説明

門扉構造

【課題】意匠性に優れ見栄えを損なうことなく死角を効果的に無くすことができると共に、出入の際に妨げとならず人の怪我や車の傷付き等の原因が生じることのない死角解消手段を備えた門扉構造を提供する。
【解決手段】敷地間口の空間を隔てて立設される左右一対の支柱12,14と、前記支柱12,14間に形成される出入口Eを開閉する門扉16とを有する門扉構造10であって、前記支柱12,14には、前記門扉16の上端よりも上方へと突出した突出部22が設けられると共に、前記支柱12,14のうち少なくとも一方における前記突出部22には、前記突出部22同士が互いに対面する内側表面に、平面広角ミラーMが高さ調整可能に添着されていることを特徴とする門扉構造10である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅等の敷地間口等に設置される門扉構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、住宅等における敷地の境界には外構が設けられているが、この外構の一部として、例えば駐車スペースへの出入口や玄関口などになる敷地間口には、左右一対の支柱と、当該支柱間に形成される出入口を開閉する門扉とで構成された門扉構造が設けられている。
【0003】
ここで、都市部においては、車一台程度がやっと収まる幅の駐車スペースしか確保できない場合が多々あるが、このような狭小な駐車スペースの出入口に門扉構造を設けた場合、駐車スペースから車を出し入れする際に死角が多くなり不安全な状態となり易い。このため、駐車スペースへの車の出し入れを慎重に行わなければならず、車の出し入れに時間がかかると共に、その際の運転にかなり神経を使わなければならなかった。
【0004】
そこで、係る問題を解消すべく、従来の門扉構造(より具体的には支柱)に、特許文献1に記載されたような取付け具を用い、凸面鏡からなる鏡体の反射により直接見えない所を見通し得るようにした安全確認ミラーを取り付ける技術が知られている。このような安全確認ミラーを用いれば、駐車スペース出入口の死角をなくして、車の出し入れを安全且つスピーディにすることができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】登録実用新案第3007002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のような安全確認ミラーを門扉構造に後付けした場合、当該ミラーの出っ張りで門扉構造全体の見栄えが悪くなるのみならず、このような出っ張りの分だけ駐車スペースの出入口が狭くなって車の出し入れに不便を来たすようになると云う問題があった。更に、出入口近傍で出っ張った安全確認ミラーに人や車がぶつかって、(人が)怪我をしたり(車やミラーが)傷付いたりするようになると云う問題もあった。
【0007】
それゆえに、本発明の主たる課題は、意匠性に優れ見栄えを損なうことなく死角を効果的に無くすことができると共に、出入の際に妨げとならず人の怪我や車の傷付き等の原因が生じることのない死角解消手段を備えた門扉構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
「請求項1」に記載した発明は、
(a)敷地間口の空間を隔てて立設される左右一対の支柱12,14と、前記支柱12,14間に形成される出入口Eを開閉する門扉16とを有する門扉構造10であって、
(b)前記支柱12,14には、前記門扉16の上端よりも上方へと突出した突出部22が設けられると共に、
(c)前記支柱12,14のうち少なくとも一方における前記突出部22には、前記突出部22同士が互いに対面する内側表面に、平面広角ミラーMが高さ調整可能にて添着されている
(d)ことを特徴とする門扉構造10、である。
【0009】
この発明では、支柱12,14の突出部22の内側表面に平面広角ミラーMが、高さ調整可能にて添着されているので、支柱12,14間に形成された出入口Eを通過する際の視線の高さに合わせて平面広角ミラーMの設置高さを調整することができ、出入口Eを通過する際の死角をより確実に解消することができる。
【0010】
また、死角解消手段である平面広角ミラーMは、支柱12,14における突出部22の内側表面に添着されている、つまり、平面広角ミラーMが支柱12,14の表面から不必要に出っ張るのが抑えられているので、門扉構造10の見栄えを損なうことがなく、又、人や車などが不所望にこの平面広角ミラーMに触れて怪我したり傷付いたりするのを防止することができる。特に、「請求項2」に記載したように「前記支柱12,14の突出部22における内側表面の幅方向両端部には、前記平面広角ミラーMの左右両辺部がそれぞれ嵌め込まれ、該平面広角ミラーMの上下移動を案内するL字条係止片24が設けられ」るようにすれば、平面広角ミラーMと支柱12,14とを一体化させることができるので、より一層意匠性に優れたものとなるのに加え、出入口Eを通過する人や車等のみならず平面広角ミラーM自体も人や車等がぶつかって破損しないように保護することができる。
【0011】
なお、本発明における「平面広角ミラー」とは、平面状でありながら凸面鏡のように広範囲(広角)の像を映し出すことができるミラー(鏡部材)のことを云い、その一例として、透明で且つ平坦なアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂と云ったプラスチックからなる平板或いはシートの一方の面にフレネルレンズ構造を形成し、当該面の表面に金属薄膜層を形成して得た物を挙げることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、意匠性に優れ見栄えを損なうことなく死角を効果的に無くすことができると共に、出入の際に妨げとならず人の怪我や車の傷付き等の原因が生じることのない死角解消手段を備えた門扉構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施例の門扉構造を示す正面図である。
【図2】本発明に用いられる支柱の一例を示す正面図である。
【図3】図2におけるA−A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を図示実施例に従って詳述する。図1は、本発明における一実施例の門扉構造10を示す正面図である。この図が示すように、本実施例の門扉構造10は、左右一対の支柱12,14、門扉16及び平面広角ミラーMで大略構成されている。
【0015】
支柱12,14は、敷地間口の空間を隔てて立設される左右一対の柱で、図1に示すように、戸当り側の支柱12と吊元側の支柱14との間には、敷地内への出入口Eが形成されている。
【0016】
本実施例では、図1〜3に示すように、この支柱12,14が、アルミニウム合金等の金属材料で形成された一組の中空長尺状の柱部材18と、同じくアルミニウム合金等の金属材料からなり、前記柱部材18同士が互いに平行するように当該柱部材18間に架設される複数(図2に示す例の場合3つ)の梁部材20とで構成されている。又、この支柱12,14は、その上部が門扉16の上端よりも上方へと突出して突出部22が形成されている。
【0017】
さらに、柱部材18を梁部材20で連結して構成された支柱12,14には、支柱12,14同士が対面する内側表面の幅方向両端部に、当該端部を形成する側壁が前方へと突出し、且つ中心に向けて曲成されたL字条係止片24が、長手方向(上下方向)全体に亘って設けられている。
【0018】
そして、このL字条係止片24のうち、突出部22に設けられた部分(溝部分)には、平面広角ミラーMの左右両辺部が上下方向にスライド可能な状態で嵌め込まれている。換言すれば、支柱12,14の突出部22の内側表面に平面広角ミラーMが、高さ調整可能に添着されている。
【0019】
平面広角ミラーMは、上述したように平面状でありながら凸面鏡のように広範囲(広角)の像を映し出すことができるミラーであり、本実施例では、透明で且つ平坦なアクリル樹脂からなる平板の一方の面にフレネルレンズ構造を形成し、この面の表面に金属薄膜層を形成した物を用いている。この平面広角ミラーMは、支柱12,14の幅と略等しい幅で形成されており、上述したように、その左右両辺部が突出部22のL字条係止片24内にスライド可能な状態で嵌め込まれている。本実施例においては、この平面広角ミラーMが、戸当り側の支柱12と吊元側の支柱14との両方に取り付けられている(図1参照)。
【0020】
なお、図2及び図3中の「符号26」は、L字条係止片24に沿って柱部材18の内側表面に設けられたスライド溝28内に装着され、平面広角ミラーMを所定の高さにて固定する「固定部材」であり、「符号30」は、この固定部材26の移動を制御する「調整ネジ」である。
【0021】
また、戸当り側の支柱12には、柱部材18間に架設された架橋部材32を介して戸当り34が取り付けられており(図2及び3参照)、吊元側の支柱14には、図示しない蝶番を介して門扉の一方の側端部が連結されている。
【0022】
門扉16は、支柱12及び14間に形成された出入口Eを開閉する扉であり、本実施例では、この門扉16としてパンタグラフ構造の伸縮門扉が使用されている。この門扉16には、図1に示すように複数(図1の例の場合2カ所)のキャスター36が取り付けられると共に、伸長時の長手方向略中央部の下端には、必要に応じて落し棒38が設けられる。
【0023】
なお、門扉16は、支柱12及び14間に形成された出入口Eを開閉できるものであれば如何なる態様のものであってもよく、上述の伸縮門扉に限定されるものではない。
【0024】
以上のように構成された門扉構造10を設置する際には、まず始めに、敷地内への出入口E、すなわち玄関口や駐車スペースの出入口などに相当する敷地間口の空間を隔てるようにしてこの敷地間口の左右両端部のそれぞれに戸当り側の支柱12或いは吊元側の支柱14を立設する。
【0025】
続いて、吊元側の支柱14に図示しない蝶番を介して門扉16の一端を取り付け、門扉16に落し棒38が設けられている場合には、必要に応じて所定位置(例えば出入口Eの幅方向略中央部)に落し棒受け40を埋設する(図1参照)。
【0026】
そして、例えば出入口Eが駐車スペースの場合には、駐車している車の座席に座った状態での視線の高さに合わせて平面広角ミラーMの高さを調整し、所定の高さに位置決めされた平面広角ミラーMを固定部材26で固定するにより、門扉構造10の設置が完了する。
【0027】
本実施例の門扉構造10によれば、支柱12,14の突出部22の内側表面に平面広角ミラーMが、高さ調整可能に添着されているので、支柱12,14間に形成された出入口Eを通過する際の視線の高さに合わせて平面広角ミラーMの設置高さを調整することができ、出入口Eを通過する際の死角をより確実に解消することができる。
【0028】
また、支柱12,14の突出部22における内側表面の幅方向両端部に設けられたL字条係止片24に、平面広角ミラーMの左右両辺部がそれぞれ嵌め込まれているので、平面広角ミラーMが支柱12,14の表面から不必要に出っ張るのが抑えられ且つ平面広角ミラーMと支柱12,14とが一体化されている。このため、係る支柱12,14を有する門扉構造10では、より一層意匠性に優れたものとなるのに加え、出入口Eを通過する人や車等のみならず平面広角ミラーM自体も人や車等がぶつかって破損しないように保護することができる。
【0029】
なお、上述の実施例では、支柱12及び14が、一対の柱部材18と複数の梁部材20とで構成されている場合を示したが、この支柱12及び14は、門扉16の吊元及び戸当りとして機能でき、しかも平面広角ミラーMを添着できるようなものであれば如何なる形状であってもよく、例えば1本の柱状の部材などであってもよい。又、L字条係止片24を支柱12,14の長手方向全体に設ける場合を示したが、このL字条係止片24を突出部22にのみ設けるようにしてもよいし、必要がなければ設けないようにしてもよい。
【0030】
また、上述の例では、戸当り側の支柱12及び吊元側の支柱14のそれぞれに平面広角ミラーMを取り付ける場合を示したが、この平面広角ミラーMは死角解消に必要な箇所にのみ取り付ければよく、場合によっては支柱12又は14の何れか一方にのみ平面広角ミラーMを取り付けるようにしてもよい。
【0031】
さらに、上述の実施例では、突出部22のL字条係止片24に嵌め込まれた平面広角ミラーMが該L字条係止片24に沿って上下方向にスライド移動する場合を示したが、支柱12,14の突出部22の内側表面に平面広角ミラーMが高さ調整可能に添着されるものであれば、その態様は如何なるものであってもよく、例えば(図示しないが)、突出部22を支柱12,14とは別体で構成すると共に、この別体で構成された突出部22に平面広角ミラーMを添着・固定し、平面広角ミラーMが固定された突出部22を支柱12,14に対して相対的に上下移動するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0032】
10…門扉構造
12…(戸当り側の)支柱
14…(吊元側の)支柱
16…門扉
18…柱部材
20…梁部材
22…突出部
24…L字条係止片
26…固定部材
28…スライド溝
30…調整ネジ
32…架橋部材
34…戸当り
36…キャスター
38…落し棒
40…落し棒受け
M…平面広角ミラー
E…出入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
敷地間口の空間を隔てて立設される左右一対の支柱と、前記支柱間に形成される出入口を開閉する門扉とを有する門扉構造であって、
前記支柱には、前記門扉の上端よりも上方へと突出した突出部が設けられると共に、
前記支柱のうち少なくとも一方における前記突出部には、前記突出部同士が互いに対面する内側表面に、平面広角ミラーが高さ調整可能にて添着されていることを特徴とする門扉構造。
【請求項2】
前記支柱の突出部における内側表面の幅方向両端部には、前記平面広角ミラーの左右両辺部がそれぞれ嵌め込まれ、該平面広角ミラーの上下移動を案内するL字条係止片が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の門扉構造。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−256600(P2011−256600A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131993(P2010−131993)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【出願人】(591172799)港製器工業株式会社 (13)
【Fターム(参考)】