錠剤印刷装置および錠剤印刷方法
【課題】 連続してランダムにかつ所定列数の複数列で供給される多数の錠剤に対して非接触で印刷を行うための錠剤印刷装置および錠剤印刷方法を提供する。
【解決手段】 錠剤を供給するホッパ2と、ホッパ2により供給された多数の錠剤を所定列数の複数列に振り分ける複数列振分けユニット3と、複数列振分けユニット3により振り分けられた各錠剤を複数列のままランダムに搬送する搬送コンベア4と、搬送コンベア4による搬送中に各錠剤を検出する検出用ラインセンサカメラ5と、検出用ラインセンサカメラ5で検出された各錠剤の検出データに基づいて搬送中の各錠剤に印刷を行うインクジェットプリンタ部6と、インクジェットプリンタ部6による各錠剤への印刷状態を検査する検査用ラインセンサカメラ7と、検査用ラインセンサカメラ7での検査結果に基づいて、不良品を各錠剤の複数列での搬送中に排出する不良品排出ユニット9とを設ける。
【解決手段】 錠剤を供給するホッパ2と、ホッパ2により供給された多数の錠剤を所定列数の複数列に振り分ける複数列振分けユニット3と、複数列振分けユニット3により振り分けられた各錠剤を複数列のままランダムに搬送する搬送コンベア4と、搬送コンベア4による搬送中に各錠剤を検出する検出用ラインセンサカメラ5と、検出用ラインセンサカメラ5で検出された各錠剤の検出データに基づいて搬送中の各錠剤に印刷を行うインクジェットプリンタ部6と、インクジェットプリンタ部6による各錠剤への印刷状態を検査する検査用ラインセンサカメラ7と、検査用ラインセンサカメラ7での検査結果に基づいて、不良品を各錠剤の複数列での搬送中に排出する不良品排出ユニット9とを設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続してランダムに供給される錠剤に印刷を行う錠剤印刷装置および錠剤印刷方法に関し、詳細には、多数の錠剤を所定列数の複数列で供給しつつ、各錠剤に対して非接触で印刷を行うものに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療分野において、薬剤師による調剤ミスや患者による誤服用などの医療事故を防止するために、錠剤の表面に会社名や製品名を表す識別コードを付することが行われている。従来、錠剤への識別コードの付与は、打刻や転写等により行われていた。
【0003】
打刻は、打錠機により粉末または顆粒を錠剤に成形する際に、刻印の入った杵を用いて圧縮成形することで錠剤表面に刻印する方式であって、主に素錠(裸錠)やFC(Film Coating)錠で用いられているが、製剤処方や粉末または顆粒物性によって、成形時に杵で押圧されて圧縮圧力を受けた際に杵離れが悪い場合には、刻印抜けが発生することがあって、複雑な形状を鮮明に打刻することはできなかった。また、FC錠の場合には、刻印後にコーティングされるため、刻印が不鮮明になりやすく、判読性が悪かった。
【0004】
一方、転写は、錠剤表面に転写デザインロールを押圧させて印刷する方式であって、錠剤表面が滑らかにコーティングされたFC錠や、糖衣皮膜を有する糖衣錠の場合には、鮮明な印刷が可能であるものの、錠剤表面が滑らかにコーティングされていないFC錠の場合には、印刷がかすれ気味で不鮮明となり、また素錠の場合には、インクに対して吸収性があることや、錠剤表面に粉末が付着していることによって、印刷不良を起こすことがあった。また、錠剤を印刷機のポケット部に一個ずつ位置決めする必要があり、ポケット部に詰まりなどのトラブルが発生しやすかった。さらに、表面が球面状のR錠の場合には、転写デザインロールが接触する範囲が制限されるため、小さな印刷スペースの中に印字しなければならず、印字される文字の大きさも小さくなって、判読性が悪かった。
【0005】
このように、錠剤に杵や転写デザインロールを接触させる従来の打錠機や転写式印刷機のような接触方式のものでは、打刻不良や印刷不良を起こすことがあって、製品の歩留まりが悪く、これが製品の品質を低下させる要因でもあった。また、識別コードが変わるごとに高価な刻印杵や転写デザインロールを交換する必要があって、コスト高であった。このため、錠剤にダメージを与えずに非接触で錠剤に印刷を行うことができ、しかも識別コードの変更を安価かつ容易に行える非接触方式の印刷機の実現を望む強い要請があった。
【0006】
ところで、非接触の印刷方式として、錠剤にレーザー印刷を行うことが知られている。ところが、レーザー印刷の場合、錠剤が酸化チタンを含有していないと、印刷部分を発色表示できない。FC錠や糖衣錠の場合には、表面に酸化チタンが含有されているため、発色表示が可能であるが、素錠の場合には、通常、酸化チタンが含有されていないため、レーザー印刷による印字が困難であった。
【0007】
そこで、本願出願人は、特開2011−20325号公報において、ワーク(錠剤)に対して、レーザー印刷以外の方法により非接触で印刷を行う印刷装置を提案している(同公報の段落[0035]〜[0038]ならびに図1、図2および図4参照)。
【0008】
この印刷装置は、連続してワーク(錠剤)を供給する供給装置と、供給装置により供給されたワークをランダムに搬送するコンベアと、所定のエリア内に導入されたワークを検知して撮像するCCDカメラと、CCDカメラによるワーク情報に基づいて搬送中のワークに印刷を行うインクジェットプリンタとを備えている。
【0009】
この場合には、インクジェットプリンタにより錠剤表面にインクを噴射して印刷を行うので、錠剤に対して非接触で印刷処理を行うことができ、FC錠や糖衣錠のみならず、素錠の場合でも、鮮明な印刷処理が可能である。また、印刷時に錠剤への接触が原因となる印刷不良が発生しないため、製品の歩留まりを向上できる。さらに、使用期限や製造番号等の可変情報を含む識別コードの変更にも簡単に対応できるので、コストを低減できる。
【0010】
しかも、この場合には、供給される錠剤の位置や姿勢(向き)、表裏等が揃ってなくランダムであっても、CCDカメラにより撮像された映像に基づいて、錠剤の位置や姿勢(向き)、表裏等が検出されて錠剤への印刷が行われるので、錠剤を一個ずつ位置決めする必要がなくなり、しかも複数の錠剤に対して一括して処理を行えるので、印刷処理を効率化でき、高速処理が可能になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、上記公報に記載の印刷装置において、印刷処理後に不良品を検出してこれを系外排出する際には、コンベア搬送面上でランダムに配置された多数の錠剤の中から不良品をピンポイントで取り出す必要がある。ところが、上記印刷装置においては、供給される多数の錠剤がコンベア搬送面上において搬送方向のみならずこれと交差する幅方向にもランダムな間隔に配置されており、このため、不良品の錠剤のみをピンポイントで排出するのは容易ではない。
【0012】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたもので、本発明が解決しようとする課題は、連続してランダムに供給される多数の錠剤に対して非接触で印刷を行うことができ、しかも、不良品の錠剤のみをピンポイントで確実に排出できる印刷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明に係る錠剤印刷装置は、錠剤を供給する錠剤供給部と、錠剤供給部により供給された多数の錠剤を所定列数の複数列に振り分ける複数列振分けユニットと、複数列振分けユニットにより振り分けられた各錠剤を複数列のままランダムに搬送する錠剤搬送部と、錠剤搬送部による搬送中に各錠剤を検出する錠剤検出部と、錠剤検出部で検出された各錠剤の検出データに基づいて搬送中の各錠剤に非接触で印刷を行う印刷部と、印刷部による各錠剤への印刷状態を検査する錠剤検査部と、錠剤検査部での検査結果に基づいた印刷不良を含む不良品を各錠剤の複数列での搬送中に排出する不良品排出部とを備えている(請求項1参照)。
【0014】
本発明においては、錠剤搬送部により連続してランダムに搬送される多数の錠剤に対して印刷部により非接触で印刷を行うので、錠剤の剤形や形状によらず、鮮明な印刷処理が可能である。また、この場合、錠剤検出部で検出された各錠剤の検出データに基づいて各錠剤に印刷処理が施されるので、錠剤の位置や姿勢等がランダムであっても、容易に対応できる。
【0015】
しかも、この場合には、錠剤供給部から供給された多数の錠剤が、複数列振分けユニットにより所定列数の複数列に振り分けられるとともに、振り分けられた各錠剤が、錠剤搬送部により、複数列を維持したままランダムに搬送される。これにより、搬送される各錠剤の間隔は、搬送方向にはランダムでも、搬送方向と交差する幅方向には一定の間隔が維持されることになる。したがって、不良品についても、当該不良品と幅方向に隣り合う他の錠剤との幅方向の間隔は一定に維持されている。このため、錠剤検査部で検知された不良品の排出の際には、不良品排出部は、錠剤の搬送方向と交差する幅方向においては、不良品をこれと隣り合う他の錠剤と切り離すのを容易に行えるようになり、これにより、不良品のみをピンポイントで確実に排出することが可能である。
【0016】
また、本発明においては、複数列振分けユニットが、当該ユニットの幅方向中央に設けられかつ各錠剤を左右に分散させるための一対の傾斜面を錠剤搬送方向に延設してなる山形状の中央分散部と、中央分散部の左右両側にそれぞれ設けられ、中央分散部に近い側には直立状態に傾斜した第1の傾斜面を有しかつ中央分散部から離れた側には斜めに傾斜した第2の傾斜面を有する左右非対称な一対の傾斜面を錠剤搬送方向に延設してなり、各錠剤を複数列に振り分けるための山形状の複数の振分け部とを有している(請求項2参照)。なお、ここでいう「幅方向中央」とは、正確に幅方向中央位置を意味する場合のみならず、幅方向中央位置の近傍位置をも含む趣旨である。これは、振分け部が中央分散部の左右に同数ずつ設けられる場合のみならず、一方に2個、他方に3個のように左右で個数が異なる場合をも含めるためである。
【0017】
この場合、錠剤供給部から供給された多数の錠剤は、複数列振分けユニットの中央分散部に導入され、ここで左右(幅方向)に略均等に分散されて、中央分散部の左右両側の各振分け部に導入されるとともに、各振分け部に導入された各錠剤は、各振分け部を通って搬送されていく際に第2の傾斜面の上で傾斜した状態を維持し、これにより、各錠剤は、上下に重なったりすることなく、複数列に振り分けられることになる。
【0018】
本発明においては、複数列振分けユニットの各振分け部は、錠剤搬送方向下流側に向かうにしたがい、中央分散部に近い側の振分け部から順にその傾斜面の高さが徐々に高くなっている(請求項3参照)。これにより、錠剤が傾斜面上で上下に重なっている場合でも、搬送方向下流側に向かうにつれて、上側の錠剤が下側の錠剤上から滑り落ちて隣の傾斜面上に移動することになるので、各錠剤を各傾斜面の上に上下の重なり合いなく確実に分散できるようになる。
【0019】
本発明においては、錠剤搬送部が複数の搬送路から構成されており、搬送中の各錠剤は、エアの吸引により、対応する搬送路の上に吸着保持されるようになっている(請求項4参照)。複数の搬送路については、複数本のベルトを一定間隔を隔てて並設することにより構成し、隣り合う各ベルト間の間隙からエアを吸引することにより、搬送中の各錠剤を当該間隙で吸着保持するようにしてもよく(請求項5参照)、あるいは、ベルトに複数列のエア吸引孔を形成することにより構成し、エア吸引孔からエアを吸引することにより、搬送中の各錠剤を対応する列のエア吸引孔で吸着保持するようにしてもよい(請求項6参照)。これらの場合には、各錠剤が搬送路上またはベルト上で位置ずれや脱落を起こすのを防止でき、これにより、複数列振分けユニットから錠剤搬送部への錠剤の移行をスムーズに行うことができ、錠剤を高速で搬送できるようになる。
【0020】
本発明においては、錠剤検出部および錠剤検査部が撮像手段により構成されている(請求項7参照)。撮像手段としては、撮像素子を有するものであればよく、具体的には、エリアセンサカメラやラインセンサカメラ等が挙げられる。とくに、ラインセンサカメラを用いた場合には、上述した公報に記載のCCDカメラ(エリアセンサカメラ)に比べて、高速の画像取得が可能になり、錠剤の搬送速度を上げることができる。また、ラインセンサは、エリアセンサとは異なり、連続した撮像が可能であって、錠剤搬送部側の例えばロータリーエンコーダの番地データとラインセンサの検出データとを合成することができ、このとき、錠剤の搬送位置と撮像データが常に一致しているため、錠剤に対して正確な印刷が可能になる。
【0021】
本発明においては、錠剤検出部による検出データが、錠剤の位置のみならず、錠剤の姿勢(向き)を含んでおり(請求項8参照)、また、錠剤検出部による検出データがさらに錠剤の表裏の情報を含んでいる(請求項9参照)。これにより、錠剤に割線がある場合などに、割線の向きに合わせて印刷することや、割線のない側(またはある側)の面にのみ印刷することが可能になる。
【0022】
本発明においては、印刷部がインクジェットプリンタ部により構成されるとともに、インクジェットプリンタ部がインクジェットヘッドを有しており、インクジェットヘッドが、各錠剤の列方向に移動可能になっている(請求項10参照)。これにより、インクジェットヘッドを印刷位置から離れたメンテナンス位置に移動させることができる。
【0023】
本発明においては、インクジェットヘッドが、インク吐出用の複数のノズルを有しており、印刷処理の開始前には、前回の印刷処理に使用したノズルとは異なるノズルが使用されるように、インクジェットヘッドが制御されている(請求項11参照)。これにより、長時間使用されていないノズルの乾燥による孔詰まりを防止できる。
【0024】
本発明においては、不良品排出部が、錠剤搬送部の上方に配置されるとともに、当該錠剤搬送部により搬送される各錠剤の各列に対応した複数の開孔を有し、不良品が当該不良品に対応する開孔から系外排出されるようになっている(請求項12参照)。これにより、不良品をピンポイントで確実に排出できる。
【0025】
本発明においては、不良品排出部が、不良品を開孔から吸引するようになっている(請求項13参照)。
【0026】
本発明においては、錠剤搬送部が、上方に配設され、各錠剤を第1の方向に搬送する第1の錠剤搬送部と、その下方に配設され、各錠剤を前記第1の方向と逆方向の第2の方向に搬送する第2の搬送部とから構成されており、第1の搬送部の搬送方向下流端と第2の搬送部の搬送方向上流端との間には、第1の搬送部上の各錠剤を保持しつつ回転することにより、各錠剤の表裏を反転させる反転部が設けられている(請求項14参照)。この場合、第1の搬送部上の各錠剤が反転部により反転されて第2の搬送部上に導入されることで、第2の搬送部での搬送中に、錠剤の裏面についても検査または(および)印刷を行えるようになる。
【0027】
本発明においては、反転部が、各錠剤の反転中には各錠剤を吸引し、各錠剤の反転後にはその吸引状態を解除することにより、第1の錠剤搬送部上の各錠剤が反転した状態で第2の錠剤搬送部上に受け渡されるようになっている(請求項15参照)。これにより、反転中の各錠剤が反転部上で位置ずれや脱落を起こすのを防止できるとともに、反転部から第2の搬送部への錠剤の受渡しをスムーズに行える。
【0028】
本発明においては、反転部および第2の搬送部間の間隙が調整可能になっている(請求項16参照)。これにより、錠剤の厚みが異なる場合でも容易に対応できる。
【0029】
本発明においては、第2の搬送部には、当該第2の錠剤搬送部による搬送中に各錠剤を検出する第2の錠剤検出部と、第2の錠剤検出部で検出された各錠剤の検出データに基づいて搬送中の各錠剤に非接触で印刷を行う第2の印刷部と、第2の印刷部による各錠剤への印刷状態を検査する第2の錠剤検査部とが設けられており、不良品排出部が、第2の錠剤検査部の下流側に設けられるとともに、第1、第2の錠剤検査部での検査結果に基づいた印刷不良を含む不良品を排出するように構成されている(請求項17参照)。
【0030】
この場合、反転部により第2の搬送部上に導入された各錠剤に対しては、第2の錠剤搬送部による搬送中に第2の印刷部により非接触で印刷を行うので、各錠剤の裏面に対しても非接触で印刷を行うことができる。また、この場合、第2の錠剤検出部で検出された各錠剤の検出データに基づいて各錠剤の裏面に印刷処理が施されるので、第2の搬送部上で各錠剤の位置や姿勢等がランダムであっても、容易に対応できる。
【0031】
しかも、この場合、各錠剤は、第1の搬送部から反転部をへて第2の搬送部に到るまで所定列数の複数列を維持することになるので、第2の搬送部上の各錠剤の間隔は、搬送方向にはランダムでも、搬送方向と交差する幅方向には一定の間隔が維持されている。したがって、不良品についても、当該不良品と幅方向に隣り合う他の錠剤との幅方向の間隔は一定に維持されている。このため、第1または(および)第2の錠剤検査部で検知された不良品の排出の際には、不良品排出部は、錠剤の搬送方向と交差する幅方向においては、不良品をこれと隣り合う他の錠剤と切り離すのを容易に行えるようになり、これにより、不良品のみをピンポイントで確実に排出できるようになる。
【0032】
本発明に係る錠剤印刷方法は、以下の工程を備えている(請求項18参照)。
i)供給される多数の錠剤を所定列数の複数列に振り分ける複数列振分け工程。
ii) 前記複数列振分け工程で振り分けられた各錠剤を複数列のままランダムに搬送する錠剤搬送工程。
iii)前記錠剤搬送工程による搬送中に各錠剤を検出する錠剤検出工程。
iv) 前記錠剤検出工程で検出された各錠剤の検出データに基づいて搬送中の各錠剤に非接触で印刷を行う印刷工程。
v) 前記印刷工程での各錠剤への印刷状態を検査する錠剤検査工程。
vi) 前記錠剤検査工程での検査結果に基づいた印刷不良を含む不良品を各錠剤の複数列での搬送中に排出する不良品排出工程。
【0033】
本発明によれば、錠剤搬送工程において連続してランダムに搬送される多数の錠剤に対して印刷部により非接触で印刷を行うので、錠剤の剤形や形状によらず、鮮明な印刷処理が可能である。また、この場合、錠剤検出工程で検出された各錠剤の検出データに基づいて各錠剤に印刷処理が施されるので、錠剤の位置や姿勢等がランダムであっても、容易に対応できる。
【0034】
しかも、この場合には、供給される多数の錠剤が、複数列振分け工程で所定列数の複数列に振り分けられるとともに、振り分けられた各錠剤が、錠剤搬送工程で複数列を維持したままランダムに搬送される。これにより、搬送される各錠剤の間隔は、搬送方向にはランダムでも、搬送方向と交差する幅方向には一定の間隔が維持されることになる。したがって、不良品についても、当該不良品と幅方向に隣り合う他の錠剤との幅方向の間隔は一定に維持されている。このため、錠剤検査工程で検知された不良品を不良品排出部工程で排出する際には、錠剤の搬送方向と交差する幅方向においては、不良品をこれと隣り合う他の錠剤と切り離すのが容易に行えるようになり、これにより、不良品のみをピンポイントで確実に排出することが可能である。
【0035】
本発明においては、錠剤検出工程における検出データが、錠剤の位置および姿勢のデータを含んでいてもよい(請求項19参照)。
【発明の効果】
【0036】
以上のように、本発明に係る錠剤印刷装置(または錠剤印刷方法)によれば、錠剤搬送部により(または錠剤搬送工程で)連続してランダムに搬送される多数の錠剤に対して印刷部により(または印刷工程において)非接触で印刷を行うようにしたので、錠剤の剤形や形状によらず、鮮明な印刷処理が可能である。また、錠剤検出部(または錠剤検出工程)で検出された各錠剤の検出データに基づいて各錠剤に印刷処理を行うようにしたので、錠剤の位置や姿勢等がランダムであっても、容易に対応できる。さらに、錠剤供給部から供給された多数の錠剤を、複数列振分けユニットにより(または複数列振分け工程で)所定列数の複数列に振り分けるとともに、錠剤搬送部により(または錠剤搬送工程で)複数列を維持したままランダムに搬送するようにしたので、不良品およびこれと幅方向に隣り合う他の錠剤の間隔を一定に維持でき、これにより、不良品の排出時には、不良品を他の錠剤と容易に切り離すことができ、不良品のみをピンポイントで確実に排出できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施例による錠剤印刷装置の概略構成図である。
【図2】錠剤印刷装置を構成する複数列振分けユニットの平面概略図である。
【図3】複数列振分けユニットを構成する振分けトラフの平面図である。
【図4】図3のIV-IV線断面図である。
【図5】図3のV-V線断面図である。
【図6】図3のVI-VI線断面図である。
【図7】図3のVII-VII線断面図である。
【図8】複数列振分けユニットを構成する整列トラフの平面図である。
【図9】図8のIX-IX線断面図である。
【図10】図8のX-X線断面図である。
【図11】図8のXI-XI線断面図である。
【図12】図8のXII-XII線断面図である。
【図12A】複数列振分けユニットおよび整列トラフの間に配置された傾き修正トラフの平面図である。
【図12B】図12AのB−B線矢視図である。
【図12C】傾き修正トラフ(図12A)の作用を説明するための図である。
【図13】整列トラフの下流端およびこれに連結された第1の搬送コンベアの上流端の平面概略部分図である。
【図14】図13のXIV-XIV線断面図である。
【図15】図14の変形例の一部拡大図である。
【図16】第1の搬送コンベアの側に設けられた、錠剤印刷装置を構成する第1の検出用ラインセンサカメラ、第1の検査用ラインセンサカメラおよび第1のインクジェットプリンタ部を反転装置とともに示す正面概略図である。
【図17】第1の検出用ラインセンサカメラの側面概略図である。
【図18】第1の搬送コンベア上において、第1の検出用ラインセンサカメラおよび第1の検査用ラインセンサカメラの各撮影ライン、ならびに第1のインクジェットヘッドの配置を示す平面図である。
【図19】第1のインクジェットヘッドおよびその駆動機構の側面概略図である。
【図20】第1のインクジェットヘッドを第1の搬送コンベア上の錠剤とともに示す側面拡大概略図である。
【図21】図16のXXI矢視図である。
【図22】錠剤印刷装置を構成する反転装置の反転ローラおよびその駆動機構の概略構成を示す側面概略図である。
【図23】(a)は第2の搬送コンベアに設けられた高さ調節ユニットの平面概略図、(b)はその正面概略図である。
【図24】第2の搬送コンベアの側に設けられた第2の検出用ラインセンサカメラ、第2の検査用ラインセンサカメラおよび第2のインクジェットプリンタ部の正面概略図である。
【図25】錠剤印刷装置を構成する不良品排出ユニットの平面概略図である。
【図26】不良品排出ユニットの正面概略図である。
【図27】不良品排出ユニットの側面概略図である。
【図28】図26のXXVIII-XXVIII線断面図である。
【図29】錠剤印刷装置の制御部の概略ブロック構成図である。
【図30】第1の搬送コンベア上の錠剤に対する検出処理を示す平面図である。
【図31】第1の搬送コンベア上の錠剤に対する検出処理および印刷処理を示す平面図である。
【図32】第1の搬送コンベア上の錠剤に対する検出処理、印刷処理および検査処理を示す平面図である。
【図33】第2の搬送コンベア上の錠剤に対する検出処理を示す平面図である。
【図34】第2の搬送コンベア上の錠剤に対する検出処理および印刷処理を示す平面図である。
【図35】第2の搬送コンベア上の錠剤に対する検出処理、印刷処理および検査処理を示す平面図である。
【図36】制御部による不良品排出制御を説明するためのフローチャートである。
【図37】(a)は搬送コンベアの変形例の平面部分図、(b)はそのB−B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の一実施例による錠剤印刷装置および錠剤印刷方法について、添付図面に基づいて説明する。
ここでは、まず、錠剤印刷装置の全体構成について説明し、次に、本発明による錠剤印刷装置を構成する主要な構成要素について個別に詳細に説明していくことにする。
【0039】
<全体構成の説明>
図1は、本発明の一実施例による錠剤印刷装置の概略構成を示している。
同図に示すように、この錠剤印刷装置1は、錠剤を供給するホッパ2と、ホッパ2から供給されてきた多数の錠剤を所定列数の複数列に振り分ける複数列振分けユニット3と、複数列振分けユニット3により振り分けられた各錠剤を複数列のまま矢印方向(第1の方向)にランダムに搬送する第1の搬送コンベア4と、第1の搬送コンベア4による搬送中に各錠剤を検出するための第1の検出用ラインセンサカメラ5と、第1の検出用ラインセンサカメラ5で検出された各錠剤の検出データに基づいて搬送中の各錠剤に印刷を行う第1のインクジェットプリンタ部6と、第1のインクジェットプリンタ部6による各錠剤への印刷状態を検査するための第1の検査用ラインセンサカメラ7とを備えている。
【0040】
また、錠剤印刷装置1は、第1の搬送コンベア4の下流端に設けられ、当該第1の搬送コンベア4上の各錠剤の表裏を反転させるための反転ローラ80を有する反転装置8と、第1の搬送コンベア4の下方に配設され、反転装置8により反転された各錠剤を複数列のまま矢印方向(前記第1の方向と逆方向の第2の方向)にランダムに搬送する第2の搬送コンベア4’と、第2の搬送コンベア4’による搬送中に各錠剤を検出するための第2の検出用ラインセンサカメラ5’と、第2の検出用ラインセンサカメラ5’で検出された各錠剤の検出データに基づいて搬送中の各錠剤に印刷を行う第2のインクジェットプリンタ部6’と、第2のインクジェットプリンタ部6’による各錠剤への印刷状態を検査するための第2の検査用ラインセンサカメラ7’と、第2の搬送コンベア4’の下流側に設けられ、第1、第2の検査用ラインセンサカメラ7、7’での検査結果に基づいた印刷不良を含む不良品を、各錠剤の複数列での搬送中に吸引して排出する不良品排出ユニット9とを備えている。
【0041】
なお、この錠剤印刷装置1による印刷処理は、素錠(裸錠)やFC(Film Coating)錠、糖衣錠を含む任意の剤形の錠剤に適用され、また、平錠やR錠を含む任意の形状の錠剤に適用される。
【0042】
図1に示すように、ホッパ2と複数列振分けユニット3との間には、ホッパ2から供給された錠剤を複数列振分けユニット3の側に送るためのバイブレータ20aを有する振動フィーダ20が設けられている。複数列振分けユニット3は、斜め下方に傾斜して配設されており、同様に、振動フィーダ33を有している。第1の搬送コンベア4の上流端は、タイミングプーリ40に巻き掛けられ、下流端は、タイミングプーリである反転ローラ80に巻き掛けられている。第1の搬送コンベア4は、後述するように、搬送方向と直交する幅方向に所定間隔を隔てて並設された複数本のタイミングベルトから構成されている。
【0043】
第1の検出用ラインセンサカメラ5は、ラインセンサ50およびカメラレンズ51を有しており、同様に、第1の検査用ラインセンサカメラ7は、ラインセンサ70およびカメラレンズ71を有している。第1の検出用ラインセンサカメラ5の下方には、第1の搬送コンベア4上の錠剤に光を照射する一対の照明ユニット(例えばLED照明ユニット)10が設けられており、同様に、第1の検査用ラインセンサカメラ7の下方には、第1の搬送コンベア4上の錠剤に光を照射する一対の照明ユニット(例えばLED照明ユニット)11が設けられている。
【0044】
反転装置8は、第1の搬送コンベア4上の各錠剤を吸引するための吸引用チャンバ81aを内部に有している。また、反転装置8の駆動軸には、当該反転装置8の反転ローラ80の回転位置を検出することにより、第1の搬送コンベア4の移動位置を検出するためのロータリーエンコーダ42が取り付けられている。
【0045】
第2の搬送コンベア4’の上流端は、タイミングプーリ40’に巻き掛けられ、下流端は、タイミングプーリ41’に巻き掛けられている。第2の搬送コンベア4’は、第1の搬送コンベア4と同様に、所定間隔を隔てて並設された複数本のタイミングベルトから構成されており、隣り合う各タイミングベルト間の間隙からエアを吸引することで搬送中の各錠剤を吸着保持するようになっている。タイミングプーリ41’の回転軸には、当該タイミングプーリ41’の回転位置を検出することにより、第2の搬送コンベア4’の移動位置を検出するためのロータリーエンコーダ42’が取り付けられている。
【0046】
第2の搬送コンベア4’の上流側において、反転装置8の反転ローラ80の下方には、第2の搬送コンベア4’と反転ローラ80との間隙を調整するための高さ調節ユニット15が設けられている。この高さ調節ユニット15は、錠剤の厚みが異なった場合に、反転ローラ80から第2の搬送コンベア4’への錠剤の受渡しがスムーズに行われるようにするためのものである。
【0047】
第2の検出用ラインセンサカメラ5’は、ラインセンサ50’およびカメラレンズ51’を有しており、同様に、第2の検査用ラインセンサカメラ7’は、ラインセンサ70’およびカメラレンズ71’を有している。この例では、各カメラ5’、7’は横向きに配置されており、各カメラレンズ51’、71’の前方に配置されたミラー13、14を介して、第2の搬送コンベア4’上の錠剤の映像が撮像されるようになっている。ミラー13の近傍には、第2の搬送コンベア4’上の錠剤に光を照射する一対の照明ユニット10’ (例えばLED照明ユニット)が設けられており、同様に、ミラー14の近傍には、第2の搬送コンベア4’上の錠剤に光を照射する一対の照明ユニット11’ (例えばLED照明ユニット)が設けられている。
【0048】
不良品排出ユニット9には、下方に延びるシュート90が接続されており、不良品排出ユニット9により吸引された不良品は、シュート90を通って下方の不良品排出ボックス(図示せず)に排出されるようになっている。また、第2の搬送コンベア4’の下流端には、開閉可能な不良品排出ダンパー17を介して、シュート18が接続されている。不良品排出ダンパー17は、支軸17aの回りを回動可能に設けられており、不良品排出ユニット9が吸引ミスにより不良品の回収に失敗したときに回動して開くことにより、当該不良品およびその周囲の錠剤をすべて下方のシュート19に排出するようになっている。また、不良品排出ダンパー17は、不良品排出ユニット9が正常に動作している際には閉じており、これにより、印刷処理が終了した良品は、不良品排出ダンパー17を通ってシュート18から下方の良品回収ボックス(図示せず)に回収されるようになっている。あるいは、良品は、シュート18を通って、包装工程等の次工程に送られるようになっている。
【0049】
<複数列振分けユニット>
図2ないし図12は、複数列振分けユニットを説明するための図である。
図2に示すように、この複数列振分けユニット3は、振分けトラフ30と、その下流側に配設された整列トラフ31と、これらの間に配置された傾き修正トラフ32とを有している。
【0050】
振分けトラフ30は、図3ならびにその幅方向の横断面図である図4ないし図7に示すように、幅方向中央に配置された山形状の中央分散部30Aと、中央分散部30Aの左右両側に設けられた山形状の複数の振分け部30B、30Cとを有している。
【0051】
中央分散部30Aは、振動フィーダ20(図1)から送られてきた多数の錠剤Tを左右に分散させるためのものであって、錠剤搬送方向に延設された左右一対の傾斜面30aを有している。各傾斜面30aは、左右対称である方が好ましいが、必ずしも左右対称でなくてもよい。
【0052】
振分け部30B、30Cは、中央分散部30Aにより左右に分散された各錠剤Tを幅方向の複数列に振り分けるためのものであって、錠剤搬送方向に延設された左右非対称の一対の傾斜面30b1、30b2および30c1、30c2をそれぞれ有している。第1の傾斜面30b1、30c1は、中央分散部30Aに近い側に配置されており、第2の傾斜面30b2、30c2は、中央分散部30Aから離れた側に配置されている。第1の傾斜面30b1、30c1は、第2の傾斜面30b2、30c2に比べて、より直立状態またはこれに近い状態に配置されており、これに対して、第2の傾斜面30b2、30c2は、第1の傾斜面30b1、30c1に比べて、より傾斜した状態に配置されている。
【0053】
また、振分け部30B、30Cは、図4→図5→図6→図7と下流側に向かうにしたがい、中央分散部30Aに近い側の振分け部30B、30Cから順に、その山形状の高さが徐々に高くなっている。このように構成したのは、以下の理由による。
【0054】
図4中の錠剤T”のように、他の錠剤Tの上に重なった状態で搬送される錠剤があった場合、これらの錠剤T、T”が配置された傾斜面30c2が錠剤搬送方向下流側に向かうにしたがい徐々に立ち上ってその高さが高くなっていることで、図5→図6→図7に示すように、搬送中に錠剤T”が錠剤Tの上から滑り落ちて、外側の傾斜面30c2の上に移動する。これにより、傾斜面30c2上での錠剤の重なり合いを防止できる。また、この場合には、振分け部30B、30Cの各傾斜面30b2、30c2の高さが、中央分散部30Aに近い側から順に徐々に高くなっているので、中央分散部30Aに近い側の傾斜面30b2、30c2の上で錠剤が重なっていた場合には、当該錠剤は、搬送中に一つずつ外側の傾斜面30b2、30c2の上に移動し、最終的に搬送方向下流端では、各傾斜面30b2、30c2の上には、錠剤が上下に重なり合うことなく、一つずつ配置されることになる。このようにして、多数の錠剤が中央分散部30Aおよび振分け部30B、30Cの各傾斜面30a、30b2、30c2の上に上下の重なり合いなく分散されることになる。
【0055】
振分けトラフ30の下流端側では、図7に示すように、異形のV字状の溝が幅方向に7個形成されている。振分けトラフ30により分散されて左右に振り分けられた各錠剤Tは、中央分散部30Aの各斜面30a、各振分け部30B、30Cの第2の傾斜面30b2、30c2の上にそれぞれ載置されて斜めの状態で保持されており、その側面は第1の傾斜面30b1、30c1で支持されている(図7参照)。
【0056】
これに対して、振分けトラフ30の上流端から下流端にかけて、単なる矩形状断面の溝が7本形成されている場合には、当該矩形状断面の溝の中で錠剤同士が上下に積み重なったり、錠剤が起立したりするという不具合が発生しやすく、各錠剤を複数列に振り分けるのは困難である。
【0057】
なお、図7中、錠剤T’は、錠剤Tとは逆の向きに傾斜しており、側面が第2の傾斜面30b2で支持されるとともに、表面または裏面のいずれかが第1の傾斜面30b1で支持されており、錠剤Tと比べて起立した状態におかれているが、これについては後述する。
【0058】
また、この例では、中央分散部30Aが、振分けトラフ30の正確に幅方向中央の位置には配置されていないが、これは、振分け部30Bの個数が2個、振分け部30Cの個数が3個と異なっているためである。各振分け部30B、30Cの個数が同数であれば、中央分散部30Aは、振分けトラフ30の正確に幅方向中央の位置に配置されることになる。なお、図5、図6では、図示の便宜上、錠剤Tを省略して示している。
【0059】
整列トラフ31は、図8および図9に示すように、その上流端では、振分けトラフ30の下流端における横断面形状(図7参照)と略同一の形状を有しているが、図9→図10→図11→図12と下流側に向かうにしたがい、異形のV字状の横断面形状をしていた各溝が、徐々に断面矩形状の溝に変化している。これにともない、整列トラフ31の下流側では、各錠剤Tは、対応する断面矩形状の各溝31gに収容されて、水平状態に維持されている。各溝31gの底部31dは、整列トラフ31の下流端には設けられておらず、各溝31gは、整列トラフ31の下流端では上下に貫通している(図8参照)。また、図8および図10に示すように、整列トラフ31の上流側には、錠剤同士の接触や錠剤とトラフの接触等により発生した粉、ならびに前工程で混入した欠け錠や欠片を下方に排出するため長孔31eが貫通形成されている。なお、図9ないし図11では、図示の便宜上、錠剤Tを省略して示している。
【0060】
傾き修正トラフ32は、図7中の錠剤T’のように、振分けトラフ30による搬送中に、他の錠剤Tとは逆の向きに傾斜して起立した状態におかれた錠剤を正規の向きに傾けるためのトラフである。平面図である図12AおよびそのB−B線矢視図である図12Bに示すように、傾き修正トラフ32は、振分けトラフ30の中央分散部30Aに対応する位置に配置された一対の傾斜面32aと、その左右両側に設けられた左右非対称な複数対の傾斜面32b1、32b2および32c1、32c2とを有しており、いずれの傾斜面も錠剤搬送方向(図12A上下方向および図12B紙面垂直方向)に延設されている。これらの傾斜面により、それぞれ錠剤搬送方向に延びる異形のV字状の溝が幅方向に7個形成されている。なお、各傾斜面32aは、振分けトラフ30の中央分散部30Aの各傾斜面30aに対応した形状に形成されており、好ましくは左右対称である。
【0061】
第1の傾斜面32b1、32c1は、傾斜面32aに近い側に配置されており、第2の傾斜面32b2、32c2は、傾斜面32aから離れた側に配置されている。第1の傾斜面32b1、32c1は、第2の傾斜面32b2、32c2に比べて、より直立した状態またはこれに近い状態に配置されており、これに対して、第2の傾斜面32b2、32c2は、第1の傾斜面32b1、32c1に比べて、より傾斜した状態に配置されている。
【0062】
第1の傾斜面32b1は、上流端(図12A下端)に配置された傾斜面32b1’と、その下流側(同図上側)に延設された傾斜面32b1”とから形成されており、同様に、第1の傾斜面32c1は、上流端(図12A下端)に配置された傾斜面32c1’と、その下流側(同図上側)に延設された傾斜面32c1”とから形成されている。上面から見たとき、傾斜面32b1’、32c1’は、それぞれ傾斜面32b1”、32c1”に対して角度αだけ傾斜して配置されている。
【0063】
傾斜面32b1”および32c1”は、溝の底部32dから上方(図12B上方)に平坦状に延びているが、傾き修正トラフ32の底面32Aに対して溝の底部32dに立てた垂線PLよりも溝の側に傾斜して配置されている。また、傾斜面32b1’および32c1’は、その上流端(図12A下端)においては、溝の底部32dから上方(図12B上方)に直線状に延びるとともに、溝の底部32dに立てた垂線PLに沿って配置されているが、当該上流端から第2の傾斜面32b1”および32c1”との連結部分にかけては、溝の底部32dから上方に平坦状に延びるとともに、溝の底部32dに立てた垂線PLよりも溝の側に傾斜して配置されている。
【0064】
これにより、振分けトラフ30において錠剤Tとは逆の向きに傾斜して起立した状態におかれている錠剤T’(図7)は、図12Cに示すように、傾き修正トラフ32に導入されて、錠剤T’の表面または裏面のいずれかが傾き修正トラフ32の傾斜面32b1’に当接すると、傾斜面32b1’が溝内に張り出しているため、錠剤T’がさらに起立した状態になり、この状態から錠剤T’が傾斜面32b1”まで移動する間に、傾斜面32b1’の溝内への張出量がさらに増えるため、錠剤T’は傾き修正トラフ32への導入時とは逆の方向に倒され、その結果、錠剤T’が溝の傾斜面32b2の上に載置されて、その状態で下流側に搬送されることになる。その一方、振分けトラフ30において傾斜面30a、30b2、30c2の上に載置されて傾き修正トラフ32に導入された各錠剤Tは、それぞれ傾斜面32a、32b2、32c2の上に載置された状態で下流側に搬送される。
【0065】
なお、振分けトラフ30、整列トラフ31および傾き修正トラフ32の表面には、各溝内での錠剤T、T’の滑りをよくするために、例えばタフラム処理等の表面処理が施されている。
【0066】
<第1の搬送コンベア>
図13ないし図15は、第1の搬送コンベアを説明するための図である。
図13に示すように、第1の搬送コンベア4の上流端は、整列トラフ31の下流端の下方にオーバラップして配置されている。第1の搬送コンベア4は、搬送方向(図13左右方向)と直交する幅方向に所定の間隙4eを隔てて並設された複数本(ここでは8本)のタイミングベルト4aから構成されている。各間隙4eは、整列トラフ31の各溝31gの幅方向中央に配置されている。第1の搬送コンベア4の下方には、図14に示すように、当該第1の搬送コンベア4の幅方向および搬送方向に延在する支持プレート45が設けられている。支持プレート45の上面には、第1の搬送コンベア4の搬送方向に延びる8本の溝45aが一定間隔で形成されており、各溝45a内に各タイミングベルト4aがスライド自在に収容されている。
【0067】
また、隣り合う各溝45aの間において支持プレート45の上面には、エアを吸引するための複数の吸引孔45bが開口形成されており(図13参照)、各吸引孔45bは、幅方向に隣り合う各タイミングベルト4a間の間隙4e内に露出している。この構成により、各吸引孔45bからエアを吸引することによって、幅方向に隣り合う各タイミングベルト4a間の間隙4eで各錠剤Tが吸着保持されるようになっている。
【0068】
図13に示す例では、各吸引孔45bは、第1の搬送コンベア4の上流端が整列トラフ31の下流端とオーバラップする個所にのみ設けられているが、第1の搬送コンベア4の搬送方向全体にわたって設けられていてもよい。
【0069】
この場合には、錠剤Tが整列トラフ31から第1の搬送コンベア4上に受け渡される際に、さらには、第1の搬送コンベア4による錠剤Tの搬送中に、第1の搬送コンベア4上から錠剤Tが脱落したり、第1の搬送コンベア4上で錠剤Tが振動したり、位置ずれを起こしたりするのが防止されており、その結果、錠剤Tを高速で搬送できるとともに、錠剤Tの表面に対して正確な位置に印刷処理を行えるようになる。
【0070】
なお、第1の搬送コンベア4の上流端が整列トラフ31の下流端とオーバラップする個所にのみ各吸引孔45bが設けられていることにより、錠剤Tが整列トラフ31から第1の搬送コンベア4上に受け渡される際にのみ錠剤Tが各吸引孔45bで吸引され、第1の搬送コンベア4による搬送中には錠剤Tが吸引されない場合には、第1の搬送コンベア4の走行速度をあまり高速にすることはできないが、この場合でも、本実施例によれば、第1の搬送コンベア4が複数本のタイミングベルト4aから構成されていることにより、多数の錠剤Tを複数列で搬送することが可能であり、これにより、錠剤1個当たりの処理速度を向上できる。
【0071】
図14は、錠剤Tとして、平錠を例にとって示しているが、錠剤TがR錠の場合には、図15に示すように、R錠と接触する各タイミングベルト4aの角部にR面取り部45rを設けるようにするのが好ましい。これは、タイミングベルト4aの角部とR錠が点接触することでR錠の表面に傷が付くのを防止するためである。また、R面取り部45rを設けることで、R錠が各タイミングベルト4a間の間隙4e内に嵌り込み(図15参照)、その結果、搬送中に傾きやすいR錠を安定して搬送できるようになる。
【0072】
<第1のラインセンサカメラ>
図16ないし図18は、第1の検出用および検査用ラインセンサカメラを説明するための図である。
図16に示すように、第1の検出用ラインセンサカメラ5は、ラインセンサ(CMOSセンサ)50と、レンズマウント52を介してラインセンサ50に取り付けられたカメラレンズ51とを有している。図17および図18に示すように、第1の検出用ラインセンサカメラ5の撮影ライン5Lは、第1の搬送コンベア4の幅方向に配置されている。したがって、第1の搬送コンベア4による錠剤Tの搬送中に第1の検出用ラインセンサカメラ5による撮影(ラインスキャン)を開始すると、第1の搬送コンベア4の停止中には1画素列分のデータ(ラインデータ)であっても、第1の搬送コンベア4が移動することで、エリアセンサに比べて大きな画素数のエリアデータが得られることになる。
【0073】
第1の検出用ラインセンサカメラ5のラインセンサ50により検出される錠剤Tの検出データは、錠剤Tの種別や位置、姿勢(向き)、表裏の情報等を含んでいる。また、撮影時には、第1の検出用ラインセンサカメラ5は、錠剤Tの移動速度(つまり第1の搬送コンベア4の搬送速度)と同期している。
【0074】
第1の検査用ラインセンサカメラ7も同様の構成を有しており、図16に示すように、ラインセンサ(CMOSセンサ)70と、レンズマウント72を介してラインセンサ70に取り付けられたカメラレンズ71とを有している。また、図18に示すように、第1の検査用ラインセンサカメラ7の撮影ライン7Lも同様に、第1の搬送コンベア4の幅方向に配置されている。したがって、第1の搬送コンベア4による錠剤Tの搬送中に第1の検査用ラインセンサカメラ7による撮影(スキャン)を開始すると、第1の搬送コンベア4の停止中には1画素列分のデータ(ラインデータ)であっても、第1の搬送コンベア4が移動することで、エリアセンサに比べて大きな画素数のエリアデータが得られることになる。
【0075】
第1の検査用ラインセンサカメラ7のラインセンサ70により検出される錠剤Tの検査データは、印字にかすれがないか、印字が所定の位置にされているか等の印刷不良に関する情報を含んでいる。また、撮影時には、第1の検査用ラインセンサカメラ7についても、錠剤Tの移動速度(つまり第1の搬送コンベア4の搬送速度)と同期している。
【0076】
第1の検査用ラインセンサカメラ7により、印刷不良等の不良品が検出された場合、当該不良品の位置情報は、第1の搬送コンベア4上の情報(反転後には第2の搬送コンベア4’上の情報)として登録されることで、当該不良品は、第2の搬送コンベア4’での搬送中に不良品排出ユニット9により系外排出されるようになっている。
【0077】
第1の検出用ラインセンサカメラ5の下方には、第1の搬送コンベア4上の錠剤に向かって(正確には第1の検出用ラインセンサカメラ5の撮影ライン5Lに向かって)光を照射する一対の照明ユニット10が設けられており、同様に、第1の検査用ラインセンサカメラ7の下方には、第1の搬送コンベア4上の錠剤に向かって(正確には第1の検査用ラインセンサカメラ7の撮影ライン7Lに向かって)光を照射する一対の照明ユニット11が設けられている。
【0078】
なお、一般に、錠剤は白色のものが多いため、たとえば、第1の搬送コンベア4の各タイミングベルト4aの表面を黒色にすることで、ラインセンサカメラ5、7の撮影時のコントラストを強くすることができる。
【0079】
<第1のインクジェットプリンタ部>
図16、図18ないし図20は、第1のインクジェットプリンタ部を説明するための図である。
図16に示すように、第1のインクジェットプリンタ部6は、第1の検出用ラインセンサカメラ5と第1の検査用ラインセンサカメラ7の間に配置されており、好ましくはラインヘッド型の第1のインクジェットヘッド(IJPヘッド)60を有している。インクジェットヘッド60は、支持プレート61に取り付けられており、図18に示すように、第1の搬送コンベア4の幅方向に配置されている。また、第1のインクジェットプリンタ部6は、当該錠剤印刷装置1の前面パネル110に貫通形成された開孔110aに対して前後方向(図16紙面垂直方向)に出没可能に設けられている。
【0080】
図19に示すように、インクジェットヘッド60には、インク導入用のコネクタ61Aと、インク排出用(インク充填時のエア抜き用)のコネクタ61Bとが接続されている。支持プレート61には、インクジェットヘッド60から吐出したインクが通過するための貫通孔61aが形成されている。支持プレート61の後端61bには、ブラケット62が固定されており、ブラケット62には、前後方向(図19左右方向)に延びるボールネジ63が螺合している。ボールネジ63の前後端は、軸受64、65により回転自在に支持されている。また、ボールネジ63の後端は、カップリング66を介して、サーボモータ67の出力軸に駆動連結されている。また、ブラケット62には、ボールネジ63の回転時にブラケット62の移動をガイドするためのLM(Linear Motion)ガイド68が取り付けられている。LMガイド68は、前後方向に配設されたLMレール68Aと、LMレール68Aの上をスライド自在に設けられたLMブロック68Bとから構成されており、LMブロック68Bは、ブラケット62に固定されている。
【0081】
この構成により、サーボモータ67が駆動されてボールネジ63が回転すると、ブラケット62および支持プレート61を介して第1のインクジェットヘッド60が前後方向、すなわち各錠剤の列方向(図20矢印方向)に移動するようになっており、第1のインクジェットプリンタ部6は、インクジェットヘッド60が第1の搬送コンベア4の上に配置された印刷位置(図18一点鎖線位置および図19実線位置参照)と、前面パネル110の後方に後退した後退位置(図19一点鎖線位置)とをとり得るようになっている。後退位置は、例えば、インクジェットヘッド60のパージやワイプ、すなわち、インクまたはメンテナンス液を吐出させてインクジェットヘッド60のクリーニングを行うメンテナンス作業等のために設けられている。
【0082】
また、図19に示すように、LMガイド68の下方には、後退位置におかれたインクジェットヘッド60のヘッド面60aに蓋をしてヘッド面60aの乾燥を防ぐためのキャップ69Aが設けられている。キャップ69Aの下部には、後退位置におかれたインクジェットヘッド60のヘッド面60aに向かって、キャップ69Aを斜め上方に移動させるためのキャップ移動ユニット69が設けられている。キャップ移動ユニット69は、例えば空気圧シリンダから構成されている。
【0083】
インクジェットヘッド60は、例えばピエゾ方式を採用しているが、その印刷の際には、第1の検出用ラインセンサカメラ5で検出された各錠剤Tの位置、姿勢(向き)、表裏等の情報データが高速処理されて、その処理結果に基づいて、インクジェットヘッド60の何番目のノズルからインクを吐出させるかのデータがインクジェットヘッド60に送られており、インクジェットヘッド60の印字位置は固定されている。
【0084】
すなわち、図20に示すように、インクジェットヘッド60が印刷位置におかれて印刷処理を行っているとき、インクジェットヘッド60のインク吐出領域は、例えば、一点鎖線で囲む領域Pに固定されており、隣り合う各領域Pの間の領域P’からはインクが吐出されない。そこで、長時間使用されていないノズルの乾燥による孔詰まりを防止するために、メンテナンス時にインクジェットヘッド60が後退位置に移動した後、再び印刷位置に復帰する際に、インクジェットヘッド60の位置を数ミリずつ変えてインクジェットヘッド60を前回の印刷位置とは異なる位置に移動させるとともに、そのときの位置のずれ量を補正することで、復帰後の印刷処理が適切に行われるようにしている。
【0085】
また、印刷時には、インクジェットプリンタ部6の印字タイミングは、錠剤Tの移動速度(つまり第1の搬送コンベア4の搬送速度)と同期しており、これにより、移動中の錠剤Tに正確に印刷処理を施すことができる。
【0086】
<反転装置>
図16、図21および図22は、反転装置を説明するための図である。
図16に示すように、反転装置8は、第1の搬送コンベア4が巻き掛けられる反転ローラ80を有している。反転ローラ80の内部には、図22に示すように、反転ローラ80の外周に沿って並設された多数の隔室80aが設けられている(同図では上下の2つの隔室80aのみ図示)。各隔室80aは、反転ローラ80の径方向に延びかつ軸方向に延在しており、反転ローラ80の一端に開口している。また、各隔室80aは、反転ローラ80の外周面に開口しかつ第1の搬送コンベア4上の各錠剤を吸引するための複数の吸引孔80bを有している。各吸引孔80bは、第1の搬送コンベア4が反転ローラ80に巻き掛けられたときに、第1の搬送コンベア4を構成する各タイミングベルト4aの間の間隙4eに対応する位置に配置されている。
【0087】
反転ローラ80の隔室開口側端面には、円形状のプレート81が配置されており、プレート81には、その外周面に沿って半円孤状に延びかつ反転ローラ80の各隔室80aに連通する吸引用チャンバ81aが貫通形成されている(図16参照)。プレート81は、ベース82に取り付けられている。ベース82には、プレート81の吸引用チャンバ81aとオーバラップする位置に、複数の貫通孔82aが形成されている(図16参照)。各貫通孔82aにはそれぞれコネクタ83が取り付けられており(図22では下側のコネクタ83のみ図示)、各コネクタ83には、エア吸引用の吸引ホース84がそれぞれ取り付けられている。また、ベース82は、図示しない調整ネジの作用によって、反転ローラ80の端面に圧接している。
【0088】
この構成により、各吸引ホース84からエアを吸引することによって、貫通孔82a、吸引用チャンバ81a、隔室80aおよび吸引孔80bからエアが吸引され、これにより、第1の搬送コンベア4上の各錠剤Tは、反転ローラ80の外周面に沿って移動する際にも、第1の搬送コンベア4上に吸着保持されるようになっている(図21参照)。
【0089】
なお、吸引用チャンバ81aは、図16に示すように、反転ローラ80から第2の搬送コンベア4’への受渡しポイントHまで延設されている。したがって、吸引用チャンバ81aによる吸引は、反転ローラ80から第2の搬送コンベア4’に錠剤Tが受け渡されるまでの間であり、受渡しポイントHより下流側では、反転ローラ80によっては吸引されず、第2の搬送コンベア4’側に設けられた吸引孔(図示せず)によって吸引されるようになっている。
【0090】
反転装置8の駆動機構は、図22に示すように、サーボモータ本体85Aに減速機85Bが取り付けられた減速機付きサーボモータ85を有している。サーボモータ85の出力軸端にはタイミングプーリ86が取り付けられている。一方、サーボモータ85の側方には、ブラケット87Aに回転自在に支持された回転軸87が配設されている。回転軸87の先端には、タイミングプーリ88が取り付けられており、各タイミングプーリ86、88間には、タイミングベルト89が巻き掛けられている。また、回転軸87の他端は、反転ローラ80の中央に形成された穴80cにキー止め固定されており、その端面には、反転ローラ80を回転軸87に対して軸方向に固定するロックネジ87Bが螺合している。
【0091】
第2の搬送コンベア4’の上流側において、反転ローラ80の下方には、第2の搬送コンベア4’と反転ローラ80との間隙を調整するための高さ調節ユニット15が設けられており(図1参照)、この高さ調節ユニット15は、図23に示すように、サーボモータ115と、その出力軸115aに取り付けられたレバー116とを有している。レバー116の先端には、切欠き116aが形成されており、切欠き116aには、前後方向(図23(a)上下方向)に延びる支軸118の一端が係合している。一方、第2の搬送コンベア4’の下方には、当該第2の搬送コンベア4’の幅方向に延在する昇降プレート117が配設されている。支軸118の一部は、昇降プレート117の下面に取り付けられている。
【0092】
この場合には、サーボモータ115を駆動して、レバー116を回動させることにより、支軸118を介して昇降プレート117が上方または下方に移動し(図23(b)実線および一点鎖線参照)、これにより、第2の搬送コンベア4’と反転ローラ80との間隙が調整されるようになっている。このようにして、錠剤の厚みが異なった場合に対応できる。
【0093】
また、昇降プレート117の一部には多数の貫通孔(図示せず)が形成されるとともに、その下面の一部には、当該貫通孔からエアを吸引するためのチャンバ部120が設けられている。チャンバ部120はダクト119に接続されている。ダクト119を介してチャンバ部120からエアが吸引されることで、第2の搬送コンベア4’上の各錠剤が第2の搬送コンベア4’上に吸着保持されるようになっている。
【0094】
<第2の搬送コンベア>
図25は、第2の搬送コンベアを説明するための図である。
同図に示すように、第2の搬送コンベア4’は、第1の搬送コンベア4と同様に、搬送方向(図左右方向)と直交する幅方向に所定の間隙4’eを隔てて並設された8本のタイミングベルト4’aから構成されている。なお、錠剤TがR錠の場合に各タイミングベルト4’aの角部にR面取り部を設ける点は、第1の搬送コンベア4の場合と同様である。
【0095】
<第2のラインセンサカメラ>
図24は、第2の検出用および検査用ラインセンサカメラを説明するための図である。同図において、図16と同一符号は同一または相当部分を示している。
第2の検出用ラインセンサカメラ5’は、横向き(水平方向)に配置されている点を除いて、第1の検出用ラインセンサカメラ5と同様の構成を有しており、図24に示すように、ラインセンサ(CMOSセンサ)50’と、レンズマウント52’を介してラインセンサ50’に取り付けられたカメラレンズ51’とを有している。第2の検出用ラインセンサカメラ5’は、レンズ前方のミラー13を介して、第2の搬送コンベア4’上の錠剤を検出しており、第2の検出用ラインセンサカメラ5’の撮影ラインは、第2の搬送コンベア4’の幅方向に配置されている。
【0096】
第2の検出用ラインセンサカメラ5’のラインセンサ50’により検出される錠剤Tの検出データは、錠剤Tの種別や位置、姿勢(向き)、表裏の情報等を含んでいる。また、撮影時には、第2の検出用ラインセンサカメラ5’は、錠剤Tの移動速度(第2の搬送コンベア4’の搬送速度)と同期している。
【0097】
第2の検査用ラインセンサカメラ7’についても、横向き(水平方向)に配置されている点を除いて、第1の検査用ラインセンサカメラ7と同様の構成を有しており、図24に示すように、ラインセンサ(CMOSセンサ)70’と、レンズマウント72’を介してラインセンサ70’に取り付けられたカメラレンズ71’とを有している。第2の検査用ラインセンサカメラ7’は、レンズ前方のミラー14を介して、第2の搬送コンベア4’上の錠剤を検出しており、第2の検査用ラインセンサカメラ7’の撮影ラインは、第2の搬送コンベア4’の幅方向に配置されている。
【0098】
第2の検査用ラインセンサカメラ7’のラインセンサ70’により検出される錠剤Tの検査データは、印字にかすれがないか、印字が所定の位置にされているか等の印刷不良に関する情報を含んでいる。また、撮影時には、第2の検査用ラインセンサカメラ7’についても、錠剤Tの移動速度(第2の搬送コンベア4’の搬送速度)と同期している。
【0099】
ミラー13の下方には、第2の検出用ラインセンサカメラ5’の撮影ラインに向かって光を照射する一対の照明ユニット10’が設けられており、同様に、ミラー14の下方には、第2の検査用ラインセンサカメラ7’の撮影ラインに向かって光を照射する一対の照明ユニット11’が設けられている。
【0100】
なお、第2の搬送コンベア4’の各タイミングベルトについても、白色の錠剤とのコントラストを強めるために、表面を黒色にするようにしてもよい。
【0101】
<不良品排出ユニット>
図25ないし図28は、不良品排出ユニットを説明するための図である。
これらの図に示すように、不良品排出ユニット9は、第2の搬送コンベア4’の上方に配置された筺体91と、筺体91の前面側下部から筺体91に対して抜き差し自在に設けられたプレート92とを備えている。筺体91の下部には、前後方向に延びるガイドレール91aが設けられており、プレート92はガイドレール91aにスライド自在に支持されている。
【0102】
プレート92には、図25に示すように、第1、第2の搬送コンベア4、4’により搬送される各錠剤Tの各列に対応した複数(ここでは7個)の貫通孔92aが上下方向に貫通形成されている。この例では、第2の搬送コンベア4’の上流側に4個の貫通孔92aが形成され、下流側に3個の貫通孔92aが形成されており、各貫通孔92aは、第2の搬送コンベア4’の各タイミングベルト4’a間の各間隙4’eの上方位置にそれぞれ配置されている。また、各貫通孔92aの直径は、錠剤Tの直径よりも若干大きく製作されている。
【0103】
筺体91の内部には、図25および図26に示すように、上下方向に屈曲しつつ延びるとともに、プレート92の各貫通孔92aに対応した複数(ここでは7個)の通路91bが設けられている。各通路91bの下側端は、筺体91に装着されたプレート92の各貫通孔92aに開口している。また、筺体21の内部には、第2の搬送コンベア4’の幅方向に延びる一対の通路91cが並設されている。各通路91bの上側端は、通路91cに開口している。通路91cは、図28に示すように、先に進むにしたがい、その底面91c1が徐々に下方に傾斜する傾斜面を有している。通路91cの終端は、不良品排出ボックス(図示せず)に通じるシュート90に連結されている。
【0104】
筺体91には、図25および図26に示すように、各通路91bに対応する位置にそれぞれジョイント91d、91eが接続されている。各ジョイント91d、91eには、圧搾空気が供給されるホース(図示せず)が接続されている。ジョイント91dは、通路91bの上部に圧搾空気を導入するためのものであり、ジョイント91eは、通路91bの下部に圧搾空気を導入するためのものである。
【0105】
また、筺体91には、図25に示すように、第2の搬送コンベア4’の上流側の側面に沿って複数(ここでは7個)のセンサ91sが設けられており(図27参照)、下流側の側面に沿って複数(ここでは7個)のセンサ91’sが設けられている(図26参照)。センサ91sは、不良品の位置を検出するためのものであり、センサ91’sは、不良品の排出を確認するためのものであって、例えば光ファイバセンサから構成されている。
【0106】
この構成により、センサ91sで検出された不良品Tiが通路91bの下側端の開口位置の下方に移動したとき、ジョイント91eから通路91b内に圧搾空気を導入すると、通路91bの下部が負圧状態となることで、不良品Tiがプレート92の貫通孔92aを通って通路91b内に吸い込まれるようになっている。通路91b内に吸い込まれた不良品Tiは、ジョイント91dから通路91b内に導入される圧搾空気の作用によって、通路91bの上側端の開口から通路91cに入り、通路91cの傾斜面91c1を通って、シュート90から下方の不良品排出ボックスに系外排出されるようになっている。
【0107】
この場合には、不良品のみをピンポイントで吸引することができ、不良品排出時に良品を巻き込むのを防止できる。なお、万一、不良品が吸引排出されなかった場合には、当該不良品はセンサ91’sで検出される。この場合には、当該不良品が第2の搬送コンベア4’の下流端からシュート18(図1)に排出される際に、不良品排出ダンパー17を駆動して開くことにより、当該不良品がその周りの錠剤と一緒に下方のシュート19にすべて排出されるようになっている。
【0108】
なお、プレート92が筺体91に対して着脱自在に設けられていることにより、搬送される錠剤の大きさや直径、厚みが異なった場合には、プレート92を取り換えることで容易に対応可能である。
【0109】
<制御部>
次に、錠剤印刷装置1の制御部について、図29を用いて説明する。
同図に示すように、制御部200の入力ポートには、第1、第2の搬送ベルト4、4’の移動位置をそれぞれ検出するためのロータリーエンコーダ42、42’と、第1、第2の検出用ラインセンサカメラ5、5’と、第1、第2の検査用ラインセンサカメラ7、7’と、第1、第2の検出用ラインセンサカメラ5、5’で検出された各錠剤の検出データに基づいて各錠剤に印刷すべき印刷パターンを作成する画像処理装置150と、不良品位置検出用のセンサ91sと、不良品位置確認用のセンサ91’sと、キーボード等のその他の入力部151とが接続されている。
【0110】
制御部200の出力ポートには、第1の搬送コンベア4を駆動するサーボモータ85および第2の搬送コンベア4’を駆動するサーボモータと、第1、第2のインクジェット(IJP)ヘッド60、60’と、これらを駆動するIJPコントローラ152と、不良品排出ユニット9と、不良品排出ダンパー17と、振動フィーダ20a、33と、モニター等の他の出力部153とが接続されている。
【0111】
<錠剤に対する検出・印刷・検査処理>
次に、第1、第2の搬送コンベア4、4’上の各錠剤Tに対する検出処理、印刷処理および検査処理について、図30ないし図35を用いて説明する。これらの図のうち、図30ないし図32は、第1の搬送コンベア4上の錠剤Tに対する各処理を、図33ないし図35は、第2の搬送コンベア4’上の錠剤Tに対する各処理をそれぞれ示している。
【0112】
各図においては、図示の便宜上、第1、第2の搬送コンベア4、4’上の各錠剤Tが、搬送方向と直交する幅方向に整列した状態を示している。実際の運転においては、第1、第2の搬送コンベア4、4’上の各錠剤Tは、搬送方向と直交する幅方向に整列しておらず、ランダムに配置されている。しかしながら、この場合でも、第1、第2の搬送コンベア4、4’の幅方向に隣り合う各錠剤Tの間隔は一定に維持されている。また、図示の簡略化のために、錠剤Tが幅方向に7列ではなく、4列で搬送される状態を示している。なお、錠剤Tとしては、一方の面に割線が形成された割線錠を例にとって示しており、ここでは、割線の形成されていない側の面にのみ印刷処理を施す場合を例にとって説明する。
【0113】
また、各図中、「検出」と記された一点鎖線の位置は、第1、第2の検出用ラインセンサカメラ5、5’による検出位置を示し、「IJP」と記された一点鎖線の位置は、第1のインクジェットプリンタ部6、6’による印刷位置を示し、「検査」と記された一点鎖線の位置は、第1、第2の検査用ラインセンサカメラ7、7’による検査位置を示している。
【0114】
ホッパ2(図1)から供給され、複数列振分けユニット3(図1)により所定列数の複数列に振り分けられた多数の錠剤Tは、図30に示すように、第1の搬送コンベア4により、複数列のまま図示矢印方向(第1の搬送方向)にランダムに搬送されてくる(図13参照)。このとき、各錠剤Tは、表裏がばらばらになっており、割線の向きもランダムであるが、上述したように、搬送方向と直交する幅方向において隣り合う各錠剤Tの間隔は一定である。
【0115】
各錠剤Tは、図30に示す検出位置において、第1の検出用ラインセンサカメラ5により検出される。このとき、各錠剤Tは、第1の検出用ラインセンサカメラ5のカメラレンズ51により撮影され、撮影された画像データがラインセンサ50により検出される。ラインセンサ50により検出された各錠剤Tの検出データには、錠剤Tの種別や位置、姿勢(向き)、表裏の情報等を含んでいる。また、第1の検出用ラインセンサカメラ5による撮影は、錠剤Tの移動速度(第1の搬送コンベア4の搬送速度)と同期して行われる。
【0116】
第1の検出用ラインセンサカメラ5により検出された各錠剤Tは、図31に示すように、印刷位置において、第1のインクジェットプリンタ部6により印刷処理を受ける。このとき、第1のインクジェットプリンタ部6は、第1の検出用ラインセンサカメラ5で検出された各錠剤Tの検出データに基づいて、搬送中の各錠剤Tに印刷を行う。この例では、割線が形成された側の面には印刷処理が行われず、割線が形成されていない側の面にのみ印刷処理が行われる。また、印刷時には、第1のインクジェットプリンタ部6による印字タイミングは、錠剤Tの移動速度(第1の搬送コンベア4の搬送速度)と同期しており、これにより、移動中の錠剤Tに正確に印刷処理を施すことができる。
【0117】
なお、第1のインクジェットプリンタ部6により印刷される印字パターンとしては、図31に示すように、記号からなる「社マーク」や数字からなる「錠剤コード」の他、「会社略号」、「使用期限」、「製造番号」、「主薬含量」、「QRコード(登録商標)」、「バーコード」等が含まれる。これらの印刷パターンのうち、「錠剤コード」や「主薬含量」、「QRコード(登録商標)」、「バーコード」等は薬の種類によって変わり、また「使用期限」や「製造番号」等は同じ種類の薬であっても変わるものであるが、本実施例では、インクジェット方式で印刷を行うため、パソコン等により印字パターンの変更が容易に行える。また、錠剤に対して非接触で印刷を行えることにより、素錠(裸錠)やFC(Film Coating)錠、糖衣錠を含む任意の剤形の錠剤に適用でき、また、平錠やR錠を含む任意の形状の錠剤に適用でき、いずれも場合も鮮明な印刷処理が可能である。
【0118】
第1のインクジェットプリンタ部6により印刷処理が施された各錠剤Tは、図32に示すように、検査位置において、第1の検査用ラインセンサカメラ7により検査される。このとき、各錠剤Tへの印刷状態は、第1の検査用ラインセンサカメラ7のカメラレンズ71により撮影され、撮影された画像データがラインセンサ70により検知される。このとき、ラインセンサ70により検知される各錠剤Tの検査データは、印字にかすれがないか、印字が所定の位置にされているか等の印刷不良に関する情報を含んでいる。また、第1の検査用ラインセンサカメラ7による撮影は、錠剤Tの移動速度(第1の搬送コンベア4の搬送速度)と同期して行われる。
【0119】
各錠剤Tに対する上述した検出・印刷・検査処理は、第1の搬送コンベア4による各錠剤Tの搬送中に連続して行われる。すなわち、図32に示すように、検査位置で搬送方向上流側の各錠剤Tが検査処理を受けている間、その搬送方向下流側の各錠剤に対しては、印刷位置で印刷処理が行われ、このとき、さらに搬送方向下流側の各錠剤に対しては、検出処理が行われている。
【0120】
このように、第1の搬送コンベア4上で検出・印刷・検査処理を受けた各錠剤Tは、反転装置8(図1)により表裏を反転されて、第2の搬送コンベア4’上に受け渡される。受け渡された各錠剤Tは、図33に示すように、第2の搬送コンベア4’により、複数列のまま図示矢印方向(第2の搬送方向)にランダムに搬送されてくる。このとき、各錠剤Tの表裏は、第1の搬送コンベア4上での表裏の状態と逆になっている。また、この場合でも、搬送方向と直交する幅方向において隣り合う各錠剤Tの間隔は一定である。
【0121】
各錠剤Tは、図33に示す検出位置において、第2の検出用ラインセンサカメラ5’により検出される。このとき、各錠剤Tは、第2の検出用ラインセンサカメラ5’のカメラレンズ51’により撮影され、撮影された画像データがラインセンサ50’により検出される。ラインセンサ50’により検出された各錠剤Tの検出データには、錠剤Tの位置や姿勢(向き)、表裏の情報等を含んでいる。また、第2の検出用ラインセンサカメラ5’による撮影は、錠剤Tの移動速度(第2の搬送コンベア4’の搬送速度)と同期して行われる。
【0122】
第2の検出用ラインセンサカメラ5’により検出された各錠剤Tは、図34に示すように、印刷位置において、第2のインクジェットプリンタ部6’により印刷処理を受ける。このとき、第2のインクジェットプリンタ部6’は、第2の検出用ラインセンサカメラ5’で検出された各錠剤Tの検出データに基づいて、搬送中の各錠剤Tに印刷を行う。この例では、割線が形成された側の面には印刷処理が行われず、割線が形成されていない側の面にのみ印刷処理が行われる。また、印刷時には、第2のインクジェットプリンタ部6’による印字タイミングは、錠剤Tの移動速度(第2の搬送コンベア4’の搬送速度)と同期しており、これにより、移動中の錠剤Tに正確に印刷処理を施すことができる。
【0123】
なお、第2のインクジェットプリンタ部6’により印刷される印字パターンとしては、図34に示すように、第1の搬送コンベア4上での印刷処理と同様に、「社マーク」や「錠剤コード」の他、「会社略号」、「使用期限」、「製造番号」、「主薬含量」、「QRコード(登録商標)」、「バーコード」等が含まれる。この場合においても、非接触のインクジェット方式で印刷を行うため、印字パターンの変更が容易に行えるとともに、任意の剤形および形状の錠剤に適用でき、鮮明な印刷処理が可能である。
【0124】
第2のインクジェットプリンタ部6’により印刷処理が施された各錠剤Tは、図35に示すように、検査位置において、第2の検査用ラインセンサカメラ7’により検査される。このとき、各錠剤Tへの印刷状態は、第2の検査用ラインセンサカメラ7’のカメラレンズ71’により撮影され、撮影された画像データがラインセンサ70’により検知される。このとき、ラインセンサ70’により検知される各錠剤Tの検査データは、印字にかすれがないか、印字が所定の位置にされているか等の印刷不良に関する情報を含んでいる。また、第2の検査用ラインセンサカメラ7’による撮影は、錠剤Tの移動速度(第2の搬送コンベア4’の搬送速度)と同期して行われる。
【0125】
各錠剤Tに対する上述した検出・印刷・検査処理は、第2の搬送コンベア4’による各錠剤Tの搬送中に連続して行われる。すなわち、図35に示すように、検査位置で搬送方向上流側の各錠剤Tが検査処理を受けている間、その搬送方向下流側の各錠剤に対しては、印刷位置で印刷処理が行われ、このとき、さらに搬送方向下流側の各錠剤に対しては、検出処理が行われている。
【0126】
図30ないし図35に示す例では、錠剤Tとして割線錠を例にとるとともに、錠剤Tに対して割線が形成されていない側の面にのみ印刷処理を施す場合を例にとって説明したが、この例では、錠剤Tの検出データが錠剤Tの位置のみならず姿勢を含んでいるため、錠剤Tの割線が形成されている側の面において割線の向きに合わせて印刷処理を行うようにしてもよい。
【0127】
<錠剤の不良品排出処理>
次に、第1、第2の検査用ラインセンサカメラ7、7’により印刷不良等の不良品が検出された場合の不良品排出処理について、図36のフローチャートを用いて説明する。
【0128】
まず、図36のステップS1において、不良品が検出されるのを待つ。不良品が検出されれば、ステップS2に移行する。ステップS2では、不良品が第1の搬送コンベア4上で検出されたか否か、つまり第1の検査用ラインセンサカメラ7で不良品を検出したか否かを判断する。
【0129】
不良品が第1の搬送用コンベア4上で検出されていれば、ステップS3に移行する。ステップS3では、当該不良品の位置情報を第1の搬送コンベア4上の位置情報として記憶する。各錠剤Tの第1の搬送コンベア上の位置情報は、第1の検出用ラインセンサカメラ5の検出データを基準として、ロータリーエンコーダ42による第1の搬送コンベア4の移動位置情報を逐次取得することで作成されており、不良品の位置情報についても同様にして作成される。
【0130】
ステップS3での処理後、ステップS4に移行する。ステップS4では、ステップS3で記憶された位置情報を第2の搬送コンベア4’上の位置情報として記憶する。このような処理が必要になるのは、第1の搬送コンベア4上の各錠剤Tが、反転装置8で表裏を反転された後、第2の搬送コンベア4’上に受け渡されて搬送されるからである。
【0131】
次に、ステップS5では、不良品排出ユニット9の不良品位置検出用のセンサ91sがONするのを待つ。センサ91sがONすれば、ステップS6に移行する。ステップS6では、センサ91sにより検出された不良品について、第2の搬送コンベア4’上の位置情報とずれがないかどうか判断する。
【0132】
ステップS6で位置情報にずれがないと判断されれば、ステップS7に移行して、不良品の吸引・排出処理を行う。この場合には、図25および図26に示すように、不良品Tiが、これに対応するプレート92の貫通孔92aの位置に移動したとき、当該貫通孔92aに対応する通路91bに接続されたジョイント91eから通路91b内に圧搾空気が導入される。すると、通路91bの下部が負圧状態となることで、不良品Tiがプレート92の貫通孔92aを通って通路91b内に吸い込まれる。通路91b内に吸い込まれた不良品Tiは、ジョイント91dから通路91b内に導入される圧搾空気の作用により、通路91bの上側端の開口から通路91cに入り、通路91cの傾斜面91c1を通ってシュート90から下方の不良品排出ボックスに系外排出される。このようにして、不良品のみをピンポイントで吸引することができ、不良品排出時に良品を巻き込むのを防止できる。
【0133】
次に、ステップS8では、ステップS7での吸引・排出処理において吸引ミスがあったか否かを判断する。これは、不良品排出ユニット9の不良品排出確認用のセンサ91’sの反応の有無により判断される。吸引ミスがあった場合、吸引されなかった不良品Tiは不良品排出確認用のセンサ91’sにより検出されることになる。吸引ミスがなければ、ステップS9に移行する。
【0134】
次に、ステップS9では、プログラムを終了するか否か判断する。ステップS9での判断が「yes」となれば、プログラムは終了する。また、ステップS9での判断が「no」となれば、プログラムはステップS1に戻り、ステップS1〜S8の処理を繰り返して実行する。
【0135】
一方、ステップS2において、不良品が、第1の搬送コンベア4上ではなく、第2の搬送コンベア4’上で検出された、つまり第2の検出用ラインセンサカメラ5’で不良品が検出されたと判断されれば、ステップS4に移行して、同様に、ステップS4移行の処理を行う。
【0136】
また、ステップS6において、第2の搬送コンベア4’上の位置情報とずれがあると判断されれば、ステップS10に移行する。同様に、ステップS8において、不良品の吸引ミスがあると判断されれば、ステップS10に移行する。
【0137】
ステップS10では、不良品Tiが第2の搬送コンベア4’の下流端からシュート18に排出される際に、不良品排出ダンパー17を駆動して開くことにより、当該不良品Tiをその周りの錠剤Tと一緒に下方のシュート19に排出する。このようにして、不良品Tiが確実に系外排出されることになる。
【0138】
このように本実施例では、第1、第2の搬送コンベアにより搬送される多数の錠剤に対して第1、第2のインクジェットプリンタ部で印刷を行うので、各錠剤に非接触で印刷を行うことができる。また、第1、第2の検出用ラインセンサカメラで検出された各錠剤の検出データに基づいて各錠剤に連続して印刷処理が施されるので、錠剤の位置や姿勢等がランダムであっても、容易に対応できる。さらに、第1、第2の搬送コンベアにより搬送される各錠剤は、複数列を維持したまま搬送されるので、搬送される各錠剤の間隔は、搬送方向にはランダムでも、搬送方向と交差する幅方向には一定の間隔を維持しており、これにより、不良品の排出の際には、不良品をこれとコンベア幅方向に隣り合う他の錠剤と容易に切り離すことができ、その結果、不良品のみをピンポイントで確実に排出できるようになる。
【0139】
前記実施例では、錠剤搬送部としての搬送コンベアを複数本のベルトを一定間隔を隔てて並設することにより構成した例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。図37は、搬送コンベアの変形例を示している。同図において、前記実施例と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0140】
平面図である図37(a)およびそのB−B線断面図である同図(b)に示すように、この搬送コンベア4”は、単一のタイミングベルト4”aを有している。タイミングベルト4”aは、搬送方向(図37(a)左右方向)と直交する幅方向(同図上下方向)に幅広のベルトである。タイミングベルト4”aの上面には、各々搬送方向に延びる複数の溝4”gが形成されている。各溝4”gの個数は、搬送される錠剤Tの列数に対応している。各溝4”g内には、タイミングベルト4”aを上下に貫通するエア吸引孔4”hが、当該各溝の配設方向に沿って所定間隔で形成されている。
【0141】
この場合には、各エア吸引孔4”hからエアを吸引することによって、搬送中の錠剤Tが、タイミングベルト4”aの対応する溝4”gのエア吸引孔4”hで吸着保持されるようになっている。
【0142】
前記実施例では、錠剤の表裏に印刷を行うために、反転ローラを設けて錠剤の表裏を反転させるとともに、反転された錠剤を搬送する第2の搬送コンベアの側にも、第2の検出用ラインセンサカメラ、第2のインクジェットプリンタ部および第2の検査用ラインセンサカメラを設けた例を示したが、本発明は、錠剤の表面にのみ印刷を行う場合にも同様に適用できる。この場合、不良品排出ユニット9が第1の搬送コンベア4の下流側に設けられることになる。
【0143】
前記実施例では、錠剤の撮像手段として、ラインセンサカメラを用いた例を示したが、本発明は、撮像素子を有するものであればその他のカメラでもよく、例えばエリアセンサカメラを用いることも可能である
【0144】
前記実施例では、印刷部の好ましい例として、インクジェットプリンタ部を示したが、本発明における印刷部としては、非接触で印刷できるものであれば、インクジェットプリンタ部に限定されない。例えば、素錠のような錠剤への印刷には不適切であるが、FC錠や糖衣錠のような、表面に酸化チタンを含む錠剤への印刷には適しているレーザープリンタ部であってもよく、あるいは、その他の印刷装置でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0145】
以上のように、本発明は、連続してランダムにかつ所定列数の複数列で供給される多数の錠剤に対して非接触で印刷を行う錠剤印刷装置に有用であり、とくに不良品の錠剤のみをピンポイントで確実に排出するための装置に適している。
【符号の説明】
【0146】
1: 錠剤印刷装置
2: ホッパ(錠剤供給部)
3: 複数列振分けユニット
30A: 中央分散部
30B、30C: 振分け部
4: 第1の搬送コンベア(第1の錠剤搬送部)
4a: タイミングベルト
4e: 間隙
4’: 第2の搬送コンベア(第2の錠剤搬送部)
4’a: タイミングベルト
4’e: 間隙
5: 第1の検出用ラインセンサカメラ(第1の錠剤検出部)
50: ラインセンサ
5’: 第2の検出用ラインセンサカメラ(第2の錠剤検出部)
50’: ラインセンサ
6: 第1のインクジェットプリンタ部
60: 第1のインクジェットヘッド
6’: 第2のインクジェットプリンタ部
60’: 第2のインクジェットヘッド
7: 第1の検査用ラインセンサカメラ(第1の錠剤検査部)
70: ラインセンサ
7’: 第2の検査用ラインセンサカメラ(第2の錠剤検査部)
70’: ラインセンサ
8: 反転装置(反転部)
80: 反転ローラ
9: 不良品排出ユニット(不良品排出部)
92a: 貫通孔(開孔)
15: 高さ調節ユニット
T、T’: 錠剤
Ti: 不良品
【先行技術文献】
【特許文献】
【0147】
【特許文献1】特開2011−20325号公報(段落[0035]〜[0038]ならびに図1、図2および図4参照)
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続してランダムに供給される錠剤に印刷を行う錠剤印刷装置および錠剤印刷方法に関し、詳細には、多数の錠剤を所定列数の複数列で供給しつつ、各錠剤に対して非接触で印刷を行うものに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療分野において、薬剤師による調剤ミスや患者による誤服用などの医療事故を防止するために、錠剤の表面に会社名や製品名を表す識別コードを付することが行われている。従来、錠剤への識別コードの付与は、打刻や転写等により行われていた。
【0003】
打刻は、打錠機により粉末または顆粒を錠剤に成形する際に、刻印の入った杵を用いて圧縮成形することで錠剤表面に刻印する方式であって、主に素錠(裸錠)やFC(Film Coating)錠で用いられているが、製剤処方や粉末または顆粒物性によって、成形時に杵で押圧されて圧縮圧力を受けた際に杵離れが悪い場合には、刻印抜けが発生することがあって、複雑な形状を鮮明に打刻することはできなかった。また、FC錠の場合には、刻印後にコーティングされるため、刻印が不鮮明になりやすく、判読性が悪かった。
【0004】
一方、転写は、錠剤表面に転写デザインロールを押圧させて印刷する方式であって、錠剤表面が滑らかにコーティングされたFC錠や、糖衣皮膜を有する糖衣錠の場合には、鮮明な印刷が可能であるものの、錠剤表面が滑らかにコーティングされていないFC錠の場合には、印刷がかすれ気味で不鮮明となり、また素錠の場合には、インクに対して吸収性があることや、錠剤表面に粉末が付着していることによって、印刷不良を起こすことがあった。また、錠剤を印刷機のポケット部に一個ずつ位置決めする必要があり、ポケット部に詰まりなどのトラブルが発生しやすかった。さらに、表面が球面状のR錠の場合には、転写デザインロールが接触する範囲が制限されるため、小さな印刷スペースの中に印字しなければならず、印字される文字の大きさも小さくなって、判読性が悪かった。
【0005】
このように、錠剤に杵や転写デザインロールを接触させる従来の打錠機や転写式印刷機のような接触方式のものでは、打刻不良や印刷不良を起こすことがあって、製品の歩留まりが悪く、これが製品の品質を低下させる要因でもあった。また、識別コードが変わるごとに高価な刻印杵や転写デザインロールを交換する必要があって、コスト高であった。このため、錠剤にダメージを与えずに非接触で錠剤に印刷を行うことができ、しかも識別コードの変更を安価かつ容易に行える非接触方式の印刷機の実現を望む強い要請があった。
【0006】
ところで、非接触の印刷方式として、錠剤にレーザー印刷を行うことが知られている。ところが、レーザー印刷の場合、錠剤が酸化チタンを含有していないと、印刷部分を発色表示できない。FC錠や糖衣錠の場合には、表面に酸化チタンが含有されているため、発色表示が可能であるが、素錠の場合には、通常、酸化チタンが含有されていないため、レーザー印刷による印字が困難であった。
【0007】
そこで、本願出願人は、特開2011−20325号公報において、ワーク(錠剤)に対して、レーザー印刷以外の方法により非接触で印刷を行う印刷装置を提案している(同公報の段落[0035]〜[0038]ならびに図1、図2および図4参照)。
【0008】
この印刷装置は、連続してワーク(錠剤)を供給する供給装置と、供給装置により供給されたワークをランダムに搬送するコンベアと、所定のエリア内に導入されたワークを検知して撮像するCCDカメラと、CCDカメラによるワーク情報に基づいて搬送中のワークに印刷を行うインクジェットプリンタとを備えている。
【0009】
この場合には、インクジェットプリンタにより錠剤表面にインクを噴射して印刷を行うので、錠剤に対して非接触で印刷処理を行うことができ、FC錠や糖衣錠のみならず、素錠の場合でも、鮮明な印刷処理が可能である。また、印刷時に錠剤への接触が原因となる印刷不良が発生しないため、製品の歩留まりを向上できる。さらに、使用期限や製造番号等の可変情報を含む識別コードの変更にも簡単に対応できるので、コストを低減できる。
【0010】
しかも、この場合には、供給される錠剤の位置や姿勢(向き)、表裏等が揃ってなくランダムであっても、CCDカメラにより撮像された映像に基づいて、錠剤の位置や姿勢(向き)、表裏等が検出されて錠剤への印刷が行われるので、錠剤を一個ずつ位置決めする必要がなくなり、しかも複数の錠剤に対して一括して処理を行えるので、印刷処理を効率化でき、高速処理が可能になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、上記公報に記載の印刷装置において、印刷処理後に不良品を検出してこれを系外排出する際には、コンベア搬送面上でランダムに配置された多数の錠剤の中から不良品をピンポイントで取り出す必要がある。ところが、上記印刷装置においては、供給される多数の錠剤がコンベア搬送面上において搬送方向のみならずこれと交差する幅方向にもランダムな間隔に配置されており、このため、不良品の錠剤のみをピンポイントで排出するのは容易ではない。
【0012】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたもので、本発明が解決しようとする課題は、連続してランダムに供給される多数の錠剤に対して非接触で印刷を行うことができ、しかも、不良品の錠剤のみをピンポイントで確実に排出できる印刷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明に係る錠剤印刷装置は、錠剤を供給する錠剤供給部と、錠剤供給部により供給された多数の錠剤を所定列数の複数列に振り分ける複数列振分けユニットと、複数列振分けユニットにより振り分けられた各錠剤を複数列のままランダムに搬送する錠剤搬送部と、錠剤搬送部による搬送中に各錠剤を検出する錠剤検出部と、錠剤検出部で検出された各錠剤の検出データに基づいて搬送中の各錠剤に非接触で印刷を行う印刷部と、印刷部による各錠剤への印刷状態を検査する錠剤検査部と、錠剤検査部での検査結果に基づいた印刷不良を含む不良品を各錠剤の複数列での搬送中に排出する不良品排出部とを備えている(請求項1参照)。
【0014】
本発明においては、錠剤搬送部により連続してランダムに搬送される多数の錠剤に対して印刷部により非接触で印刷を行うので、錠剤の剤形や形状によらず、鮮明な印刷処理が可能である。また、この場合、錠剤検出部で検出された各錠剤の検出データに基づいて各錠剤に印刷処理が施されるので、錠剤の位置や姿勢等がランダムであっても、容易に対応できる。
【0015】
しかも、この場合には、錠剤供給部から供給された多数の錠剤が、複数列振分けユニットにより所定列数の複数列に振り分けられるとともに、振り分けられた各錠剤が、錠剤搬送部により、複数列を維持したままランダムに搬送される。これにより、搬送される各錠剤の間隔は、搬送方向にはランダムでも、搬送方向と交差する幅方向には一定の間隔が維持されることになる。したがって、不良品についても、当該不良品と幅方向に隣り合う他の錠剤との幅方向の間隔は一定に維持されている。このため、錠剤検査部で検知された不良品の排出の際には、不良品排出部は、錠剤の搬送方向と交差する幅方向においては、不良品をこれと隣り合う他の錠剤と切り離すのを容易に行えるようになり、これにより、不良品のみをピンポイントで確実に排出することが可能である。
【0016】
また、本発明においては、複数列振分けユニットが、当該ユニットの幅方向中央に設けられかつ各錠剤を左右に分散させるための一対の傾斜面を錠剤搬送方向に延設してなる山形状の中央分散部と、中央分散部の左右両側にそれぞれ設けられ、中央分散部に近い側には直立状態に傾斜した第1の傾斜面を有しかつ中央分散部から離れた側には斜めに傾斜した第2の傾斜面を有する左右非対称な一対の傾斜面を錠剤搬送方向に延設してなり、各錠剤を複数列に振り分けるための山形状の複数の振分け部とを有している(請求項2参照)。なお、ここでいう「幅方向中央」とは、正確に幅方向中央位置を意味する場合のみならず、幅方向中央位置の近傍位置をも含む趣旨である。これは、振分け部が中央分散部の左右に同数ずつ設けられる場合のみならず、一方に2個、他方に3個のように左右で個数が異なる場合をも含めるためである。
【0017】
この場合、錠剤供給部から供給された多数の錠剤は、複数列振分けユニットの中央分散部に導入され、ここで左右(幅方向)に略均等に分散されて、中央分散部の左右両側の各振分け部に導入されるとともに、各振分け部に導入された各錠剤は、各振分け部を通って搬送されていく際に第2の傾斜面の上で傾斜した状態を維持し、これにより、各錠剤は、上下に重なったりすることなく、複数列に振り分けられることになる。
【0018】
本発明においては、複数列振分けユニットの各振分け部は、錠剤搬送方向下流側に向かうにしたがい、中央分散部に近い側の振分け部から順にその傾斜面の高さが徐々に高くなっている(請求項3参照)。これにより、錠剤が傾斜面上で上下に重なっている場合でも、搬送方向下流側に向かうにつれて、上側の錠剤が下側の錠剤上から滑り落ちて隣の傾斜面上に移動することになるので、各錠剤を各傾斜面の上に上下の重なり合いなく確実に分散できるようになる。
【0019】
本発明においては、錠剤搬送部が複数の搬送路から構成されており、搬送中の各錠剤は、エアの吸引により、対応する搬送路の上に吸着保持されるようになっている(請求項4参照)。複数の搬送路については、複数本のベルトを一定間隔を隔てて並設することにより構成し、隣り合う各ベルト間の間隙からエアを吸引することにより、搬送中の各錠剤を当該間隙で吸着保持するようにしてもよく(請求項5参照)、あるいは、ベルトに複数列のエア吸引孔を形成することにより構成し、エア吸引孔からエアを吸引することにより、搬送中の各錠剤を対応する列のエア吸引孔で吸着保持するようにしてもよい(請求項6参照)。これらの場合には、各錠剤が搬送路上またはベルト上で位置ずれや脱落を起こすのを防止でき、これにより、複数列振分けユニットから錠剤搬送部への錠剤の移行をスムーズに行うことができ、錠剤を高速で搬送できるようになる。
【0020】
本発明においては、錠剤検出部および錠剤検査部が撮像手段により構成されている(請求項7参照)。撮像手段としては、撮像素子を有するものであればよく、具体的には、エリアセンサカメラやラインセンサカメラ等が挙げられる。とくに、ラインセンサカメラを用いた場合には、上述した公報に記載のCCDカメラ(エリアセンサカメラ)に比べて、高速の画像取得が可能になり、錠剤の搬送速度を上げることができる。また、ラインセンサは、エリアセンサとは異なり、連続した撮像が可能であって、錠剤搬送部側の例えばロータリーエンコーダの番地データとラインセンサの検出データとを合成することができ、このとき、錠剤の搬送位置と撮像データが常に一致しているため、錠剤に対して正確な印刷が可能になる。
【0021】
本発明においては、錠剤検出部による検出データが、錠剤の位置のみならず、錠剤の姿勢(向き)を含んでおり(請求項8参照)、また、錠剤検出部による検出データがさらに錠剤の表裏の情報を含んでいる(請求項9参照)。これにより、錠剤に割線がある場合などに、割線の向きに合わせて印刷することや、割線のない側(またはある側)の面にのみ印刷することが可能になる。
【0022】
本発明においては、印刷部がインクジェットプリンタ部により構成されるとともに、インクジェットプリンタ部がインクジェットヘッドを有しており、インクジェットヘッドが、各錠剤の列方向に移動可能になっている(請求項10参照)。これにより、インクジェットヘッドを印刷位置から離れたメンテナンス位置に移動させることができる。
【0023】
本発明においては、インクジェットヘッドが、インク吐出用の複数のノズルを有しており、印刷処理の開始前には、前回の印刷処理に使用したノズルとは異なるノズルが使用されるように、インクジェットヘッドが制御されている(請求項11参照)。これにより、長時間使用されていないノズルの乾燥による孔詰まりを防止できる。
【0024】
本発明においては、不良品排出部が、錠剤搬送部の上方に配置されるとともに、当該錠剤搬送部により搬送される各錠剤の各列に対応した複数の開孔を有し、不良品が当該不良品に対応する開孔から系外排出されるようになっている(請求項12参照)。これにより、不良品をピンポイントで確実に排出できる。
【0025】
本発明においては、不良品排出部が、不良品を開孔から吸引するようになっている(請求項13参照)。
【0026】
本発明においては、錠剤搬送部が、上方に配設され、各錠剤を第1の方向に搬送する第1の錠剤搬送部と、その下方に配設され、各錠剤を前記第1の方向と逆方向の第2の方向に搬送する第2の搬送部とから構成されており、第1の搬送部の搬送方向下流端と第2の搬送部の搬送方向上流端との間には、第1の搬送部上の各錠剤を保持しつつ回転することにより、各錠剤の表裏を反転させる反転部が設けられている(請求項14参照)。この場合、第1の搬送部上の各錠剤が反転部により反転されて第2の搬送部上に導入されることで、第2の搬送部での搬送中に、錠剤の裏面についても検査または(および)印刷を行えるようになる。
【0027】
本発明においては、反転部が、各錠剤の反転中には各錠剤を吸引し、各錠剤の反転後にはその吸引状態を解除することにより、第1の錠剤搬送部上の各錠剤が反転した状態で第2の錠剤搬送部上に受け渡されるようになっている(請求項15参照)。これにより、反転中の各錠剤が反転部上で位置ずれや脱落を起こすのを防止できるとともに、反転部から第2の搬送部への錠剤の受渡しをスムーズに行える。
【0028】
本発明においては、反転部および第2の搬送部間の間隙が調整可能になっている(請求項16参照)。これにより、錠剤の厚みが異なる場合でも容易に対応できる。
【0029】
本発明においては、第2の搬送部には、当該第2の錠剤搬送部による搬送中に各錠剤を検出する第2の錠剤検出部と、第2の錠剤検出部で検出された各錠剤の検出データに基づいて搬送中の各錠剤に非接触で印刷を行う第2の印刷部と、第2の印刷部による各錠剤への印刷状態を検査する第2の錠剤検査部とが設けられており、不良品排出部が、第2の錠剤検査部の下流側に設けられるとともに、第1、第2の錠剤検査部での検査結果に基づいた印刷不良を含む不良品を排出するように構成されている(請求項17参照)。
【0030】
この場合、反転部により第2の搬送部上に導入された各錠剤に対しては、第2の錠剤搬送部による搬送中に第2の印刷部により非接触で印刷を行うので、各錠剤の裏面に対しても非接触で印刷を行うことができる。また、この場合、第2の錠剤検出部で検出された各錠剤の検出データに基づいて各錠剤の裏面に印刷処理が施されるので、第2の搬送部上で各錠剤の位置や姿勢等がランダムであっても、容易に対応できる。
【0031】
しかも、この場合、各錠剤は、第1の搬送部から反転部をへて第2の搬送部に到るまで所定列数の複数列を維持することになるので、第2の搬送部上の各錠剤の間隔は、搬送方向にはランダムでも、搬送方向と交差する幅方向には一定の間隔が維持されている。したがって、不良品についても、当該不良品と幅方向に隣り合う他の錠剤との幅方向の間隔は一定に維持されている。このため、第1または(および)第2の錠剤検査部で検知された不良品の排出の際には、不良品排出部は、錠剤の搬送方向と交差する幅方向においては、不良品をこれと隣り合う他の錠剤と切り離すのを容易に行えるようになり、これにより、不良品のみをピンポイントで確実に排出できるようになる。
【0032】
本発明に係る錠剤印刷方法は、以下の工程を備えている(請求項18参照)。
i)供給される多数の錠剤を所定列数の複数列に振り分ける複数列振分け工程。
ii) 前記複数列振分け工程で振り分けられた各錠剤を複数列のままランダムに搬送する錠剤搬送工程。
iii)前記錠剤搬送工程による搬送中に各錠剤を検出する錠剤検出工程。
iv) 前記錠剤検出工程で検出された各錠剤の検出データに基づいて搬送中の各錠剤に非接触で印刷を行う印刷工程。
v) 前記印刷工程での各錠剤への印刷状態を検査する錠剤検査工程。
vi) 前記錠剤検査工程での検査結果に基づいた印刷不良を含む不良品を各錠剤の複数列での搬送中に排出する不良品排出工程。
【0033】
本発明によれば、錠剤搬送工程において連続してランダムに搬送される多数の錠剤に対して印刷部により非接触で印刷を行うので、錠剤の剤形や形状によらず、鮮明な印刷処理が可能である。また、この場合、錠剤検出工程で検出された各錠剤の検出データに基づいて各錠剤に印刷処理が施されるので、錠剤の位置や姿勢等がランダムであっても、容易に対応できる。
【0034】
しかも、この場合には、供給される多数の錠剤が、複数列振分け工程で所定列数の複数列に振り分けられるとともに、振り分けられた各錠剤が、錠剤搬送工程で複数列を維持したままランダムに搬送される。これにより、搬送される各錠剤の間隔は、搬送方向にはランダムでも、搬送方向と交差する幅方向には一定の間隔が維持されることになる。したがって、不良品についても、当該不良品と幅方向に隣り合う他の錠剤との幅方向の間隔は一定に維持されている。このため、錠剤検査工程で検知された不良品を不良品排出部工程で排出する際には、錠剤の搬送方向と交差する幅方向においては、不良品をこれと隣り合う他の錠剤と切り離すのが容易に行えるようになり、これにより、不良品のみをピンポイントで確実に排出することが可能である。
【0035】
本発明においては、錠剤検出工程における検出データが、錠剤の位置および姿勢のデータを含んでいてもよい(請求項19参照)。
【発明の効果】
【0036】
以上のように、本発明に係る錠剤印刷装置(または錠剤印刷方法)によれば、錠剤搬送部により(または錠剤搬送工程で)連続してランダムに搬送される多数の錠剤に対して印刷部により(または印刷工程において)非接触で印刷を行うようにしたので、錠剤の剤形や形状によらず、鮮明な印刷処理が可能である。また、錠剤検出部(または錠剤検出工程)で検出された各錠剤の検出データに基づいて各錠剤に印刷処理を行うようにしたので、錠剤の位置や姿勢等がランダムであっても、容易に対応できる。さらに、錠剤供給部から供給された多数の錠剤を、複数列振分けユニットにより(または複数列振分け工程で)所定列数の複数列に振り分けるとともに、錠剤搬送部により(または錠剤搬送工程で)複数列を維持したままランダムに搬送するようにしたので、不良品およびこれと幅方向に隣り合う他の錠剤の間隔を一定に維持でき、これにより、不良品の排出時には、不良品を他の錠剤と容易に切り離すことができ、不良品のみをピンポイントで確実に排出できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施例による錠剤印刷装置の概略構成図である。
【図2】錠剤印刷装置を構成する複数列振分けユニットの平面概略図である。
【図3】複数列振分けユニットを構成する振分けトラフの平面図である。
【図4】図3のIV-IV線断面図である。
【図5】図3のV-V線断面図である。
【図6】図3のVI-VI線断面図である。
【図7】図3のVII-VII線断面図である。
【図8】複数列振分けユニットを構成する整列トラフの平面図である。
【図9】図8のIX-IX線断面図である。
【図10】図8のX-X線断面図である。
【図11】図8のXI-XI線断面図である。
【図12】図8のXII-XII線断面図である。
【図12A】複数列振分けユニットおよび整列トラフの間に配置された傾き修正トラフの平面図である。
【図12B】図12AのB−B線矢視図である。
【図12C】傾き修正トラフ(図12A)の作用を説明するための図である。
【図13】整列トラフの下流端およびこれに連結された第1の搬送コンベアの上流端の平面概略部分図である。
【図14】図13のXIV-XIV線断面図である。
【図15】図14の変形例の一部拡大図である。
【図16】第1の搬送コンベアの側に設けられた、錠剤印刷装置を構成する第1の検出用ラインセンサカメラ、第1の検査用ラインセンサカメラおよび第1のインクジェットプリンタ部を反転装置とともに示す正面概略図である。
【図17】第1の検出用ラインセンサカメラの側面概略図である。
【図18】第1の搬送コンベア上において、第1の検出用ラインセンサカメラおよび第1の検査用ラインセンサカメラの各撮影ライン、ならびに第1のインクジェットヘッドの配置を示す平面図である。
【図19】第1のインクジェットヘッドおよびその駆動機構の側面概略図である。
【図20】第1のインクジェットヘッドを第1の搬送コンベア上の錠剤とともに示す側面拡大概略図である。
【図21】図16のXXI矢視図である。
【図22】錠剤印刷装置を構成する反転装置の反転ローラおよびその駆動機構の概略構成を示す側面概略図である。
【図23】(a)は第2の搬送コンベアに設けられた高さ調節ユニットの平面概略図、(b)はその正面概略図である。
【図24】第2の搬送コンベアの側に設けられた第2の検出用ラインセンサカメラ、第2の検査用ラインセンサカメラおよび第2のインクジェットプリンタ部の正面概略図である。
【図25】錠剤印刷装置を構成する不良品排出ユニットの平面概略図である。
【図26】不良品排出ユニットの正面概略図である。
【図27】不良品排出ユニットの側面概略図である。
【図28】図26のXXVIII-XXVIII線断面図である。
【図29】錠剤印刷装置の制御部の概略ブロック構成図である。
【図30】第1の搬送コンベア上の錠剤に対する検出処理を示す平面図である。
【図31】第1の搬送コンベア上の錠剤に対する検出処理および印刷処理を示す平面図である。
【図32】第1の搬送コンベア上の錠剤に対する検出処理、印刷処理および検査処理を示す平面図である。
【図33】第2の搬送コンベア上の錠剤に対する検出処理を示す平面図である。
【図34】第2の搬送コンベア上の錠剤に対する検出処理および印刷処理を示す平面図である。
【図35】第2の搬送コンベア上の錠剤に対する検出処理、印刷処理および検査処理を示す平面図である。
【図36】制御部による不良品排出制御を説明するためのフローチャートである。
【図37】(a)は搬送コンベアの変形例の平面部分図、(b)はそのB−B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の一実施例による錠剤印刷装置および錠剤印刷方法について、添付図面に基づいて説明する。
ここでは、まず、錠剤印刷装置の全体構成について説明し、次に、本発明による錠剤印刷装置を構成する主要な構成要素について個別に詳細に説明していくことにする。
【0039】
<全体構成の説明>
図1は、本発明の一実施例による錠剤印刷装置の概略構成を示している。
同図に示すように、この錠剤印刷装置1は、錠剤を供給するホッパ2と、ホッパ2から供給されてきた多数の錠剤を所定列数の複数列に振り分ける複数列振分けユニット3と、複数列振分けユニット3により振り分けられた各錠剤を複数列のまま矢印方向(第1の方向)にランダムに搬送する第1の搬送コンベア4と、第1の搬送コンベア4による搬送中に各錠剤を検出するための第1の検出用ラインセンサカメラ5と、第1の検出用ラインセンサカメラ5で検出された各錠剤の検出データに基づいて搬送中の各錠剤に印刷を行う第1のインクジェットプリンタ部6と、第1のインクジェットプリンタ部6による各錠剤への印刷状態を検査するための第1の検査用ラインセンサカメラ7とを備えている。
【0040】
また、錠剤印刷装置1は、第1の搬送コンベア4の下流端に設けられ、当該第1の搬送コンベア4上の各錠剤の表裏を反転させるための反転ローラ80を有する反転装置8と、第1の搬送コンベア4の下方に配設され、反転装置8により反転された各錠剤を複数列のまま矢印方向(前記第1の方向と逆方向の第2の方向)にランダムに搬送する第2の搬送コンベア4’と、第2の搬送コンベア4’による搬送中に各錠剤を検出するための第2の検出用ラインセンサカメラ5’と、第2の検出用ラインセンサカメラ5’で検出された各錠剤の検出データに基づいて搬送中の各錠剤に印刷を行う第2のインクジェットプリンタ部6’と、第2のインクジェットプリンタ部6’による各錠剤への印刷状態を検査するための第2の検査用ラインセンサカメラ7’と、第2の搬送コンベア4’の下流側に設けられ、第1、第2の検査用ラインセンサカメラ7、7’での検査結果に基づいた印刷不良を含む不良品を、各錠剤の複数列での搬送中に吸引して排出する不良品排出ユニット9とを備えている。
【0041】
なお、この錠剤印刷装置1による印刷処理は、素錠(裸錠)やFC(Film Coating)錠、糖衣錠を含む任意の剤形の錠剤に適用され、また、平錠やR錠を含む任意の形状の錠剤に適用される。
【0042】
図1に示すように、ホッパ2と複数列振分けユニット3との間には、ホッパ2から供給された錠剤を複数列振分けユニット3の側に送るためのバイブレータ20aを有する振動フィーダ20が設けられている。複数列振分けユニット3は、斜め下方に傾斜して配設されており、同様に、振動フィーダ33を有している。第1の搬送コンベア4の上流端は、タイミングプーリ40に巻き掛けられ、下流端は、タイミングプーリである反転ローラ80に巻き掛けられている。第1の搬送コンベア4は、後述するように、搬送方向と直交する幅方向に所定間隔を隔てて並設された複数本のタイミングベルトから構成されている。
【0043】
第1の検出用ラインセンサカメラ5は、ラインセンサ50およびカメラレンズ51を有しており、同様に、第1の検査用ラインセンサカメラ7は、ラインセンサ70およびカメラレンズ71を有している。第1の検出用ラインセンサカメラ5の下方には、第1の搬送コンベア4上の錠剤に光を照射する一対の照明ユニット(例えばLED照明ユニット)10が設けられており、同様に、第1の検査用ラインセンサカメラ7の下方には、第1の搬送コンベア4上の錠剤に光を照射する一対の照明ユニット(例えばLED照明ユニット)11が設けられている。
【0044】
反転装置8は、第1の搬送コンベア4上の各錠剤を吸引するための吸引用チャンバ81aを内部に有している。また、反転装置8の駆動軸には、当該反転装置8の反転ローラ80の回転位置を検出することにより、第1の搬送コンベア4の移動位置を検出するためのロータリーエンコーダ42が取り付けられている。
【0045】
第2の搬送コンベア4’の上流端は、タイミングプーリ40’に巻き掛けられ、下流端は、タイミングプーリ41’に巻き掛けられている。第2の搬送コンベア4’は、第1の搬送コンベア4と同様に、所定間隔を隔てて並設された複数本のタイミングベルトから構成されており、隣り合う各タイミングベルト間の間隙からエアを吸引することで搬送中の各錠剤を吸着保持するようになっている。タイミングプーリ41’の回転軸には、当該タイミングプーリ41’の回転位置を検出することにより、第2の搬送コンベア4’の移動位置を検出するためのロータリーエンコーダ42’が取り付けられている。
【0046】
第2の搬送コンベア4’の上流側において、反転装置8の反転ローラ80の下方には、第2の搬送コンベア4’と反転ローラ80との間隙を調整するための高さ調節ユニット15が設けられている。この高さ調節ユニット15は、錠剤の厚みが異なった場合に、反転ローラ80から第2の搬送コンベア4’への錠剤の受渡しがスムーズに行われるようにするためのものである。
【0047】
第2の検出用ラインセンサカメラ5’は、ラインセンサ50’およびカメラレンズ51’を有しており、同様に、第2の検査用ラインセンサカメラ7’は、ラインセンサ70’およびカメラレンズ71’を有している。この例では、各カメラ5’、7’は横向きに配置されており、各カメラレンズ51’、71’の前方に配置されたミラー13、14を介して、第2の搬送コンベア4’上の錠剤の映像が撮像されるようになっている。ミラー13の近傍には、第2の搬送コンベア4’上の錠剤に光を照射する一対の照明ユニット10’ (例えばLED照明ユニット)が設けられており、同様に、ミラー14の近傍には、第2の搬送コンベア4’上の錠剤に光を照射する一対の照明ユニット11’ (例えばLED照明ユニット)が設けられている。
【0048】
不良品排出ユニット9には、下方に延びるシュート90が接続されており、不良品排出ユニット9により吸引された不良品は、シュート90を通って下方の不良品排出ボックス(図示せず)に排出されるようになっている。また、第2の搬送コンベア4’の下流端には、開閉可能な不良品排出ダンパー17を介して、シュート18が接続されている。不良品排出ダンパー17は、支軸17aの回りを回動可能に設けられており、不良品排出ユニット9が吸引ミスにより不良品の回収に失敗したときに回動して開くことにより、当該不良品およびその周囲の錠剤をすべて下方のシュート19に排出するようになっている。また、不良品排出ダンパー17は、不良品排出ユニット9が正常に動作している際には閉じており、これにより、印刷処理が終了した良品は、不良品排出ダンパー17を通ってシュート18から下方の良品回収ボックス(図示せず)に回収されるようになっている。あるいは、良品は、シュート18を通って、包装工程等の次工程に送られるようになっている。
【0049】
<複数列振分けユニット>
図2ないし図12は、複数列振分けユニットを説明するための図である。
図2に示すように、この複数列振分けユニット3は、振分けトラフ30と、その下流側に配設された整列トラフ31と、これらの間に配置された傾き修正トラフ32とを有している。
【0050】
振分けトラフ30は、図3ならびにその幅方向の横断面図である図4ないし図7に示すように、幅方向中央に配置された山形状の中央分散部30Aと、中央分散部30Aの左右両側に設けられた山形状の複数の振分け部30B、30Cとを有している。
【0051】
中央分散部30Aは、振動フィーダ20(図1)から送られてきた多数の錠剤Tを左右に分散させるためのものであって、錠剤搬送方向に延設された左右一対の傾斜面30aを有している。各傾斜面30aは、左右対称である方が好ましいが、必ずしも左右対称でなくてもよい。
【0052】
振分け部30B、30Cは、中央分散部30Aにより左右に分散された各錠剤Tを幅方向の複数列に振り分けるためのものであって、錠剤搬送方向に延設された左右非対称の一対の傾斜面30b1、30b2および30c1、30c2をそれぞれ有している。第1の傾斜面30b1、30c1は、中央分散部30Aに近い側に配置されており、第2の傾斜面30b2、30c2は、中央分散部30Aから離れた側に配置されている。第1の傾斜面30b1、30c1は、第2の傾斜面30b2、30c2に比べて、より直立状態またはこれに近い状態に配置されており、これに対して、第2の傾斜面30b2、30c2は、第1の傾斜面30b1、30c1に比べて、より傾斜した状態に配置されている。
【0053】
また、振分け部30B、30Cは、図4→図5→図6→図7と下流側に向かうにしたがい、中央分散部30Aに近い側の振分け部30B、30Cから順に、その山形状の高さが徐々に高くなっている。このように構成したのは、以下の理由による。
【0054】
図4中の錠剤T”のように、他の錠剤Tの上に重なった状態で搬送される錠剤があった場合、これらの錠剤T、T”が配置された傾斜面30c2が錠剤搬送方向下流側に向かうにしたがい徐々に立ち上ってその高さが高くなっていることで、図5→図6→図7に示すように、搬送中に錠剤T”が錠剤Tの上から滑り落ちて、外側の傾斜面30c2の上に移動する。これにより、傾斜面30c2上での錠剤の重なり合いを防止できる。また、この場合には、振分け部30B、30Cの各傾斜面30b2、30c2の高さが、中央分散部30Aに近い側から順に徐々に高くなっているので、中央分散部30Aに近い側の傾斜面30b2、30c2の上で錠剤が重なっていた場合には、当該錠剤は、搬送中に一つずつ外側の傾斜面30b2、30c2の上に移動し、最終的に搬送方向下流端では、各傾斜面30b2、30c2の上には、錠剤が上下に重なり合うことなく、一つずつ配置されることになる。このようにして、多数の錠剤が中央分散部30Aおよび振分け部30B、30Cの各傾斜面30a、30b2、30c2の上に上下の重なり合いなく分散されることになる。
【0055】
振分けトラフ30の下流端側では、図7に示すように、異形のV字状の溝が幅方向に7個形成されている。振分けトラフ30により分散されて左右に振り分けられた各錠剤Tは、中央分散部30Aの各斜面30a、各振分け部30B、30Cの第2の傾斜面30b2、30c2の上にそれぞれ載置されて斜めの状態で保持されており、その側面は第1の傾斜面30b1、30c1で支持されている(図7参照)。
【0056】
これに対して、振分けトラフ30の上流端から下流端にかけて、単なる矩形状断面の溝が7本形成されている場合には、当該矩形状断面の溝の中で錠剤同士が上下に積み重なったり、錠剤が起立したりするという不具合が発生しやすく、各錠剤を複数列に振り分けるのは困難である。
【0057】
なお、図7中、錠剤T’は、錠剤Tとは逆の向きに傾斜しており、側面が第2の傾斜面30b2で支持されるとともに、表面または裏面のいずれかが第1の傾斜面30b1で支持されており、錠剤Tと比べて起立した状態におかれているが、これについては後述する。
【0058】
また、この例では、中央分散部30Aが、振分けトラフ30の正確に幅方向中央の位置には配置されていないが、これは、振分け部30Bの個数が2個、振分け部30Cの個数が3個と異なっているためである。各振分け部30B、30Cの個数が同数であれば、中央分散部30Aは、振分けトラフ30の正確に幅方向中央の位置に配置されることになる。なお、図5、図6では、図示の便宜上、錠剤Tを省略して示している。
【0059】
整列トラフ31は、図8および図9に示すように、その上流端では、振分けトラフ30の下流端における横断面形状(図7参照)と略同一の形状を有しているが、図9→図10→図11→図12と下流側に向かうにしたがい、異形のV字状の横断面形状をしていた各溝が、徐々に断面矩形状の溝に変化している。これにともない、整列トラフ31の下流側では、各錠剤Tは、対応する断面矩形状の各溝31gに収容されて、水平状態に維持されている。各溝31gの底部31dは、整列トラフ31の下流端には設けられておらず、各溝31gは、整列トラフ31の下流端では上下に貫通している(図8参照)。また、図8および図10に示すように、整列トラフ31の上流側には、錠剤同士の接触や錠剤とトラフの接触等により発生した粉、ならびに前工程で混入した欠け錠や欠片を下方に排出するため長孔31eが貫通形成されている。なお、図9ないし図11では、図示の便宜上、錠剤Tを省略して示している。
【0060】
傾き修正トラフ32は、図7中の錠剤T’のように、振分けトラフ30による搬送中に、他の錠剤Tとは逆の向きに傾斜して起立した状態におかれた錠剤を正規の向きに傾けるためのトラフである。平面図である図12AおよびそのB−B線矢視図である図12Bに示すように、傾き修正トラフ32は、振分けトラフ30の中央分散部30Aに対応する位置に配置された一対の傾斜面32aと、その左右両側に設けられた左右非対称な複数対の傾斜面32b1、32b2および32c1、32c2とを有しており、いずれの傾斜面も錠剤搬送方向(図12A上下方向および図12B紙面垂直方向)に延設されている。これらの傾斜面により、それぞれ錠剤搬送方向に延びる異形のV字状の溝が幅方向に7個形成されている。なお、各傾斜面32aは、振分けトラフ30の中央分散部30Aの各傾斜面30aに対応した形状に形成されており、好ましくは左右対称である。
【0061】
第1の傾斜面32b1、32c1は、傾斜面32aに近い側に配置されており、第2の傾斜面32b2、32c2は、傾斜面32aから離れた側に配置されている。第1の傾斜面32b1、32c1は、第2の傾斜面32b2、32c2に比べて、より直立した状態またはこれに近い状態に配置されており、これに対して、第2の傾斜面32b2、32c2は、第1の傾斜面32b1、32c1に比べて、より傾斜した状態に配置されている。
【0062】
第1の傾斜面32b1は、上流端(図12A下端)に配置された傾斜面32b1’と、その下流側(同図上側)に延設された傾斜面32b1”とから形成されており、同様に、第1の傾斜面32c1は、上流端(図12A下端)に配置された傾斜面32c1’と、その下流側(同図上側)に延設された傾斜面32c1”とから形成されている。上面から見たとき、傾斜面32b1’、32c1’は、それぞれ傾斜面32b1”、32c1”に対して角度αだけ傾斜して配置されている。
【0063】
傾斜面32b1”および32c1”は、溝の底部32dから上方(図12B上方)に平坦状に延びているが、傾き修正トラフ32の底面32Aに対して溝の底部32dに立てた垂線PLよりも溝の側に傾斜して配置されている。また、傾斜面32b1’および32c1’は、その上流端(図12A下端)においては、溝の底部32dから上方(図12B上方)に直線状に延びるとともに、溝の底部32dに立てた垂線PLに沿って配置されているが、当該上流端から第2の傾斜面32b1”および32c1”との連結部分にかけては、溝の底部32dから上方に平坦状に延びるとともに、溝の底部32dに立てた垂線PLよりも溝の側に傾斜して配置されている。
【0064】
これにより、振分けトラフ30において錠剤Tとは逆の向きに傾斜して起立した状態におかれている錠剤T’(図7)は、図12Cに示すように、傾き修正トラフ32に導入されて、錠剤T’の表面または裏面のいずれかが傾き修正トラフ32の傾斜面32b1’に当接すると、傾斜面32b1’が溝内に張り出しているため、錠剤T’がさらに起立した状態になり、この状態から錠剤T’が傾斜面32b1”まで移動する間に、傾斜面32b1’の溝内への張出量がさらに増えるため、錠剤T’は傾き修正トラフ32への導入時とは逆の方向に倒され、その結果、錠剤T’が溝の傾斜面32b2の上に載置されて、その状態で下流側に搬送されることになる。その一方、振分けトラフ30において傾斜面30a、30b2、30c2の上に載置されて傾き修正トラフ32に導入された各錠剤Tは、それぞれ傾斜面32a、32b2、32c2の上に載置された状態で下流側に搬送される。
【0065】
なお、振分けトラフ30、整列トラフ31および傾き修正トラフ32の表面には、各溝内での錠剤T、T’の滑りをよくするために、例えばタフラム処理等の表面処理が施されている。
【0066】
<第1の搬送コンベア>
図13ないし図15は、第1の搬送コンベアを説明するための図である。
図13に示すように、第1の搬送コンベア4の上流端は、整列トラフ31の下流端の下方にオーバラップして配置されている。第1の搬送コンベア4は、搬送方向(図13左右方向)と直交する幅方向に所定の間隙4eを隔てて並設された複数本(ここでは8本)のタイミングベルト4aから構成されている。各間隙4eは、整列トラフ31の各溝31gの幅方向中央に配置されている。第1の搬送コンベア4の下方には、図14に示すように、当該第1の搬送コンベア4の幅方向および搬送方向に延在する支持プレート45が設けられている。支持プレート45の上面には、第1の搬送コンベア4の搬送方向に延びる8本の溝45aが一定間隔で形成されており、各溝45a内に各タイミングベルト4aがスライド自在に収容されている。
【0067】
また、隣り合う各溝45aの間において支持プレート45の上面には、エアを吸引するための複数の吸引孔45bが開口形成されており(図13参照)、各吸引孔45bは、幅方向に隣り合う各タイミングベルト4a間の間隙4e内に露出している。この構成により、各吸引孔45bからエアを吸引することによって、幅方向に隣り合う各タイミングベルト4a間の間隙4eで各錠剤Tが吸着保持されるようになっている。
【0068】
図13に示す例では、各吸引孔45bは、第1の搬送コンベア4の上流端が整列トラフ31の下流端とオーバラップする個所にのみ設けられているが、第1の搬送コンベア4の搬送方向全体にわたって設けられていてもよい。
【0069】
この場合には、錠剤Tが整列トラフ31から第1の搬送コンベア4上に受け渡される際に、さらには、第1の搬送コンベア4による錠剤Tの搬送中に、第1の搬送コンベア4上から錠剤Tが脱落したり、第1の搬送コンベア4上で錠剤Tが振動したり、位置ずれを起こしたりするのが防止されており、その結果、錠剤Tを高速で搬送できるとともに、錠剤Tの表面に対して正確な位置に印刷処理を行えるようになる。
【0070】
なお、第1の搬送コンベア4の上流端が整列トラフ31の下流端とオーバラップする個所にのみ各吸引孔45bが設けられていることにより、錠剤Tが整列トラフ31から第1の搬送コンベア4上に受け渡される際にのみ錠剤Tが各吸引孔45bで吸引され、第1の搬送コンベア4による搬送中には錠剤Tが吸引されない場合には、第1の搬送コンベア4の走行速度をあまり高速にすることはできないが、この場合でも、本実施例によれば、第1の搬送コンベア4が複数本のタイミングベルト4aから構成されていることにより、多数の錠剤Tを複数列で搬送することが可能であり、これにより、錠剤1個当たりの処理速度を向上できる。
【0071】
図14は、錠剤Tとして、平錠を例にとって示しているが、錠剤TがR錠の場合には、図15に示すように、R錠と接触する各タイミングベルト4aの角部にR面取り部45rを設けるようにするのが好ましい。これは、タイミングベルト4aの角部とR錠が点接触することでR錠の表面に傷が付くのを防止するためである。また、R面取り部45rを設けることで、R錠が各タイミングベルト4a間の間隙4e内に嵌り込み(図15参照)、その結果、搬送中に傾きやすいR錠を安定して搬送できるようになる。
【0072】
<第1のラインセンサカメラ>
図16ないし図18は、第1の検出用および検査用ラインセンサカメラを説明するための図である。
図16に示すように、第1の検出用ラインセンサカメラ5は、ラインセンサ(CMOSセンサ)50と、レンズマウント52を介してラインセンサ50に取り付けられたカメラレンズ51とを有している。図17および図18に示すように、第1の検出用ラインセンサカメラ5の撮影ライン5Lは、第1の搬送コンベア4の幅方向に配置されている。したがって、第1の搬送コンベア4による錠剤Tの搬送中に第1の検出用ラインセンサカメラ5による撮影(ラインスキャン)を開始すると、第1の搬送コンベア4の停止中には1画素列分のデータ(ラインデータ)であっても、第1の搬送コンベア4が移動することで、エリアセンサに比べて大きな画素数のエリアデータが得られることになる。
【0073】
第1の検出用ラインセンサカメラ5のラインセンサ50により検出される錠剤Tの検出データは、錠剤Tの種別や位置、姿勢(向き)、表裏の情報等を含んでいる。また、撮影時には、第1の検出用ラインセンサカメラ5は、錠剤Tの移動速度(つまり第1の搬送コンベア4の搬送速度)と同期している。
【0074】
第1の検査用ラインセンサカメラ7も同様の構成を有しており、図16に示すように、ラインセンサ(CMOSセンサ)70と、レンズマウント72を介してラインセンサ70に取り付けられたカメラレンズ71とを有している。また、図18に示すように、第1の検査用ラインセンサカメラ7の撮影ライン7Lも同様に、第1の搬送コンベア4の幅方向に配置されている。したがって、第1の搬送コンベア4による錠剤Tの搬送中に第1の検査用ラインセンサカメラ7による撮影(スキャン)を開始すると、第1の搬送コンベア4の停止中には1画素列分のデータ(ラインデータ)であっても、第1の搬送コンベア4が移動することで、エリアセンサに比べて大きな画素数のエリアデータが得られることになる。
【0075】
第1の検査用ラインセンサカメラ7のラインセンサ70により検出される錠剤Tの検査データは、印字にかすれがないか、印字が所定の位置にされているか等の印刷不良に関する情報を含んでいる。また、撮影時には、第1の検査用ラインセンサカメラ7についても、錠剤Tの移動速度(つまり第1の搬送コンベア4の搬送速度)と同期している。
【0076】
第1の検査用ラインセンサカメラ7により、印刷不良等の不良品が検出された場合、当該不良品の位置情報は、第1の搬送コンベア4上の情報(反転後には第2の搬送コンベア4’上の情報)として登録されることで、当該不良品は、第2の搬送コンベア4’での搬送中に不良品排出ユニット9により系外排出されるようになっている。
【0077】
第1の検出用ラインセンサカメラ5の下方には、第1の搬送コンベア4上の錠剤に向かって(正確には第1の検出用ラインセンサカメラ5の撮影ライン5Lに向かって)光を照射する一対の照明ユニット10が設けられており、同様に、第1の検査用ラインセンサカメラ7の下方には、第1の搬送コンベア4上の錠剤に向かって(正確には第1の検査用ラインセンサカメラ7の撮影ライン7Lに向かって)光を照射する一対の照明ユニット11が設けられている。
【0078】
なお、一般に、錠剤は白色のものが多いため、たとえば、第1の搬送コンベア4の各タイミングベルト4aの表面を黒色にすることで、ラインセンサカメラ5、7の撮影時のコントラストを強くすることができる。
【0079】
<第1のインクジェットプリンタ部>
図16、図18ないし図20は、第1のインクジェットプリンタ部を説明するための図である。
図16に示すように、第1のインクジェットプリンタ部6は、第1の検出用ラインセンサカメラ5と第1の検査用ラインセンサカメラ7の間に配置されており、好ましくはラインヘッド型の第1のインクジェットヘッド(IJPヘッド)60を有している。インクジェットヘッド60は、支持プレート61に取り付けられており、図18に示すように、第1の搬送コンベア4の幅方向に配置されている。また、第1のインクジェットプリンタ部6は、当該錠剤印刷装置1の前面パネル110に貫通形成された開孔110aに対して前後方向(図16紙面垂直方向)に出没可能に設けられている。
【0080】
図19に示すように、インクジェットヘッド60には、インク導入用のコネクタ61Aと、インク排出用(インク充填時のエア抜き用)のコネクタ61Bとが接続されている。支持プレート61には、インクジェットヘッド60から吐出したインクが通過するための貫通孔61aが形成されている。支持プレート61の後端61bには、ブラケット62が固定されており、ブラケット62には、前後方向(図19左右方向)に延びるボールネジ63が螺合している。ボールネジ63の前後端は、軸受64、65により回転自在に支持されている。また、ボールネジ63の後端は、カップリング66を介して、サーボモータ67の出力軸に駆動連結されている。また、ブラケット62には、ボールネジ63の回転時にブラケット62の移動をガイドするためのLM(Linear Motion)ガイド68が取り付けられている。LMガイド68は、前後方向に配設されたLMレール68Aと、LMレール68Aの上をスライド自在に設けられたLMブロック68Bとから構成されており、LMブロック68Bは、ブラケット62に固定されている。
【0081】
この構成により、サーボモータ67が駆動されてボールネジ63が回転すると、ブラケット62および支持プレート61を介して第1のインクジェットヘッド60が前後方向、すなわち各錠剤の列方向(図20矢印方向)に移動するようになっており、第1のインクジェットプリンタ部6は、インクジェットヘッド60が第1の搬送コンベア4の上に配置された印刷位置(図18一点鎖線位置および図19実線位置参照)と、前面パネル110の後方に後退した後退位置(図19一点鎖線位置)とをとり得るようになっている。後退位置は、例えば、インクジェットヘッド60のパージやワイプ、すなわち、インクまたはメンテナンス液を吐出させてインクジェットヘッド60のクリーニングを行うメンテナンス作業等のために設けられている。
【0082】
また、図19に示すように、LMガイド68の下方には、後退位置におかれたインクジェットヘッド60のヘッド面60aに蓋をしてヘッド面60aの乾燥を防ぐためのキャップ69Aが設けられている。キャップ69Aの下部には、後退位置におかれたインクジェットヘッド60のヘッド面60aに向かって、キャップ69Aを斜め上方に移動させるためのキャップ移動ユニット69が設けられている。キャップ移動ユニット69は、例えば空気圧シリンダから構成されている。
【0083】
インクジェットヘッド60は、例えばピエゾ方式を採用しているが、その印刷の際には、第1の検出用ラインセンサカメラ5で検出された各錠剤Tの位置、姿勢(向き)、表裏等の情報データが高速処理されて、その処理結果に基づいて、インクジェットヘッド60の何番目のノズルからインクを吐出させるかのデータがインクジェットヘッド60に送られており、インクジェットヘッド60の印字位置は固定されている。
【0084】
すなわち、図20に示すように、インクジェットヘッド60が印刷位置におかれて印刷処理を行っているとき、インクジェットヘッド60のインク吐出領域は、例えば、一点鎖線で囲む領域Pに固定されており、隣り合う各領域Pの間の領域P’からはインクが吐出されない。そこで、長時間使用されていないノズルの乾燥による孔詰まりを防止するために、メンテナンス時にインクジェットヘッド60が後退位置に移動した後、再び印刷位置に復帰する際に、インクジェットヘッド60の位置を数ミリずつ変えてインクジェットヘッド60を前回の印刷位置とは異なる位置に移動させるとともに、そのときの位置のずれ量を補正することで、復帰後の印刷処理が適切に行われるようにしている。
【0085】
また、印刷時には、インクジェットプリンタ部6の印字タイミングは、錠剤Tの移動速度(つまり第1の搬送コンベア4の搬送速度)と同期しており、これにより、移動中の錠剤Tに正確に印刷処理を施すことができる。
【0086】
<反転装置>
図16、図21および図22は、反転装置を説明するための図である。
図16に示すように、反転装置8は、第1の搬送コンベア4が巻き掛けられる反転ローラ80を有している。反転ローラ80の内部には、図22に示すように、反転ローラ80の外周に沿って並設された多数の隔室80aが設けられている(同図では上下の2つの隔室80aのみ図示)。各隔室80aは、反転ローラ80の径方向に延びかつ軸方向に延在しており、反転ローラ80の一端に開口している。また、各隔室80aは、反転ローラ80の外周面に開口しかつ第1の搬送コンベア4上の各錠剤を吸引するための複数の吸引孔80bを有している。各吸引孔80bは、第1の搬送コンベア4が反転ローラ80に巻き掛けられたときに、第1の搬送コンベア4を構成する各タイミングベルト4aの間の間隙4eに対応する位置に配置されている。
【0087】
反転ローラ80の隔室開口側端面には、円形状のプレート81が配置されており、プレート81には、その外周面に沿って半円孤状に延びかつ反転ローラ80の各隔室80aに連通する吸引用チャンバ81aが貫通形成されている(図16参照)。プレート81は、ベース82に取り付けられている。ベース82には、プレート81の吸引用チャンバ81aとオーバラップする位置に、複数の貫通孔82aが形成されている(図16参照)。各貫通孔82aにはそれぞれコネクタ83が取り付けられており(図22では下側のコネクタ83のみ図示)、各コネクタ83には、エア吸引用の吸引ホース84がそれぞれ取り付けられている。また、ベース82は、図示しない調整ネジの作用によって、反転ローラ80の端面に圧接している。
【0088】
この構成により、各吸引ホース84からエアを吸引することによって、貫通孔82a、吸引用チャンバ81a、隔室80aおよび吸引孔80bからエアが吸引され、これにより、第1の搬送コンベア4上の各錠剤Tは、反転ローラ80の外周面に沿って移動する際にも、第1の搬送コンベア4上に吸着保持されるようになっている(図21参照)。
【0089】
なお、吸引用チャンバ81aは、図16に示すように、反転ローラ80から第2の搬送コンベア4’への受渡しポイントHまで延設されている。したがって、吸引用チャンバ81aによる吸引は、反転ローラ80から第2の搬送コンベア4’に錠剤Tが受け渡されるまでの間であり、受渡しポイントHより下流側では、反転ローラ80によっては吸引されず、第2の搬送コンベア4’側に設けられた吸引孔(図示せず)によって吸引されるようになっている。
【0090】
反転装置8の駆動機構は、図22に示すように、サーボモータ本体85Aに減速機85Bが取り付けられた減速機付きサーボモータ85を有している。サーボモータ85の出力軸端にはタイミングプーリ86が取り付けられている。一方、サーボモータ85の側方には、ブラケット87Aに回転自在に支持された回転軸87が配設されている。回転軸87の先端には、タイミングプーリ88が取り付けられており、各タイミングプーリ86、88間には、タイミングベルト89が巻き掛けられている。また、回転軸87の他端は、反転ローラ80の中央に形成された穴80cにキー止め固定されており、その端面には、反転ローラ80を回転軸87に対して軸方向に固定するロックネジ87Bが螺合している。
【0091】
第2の搬送コンベア4’の上流側において、反転ローラ80の下方には、第2の搬送コンベア4’と反転ローラ80との間隙を調整するための高さ調節ユニット15が設けられており(図1参照)、この高さ調節ユニット15は、図23に示すように、サーボモータ115と、その出力軸115aに取り付けられたレバー116とを有している。レバー116の先端には、切欠き116aが形成されており、切欠き116aには、前後方向(図23(a)上下方向)に延びる支軸118の一端が係合している。一方、第2の搬送コンベア4’の下方には、当該第2の搬送コンベア4’の幅方向に延在する昇降プレート117が配設されている。支軸118の一部は、昇降プレート117の下面に取り付けられている。
【0092】
この場合には、サーボモータ115を駆動して、レバー116を回動させることにより、支軸118を介して昇降プレート117が上方または下方に移動し(図23(b)実線および一点鎖線参照)、これにより、第2の搬送コンベア4’と反転ローラ80との間隙が調整されるようになっている。このようにして、錠剤の厚みが異なった場合に対応できる。
【0093】
また、昇降プレート117の一部には多数の貫通孔(図示せず)が形成されるとともに、その下面の一部には、当該貫通孔からエアを吸引するためのチャンバ部120が設けられている。チャンバ部120はダクト119に接続されている。ダクト119を介してチャンバ部120からエアが吸引されることで、第2の搬送コンベア4’上の各錠剤が第2の搬送コンベア4’上に吸着保持されるようになっている。
【0094】
<第2の搬送コンベア>
図25は、第2の搬送コンベアを説明するための図である。
同図に示すように、第2の搬送コンベア4’は、第1の搬送コンベア4と同様に、搬送方向(図左右方向)と直交する幅方向に所定の間隙4’eを隔てて並設された8本のタイミングベルト4’aから構成されている。なお、錠剤TがR錠の場合に各タイミングベルト4’aの角部にR面取り部を設ける点は、第1の搬送コンベア4の場合と同様である。
【0095】
<第2のラインセンサカメラ>
図24は、第2の検出用および検査用ラインセンサカメラを説明するための図である。同図において、図16と同一符号は同一または相当部分を示している。
第2の検出用ラインセンサカメラ5’は、横向き(水平方向)に配置されている点を除いて、第1の検出用ラインセンサカメラ5と同様の構成を有しており、図24に示すように、ラインセンサ(CMOSセンサ)50’と、レンズマウント52’を介してラインセンサ50’に取り付けられたカメラレンズ51’とを有している。第2の検出用ラインセンサカメラ5’は、レンズ前方のミラー13を介して、第2の搬送コンベア4’上の錠剤を検出しており、第2の検出用ラインセンサカメラ5’の撮影ラインは、第2の搬送コンベア4’の幅方向に配置されている。
【0096】
第2の検出用ラインセンサカメラ5’のラインセンサ50’により検出される錠剤Tの検出データは、錠剤Tの種別や位置、姿勢(向き)、表裏の情報等を含んでいる。また、撮影時には、第2の検出用ラインセンサカメラ5’は、錠剤Tの移動速度(第2の搬送コンベア4’の搬送速度)と同期している。
【0097】
第2の検査用ラインセンサカメラ7’についても、横向き(水平方向)に配置されている点を除いて、第1の検査用ラインセンサカメラ7と同様の構成を有しており、図24に示すように、ラインセンサ(CMOSセンサ)70’と、レンズマウント72’を介してラインセンサ70’に取り付けられたカメラレンズ71’とを有している。第2の検査用ラインセンサカメラ7’は、レンズ前方のミラー14を介して、第2の搬送コンベア4’上の錠剤を検出しており、第2の検査用ラインセンサカメラ7’の撮影ラインは、第2の搬送コンベア4’の幅方向に配置されている。
【0098】
第2の検査用ラインセンサカメラ7’のラインセンサ70’により検出される錠剤Tの検査データは、印字にかすれがないか、印字が所定の位置にされているか等の印刷不良に関する情報を含んでいる。また、撮影時には、第2の検査用ラインセンサカメラ7’についても、錠剤Tの移動速度(第2の搬送コンベア4’の搬送速度)と同期している。
【0099】
ミラー13の下方には、第2の検出用ラインセンサカメラ5’の撮影ラインに向かって光を照射する一対の照明ユニット10’が設けられており、同様に、ミラー14の下方には、第2の検査用ラインセンサカメラ7’の撮影ラインに向かって光を照射する一対の照明ユニット11’が設けられている。
【0100】
なお、第2の搬送コンベア4’の各タイミングベルトについても、白色の錠剤とのコントラストを強めるために、表面を黒色にするようにしてもよい。
【0101】
<不良品排出ユニット>
図25ないし図28は、不良品排出ユニットを説明するための図である。
これらの図に示すように、不良品排出ユニット9は、第2の搬送コンベア4’の上方に配置された筺体91と、筺体91の前面側下部から筺体91に対して抜き差し自在に設けられたプレート92とを備えている。筺体91の下部には、前後方向に延びるガイドレール91aが設けられており、プレート92はガイドレール91aにスライド自在に支持されている。
【0102】
プレート92には、図25に示すように、第1、第2の搬送コンベア4、4’により搬送される各錠剤Tの各列に対応した複数(ここでは7個)の貫通孔92aが上下方向に貫通形成されている。この例では、第2の搬送コンベア4’の上流側に4個の貫通孔92aが形成され、下流側に3個の貫通孔92aが形成されており、各貫通孔92aは、第2の搬送コンベア4’の各タイミングベルト4’a間の各間隙4’eの上方位置にそれぞれ配置されている。また、各貫通孔92aの直径は、錠剤Tの直径よりも若干大きく製作されている。
【0103】
筺体91の内部には、図25および図26に示すように、上下方向に屈曲しつつ延びるとともに、プレート92の各貫通孔92aに対応した複数(ここでは7個)の通路91bが設けられている。各通路91bの下側端は、筺体91に装着されたプレート92の各貫通孔92aに開口している。また、筺体21の内部には、第2の搬送コンベア4’の幅方向に延びる一対の通路91cが並設されている。各通路91bの上側端は、通路91cに開口している。通路91cは、図28に示すように、先に進むにしたがい、その底面91c1が徐々に下方に傾斜する傾斜面を有している。通路91cの終端は、不良品排出ボックス(図示せず)に通じるシュート90に連結されている。
【0104】
筺体91には、図25および図26に示すように、各通路91bに対応する位置にそれぞれジョイント91d、91eが接続されている。各ジョイント91d、91eには、圧搾空気が供給されるホース(図示せず)が接続されている。ジョイント91dは、通路91bの上部に圧搾空気を導入するためのものであり、ジョイント91eは、通路91bの下部に圧搾空気を導入するためのものである。
【0105】
また、筺体91には、図25に示すように、第2の搬送コンベア4’の上流側の側面に沿って複数(ここでは7個)のセンサ91sが設けられており(図27参照)、下流側の側面に沿って複数(ここでは7個)のセンサ91’sが設けられている(図26参照)。センサ91sは、不良品の位置を検出するためのものであり、センサ91’sは、不良品の排出を確認するためのものであって、例えば光ファイバセンサから構成されている。
【0106】
この構成により、センサ91sで検出された不良品Tiが通路91bの下側端の開口位置の下方に移動したとき、ジョイント91eから通路91b内に圧搾空気を導入すると、通路91bの下部が負圧状態となることで、不良品Tiがプレート92の貫通孔92aを通って通路91b内に吸い込まれるようになっている。通路91b内に吸い込まれた不良品Tiは、ジョイント91dから通路91b内に導入される圧搾空気の作用によって、通路91bの上側端の開口から通路91cに入り、通路91cの傾斜面91c1を通って、シュート90から下方の不良品排出ボックスに系外排出されるようになっている。
【0107】
この場合には、不良品のみをピンポイントで吸引することができ、不良品排出時に良品を巻き込むのを防止できる。なお、万一、不良品が吸引排出されなかった場合には、当該不良品はセンサ91’sで検出される。この場合には、当該不良品が第2の搬送コンベア4’の下流端からシュート18(図1)に排出される際に、不良品排出ダンパー17を駆動して開くことにより、当該不良品がその周りの錠剤と一緒に下方のシュート19にすべて排出されるようになっている。
【0108】
なお、プレート92が筺体91に対して着脱自在に設けられていることにより、搬送される錠剤の大きさや直径、厚みが異なった場合には、プレート92を取り換えることで容易に対応可能である。
【0109】
<制御部>
次に、錠剤印刷装置1の制御部について、図29を用いて説明する。
同図に示すように、制御部200の入力ポートには、第1、第2の搬送ベルト4、4’の移動位置をそれぞれ検出するためのロータリーエンコーダ42、42’と、第1、第2の検出用ラインセンサカメラ5、5’と、第1、第2の検査用ラインセンサカメラ7、7’と、第1、第2の検出用ラインセンサカメラ5、5’で検出された各錠剤の検出データに基づいて各錠剤に印刷すべき印刷パターンを作成する画像処理装置150と、不良品位置検出用のセンサ91sと、不良品位置確認用のセンサ91’sと、キーボード等のその他の入力部151とが接続されている。
【0110】
制御部200の出力ポートには、第1の搬送コンベア4を駆動するサーボモータ85および第2の搬送コンベア4’を駆動するサーボモータと、第1、第2のインクジェット(IJP)ヘッド60、60’と、これらを駆動するIJPコントローラ152と、不良品排出ユニット9と、不良品排出ダンパー17と、振動フィーダ20a、33と、モニター等の他の出力部153とが接続されている。
【0111】
<錠剤に対する検出・印刷・検査処理>
次に、第1、第2の搬送コンベア4、4’上の各錠剤Tに対する検出処理、印刷処理および検査処理について、図30ないし図35を用いて説明する。これらの図のうち、図30ないし図32は、第1の搬送コンベア4上の錠剤Tに対する各処理を、図33ないし図35は、第2の搬送コンベア4’上の錠剤Tに対する各処理をそれぞれ示している。
【0112】
各図においては、図示の便宜上、第1、第2の搬送コンベア4、4’上の各錠剤Tが、搬送方向と直交する幅方向に整列した状態を示している。実際の運転においては、第1、第2の搬送コンベア4、4’上の各錠剤Tは、搬送方向と直交する幅方向に整列しておらず、ランダムに配置されている。しかしながら、この場合でも、第1、第2の搬送コンベア4、4’の幅方向に隣り合う各錠剤Tの間隔は一定に維持されている。また、図示の簡略化のために、錠剤Tが幅方向に7列ではなく、4列で搬送される状態を示している。なお、錠剤Tとしては、一方の面に割線が形成された割線錠を例にとって示しており、ここでは、割線の形成されていない側の面にのみ印刷処理を施す場合を例にとって説明する。
【0113】
また、各図中、「検出」と記された一点鎖線の位置は、第1、第2の検出用ラインセンサカメラ5、5’による検出位置を示し、「IJP」と記された一点鎖線の位置は、第1のインクジェットプリンタ部6、6’による印刷位置を示し、「検査」と記された一点鎖線の位置は、第1、第2の検査用ラインセンサカメラ7、7’による検査位置を示している。
【0114】
ホッパ2(図1)から供給され、複数列振分けユニット3(図1)により所定列数の複数列に振り分けられた多数の錠剤Tは、図30に示すように、第1の搬送コンベア4により、複数列のまま図示矢印方向(第1の搬送方向)にランダムに搬送されてくる(図13参照)。このとき、各錠剤Tは、表裏がばらばらになっており、割線の向きもランダムであるが、上述したように、搬送方向と直交する幅方向において隣り合う各錠剤Tの間隔は一定である。
【0115】
各錠剤Tは、図30に示す検出位置において、第1の検出用ラインセンサカメラ5により検出される。このとき、各錠剤Tは、第1の検出用ラインセンサカメラ5のカメラレンズ51により撮影され、撮影された画像データがラインセンサ50により検出される。ラインセンサ50により検出された各錠剤Tの検出データには、錠剤Tの種別や位置、姿勢(向き)、表裏の情報等を含んでいる。また、第1の検出用ラインセンサカメラ5による撮影は、錠剤Tの移動速度(第1の搬送コンベア4の搬送速度)と同期して行われる。
【0116】
第1の検出用ラインセンサカメラ5により検出された各錠剤Tは、図31に示すように、印刷位置において、第1のインクジェットプリンタ部6により印刷処理を受ける。このとき、第1のインクジェットプリンタ部6は、第1の検出用ラインセンサカメラ5で検出された各錠剤Tの検出データに基づいて、搬送中の各錠剤Tに印刷を行う。この例では、割線が形成された側の面には印刷処理が行われず、割線が形成されていない側の面にのみ印刷処理が行われる。また、印刷時には、第1のインクジェットプリンタ部6による印字タイミングは、錠剤Tの移動速度(第1の搬送コンベア4の搬送速度)と同期しており、これにより、移動中の錠剤Tに正確に印刷処理を施すことができる。
【0117】
なお、第1のインクジェットプリンタ部6により印刷される印字パターンとしては、図31に示すように、記号からなる「社マーク」や数字からなる「錠剤コード」の他、「会社略号」、「使用期限」、「製造番号」、「主薬含量」、「QRコード(登録商標)」、「バーコード」等が含まれる。これらの印刷パターンのうち、「錠剤コード」や「主薬含量」、「QRコード(登録商標)」、「バーコード」等は薬の種類によって変わり、また「使用期限」や「製造番号」等は同じ種類の薬であっても変わるものであるが、本実施例では、インクジェット方式で印刷を行うため、パソコン等により印字パターンの変更が容易に行える。また、錠剤に対して非接触で印刷を行えることにより、素錠(裸錠)やFC(Film Coating)錠、糖衣錠を含む任意の剤形の錠剤に適用でき、また、平錠やR錠を含む任意の形状の錠剤に適用でき、いずれも場合も鮮明な印刷処理が可能である。
【0118】
第1のインクジェットプリンタ部6により印刷処理が施された各錠剤Tは、図32に示すように、検査位置において、第1の検査用ラインセンサカメラ7により検査される。このとき、各錠剤Tへの印刷状態は、第1の検査用ラインセンサカメラ7のカメラレンズ71により撮影され、撮影された画像データがラインセンサ70により検知される。このとき、ラインセンサ70により検知される各錠剤Tの検査データは、印字にかすれがないか、印字が所定の位置にされているか等の印刷不良に関する情報を含んでいる。また、第1の検査用ラインセンサカメラ7による撮影は、錠剤Tの移動速度(第1の搬送コンベア4の搬送速度)と同期して行われる。
【0119】
各錠剤Tに対する上述した検出・印刷・検査処理は、第1の搬送コンベア4による各錠剤Tの搬送中に連続して行われる。すなわち、図32に示すように、検査位置で搬送方向上流側の各錠剤Tが検査処理を受けている間、その搬送方向下流側の各錠剤に対しては、印刷位置で印刷処理が行われ、このとき、さらに搬送方向下流側の各錠剤に対しては、検出処理が行われている。
【0120】
このように、第1の搬送コンベア4上で検出・印刷・検査処理を受けた各錠剤Tは、反転装置8(図1)により表裏を反転されて、第2の搬送コンベア4’上に受け渡される。受け渡された各錠剤Tは、図33に示すように、第2の搬送コンベア4’により、複数列のまま図示矢印方向(第2の搬送方向)にランダムに搬送されてくる。このとき、各錠剤Tの表裏は、第1の搬送コンベア4上での表裏の状態と逆になっている。また、この場合でも、搬送方向と直交する幅方向において隣り合う各錠剤Tの間隔は一定である。
【0121】
各錠剤Tは、図33に示す検出位置において、第2の検出用ラインセンサカメラ5’により検出される。このとき、各錠剤Tは、第2の検出用ラインセンサカメラ5’のカメラレンズ51’により撮影され、撮影された画像データがラインセンサ50’により検出される。ラインセンサ50’により検出された各錠剤Tの検出データには、錠剤Tの位置や姿勢(向き)、表裏の情報等を含んでいる。また、第2の検出用ラインセンサカメラ5’による撮影は、錠剤Tの移動速度(第2の搬送コンベア4’の搬送速度)と同期して行われる。
【0122】
第2の検出用ラインセンサカメラ5’により検出された各錠剤Tは、図34に示すように、印刷位置において、第2のインクジェットプリンタ部6’により印刷処理を受ける。このとき、第2のインクジェットプリンタ部6’は、第2の検出用ラインセンサカメラ5’で検出された各錠剤Tの検出データに基づいて、搬送中の各錠剤Tに印刷を行う。この例では、割線が形成された側の面には印刷処理が行われず、割線が形成されていない側の面にのみ印刷処理が行われる。また、印刷時には、第2のインクジェットプリンタ部6’による印字タイミングは、錠剤Tの移動速度(第2の搬送コンベア4’の搬送速度)と同期しており、これにより、移動中の錠剤Tに正確に印刷処理を施すことができる。
【0123】
なお、第2のインクジェットプリンタ部6’により印刷される印字パターンとしては、図34に示すように、第1の搬送コンベア4上での印刷処理と同様に、「社マーク」や「錠剤コード」の他、「会社略号」、「使用期限」、「製造番号」、「主薬含量」、「QRコード(登録商標)」、「バーコード」等が含まれる。この場合においても、非接触のインクジェット方式で印刷を行うため、印字パターンの変更が容易に行えるとともに、任意の剤形および形状の錠剤に適用でき、鮮明な印刷処理が可能である。
【0124】
第2のインクジェットプリンタ部6’により印刷処理が施された各錠剤Tは、図35に示すように、検査位置において、第2の検査用ラインセンサカメラ7’により検査される。このとき、各錠剤Tへの印刷状態は、第2の検査用ラインセンサカメラ7’のカメラレンズ71’により撮影され、撮影された画像データがラインセンサ70’により検知される。このとき、ラインセンサ70’により検知される各錠剤Tの検査データは、印字にかすれがないか、印字が所定の位置にされているか等の印刷不良に関する情報を含んでいる。また、第2の検査用ラインセンサカメラ7’による撮影は、錠剤Tの移動速度(第2の搬送コンベア4’の搬送速度)と同期して行われる。
【0125】
各錠剤Tに対する上述した検出・印刷・検査処理は、第2の搬送コンベア4’による各錠剤Tの搬送中に連続して行われる。すなわち、図35に示すように、検査位置で搬送方向上流側の各錠剤Tが検査処理を受けている間、その搬送方向下流側の各錠剤に対しては、印刷位置で印刷処理が行われ、このとき、さらに搬送方向下流側の各錠剤に対しては、検出処理が行われている。
【0126】
図30ないし図35に示す例では、錠剤Tとして割線錠を例にとるとともに、錠剤Tに対して割線が形成されていない側の面にのみ印刷処理を施す場合を例にとって説明したが、この例では、錠剤Tの検出データが錠剤Tの位置のみならず姿勢を含んでいるため、錠剤Tの割線が形成されている側の面において割線の向きに合わせて印刷処理を行うようにしてもよい。
【0127】
<錠剤の不良品排出処理>
次に、第1、第2の検査用ラインセンサカメラ7、7’により印刷不良等の不良品が検出された場合の不良品排出処理について、図36のフローチャートを用いて説明する。
【0128】
まず、図36のステップS1において、不良品が検出されるのを待つ。不良品が検出されれば、ステップS2に移行する。ステップS2では、不良品が第1の搬送コンベア4上で検出されたか否か、つまり第1の検査用ラインセンサカメラ7で不良品を検出したか否かを判断する。
【0129】
不良品が第1の搬送用コンベア4上で検出されていれば、ステップS3に移行する。ステップS3では、当該不良品の位置情報を第1の搬送コンベア4上の位置情報として記憶する。各錠剤Tの第1の搬送コンベア上の位置情報は、第1の検出用ラインセンサカメラ5の検出データを基準として、ロータリーエンコーダ42による第1の搬送コンベア4の移動位置情報を逐次取得することで作成されており、不良品の位置情報についても同様にして作成される。
【0130】
ステップS3での処理後、ステップS4に移行する。ステップS4では、ステップS3で記憶された位置情報を第2の搬送コンベア4’上の位置情報として記憶する。このような処理が必要になるのは、第1の搬送コンベア4上の各錠剤Tが、反転装置8で表裏を反転された後、第2の搬送コンベア4’上に受け渡されて搬送されるからである。
【0131】
次に、ステップS5では、不良品排出ユニット9の不良品位置検出用のセンサ91sがONするのを待つ。センサ91sがONすれば、ステップS6に移行する。ステップS6では、センサ91sにより検出された不良品について、第2の搬送コンベア4’上の位置情報とずれがないかどうか判断する。
【0132】
ステップS6で位置情報にずれがないと判断されれば、ステップS7に移行して、不良品の吸引・排出処理を行う。この場合には、図25および図26に示すように、不良品Tiが、これに対応するプレート92の貫通孔92aの位置に移動したとき、当該貫通孔92aに対応する通路91bに接続されたジョイント91eから通路91b内に圧搾空気が導入される。すると、通路91bの下部が負圧状態となることで、不良品Tiがプレート92の貫通孔92aを通って通路91b内に吸い込まれる。通路91b内に吸い込まれた不良品Tiは、ジョイント91dから通路91b内に導入される圧搾空気の作用により、通路91bの上側端の開口から通路91cに入り、通路91cの傾斜面91c1を通ってシュート90から下方の不良品排出ボックスに系外排出される。このようにして、不良品のみをピンポイントで吸引することができ、不良品排出時に良品を巻き込むのを防止できる。
【0133】
次に、ステップS8では、ステップS7での吸引・排出処理において吸引ミスがあったか否かを判断する。これは、不良品排出ユニット9の不良品排出確認用のセンサ91’sの反応の有無により判断される。吸引ミスがあった場合、吸引されなかった不良品Tiは不良品排出確認用のセンサ91’sにより検出されることになる。吸引ミスがなければ、ステップS9に移行する。
【0134】
次に、ステップS9では、プログラムを終了するか否か判断する。ステップS9での判断が「yes」となれば、プログラムは終了する。また、ステップS9での判断が「no」となれば、プログラムはステップS1に戻り、ステップS1〜S8の処理を繰り返して実行する。
【0135】
一方、ステップS2において、不良品が、第1の搬送コンベア4上ではなく、第2の搬送コンベア4’上で検出された、つまり第2の検出用ラインセンサカメラ5’で不良品が検出されたと判断されれば、ステップS4に移行して、同様に、ステップS4移行の処理を行う。
【0136】
また、ステップS6において、第2の搬送コンベア4’上の位置情報とずれがあると判断されれば、ステップS10に移行する。同様に、ステップS8において、不良品の吸引ミスがあると判断されれば、ステップS10に移行する。
【0137】
ステップS10では、不良品Tiが第2の搬送コンベア4’の下流端からシュート18に排出される際に、不良品排出ダンパー17を駆動して開くことにより、当該不良品Tiをその周りの錠剤Tと一緒に下方のシュート19に排出する。このようにして、不良品Tiが確実に系外排出されることになる。
【0138】
このように本実施例では、第1、第2の搬送コンベアにより搬送される多数の錠剤に対して第1、第2のインクジェットプリンタ部で印刷を行うので、各錠剤に非接触で印刷を行うことができる。また、第1、第2の検出用ラインセンサカメラで検出された各錠剤の検出データに基づいて各錠剤に連続して印刷処理が施されるので、錠剤の位置や姿勢等がランダムであっても、容易に対応できる。さらに、第1、第2の搬送コンベアにより搬送される各錠剤は、複数列を維持したまま搬送されるので、搬送される各錠剤の間隔は、搬送方向にはランダムでも、搬送方向と交差する幅方向には一定の間隔を維持しており、これにより、不良品の排出の際には、不良品をこれとコンベア幅方向に隣り合う他の錠剤と容易に切り離すことができ、その結果、不良品のみをピンポイントで確実に排出できるようになる。
【0139】
前記実施例では、錠剤搬送部としての搬送コンベアを複数本のベルトを一定間隔を隔てて並設することにより構成した例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。図37は、搬送コンベアの変形例を示している。同図において、前記実施例と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0140】
平面図である図37(a)およびそのB−B線断面図である同図(b)に示すように、この搬送コンベア4”は、単一のタイミングベルト4”aを有している。タイミングベルト4”aは、搬送方向(図37(a)左右方向)と直交する幅方向(同図上下方向)に幅広のベルトである。タイミングベルト4”aの上面には、各々搬送方向に延びる複数の溝4”gが形成されている。各溝4”gの個数は、搬送される錠剤Tの列数に対応している。各溝4”g内には、タイミングベルト4”aを上下に貫通するエア吸引孔4”hが、当該各溝の配設方向に沿って所定間隔で形成されている。
【0141】
この場合には、各エア吸引孔4”hからエアを吸引することによって、搬送中の錠剤Tが、タイミングベルト4”aの対応する溝4”gのエア吸引孔4”hで吸着保持されるようになっている。
【0142】
前記実施例では、錠剤の表裏に印刷を行うために、反転ローラを設けて錠剤の表裏を反転させるとともに、反転された錠剤を搬送する第2の搬送コンベアの側にも、第2の検出用ラインセンサカメラ、第2のインクジェットプリンタ部および第2の検査用ラインセンサカメラを設けた例を示したが、本発明は、錠剤の表面にのみ印刷を行う場合にも同様に適用できる。この場合、不良品排出ユニット9が第1の搬送コンベア4の下流側に設けられることになる。
【0143】
前記実施例では、錠剤の撮像手段として、ラインセンサカメラを用いた例を示したが、本発明は、撮像素子を有するものであればその他のカメラでもよく、例えばエリアセンサカメラを用いることも可能である
【0144】
前記実施例では、印刷部の好ましい例として、インクジェットプリンタ部を示したが、本発明における印刷部としては、非接触で印刷できるものであれば、インクジェットプリンタ部に限定されない。例えば、素錠のような錠剤への印刷には不適切であるが、FC錠や糖衣錠のような、表面に酸化チタンを含む錠剤への印刷には適しているレーザープリンタ部であってもよく、あるいは、その他の印刷装置でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0145】
以上のように、本発明は、連続してランダムにかつ所定列数の複数列で供給される多数の錠剤に対して非接触で印刷を行う錠剤印刷装置に有用であり、とくに不良品の錠剤のみをピンポイントで確実に排出するための装置に適している。
【符号の説明】
【0146】
1: 錠剤印刷装置
2: ホッパ(錠剤供給部)
3: 複数列振分けユニット
30A: 中央分散部
30B、30C: 振分け部
4: 第1の搬送コンベア(第1の錠剤搬送部)
4a: タイミングベルト
4e: 間隙
4’: 第2の搬送コンベア(第2の錠剤搬送部)
4’a: タイミングベルト
4’e: 間隙
5: 第1の検出用ラインセンサカメラ(第1の錠剤検出部)
50: ラインセンサ
5’: 第2の検出用ラインセンサカメラ(第2の錠剤検出部)
50’: ラインセンサ
6: 第1のインクジェットプリンタ部
60: 第1のインクジェットヘッド
6’: 第2のインクジェットプリンタ部
60’: 第2のインクジェットヘッド
7: 第1の検査用ラインセンサカメラ(第1の錠剤検査部)
70: ラインセンサ
7’: 第2の検査用ラインセンサカメラ(第2の錠剤検査部)
70’: ラインセンサ
8: 反転装置(反転部)
80: 反転ローラ
9: 不良品排出ユニット(不良品排出部)
92a: 貫通孔(開孔)
15: 高さ調節ユニット
T、T’: 錠剤
Ti: 不良品
【先行技術文献】
【特許文献】
【0147】
【特許文献1】特開2011−20325号公報(段落[0035]〜[0038]ならびに図1、図2および図4参照)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠剤に印刷を行う錠剤印刷装置であって、
錠剤を供給する錠剤供給部と、
前記錠剤供給部により供給された多数の錠剤を所定列数の複数列に振り分ける複数列振分けユニットと、
前記複数列振分けユニットにより振り分けられた各錠剤を複数列のままランダムに搬送する錠剤搬送部と、
前記錠剤搬送部による搬送中に各錠剤を検出する錠剤検出部と、
前記錠剤検出部で検出された各錠剤の検出データに基づいて搬送中の各錠剤に非接触で印刷を行う印刷部と、
前記印刷部による各錠剤への印刷状態を検査する錠剤検査部と、
前記錠剤検査部での検査結果に基づいた印刷不良を含む不良品を各錠剤の複数列での搬送中に排出する不良品排出部と、
を備えた錠剤印刷装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記複数列振分けユニットが、当該ユニットの幅方向中央に設けられかつ各錠剤を左右に分散させるための一対の傾斜面を錠剤搬送方向に延設してなる山形状の中央分散部と、前記中央分散部の左右両側にそれぞれ設けられ、前記中央分散部に近い側には直立状態に傾斜した第1の傾斜面を有しかつ前記中央分散部から離れた側には斜めに傾斜した第2の傾斜面を有する左右非対称な一対の傾斜面を錠剤搬送方向に延設してなり、各錠剤を複数列に振り分けるための山形状の複数の振分け部とを有している、
ことを特徴とする錠剤印刷装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記各振分け部は、錠剤搬送方向下流側に向かうにしたがい、前記中央分散部に近い側の前記振分け部から順にその傾斜面の高さが徐々に高くなっている、
ことを特徴とする錠剤印刷装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記錠剤搬送部が、複数の搬送路から構成されており、搬送中の各錠剤は、エアの吸引により、対応する前記搬送路の上に吸着保持されるようになっている、
ことを特徴とする錠剤印刷装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記複数の搬送路が、複数本のベルトを一定間隔を隔てて並設することにより構成されており、隣り合う各ベルト間の間隙からエアを吸引することにより、搬送中の各錠剤が前記間隙で吸着保持されている、
ことを特徴とする錠剤印刷装置。
【請求項6】
請求項4において、
前記複数の搬送路が、ベルトに複数列のエア吸引孔を形成することにより構成されており、前記エア吸引孔からエアを吸引することにより、搬送中の各錠剤は、対応する列の前記エア吸引孔に吸着保持されている、
ことを特徴とする錠剤印刷装置。
【請求項7】
請求項1において、
前記錠剤検出部および前記錠剤検査部が、撮像手段により構成されている、
ことを特徴とする錠剤印刷装置。
【請求項8】
請求項1において、
前記錠剤検出部による前記検出データが、錠剤の位置および姿勢を含んでいる、
ことを特徴とする錠剤印刷装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記検出データがさらに錠剤の表裏の情報を含んでいる、
ことを特徴とする錠剤印刷装置。
【請求項10】
請求項1において、
前記印刷部がインクジェットプリンタ部により構成されるとともに、前記インクジェットプリンタ部がインクジェットヘッドを有しており、前記インクジェットヘッドが、各錠剤の列方向に移動可能になっている、
ことを特徴とする錠剤印刷装置。
【請求項11】
請求項10において、
前記インクジェットヘッドが、インク吐出用の複数のノズルを有しており、印刷処理の開始前には、前回の印刷処理に使用したノズルとは異なるノズルが使用されるように、前記インクジェットヘッドが制御されている、
ことを特徴とする錠剤印刷装置。
【請求項12】
請求項1において、
前記不良品排出部が、前記錠剤搬送部の上方に配置されるとともに、当該錠剤搬送部により搬送される各錠剤の各列に対応した複数の開孔を有し、不良品が当該不良品に対応する前記開孔から系外排出されるようになっている、
ことを特徴とする錠剤印刷装置。
【請求項13】
請求項12において、
前記不良品排出部が、不良品を前記開孔から吸引するようになっている、
ことを特徴とする錠剤印刷装置。
【請求項14】
請求項1において、
前記錠剤搬送部が、上方に配設され、各錠剤を第1の方向に搬送する第1の搬送部と、その下方に配設され、各錠剤を前記第1の方向と逆方向の第2の方向に搬送する第2の搬送部とから構成されており、前記第1の搬送部の搬送方向下流端と前記第2の搬送部の搬送方向上流端との間には、前記第1の搬送部上の各錠剤を保持しつつ回転することにより、各錠剤の表裏を反転させる反転部が設けられている、
ことを特徴とする錠剤印刷装置。
【請求項15】
請求項14において、
前記反転部が、各錠剤の反転中には各錠剤を吸引し、各錠剤の反転後にはその吸引状態を解除することにより、前記第1の搬送部上の各錠剤が反転した状態で前記第2の搬送部上に受け渡されるようになっている、
ことを特徴とする錠剤印刷装置。
【請求項16】
請求項14において、
前記反転部および前記第2の搬送部間の間隙が調整可能になっている、
ことを特徴とする錠剤印刷装置。
【請求項17】
請求項14において、
前記第2の搬送部には、当該第2の搬送部による搬送中に各錠剤を検出する第2の錠剤検出部と、前記第2の錠剤検出部で検出された各錠剤の検出データに基づいて搬送中の各錠剤に非接触で印刷を行う第2の印刷部と、前記第2の印刷部による各錠剤への印刷状態を検査する第2の錠剤検査部とが設けられており、前記不良品排出部が、前記第2の錠剤検査部の下流側に設けられるとともに、前記第1、第2の錠剤検査部での検査結果に基づいた印刷不良を含む不良品を排出するように構成されている、
ことを特徴とする錠剤印刷装置。
【請求項18】
錠剤に印刷を行う錠剤印刷方法であって、
供給される多数の錠剤を所定列数の複数列に振り分ける複数列振分け工程と、
前記複数列振分け工程で振り分けられた各錠剤を複数列のままランダムに搬送する錠剤搬送工程と、
前記錠剤搬送工程による搬送中に各錠剤を検出する錠剤検出工程と、
前記錠剤検出工程で検出された各錠剤の検出データに基づいて搬送中の各錠剤に非接触で印刷を行う印刷工程と、
前記印刷工程での各錠剤への印刷状態を検査する錠剤検査工程と、
前記錠剤検査工程での検査結果に基づいた印刷不良を含む不良品を各錠剤の複数列での搬送中に排出する不良品排出工程と、
を備えた錠剤印刷方法。
【請求項19】
請求項18において、
前記錠剤検出工程による前記検出データが、錠剤の位置および姿勢を含んでいる、
ことを特徴とする錠剤印刷方法。
【請求項1】
錠剤に印刷を行う錠剤印刷装置であって、
錠剤を供給する錠剤供給部と、
前記錠剤供給部により供給された多数の錠剤を所定列数の複数列に振り分ける複数列振分けユニットと、
前記複数列振分けユニットにより振り分けられた各錠剤を複数列のままランダムに搬送する錠剤搬送部と、
前記錠剤搬送部による搬送中に各錠剤を検出する錠剤検出部と、
前記錠剤検出部で検出された各錠剤の検出データに基づいて搬送中の各錠剤に非接触で印刷を行う印刷部と、
前記印刷部による各錠剤への印刷状態を検査する錠剤検査部と、
前記錠剤検査部での検査結果に基づいた印刷不良を含む不良品を各錠剤の複数列での搬送中に排出する不良品排出部と、
を備えた錠剤印刷装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記複数列振分けユニットが、当該ユニットの幅方向中央に設けられかつ各錠剤を左右に分散させるための一対の傾斜面を錠剤搬送方向に延設してなる山形状の中央分散部と、前記中央分散部の左右両側にそれぞれ設けられ、前記中央分散部に近い側には直立状態に傾斜した第1の傾斜面を有しかつ前記中央分散部から離れた側には斜めに傾斜した第2の傾斜面を有する左右非対称な一対の傾斜面を錠剤搬送方向に延設してなり、各錠剤を複数列に振り分けるための山形状の複数の振分け部とを有している、
ことを特徴とする錠剤印刷装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記各振分け部は、錠剤搬送方向下流側に向かうにしたがい、前記中央分散部に近い側の前記振分け部から順にその傾斜面の高さが徐々に高くなっている、
ことを特徴とする錠剤印刷装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記錠剤搬送部が、複数の搬送路から構成されており、搬送中の各錠剤は、エアの吸引により、対応する前記搬送路の上に吸着保持されるようになっている、
ことを特徴とする錠剤印刷装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記複数の搬送路が、複数本のベルトを一定間隔を隔てて並設することにより構成されており、隣り合う各ベルト間の間隙からエアを吸引することにより、搬送中の各錠剤が前記間隙で吸着保持されている、
ことを特徴とする錠剤印刷装置。
【請求項6】
請求項4において、
前記複数の搬送路が、ベルトに複数列のエア吸引孔を形成することにより構成されており、前記エア吸引孔からエアを吸引することにより、搬送中の各錠剤は、対応する列の前記エア吸引孔に吸着保持されている、
ことを特徴とする錠剤印刷装置。
【請求項7】
請求項1において、
前記錠剤検出部および前記錠剤検査部が、撮像手段により構成されている、
ことを特徴とする錠剤印刷装置。
【請求項8】
請求項1において、
前記錠剤検出部による前記検出データが、錠剤の位置および姿勢を含んでいる、
ことを特徴とする錠剤印刷装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記検出データがさらに錠剤の表裏の情報を含んでいる、
ことを特徴とする錠剤印刷装置。
【請求項10】
請求項1において、
前記印刷部がインクジェットプリンタ部により構成されるとともに、前記インクジェットプリンタ部がインクジェットヘッドを有しており、前記インクジェットヘッドが、各錠剤の列方向に移動可能になっている、
ことを特徴とする錠剤印刷装置。
【請求項11】
請求項10において、
前記インクジェットヘッドが、インク吐出用の複数のノズルを有しており、印刷処理の開始前には、前回の印刷処理に使用したノズルとは異なるノズルが使用されるように、前記インクジェットヘッドが制御されている、
ことを特徴とする錠剤印刷装置。
【請求項12】
請求項1において、
前記不良品排出部が、前記錠剤搬送部の上方に配置されるとともに、当該錠剤搬送部により搬送される各錠剤の各列に対応した複数の開孔を有し、不良品が当該不良品に対応する前記開孔から系外排出されるようになっている、
ことを特徴とする錠剤印刷装置。
【請求項13】
請求項12において、
前記不良品排出部が、不良品を前記開孔から吸引するようになっている、
ことを特徴とする錠剤印刷装置。
【請求項14】
請求項1において、
前記錠剤搬送部が、上方に配設され、各錠剤を第1の方向に搬送する第1の搬送部と、その下方に配設され、各錠剤を前記第1の方向と逆方向の第2の方向に搬送する第2の搬送部とから構成されており、前記第1の搬送部の搬送方向下流端と前記第2の搬送部の搬送方向上流端との間には、前記第1の搬送部上の各錠剤を保持しつつ回転することにより、各錠剤の表裏を反転させる反転部が設けられている、
ことを特徴とする錠剤印刷装置。
【請求項15】
請求項14において、
前記反転部が、各錠剤の反転中には各錠剤を吸引し、各錠剤の反転後にはその吸引状態を解除することにより、前記第1の搬送部上の各錠剤が反転した状態で前記第2の搬送部上に受け渡されるようになっている、
ことを特徴とする錠剤印刷装置。
【請求項16】
請求項14において、
前記反転部および前記第2の搬送部間の間隙が調整可能になっている、
ことを特徴とする錠剤印刷装置。
【請求項17】
請求項14において、
前記第2の搬送部には、当該第2の搬送部による搬送中に各錠剤を検出する第2の錠剤検出部と、前記第2の錠剤検出部で検出された各錠剤の検出データに基づいて搬送中の各錠剤に非接触で印刷を行う第2の印刷部と、前記第2の印刷部による各錠剤への印刷状態を検査する第2の錠剤検査部とが設けられており、前記不良品排出部が、前記第2の錠剤検査部の下流側に設けられるとともに、前記第1、第2の錠剤検査部での検査結果に基づいた印刷不良を含む不良品を排出するように構成されている、
ことを特徴とする錠剤印刷装置。
【請求項18】
錠剤に印刷を行う錠剤印刷方法であって、
供給される多数の錠剤を所定列数の複数列に振り分ける複数列振分け工程と、
前記複数列振分け工程で振り分けられた各錠剤を複数列のままランダムに搬送する錠剤搬送工程と、
前記錠剤搬送工程による搬送中に各錠剤を検出する錠剤検出工程と、
前記錠剤検出工程で検出された各錠剤の検出データに基づいて搬送中の各錠剤に非接触で印刷を行う印刷工程と、
前記印刷工程での各錠剤への印刷状態を検査する錠剤検査工程と、
前記錠剤検査工程での検査結果に基づいた印刷不良を含む不良品を各錠剤の複数列での搬送中に排出する不良品排出工程と、
を備えた錠剤印刷方法。
【請求項19】
請求項18において、
前記錠剤検出工程による前記検出データが、錠剤の位置および姿勢を含んでいる、
ことを特徴とする錠剤印刷方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【公開番号】特開2013−13711(P2013−13711A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−90740(P2012−90740)
【出願日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【出願人】(000141886)株式会社京都製作所 (83)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【出願人】(000141886)株式会社京都製作所 (83)
【Fターム(参考)】
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