説明

鍼灸針

【課題】 施術者による針体への接触を防ぎつつ、所望の刺入深度を確保可能な鍼灸針を提供する。
【解決手段】 鍼灸針1は、先端に針先部2aが形成された針体2と、針体2の後端側に設けられた円筒状の針柄3と、針体2と針柄3とを固定する固定部4と、針体2の露出部分2bに備えられたチューブ5とを含んで構成される。尚、固定部4を針柄3の後端側端部3bに配置する。また、針体2の露出部分2bに施術者の指が触れるのを防ぐため、針体2の外周面に対し摺動可能なチューブ5が、針体2の露出部分2bの一部を覆っている。更に、固定部4より先端側にて、円筒状の針柄3の内径D1をチューブ5の外径D2よりも大きくし、針体2の外周面と針柄3の内周面との間に形成される環状空間に、チューブ5の後端側を収容可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍼灸針に関する。
【背景技術】
【0002】
鍼治療において、施術者は鍼灸針(毫針)を次のような手技により患者に刺入する。
管針法による場合、針管に挿入した状態で鍼灸針をツボに立て、切皮(穿皮)という動作により針先を皮膚表面から皮下組織へ進入させ、その後針管を取り去り、右利きの場合には、左手(押手)で針体を支え、かつ針先の刺入している皮膚を押し開くようにして、右手(刺手)で刺入を進める。
【0003】
このとき、針体には、押手の親指や人差し指が触れてしまう。使い捨ての鍼灸針を最初に刺入する場合には、このようにして針体に触れることによりヒト蛋白(皮膚のかけら)や指に付着した微生物で鍼灸針を汚染するという危険を冒すことになり、2回目以降に刺入する場合には、これに加え、一度患者の体内に入った針体部分に施術者の指が触れるという危険を冒すことになる。
【0004】
従って、鍼灸針を刺入する際に施術者の指が針体に直接触れることは、施術者に対しても、患者に対しても安全上避けたい行為である。しかし、実際には、押手を添えないと鍼灸針を正確に刺入することは困難である。
そこで安全上の対策として、特許文献1には、鍼灸針において、針体の針先側に、針体よりも長手方向の長さが短い外筒(マイクロチューブ)を装着することが記載されている。この外筒は、刺入時に針体の針先側から後端側へ滑らかに移動可能となっている。施術者が刺入する際にこの外筒を介して押手を添えることにより、施術者の指が針体に触れるのを防ぐことができる。
【特許文献1】特開2006−026341号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の外筒を装着した鍼灸針では、所定の刺入深度(すなわち、針柄の先端側端部から皮膚までの長さが外筒の長手方向の長さと一致したときの刺入深度)に達すると、外筒の一端が患者の皮膚と接触し、他端が針柄の先端側端部にて針柄と接触するため、外筒がストッパーの役割をし、これ以上の刺入ができなくなる。従って、施術者の所望する刺入深度が前記所定の刺入深度を超える場合は、施術者の所望する刺入深度を確保することができないという問題がある。
【0006】
本発明はかかる問題に鑑みなされたものであり、施術者による針体への接触を防ぎつつ、所望の刺入深度を確保することのできる鍼灸針を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのため本発明では、先端に針先部が形成された針体と、針体の後端側を覆うように設けられた円筒状の針柄と、針体と針柄とを固定する固定部と、針柄の先端側端部より先端側に露出する針体の外周面の少なくとも一部を覆い、針体の外周面に対し摺動可能に装着される管状体とを備えている。また、固定部は針柄の先端側端部より後端側の所定の位置に配置し、固定部から先端側にて、管状体の外径と比して針柄の内径を大きくする。
【0008】
また本発明では、先端に針先部が形成された針体と、針体の後端側を覆うように設けられた円筒状の針柄と、針体と針柄とを固定する固定部とを備え、針体の外周面に対し摺動可能な管状体を装着して用いる。そして、固定部は、針柄の先端側端部より後端側の所定の位置に配置し、固定部より先端側にて針体の外周面と針柄の内周面との間に環状空間を形成し、この環状空間に、管状体の後端部側を収容可能とした。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、刺入する際、針体の外周面と針柄の内周面との間に形成される環状空間に、前記外筒に対応する管状体の後端部側を収容可能としたため、固定部を針柄の先端側端部に配置する場合と比して、施術者が設定する刺入深度をより深くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態における鍼灸針の構成図である。
鍼灸針1は、先端に針先部2aが形成された針体2と、針体2の後端側に設けられた円筒状の針柄3と、針体2と針柄3とを固定する固定部4と、針体2の露出部分2bに備えられたチューブ(管状体)5とを含んで構成される。尚、本実施形態において、固定部4を針柄3の後端側端部3bに配置する。
【0011】
ここで針体2の露出部分2bとは、針体2の外周面のうち、針柄3の先端側端部3aから針体2の先端(針先部2a)までをいう。
この針体2の露出部分2bに施術者の指が触れるのを防ぐため、針体2の外周面に対し摺動可能なチューブ5が、針体2の露出部分2bの一部を覆っている。本実施形態において、チューブ5の材質は樹脂とするが、この他にゴム、金属などとしてもよい。
【0012】
一方、針柄3の材質は金属としており、固定部4では、ハンダ付け、レーザー溶接、超音波溶接などを用いて、針体2と針柄3とを固定する。また、図示はしていないが、本実施形態において針柄3の材質を金属とし、針柄3を外側から内側へプレス加工する(すなわちカシメする)ことにより固定部4を形成することも可能である。
また、本実施形態において、針柄3の材質を樹脂とし、固定部4では接着材を用いて、針体2と針柄3とを接着固定してもよい。また、針柄3の材質を樹脂とし、針柄3と固定部4とを一体に形成してもよい。この例として、インサート成形を用い、金型内に針体2を装填した後、金型に樹脂を注入して針柄3(及び固定部4)を形成することが考えられる。
【0013】
更に、円筒状の針柄3として、図示したものの他に、針柄3の後端側端部に蓋部を有した有蓋円筒状のものを用いてもよい。
また、固定部4より先端側にて、円筒状の針柄3の内周面の直径(内径)D1をチューブ5の外周面の直径(外径)D2よりも大きくしている。このため、固定部4より先端側において、針体2の外周面と針柄3の内周面との間に形成される環状空間に、チューブ5の後端側を収容させることができる。
【0014】
また、固定部4を針柄3の後端側端部3bに配置しているので、前記環状空間は最大となり、針体2に対するチューブ5の摺動可能範囲は最大となる。
図2〜図4は、本実施形態における針体の外周面に管状体を装着する方法を示す図である。
図2の(A)は、チューブ(管状体)5の内周面と針体2の外周面との間に医療用潤滑材6を充填する方法が示されている。この方法では、外力により、チューブ5は針体2の外周面に対して滑らかに摺動可能であるが、外力がかからないときに、チューブ5は、針体2の外周面に対して静止状態を保持する。尚、医療用潤滑材として、医療用シリコーン油などを用いる。
【0015】
図2の(B)は、チューブ5の材質を樹脂やゴムなどとした場合(すなわち可撓性部材によりチューブ5を成形した場合)に、チューブ5の内周面の断面形状を楕円形(扁平形状)とする方法が示されている。この方法では、まずチューブ5は、チューブ5の内周面における対面間の最短距離L1が針体2の外径D3より小さく、かつ、チューブ5の内周面における対面間の最長距離L2が針体2の外径D3より大きくなるように予め成形する(図2の(B)の(1))。次にチューブ5を針体2の外周面に装着する。これにより、チューブ5の内周面における対面間の最短距離が針体2の外径D3となる(図2の(B)の(2))。従って、チューブ5には、チューブ5の内周面における対面間の最短距離を、針体2の外径D3より当初の最短距離L1に戻そうとする復元力が生じる。この復元力により、外力がかからないときに、チューブ5は、針体2の外周面に対して静止状態を保持する。
【0016】
図2の(C)は、チューブ5の材質を樹脂やゴムなどとした場合(すなわち可撓性部材によりチューブ5を成形した場合)に、チューブ5の内周面の断面形状を扁平な多角形とする方法が示されている。この方法では、まずチューブ5は、チューブ5の内周面における対面間の最短距離L4が針体2の外径D3より小さく、かつ、チューブ5の内周面における対面間の最長距離L5が針体2の外径D3より大きくなるように予め成形する(図2の(C)の(1))。次にチューブ5を針体2の外周面に装着する。これにより、チューブ5の内周面における対面間の最短距離が、針体2の外径D3となる(図2の(C)の(2))。従って、チューブ5には、チューブ5の内周面における対面間の最短距離を、針体2の外径D3より当初の最短距離L4に戻そうとする復元力が生じる。この復元力により、外力がかからないときに、チューブ5は、針体2の外周面に対して静止状態を保持する。
【0017】
尚、図2の(B)及び(C)にて示したチューブ5の内周面の断面形状の他に、扁平形状は長円形としてもよい。
図3は、チューブ5の材質を樹脂やゴムなどとした場合(すなわち可撓性部材によりチューブ5を成形した場合)に、チューブ5の長手方向の中心軸を予め曲線とする方法が示されている。この方法では、まずチューブ5の長手方向の中心軸が曲線となるようにチューブ5を成形する(図3の(A))。次にチューブ5を針体2の外周面に装着する(図3の(B))。このとき、チューブ5の長手方向の中心軸の曲線の曲率が減少し、ほぼ直線である針体2の長手方向の中心軸に近づくことにより、チューブ5に復元力が生じる。この復元力により、外力がかからないときに、チューブ5は、針体2の外周面に対して静止状態を保持する。
【0018】
図4は、チューブ5の材質を樹脂やゴムなどとした場合に、一方の端部に閉口部を有したチューブ5を用いる方法が示されている。まずチューブ5の一方の端部が閉口部となり、他方の端部が針体2を装着可能な開口部となるようにチューブ5を成形し、このチューブ5を針体2の外周面に装着する(図4の(A))。次に針体2の針先部2aをチューブ5の閉口部に突き刺して貫通部5aを形成する(図4の(B))。この貫通部5aにてチューブ5と針体2の外周面とを接触させることにより、外力がかからないときに、チューブ5は、針体2の外周面に対して静止状態を保持する。尚、針体2の針先部2aをチューブ5の閉口部に突き刺して貫通部5aを形成する時期は、鍼灸針1を製造する過程の他、施術者が鍼灸針1を使用する直前や後述する切皮時などでもよい。
【0019】
従って、図2〜図4に示された針体2の外周面にチューブ5を装着する方法を少なくとも1つ用いることにより、チューブ5が針体2の外周面より容易に抜け落ちるのを防止することができる。
図5は、本実施形態における鍼灸針を刺入した状態を示す図である。
管針法による場合、施術者は、針管(図示せず)に挿入した状態で、刺入するツボの皮膚表面10上に、鍼灸針1を立てる(図5の(A))。次に施術者は切皮により鍼灸針1の針先(針体2の先端に形成された針先部2a)を皮膚表面10から皮下組織へ進入させ、針管を取り去る(図5の(B))。次に施術者は押手でチューブ5を介して針体2を支え、所望の刺入深度まで針体2を刺入する(図5の(C))。
【0020】
尚、本実施形態においては管針法を用いて説明しているが、施術方法をこれに限定するものではない。すなわち、針管を使用しない施術方法において、当初から施術者が押手でチューブ5を介して針体2を支えながら切皮,刺入を行うことが可能である。
本実施形態によれば、円筒状の針柄3の先端側端部より後端側の所定の位置に針体2と針柄3とを固定する固定部4を有し、この固定部4より先端側にて、管状体(チューブ5)の外壁面の直径(外径)D2と比して針柄3の内壁面の直径(内径)D1を大きくすることにより、固定部4より先端側において、針体2の外周面と針柄3の内周面との間に形成される環状空間に、管状体(チューブ5)の後端側を収容させることができる。
【0021】
また本実施形態によれば、固定部4を針柄3の後端側端部3bに配置しているので、固定部4より先端側において針体2の外周面と針柄3の内周面との間に形成される環状空間が最大となり、針体2に対する管状体(チューブ5)の摺動可能範囲が最大となるため、固定部4を針柄3の先端側端部3aに配置する場合と比して、施術者が設定する刺入深度をより深くすることができる。
【0022】
また本実施形態によれば、針柄3の材質を金属とし、固定部4はハンダ付け、レーザー溶接及び超音波溶接のうち少なくとも1つを用いて形成されることにより、固定部4にて針体2と針柄3とを強固に固定することができる。
また本実施形態によれば、針柄3の材質を金属とし、針柄3を外側から内側へプレス加工する(すなわちカシメする)ことにより固定部4を形成するにより、固定部4にて針体2と針柄3とを強固に固定することができる。
【0023】
また本実施形態によれば、針柄3の材質を樹脂とし、固定部4は接着材を用いて形成されることにより、針柄3の材質が金属である場合と比して鍼灸針1を軽量化することできる。
また本実施形態によれば、針柄3の材質を樹脂とし、針柄3と固定部4とは一体に形成されることにより、針柄3の材質が金属である場合と比して鍼灸針1を軽量化することできる共に、容易に針体2の長手方向の中心軸と針柄3の長手方向の中心軸とを一致させることができる。
【0024】
また本実施形態によれば、管状体(チューブ5)の内周面と針体2の外周面との間に医療用潤滑材を充填し、外力がかからないときに、管状体(チューブ5)は、針体2の外周面に対して静止状態を保持するので、管状体(チューブ5)が針体2の外周面より容易に抜け落ちるのを防止することができる。
また本実施形態によれば、管状体(チューブ5)の内周面の断面形状を扁平形状(楕円形、扁平な多角形、長円形など)とし、管状体(チューブ5)を針体2の外周面に装着する前に、管状体(チューブ5)の内周面にて対面間の最短距離が針体2の外径より小さく、かつ、管状体(チューブ5)の内周面にて対面間の最長距離が針体2の外径より大きくなるように、管状体(チューブ5)を可撓性部材により成形し、管状体(チューブ5)を針体2の外周面に装着した後、外力がかからないときに、管状体(チューブ5)は、その復元力により、針体2の外周面に対して静止状態を保持するので、管状体(チューブ5)が針体2の外周面より容易に抜け落ちるのを防止することができる。
【0025】
また本実施形態によれば、管状体(チューブ5)を針体2の外周面に装着する前に、管状体(チューブ5)の長手方向の中心軸が曲線となるように、管状体(チューブ5)を可撓性部材により成形し、管状体(チューブ5)を針体2の外周面に装着した後、外力がかからないときに、管状体(チューブ5)は、その復元力により、針体2の外周面に対して静止状態を保持するので、管状体(チューブ5)が針体2の外周面より容易に抜け落ちるのを防止することができる。
【0026】
また本実施形態によれば、管状体(チューブ5)を針体2の外周面に装着する前に、管状体(チューブ5)の一方の端部は閉口部となり、他方の端部は針体2を装着可能な開口部となるように管状体(チューブ5)を成形し、管状体(チューブ5)を針体2の外周面に装着した後に、針体2の針先部2aを用いて管状体(チューブ5)の閉口部に貫通部を形成し、この貫通部にて管状体(チューブ5)と針体2の外周面とを接触させることにより、外力がかからないときに、管状体(チューブ5)は、針体2の外周面に対して静止状態を保持するので、管状体(チューブ5)が針体2の外周面より容易に抜け落ちるのを防止することができる。
【0027】
また本実施形態によれば、管状体(チューブ5)の材質は樹脂又はゴムとすることにより、施術者に心地よい使用感を与え、また、施術者の指と針体2との間の隔離性も良好なものとすることができる。
また本実施形態によれば、管状体(チューブ5)の材質は金属とすることにより、施術者の指と針体2との間の隔離性も良好なものとすることができると共に、鍼灸針1に外部から衝撃があった場合でも針体2の先端(針先部2a)が破損するおそれを軽減することができる。
【0028】
次に本発明の第2の実施形態について説明する。
図6は、本発明の第2の実施形態における鍼灸針の構成図である。
図1にて示した第1の実施形態との相違点について説明する。
図6において、固定部4は針柄3の先端側端部3aと後端側端部3bとの間の所望の位置に配置されている点が相違している。
【0029】
特に本実施形態によれば、刺入を行う際、管状体(チューブ5)の一端が患者の皮膚と接触し、他端が固定部4と接触する刺入深度にて管状体(チューブ5)がストッパーの役割をするため、固定部4の位置を針柄3の先端側端部3aより後端側にて任意に設定することにより、所望の最大刺入深度を設定することができる。
次に本発明の第3の実施形態について説明する。
【0030】
図7は、本発明の第3の実施形態における鍼灸針の構成図である。
図1にて示した第1の実施形態との相違点について説明する。
図1においてチューブ(管状体)5の長手方向の長さは、針体2の露出部分2bの長手方向の長さより短くなっているが、図7においてチューブ5の長手方向の長さは、針体2の露出部分2bの長手方向の長さより長くなっている点が相違している。尚、本実施形態において、この他に、チューブ5の長手方向の長さと針体2の露出部分2bの長手方向の長さとを一致させてもよい。
【0031】
特に本実施形態によれば、管状体(チューブ5)の長手方向の長さは、針体2の露出部分2bの長手方向の長さ以上となっているため、鍼灸針1の使用開始から使用終了までの間、施術者は針体2の露出部分2bに直接触れることなく施術を行うことができるので、穿刺事故の発生や微生物などの感染を大幅に抑制することができる。
次に本発明の第4の実施形態について説明する。
【0032】
図8は、本発明の第4の実施形態における鍼灸針の構成図である。
図1にて示した第1の実施形態との相違点について説明する。
図1において針体2の露出部分2bに予め備えられていたチューブ(管状体)5が、図8においては、鍼灸針1から独立し、針体2の外周面に対し摺動可能なチューブ(管状体)7となり、患者の皮下に刺入するときの補助具として、施術前に施術者により針体2の露出部分2bに装着される点が相違する。
【0033】
チューブ7が針体2の露出部分2bに装着された後は、図2に示したように施術者が患者に対し、鍼灸針1を用いて切皮,刺入を行う(図2において、チューブ5がチューブ7に対応する)。
特に本実施形態によれば、針体2の外周面に対し摺動可能な管状体(チューブ7)は患者の皮下に刺入するときの補助具として鍼灸針1と各別に使用されるため、使い捨ての鍼灸針1を用いても、同一の患者に対して、管状体(チューブ7)を複数回使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】第1の実施形態における鍼灸針の構成図
【図2】第1の実施形態における針体の外周面に管状体を装着する方法を示す図
【図3】第1の実施形態における針体の外周面に管状体を装着する方法を示す図
【図4】第1の実施形態における針体の外周面に管状体を装着する方法を示す図
【図5】第1の実施形態における鍼灸針を刺入した状態を示す図
【図6】第2の実施形態における鍼灸針の構成図
【図7】第3の実施形態における鍼灸針の構成図
【図8】第4の実施形態における鍼灸針の構成図
【符号の説明】
【0035】
1 鍼灸針
2 針体
3 針柄
4 固定部
5 チューブ
6 医療用潤滑材
7 チューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に針先部が形成された針体と、
この針体の後端側を覆うように設けられた円筒状の針柄と、
前記針体と前記針柄とを固定する固定部と、
前記針柄の先端側端部より先端側に露出する前記針体の外周面の少なくとも一部を覆い、前記針体の外周面に対し摺動可能に装着される管状体とを備えた鍼灸針において、
前記固定部は、前記針柄の先端側端部より後端側の所定の位置に配置し、前記固定部より先端側にて、前記管状体の外径と比して前記針柄の内径を大きくすることを特徴とする鍼灸針。
【請求項2】
先端に針先部が形成された針体と、
この針体の後端側を覆うように設けられた円筒状の針柄と、
前記針体と前記針柄とを固定する固定部とを備えた鍼灸針であって、
前記針体の外周面に対し摺動可能な管状体を装着して用いるものにおいて、
前記固定部は、前記針柄の先端側端部より後端側の所定の位置に配置し、前記固定部より先端側にて前記針体の外周面と前記針柄の内周面との間に環状空間を形成し、この環状空間に、前記管状体の後端部側を収容可能としたことを特徴とする鍼灸針。
【請求項3】
前記固定部は、前記針柄の後端側端部に配置することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の鍼灸針。
【請求項4】
前記針柄の材質は、金属であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の鍼灸針。
【請求項5】
前記固定部は、ハンダ付け、レーザー溶接及び超音波溶接の少なくとも1つを用いて形成されることを特徴とする請求項4記載の鍼灸針。
【請求項6】
前記固定部は、前記針柄を外側から内側へプレス加工することにより形成されることを特徴とする請求項4記載の鍼灸針。
【請求項7】
前記針柄の材質は、樹脂であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の鍼灸針。
【請求項8】
前記固定部は、接着材を用いて形成されることを特徴とする請求項7記載の鍼灸針。
【請求項9】
前記針柄と前記固定部とは、一体に形成されることを特徴とする請求項7記載の鍼灸針。
【請求項10】
前記管状体の長手方向の長さは、前記針柄の先端側端部より先端側に露出する前記針体の外周面の長手方向の長さ以上であることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか1つに記載の鍼灸針。
【請求項11】
前記管状体の内周面と前記針体の外周面との間に医療用潤滑材を充填し、外力により、前記管状体は、前記針体の外周面に対して摺動可能であり、前記外力がかからないときに、前記管状体は、前記針体の外周面に対して静止状態を保持することを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか1つに記載の鍼灸針。
【請求項12】
前記管状体の内周面の断面形状を扁平形状とし、前記管状体を前記針体の外周面に装着する前に、前記管状体の内周面にて対面間の最短距離が前記針体の外径より小さく、かつ、前記対面間の最長距離が前記針体の外径より大きくなるように、前記管状体を可撓性部材により成形し、前記管状体を前記針体の外周面に装着した後に、外力により、前記管状体は、前記針体の外周面に対して摺動可能であり、前記外力がかからないときに、前記管状体の復元力により、前記管状体は、前記針体の外周面に対して静止状態を保持することを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれか1つに記載の鍼灸針。
【請求項13】
前記管状体を前記針体の外周面に装着する前に、前記管状体の長手方向の中心軸が曲線となるように、前記管状体を可撓性部材により成形し、前記管状体を前記針体の外周面に装着した後に、外力により、前記管状体は、前記針体の外周面に対して摺動可能であり、前記外力がかからないときに、前記管状体の復元力により、前記管状体は、前記針体の外周面に対して静止状態を保持することを特徴とする請求項1〜請求項12のいずれか1つに記載の鍼灸針。
【請求項14】
前記管状体を前記針体の外周面に装着する前に、前記管状体の一方の端部は閉口部となり、他方の端部は前記針体を装着可能な開口部となるように前記管状体を成形し、前記管状体を前記針体の外周面に装着した後に、前記針体の前記針先部を用いて前記管状体の前記閉口部に貫通部を形成し、外力により、前記管状体は、前記針体の外周面に対して摺動可能であり、前記外力がかからないときに、前記貫通部にて前記管状体と前記針体の外周面とを接触させることにより、前記管状体は、前記針体の外周面に対して静止状態を保持することを特徴とする請求項1〜請求項13のいずれか1つに記載の鍼灸針。
【請求項15】
前記管状体の材質は、樹脂であることを特徴とする請求項1〜請求項14のいずれか1つに記載の鍼灸針。
【請求項16】
前記管状体の材質は、ゴムであることを特徴とする請求項1〜請求項14のいずれか1つに記載の鍼灸針。
【請求項17】
前記管状体の材質は、金属であることを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれか1つに記載の鍼灸針。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−245889(P2008−245889A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−90397(P2007−90397)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(390024545)セイリン株式会社 (14)
【Fターム(参考)】