説明

閉ループシステムのための、容量と可読性を強化されたカラーバーコード

【課題】 カラーグラデーションバーコードに使用されるカラーグラデーションレベルの最適化。
【解決手段】(a)入力カラーグラデーションデータを得るステップと、(b)前記レンダリング装置を使用することによって、前記入力カラーグラデーションデータに基づいた、少なくとも一つのカラーグラデーションパターンを有するテストパターンをレンダリングするステップと、(c)前記検知器を使用することによって、前記レンダリングされたテストパターンを検知して、検知カラーグラデーションデータを生成するステップと、(d)前記検知カラーグラデーションデータと前記入力カラーグラデーションデータとに基づき、カラーグラデーションバーコードに使用されるための最適なカラーグラデーションレベルを複数決定するステップと、(e)前記複数の最適なカラーグラデーションレベルを保存する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーバーコードのような、データをコード化するための機械読み取り可能なカラー記号に関するものであり、特に、閉ループシステムためのカラーグラデーションバーコードのデータ容量と可読性を強化する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バーコードとは、デジタル情報を記録するための機械読み取り可能な記号の一種である。1次元と2次元の白黒バーコードが広く使われている。データ容量を増すために、2次元カラーバーコードが提案され、そこでは情報を表すために光反射の強度に加えて、色が使用される。例えば、アメリカ特許6,070,805号では、2組の色(赤・緑・青とシアン・マゼンタ・黄)を使用する耐変形的カラーバーコード記号について記述されている。別の例では、アメリカ特許出願公開2005/0284944A1では、カラーバーコード中に6色(赤・橙・青・緑・黄・ピンク)を使用することが記述されている。
【0003】
色のレンダリングと検知とは多くの要因に影響される。紙、スライド、プラスチックシート、布等のような記録媒体上にカラーバーコードを適用するには、その印刷にカラープリンタが使用される。カラープリンタは通常、減法混色の色、すなわちシアン(C)、マゼンタ(M)、黄(Y)の、カラーインクやトナー粒子といったような調色素材を使用する。黒(K)と共にそれらはよくCMYK色と呼ばれる。プリンタにより印刷された色は、当該プリンタによって使用された調色素材の組の特徴にある程度依存する。カラーバーコードはまた、CRT,LCDディスプレイ等といった表示装置にも表示される。カラー表示には通常、加法混色の色、すなわち赤(R)、緑(G)、青(B)、を有する表示ピクセルが使用される。カラーバーコードを読むには、そのバーコードをスキャンするのにカラースキャナや他の検知装置が使用される。カラースキャナや検知器は通常、カラーフィルターの組(例えばRGBフィルター)を使用して受光した光の色を検知する。さらに、プリンタまたは表示装置と、スキャナとは共にソフトウェアを使用してカラーデータを管理する。例えば、RGB色とCMYK色とを切り替えるために、ソフトウェアによって利用するカラープロファイルは異なる場合もある。それゆえ、デジタルカラーデータ(例えば色のRGB値によって表現されている)が同じでも、異なるプリンタによって印刷されると印刷色が異なることがよくある。印刷色は、記録媒体の特徴にもまた左右される。同様に、同じ印刷色が、異なるスキャナでスキャンされると異なるデジタルカラーデータになることもよくある。表示色にも同様のことが言える。さらに、同じデジタルカラーデータは、表示装置に表示されたり、印刷されたりすると、異なる色になることもよくある。これらの要因の結果として、色を正確に形成し、測定し、再形成することはしばしば困難である。
【0004】
これらのハードウェアの要因は、カラーバーコードのデータ容量と可読性とを制限する。例えば、プリンタが名目上1色につき8ビットのカラーデータを印刷できる(すなわち256カラーグラデーションレベル)としても、スキャナは通常、プリンタによって印刷された256階調の色彩を正確に測定することはできない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、閉ループシステムで使用されるプリンタとスキャナの性能を検知して、所定のプリンタ/スキャナの組み合わせにおける最大のデータ容量と可読性を有するカラーバーコードを提供する方法を対象としている。
【0006】
本発明の目的は、あらゆる所定のプリンタ/スキャナハードウェアシステムを使っても、確実に印刷されスキャンし直されることができ、最大のデータ容量を有するカラーバーコードを提供することである。
【0007】
本発明の追加的または別個の特徴と利点は後の記述により説明され、一部はこの記述により明らかとなり、または本発明の実施によって確認されうる。本発明の目的や他の利点は、明細書と請求の範囲で特に指摘された構成、および添付の図によって実現し達成されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、これらおよび/または他の目的を実現するために、具体化され広く説明されているように、(a)入力カラーグラデーションデータを得るステップと、(b)レンダリング装置を使用することによって、前記入力カラーグラデーションデータに基づいた、少なくとも一つのカラーグラデーションパターンを有するテストパターンをレンダリングするステップと、(c)検知器を使用することによって、前記レンダリングされたテストパターンを検知して、検知カラーグラデーションデータを生成するステップと、(d)前記検知カラーグラデーションデータと前記入力カラーグラデーションデータとに基づき、カラーグラデーションバーコードに使用されるための最適なカラーグラデーションレベルを複数決定するステップと、(e)前記複数の最適なカラーグラデーションレベルを保存するステップと、を備える、カラーグラデーションバーコードをレンダリングするための前記レンダリング装置と、前記バーコードを検知するための前記検知器とを含むシステムにおいて、前記バーコードに使用される、最適なカラーグラデーションレベルを決定する方法を提供する。
【0009】
別の側面では、本発明は、(a)カラーグラデーションバーコードをレンダリングするために使用するレンダリング装置の部類と、前記カラーグラデーションバーコードを検知するために使用する検知器の部類とを識別するステップと、(b)前記カラーグラデーションバーコードにおいて使用されるための最適なカラーグラデーションレベルを含む、前記レンダリング装置の部類と前記検知器の部類とに特有の、カラーグラデーションバーコード設定データを抽出するステップと、(c)前記抽出されたカラーグラデーションバーコード設定データに従って、カラーグラデーションバーコードデータを生成するステップと、を備える、カラーグラデーションバーコードデータを生成する方法を提供する。
【0010】
本発明はまた、上述の方法を実行するためのデータ処理装置を実現するコンピュータプログラム製品を対象とする。
【0011】
さらに別の側面では、本発明は、記録媒体上に印刷されたテストパターンをスキャンし、スキャンされたカラーグラデーションデータを生成するスキャナであって、前記テストパターンには、入力カラーグラデーションデータに基づいて少なくとも一つのカラーグラデーションパターンが印刷されているスキャナと、前記検知カラーグラデーションデータと、前記入力カラーグラデーションデータとに基づいてカラーグラデーションバーコードに使用されるための複数の最適なカラーグラデーションレベルを決定するコントローラと、を備えた、カラーグラデーションバーコードの最適なカラーグラデーションレベルを決定するシステムを提供する。
【0012】
さらに別の側面では、本発明は、カラーグラデーションバーコードを印刷するためのプリンタと、プリンタの属するプリンタ部類の識別と、前記カラーグラデーションバーコードをスキャンするために使用するスキャナ部類の識別とに基づいて、複数のカラーグラデーションバーコード設定からカラーグラデーションバーコード設定を選択し、前記選択されたカラーグラデーションバーコード設定に従ってカラーグラデーションバーコードデータを生成するための、プリンタに接続されたコントローラとを備える、カラーグラデーションバーコードを印刷するシステムを提供する。
【0013】
当然ながら、前述の包括的な説明と後述の詳細な説明とはいずれも例示および説明のためのものであり、請求項に記載された発明の更なる説明の提供を意図するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
先に述べたとおり、様々なハードウェアの要因のせいで、レンダリング装置(プリンタ、表示装置、プロジェクター等)により色のレンダリングの特徴はしばしば異なり、また、検知器(スキャナや他のタイプの検知装置)により色の検知の特徴はしばしば異なる。しかし、同じドライブソフトウェアによって制御され、同じインクセットを使用する、同じ製造業者から提供される同一モデルのプリンタのように、ある特定の部類の装置については、個々の異なる装置の間で色のレンダリングまたは色の検知の特徴はより一貫性を有する。したがって、本発明の実施の形態によって、所定のレンダリング装置と所定の検知器の組み合わせ、または所定の部類のレンダリング装置と所定の部類の検知器の組み合わせ(閉ループシステムとも呼ばれることもある)の色性能を検知して、所定のレンダリング装置と検知器の組み合わせにおいて、最大のデータ容量と可読性を有するカラーグラデーションバーコードを提供する方法が提供される。換言すれば、この方法は、ハードウェアの選択肢を限定することによって、カラーグラデーションバーコードのデータ容量を最大化するものである。
【0015】
以下の説明では、閉ループシステムの例としてプリンタとスキャナを使用するが、本発明は他のタイプのレンダリング装置や検知器にも広く適用される。さらに、このプリンタはインクジェットプリンタ、レーザープリンタまたはハロゲン化銀プリンタ等でもよい。
【0016】
図1は、プリンタ/スキャナの組み合わせにおける色性能を検知するための、本発明の一実施の形態に係る方法を示す。まず、1つ以上のカラーグラデーションパターン(入力カラーグラデーションデータ)に対するデジタルデータが生成される(ステップS11)。それぞれのカラーグラデーションパターンは、加法混色の原色(R、G、またはB)のうちの一つ、または減法混色の原色(C、M、またはY)のうちの一つ、またはグレー(黒)を含む他の色に対応しうる。RGB色の組のための3カラーグラデーションパターン、またはCMYK色の組のための4カラーグラデーションパターンが作られるのが好ましい。カラーグラデーションパターンが無彩色のグレースケールを表し、この無彩色カラーグラデーションパターンがC、M、YとKのトナーを使用したカラープリンタによって再現される場合、このカラーグラデーションパターンはC、M、Yトナーの組み合わせによって再現されうる。また、無彩色カラーグラデーションパターンはKトナーのみを使用することによっても再現可能である。また、2つの無彩色カラーグラデーションパターンはそれぞれこれら有彩色(C、MとY)トナーの組み合わせと無彩色(K)トナーとによって再現されうる。それぞれの色に対して、グラデーションレベルは、0から255(8ビットデータに対応する)、または他の適切な範囲内で変位される。入力カラーグラデーションデータは、プリンタに送られ、記録媒体上にグラデーションパターンが印刷される(ステップS12)。それぞれの色に対する印刷されたグラデーションパターンは、バー、マトリックス、または他の適切な形状をしており、グラデーション値はパターンにおける位置に対応する。例えば、グラデーションバーにおいては、バーに沿ってグラデーション値が最小値から最大値まで直線的に変位する。そして、印刷されたグラデーションパターン(正確にはテストパターンと呼ばれる)は、スキャナを用いてスキャンされ、カラーグラデーションデータが作成される(ステップS13)。印刷とスキャンのプロセスの間、プリンタとスキャナはそれらの内部のハードウェアやソフトウェアを使用して、例えば色変換、フィルタリング等といった必要なプロセスを実行する。ハードウェア構成とソフトウェア設定を有するプリンタとスキャナにより、閉ループシステムが構成される。スキャンされたカラーグラデーションデータ(閉ループシステムの出力)と入力カラーグラデーションデータ(閉ループシステムへの入力)との比較により、システムの色性能が示され、そのプリンタ/スキャナシステムによって使用されるカラーグラデーションバーコードの最適なカラーグラデーションレベルを決定するのに用いることができる(ステップS14)。
【0017】
最適なカラーグラデーションレベルを決定する方法(ステップS14)を、図2を参照して説明する。理論上、プリンタ/スキャナシステムに誤差がなければ、グラデーションパターンのどの位置におけるスキャンされたグラデーション値も、その位置における入力グラデーション値に合致するであろう。現実には、システムの誤差と他の要因のせいで、グラデーション値は全ての個別の入力グラデーション値として確実に測定することはできず、グラデーション値の範囲(セグメント)として確実に測定することができるにすぎない。結果として、そのプリンタ/スキャナシステムはカラーバーコードの中の限られたグラデーションレベルしか確実に使用することができず、多くの場合、それは入力カラー画像データの中のグラデーションレベルの数(例えば、1色あたり256レベルまたは8ビット)よりもはるかに少ない。最適なカラーグラデーションレベルを決定するステップ(ステップS14)は、スキャンされたグラデーションデータとそれに対応する入力グラデーションデータとを比較して、それぞれのセグメント内のスキャンされたグラデーションデータと入力グラデーションデータが正確に相関するような、グラデーション値の最小セグメントを決定する。そのグラデーションセグメントが小さいほど、正確に測定できるグラデーションレベル(セグメント)が多く、グラデーションバーコードのデータ容量が高くなる。システムのデータ容量は、色の様々なグラデーションを印刷するプリンタの能力と、これらのグラデーションを測定するスキャナの能力との両方に依存する。
【0018】
図3は、バー(この例では0から255まで)に沿って配列された複数のグラデーションレベル32を有する印刷されたグラデーションバー30を示す。グラデーションバー30は複数のグラデーションセグメント34に分割されたものとして示されている。
【0019】
図2において、スキャンされたカラーグラデーションデータは、まずシステム上の偏りについて補正される(ステップS21)。例えば、スキャンされたカラーグラデーションデータは全てのレベルにおいて入力カラーグラデーションデータよりも暗い、または明るい場合に、そのような偏りが補正可能である。そのリカバーされたグラデーション範囲、すなわちスキャンされたデータが確実に使用されることのできるグラデーション値の最大値と最小値の差異、が決定される(ステップS22)。例えば、スキャンされたグラデーションデータがグラデーションスケールの一端において飽和している場合、その飽和したデータは廃棄されるべきである。リカバーされたグラデーション範囲はまず、複数の比較的粗いセグメントに分割される(ステップS23)。そのセグメントのサイズは均一、または不均一であってもよい。スキャンされたグラデーションデータは、それに対応するそれぞれのセグメント内の入力グラデーションデータと比較され、それぞれの値が合致するかどうかが判定される(ステップS24)。その合致が許容できるかどうかを判定するための比較には、あらゆる適切な演算手段を使用することができる。例として、それぞれのセグメント内の全てのグラデーションレベルにおける入力カラーグラデーションデータとスキャンされたカラーグラデーションデータとの差の平均値が算出され、その平均差が、それぞれのグラデーションセグメントについて所定の閾値よりも小さい場合、入力グラデーション値とスキャンされたグラデーション値との合致が容認できるとみなされる。別の例として、各セグメントにおける入力データ値について、対応するスキャンされたグラデーション値がそのセグメント外となる、入力データ値の数が所定の閾値よりも小さい場合、入力グラデーション値とスキャンされたグラデーション値との合致が容認できるとみなされる。グラデーション値の合致が容認できる場合(ステップS24において“Y”)、グラデーションセグメントの数を増加し、リカバーされたグラデーション範囲は一般的に、より細かいセグメントに再分割される(ステップS25)。ステップS24は繰り返され、グラデーション値の合致がより細かいグラデーション範囲の分割において容認されうるかどうかを判定する。ステップ25と24とはグラデーション値の合致がもはや容認できない(ステップS24 における“N”)点まで繰り返され、その時点でその前回のグラデーション範囲の分割が選択される(ステップS26)。最適なカラーグラデーションレベルはこの分割に基づいて選択される(ステップS27)。例えば、グラデーションセグメントの中心値が最適なカラーグラデーションレベルとして使用されてもよい。
【0020】
図2に示された方法は、スキャンされたカラーグラデーションデータと入力カラーグラデーションデータとに基づいて、最適なカラーグラデーションレベルを決定する方法の一例に過ぎない。最適なカラーグラデーションレベルを決定するために、他の演算手順を使用してもよい。ある一つの方法では、全てのグラデーション範囲について、スキャンされたカラーグラデーションデータと入力カラーグラデーションデータとの平均差が算出され、その平均差に基づいて最適なカラーグラデーションレベルが決定される。例えば、最適なカラーグラデーションレベルは、隣接したグラデーションレベル同士の距離が、平均差の数倍となるようにしてもよい。他の方法によれば、全てのグラデーション値についてスキャンされたカラーグラデーションデータと入力カラーグラデーションデータとの差が算出され、その差の総計が比較的小さいグラデーションセグメントが選択され、バーコードに使用される最適なグラデーションレベルに設定される。
【0021】
図2のプロセスは、テストパターンでの異なる色の全てのグラデーションパターンについて実行される。そのように決定された最適なカラーグラデーションレベルは、プリンタ/スキャナの組み合わせに対するカラーグラデーションバーコード設定データの一部として保存される(図1参照)。設定データは将来の使用のために、コンピュータ、プリンタまたはスキャナに保存することができる。
【0022】
バーコードをレンダリングするプログラムが、最適なカラーグラデーションレベルに基づいてカラーグラデーションバーコードデータを生成すると、そのバーコード中のそれぞれのタイルは、最適なカラーグラデーションレベルの一つであるグラデーション値を有するようになる。それゆえ、N個の最適なグラデーションレベルがある場合、それぞれのタイルは(1色につき)N個の値を取ることができる。全ての色を含めて、1タイルが取りうる値の総数により、カラーグラデーションバーコードのデータ容量が決定される。本発明は、1次元カラーバーコードにも等しく適用可能であり、この場合、バーコード中のそれぞれの線がカラーグラデーション値を有する。
【0023】
上述のプロセスによって決定された最適なカラーグラデーションレベルは、特定のプリンタとスキャナを含む閉ループシステムに特有のものである。同じモデル(または同じシリーズ、同じ生産ライン、同じ製造業者等)の装置(プリンタやスキャナ)は似通った特徴を有する傾向があり、同じモデルにおける装置間のバリエーションが、異なるモデルの装置間のバリエーションよりもはるかに小さいので、上述の最適カラーグラデーションレベルの決定プロセスは、ある部類(例えばモデル、シリーズ、製造業者等)のプリンタと、ある部類のスキャナのためのカラーグラデーションバーコード設定データを生成するために実行されてもよい。そしてそのような設定データは、当該プリンタ部類に属するプリンタと当該スキャナ部類に属するスキャナにおいて使用することができる。
【0024】
プリンタ/スキャナの組み合わせの性能の検知と、最適なカラーグラデーションレベルを決定するプロセスは、多くのプリンタ/スキャナの組み合わせやプリンタ部類/スキャナ部類の組み合わせに対して実行され、そしてそれぞれの組み合わせに対応する設定データを、将来の使用のために保存することができる。バーコードをレンダリングするプログラムは、カラーグラデーションバーコードをレンダリングする際に、(例えばユーザーに尋ねることによって)どのプリンタまたはプリンタ部類がそのバーコードを印刷するために使用され、どのスキャナまたはスキャナ部類がそのバーコードをスキャンするのかを決定する。次いで、そのバーコードをレンダリングするプログラムは、このプリンタ/スキャナの組み合わせに対する、保存されたバーコード設定データを使用して、バーコードデータをレンダリングする。このプロセスは図4に示されている。バーコードをレンダリングするプログラムは、一つ以上のプリンタに接続されたコンピュータか、もしくはプリンタ自体に備わっている。
【0025】
カラーグラデーションバーコードに使用される最適なカラーグラデーションレベルデータと、バーコードを印刷するのに使用されるプリンタの部類および対象とするスキャナの部類に関する情報および/または他の設定情報は、バーコード中にコード化され、そのカラーバーコード自体と共に印刷されてもよい。そのような情報をコード化するには白黒のバーコードが使用されるのが好ましい。これによって、スキャナが、そのカラーグラデーションバーコードがそのスキャナ自体を対象としているかどうかを判定し、バーコード中のタイルにおけるグラデーションレベルを正確に検知することが可能となる。対象としているスキャナでない場合、ユーザーが別のスキャナでそのバーコードをスキャンすることを選択できるように、そのスキャナはユーザーにメッセージを表示してもよい。そのスキャナが対象とするスキャナでなかった場合でも、その最適なカラーグラデーションレベルについての情報は、スキャナがバーコードに存在するグラデーションレベルをより有能に検知できるようにする点において、依然として有用である。
【0026】
上述の方法は、コンピュータ、プリンタ、スキャナおよび/または他のデータ処理装置で作動するコンピュータソフトウェアプログラムによって実施されてもよい。図5は、そうした方法を実行しうるシステムを図示するものであり、ネットワーク、もしくはその他の通信回線により互いに接続されたコンピュータ52、プリンタ54及びスキャナ56を含んで構成される。本発明の実施の形態の一つは、入力カラーグラデーションデータとスキャンされたカラーグラデーションデータとに基づいて最適なカラーグラデーションレベルを決定するプログラムを搭載したコンピュータである。本発明の別の実施の形態は、プロセッサーと、テストパターンをスキャンし、入力カラーグラデーションデータとスキャンされたカラーグラデーションデータとに基づいて最適なカラーグラデーションレベルを決定するプログラムを搭載したROMとを有するスキャナである。本発明の別の実施の形態は、図4に示されるプロセスで特定のプリンタ/スキャナの組み合わせのためのバーコード設定データに従って、カラーバーコードデータをレンダリングするプログラムを搭載したコンピュータである。本発明の別の実施の形態は、プロセッサーと、特定のプリンタ/スキャナの組み合わせのためのバーコード設定データに従ってカラーバーコードデータを印刷するためのプログラムを搭載したROMとを有するプリンタである。
【0027】
当業者にとっては、本発明の精神や範囲を逸脱することなく、本発明の方法および装置の、様々な改変や変形が可能であることは明らかであろう。よって、添付の請求の範囲とそれの均等の範囲内の改変と変形も、本発明に包含されることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施の形態に係るプリンタ/スキャナの組み合わせにおいて色性能を検知する方法を示すフローチャートである。
【図2】本発明の実施の形態に係る最適なカラーグラデーションレベルを決定する方法を示すフローチャートである。
【図3】グラデーション範囲のカラーグラデーションバーとセグメントとを示す図である。
【図4】本発明の別の実施の形態に係る方法を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態が実行されうるシステムを概略的に図示したものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)入力カラーグラデーションデータを取得するステップと、
(b)レンダリング装置を使用して、前記入力カラーグラデーションデータに基づいて、少なくとも一つのカラーグラデーションパターンを有するテストパターンをレンダリングするステップと、
(c)検知器を使用して、前記レンダリングされたテストパターンを検知し、検知カラーグラデーションデータを生成するステップと、
(d)前記検知カラーグラデーションデータと前記入力カラーグラデーションデータとに基づき、カラーグラデーションバーコードに使用されるための最適なカラーグラデーションレベルを複数決定するステップと、
(e)前記複数の最適なカラーグラデーションレベルを保存するステップと、
を備える、
カラーグラデーションバーコードをレンダリングするための前記レンダリング装置と、前記バーコードを検知するための前記検知器とを含むシステムにおいて、前記バーコードに使用される、最適なカラーグラデーションレベルを決定する方法。
【請求項2】
前記テストパターンは、複数の異なる色に対する複数のカラーグラデーションパターンを備え、
前記ステップ(d)は、それぞれの色に対して実行される、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記レンダリング装置はプリンタであり、前記ステップ(b)では複数の原色を用いて記録媒体上に前記テストパターンが印刷され、前記複数のグラデーションパターンがそれぞれ前記原色に対応する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記カラーグラデーションバーコードは2次元バーコードである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ステップ(d)は、前記カラーグラデーションパターンにおけるそれぞれのグラデーションレベルで、前記検知カラーグラデーションデータと前記入力カラーグラデーションデータとを比較するステップを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ステップ(d)は、
(d1)リカバーされたグラデーション範囲を決定するステップと、
(d2)はじめに、前記リカバーされたグラデーション範囲を多数のグラデーションセグメントに分割するステップと、
(d3)それぞれのセグメントにおいて、前記検知グラデーションデータと前記それに対応する入力グラデーションデータとの合致が許容できるかどうかを判定するステップと、
(d4)前記合致が許容できる場合、前記リカバーされたグラデーション範囲をより多数のグラデーションセグメントへと再分割し、前記ステップ(d3)を繰り返すステップと、
(d5)前記合致が許容できない場合、前回のグラデーション範囲分割を選択し、前記選択されたグラデーション範囲分割に基づいて最適なカラーグラデーションレベルを設定するステップと、
を備える請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(d)は、システム上の偏りに対して、前記検知カラーグラデーションデータを補正するステップをさらに備える、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ステップ(d5)において、それぞれのグラデーションセグメントの中心値が、最適なカラーグラデーションレベルに設定されている、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記ステップ(d3)は、
それぞれのグラデーションセグメント内の全てのグラデーションレベルにおける、前記検知カラーグラデーションデータと前記入力カラーグラデーションデータとの平均差を算出するステップと、
それぞれのグラデーションセグメントでの前記平均差が所定の閾値よりも小さいかどうかを判定するステップと、
を備える、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記ステップ(d)は、
(d1)リカバーされたグラデーション範囲を決定するステップと、
(d2)前記リカバーされたグラデーション範囲の全てのグラデーションレベルにおける、前記検知カラーグラデーションデータと前記入力カラーグラデーションデータとの平均差を算出するステップと、
(d3)前記算出された平均差に基づいて最適なカラーグラデーションレベルを決定するステップと、
を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
データ処理装置を制御するための、コンピュータで読み取り可能なコードが具現化された、コンピュータが使用可能な媒体を含むコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータで読み取り可能なコードは、データ処理装置が、
(a)入力カラーグラデーションデータを受け取るステップと、
(b)前記入力カラーグラデーションデータに基づき、レンダリング装置を使用することによって少なくとも一つのカラーグラデーションパターンを備えるテストパターンをレンダリングし、検知器を使用することによって前記レンダリングされたテストパターンを検知することによって得られた、前記検知カラーグラデーションデータを受け取るステップと、
(c)前記検知カラーグラデーションデータと前記入力カラーグラデーションデータとに基づいて、カラーグラデーションバーコードに使用される、複数の最適なカラーグラデーションレベルを決定するステップと、
(d)前記複数の最適なカラーグラデーションレベルを保存するステップと、を備える、
前記レンダリング装置と前記検知器を含むシステムにおいて、前記カラーグラデーションバーコードに使われる、前記最適なカラーグラデーションレベルを決定するためのプロセスを実行するよう構成されている、コンピュータプログラム製品。
【請求項12】
(a)カラーグラデーションバーコードをレンダリングするために使用するレンダリング装置の部類と、前記カラーグラデーションバーコードを検知するために使用する検知器の部類とを識別するステップと、
(b)前記カラーグラデーションバーコードにおいて使用されるための最適なカラーグラデーションレベルを含む、前記レンダリング装置の部類と前記検知器の部類とに特有の、カラーグラデーションバーコード設定データを抽出するステップと、
(c)前記抽出されたカラーグラデーションバーコード設定データに従って、カラーグラデーションバーコードデータを生成するステップと、
を備える、カラーグラデーションバーコードデータを生成する方法。
【請求項13】
データ処理装置を制御するための、コンピュータで読み取り可能なコードが具現化された、コンピュータが使用可能な媒体を含むコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータで読み取り可能なコードは、データ処理装置が、
(a)カラーグラデーションバーコードをレンダリングするために使用するレンダリング装置の部類と、前記カラーグラデーションバーコードを検知するために使用する検知器の部類とを識別するステップと、
(b)前記カラーグラデーションバーコードにおいて使用されるための最適なカラーグラデーションレベルを含む、前記レンダリング装置の部類と前記検知器の部類とに特有の、カラーグラデーションバーコード設定データを抽出するステップと、
(c)前記抽出されたカラーグラデーションバーコード設定データに従って、カラーグラデーションバーコードデータを生成するステップと、を備える、
カラーグラデーションバーコードデータを生成するためのプロセスを実行するよう構成されている、コンピュータプログラム製品。
【請求項14】
記録媒体上に印刷されたテストパターンをスキャンし、スキャンされたカラーグラデーションデータを生成するスキャナであって、前記テストパターンには、入力カラーグラデーションデータに基づいて少なくとも一つのカラーグラデーションパターンが印刷されている、スキャナと、
前記検知カラーグラデーションデータと、前記入力カラーグラデーションデータとに基づいてカラーグラデーションバーコードに使用されるための、複数の最適なカラーグラデーションレベルを決定する、コントローラとを備えた、
カラーグラデーションバーコードの最適なカラーグラデーションレベルを決定するシステム。
【請求項15】
前記テストパターンを印刷するためのプリンタをさらに備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
カラーグラデーションバーコードを印刷するためのプリンタと、
プリンタの属するプリンタ部類の識別と、前記カラーグラデーションバーコードをスキャンするために使用するスキャナ部類の識別とに基づいて、複数のカラーグラデーションバーコード設定からカラーグラデーションバーコード設定を選択し、前記選択されたカラーグラデーションバーコード設定に従ってカラーグラデーションバーコードデータを生成するための、プリンタに接続されたコントローラとを備える、
カラーグラデーションバーコードを印刷するシステム。
【請求項17】
前記プリンタによって印刷された前記カラーグラデーションバーコードをスキャンするためのスキャナをさらに含む、請求項16に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−234021(P2007−234021A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−46710(P2007−46710)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(507031918)コニカ ミノルタ システムズ ラボラトリー, インコーポレイテッド (157)
【Fターム(参考)】