説明

錠剤ディスペンサー

本発明は、二つに分かれたディスペンサーケーシングから成り、言い換えれば箱状に重なり合って当接した二つの同じ長さのケーシング半部分(10;20)、すなわち錠剤(2)がディスペンサーケーシングから個別に排出される、ケーシング角隅部の側壁(14)に設けられた取出し開口部(3)を備えたケーシング下部(10)と、取出し側に正面壁(23)がないケーシング上部(20)とから成り、これらのケーシング半部分が、ケーシング軸線に対して平行に、互いに向かい合った摺動が可能であり、この摺動により、ケーシング下部(10)の取出し開口部(3)が、ケーシング上部(20)により、開閉が交互に行われるように互いに結合している様式の、多数の錠剤(2)を保管し、かつ錠剤を一つ一つ取出すための錠剤ディスペンサー(1)に関する。他の錠剤(2“)が不慮に後続して流れるのを阻止することで、錠剤(2‘)をその都度一つだけ取出すために、配量要素として、ケーシング下部(10)に属したディスペンサーケーシングの内部空域においては、取出し開口部(3)に相対している角隅部にデッドスペース閉鎖部(11)が設けられ、ケーシング上部(20)に属したディスペンサーケーシングの内部空域においては、正面側に後続流遮断部(21)が設けられており、この場合、配量要素(11;21)が、ケーシング半部分(10;20)の摺動行程毎に、その都度錠剤(1)がただ一つだけ取出し開口部(3)の取出し領域内に達するように形成され、かつ相対して摺動可能に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、そこを通って錠剤がディスペンサーケーシングから個別に排出される、ディスペンサーケーシング内に設けられた取出し開口部を備えた、多数の錠剤を収容するための二つの部分に分かれたディスペンサーケーシングから成る、錠剤を保管し、かつ錠剤を一つ一つ取出すための錠剤ディスペンサーに関する。
【背景技術】
【0002】
簡単な構造の公知の錠剤ディスペンサーにあって、例えば取出しシュートを閉鎖する、取出し開口部が開いた後、容器内にある製品が前に続いて滑り進むことが可能である。
それにより、制御不能な量の製品が容器から不適切に出てしまうことがある。
【0003】
さらに、ディスペンサーケーシング内に設けられた機械的に操作されるべき機構を備えたディスペンサーが知られており、この機構がディスペンサーケーシング内で上に持ち上がるのを制限する移動により、ディスペンサーケーシング内での取出し開口部は解放され、錠剤は行程毎にディスペンサーケーシングから排出される。このような錠剤ディスペンサーは、特許文献1に記載されている。この錠剤ディスペンサーは、入れ子式に互いに入り込むように摺動可能な二つのケーシング部から成り、この二つのケーシング部は各々その側面に取出し開口部を有しており、この取出し開口部は初期状態において相対してずれて設けられている。自由に突出しているケーシング内側部分としての端部に外部から圧力をかけることにより、この端部はさらにケーシング外側部分内に摺動する。それにより、取出し開口部はどちらも覆われ、錠剤一個が排出される。このように摺動する際に同時に摺動するケーシング内側部のフィンガーは、この際一個より多くの錠剤が排出されるのを防ぐ。このディスペンサーの場合、ケーシング内側部分のアクセス可能な自由端が、ディスペンサー機構部分の不都合な外れを十分な安全性をもって防止できないことが短所である。
【0004】
特許文献2から、同時にディスペンサーケーシングを形成する二つのケーシング部が互いに入り込むように摺動する様式の錠剤ディスペンサーが知られており、この場合ケーシング内側部分に設けられた舌形状のバネは、ケーシング外側部分の壁に支持されている。ケーシング部はどちらも、互いに押込まれた状態で、取出しチャンバーに対して斜めに傾斜している選別溝を備えた取出しチャンバーが設けられているように形成されている。選別溝の幅は、錠剤の位置の厚さに適合するように調整され、取出しチャンバーは、予め選別された、少なくとも二つの錠剤が互いに重なり合って取出し準備ができた状態にあるように寸法を決められている。取出す際に、この場合ここでも両ケーシング部を摺動させることにより、ケーシング開口部がどちらも覆われ、仕切りフィンガーは両錠剤の間をスライドし、従ってここでも錠剤は一つだけ排出される。
【0005】
請求項1の上位概念による錠剤ディスペンサーは特許文献3から公知である。
【特許文献1】ドイツ国特許出願公開第2922350号明細書
【特許文献2】欧州特許発明第0161538号明細書
【特許文献3】米国特許第2502311号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術から出発して、本発明の課題は、簡単な組立て手段と製造手段を使用して、かつ費用のかかる機械的装置を使用せずに、取出し開口部が開いた後、ただ一つの錠剤が取出され、同時に他の錠剤が不慮に後流しないように、本発明の技術様式の取出し装置を形成することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題は、箱状に重なり合って当接した二つの同じ長さのケーシング半部分、すなわちケーシングの角隅部に設けられた取出し開口部を備えたケーシング下部と、取出し側に端壁がないケーシング上部とから成り、これらのケーシングが、
ケーシング軸線に対して平行に、互いに向かい合った摺動が可能であり、この摺動により、ケーシング下部の角隅部の側壁における取出し開口部が、ケーシング上部により開閉が交互に行われるように互いに結合している様式のディスペンサーケーシングを用いて、請求項1の特徴により解決される。
【0008】
本発明による錠剤ディスペンサーの作動原理は、ここでは以下のように行われる。最下点としての取出し角隅部を備えた、錠剤ディスペンサーを斜めに保持することにより、錠剤はこの取出し角隅部に落ちる。ケーシング上部を押し戻すことにより、ケーシング下部の側壁における側方の取出し開口部は解放され、正確に一個の錠剤は取出し角隅部に残るが、残りの錠剤は配量要素により押し戻される。
【0009】
配量要素として、本発明により、ケーシング下部のディスペンサーケーシングの内部空域において、取出し開口部に相対している角隅部にはデッドスペース閉鎖部が、そしてケーシング上部のディスペンサーケーシングの内部空域において、端面側には後続流遮断部が、その都度錠剤一個だけが取出し開口部の取出し領域内に達し、取出し開口部が開いた際この錠剤が後流する錠剤に抗して仕切られるように、互いに設けられている。
【0010】
ケーシング上部の後続流遮断部は、取出し側で段状に突出している幅広の背面部により、鼻状に形成されている。後続流遮断部は、ディスペンサーケーシングの内部空域の内側で、
幅広の背面部の取出し側の側壁からの側方間隔が、錠剤の直径よりも大きく、かつ幅広の背面部のケーシング下部の取出し側の側壁からの側方間隔が、錠剤の直径よりも小さい程度に設けられている。後続流遮断部をこのように配設することにより、錠剤ディスペンサーの閉鎖した状態で、正確に錠剤が、ケーシング上部の取出し側の側壁と後続流遮断部の背面部との間の、閉鎖した取出し開口部の前方で場所を見い出し、かつ取出し開口部が開いた際、ケーシング上部をスライドさせることにより錠剤を排出することができる。あとに続く錠剤は、このようにスライドさせることにより、それに逆らって押戻される。というのも、後続流遮断部の背面部とケーシング下部の側壁との間の空域は、タブレット一個にはもはや十分な大きさではないからである。この場合、後続流遮断部の形状と大きさは、ケーシング上部における対応する構造と配設とにより、様々な錠剤の大きさと形状に適合している。
【0011】
ケーシング内部空域にあるデッドスペース閉鎖部は、取出し開口部に相対しているケーシング下部の角隅部において、このデッドスペース閉鎖部が、錠剤ディスペンサーの初期状態で、後続流遮断部とケーシング下部の側壁との間の空域を満たし、かつこのデッドスペース閉鎖部が、錠剤ディスペンサーの取出し状態で、後続流遮断部に抗して、起こりうる後続流遮断部の周囲での錠剤の前方へのスライドを阻止する程度に摺動するように設けられている。
【0012】
扁平な錠剤に関する錠剤ディスペンサーの場合、錠剤の厚さは錠剤ディスペンサーのケーシング深さよりも実質的にわずかであり、従って二つ以上の錠剤が互いに重なり合っており、ディスペンサーケーシングの内部空域内において、ケーシング角隅部にある錠剤を配量するために、取出し開口部へ至る供給領域において、付加的に傾斜形状に形成された配量要素が設けられている。この傾斜形状の配量要素は、製造上の理由−通常このような錠剤ディスペンサーは射出成形法に従って製造される−から、ケーシングの外側からくりぬいて形成されており、くりぬいた際に設けられた安定化させるためのウェブを備えている。このウェブは必要のある場合、同時に例えば時として底面のラベルのための接着面を支持するために役立つ。
【0013】
本発明の有利な構造に対応して、ディスペンサーケーシングのケーシング半部分は両方とも、その側面に沿って、外れ易いロック機構、例えばクリップ閉鎖機構により互いに結合している。このような閉鎖機構は、例えば空になったディスペンサーを再度充填するために、簡単に外すことができる。
【0014】
ケーシング下部を充填した後のケーシング上部の組み付けを容易にするために、本発明の有利な実施形態によれば、ケーシング下部の取出し側の端壁は、切欠き部を備えており、この切欠き部は後続流遮断部の幅広い背面部の幅に相当している。これにより、組立てを阻害するような充填物が、ケーシング上部の配量要素とケーシング下部の配量要素との間で挟み込まれることなく、ケーシング上部を供給方向と反対に作用する方向で、ケーシング下部に装着し、かつ両ケーシング部を互いに結合させることが簡単に可能となる。次いで生じる間隙は、錠剤ディスペンサーが閉鎖した際、この切欠き部内に挿入された後続流遮断部の幅広い背面部によって閉鎖される。
【0015】
ケーシング上部が、錠剤を取出す際にあまりに長い距離を摺動できないように、本発明によればケーシング上部の摺動経路は制限されている。このために、ケーシング上部天井面の内側に、突起が設けられており、この突起は最終状態において、取出し開口部に相対している、ケーシング下部の後方の端壁に当接し、従ってそれ以上の摺動を阻止する。さらにケーシング上部の天井面の内側には、円弧状に形成されたウェブが設けられており、このウェブはケーシング上部が摺動する際、デッドスペース閉鎖部の上を滑り、それにより、不都合な錠剤ディスペンサーの開閉を妨げ、かつ開閉を音でわかるように、および/または触れてわかるように合図を送って知らせる。ケーシング内部に設けられた配量要素、ならびに摺動を制限する突起と開閉を妨げかつ合図を送って知らせるウェブは、本発明によれば、対応するケーシング部と一体に製造されている。
【0016】
錠剤取出し後の錠剤ディスペンサーの閉鎖を容易にするために、取出し開口部に相対しているケーシング上部の領域内において、弾性要素を備えた復帰機構が設けられており、この復帰機構はケーシング下部の後方の端壁に支持されている。錠剤を取出すためにケーシング上部を摺動させる際、このバネは緊張し、次いで錠剤取出し後、ケーシング上部が初期状態に復帰するのを容易にする。バネを組立てる際、バネはバネ力が錠剤ディスペンサーが自動的に閉鎖するのに十分大きい程度に予備緊張することもできる。弾性要素として、例えば湾曲作用が必要な弾性タブあるいは押圧作用が必要なコイルバネを使用してもよい。
【0017】
他の有利な本発明の実施形態において、錠剤ディスペンサーの使い勝手を改善するために、ケーシング上部はその取出し開口部に相対している端壁に切欠き部を備えている。この切欠きにより、ケーシング下部の端壁は、初期状態において外部からアクセス可能であり、それにより、ケーシング半部分の摺動は例えばこの端壁への指での押圧により達成される。
【0018】
本発明のその他の詳細事項、特徴及び長所は、図で概略的に示した実施例の以下に述べる説明から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明を実施例に基づき図を用いて詳しく説明する。
【実施例】
【0020】
図1及び2による錠剤ディスペンサー1は、錠剤の高さに対応しているケーシング部分により箱状に形成されている。図2の供給状態において、ケーシング上部20は、ケーシング下部10に対して、ケーシング下部10の側面取出し開口部3がまさに開放していて、同時に錠剤2を排出できる程度に押し戻されている。
【0021】
図3〜6において、錠剤ディスペンサー1が組立てられているケーシング部分は両方とも、各々平面図(図3及び5)と斜視図(図4及び6)で示してある。ケーシング下部10とケーシング上部20がこの両ケーシング部分であり、これらは両方とも引き出し状に形成され、かつその側壁12,13及び23,24が相互に重なり合って摺動することにより、図1及び2の錠剤ディスペンサー1を形成する。この場合、スナップ接続により、意識してケーシングの摺動を阻止しなくても、組立て後に両ケーシングが個別になるのを防ぐことができる。
【0022】
図2に対応してケーシング上部20を摺動させることができるように、ケーシング下部10だけが前方の端壁15を有しているが、ケーシング上部20にあってはこのような壁はない。ケーシング上部20をこのように摺動させることが限定された程度でのみ行われ、かつ両ケーシング部分が完全に離れ離れにできないように、ケーシング上部20は、その天井面の後部領域において突起26を有しており、この突起はケーシング上部20が摺動する際にケーシング下部10の後部の端壁14において当接し、従ってそれ以上摺動するのを阻止する。
【0023】
ケーシング上部20の天井面27の中において、後続流遮断部21の横に、円弧状に形成されたウェブ5が設けられており、このウェブはケーシング上部20が移動する際にケーシング下部10のデッドスペース閉鎖部11の上を滑る。この場合、ウェブ5の高さは、ウェブ5が錠剤ディスペンサー1が誤って開閉するのを防ぎ、同時に開閉の際、音でわかるクリック音および/または触ってわかるクリック感を得られるほどに高い。
【0024】
ケーシング上部20を元の方向へ摺動させて、初期状態に戻す際、ケーシング下部10の側壁12の取出し開口部3は、ケーシング上部20の側壁23によって再度閉鎖される一方で、ケーシング上部20の相対している短くされた側壁24は、ストッパとして形成された段状に突出している、ケーシング下部10の側壁13の端部13‘を封隙するように当接する。取出し開口部3に相対しているケーシング上部20の端壁28は、ケーシング下部10の端壁14がアクセスしやすくなるように、かつケーシング下部10を図2の供給状態に対してケーシング上部20と向かい合わせに容易に摺動できるように、半円状の切欠き部を有する。
【0025】
錠剤2を所望の通り個別にするのを達成するために、かつ取出し中に、他の錠剤2の不都合なスライドを回避するために、ケーシング上部20とケーシング下部10のケーシング内において、配量要素が設けられている。この場合ケーシング下部10は取出し開口部3に相対しているデッドスペース11を備え、ケーシング上部20は、取出し開口部3とデッドスペース11との間に設けられた後続流遮断部21を備えている。
【0026】
この配量要素の作動様式は、図7及び8から明らかになる。図7の初期状態において、
錠剤ディスペンサー1の取出し領域内には、取出し開口部3に錠剤2‘があるが、残った上方の空域はデッドスペース閉鎖部11と後続流遮断部21とによりほぼ完全に塞がれている。後続流遮断部21は、その上方端部に拡張された背面部22を有し、この背面部の取出し開口部3を閉鎖している側壁23からの間隔は、この背面部22と側壁23との間で、錠剤2‘がぴったりはまる程度に広い。背面部22の下方には、同じく錠剤2“があり、この錠剤はケーシング下部10の側壁12と後続流遮断部21の幅の狭い前方部分29の相対している側壁との間の溝にぴったりはまっている。
【0027】
図8の供給状態において、ケーシング上部20はケーシング下部10に対して、突起26が下方の端壁14に当接し、同時に取出し開口部3が側壁23が後方へ摺動することにより解放されるまで押し開けられている。同時にこの摺動が行われると、後続流遮断部21の前方部分29と側壁12との間の溝内にある錠剤は2“は、後続流遮断部21の幅広い背面部22から一緒に下方に押し動かされる。というのも、ケーシング下部10の背面部22と側壁12との間の間隔が、錠剤2”がここではもはや場所を得られないほどに小さいからである。従って、空域がこのように狭いことで、錠剤がスライドすることはまったくありえない。さらに、この通路はただデッドスペース11によって閉じているので、後続流遮断部21の周囲での錠剤の前方へのスライドは阻止されている。
【0028】
図9〜12に、錠剤ディスペンサーのケーシング部分を示す。このケーシングの深さは個々の錠剤の厚さよりも実質的に深い。錠剤を個別に分離するために、取出し領域内において、傾斜路16の形の配量要素が設けられており、この傾斜路はケーシング下部10‘と一体に製作されている。この場合、製造上の理由のために、この傾斜路16はケーシング下部10‘の底面19からくりぬかれて構成されている。このくりぬかれた空域を安定化させるために、ケーシング下部10‘の底面19の平面図を示す図11に示したように、間隔を置いてウェブ17がこのくりぬかれた空域内に設けられている。デッドスペース閉鎖部11’はこの傾斜路16まで拡張されているが、後続流遮断部21‘は、前述の実施例におけるよりも明らかに幅が狭く構成されている。
【0029】
図13〜18には、錠剤ディスペンサー1“を示しており、ケーシング部分は簡単に組み立てるために変更されている。ケーシング下部10”は、その前方の端壁15において切欠き部18を備えており、その幅は後続流遮断部21“の背面部の幅に相当している。さらに後続流遮断部21“が、錠剤ディスペンサー1“の初期状態におけるその幅広の背面部でもって、ケーシング下部10”の端壁15におけるこの間隙を完全に埋められるように、ケーシング上部20“の後続流遮断部21“は、図14及び16を見ての通り、その前方の縁部で整向されている。
【0030】
図17と18において、初期状態(図17)と供給状態(図18)とにおける、錠剤2で充填された錠剤ディスペンサー1“を示してあり、この場合図1から8までの実施例の場合のような、同じ機能性にあっては、ケーシング下部10”の前方の縁部まで設けられ、かつ切欠き部18を錠剤ディスペンサー1“の初期状態で閉鎖する後続流遮断部21”が認められている。切欠き部18の幅はこのような錠剤ディスペンサー1“の場合、錠剤の直径よりも小さくなければならない。というのも、そうでないと他の取出し開口部としての切欠き部18を通って、不要に錠剤が排出されてしまうかもしれないからである。
【0031】
図19と20には、他の(第4の)錠剤ディスペンサーのケーシング部分10’’’と20’’’を示してある。このケーシング部分10’’’と20’’’は、原則的に、図1〜8の錠剤ディスペンサー1のケーシング部分10と20であり、これらのケーシングにはこの場合弾性要素30を備えた復帰機構が付加されている。図19は後方の端壁14に対して平行に間隔をおいて設けられた遮断壁34を備えた、ケーシング下部10に対応するケーシング下部10’’’を示す。後方の端壁14と組合わせることにより、錠剤が充填されずに、弾性要素30を収容するのに役立つような後部デッドスペース35が形成される。所属するケーシング上部20’’’を示す図20にこの弾性要素30が形成されている。弾性要素は弾性タブ31から成り、この弾性タブは端部でもって斜めに曲げられて弾性ウェブ32と一体に接続されている。
弾性ウェブ32は後方の端壁28に対して間隔を置いて、ケーシング上部20’’’内において、弾性ウェブ32の自由端が後方の端壁28に対した指向されているように設けられている。重なり合って当接したケーシング部分10’’’と20’’’を備えた錠剤ディスペンサーの初期状態において、この弾性要素30は後部デッドスペース35の内側にあり、この場合弾性ウェブ32は遮断壁34に支持され、弾性ウェブ32の自由端は後方の端壁14に当接している。ケーシング上部20’’’が錠剤を取出すためにスライドする際、弾性タブ31の強制的な湾曲が発生し、この湾曲により取出し作業の終了後、ケーシング上部20’’’は再度初期状態に戻る。
【0032】
組立てを容易にし、かつ遮断壁34に対する弾性ウェブ32の間隔位置を正確に決めるのに、弾性ウェブを遮断壁34まで案内する側が、挿入リブ33により形成されている。この挿入リブ33の対応する厚さの選択により、錠剤ディスペンサーの初期状態においてすでに、弾性タブ31の予備荷重を調節することができる。
【0033】
本発明は、示した実施例に限定されるものではない。特に、後続流遮断部の形状と大きさ、ならびにディスペンサーの幾何学的形成に関しては、ディスペンサー内に含む錠剤、あるいはさらに例えばペレットのようなその他の似たような製品の大きさへの広範囲に及ぶ適合が可能でありかつ必要である
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】初期状態における錠剤ディスペンサーの斜視図である。
【図2】供給状態における錠剤ディスペンサーの斜視図である。
【図3】様々な面から見た図1及び2における錠剤ディスペンサーのケーシング部分である。
【図4】様々な面から見た図1及び2における錠剤ディスペンサーのケーシング部分である。
【図5】様々な面から見た図1及び2における錠剤ディスペンサーのケーシング部分である。
【図6】様々な面から見た図1及び2における錠剤ディスペンサーのケーシング部分である。
【図7】初期状態の水平断面における図1及び2の錠剤ディスペンサーである。
【図8】供給状態における図7の錠剤ディスペンサーである。
【図9】様々な面から見た他の錠剤ディスペンサーのケーシング部分である。
【図10】様々な面から見た他の錠剤ディスペンサーのケーシング部分である。
【図11】様々な面から見た他の錠剤ディスペンサーのケーシング部分である。
【図12】様々な面から見た他の錠剤ディスペンサーのケーシング部分である。
【図13】様々な面から見た第三の錠剤ディスペンサーのケーシング部分である。
【図14】様々な面から見た第三の錠剤ディスペンサーのケーシング部分である。
【図15】様々な面から見た第三の錠剤ディスペンサーのケーシング部分である。
【図16】様々な面から見た第三の錠剤ディスペンサーのケーシング部分である。
【図17】初期状態の水平断面における図13〜17のケーシングを備えた錠剤ディスペンサーである。
【図18】供給状態の図17の錠剤ディスペンサーである。
【図19】弾性要素を備えた第四の錠剤ディスペンサーのケーシング部分である。
【図20】弾性要素を備えた第四の錠剤ディスペンサーのケーシング部分である。
【符号の説明】
【0035】
1 錠剤ディスペンサー
1“ 錠剤ディスペンサー
2 錠剤
2‘ 錠剤
2“ 錠剤
3 取出し開口部
4 スナップ結合部
5 ウェブ
10 ケーシング下部
10‘ ケーシング下部
10“ ケーシング下部
10’’’ ケーシング下部
11 デッドスペース閉鎖部
11‘ デッドスペース閉鎖部
11“ デッドスペース閉鎖部
12 側壁(取出し側)
13 側壁
13‘ 側壁突出部
14 端壁
15 端壁(取出し側)
16 傾斜した拝領要素
17 ウェブ
18 切欠き部
19 ケーシング下面
20 ケーシング上部
20‘ ケーシング上部
20“ ケーシング上部
20’’’ ケーシング上部
21 後続流遮断部
21‘ 後続流遮断部
21“ 後続流遮断部
22 21の背面
23 側壁(取出し側)
24 側壁
25 切欠き部
26 突起
27 天井面(ケーシング上部の内側面)
28 後部の端壁
29 21の前方部
30 弾性要素
31 弾性ウェブ
32 弾性ウェブ
33 挿入リブ
34 遮断壁
35 後部デッドスペース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つに分かれたディスペンサーケーシングから成り、言い換えれば箱状に重なり合って当接した二つの同じ長さのケーシング半部分(10,10‘,10“,10’’’; 20,20‘,20“,20’’’)、すなわち錠剤(2)がディスペンサーケーシングから個別に排出される、ケーシング角隅部の側壁(14)に設けられた取出し開口部(3)を備えたケーシング下部(10,10‘,10“,10’’’)と、
取出し側に端壁(23)がないケーシング上部(20,20‘,20“,20’’’)とから成り、
これらのケーシング半部分が、
ケーシング軸線に対して平行に、互いに向かい合った摺動が可能であり、この摺動により、ケーシング下部(10,10‘,10“,10’’’)の取出し開口部(3)が、ケーシング上部(20,20‘,20“,20’’’)により、開閉が交互に行われるように互いに結合している様式の、
多数の錠剤(2)を保管し、かつ錠剤を一つ一つ取出すための錠剤ディスペンサー(1,1“)において、
配量要素として、ケーシング下部(10,10‘,10“,10’’’)に属したディスペンサーケーシングの内部空域においては、取出し開口部(3)に相対している角隅部にデッドスペース閉鎖部(11,11’,11”)が設けられ、ケーシング上部(20,20‘,20“,20’’’)に属したディスペンサーケーシングの内部空域においては、端面側に後続流遮断部(21,21’,21”)が設けられており、
この場合、配量要素(11,11’,11”;21,21’,21”)が、ケーシング半部分(10,10‘,10“,10’’’; 20,20‘,20“,20’’’)の摺動行程毎に、その都度錠剤(1)がただ一つだけ取出し開口部(3)の取出し領域内に達するように形成され、かつ相対して摺動可能に設けられていることを特徴とする錠剤ディスペンサー(1,1”)。
【請求項2】
後続流遮断部(21,21’,21”)が、取出し側で段状に突出している幅広の背面部(22)により、鼻状に形成されており、かつ幅広の背面部(22)のケーシング上部(20,20‘,20“,20’’’)の取出し側の側壁(23)からの側方間隔が、錠剤(2)の直径よりも大きく、かつ幅広の背面部(22)のケーシング下部(10,10‘,10“,10’’’)の取出し側の側壁(12)からの側方間隔が、錠剤(2)の直径よりも小さい程度に設けられていることを特徴とする請求項1記載の錠剤ディスペンサー(1,1”)。
【請求項3】
ケーシング内部空域内にあるデッドスペース閉鎖部(11,11’,11”)が、取出し開口部(3)に相対しているケーシング下部(10,10‘,10“,10’’’)の角隅部において、このデッドスペース閉鎖部が錠剤ディスペンサー(1,1“)の初期状態において、後続流遮断部(21,21’,21”)とケーシング下部(10,10‘,10“,10’’’)の取出し側の側壁13との間の空域の少なくとも一部を満たし、かつこのデッドスペース閉鎖部が、錠剤ディスペンサー(1,1“)の取出し状態において、その下方の縁部により、後続流遮断部(21,21’,21”)とケーシング下部(10,10‘,10“,10’’’)の取出し側の側壁13との間の空域を前方において遮断し、起こりうる、後続流遮断部(21,21’,21”)の周囲での錠剤2の前方へのスライドを阻止する程度に摺動するように寸法を決められていることを特徴とする請求項1または2に記載の錠剤ディスペンサー(1,1”)。
【請求項4】
扁平な錠剤(2)に関して、錠剤の厚さは錠剤ディスペンサーのケーシング深さに比べて実質的にわずかであり、従って二つ以上の錠剤(2)が互いに重なり合っており、ディスペンサーケーシングの内部空域内において錠剤(2)を予め配量するために、取出し開口部(3)へ至る供給領域において、付加的に傾斜面状に形成された配量要素(16)がケーシング下部(10‘)設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の錠剤ディスペンサー(1,1”)。
【請求項5】
傾斜形状の配量要素(16)が、ケーシング下部(10‘)の底面(19)からくりぬかれて、このようにくりぬいた際に設けられた安定化させるためのウェブ(17)により形成されていることを特徴とする請求項4記載の錠剤ディスペンサー(1,1”)。
【請求項6】
ケーシング下部(10“)の取出し側の端壁(15)が、切欠き部(18)を備え、その切欠き部の幅が錠剤の直径よりも小さく、かつ後続流遮断部(21”)の幅広の背面(22)に相当し、切欠き部が、錠剤ディスペンサー(1“)を閉じる際、この切り欠き部(18)内に挿入された後続流遮断部(21”)幅広の背面(22)により閉鎖されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の錠剤ディスペンサー(1,1”)。
【請求項7】
ケーシング上部(20,20‘,20“)天井面(27)の内側に、突起(26)が設けられており、この突起が、ケーシング上部(20,20‘,20“,20’’’)の摺動経路を、当接により、取出し開口部(3)に相対している、ケーシング下部(10,10‘,10“,10’’’)の後方の端壁(14)において制限していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の錠剤ディスペンサー(1,1”)。
【請求項8】
後続流遮断部(21,21”)に隣接したケーシング上部(20,20‘,20“,20’’’)の天井面(27)の内側に、円弧状に形成されたウェブ(5)が設けられており、このウェブが、デッドスペース閉鎖部(11,11”)と接触することにより、不都合な錠剤ディスペンサー(1,1“)の開閉を妨げ、かつこの開閉を音でわかるように、および/または触れてわかるように合図を送って知らせるように構成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の錠剤ディスペンサー(1,1”)。
【請求項9】
取出し開口部に相対しているケーシング上部(20‘‘‘)の領域(3)内において、弾性要素(30)を備えた復帰機構が設けられており、この復帰機構がケーシング下部(10‘‘‘)の後方の端壁(14)に支持され、かつケーシング上部(20‘‘‘)を摺動させることにより錠剤を取出す際に緊張されるように構成されていることを特徴とする請求項1〜8に記載のいずれか一つに記載の錠剤ディスペンサー(1,1”)。
【請求項10】
外部からケーシング半部分(10,10‘,10“,10’’’; 20,20‘,20“,20’’’)の摺動を行うのを容易にするために、取出し開口部(3)に相対しているケーシング上部(20,20‘,20“,20’’’)の端壁(28)が、切欠き部(25)を備えていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の錠剤ディスペンサー(1,1”)。
【請求項11】
配量要素(11,11’,11”; 21,21’,21”;16)が、セグメントとしてケーシング半部分(10,10‘,10“,10’’’; 20,20‘,20“,20’’’)と一体に製造されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載の錠剤ディスペンサー(1,1”)。
【請求項12】
ディスペンサーケーシングのケーシング半部分(10,10‘,10“,10’’’; 20,20‘,20“,20’’’)がどちらも、その長手方向両側壁に沿って、取外し可能なロック機構、例えばクリップ式ロック(4)により互いに結合していることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一つに記載の錠剤ディスペンサー(1,1”)。
【請求項13】
この錠剤ディスペンサーが、その排出後に再充填可能に形成されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一つに記載の錠剤ディスペンサー(1,1”)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公表番号】特表2006−520303(P2006−520303A)
【公表日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504626(P2006−504626)
【出願日】平成16年3月11日(2004.3.11)
【国際出願番号】PCT/EP2004/002474
【国際公開番号】WO2004/080842
【国際公開日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【出願人】(300081246)エル ペー ツエー・ブラームラーゲ・ゲゼルシヤフト・ミト・ベシユレンクテル・ハフツング (1)