この時の固定板の位置は16である)。
【0023】
さらに回転ボルトを回転させると、固定板の回転が突起部により止められているため、回転ナットは鋼製蓋方向に引き寄せられ、固定板は円形水路の内面に締め付けられるとともに鋼製蓋は円形水路上面に圧着され、鋼製蓋の円形水路への固定が完了する。
【0024】
図5に固定板の動きを円形水路下面からみた図を示す。15の位置でスリット2に挿入された固定板は、回転ボルト13の動きに合わせ回転し、突起部12に動きを止められる16の位置まで回転することが出来ることを示している。
【0025】
図6から図8に鋼製蓋の取り付け順序図を示す。図6はガイドボックスをスリットに挿入したところ、図7は回転ボルトを締めつけのため回転させ、これにより固定板も回転して突起部に当たり回転が拘束されたところ、図8はさらに回転ボルトを締めあげ、固定板が円形水路内面に押しつけられて鋼製蓋の円形水路への固定が完了した所を示す。
【符号の説明】
【0026】
1 円形水路
2 スリット
3 円形水路内面
4 円形水路上面
5 破損部分
6 道路面
7 鋼製蓋
8 呑み口
9 ガイドボックス
10 固定板
11 基底部
12 突起部
13 回転ボルト
14 回転ナット
15 取り付け時の固定板位置
16 固定時の固定板位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼製蓋と回転ボルトで連結された固定板と、固定板の回転を制御するガイドボックスにより構成されることを特徴とする鋼製蓋の固定装置。
【請求項2】
固定板は、取り付ける円形水路の内面の曲率より大きい曲率を持つ曲面板であることを特徴する、請求項1に記載の鋼製蓋の固定装置。
【請求項3】
ガイドボックスは、固定板の回転ボルト周りの回転を、取り付け時の位置から固定時の位置までの間に制御する突起部を持つことを特徴とする、請求項1に記載の鋼製蓋の固定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−241509(P2012−241509A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124649(P2011−124649)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(506341928)株式会社フェアデザイン (11)
【Fターム(参考)】