説明

錠装置

【目的】男性あるいは女性が使用する個室のトイレにおいて、手などの人体部分をトイレ内の錠装置などに全く接触させることなしにトイレの錠を解錠したり、あるいは施錠及び解錠したりできる個室のトイレ用でモータ式の錠装置を提供することを目的とする。
【構成】未使用時に開扉状態となる仕様のトイレに取り付けられるトイレ扉施解錠用の錠装置であり、トイレ内に入室後、トイレ扉を閉扉して施錠すると共に、解錠は、所定箇所への手かざし操作で、人体検知センサに解錠信号を検知させ、解錠信号を受けたトイレ扉施解錠用の錠装置は、解錠動作部を動作させ、受け部からデッドボルトを外して解錠する、ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサに例えば人の手をかざすだけでトイレの錠装置を解錠でき、あるいは施錠と解錠ができるトイレ用モータ式の錠装置に関するものである。

【背景技術】
【0002】
従来より、たとえば男子トイレなどでは、トイレの前面に立つと、いわゆる検知センサが人の気配を感じ、自動的に水を流すなどのセンサ装置を組み込んだトイレが存在している。
また、男女いずれの側からでも使用でき、多目的ホールなど、施設使用者の男女構成比率が変化した場合に柔軟に対応できる様な構成を採用したトイレに関する発明も提案されてはいる。
しかしながら、男性あるいは女性が使用する個室のトイレにおいて、手などの人体部分をトイレ内の錠装置などに接触させることなしにトイレの錠を解錠したり、あるいは施錠及び解錠したりする錠装置は存在するものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−151811号公開公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かくして、本発明は、前記従来の課題を解消するために創案されたものであって、男性あるいは女性が使用する個室のトイレにおいて、手などの人体部分をトイレ内の錠装置などに全く接触させることなしにトイレの錠を解錠したり、あるいは施錠及び解錠したりできる個室のトイレ用でモータ式の錠装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による個室トイレ用でモータ式の錠装置は、
未使用時に開扉状態となる仕様のトイレに取り付けられるトイレ扉施解錠用の錠装置であり、
前記トイレ内に入室後、トイレ扉を閉扉して施錠すると共に、解錠は、所定箇所への手かざし操作で、人体検知センサに解錠信号を検知させ、前記解錠信号を受けたトイレ扉施解錠用の錠装置は、解錠動作部を動作させ、受け部からデッドボルトを外して解錠する、
ことを特徴とし、
または、
未使用時に開扉状態となる仕様のトイレに取り付けられるトイレ扉施解錠用の錠装置であり、
前記トイレ内に入室後、トイレ扉を閉扉すると共に、前記トイレ扉施解錠用の錠装置の施錠は、人体検知センサによる人体認識により施錠動作部を作動させて施錠すると共に、解錠は、所定箇所への手かざし操作で、人体検知センサに解錠信号を検知させ、前記解錠信号を受けたトイレ扉施解錠用の錠装置は、解錠動作部を動作させ、受け部からデッドボルトを外して解錠する、
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明による錠装置であれば、
男性あるいは女性が使用する個室のトイレにおいて、手などの人体部分をトイレ内の錠装置などに全く接触させることなしにトイレの錠を解錠したり、あるいは施錠及び解錠したりできる個室のトイレ用でモータ式の錠装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の使用例を説明する使用例説明図(その1である)。
【図2】本発明の使用例を説明する使用例説明図(その1である)。
【図3】本発明の使用例を説明する使用例説明図(その1である)。
【図4】本発明の使用例を説明する使用例説明図(その1である)。
【図5】本発明の使用例を説明する使用例説明図(その1である)。
【図6】本発明の使用例を説明する使用例説明図(その1である)。
【図7】本発明による錠装置の概略構成を説明する説明図である。
【図8】本発明の錠装置における本体ロック部の概略構成を説明する説明図である。
【図9】本発明の人体検知センサの使用状態を説明する説明図である。
【図10】錠装置の内部構成を説明する第1実施例の説明図(その1)である。
【図11】錠装置の内部構成を説明する第1実施例の説明図(その2)である。
【図12】錠装置の内部構成を説明する第2実施例の説明図(その1)である。
【図13】錠装置の内部構成を説明する第2実施例の説明図(その2)である。
【図14】錠装置の内部構成を説明する第3実施例の説明図(その1)である。
【図15】錠装置の内部構成を説明する第3実施例の説明図(その2)である。
【図16】錠装置の内部構成を説明する第4実施例の説明図(その1)である。
【図17】錠装置の内部構成を説明する第4実施例の説明図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0008】
図1、図2は本発明による錠装置1を、内開きのトイレ扉2に取り付けて適用した概略図である。図1から理解されるように、本発明では、未使用の際には、トイレ扉2が開いている仕様の個室トイレ25に適用される。
【0009】
また、図3、図4は、トイレ扉2が外開きするタイプであり、図5、図6は、引き戸タイプのトイレ扉2であり、これらのトイレ扉2も未使用の時には主に、自動的に開扉状態となるよう構成されている。
【0010】
しかして本発明は、これらすべて未使用の時には、主に、自動的に開扉状態となるトイレ扉2に適用されるものである。
ただ、外開きのトイレ扉2の場合、解錠した後に、肩や肘など体の一部をトイレ扉側に押して出ることが出来るので、たとえ自動的に開扉状態にならない場合でも本発明を適用できる。
【0011】
次に、本発明による錠装置の使用状態の概略につき図1及び図2を参照して説明すると、トイレ25を使用するとき、図1のようにトイレ扉2が開扉している状態でトイレ25内に入る。そして、トイレ25に入った後は、図2に示すように、トイレ25の内側からトイレ扉2を押して閉め、次いで錠装置1を手動で施錠する(なお、この場合においても錠装置1に接触せずに、いわゆる自動的に施錠するタイプもあるが、そのタイプの実施例は後述するものとする)。
【0012】
その後、トイレから出るときには、図2から理解されるように、錠装置1が取り付けてあるトイレ扉2に対向する側壁3に手のひらをかたどった図形4がシールなどで描かれており、該図形4に手のひらをあわせて、前記側壁3に手のひらを接触させることなく、ただ、かざすことだけおこなう。
すると、錠装置1に設けられた人体検知センサが人体(前記の手のひら)を検知し、もってその検知信号を解錠信号として送出し、例えば電池を電源とするモータを駆動させて錠装置1を解錠するのである。
【0013】
そして、錠装置1が解錠すると共に、トイレ扉2が自動的に開扉し(図1参照)、トイレ25内から、トイレ扉2や錠装置1など手で操作することなく、またトイレ25内のいかなる機器や部材にも全く接触することなしに、トイレ25からスムーズに出られるものとなる。
【0014】
本発明による錠装置1の動作概略を図1及び図2を参照して説明したが、図3、図4に示す外開きのトイレ扉2や、図5及び図6に示す引き戸タイプのトイレ扉2にも適用され、同様に動作するものとなる。
【0015】
次に、本発明で適用する錠装置1の概略構成につき説明する。
本発明の錠装置1は、いわゆるモータ式ロックを使用した錠装置1である。電源部10として主に小型の電池が使用されるが、必ずしもその構成に限定されるものではない。
【0016】
この錠装置1は、図7に示すように、本体ロック部5と、錠装置1に対向するトイレ25の側壁3に設けられた受け部6に嵌合して施錠するデッドボルト部7とを有し、本体ロック部5には、図7に示すように、動作中を表示するLEDなどで構成されたインジケーター26のほか、図8に示すように、前記デッドボルト部7を動作させて施解錠するロック部8と、このロック部8に動作信号、すなわち解錠の信号を与える人体検知センサ9と、これらを制御する制御部27と、前記ロック部8及び人体検知センサ9に電源を供給する電源部10と、これらをカバーするケース11とを有して構成されている。
【0017】
なお、電源部10は、小型の電池を使用する場合もあるが、必ずしも電池を使用せず、例えば通常の電線からの電源でもかまわない。
ここで、ロック部8は、通常の動作として図7に示すようにケース11から突設されている操作レバー12を手動で操作することにより施錠動作出来るように構成されている。
【0018】
そして、解錠に際しては、人体検知センサ9の解錠信号を受けて自動的に解錠動作するよう構成されている。これをいわゆる半自動ロックタイプの錠装置1と称している。なお、このロック部8は、緊急の場合を想定して手動で、前記の操作レバーを操作することにより、解錠動作もできるように構成されている。
【0019】
ところで、本発明の大きな特徴は、人体検知センサ9から検知した信号をロック部8の解錠動作の始動に使用した点にある。
すなわち、本発明の人体検知センサ9は、例えば2つのセンサ部13,13を有して構成し、そのうち、少なくともいずれか一方は受動型赤外線人体検知センサで構成するのが好ましいものとした。
【0020】
また、いずれか他方のセンサ部13については、同様に受動型赤外線人体検知センサでも構わないし、光電管式センサで構成しても構わないものとした。あるいは双方のセンサを光電管式センサで構成することも考えられる。
【0021】
ここで、受動型赤外線センサの長所について説明すると、受動型赤外線センサは、人体を確実に検知でき、また待機消費電流が少ないとの長所を有する。
これに対し、短所としては、人体の検知のみならず動物も検知してしまうこと、また検知距離の範囲調整制御の精度性に欠けることとの点が挙げられる。
【0022】
次に、光電管式センサは、検知距離調整制御が比較的確実であるとの長所があり、逆に短所としては、人体以外にも光を反射するものを容易に検知してしまうこと、カバー部材の透過素材が曇るなどすると検知能力が極端に低下すること、また待機消費電流が大きいことなど上げられる。
【0023】
ここで2つのセンサ部13,13の組み合わせとしては、2つとも受動型赤外線人体検知センサで構成する場合、1つを受動型赤外線人体検知センサで構成し、他方を光電管式センサで構成する場合、2つのセンサ部13,13とも光電管式センサで構成する場合が考えられる。
2つのセンサ部13,13ともに受動型赤外線人体検知センサで構成した場合、あるいは2つのセンサ部13,13ともに光電管式センサで構成する場合は、その長所は倍加されるが、短所も倍加することになる。
【0024】
また、1つを受動型赤外線人体検知センサで構成し、他方を光電管式センサで構成する場合は、それぞれの長所が得られるが、それぞれの短所も有することになる。
【0025】
しかして、本件発明は、いかなる組み合わせにしようとも、その長所をさらに伸ばし、かつ短所を消滅させるものとする。
ここで、受動型赤外線人体検知センサの構成の概略につき説明すると、人間または動物の身体は赤外線を放出している。よって、受動型赤外線人体検知センサは、この身体が放出している赤外線の変化を検知し、例えばリレーを動作させるなどの動作を行うセンサである。そして、受動型赤外線人体検知センサは、一般的に、いわゆるフレネルレンズなるレンズを装着しているのが一般的で、もって、非常に狭い範囲での人の動きをも検知出来るようになっている。
【0026】
このように、受動型赤外線人体検知センサは、自ら赤外線ビームを発射しない。前記のように、人体から常に微弱な赤外線が放出されており、その赤外線を受信して、人体を検知する。よって、このタイプのセンサは、自分自身で赤外線を発射しないため、「パッシブ(受動)」センサと称呼される。また、受動型赤外線人体検知センサは、人体の体温(表面の温度)に反応するように作られており、よって、小動物、落ち葉、自動車などにはあまり反応しないのである。
【0027】
さらに、受動型赤外線人体検知センサは、通常室内に設置されることが多い。なぜなら、受動型赤外線人体検知センサは、人体から放出される微量の赤外線を感知して、人が監視領域内にいるかどうか判断するのを得意としているからである。従って、従来では、室内のライトを点灯させたり室内の侵入を知らせるアラーム音を発生させたりするのに使用されていた。
【0028】
次に、光電管式センサとは、拡散反射形センサとも称され、検知方式投受光器一体形で、通常受光部に投光した光は戻らない構成となっている。そして、投光部から出た光が検知物体にあたると、検知物体から反射した光が受光部に入り、受光量が増加する。その増加分をとらえ検知を行うものである。光電管式センサの特長として、検知距離は数cm〜数m、また取りつけ調整が容易、検知物体の表面状態(色、凹凸)で光の反射光量が変わり、検知安定性が変わるなどが挙げられる。
【0029】
ここで、人体検知センサ9は、2のセンサ部13,13を内装すべく、その外側周囲に、略半球状のドーム型に形成されたカバー部材14が配置され、前記人体検知センサ9のセンサ部13,13はこのカバー部材14により所定の間隔を設けて覆われる構成となっている。なお、該カバー部材14の形状については何ら限定されるものではなく、後述する図9のように略円筒型に形成してもかまわないものである。
【0030】
ここで、カバー部材14は、人体検知センサ9の信号が透過しない部材,例えば、ABS樹脂(アクリロニトリル (Acrylonitrile)、ブタジエン (Butadiene)、スチレン (Styrene)共重合合成樹脂)などで前記人体検知センサ9の2つのセンサ部13,13を覆うように構成されている。
そして、この信号を透過しない部材によってカバー部材14の殆どが構成されている。
【0031】
このカバー部材14は、例えば略半球状のドーム型に形成され、あるいは、高さの低い略円筒状に形成され、その材質の殆どが、前述したように、信号が透過しない部材、すなわち例えば前記したABS樹脂(アクリロニトリル (Acrylonitrile)、ブタジエン (Butadiene)、スチレン (Styrene)共重合合成樹脂)などで前記信号透過部8の全体を覆うように構成され、さらに上方中央位置には、上方真ん中の中央位置より若干左右にずらした位置に小窓状に形成され、信号が透過する様構成された信号透過窓15が形成されている。
【0032】
ここで、該信号透過窓15は、やはり前記したように、信号を透過する部材、例えばポリエチレン樹脂などで小窓状に形成したものである。
なお、当該信号透過窓15の形成においても、カバー部材14の上面部の一部を小窓状に切り欠いて形成しても構わないものである。
【0033】
しかして、当該略半球状のドーム型をなすもの、あるいは略円筒状をなすカバー部材14は、例えば、下部に設けられたリング状レールが断面凹状をなすリング状軌道上に遊嵌状態で外れないよう嵌め込まれて設置されており、もって、略半球状のドーム型をなすカバー部材14は、エンドレス状態でリング状に回動するよう構成されている。
【0034】
これにより、2箇所のセンサ部13,13を覆ったカバー部材14を各々回動して、信号透過窓15,15の設置位置を変えることにより、各々のセンサ部13,13への信号透過方向を微妙に変化させることが出来、ひいては検知対象物までの検知距離や検知方向などを自在に変化させることが出来るように構成してあるのである。
【0035】
さらに、人体検知センサ9の使用状態につき説明すると、図9に示すように、人体検知センサ9のセンサ部13,13からは、所定の角度に開いた2つの信号透過方向が示されている。そして、符号H1で示される箇所は、2つの信号透過方向が人体における手のひら13の長さ程度に開いていることが理解できる。また符号H2で示された箇所では、さらにそれより広く開いていることが理解できる。
【0036】
ここで、人体検知センサ9は、2つのセンサ部13,13が同時に人体からの信号(例えば赤外線)を検知しなければ、人体検知センサ9により信号を検知したことにならないよう構成されているのである。
よって、符号H2の箇所で、たとえ一方側のセンサ部13が人体検知したとしても、他方のセンサ部13が人体検知しなければ、総体的に信号検知しない構成となっているのである。
【0037】
しかしながら、符号H1の箇所では、人体検知センサ9の近傍位置でもあり、2つの人体検知センサ9への信号透過角度はあまり拡開されていない。前記のように、人体における手のひらの長さ程度に開いているにすぎない。
従って、このH1の箇所に手のひらをかざせば、確実に双方のセンサ部13,13が人体検知するものとなり、人体検知センサ9が信号を検知動作するものとなる。
【0038】
なお、ここでは2つのセンサ部13,13を使用した実施例を示したが、センサ部13を3つあるいは4つにして構成しても構わない。人体検知センサ9のセンサ部13数が多ければ、より、確実な人体検知距離の制御、人体検知方向の制御がおこなえると考えられるからである。
このように、人体検知センサ9は、特に人体検知センサ9の近傍位置での人体検知のみが確実におこなえることに意味がある。
【0039】
すなわち換言すれば、通常、人体検知センサ9は比較的価格が安価ではあるが、人体か否か不明確な場合にも検知動作してしまう誤動作、あるいは個室トイレ25のように誤作動で決して検知してはいけない、または検知する必要のない比較的離れた距離にある人体まで検知してしまうなどの誤った動作を確実に制御し、特に近傍位置で手のひらなどをかざした場合にのみ人体検知する人体検知センサ9の提供を企図したのである。
【0040】
さらに説明すれば、それぞれのセンサ部13,13の前面において、前記信号透過窓15の方角を制御することによって、透過する信号の広がる面積とその位置(センサから見た角度)を制御でき、これによりセンサ部13,13が検知する幅と指向角度が3次元的に大きく違えるようにしたのである。
【0041】
このことによって、至近距離では両方のセンサ部13,13が検知するが、仮に本来ではあり得ない強い赤外線などを放出する物体が、至近距離ではない遠い位置にあったとしても、その遠い位置にある物体は、その遠い位置で、前記両方のセンサ部13,13間を到底カバーできる様な大きさではない。すなわち、物理的にその物体が一体型としてはその遠い位置では存在し難いものなので、それによる誤検知を避けられることとなるのである。
【0042】
具体例を上げて説明すると、本発明のごとく、手をかざすことで個室トイレ25の錠装置を解錠したい場合に、このセンサの仕組みを用いると、センサ部13,13に至近距離で手をかざした時は確実に解錠できるが、遠い位置で強い赤外線を放出している人が、たとえ個室トイレ25内で動いて1個のセンサ部13の指向範囲に入ったとしても2個の両方のセンサ部13,13が同時に検知されない限り、決して解錠されないのである。
【0043】
次に、人体検知センサ9は、電源として用いた電源部10には、いわゆる小型の電池を使用した場合の工夫がなされている。
すなわち、この人体検知センサ9は、複数個のセンサ部13・・・、ここでは2個のセンサ部13,13を用いており、この場合複数個のセンサ部13・・・のすべてを電源待機状態にしておくと、待機消費電流が非常に大きくなり、電源部10に電池を使用した場合には、すぐに電池が消耗してしまい、現実的な製品とはならなくなってしまう。
【0044】
そこで、待機消費電流が少ない受動型赤外線人体検知センサのセンサ部13の1個のみを待機状態としておき、その受動型赤外線人体検知センサが検知したときに、他方の人体検知センサのセンサ部13、例えば光電管式人体検知センサなどへ電源を供給することで待機時の省エネが実現できるものとなる。
【0045】
次に、本発明の錠装置1における内部構成につき説明する。まず、図10,図11に第1実施例をあげる。
図10及び図11から理解されるように、所定のケース11内に本体ロック部5やデッドボルト部7が内設されている。図10はデッドボルト部7が突出して施錠状態とされた場合の図であり、図11はデッドボルト部7が退出して解錠状態となった場合の図である。図においてデッドボルト部7は図10及び図11の左右方向へスライドするように構成されているが、このデッドボルト部7の後端部には係止片16が設けられており、該係止片16を操作して施錠状態から解錠状態、すなわちデッドボルト部7を突出状態から退出状態へ操作するものとしている。
【0046】
ここで、前記係止片16の退出操作は、回転板17の外周に複数個(本実施例では3個)の押圧突起18・・・が所定間隔をあけて設けられており、前記回転板17が反時計回りに回転することにより前記の押圧突起18が係止片16を押圧し、スライドさせてデッドボルト部7を図に向かって右方向へ退出させるのである。図11に係止片16の退出状態を示す。
【0047】
また、前記回転板17の回転操作は、前記人体検知センサ9が、個室トイレ25内にいる人が手をかざしたことにより解錠の信号をセンスし、その解錠信号を受けてロック部8を構成するモータ(図10,図11には図示していない)が作動し、該モータが回転板16を回転させるものとなる。
【0048】
なお、この実施例ではデッドボルト部7をモータによりスライドさせて突出状態、すなわち施錠状態にはしない。施錠するのは、個室トイレ25に入った人が手動で操作する構成としてある。図7を参照して説明すると、操作レバー12を左側へ倒すことにより簡単に施錠できるものとされている。なお、このように回転式の操作レバーではなく、スライド式の操作レバーとしてもかまわない。
【0049】
次に、図12,図13に第2実施例を示す。
この第2実施例は、前記第1実施例とほぼ同様の構成を採用しているが、この第2実施例では、図12に示すように、デッドボルト部7が突出状態、すなわち施錠状態のとき、デッドボルト部7が不意に引っ込まないように、突出維持片19を設けたものである。この突出維持片19がデッドボルト部7を突出方向へ維持するため、不意にデッドボルト部7が退出し、解錠状態とならないよう構成したものである。
【0050】
図14,図15は第3実施例を示したものである。
第3実施例では、デッドボルト部7に、回動して施錠する鈎状の第2デッドボルト20を採用したものである。図14から理解されるように、デッドボルト部7が突出すると共に鈎状の第2デッドボルト20が回動して下側に突出し、受け部6に対し強固にかみ合い、もって施錠状態とするものである。
しかして、この第3実施例は、主に図5,図6に示した引き戸タイプの個室トイレ25に適用されるものとなる。
【0051】
図16,図17は第4実施例を示したものである。
この第4実施例のタイプは、人体検知センサ9を2カ所に装着したものである。すなわち、1カ所はこれまでの実施例と同様に、人体検知センサ9に人体、すなわち、解錠を望む個室トイレ25内のトイレ使用者が手をかざして、それをセンスさせ、その信号を基にデッドボルト部7をスライドさせ手解錠状態とする場合である。
【0052】
これに対し、もう1カ所は、ケース11の反対側に設置した。これは個室トイレ25に入った使用者が自己の手で本錠装置1を直に接触し、施錠するのではなく、施錠用の信号を検知して、送出する人体検知センサ9を設置したものである。従って、この施錠用の人体検知センサ9に個室トイレ25内にいる使用者が検知されて、直に錠装置1に触ることなく施錠できるものとなる。
【0053】
図16,図17において、符号21は、ウォームギヤであり、ウォームと称されるねじ歯車22と、それに合うウォームホィールと称されるはす歯歯車23を組み合わせた機構として構成されている。
【0054】
しかして、個室トイレ25内で、使用後に使用者が手をかざして、人体検知センサ9に人体検知させると、前記ねじ歯車22がモータ(図示していない)の回転を受けて回転し、それに伴い、はす歯歯車23が反時計回りに回転する。
すると、前記はす歯歯車23に連動して回転する押圧突起18がデッドボルト部7の係止片16を押圧して図16において右側にスライドさせ、もってデッドボルト部7を退出させて解錠状態とする(図16参照)。
【0055】
なお、図17は逆に施錠状態とした図であり、個室トイレ25内に入った使用者が、トイレ扉2を閉める。その後、使用者は図17において、錠装置1の左側に設けられた人体検知センサ9に手をかざして、人体をセンスさせ、その信号を受けてモータ(図示していない)を回転させる。
【0056】
前記モータの回転を受けて、前記ねじ歯車22が回転し、それに伴い、はす歯歯車23が時計回りに回転する。
すると、前記はす歯歯車23に連動して回転する押圧突起18がデッドボルト部7の第2係止片24を押圧して図17において左側にスライドさせ、もってデッドボルト部7を突出させて施錠状態とするのである(図17参照)。
【0057】
ところで、個室トイレ25の構築は様々であり、トイレ扉2は内開き扉、外開き扉、引き戸タイプの他、左あき扉と右あき扉がある。これらタイプの異なる扉にあわせて錠装置1を作製するとコストパフォーマンスに劣る結果となる。よって、本発明による錠装置1は、トイレ扉2あるいは側壁3に取り付ける取り付け面が左右いずれの面でも取り付けられるよう、内部を構成したものである。これによって、一つのタイプの錠装置1で、トイレ扉2が内開き扉であっても外開き扉であっても、また左あき扉であっても右あき扉であっても、取り付け面を反対面にするだけで簡単に汎用することが出来る構成にしてある。
【0058】
ただ、引き戸タイプのトイレ扉については、デッドボルト部7につき、前述したように、回動して施錠する鈎状の第2デッドボルト20を採用したタイプの錠装置1を採用する必要がある。
さらに、本発明で採用する人体検知センサ7は、いわゆるオリジナルセンサを使用したもので、確実に人体の手を感知し、動作するものである。また、待機消費電流も非常に少ないものである。
【0059】
また、本発明で使用するロック部8を構成するモータロックも小型のモータロックを使用しており、きわめて省エネ仕様となっている。すなわち、電池の交換なしに例えば3万回以上動作が可能とされている。
さらに、この電池を電源とする場合には、配線・配管が全く不要で作業コストが格段に安価となっている。
【0060】
また、本発明の錠装置1は、個室トイレ25内にいる使用者が、簡単に手動で施錠や解錠ができるよう設計されている。よって、緊急時や非常時にも簡単に出ることができ、心配のない設計となっている。
【符号の説明】
【0061】
1 錠装置
2 トイレ扉
3 側壁
4 図形
5 本体ロック部
6 受け部
7 デッドボルト部
8 ロック部
9 人体検知センサ
10 電源部
11 ケース
12 操作レバー
13 センサ部
14 カバー部材
15 信号透過用窓
16 係止片
17 回転板
18 押圧突起
19 突出維持片
20 第2デッドボルト
21 ウォームギヤ
22 ねじ歯車
23 はす歯歯車
24 第2係止片
25 トイレ
26 インジケーター
27 制御部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
未使用時に開扉状態となる仕様のトイレに取り付けられるトイレ扉施解錠用の錠装置であり、
前記トイレ内に入室後、トイレ扉を閉扉して施錠すると共に、解錠は、所定箇所への手かざし操作で、人体検知センサに解錠信号を検知させ、前記解錠信号を受けたトイレ扉施解錠用の錠装置は、解錠動作部を動作させ、受け部からデッドボルトを外して解錠する、
ことを特徴とするトイレ扉施解錠用の錠装置。
【請求項2】
未使用時に開扉状態となる仕様のトイレに取り付けられるトイレ扉施解錠用の錠装置であり、
前記トイレ内に入室後、トイレ扉を閉扉すると共に、前記トイレ扉施解錠用の錠装置の施錠は、人体検知センサによる人体認識により施錠動作部を作動させて施錠すると共に、解錠は、所定箇所への手かざし操作で、人体検知センサに解錠信号を検知させ、前記解錠信号を受けたトイレ扉施解錠用の錠装置は、解錠動作部を動作させ、受け部からデッドボルトを外して解錠する、
ことを特徴とするトイレ扉施解錠用の錠装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−281175(P2010−281175A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−137331(P2009−137331)
【出願日】平成21年6月8日(2009.6.8)
【出願人】(308022520)有限会社ビーム産業 (4)