説明

長尺物品吊上袋

【課題】電線に電線防護管のような長尺物品を設置する場合などの電線近傍での長尺物品取り扱い作業時に、電線に長尺物品が接触することを防止する、長尺物品吊上袋を提供する。
【解決手段】電線保守作業を行う場合に使用する複数の長尺物品の上部を保持する上部袋11と、長尺物品の下部を保持する下部袋12と、上部袋11と下部袋12の間に空間を設けて上部袋11と下部袋12を繋ぐための繋ぎ部材と、上部袋11と下部袋12を吊上げるための中間ロープ16と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線の保守作業を行う場合に使用する複数の長尺物品を収納した収納袋から長尺物品を抜き出す際に、抜き出そうとした長尺物品が、電線に接触することを防止できる、長尺物品吊上袋に関する。
【背景技術】
【0002】
図16に示すように、従来、電線720に電線防護管710を設置する場合は、長尺物品である電線防護管710を防護管袋711に収納し、吊具712により、防護管袋711を吊上げて、電線720近くの作業位置まで持ち上げ、防護管袋711から電線防護管710を取り出し、電線720に設置していた。
【0003】
ところが、防護管袋711は全体が一体の長い筒状で、電線防護管710を防護管袋711から取り出す時には、防護管袋711から電線防護管710全体が防護管袋711上部から出るまで上方向X10へ大きく抜き出す必要がある。また、抜き出し作業の場所の上部には電線720が設置されており、電線防護管710が電線720に接触する恐れがあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、電線の保守作業を行う場合に使用する複数の長尺物品を収納した収納袋から長尺物品を抜き出す際に、抜き出そうとした長尺物品が電線に接触するのを防止できる長尺物品吊上袋の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の目的を達成するために、本発明は、以下のような長尺物品吊上袋を提供する。
【0006】
(1) 電線保守作業を行う場合に使用する複数の長尺物品を吊り上げる長尺物品吊上袋であって、前記複数の長尺物品の上部を、前記複数の長尺物品のそれぞれが自在に上下に移動可能なように、保持する中空円筒形を形成する上部袋と、前記複数の長尺物品の下部の保持が充分に確保可能な高さを有し、底を有する下部袋であって前記複数の長尺物品の下部の保持と前記複数の長尺物品のそれぞれを上方向へ抜き出し可能とする中空円筒形を形成する下部袋と、前記上部袋と前記下部袋との間に空間を設け、該空間から前記複数の長尺物品のそれぞれを抜き出すことが可能なように前記上部袋と前記下部袋とを繋ぐ繋ぎ部材と、を備えることを特徴とする長尺物品吊上袋。
【0007】
(1)に記載の発明によれば、前記長尺物品吊上袋は、複数の長尺物品の上部が自在に上下移動可能な中空円筒形を形成する前記上部袋と、複数の長尺物品の下部の保持と複数の長尺物品の上方向への抜き出しを可能とする中空円筒形を形成する前記下部袋と、を備える。また、前記収納袋の上部と下部の間の筒状の胴部に空間を設け、その設けた空間と、前記上部袋と、前記下部袋と、の構成により長尺物品の空間から長尺物品の抜き出しを可能としたことにより、前記長尺物品を取り出す時の前記収納袋からの抜き取り代を少なくし長尺物品を抜き出す際、大きく上へ抜き出す必要がなくなり、作業場所上部の電線に抜き出そうとする長尺物品が接触することを防止できる。
【0008】
(2) (1)記載の長尺物品吊上袋において、前記繋ぎ部材は、前記上部袋と前記下部袋との間の長さを調整可能とする機構を有することを特徴とする長尺物品吊上袋。
【0009】
(2)に記載の発明によれば、前記上部袋と前記下部袋の間の空間の長さを調整できることにより、前記長尺物品吊上袋に収納する長尺物品の長さに応じた、適切な前記上部袋と前記下部袋の間の空間の長さの設定が可能となる。下部袋と上部袋を繋ぐ繋ぎ部材は、たとえば、非電導性部材のロープと、ベルトと、巻取ドラムと、吊金具と、中間袋と、を使用することができる。
【0010】
(3) (1)または(2)記載の長尺物品吊上袋において、前記複数の長尺物品を複数の長尺物品郡に仕切る間仕切りであって前記下部袋の内側を仕切る間仕切を有することを特徴とする長尺物品吊上袋。
【0011】
(3)に記載の発明によれば、前記下部袋の内側に間仕切を設置することにより、前記下部袋内に収納される前記長尺物品の下部同士の干渉が少なくなり、収納した前記長尺物品を取り出す時の前記長尺物品の下部の引っ掛かりを防止することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電線の保守作業を行う場合に長尺物品を収納した長尺物品吊上袋から長尺物品を抜き出す際、抜き出そうとする長尺物品が、電線に接触することを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る上部袋と下部袋を繋ぐ繋ぎ部材として中間ロープを使用し、電線防護管のような長尺物品を抜き出す時の防護管袋からの抜き出し量を少なくし、高所作業場所近傍の電線に電線防護管のような長尺物品が接触することを防止できる、長尺物品吊上袋の実施形態を示す斜視図である。
図2は、図1で記載をしている、吊上ロープの上部袋の取り付け部と、中間ロープの上部袋の取り付け部を示す斜視図である。
図3は、図1で記載をしている、中間ロープの下部袋の取り付け部を示す斜視図である。
図4は、図1の長尺物品吊上袋の使用例を示す斜視図である。
図5は、図1で記載の中間ロープに変えて、上部袋と下部袋をベルトにより繋ぐことにより、長尺物品吊上袋の長さを調整することができる、長尺物品吊上袋の実施形態を示す斜視図である。
図6は図5で記載をしている、上部袋と下部袋を繋ぐベルトを結ぶベルト金具の詳細斜視図である。
図7は、図1での中間ロープに変えて、上部袋と下部袋を巻取ドラムにより繋ぐことにより、長尺物品吊上袋の長さを調整することができる、長尺物品吊上袋の実施形態を示す斜視図である。
図8は図7で記載をしている、巻取ドラムの詳細斜視図である。
図9は、図7で記載をしている、吊下用ワイヤーと、下部袋の取り付け部を示す斜視図である。
図10は図1での中間ロープに変えて、上部袋と下部袋を吊金具により繋ぐことにより、長尺物品吊上袋の長さを調整することができる、長尺物品吊上袋の実施形態を示す斜視図である。
図11は図10で記載をしている、吊上ロープの上部袋の取り付け部を示す斜視図である。
図12は図10で記載をしている、上部袋と下部袋を下部ロープで繋ぐ、吊金具の詳細斜視図である。
図13は、図10で記載をしている、下部ロープと下部袋の取り付け部を示す斜視図である。
図14は、図1での中間ロープに変えて、繋ぎ部材を中間袋にした長尺物品吊上袋の実施形態を示す斜視図である。
図15は、図14で記載をしている、回転ドラムの詳細斜視図である。
図16は、図14で記載をしている、中間袋の部分斜視図及び断面図である。
図17は、図14で記載をしている、吊上ロープの下部袋への取り付け部を示す斜視図及び断面図である。
図18は、図1と、図5と、図7と、図10と、図14と、で記載をしている下部袋に間仕切りを設置することにより、下部袋内に収納される、電線防護管のような長尺物品同士の干渉が少なくなり、収納される長尺物品を取り出す時の長尺物品下部の引っ掛かりを防止することができる長尺物品吊上袋の実施形態を示す斜視図である。
図19は図18で記載をしている、下部袋の間仕切りの詳細斜視図である。
【0014】
図1に示すように、長尺物品吊上袋1は、上部袋11と、下部袋12と、繋ぎ部材である複数の中間ロープ16とを備える。複数の中間ロープ16は、上部袋11と下部袋12とを繋ぐ繋ぎ部材として作用する。さらに長尺物品吊上袋1は上部袋11を吊上げる吊上ロープ15を備える。複数の中間ロープ16のそれぞれは、この一方及び他方にそれぞれ係止手段116及び118が形成されている。
【0015】
上部袋11は、上部及び下部が開口している中空円筒形を形成している。上部袋11は、帆布製のような非電導性部材で形成されていることが好ましい。上部袋11の上部袋径dは、作業に必要な複数の長尺物品(例えば、図4に示す電線防護管14)の保持が充分に確保可能な開口径を有し、好ましくは、約60cmである。上部袋11の上部袋高hは、作業に必要な複数の長尺物品の保持が充分に確保可能な高さを有し、好ましくは、約35cmである。
【0016】
上部袋11の上部には、金属性の円環117が備えられている。円環117には、吊上ロープ15の両端にそれぞれ形成された係止手段120が係止する。円環117は、例えば、吊上げる電線防護管14のような長尺物品による荷重に充分耐え得る円環径を有する。円環117は、作業に必要な複数の長尺物品の保持が充分に確保できる開口径を有している。円環117の開口径は好ましくは約60cmである。
【0017】
上部袋11の上端には、クレーンのフック13で吊上ロープ15を吊上げる際に安定して吊上げ可能なように円環117の円周距離に対して均等になるように設置する二つの穴部119が形成される。
【0018】
上部袋11の下端には金属製の円環117が形成されている。また、上部袋11の下端には、円環117の円周距離に対して均等になるように係止手段116を通す三つの穴部115を備える。穴部115が円環117の円周距離に対して均等になる位置に形成されているので、上部袋11の下端に下部袋12を吊り下げても、安定して下部袋12を吊り下げることができる。
【0019】
より具体的には、図2に示すように、上部袋11に係合される吊上ロープ15は、上部袋11の上部の穴部119を介し、係止手段120により、上部袋11の上端の円環117に係合されている。同様に、上部袋11に係合される中間ロープ16は、上部袋11の下部の穴部115を介し、係止手段116により、上部袋11の下端の円環117に係合されている。
【0020】
図1に示すように、下部袋12は、底17を備えた中空円筒形を形成する。下部袋12は、非電導性部材、例えば帆布製で形成されていることが好ましい。下部袋12の下部袋径Dは、作業に必要な複数の長尺物品の保持が充分に確保可能な開口径を有し、好ましくは、約60cmである。下部袋12の下部袋高Hは、作業に必要な複数の長尺物品の保持が充分に確保可能な高さを有し、約40cmから50cmの範囲内にあることが好ましい。
【0021】
下部袋12の上端には、中間ロープ16の係止手段118が係止する金属性の円環124が形成されている。円環124は、吊上げる電線防護管14のような長尺物品による荷重に充分耐え得る円環径を有する。
【0022】
円環124は、作業に必要な複数の長尺物品の保持が充分に確保できる開口径を有する。円環124の開口径は好ましくは約60cmである。
【0023】
下部袋12には、下部袋12が中間ロープ16によって安定して吊り下げられるように、円環124の円周距離に対して均等となる位置に係止手段118が係止される三つの穴部123が形成されている。
【0024】
図3に示すように、下部袋12に係合される中間ロープ16は、下部袋12の上部の穴部123を介し、係止手段118により、下部袋12の上端の円環124に係合されている。
【0025】
以上の長尺物品吊上袋1は、以下のようにして用いられる。
【0026】
図4(a)に示すように、まず、長尺物品吊上袋1に収納された、電線防護管14のような長尺物品を下部袋12から下部袋高Hを越す分だけ上方向X1へ抜き出す。
【0027】
長尺物品を下部袋12から抜き出す高さは、下部袋高H分を少し越すだけでよく、従来の抜き出し高さが収納袋全長分の抜き出し高さが必要なことと比べて長尺物品が上部袋から抜き出す高さを大幅に少なくできる。
【0028】
つぎに、図4(b)に示すように、電線防護管14のような長尺物品を下部袋12から下方向X2へ抜き出し、上部袋11から電線防護管14のような長尺物品の上部を抜き取る。
【0029】
最後に、図4(c)に示すように、電線防護管14のような長尺物品を上方向X3へ引き抜けば、電線防護管14のような長尺物品は、長尺物品吊上袋1からの取り出しが可能となる。
【0030】
図5に示すように、長尺物品吊上袋2は長尺物品吊上袋1と同じ上部袋21と、下部袋22とを備える。さらに、長尺物品吊上袋2は吊上ロープ25を備える。
【0031】
長尺物品吊上袋2は、上部袋21と下部袋22とを繋ぐ繋ぎ部材として、3つのベルト23を備える。3つのベルト23のそれぞれは、上部袋21に設置された上部ベルト231と、下部袋22に設置された下部ベルト232と、調節バックル233と、を備える。
【0032】
3つの上部ベルト231は、それぞれ、下部袋22を安定して吊り下げられるように上部袋21の円周距離に対して上部袋21の下部外側面に均等になるように形成された三本の帯状で形成されている。
【0033】
下部ベルト232は、下部袋22の円周距離に対して下部袋22の上部外側面に均等になるように形成されている。上部ベルト231及び下部ベルト232は、いずれも、化学繊維で織られていることが好ましい。
【0034】
図6に示すように、調節バックル233は、方形環状に形成された金属性のベルト金具輪234と、下部ベルト232の上端が縫合されベルト金具輪234の縦方向自在に動くように遊挿状態で挿入されている金属性のベルト金具軸235と、を備える。
【0035】
上部袋21と下部袋22を繋ぐ場合は、上部ベルト231の自由端の舌状側236をベルト金具輪234のa方向に通し、更にベルト金具軸235を乗り越え、b方向に通す。
【0036】
ベルト長23dが、長尺物品吊上袋に長尺物品を収納する際に、収納する長尺物品に適切な長さになった状態で、ベルト金具軸235を下部に押し下げ固定する。
【0037】
以上の操作により、長尺物品吊上袋2の、上部袋21と下部袋22の間の長さであるベルト長lの調整と固定が可能となる。
【0038】
図7に示すように、長尺物品吊上袋3は、前記長尺物品吊上袋1と同じ上部袋31と、下部袋32を備える。さらに、長尺物品吊上袋3は吊上ロープ35を備える。
【0039】
長尺物品吊上袋3は、上部袋31と下部袋32を繋ぐ繋ぎ部材として、3つの巻取ドラム34を備える。上部袋31は、吊上げる長尺物品による荷重に充分耐え得る厚さを有する非電導性部材、例えば塩化ビニル樹脂で形成されていることが好ましい。
【0040】
3つの巻取ドラム34のそれぞれは、下部袋32を安定して吊り下げられるように上部袋31の円周距離に対して、上部袋31の下部内側面に均等になるように設置される。
【0041】
巻取ドラム34は、上部袋31の内側かつ下部に取り付けられている。巻取ドラム34は吊下用ワイヤー341を巻き取るためのドラム本体を備えている。巻取ドラム34は、吊下用ワイヤー341で吊り下げる荷重により発生する応力に充分耐え得る直径を有する鋼製で円筒状のドラム343と、ドラム343の両端に鋼製のフランジ348と、を備える。
【0042】
巻取ドラム34は、L型板状のドラム取付金具344と、ドラム343の中心に設置された回転軸345と、を備える。なお、L型板状のドラム取付金具344は吊り下げる荷重により発生する応力に充分耐え得る厚さを有する非電導性部材、例えば塩化ビニル樹脂で形成されていることが好ましい。
【0043】
巻取ドラム34は、下部袋32を吊り下げる吊下用ワイヤー341と、ドラム取付金具344を巻取ドラム34で吊り下げる荷重により発生する応力に充分耐え得る直径を有する鋼製のボルト347と、鋼製のナット349と、を備える。
【0044】
巻取ドラム34は、ボルト347を設置する穴部346と下部袋32を係合する係止手段342を備える。
【0045】
ドラム取付金具344は、L型の上部袋31側面設置側に穴部346を形成し、この穴部346を介しボルト347とナット349で上部袋31に螺合されている。
【0046】
なお、巻取ドラム34は、常に、下部袋32を巻き上げる程度の回転力を巻取ドラムに作用させる巻取機構を備えている。具体的には、巻取ドラム34は、回転自在で吊下用ワイヤー341を巻き付けて収納するコードリールと、コードリールの回転中心に配される回転軸345と、吊下用ワイヤー341を巻き取る方向に付勢するゼンマイバネとを備えている。これにより、巻取ドラム34は、巻き取り機構を有し、吊下用ワイヤー341の巻き取りを可能とする。
【0047】
下部袋32の上部には、吊下用ワイヤー341により安定して下部袋が吊り下げ可能なように係止手段321が設置できるように円環324の円周距離に対して均等になるように3つの穴部322が形成される。
【0048】
図9に示すように、吊下用ワイヤー341は、係止手段321を介して下部袋32の上部に係合されている。より具体的には、吊下用ワイヤー341の下端部には、係止手段321と係合可能なリング状の係止手段342を形成している。下部袋32の上部には、穴部322が形成されており、下部袋32の上部から円環324の一部が露出している。この円環324の一部に係合した係止手段321が、吊下用ワイヤー341の下端部に形成された係止手段342に係合されている。
【0049】
図10に示すように、長尺物品吊上袋4は前記長尺物品吊上袋1と同じ上部袋41と、下部袋42とを備える。さらに、長尺物品吊上袋4は、吊上ロープ45を備える。長尺物品吊上袋4は、上部袋41と下部袋42を繋ぐ繋ぎ部材として、吊金具44を備える。
【0050】
上部袋41には、係止手段443で安定して下部袋42が吊り下げ可能なように係止手段443が設置できるように円環425の円周距離に対して均等になるように三つの穴部444が形成される。
【0051】
図11に示すように、吊上ロープ45は、係止手段413と設置用穴415とを介して吊金具44に係合される。
【0052】
図12に示すように、吊金具44は、上部袋41に設置された係止手段443と、吊金具環441と、を備える。吊金具44は、方形環状に形成された金属性の吊金具環441と吊金具環441の長手方向に自在に動くように遊挿状態で挿入されている金属性の吊金具軸442を備える。
【0053】
上部袋41と下部袋42を繋ぐ場合は、下部ロープ421の自由端を吊金具環441のa方向に通し、更に吊金具軸442をb方向に乗り越え、さらに、吊金具環441の下をc方向に通す。
【0054】
さらに、吊金具軸442の下d方向に通し、吊金具環441を乗り越え通す。長尺物品吊上袋4に長尺物品を収納する際に、ロープ長lが収納する長尺物品に対して適切な長さになった状態で、吊金具軸442を下部e方向に押し下げ下部ロープ421を固定する。
【0055】
図13に示すように、下部ロープ421は、下部ロープ421下端の係止手段423設置用穴部424を介し、上部袋41の吊金具44に係合される
【0056】
以上の操作により、長尺物品吊上袋4の、上部袋41と下部袋42の間の長さであるロープ長lの調整と固定が可能となる。
【0057】
図14に示すように、長尺物品吊上袋5は、前記長尺物品吊上袋1と同じ上部袋51と、下部袋52を備える。さらに、長尺物品吊上袋5は吊上ロープ45を備える。
【0058】
長尺物品吊上袋5は、上部袋51と下部袋52とを繋ぐ繋ぎ部材として、中間袋57を備える。
【0059】
長尺物品吊上袋5は、3つの回転ドラム54を備える。上部袋51は、吊上げる長尺物品による荷重に充分耐え得る厚さを有する非電導性部材、例えば塩化ビニル樹脂で形成されていることが好ましい。
【0060】
3つの回転ドラム54のそれぞれは、下部袋52を安定して吊り下げられるように上部袋51の円周距離に対して、上部袋51の下部内側面に均等になるように設置される。
【0061】
図15に示すように、回転ドラム54は、上部袋51の内側かつ下部に取り付けられている。回転ドラム54は吊下ワイヤー541を回転支持するドラム本体を備えている。回転ドラム54は、吊下ワイヤー541で吊り下げる荷重により発生する応力に充分耐え得る直径を有する鋼製で円筒状のドラム543と、ドラム543の両端に鋼製のフランジ548と、を備える。
【0062】
回転ドラム54は、L型板状のドラム取付金具544と、ドラム543の中心に設置された回転軸545と、を備える。なお、L型板状のドラム取付金具544は吊り下げる荷重により発生する応力に充分耐え得る厚さを有する非電導性部材、例えば塩化ビニル樹脂で形成されていることが好ましい。
【0063】
回転ドラム54は、下部袋52を吊り下げる吊下ワイヤー541と、ドラム取付金具544を回転ドラム54で吊り下げる荷重により発生する応力に充分耐え得る直径を有する鋼製のボルト547と、鋼製のナット549と、を備える。
【0064】
回転ドラム54は、ボルト547を設置する穴部546と中間袋57を係合する係止手段542を備える。
【0065】
ドラム取付金具544は、L型の上部袋51側面設置側に穴部546を形成し、この穴部546を介しボルト547とナット549で上部袋51に螺合されている。
【0066】
図16に示すように、中間袋57は、吊下ワイヤー541を係止する穴部533と、531と、532と、吊下ワイヤー541を中間袋57に固定するUボルト56と、Uボルト56を通す穴部533と、534と、Uボルト56を中間袋57に螺合するナット561と、562と、を備える。
【0067】
中間袋57は、上部袋51と下部袋52との間に設置され、収納される複数の長尺物品の長尺物品吊上袋5の側面からの落下を防止する。中間袋57の開口径は、作業に必要な複数の長尺物品の保持が充分に確保可能な開口径を有し、上部袋51の上部袋径dと同じく約60cmが好ましい。
【0068】
なお、中間袋57は、穴部531と532とに、吊下ワイヤー541が通され、この吊下ワイヤー541の中間袋57への固定位置により中間袋57と上部袋51との間のロープ長l1及び中間袋57と上部袋51との間のロープ長l2の調整が可能となる。
【0069】
図17に示すように、下部袋52の上部には、吊下ワイヤー541により安定して下部袋が吊り下げ可能なように吊下ワイヤー541が設置できるように円環524の円周距離に対して均等になるように3つの穴部522が形成される。
【0070】
吊下ワイヤー541は、Uボルト55と、ワイヤー止金具550とを介して下部袋52の上部に係合されている。より具体的には、吊下ワイヤー541の下端部には、ワイヤー止金具550が形成され、ワイヤー止金具550の両端にはUボルト55用穴部552、552が形成され、Uボルト55にナット551、551により螺合されることにより吊下ワイヤー541がUボルト55とワイヤー止金具550の間に挟み込まれ固定される。下部袋52の上部には、穴部522が形成されており、下部袋52の上部から円環524の一部が露出している。この円環524の一部に吊下用ワイヤー341が係合されている。
【0071】
吊下ワイヤー541は、Uボルト55と、ワイヤー止金具550とを介して下部袋52の上部に係合されているため、Uボルト55を螺合しているナット551、551を緩めて吊下ワイヤー541のUボルト55による固定位置を変え、再度Uボルト55をナット551、551により螺合、固定することにより、長尺物品吊上袋5の上部袋51と下部袋52との間の長さであるロープ長Lの長さ調整が可能となる。
【0072】
図18に示すように、長尺物品吊上袋6は、前記長尺物品吊上袋1から長尺物品吊上袋5までの実施形態の下部袋12と、下部袋22と、下部袋32と、下部袋42と、下部袋52と、に帆布製の間仕切61を備える。
【0073】
図19に示すように、間仕切61は、下部袋12と、下部袋22と、下部袋32と、下部袋42と、下部袋52と、の円環124と、円環324と、円環425と、円環524と、のそれぞれの円周距離に対して均等になるように、三つの仕切り空間を形成している。これにより、間仕切61は、長尺物品吊上袋に電線防護管14のような長尺物品を収納する時、下部袋12、22、32、42、52の内で長尺物品が数均等に収納できるようにしている。
【0074】
間仕切61は、間仕切611と、間仕切612と、間仕切613とを有し、下部袋12と、下部袋22と、下部袋32と、下部袋42と、下部袋52と、の内側面に壁状に互いの収納物が分離できるように縫合される。なお、間仕切61の部材は非電導性部材、例えば帆布製が好ましい。
【0075】
間仕切61の形成により、長尺物品吊上袋の下部袋12と、下部袋22と、下部袋32と、下部袋42と、下部袋52と、の中に電線防護管14のような長尺物品を数均等に分割して収納することが可能となり、電線防護管14のような長尺物品を長尺物品吊上袋から引き抜く時に引き抜こうとする長尺物品下部の他の長尺物品下部への引っ掛かり干渉の防止が可能となる。
【0076】
以上本発明の実施形態を説明したが、上部袋と下部袋の部材の材質、繋ぎ部材の種類、長さ調整部材の具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定しない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載された効果に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明に係る長尺物品吊上袋の上部袋と下部袋を繋ぐ繋ぎ部材に中間ロープを使用した長尺物品吊上袋1の実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る図1で記載をしている、吊上ロープ及び中間ロープの上部袋への取り付け部を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る図1で記載をしている、中間ロープの下部袋の取り付け部を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る図1の長尺物品吊上袋の使用例を示す斜視図である。
【図5】本発明に係る図1での中間ロープに変えて、繋ぎ部材をベルトにした長尺物品吊上袋の実施形態を示す斜視図である。
【図6】本発明に係る図5で記載をしている、上部袋と下部袋を繋ぐベルトを結ぶベルト金具の詳細斜視図である。
【図7】本発明に係る図1での中間ロープに変えて、繋ぎ部材を巻取ドラムにした長尺物品吊上袋の実施形態を示す斜視図である。
【図8】本発明に係る図7で記載をしている、巻取ドラムの詳細斜視図である。
【図9】本発明に係る図7で記載をしている、吊下用ワイヤーの下部袋の取り付け部を示す斜視図である。
【図10】本発明に係る図1での中間ロープに変えて、繋ぎ部材を吊金具にした長尺物品吊上袋の実施形態を示す斜視図である。
【図11】本発明に係る図10で記載をしている、吊上ロープの上部袋への取り付け部を示す斜視図である。
【図12】本発明に係る図10で記載をしている、吊金具の詳細斜視図である。
【図13】本発明に係る図10で記載をしている、下部ロープの下部袋への取り付け部を示す斜視図である。
【図14】本発明に係る図1での中間ロープに変えて、繋ぎ部材を中間袋にした長尺物品吊上袋の実施形態を示す斜視図である。
【図15】本発明に係る図14で記載をしている、回転ドラムの詳細斜視図である。
【図16】本発明に係る図14で記載をしている、中間袋の部分斜視図及び断面図である。
【図17】本発明に係る図14で記載をしている、吊上ロープの下部袋への取り付け部を示す斜視図及び断面図である。
【図18】本発明に係る図1と、図5と、図7と、図10と、図14で記載をしている下部袋に、間仕切りを設置した長尺物品吊上袋の実施形態を示す斜視図である。
【図19】本発明に係る図18で記載をしている、下部袋の間仕切りの詳細斜視図である。
【図20】本発明に係る従来技術を説明する斜視図である。
【符号の説明】
【0078】
1 長尺物品吊上袋1
11 上部袋
115 穴部
116 係止手段
117 円環
118 係止手段
119 穴部
12 下部袋
120 係止手段
123 穴部
124 円環
13 フック
14 電線防護管
15 吊上ロープ
16 中間ロープ
17 底
2 長尺物品吊上袋2
21 上部袋
213 円環
214 係止手段
215 穴部
22 下部袋
23 ベルト
25 吊上ロープ
231 上部ベルト
232 下部ベルト
233 調節バックル
234 ベルト金具輪
235 ベルト金具軸
236 自由端の舌状側
3 長尺物品吊上袋3
31 上部袋
311 円環
313 係止手段
314 穴部
32 下部袋
321 係止手段
322 穴部
324 円環
33 フック
34 巻取ドラム
341 吊下ワイヤー
342 係止手段
343 ドラム
344 ドラム取付金具
345 回転軸
346 穴部
347 ボルト
348 フランジ
349 ナット
35 吊上ロープ
4 長尺物品吊上袋4
41 上部袋
413 係止手段
415 穴部
416 円環
42 下部袋
421 下部ロープ
424 穴部
425 円環
43 フック
44 吊金具
45 吊上ロープ
441 吊金具環
442 吊金具軸
443 係止手段
444 穴部
5 長尺物品吊上袋5
51 上部袋
52 下部袋
522 穴部
524 円環
53 フック
531 穴部
532 穴部
533 穴部
534 穴部
54 回転ドラム
55 Uボルト
550 ワイヤー止金具
551 ナット
552 穴部
56 Uボルト
561 ナット
562 ナット
57 中間袋
541 吊下ワイヤー
542 係止手段
543 ドラム
544 ドラム取付金具
545 回転軸
546 穴部
547 ボルト
548 フランジ
549 ナット
6 長尺物品吊上袋6
61 間仕切
611 間仕切
612 間仕切
613 間仕切
710 電線防護管
711 防護管袋
712 吊具
720 電線
d 上部袋径
h 上部袋高
l ロープ長
l1 ロープ長
l2 ロープ長
D 下部袋径
H 下部袋高
L ロープ長

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線保守作業を行う場合に使用する複数の長尺物品を吊り上げる長尺物品吊上袋であって、
前記複数の長尺物品の上部を、前記複数の長尺物品のそれぞれが自在に上下に移動可能なように、保持する中空円筒形を形成する上部袋と、
前記複数の長尺物品の下部の保持が充分に確保可能な高さを有し、底を有する下部袋であって前記複数の長尺物品の下部の保持と前記複数の長尺物品のそれぞれを上方向へ抜き出し可能とする中空円筒形を形成する下部袋と、
前記上部袋と前記下部袋との間に空間を設け、該空間から前記複数の長尺物品のそれぞれを抜き出すことが可能なように前記上部袋と前記下部袋とを繋ぐ繋ぎ部材と、を備えることを特徴とする長尺物品吊上袋。
【請求項2】
請求項1記載の長尺物品吊上袋において、
前記繋ぎ部材は、前記上部袋と前記下部袋との間の長さを調整可能とする機構を有することを特徴とする長尺物品吊上袋。
【請求項3】
請求項1または2記載の長尺物品吊上袋において、
前記複数の長尺物品を複数の長尺物品郡に仕切る間仕切りであって前記下部袋の内側を仕切る間仕切を有することを特徴とする長尺物品吊上袋。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate


【公開番号】特開2009−84031(P2009−84031A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−259186(P2007−259186)
【出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】