説明

錠剤カセッタ

【課題】 錠剤カセッタからの錠剤の粉塵の排出を抑制することができる錠剤カセッタを提供する。
【解決手段】 収容部1に収容された錠剤を収容部1内に設けられたロータ2の回転により錠剤排出口15から排出するように構成された錠剤カセッタにおいて、収容部1と粉塵排出口16を介して連通する粉塵収容部40が設けられ、収容部1底面13上の錠剤の粉塵を集めて前記粉塵収容部40に排出するブラシ30がロータ2の下面に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容する錠剤を所定個数毎に排出するための錠剤カセッタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の錠剤カセッタは、薬剤選択供給装置の一構成部品として用いられている。即ち、薬剤選択供給装置は、例えば上下方向及び水平方向に整列された複数のカセッタ装着箇所を有する支持架台と、該支持架台におけるカセッタ装着箇所のそれぞれに着脱自在に装着される複数の錠剤カセッタとを備えている。
【0003】
例えば、図3にこの錠剤カセッタ120を支持架台100のカセッタ装着箇所に装着する際の状態を示している。支持架台100には、上下方向及び水平方向に整列されたカセッタ装着箇所としての複数のベース部材110が備えられ、該ベース部材110を介して錠剤カセッタ120が支持架台100に着脱自在に装着される。
【0004】
ベース部材110は、モータ111と、モータ111から上方に伸びる駆動軸112と、該駆動軸112の上端部に装着された駆動ギア113とを備えている。一方、錠剤カセッタ120は、上方が開口された収容部121と、該収容部121内に配設されて回転駆動されるロータ122と、収容部121の上方開口を閉塞するための蓋体123とを備えている。ロータ122は、収容部121の底面から下方に突出する回転軸124を有し、該回転軸124に装着された従動ギア125が錠剤カセッタ120の装着時に前記モータ111の駆動ギア113と噛合することにより、上下方向に伸びる回転軸124を中心として回転する。該ロータ122の回転により、ロータ122の周縁に整列された錠剤が収容部121の底面に設けられた排出口(図示せず)から排出される。錠剤カセッタ120から排出された錠剤は、ベース部材110に形成された連通路130を介して、上下方向に伸びる案内路131へと案内され、支持架台100の下方に配される図示しないホッパへと案内され、図示しない分包装置により分包される。
【特許文献1】特開2001−106201号公報
【特許文献2】特開2004−41432号公報
【特許文献3】特開2004−41433号公報
【特許文献4】特許第3472019号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような薬剤選択供給装置は、処方箋等のデータに基づいてロータを回転させて所定個数の錠剤を案内路を介して排出する。そのため、排出される錠剤の数量を管理するために、案内路には該案内路を通過する錠剤を検知する赤外線センサ等のセンサが設けられている。
【0006】
その一方、使用する錠剤にはカプセル状のものの他、各種形状に凝固された裸状のものも多く、また、その裸状の錠剤の中には、いわゆる半錠と称される錠剤を半分に切断したものもある。このような裸状の錠剤を使用すると、ロータの回転によって錠剤から粉塵が発生し、この粉塵が前記案内路に排出されてセンサに付着することによってセンサが検出ミスを起こすおそれがある。また、仮にセンサへの付着を防止したとしても下方に排出されることになって他の薬剤との混合のおそれもある。
【0007】
これらの問題を未然に防ぐためには、錠剤カセッタから錠剤の粉塵が排出されないように定期的に錠剤カセッタを清掃することが必要となるが、清掃の負担が大きいうえに、特に半錠の使用頻度が多い場合にはその清掃による粉塵の除去が間に合わない可能性もある。
【0008】
そこで本発明は、錠剤カセッタからの錠剤の粉塵の排出を抑制することができる錠剤カセッタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、本発明に係る錠剤カセッタは、収容部に収容された錠剤を収容部内に設けられたロータの回転により錠剤排出口から排出するように構成された錠剤カセッタにおいて、収容部と連通する粉塵収容部が設けられ、収容部底面上の錠剤の粉塵を集めて前記粉塵収容部に排出する粉塵除去部材が設けられていることを特徴とする。
【0010】
該構成の錠剤カセッタにあっては、収容部に収容された錠剤から発生した粉塵が収容部の底面に落ちると、粉塵除去部材がその粉塵を集めて収容部から粉塵収容部へと排出する。
【0011】
特に、収容部の底面とロータの下面との間に所定の隙間が形成されるようにロータが収容部の底面から所定距離離間して設けられ、該隙間に前記粉塵除去部材が配置されていることが好ましい。ロータを収容部の底面から所定距離離間して配置することにより粉塵除去部材を配置するための隙間が容易に確保されて粉塵除去部材の構造を簡単にすることができる。
【0012】
また、粉塵除去部材として、ロータの下面に該ロータと一体に回転するブラシが設けられていることが好ましい。粉塵除去部材をロータとは別体に駆動することも可能であるが、ロータと一体に回転する構成とすることにより粉塵除去部材を駆動するための別途の駆動源が不要となる。しかも、粉塵除去部材としてロータの下面にブラシを設ければブラシの保有弾性を利用して簡単な機構でもって粉塵を確実に掻き集めることができる。
【0013】
更に、ブラシは、ロータの径方向の内側から外側に向けて線状に設けられていることが好ましい。ブラシは種々の幅寸法のものを選択できるが、ロータの径方向の内側から外側に向けて線状に設けることにより、底面とブラシとの摺動抵抗を抑制しつつブラシの弾性変形を利用して粉塵を容易に掻き集めることができる。
【0014】
又更に、粉塵除去部材として、ロータの下面に該ロータと一体に回転する軟質の板状体が設けられていることが好ましい。粉塵除去部材をロータとは別体に駆動することも可能であるが、ロータと一体に回転する構成とすることにより粉塵除去部材を駆動するための別途の駆動源が不要となる。しかも、粉塵除去部材としてロータの下面に軟質の板状体を設ければ該板状体の保有弾性を利用して簡単な機構でもって粉塵を確実に掻き集めることができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明に係る錠剤カセッタにあっては、粉塵除去部材によって錠剤の粉塵を粉塵収容部に排出するので、収容部から粉塵を除去でき、粉塵が錠剤と共に錠剤排出口から排出されることが抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る錠剤カセッタの一実施形態について図1及び図2を参酌しつつ説明する。
本実施形態における錠剤カセッタは、錠剤が収容される収容部1と、収容部1内において回転するロータ2とを備えている。収容部1はその上面が開口していて図示しない蓋体により閉塞される構成であって、その下部11は上下方向の軸線を有する円筒状に形成され、その上部12は下部11に比して広がった上広がりの形状となっている。
【0017】
そして、収容部1の円形の底面13は略水平となっており、該収容部1の底面13から所定距離上方に離間してロータ2が配置されている。該ロータ2は、上下方向の回転軸線を中心として回転する。具体的には、ロータ2は、略円盤状であって、収容部1の下部11の側面14(内周面)との間に僅かに隙間を形成するようにして収容部1の下部11と同軸状に配置されている。そして、ロータ2は、その中心から収容部1の底面13を貫通するように下方に伸びてその底面13に回転自在に支持される支軸部20を有している。該支軸部20には、下端部に従動ギア21が装着された従動軸22が固着されて、図示しないベース部材側のモータの駆動ギアに従動ギア21が噛合することによってロータ2は回転する。
【0018】
また、ロータ2の周縁部には、図1においては実線で図2においては二点鎖線でそれぞれ示しているように、錠剤が所定個数(例えば一個)ずつはまりこむことのできる切欠23が周方向に間隔をおいて複数形成されている。尚、本実施形態では、切欠23は矩形に形成されてロータ2の周方向に一定間隔毎に形成されている。そして、収容部1に収容された錠剤のうち、この切欠23にはまりこんだ錠剤のみが収容部1の底面13及び側面14とにより保持されてロータ2の回転に伴って周方向に搬送され、収容部1の底面13に形成された錠剤排出口15から順次下方に落下排出される。
【0019】
更に、ロータ2の下面には粉塵除去部材としてのブラシ30が装着されている。該ブラシ30は、軟質のものであって例えばプラスチックからなり、錠剤から発生した粉塵を収容部1の底面13において掻き集めるためのものであって、本実施形態のように複数箇所(四箇所)設けることが好ましい。例えば、図2のように、支軸部20の外周面から径方向外側に向けてブラシ30を放射状に配置する。具体的には、ブラシ30を径方向の内側から外側に向けて線状に配置している。このようにブラシ30を線状とすることによって底面13との摺動抵抗が少なくて済む。尚、ブラシ30は直線状ではなく、ロータ2の回転とは反対側に凸となるような円弧状に配置している。但し、ブラシ30を歯ブラシの如く所定幅を有するものとしてもよくその幅寸法は問わない。尚、各ブラシ30における円弧状の凸の向きは揃えられている。従って、ブラシ30がロータ2と共に回転することにより、底面13上の粉塵がブラシ30によって中心に向けて掻き集められる。そして、収容部1の底面13の中央よりには粉塵排出口16が開口しており、掻き集められた粉塵は、粉塵排出口16から下方に排出される。該粉塵排出口16の下方には、粉塵を収容する粉塵収容部40が設けられている。該粉塵収容部40は、粉塵排出口16を介して収容部1と連通している。従って、粉塵排出口16から下方に排出された粉塵は粉塵収容部40に収容される。該粉塵収容部40は、ボックス状に形成されており、ネジ等によって収容部1に着脱自在に取り付けられている。従って、定期的に粉塵収容部40を取り外すことによって、内部に溜まった粉塵を処分できる。尚、粉塵収容部40を取り外し不能としてもよく、その場合には、粉塵収容部40の例えば側面や底面に開閉自在な窓を形成してそこから粉塵を外部に排出してもよい。
【0020】
以上のように構成された錠剤カセッタにあっては、ロータ2の下面に設けたブラシ30によって収容部1の底面13上の粉塵を掻き集めて粉塵排出口16から粉塵収容部40に排出することができる。従って、底面13上に粉塵が蓄積してそれが錠剤排出口15から下方に排出されることが抑制され、薬剤選択供給装置におけるセンサの検出ミスが抑制されると共に、他の薬剤への粉塵の混入も抑制される。
【0021】
しかも、ブラシ30によって粉塵を掻き集めるようにしているので、粉塵を簡単な構造で集めて粉塵収容部40に排出することができる。また、ブラシ30をロータ2の下面に設けてロータ2と一体となって回転するようにしたので、ブラシ30を回転させるための別途の駆動源も不要となる。
【0022】
尚、ブラシ30の本数やその配置、形状等については適宜設計変更可能であって、ロータ2の下面に内側から外側まで連続的に設ける以外にも断続的に配置することもできる。
【0023】
また、ブラシ30をロータ2とは別体に駆動することも可能で、例えば、必要に応じてロータ2を上方に移動させて底面13上の粉塵をブラシ30等で掻き集める構成としてもよい。
【0024】
更には、粉塵除去部材としてはブラシ30以外にも例えば軟質の板状体(例えば薄いプラスチック製やゴム製の板状体)が使用できる。この場合も、板状体がその保有弾性を利用して車のワイパーの如く底面13上の粉塵を掻き集める。
【0025】
更には、ロータ2の形状についても設計変更可能であって、例えば、ロータ2を水平ではなく傾斜させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態における錠剤カセッタを示す断面図。
【図2】図1のP−P線断面図。
【図3】従来の錠剤カセッタの装着状態を示し、(a)は平面図、(b)は正面図。
【符号の説明】
【0027】
1…収容部、2…ロータ、13…底面、15…錠剤排出口、16…粉塵排出口、23…切欠、30…ブラシ(粉塵除去部材)、40…粉塵収容部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容部に収容された錠剤を収容部内に設けられたロータの回転により錠剤排出口から排出するように構成された錠剤カセッタにおいて、
収容部と連通する粉塵収容部が設けられ、収容部底面上の錠剤の粉塵を集めて前記粉塵収容部に排出する粉塵除去部材が設けられていることを特徴とする錠剤カセッタ。
【請求項2】
収容部の底面とロータの下面との間に所定の隙間が形成されるようにロータが収容部の底面から所定距離離間して設けられ、該隙間に前記粉塵除去部材が配置されている請求項1記載の錠剤カセッタ。
【請求項3】
粉塵除去部材として、ロータの下面に該ロータと一体に回転するブラシが設けられている請求項2記載の錠剤カセッタ。
【請求項4】
ブラシは、ロータの径方向の内側から外側に向けて線状に設けられている請求項3記載の錠剤カセッタ。
【請求項5】
粉塵除去部材として、ロータの下面に該ロータと一体に回転する軟質の板状体が設けられている請求項2記載の錠剤カセッタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−306430(P2006−306430A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−129931(P2005−129931)
【出願日】平成17年4月27日(2005.4.27)
【出願人】(593129342)高園産業株式会社 (232)
【Fターム(参考)】