説明

鍵データ記録システム及び再生装置

【課題】鍵データ記録システム及び再生装置において、簡易な構成で鍵データの書込みができ、製造コストを抑制する。
【解決手段】鍵データ記録システムは、HDCPキー(鍵データ)を送信する送信機器と、この送信機器にHDMIケーブルを介して接続されたDVDレコーダとを含み、送信機器及びDVDレコーダは、HDMI−CEC規格に基づいて通信を行う。まず、送信機器がDVDレコーダに受信状態要求コマンドを送信すると(S1)、DVDレコーダがHDCPキーを受信可能な受信モードに移行する(S3)。そして、DVDレコーダは、受信モードに移行した旨を通知するコマンドを送信機器に送信し(S4)、送信機器がHDCPキーをDVDレコーダに送信する(S5)。そして、DVDレコーダ3は、受信したHDCPキーをフラッシュメモリに書込む(S6)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍵データを再生装置に記録可能な鍵データ記録システム、及び鍵データを記録可能な再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、著作権保護の観点から、HDMIケーブルを介して表示装置にデジタル信号を送受信する経路における信号を暗号化し、コンテンツが不正にコピーされるのを防止する著作権保護技術として、HDCP(High-bandwidth Digital Content Protection)が普及している。HDCPでは、コンテンツを送出する側が受信側を認証し、コンテンツの暗号に使う鍵(以下、HDCPキーという)を共有する公開鍵暗号化方式を採用する。
【0003】
ところで、従来から、工場出荷時にDVDレコーダ等の機器にHDCPキーの記録を行っている。具体的には例えば、HDCPキー書込み装置(以下、送信機器という)と、DVDレコーダとを専用ケーブルを介して接続し、送信機器からHDCPキーを送信することにより、このHDCPキーを受信したDVDレコーダが自身のフラッシュメモリにHDCPキーを記録する。このように、HDCPキーの書込みには、送信機器とDVDレコーダとを接続するための専用ケーブルが必要であり、なおかつ、送信機器とDVDレコーダには専用ケーブルを接続するための専用の接続端子を設ける必要があるため、送信機器とDVDレコーダの製造コストを抑制できないという問題がある。
【0004】
これに対して、特許文献1及び2には、フラッシュメモリにデバイスキーを書込むための専用光ディスクを予め作成し、この光ディスクを用いてデバイスキーを書込む光ディスク再生装置が開示されている。しかしながら、この種の装置では、装置毎に光ディスクが必要となるため、製造コストを十分に抑制することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−355688号公報
【特許文献2】特開2005−63505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、簡易な構成で鍵データの書込みを行うことができると共に、製造コストを抑制することが可能な鍵データ記録システム及び再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、HDCP(High−bandwidth Digital Contents Protection)認証を行うための鍵データを送信する送信機器と、該送信機器から送信された該鍵データを受信して記録する再生装置とを含む鍵データ記録システムにおいて、前記送信機器と前記再生装置とは、HDMI(High−Definition Multimedia Interface)ケーブルを介して接続され、前記送信機器は、前記HDMIケーブルを介して前記再生装置と接続するための送信機器側HDMI端子と、前記再生装置に対して、前記鍵データを受信可能である状態に移行するように要求する受信状態要求命令を送信する受信状態要求命令送信手段と、前記再生装置に対して、前記鍵データを送信する鍵データ送信手段とを備え、前記再生装置は、前記HDMIケーブルを介して前記送信機器と接続するための再生装置側HDMI端子と、前記送信機器から送信された前記受信状態要求命令及び前記鍵データを受信する情報受信手段と、前記送信機器に対して、前記鍵データを受信可能な状態である旨の情報を送信する受信状態送信手段と、前記情報受信手段により受信した鍵データを記録するための鍵データ記録手段とを備え、前記再生装置は、前記送信機器が前記受信状態要求命令送信手段を用いて送信した前記受信状態要求命令を、前記情報受信手段を用いて受信したときに、前記鍵データを受信可能な状態に移行すると共に、前記受信状態送信手段を用いて、前記鍵データを受信可能な状態である旨の情報を前記送信機器に送信した後、前記送信機器が前記鍵データ送信手段を用いて送信した前記鍵データを、前記情報受信手段を用いて受信し、受信した前記鍵データを前記鍵データ記録手段に記録するものである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の鍵データ記録システムにおいて、前記送信機器と、前記再生装置とは、HDMI(High Definition Multimedia Interface)−CEC(Consumer Electronics Control)規格に従って通信を行うものである。
【0009】
請求項3に記載の発明は、HDCP(High−bandwidth Digital Contents Protection)認証を行うための鍵データを送信する送信機器とHDMI(High−Definition Multimedia Interface)ケーブルを介して接続され得る再生装置において、前記HDMIケーブルを介して前記送信機器と接続するための再生装置側HDMI端子と、前記送信機器から送信された、該再生装置に対して前記鍵データを受信可能である状態に移行するように要求する命令である受信状態要求命令及び前記鍵データを受信する情報受信手段と、前記送信機器に対して、前記鍵データを受信可能な状態である旨の情報を送信する受信状態送信手段と、前記情報受信手段により受信した前記鍵データを記録するための鍵データ記録手段とを備え、前記送信機器が送信した前記受信状態要求命令を、前記情報受信手段を用いて受信したときに、前記鍵データを受信可能な状態に移行すると共に、前記受信状態送信手段を用いて、前記鍵データを受信可能な状態である旨の情報を前記送信機器に送信した後、前記送信機器が送信した前記鍵データを、前記情報受信手段を用いて受信し、受信した前記鍵データを前記鍵データ記録手段に記録するものである。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の再生装置において、前記送信機器とHDMI(High Definition Multimedia Interface)−CEC(Consumer Electronics Control)規格に従って通信を行うものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1及び3の発明によれば、再生装置は、HDMIケーブルを介して接続された送信機器が送信した鍵データを受信し、受信した鍵データを鍵データ記録手段に記録する。そのため、従来と異なり、鍵データの書込みを行うための専用ケーブルや、この専用ケーブルを接続するための専用の接続端子を送信機器と再生装置に設ける必要がなくなるので、簡易な構成で鍵データの書込みを行うことができると共に、製造コストを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る送信機器と、この送信機器に接続されたDVDレコーダとを含むHDCPキーデータ記録システムの概略構成図。
【図2】上記DVDレコーダの内部構成を示すブロック図。
【図3】上記DVDレコーダのHDCPキーの書込み処理の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態に係る送信機器とDVDレコーダ(再生装置)とを含むHDCP(High−bandwidth Digital Contents Protection)キーデータ記録システム(鍵データ記録システム)について、図1及び図2を参照して説明する。
【0014】
図1は、送信機器2と、この送信機器2にHDMI(High Definition Multimedia Interface)ケーブル4を介して接続されたDVDレコーダ3とを含むHDCPキーデータ記録システム1の概略構成を示し、図2は、DVDレコーダ3の内部構成を示す。
【0015】
送信機器2は、HDCP認証を行うための鍵データ(以下、HDCPキーという)を送信するものである。DVDレコーダ3は、DVDディスクdを再生したり、送信機器2から送信されたHDCPキーを書込むものである。
【0016】
送信機器2及びDVDレコーダ3は、HDMI規格におけるCEC(Consumer Electronics Control;HDMIで規格化されている装置間相互制御を行う機能)に対応した装置であり、それぞれHDMI−CEC規格に基くコマンドと、コマンドに対するレスポンスデータとを送受信可能である。
【0017】
送信機器2は、送信機器2の筐体外部に露出するように設けられたHDMI端子部(送信機器側HDMI端子)21と、メモリ22と、通信部(受信状態要求命令送信手段、鍵データ送信手段)23とを備える。HDMI端子部21には、DVDレコーダ3と接続されたHDMIケーブル4の一端が接続される。メモり22には、HDMIケーブル4を介して接続されたDVDレコーダ3に書込まれるHDCPキーのリストであるHDCPキーリスト22aが記憶されている。
【0018】
通信部23は、DVDレコーダ3に対してコマンドとレスポンスデータの送受信を行う。具体的には例えば、DVDレコーダ3に対して、HDCPキーを受信可能である状態(受信可能モード)に移行するように要求するコマンド(以下、受信状態要求コマンドという)の送信や、HDCPキーの送信を行う。送受信に用いられるコマンドは、HDMI−CEC規格に基づくものである。
【0019】
図2に示すように、DVDレコーダ3は、放送局から放送されるテレビ番組を受信するチューナ31と、ユーザによって操作される操作ボタン等を有する操作部32と、DVDレコーダ3の筐体外部に露出するように設けられたHDMI端子部(再生装置側HDMI端子)33とを備える。また、DVDレコーダ3は、各種情報が記憶されるメモリ34と、情報を書換え可能なフラッシュメモリ35と、DVDディスクdが装着される光ディスクドライブ36と、DVDレコーダ3の装置各部の制御を行う制御用マイコン37とをさらに備える。なお、操作部32は、リモコン装置から操作されるものであってもよい。
【0020】
HDMI端子部33には、送信機器2と接続されたHDMIケーブル4の他端が接続される。メモリ34には、制御用マイコン37を動作させるためのプログラム34aが記憶される。フラッシュメモリ(鍵データ記録手段)35には、送信機器2から送信されるHDCPキー35aが書込み(記録)される。
【0021】
光ディスクドライブ36は、内部に装着されたDVDディスクdからのテレビ番組等のコンテンツの読み出しや、DVDディスクdに対するテレビ番組等のコンテンツの書込みを行う。
【0022】
制御用マイコン37は、再生処理部37aと、録画処理部37bと、HDCPキー書込み部37cと、通信部(情報受信手段、受信状態送信手段)37dとを有する。また、制御用マイコン37は、コンテンツデータを再生する再生モードや、コンテンツデータをDVDディスクdに記録する録画モードや、HDCPキーを受信可能である状態で待機する受信モードや、スタンバイモード等の複数の動作モードを有する。
【0023】
再生処理部37aは、チューナ31によって受信されたテレビ番組や、光ディスクドライブ36によってDVDディスクdから読み出されたコンテンツの再生を行い、再生されたコンテンツの映像信号及び音声信号を、例えばHDMIケーブル4を介して接続されたテレビジョン受像機(図示せず)に出力する処理を行う。
【0024】
録画処理部37bは、ユーザによる録画指示に基づいて、チューナ31により受信されたテレビ番組をDVDディスクdに録画する録画処理の制御を行う。HDCPキー書込み部37cは、送信機器2から受信したHDCPキー35aをフラッシュメモリ35に記録する。
【0025】
通信部37dは、送信機器2に対してコマンドとレスポンスデータの送受信を行う。具体的には例えば、送信機器2から送信された受信状態要求コマンドやHDCPキーの受信を行う。また、送信機器2に対して、受信モードに移行した旨を通知するコマンドや、HDCPキーを正常にフラッシュメモリ35に書込み(記録)した旨を通知するコマンドの送信を行う。送受信に用いられるコマンドは、HDMI−CEC規格に基づくものである。
【0026】
次に、DVDレコーダ3のHDCPキー書込み処理について、図3に示すフローチャートを参照して説明する。ここでは、予め、送信機器2とDVDレコーダ3とがHDMIケーブル4を介して接続されているものとする。まず、送信機器2が通信部23を用いてDVDレコーダ3に受信状態要求コマンドを送信し(S1)、DVDレコーダ3が通信部37dを用いて送信機器2から送信された受信状態要求コマンド受信すると(S2)、DVDレコーダ3の制御用マイコン37が受信モードに移行する(S3)。
【0027】
そして、DVDレコーダ3は、通信部37dを用いて受信モードに移行した旨を通知するコマンドを送信機器2に送信する(S4)。送信機器2は通信部23を用いてDVDレコーダ3から送信された受信モードに移行した旨を通知するコマンドを受信すると、HDCPキーリスト22a内のHDCPキーのうち、このDVDレコーダ3に対応したHDCPキーをDVDレコーダ3に送信する(S5)。
【0028】
そして、DVDレコーダ3は、通信部37dを用いて送信機器2から受信したHDCPキー35aを、HDCPキー書込み部37cを用いてフラッシュメモリ35に書込み(S6)、そして、通信部37dを用いてHDCPキー35aを正常に書込んだ旨を通知するコマンドを送信機器2に送信し(S7)、処理を終了する。
【0029】
上述したように、本実施形態に係るHDCPキーデータ記録システム1及びDVDレコーダ3によれば、DVDレコーダ3は、HDMIケーブル4を介して接続された送信機器2が送信したHDCPキー35aを受信し、受信したHDCPキー35aをフラッシュメモリ35に書込むことができる。そのため、従来と異なり、HDCPキー35aの書込みを行うための専用ケーブルや、この専用ケーブルを接続するための専用の接続端子をDVDレコーダ3や送信機器2に設ける必要がなくなるので、簡易な構成でHDCPキー35aの書込みを行うことができると共に、製造コストを抑制することができる。
【0030】
また、送信機器2とDVDレコーダ3とは、CEC規格に従ってコマンドの送受信を行うので、独自プロトコルに対応した専用機器や専用ソフトウェア等の導入コストをかける必要がない。従って、送信機器2とDVDレコーダ3との製造コストを抑制することができる。
【0031】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、上記の実施形態において、請求項における再生装置がDVDレコーダである例を示したが、本発明をハードディスクレコーダに適用してもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 HDCPキーデータ記録システム(鍵データ記録システム)
2 送信機器
3 DVDレコーダ(再生装置)
4 HDMIケーブル
21 HDMI端子部(送信機器側HDMI端子)
23 通信部(受信状態要求命令送信手段、鍵データ送信手段)
33 HDMI端子部(再生装置側HDMI端子)
35 フラッシュメモリ(鍵データ記録手段)
37d CEC通信部(情報受信手段、受信状態送信手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
HDCP(High−bandwidth Digital Contents Protection)認証を行うための鍵データを送信する送信機器と、該送信機器から送信された該鍵データを受信して記録する再生装置とを含む鍵データ記録システムにおいて、
前記送信機器と前記再生装置とは、HDMI(High−Definition Multimedia Interface)ケーブルを介して接続され、
前記送信機器は、
前記HDMIケーブルを介して前記再生装置と接続するための送信機器側HDMI端子と、
前記再生装置に対して、前記鍵データを受信可能である状態に移行するように要求する受信状態要求命令を送信する受信状態要求命令送信手段と、
前記再生装置に対して、前記鍵データを送信する鍵データ送信手段とを備え、
前記再生装置は、
前記HDMIケーブルを介して前記送信機器と接続するための再生装置側HDMI端子と、
前記送信機器から送信された前記受信状態要求命令及び前記鍵データを受信する情報受信手段と、
前記送信機器に対して、前記鍵データを受信可能な状態である旨の情報を送信する受信状態送信手段と、
前記情報受信手段により受信した鍵データを記録するための鍵データ記録手段とを備え、
前記再生装置は、
前記送信機器が前記受信状態要求命令送信手段を用いて送信した前記受信状態要求命令を、前記情報受信手段を用いて受信したときに、前記鍵データを受信可能な状態に移行すると共に、前記受信状態送信手段を用いて、前記鍵データを受信可能な状態である旨の情報を前記送信機器に送信した後、
前記送信機器が前記鍵データ送信手段を用いて送信した前記鍵データを、前記情報受信手段を用いて受信し、受信した前記鍵データを前記鍵データ記録手段に記録することを特徴とする鍵データ記録システム。
【請求項2】
前記送信機器と、前記再生装置とは、HDMI(High Definition Multimedia Interface)−CEC(Consumer Electronics Control)規格に従って通信を行うことを特徴とする請求項1に記載の鍵データ記録システム。
【請求項3】
HDCP(High−bandwidth Digital Contents Protection)認証を行うための鍵データを送信する送信機器とHDMI(High−Definition Multimedia Interface)ケーブルを介して接続され得る再生装置において、
前記HDMIケーブルを介して前記送信機器と接続するための再生装置側HDMI端子と、
前記送信機器から送信された、該再生装置に対して前記鍵データを受信可能である状態に移行するように要求する命令である受信状態要求命令及び前記鍵データを受信する情報受信手段と、
前記送信機器に対して、前記鍵データを受信可能な状態である旨の情報を送信する受信状態送信手段と、
前記情報受信手段により受信した前記鍵データを記録するための鍵データ記録手段とを備え、
前記送信機器が送信した前記受信状態要求命令を、前記情報受信手段を用いて受信したときに、前記鍵データを受信可能な状態に移行すると共に、前記受信状態送信手段を用いて、前記鍵データを受信可能な状態である旨の情報を前記送信機器に送信した後、
前記送信機器が送信した前記鍵データを、前記情報受信手段を用いて受信し、受信した前記鍵データを前記鍵データ記録手段に記録することを特徴とする再生装置。
【請求項4】
前記送信機器とHDMI(High Definition Multimedia Interface)−CEC(Consumer Electronics Control)規格に従って通信を行うことを特徴とする請求項3に記載の再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−277651(P2010−277651A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−129554(P2009−129554)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】