説明

錠剤カセッタ

【課題】 錠剤カセッタからの錠剤の粉塵の排出を抑制することができる錠剤カセッタを提供する。
【解決手段】 収容部1に収容された錠剤を収容部1内に設けられたロータ2の回転により錠剤排出口15から排出するように構成された錠剤カセッタにおいて、収容部1の底面13が傾斜し、該底面13の下部に錠剤の粉塵を排出する粉塵排出口16が設けられ、該粉塵排出口16から排出された粉塵を収容する粉塵収容部40が設けられ、粉塵排出口16よりも上方の位置に前記錠剤排出口15が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容する錠剤を所定個数毎に排出するための錠剤カセッタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の錠剤カセッタは、薬剤選択供給装置の一構成部品として用いられている。即ち、薬剤選択供給装置は、例えば上下方向及び水平方向に整列された複数のカセッタ装着箇所を有する支持架台と、該支持架台におけるカセッタ装着箇所のそれぞれに着脱自在に装着される複数の錠剤カセッタとを備えている。
【0003】
図5にこの錠剤カセッタ120が支持架台100のベース部材110に載置された状態を示している。該錠剤カセッタ120は、上方が開口された収容部121と、該収容部121内に配設されて回転駆動されるロータ122とを備えている。収容部121の底面121aは、水平面に対して所定角度傾斜しており、底面121aを傾斜面とすることにより、収容された錠剤が収容部121の下部に集められ、ロータ122の周縁部に形成された切欠123に錠剤が落下しやすくなっている。また、ロータ122は収容部121の底面121aに回転自在に支持される支軸部124を有し、該支軸部124の下端部には従動側ベベルギア125が設けられている。そして、該従動側ベベルギア125がベース部材110に収容された図示しないモータの駆動軸に設けられた駆動側ベベルギア111と噛合することによって、ロータ122は回転駆動される。ロータ122が回動駆動されることで、切欠123によって保持された錠剤はロータ122の周方向に運ばれて収容部121の底面121aの上部に形成されている錠剤排出口126から下方に落下排出され、ベース部材110に形成された案内路127を介して下方に配された図示しないホッパに案内され、該ホッパを介して分包装置に供給されて分包される。
【特許文献1】特開2001−106201号公報
【特許文献2】特開2004−41432号公報
【特許文献3】特開2004−41433号公報
【特許文献4】特許第3472019号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような薬剤選択供給装置は、処方箋等のデータに基づいてロータ122を回転させて所定個数の錠剤を案内路127を介して排出する。そのため、排出される錠剤の数量を管理するために、案内路127には該案内路127を通過する錠剤を検知する赤外線センサ等のセンサ(図示省略)が設けられている。
【0005】
その一方、使用する錠剤にはカプセル状のものの他、各種形状に凝固された裸状のものも多く、また、その裸状の錠剤の中には、いわゆる半錠と称される錠剤を半分に切断したものもある。このような裸状の錠剤を使用すると、ロータ122の回転によって錠剤から粉塵が発生し、この粉塵が錠剤排出口126から前記案内路127に排出される可能性がある。図3に示すように収容部121の底面121aが傾斜している場合には底面121aの下部に粉塵が集まるため、錠剤排出口126を上部に配置していることと相まって、底面121aが水平の場合に比べると、錠剤排出口126から粉塵が排出される量は少ない。しかしながら、底面121aの下部に溜まった粉塵がロータ122の回転によって巻き上げられて錠剤と共に錠剤排出口126から排出されるおそれがある。
【0006】
このように、錠剤排出口126から粉塵が排出されると、その粉塵がセンサに付着することによってセンサが検出ミスを起こすおそれがある。また、仮にセンサへの付着を防止したとしても下方に排出されることになって他の薬剤との混合のおそれもある。
【0007】
これらの問題を未然に防ぐためには、錠剤カセッタから錠剤の粉塵が排出されないように定期的に錠剤カセッタを清掃することが必要となるが、清掃の負担が大きいうえに、特に半錠の使用頻度が多い場合にはその清掃による粉塵の除去が間に合わない可能性もある。
【0008】
そこで本発明は、錠剤カセッタからの錠剤の粉塵の排出を抑制することができる錠剤カセッタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、本発明に係る錠剤カセッタは、収容部に収容された錠剤を収容部内に設けられたロータの回転により錠剤排出口から排出するように構成された錠剤カセッタにおいて、収容部の底面が傾斜し、該底面の下部から錠剤の粉塵を排出するための粉塵排出口が設けられ、該粉塵排出口から排出された粉塵を収容する粉塵収容部が設けられ、粉塵排出口よりも上方の位置に前記錠剤排出口が設けられていることを特徴とする。
【0010】
該構成の錠剤カセッタにあっては、収容部の底面が傾斜しているので、その底面の下部に錠剤の粉塵が集まることとなる。そして、その底面の下部から粉塵を排出するための粉塵排出口が設けられ且つ、錠剤排出口が粉塵排出口よりも上方に位置しているので、粉塵は錠剤排出口から排出されることなく粉塵排出口から排出され、排出された粉塵は粉塵収容部に収容される。
【0011】
特に、錠剤排出口は収容部の底面の最上部に設けられていることが好ましく、錠剤排出口を粉塵排出口から大きく離すことによって粉塵が錠剤排出口から排出されることをより一層確実に防止できる。
【0012】
また、粉塵排出口が多数設けられていることが好ましく、粉塵排出口全体として大きな開口面積を確保でき、一箇所設けられている場合に比して確実に粉塵を排出することができる。
【0013】
また、粉塵排出口が収容部の側面に設けられ、該収容部の側面の外側に粉塵収容部が設けられていることが好ましく、収容部の側面に粉塵排出口を設けることによって粉塵排出口と錠剤との擦れが少なくなり、擦れによって発生する粉塵を抑制できる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明に係る錠剤カセッタにあっては、収容部の底面を傾斜させると共に粉塵排出口から粉塵を排出するようにしたので、粉塵が錠剤と共に錠剤排出口から排出されることが抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る錠剤カセッタの一実施形態について図1及び図2を参酌しつつ説明する。
本実施形態における錠剤カセッタは、錠剤が収容される収容部1と、収容部1内において回転するロータ2とを備えている。収容部1はその上面が開口していて図示しない蓋体により閉塞される構成であって、その下部11は上下方向の軸線を有する円筒状に形成され、その上部12は下部11に比して広がった上広がりの形状となっている。
【0016】
そして、収容部1の底面13は水平ではなく水平面に対して所定角度(例えば40乃至50°)傾斜した傾斜面となっている。具体的には、底面13は、錠剤カセッタをベース部材に装着する際の装着方向(図1の矢印A方向)の前側が高く後側が低くなるように傾斜している。該収容部1の底面13から上方に僅かに離間してロータ2が配置されている。該ロータ2は、収容部1の底面13と直交する回転軸線を中心として回転する。具体的には、ロータ2は、略円盤状であって、収容部1の下部11の側面14(内周面)との間に僅かに隙間を形成するようにして配置されている。そして、ロータ2は、その中心から収容部1の底面13を貫通するように斜め下方に伸びてその底面13に回転自在に支持される支軸部20を有している。該支軸部20には、従動側ベベルギア(図示省略)が下端部に装着された従動軸(図示省略)が固着されて、ベース部材のモータ(図示省略)の駆動側ベベルギア(図示省略)に従動側ベベルギアが噛合することによってロータ2は回転する。
【0017】
また、ロータ2の周縁部には、図1においては実線で図2においては二点鎖線でそれぞれ示しているように、錠剤が所定個数(例えば一個)ずつはまりこむのできる切欠23が周方向に間隔をおいて複数形成されている。尚、本実施形態では、切欠23は矩形に形成されてロータ2の周方向に一定間隔毎に形成されている。そして、収容部1に収容された錠剤のうち、この切欠23にはまりこんだ錠剤のみが収容部1の底面13及び側面14とにより保持されてロータ2の回転に伴って周方向に搬送され、収容部1の底面13に形成された錠剤排出口15から順次下方に落下排出される。尚、錠剤排出口15は収容部1の底面13の最上部に設けられ、ロータ2の切欠23の回転軌跡に対応した位置に設けられている。
【0018】
更に、収容部1の底面13の最下部には錠剤から発生する粉塵を排出するための粉塵排出口16が形成されている。該粉塵排出口16は、例えば丸形等の小孔であって、錠剤排出口15よりも小さく、使用する錠剤に比して十分に小さく形成されている。更に、粉塵排出口16は、図2に示す如く、錠剤カセッタのベース部材への装着方向に対して直交する方向(図2の矢印B方向)に沿って間隔をおいて複数設けられると共に、その粉塵排出口16の列が装着方向に間隔をおいて合計三列設けられている。
【0019】
また、粉塵排出口16の下方には、該粉塵排出口16から排出された粉塵を収容する粉塵収容部40(粉塵収容室)が設けられている。粉塵収容部40は、ボックス状に形成され、粉塵排出口16を介して収容部1と連通している。尚、粉塵収容部40に溜まった粉塵は、錠剤カセッタを上下反転させることで、粉塵排出口16から収容部1を介して外部に排出し除去できるが、粉塵収容部40を着脱自在としたり、粉塵収容部40の例えば側面や底面に開閉自在な窓を設けてそこから粉塵を外部に排出してもよい。
【0020】
以上のように構成された錠剤カセッタにあっては、収容部1の底面13が傾斜面であってその最下部に粉塵排出口16が開口しているので、収容部1の底面13の最下部に集まった粉塵は粉塵排出口16から下方に排出されて粉塵収容部40に収容される。従って、粉塵がロータ2の回転に伴って巻き上げられて錠剤と共に錠剤排出口15から排出されることが抑制される。また、粉塵排出口16を小径としてそれを複数設けることによって全体として十分な開口面積を確保しているので、粉塵が多量に発生したとしても粉塵排出口16から確実に排出できる。
【0021】
また、粉塵排出口16は図1のように切欠23の下方に位置しているので、切欠23によって保持された錠剤から発生する粉塵が粉塵排出口16から下方に落下していくのである。
【0022】
尚、本実施形態では粉塵排出口16を複数設けたが一箇所設けるなど、その個数や配置態様、大きさ等は適宜設計変更可能である。また、底面13の最下部に粉塵排出口16を設けて最上部に錠剤排出口15を設けたが、錠剤排出口15は粉塵排出口16よりも上方に位置すればよい。
【0023】
従って、例えば、図3及び図4のように、粉塵排出口16を収容部1の円筒状の下部11の側面14に設けてもよい。その場合粉塵は、収容部1の底面13上を滑り落ちるようにして底面13の最下部から粉塵排出口16を通り、収容部1の側面14の外側に設けられた粉塵収容部40(粉塵収容室)へと収容される。このように粉塵排出口16を収容部1の側面14に設けることで、ロータ2の切欠23に保持されて回転する錠剤と粉塵排出口16との擦れが少なくなり、その擦れによって粉塵が発生することが抑制される。尚、この実施形態では粉塵排出口16を周方向に伸びるスリット状としているが、側面14に小孔を多数設けてもよく、粉塵排出口16の形状等は適宜設計変更可能である。
【0024】
また更に、ロータ2の下面にロータ2と一体に回転するブラシや軟質の板状体を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態における錠剤カセッタを示す断面図。
【図2】図1のP−P線断面図。
【図3】本発明の他の実施形態における錠剤カセッタを示す断面図。
【図4】図3のQ−Q線断面図。
【図5】従来の錠剤カセッタの装着状態を示す断面図。
【符号の説明】
【0026】
1…収容部、2…ロータ、13…底面、14…側面、15…錠剤排出口、16…粉塵排出口、23…切欠、40…粉塵収容部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容部に収容された錠剤を収容部内に設けられたロータの回転により錠剤排出口から排出するように構成された錠剤カセッタにおいて、収容部の底面が傾斜し、該底面の下部から錠剤の粉塵を排出するための粉塵排出口が設けられ、該粉塵排出口から排出された粉塵を収容する粉塵収容部が設けられ、粉塵排出口よりも上方の位置に前記錠剤排出口が設けられていることを特徴とする錠剤カセッタ。
【請求項2】
錠剤排出口は収容部の底面の最上部に設けられている請求項1記載の錠剤カセッタ。
【請求項3】
粉塵排出口が多数設けられている請求項1又は2記載の錠剤カセッタ。
【請求項4】
粉塵排出口が収容部の側面に設けられ、該収容部の側面の外側に粉塵収容部が設けられている請求項1乃至3の何れかに記載の錠剤カセッタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2006−312475(P2006−312475A)
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−136067(P2005−136067)
【出願日】平成17年5月9日(2005.5.9)
【出願人】(593129342)高園産業株式会社 (232)
【Fターム(参考)】