説明

鎮静および鎮痛システム

【課題】本発明は、鎮静および鎮痛システムの無菌操作に関する。本発明は、医療処置に関与する臨床医が無菌領域において無菌領域を汚染せずに操作することができる鎮静および鎮痛システムを提供する。様々なシステムについて、本発明は、医療処置に関与する臨床医が無菌領域においてアクセスすることができる鎮静および鎮痛システムを提供する。
【解決手段】鎮静および鎮痛システムは、患者健康モニタデバイスと、無菌状態を壊さずに入力が行われるユーザインタフェースと、薬剤送出コントローラと、電子コントローラとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[発明の背景]
発明の分野
本発明は、包括的には医療システムの無菌操作に関し、特に、鎮静および鎮痛システムの無菌操作に関する。
【0002】
[関連出願に対する相互参照]
本願は、米国特許法第119条(e)項に基づき、2002年5月16日付で出願された米国仮特許出願第60/378,045号明細書「System and Method for Permitting Sterile Operation of a Sedation and Analgesia System」(参照により本明細書中に援用される)の優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
痛みを伴う、不快なあるいは怖い(不安をかき立てる)医療または外科的処置を受ける患者に、鎮静、鎮痛、および/または記憶消失(amnestic)薬を安全に、免許を受けた麻酔担当者(anesthesia provider)がいるか否かに関わらず過剰投薬の危険性を減らす方法で受け取る手段を供給するために鎮静および鎮痛システムが開発されてきた。技術の大きな発展を利用して、鎮静および鎮痛システムは、病院および外来環境で安全に使用されるように設計されてきており、例えば有資格の麻酔看護婦(certified registered nurse anesthetist)(CRNA)、麻酔助手、訓練を受けた医師、または他の訓練を受けたオペレータといった訓練を受けた麻酔科医以外の個人が操作することができる。鎮静および鎮痛システムは、安全で効果的な鎮静および鎮痛が恐れや痛みの作用を実質的に軽減できる全ての処置に麻酔担当者の予定を組むことができない開業医の要求に応えるところまできた。これらの目的を専用とする鎮静および鎮痛システムの出現が、これらの個人に、麻酔機器の操作に必要な認知的および手作業の負担を減らしながら、尚も臨床医が常に患者管理を支配することを可能にする患者モニタリングシステムと一体化された薬剤送出(drug delivery)システムを提供する。臨床医は、「臨床医が最も良く知っている」という方針に則って最終的な意思決定責任を持ち続ける。この技術の進化により、鎮静および鎮痛システムを、麻酔担当者がいなくても全身麻酔未満の薬剤レベル効果で操作することが可能になり、費用に対し効果の高い、容易に利用できる鎮静、記憶消失(amnesia)、および/または鎮痛手段を患者に提供することができる。
【0004】
手術室および外来医療環境において手術の創傷および医療機器が病原菌および異物により汚染されることを防ぐために多大な労力が費やされている。外科領域(surgical field)に接触する器具および衣服は通常、オートクレーブ内で、薬品で殺菌されるか、または放射露光される。薬品を使用して処置領域の患者の皮膚を外科手術のために整えることもできる。手術チームは通常、手と腕をこすり洗いする。手術チームは、手を覆う無菌手袋とともに、ガウン、キャップ、およびチームの呼気を濾過するマスクを着用する。その後、手術チームは、殺菌されていない物体との直接接触を避ける。さらに、手術室の空気は常に換気および濾過される。
【0005】
殺菌に対してこれだけの準備および注意をしてもなお、外科的処置は大きな割合で創傷感染(wound infection)を起こす。多くの医療環境を汚染する要因は、臨床医が患者を汚染せずに接触することのできる無菌器具を外科領域において提供することが難しいことにある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
多くの麻酔システムの複雑な性質とそれらを常に手動で制御する必要性により、麻酔科医またはCRNAが麻酔システムを常にモニタすることが要求される。この複雑性により、麻酔医でない開業医は、医療処置を行う際に、通常、麻酔システムの操作に参加することができないため、多くの場合、麻酔を伴う医療処置を行うために必要な人員数が増える。上記の鎮静および鎮痛システムは、部分的に自動化された性質のため、医療処置に参加する医師を含む適切に訓練された臨床医であれば誰でも操作することができる。訓練を受けた臨床医であれば誰でも操作でき、かつ操作が容易であることから、この鎮静および鎮痛システムは、多くの麻酔システムの人員増加の必要性に伴う費用を削減した。しかし、医療処置に関与する医師による使用は、無菌領域において無菌領域を汚染せずに操作することができる鎮静および鎮痛システムの必要性をもたらした。引き続く医療処置における患者の安全を保証するために、鎮静および鎮痛システムの汚染を防止する手段に対する要求がさらに生じた。
【0007】
したがって、医療処置に関与する臨床医が無菌領域においてアクセスすることができる鎮静および鎮痛システムを提供することが有利であろう。さらに、医療処置に関与する臨床医が、患者、無菌領域、および臨床医自身を汚染せずにアクセスすることができる鎮静および鎮痛システムを提供することが有利であろう。さらに、引き続く使用における患者の安全を保証するために、耐汚染性の鎮静および鎮痛システムを提供することが有利であろう。
【0008】
[発明の概要]
本発明は、無菌領域において、無菌領域(sterile area)を汚染したり無菌状態(aseptic condition)を壊したりせずに、鎮静および鎮痛システムを操作することを可能にする鎮静および鎮痛システムのためのデバイスおよび方法を提供することによって、上述の自動薬剤注入デバイスの欠点を解決する。本発明を用いれば、医療処置に参加している臨床医でさえも、無菌領域、操作している臨床医自身、あるいは患者を汚染せずに、鎮静および鎮痛システムをユーザインタフェースにより操作することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
鎮静および鎮痛システムのためのユーザインタフェースは、オペレータがシステムを制御することを可能にするタッチセンシティブコンピュータモニタ、キーパッドまたは同等物の形態であってもよい。いくつかの実施形態では、可撓性の透明な材料でできた無菌スクリーンまたはスリーブを提供し、ユーザは、スクリーンまたはスリーブを押すことによりユーザインタフェースを操作することができる。鎮静および鎮痛システムは、耐汚染性であり、取り外して適切な殺菌後に再び用いることができる再利用可能なスリーブをシステムの一部または全体に備えていてもよい。
【0010】
別法として、システムは、各処置の終了後に取り外すことができる使い捨てスリーブをシステムの一部または全体に備えていてもよい。本発明による鎮静および鎮痛システムはまた、抗菌剤を含浸した(impregnated)使い捨てユーザインタフェースを備えていてよい。洗浄を試みた場合に劣化する材料でユーザインタフェースまたは無菌スクリーンを作ることにより、かかる1回限りの使用特性を促進することができる。
【0011】
本システムにはまた、ユーザインタフェースさらにはシステムの構成部品の組全体に掛けて固定する無菌シートを設けてもよい。このようなシートを用いることにより、ユーザは、多様な鎮静および鎮痛システムの構成について無菌領域を維持することができる。最後に、システムは、一部または全体が音声認識技法によって操作されるユーザインタフェースを組み込んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明による鎮静および鎮痛システムの1実施形態を示すブロック図である。
【図2】本発明による、患者に接続された鎮静および鎮痛システムの1実施形態を示す斜視図である。
【図3】本発明による無菌ユーザインタフェーススクリーンの1実施形態の正面斜視図である。
【図4】本発明による無菌ユーザインタフェーススクリーンの1実施形態の背面斜視図である。
【図5】本発明による鎮静および鎮痛システムを操作する無菌リモートインタフェースの1実施形態の斜視図である。
【図6】本発明によるリモートインタフェースの1実施形態を示す図である。
【図7】本発明による鎮静および鎮痛システムを包む無菌カバーの1実施形態の斜視図である。
【図8】本発明による鎮静および鎮痛システムの無菌使用を提供する方法の1実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[本発明の詳細な説明]
図1は、ユーザインタフェース12、ソフトウェア制御のコントローラ14、周辺機器15、電源16、外部通信10、リモート出力11、患者インタフェース17、および薬剤送出部(drug delivery)19を有する鎮静および鎮痛システム22を含む本発明の1実施形態を示すブロック図を示し、鎮静および鎮痛システム22はユーザ13によって、患者18に鎮静および/または鎮痛をもたらすように操作される。鎮静および鎮痛システム22は、1999年6月3日付で出願された同一出願人に譲渡される(commonly assigned)同時係属中の米国特許出願第09/324,759号明細書(その全体が参照により本明細書中に援用される)において開示され実施可能にされている。ユーザインタフェース12の実施形態は、2002年11月1日付で出願された同一出願人に譲渡された同時係属中の米国特許出願第10/285,689号明細書(その全体が参照により本明細書中に援用される)において開示され実現可能にされている。
【0014】
出願第09/324,759号の鎮静および鎮痛システムは、患者に結合されて、患者の少なくとも1つの生理的状態を反映する信号を生成するようになっている患者健康モニタデバイスと、1つまたは複数の薬剤を患者に供給する薬剤送出コントローラと、少なくとも1つのモニタされる患者の生理的状態の安全なおよび望ましくないパラメータを反映する安全データセットを格納するメモリデバイスと、患者健康モニタ、薬剤送出コントローラ、および安全データセットを格納するメモリデバイスの間で相互接続される電子コントローラとを備え、上記電子コントローラは上記信号を受信し、それに応答して、安全データセットに従って薬剤の投与を管理する。
【0015】
図2は、患者18に取り付けられた鎮静および鎮痛システム22の斜視図の1実施形態を示し、鎮静および鎮痛システム22は、薬剤送出部19を介して記憶消失、鎮静、および/または鎮痛薬を送出するとともに、患者インタフェース17を介して患者18をモニタすることができる。薬剤送出部19は、1つまたは複数の薬剤バイアル(vial)、薬剤注入カセット、薬剤注入ライン、および/または患者18に薬剤を投与するために必要な任意の他の適切な機器を備える。患者インタフェース17は、カプノメータ、非侵襲性の血圧カフ、パルスオキシメータ、自動応答性テスト(automated responsiveness test)、酸素送出用の鼻カニューラ、および/または患者18をモニタする任意の他の適切な手段を含み、鎮静および鎮痛システム22は、患者インタフェース17から受信した情報に基づいて患者18に対する薬剤の送出を変更することができる。鎮静および鎮痛システム22はさらにユーザインタフェース12を含み、ユーザインタフェース12は、ユーザ13が鎮静および鎮痛システム22とインタフェースすることを可能にする任意の適切な手段、例えばタッチセンシティブ液晶ディスプレイ(LCD)スクリーン、ソフトボタン、ハードボタン、および/または部分的もしくは完全な音声起動システム等であってよい。
【0016】
図3は、モニタスクリーン42およびキーパッドスクリーン43を備える無菌ユーザインタフェース40の1実施形態の正面斜視図を示す。モニタスクリーン42は、第1のスクリーン44および縁41を備え、本発明の1実施形態において、第1のスクリーン44は、例えばポリエチレンまたはポリプロピレン等の透明または半透明の材料から作られる。本発明の1実施形態において、第1のスクリーン44は、ユーザインタフェース12の液晶ディスプレイ(LCD)モニタを覆うようになっており、ユーザ13は、第1のスクリーン44を押して(push through)ユーザインタフェース12を操作することができるが、第1のスクリーン44は、任意の適切なユーザインタフェースとともに使用されるようになっていてもよい。本発明の1実施形態において、縁41は第1のスクリーン44よりも硬く、縁41は、第1のスクリーン44を支持して、第1のスクリーン44が垂れる(sag)、発泡する、および/または他の方法でユーザインタフェース12の閲覧または操作を妨害することを防ぐことができる。
【0017】
無菌ユーザインタフェース40はさらにキーパッドスクリーン43を備え、キーパッドスクリーン43は第2のスクリーン46および縁45を備える。本発明の1実施形態において、第2のスクリーン46は、例えばポリエチレンまたはポリプロピレン等の透明または半透明の材料から作られる。第2のスクリーン46は、ユーザインタフェース12に関連付けられるキーパッド(図示せず)を覆うようになっており、ユーザ13は、第2のスクリーン46を押してユーザインタフェース12を操作することができる。本発明の1実施形態において、縁45は第2のスクリーン46よりも硬く、縁45は、第2のスクリーン46を支持して、第2のスクリーン46が垂れる、発泡する、および/または他の方法でユーザインタフェース12の閲覧または操作を妨害することを防ぐことができる。
【0018】
さらに、本発明の特定の実施形態において、モニタスクリーン42はキーパッドスクリーン43に取り付けられ、モニタスクリーン42とキーパッドスクリーン43が1つの連続した無菌スクリーンを構成するようになっている。モニタスクリーン42は、鎮静および鎮痛システム22のユーザインタフェース12に関連付けられる任意の適切な視覚インタフェースに対応するような任意の適切な形態で構成されてもよい。キーパッドスクリーン43は、鎮静および鎮痛システム22のユーザインタフェース12に関連付けられる任意の適切な視覚、触覚(tactile)、接触(touch)、ポインティング(pointing)および静電容量式(capacitive)インタフェースに対応するような任意の適切な形態で構成されてもよい。本発明はさらに、それぞれ縁42および/または縁45がないモニタスクリーン42およびキーパッドスクリーン43を提供することを含み、第1のスクリーン44および/または第2のスクリーン43は、縁42および/または縁45とは独立してユーザインタフェース12を覆うようになっていてもよい。
【0019】
図4は、無菌ユーザインタフェース40の特定の実施形態の背面斜視図を示し、無菌ユーザインタフェース40は、モニタスクリーン42、キーパッドスクリーン43、および接着面47を備える。接着面47は、接着剤、磁石、クリップ、フックおよびループファスナ、または無菌ユーザインタフェース40をユーザインタフェース12および/または鎮静および鎮痛システム22に取り外し可能に結合する任意の他の適切な手段を含んでもよい。無菌ユーザインタフェース40に接着面47を設けることにより、無菌ユーザインタフェース40をユーザインタフェース12および/または鎮静および鎮痛システム22上にしっかりと設置することができ、無菌ユーザインタフェース40は、医療処置の終了後に取り外して廃棄することができる。接着面47は、処置の始めにおける無菌ユーザインタフェース40の素早く効果的な設置と、処置の終わりにおける無菌ユーザインタフェース40の取り外しおよび廃棄とを可能にするのに適した任意の方法で構成されてもよい。
【0020】
無菌ユーザインタフェース40のさらなる実施形態は、タッチスクリーンのボタン、ハードボタン、ソフトボタン、視覚ディスプレイ、またはスクリーンの下にある鎮静および鎮痛システム22の他の特徴に対応する無菌ユーザインタフェース40の任意の適切な部分に印刷された文字および/またはアイコンを特徴として、鎮静および鎮痛システム22の閲覧および/または操作をユーザ13にとって簡単かつ効率的なものとするようにしてもよい。本発明はさらに、例えば無菌ユーザインタフェース40に殺菌剤および/または他の抗菌剤を含浸すること、および無菌インタフェース40を1回限りの使用の使い捨て構成部品に限定すること等によって、無菌ユーザインタフェース40が無菌であることを保証する他の適切な手段を備える。このような1回限りの使用特性の促進は、無菌ユーザインタフェース40の洗浄を試みた場合に劣化する材料でユーザインタフェース40を作ることによって行うことができる。
【0021】
図5は、無菌リモートインタフェース50の1実施形態の斜視図を示し、無菌リモートインタフェース50は、無菌スリーブ52およびリモートインタフェース51を備える。無菌スリーブ52はシール53を備え、シール53は、実質的に無菌スリーブ52を囲み、無菌スリーブ52内にポケット54を形成する。無菌スリーブ52は一端が開放しており、リモートインタフェース51を無菌スリーブ52に挿入してポケット54内に保持できるようにしてもよい。無菌スリーブ52は、無菌スリーブ52の開放端を結ぶことによって、開放端を折り畳むことによって、または任意の他の適切な閉塞手段によってシールされてもよい。無菌スリーブ52は、例えばポリエチレンまたはポリプロピレン等の任意の適切な材料から作ってもよい。無菌リモートインタフェース50を提供することによって、ユーザ13は、鎮静および鎮痛システム22が無菌領域の外部にあっても鎮静および鎮痛システム22を操作することができる。リモートインタフェース51を無菌スリーブ52に封入することにより、ユーザ13は、鎮静および鎮痛システム22、リモートインタフェース51、および/または患者18を汚染せずに鎮静および鎮痛システム22を操作することができる。無菌スリーブ52の使用はまた、鎮静および鎮痛システム22およびリモートインタフェース51上に存在する病原体や他の異物に患者18が汚染されないことも保証する。リモートインタフェース51の実施形態を本明細書中でさらに検討する。
【0022】
図6は、無菌リモートインタフェース50の1実施形態を示し、リモートインタフェース51は特に、それぞれ1つまたは複数の、警報コマンド60、薬剤コマンド61、statコマンド62、およびデータ入力および操作コマンド54のいずれかを備えてもよい。リモートインタフェース51は、赤外線、ブルートゥース(商標)無線技術、または任意の他の適切な送信手段により鎮静および鎮痛システム22と通信することができる。データ入力および操作コマンド54は特に、それぞれ1つまたは複数の、数字キー59、タブキー55、戻るキー56、キャンセルキー57、およびOKキー58のいずれかを備えてもよい。数字キー59は、ローマ数字、アラビア数字、またはユーザ13が認識して鎮静および鎮痛システム22に適切な値を入力することができる任意の他の適切な数字インジケータであってもよい。数字キー59はまた、小数点キー、アスタリスクキー(*)、パーセントキー(%)、または鎮静および鎮痛システム22に関連するデータを入力または操作する際に役立つ任意の他の適切な記号または文字を含んでもよい。タブキー56は、鎮静および鎮痛システム22のユーザインタフェース12に関連する入力ボックス間を高速スキャンするために用いることができる。戻るキー56は、前の表示画面または前のプロンプトを閲覧する、および/または前の入力ボックスに戻るために用いることができる。キャンセルキー57は、表示画面、プロンプト、前の入力コマンドを取り消し、および/または鎮静および鎮痛システム22に関連する任意の他の適切な特徴を中止または無効にすることができる。OKキー58は、ユーザ13による入力を確認する、一連の表示および/またはプロンプトを通って進む、警報状態がユーザ13に通知されたことを確認する、および/または鎮静および鎮痛システム22の任意の他の適切な特徴を確認するために用いてもよい。
【0023】
警報コマンド60はミュートキー63を備え、ミュートキー63はユーザ13によって作動されて、鎮静および鎮痛システム22に関連する警報をミュートすることができる。本発明の1実施形態において、ユーザ13はミュートキー63を押すことにより警報をミュートし、ミュートキー63を再度押すことにより、鎮静および鎮痛システム22に関連する警報のミュートを解除することができる。警報コマンド60はさらに、ユーザ13に鎮静および鎮痛システム22を支配させる上で有利な任意の他の適切な警報キーを備えてもよい。本明細書中で説明する表示画面、キー、入力ボックス、プロンプト、確認、警報等の例は、2002年11月1日付で出願された米国特許出願第10/285,689号明細書に記載されている。
【0024】
本発明の1実施形態において、薬剤コマンド61は、標準(normal)キー66、ボーラス(bolus)キー67、statキー68、パージキー69および停止キー70を備える。標準キー66は、鎮静および鎮痛システム22に伴う薬剤送出を元の標的注入レートに戻すことができる。例えばユーザ13は、stat薬剤注入を開始し、投与薬剤の標的作用部位濃度(target effect site concentration)を増加させることができる。stat注入の後、ユーザ13は、元の標的作用部位濃度が望ましいと判断する場合があり、標準キー66を押して、元の標的作用部位濃度に戻すことができる。ボーラスキー67により、ユーザ13は医療処置の任意の時点でボーラス薬剤注入を行うことができ、ユーザ13は数字キー59により、および/またはボーラスキー67を複数回押すことによりボーラスレベルを入力することができ、ボーラスキー67を押す度に、それに関連して標的作用部位濃度が所定量上昇し、その場合ユーザ13は、ボーラスキー67を押すか他の方法で始動させた後にOKキー58を押すことによって、連続的な増加毎に確認を行うことを要求されてもよい。
【0025】
本発明の1実施形態において、statキー68は標的作用部位濃度を上昇させ、上昇した作用部位濃度は、所定であっても、あるいは数字キー59により入力されてもよい。本発明の1実施形態において、パージキー69は、薬剤注入ライン(図示せず)の残留薬剤の自動除去を開始する。例えば、医療処置の終了時にパージキー69を押して、薬剤送出部19から残留薬剤を取り除くことができる。停止キー70は、薬剤送出を停止するために用いることができる。
【0026】
statコマンド62は、血圧カフキー71、自動応答性テストキー72、および印刷キー73を備え、ユーザ13が鎮静および鎮痛システム22の任意の適切な周辺機器(例えば血圧カフ等)を起動して、即時の読み取り値を取得するか、または医療処置中の任意の所望の時点のデータを出力することを可能にする。鎮静および鎮痛システム22は、患者インタフェース17に関連付けられた血圧カフにより定期的な血圧測定値を取得することができるが、ユーザ13は、患者18の健康を保証する上で追加の測定値を取得することが望ましいことに気付く場合がある。血圧カフキー71を押すことによって、ユーザ13は、医療処置中の任意の所望の時点で血圧読み取り値を取得することができる。自動応答性テストキー72は、ユーザ13が、医療処置中の任意の時点で患者18の応答性レベルを確認することを可能にする。例えば、自動応答性テストキー72を押すことにより、鎮静および鎮痛システム22は患者18に、センサ(図示せず)を強く握るか、または他の方法でその人に意識があることを示すことを要求する。印刷キー73は、医療処置に関連する任意の適切な履歴データ(例えば、モニタされる患者パラメータ、警報状態、薬剤注入レベル、または任意の他の適切なデータ等)をプリントアウトすることを含む。鎮静および鎮痛システム22は、事前に選択されたデータを所定の間隔で印刷することができるが、印刷キー72により、ユーザ13は、患者18および/または鎮静および鎮痛システム22に関連する任意の適切なデータの即時のプリントアウトを作成することができる。
【0027】
無菌リモートインタフェース50はさらに、鎮静および鎮痛システム22のユーザインタフェース12に関連する任意の機能を操作する手段を備えていてよく、無菌領域における臨床医による直接的な無菌アクセスが望ましい。本発明はさらに、警報コマンド60、薬剤コマンド61、および/またはstatコマンド62に関連するボタンを押したことを確認するようユーザ13に要求することを含む。
【0028】
無菌リモートインタフェース50は、例えばアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)等の任意の適切な材料から作ることができ、例えば電池等の任意の適切な電源によって動力を得ることができる。無菌リモートインタフェース50に関連するキーは、ハードボタン、ソフトボタン、タッチセンシティブLCDボタン、または任意の他の適切なデータ入力手段であってもよい。キーは、無菌リモートインタフェース50上に任意の適切な構成で、例えば任意の適切な形状、言語、色で、および/またはユーザ13に使い易さを与えるように提供されることができる。本発明はさらに、例えばRS−232接続(図示せず)等の有線接続を有する無菌リモートインタフェース50を備え、インタフェース50と有線接続は両方とも無菌スリーブに封入されてもよい。
【0029】
図7は、無菌カバー73の1実施形態を示し、無菌カバー73は鎮静および鎮痛システム22を覆うようになっていてもよい。本発明の1実施形態において、無菌カバー73はシート70を備え、シート70は、鎮静および鎮痛システム22のユーザインタフェース12および/または任意の他の適切な部分に掛けられることができる。無菌カバー73は、鎮静および鎮痛システム22を完全に封入するか、または無菌領域を汚染する可能性がある領域のみを覆うようになっていてもよい。無菌カバー73はさらに開放端71を備え、開放端71は、鎮静および鎮痛システム22にかぶせられて、ユーザ13が鎮静および鎮痛システム22を汚染しないこと、および鎮静および鎮痛システム22がユーザ13および/または患者18を汚染しないことを保証する。無菌カバー73はさらに、例えば薬剤注入ライン等の構成部品を通すことができる1つまたは複数の開口部72をシート70に備える。本発明の1実施形態において、無菌カバー73は、例えばポリプロピレンまたはポリエチレン等の透明または半透明材料から作られて、ユーザ13がシート70を通して鎮静および鎮痛システム22のユーザインタフェース12および/または他の特徴を閲覧および/または操作できるようにしてもよい。
【0030】
図8は、無菌領域を維持しながら鎮静および鎮痛システム22へのアクセスをユーザ13に与える方法100の1実施形態を示す。方法100のステップ101は、ユーザインタフェース12を有する鎮静および鎮痛システム22を提供することを含み、ユーザインタフェース12は、リモートインタフェース50、または鎮静および鎮痛システム22を閲覧および/または操作する任意の他の適切な手段であってもよい。ステップ101の後、方法100はステップ102に進むことができる。
【0031】
本発明の1実施形態において、ステップ102は、ユーザインタフェース12を無菌スクリーンに包むことを含み、無菌スクリーンは、無菌ユーザインタフェース40、無菌スリーブ52、無菌カバー73、または無菌領域における鎮静および鎮痛システム22の使用を可能にする任意の他の適切な手段であってもよい。ステップ102は、鎮静および鎮痛システム22に関連するいずれかまたは全ての特徴を覆うかまたは他の方法でそれが無菌であることを保証することをさらに含む。ステップ102の後、方法100はステップ103に進むことができる。
【0032】
本発明の1実施形態において、ステップ103は、ユーザ13が無菌領域において鎮静および鎮痛システム22を操作することを含む。鎮静および鎮痛システム22の使用は、ユーザインタフェース12、無菌リモートインタフェース50、または鎮静および鎮痛システム22を閲覧および/または操作する任意の他の適切な手段により実現してもよい。ステップ103の後、方法100はステップ104に進むことができる。
【0033】
ステップ104は、鎮静および鎮痛システム22を伴う処置を終了することを含み、ユーザ13は、患者インタフェース17、薬剤送出部19を取り外し、および/または任意選択的に鎮静および鎮痛システム22への電力を停止することができる。鎮静および鎮痛システム22を伴う処置の終了後、方法100はステップ105に進むことができる。
【0034】
本発明の1実施形態において、ステップ105は、無菌ユーザインタフェース40、無菌スリーブ52、無菌カバー73、または、ユーザ13が鎮静および鎮痛システム22を汚染しないこと、および鎮静および鎮痛システム22が患者18および/またはユーザ13を汚染しないことを保証するために提供された任意の他の適切な手段を廃棄することを含む。さらに、ユーザインタフェース40、無菌スリーブ52、無菌カバー73、および/または無菌であることを保証する他の手段は、適切な殺菌後に再利用してもよいことが考えられる。
【0035】
本発明の例示的な実施形態を本明細書に示し説明してきたが、かかる実施形態は例としてのみ提供されることは当業者には明らかであろう。本出願人により本明細書中に開示された本発明の範囲から逸脱しない多数の産業上の変形形態、変更、および置換は、当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、許可される特許請求項の精神および範囲によってのみ限定されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に結合されて、前記患者の少なくとも1つの生理的状態を反映する信号を生成するようになっている患者健康モニタデバイスと、
ユーザが入力を行うことを可能にするユーザインタフェースであって、前記ユーザインタフェースは、無菌領域において医療処置を行っている臨床医によって使用され、前記入力は、無菌状態を壊さずに行われる、ユーザインタフェースと、
1つまたは複数の薬剤を前記患者に供給する薬剤送出コントローラと、
前記患者健康モニタおよび前記薬剤送出コントローラ間で相互接続される電子コントローラであって、前記電子コントローラは前記少なくとも1つの生理的状態のパラメータを反映するデータセットを有し、前記信号を受信し、それに応答して、前記パラメータに従って前記薬剤の投与を管理する、電子コントローラと
を備える鎮静および鎮痛システム。
【請求項2】
患者に結合されて、前記患者の少なくとも1つの生理的状態を反映する信号を生成するようになっている患者健康モニタデバイスと、
ユーザが入力を行うことを可能にするユーザインタフェースであって、前記ユーザインタフェースはリモートインタフェースおよび無菌スリーブを備え、前記入力は、無菌状態を壊さずに行われる、ユーザインタフェースと、
1つまたは複数の薬剤を前記患者に供給する薬剤送出コントローラと、
前記患者健康モニタおよび前記薬剤送出コントローラ間で相互接続される電子コントローラであって、前記電子コントローラは前記少なくとも1つの生理的状態のパラメータを反映するデータセットを有し、前記信号を受信し、それに応答して、前記パラメータに従って前記薬剤の投与を管理する、電子コントローラと
を備える鎮静および鎮痛システム。
【請求項3】
前記無菌スリーブは透明であり、周囲にシールを備えて内部にポケットを形成するようになっている請求項2に記載の鎮静および鎮痛システム。
【請求項4】
前記リモートインタフェースは、警報コマンド、薬剤コマンド、statコマンド、およびデータ入力および操作コマンドのうちの少なくとも1つを備える請求項3に記載の鎮静および鎮痛システム。
【請求項5】
前記スリーブは、医療処置の終了後に取り外されて廃棄される請求項3に記載の鎮静および鎮痛システム。
【請求項6】
鎮静および鎮痛システムであって、
患者に結合されて、前記患者の少なくとも1つの生理的状態を反映する信号を生成するようになっている患者健康モニタデバイスと、
ユーザが入力を行うことを可能にするユーザインタフェースであって、前記ユーザインタフェースは、前記鎮静および鎮痛システムの適切な部分を覆って、前記ユーザおよび前記患者に接触することによる汚染の可能性を防ぐようにすることができる無菌シートを備え、前記入力は、無菌状態を壊さずに行われる、ユーザインタフェースと、
1つまたは複数の薬剤を前記患者に供給する薬剤送出コントローラと、
前記患者健康モニタおよび前記薬剤送出コントローラ間で相互接続される電子コントローラであって、前記電子コントローラは前記少なくとも1つの生理的状態のパラメータを反映するデータセットを有し、前記信号を受信し、それに応答して、前記パラメータに従って前記薬剤の投与を管理する、電子コントローラと
を備える鎮静および鎮痛システム。
【請求項7】
前記無菌シートは、前記鎮静および鎮痛システムを完全に封入する請求項6に記載の鎮静および鎮痛システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−94541(P2010−94541A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−17152(P2010−17152)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【分割の表示】特願2004−505106(P2004−505106)の分割
【原出願日】平成15年5月16日(2003.5.16)
【出願人】(502451904)スコット・ラボラトリーズ・インコーポレイテッド (16)
【氏名又は名称原語表記】SCOTT LABORATORIES, INC.
【住所又は居所原語表記】2804 N. Loop 289, Lubbock, Texas 79415, United States of America
【Fターム(参考)】