説明

閉回路性能を含む選択的な神経刺激システム

被選択神経ターゲットに付与する1以上の刺激域を操作する神経刺激システムと方法。低い刺激閾値、所望の治療結果、または有害な刺激副作用の最小化の何れか1つ、またはこれらの組合せを最適化する。被選択神経ターゲットに付与する刺激の範囲を操作するために、2本以上の神経刺激リード上に少なくとも一部が配置される電極列が使用される。電極列の電極は、被選択ターゲットに隣接して位置決めされる。付与された刺激に対して検出された生理学的反応に基づき、刺激は加減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許明細書は、総じて神経刺激システムと方法に関する。特許明細書は、一層具体的には随意に閉回路性能を含む、選択的神経刺激のためのシステムと方法に関するが、これに制限されるものではない。
【背景技術】
【0002】
神経系は、人体の制御中枢と電気化学的通信ネットワークとして働く。神経系は、無数の情報ビットを処理し、神経を通して電気化学的インパルスを人体の効果器、たとえば筋肉や腺に送ることによって適切な反応を生成する。神経系は、脳と脊髄を含む中枢神経系(CNS)と、神経プロセスを効果器と受容器に結合する末梢神経系(PNS)とからなる。
【0003】
末梢神経系は、2つの部分、すなわち体性神経系(SNS)と自律神経系(ANS)を有する。体性神経系すなわち随意神経系は、ヒトが環境の変化に対して意識的に反応することを可能にする。この系は「随意」筋の運動を制御する。他方、自律神経系は「不随意」器官を制御し、正常な内部機能を維持する。自律神経系の遠心性部分は、交感神経系と副交感神経系に分けられる。交感神経系は、緊張と非常事態に対する「闘争または逃走の反応」に関係しているのに対し、副交感神経系は、弛緩と「休息と消化の反応」に関係している。
【0004】
自律平衡は、副交感神経系活動と交感神経系活動の関係を反映し、人体の好調または不調の指標を提供する。自律平衡の変化は、心拍、心調律、心収縮性、リモデリング、炎症、および血圧に現われる。自律平衡の変化はまた、他の生理学的変化、たとえば腹痛、食欲、体力、感情、人格性、筋緊張、睡眠、およびアレルギーなどにも見ることができる。
【0005】
種々の医学的、精神医学的、および神経学的障害の治療と制御に神経刺激を使用することは、過去数十年間に著しい進歩を見た。これには特に心臓病、癲癇、肥満、および呼吸障害の治療も含まれる。たとえば自律平衡を神経刺激で調節することが可能であることが示され、心筋梗塞(MI)の後で心筋のリモデリングが進行し、致命的な不整脈の素因を形成することを防ぐなどの臨床結果も良好である。しかし、神経系、たとえば自律神経系の刺激は、声の変化、咳、咽頭炎、錯感覚、呼吸困難、吐き気、または喉頭痙攣を含む、予期しない結果(すなわち副作用)を伴うことがあり、また人工的に生成される大量のエネルギーを必要とすることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
必要とされているのは、特定の障害を治療する際に、治療刺激信号の効果を最大化するか、またはほぼ最大化するように、神経幹の被選択神経ターゲットを刺激するためのシステムと方法である。更に必要とされているのは、好ましくない刺激の副作用を監視することによって、刺激電極ベクトルの組合せ、または使用する刺激信号パラメータを変化させ、その結果、副作用を最小化または緩和する刺激システムと方法である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
末梢神経ターゲットを刺激するためのシステムは、少なくとも一部が被選択ターゲットに隣接して位置決めされた2本以上の神経刺激リードに配置された電極列と、1個以上の生理学的センサと、移植医療装置とを含む。1個以上の生理学的センサは、1以上の生理学的パラメータの状態を示す信号を生成するように構成されている。生理学的パラメータ
を示す信号の少なくとも一部は、電極列内の少なくとも2個の電極に電気的刺激を選択的に付与するために、移植医療装置のプログラム可能メモリで受信できるプログラミング信号を生成するように使用される。
【0008】
本発明によるシステムの或る実施形態は、外部プログラマ、1個以上のリード位置決め部材、または治療加減/調整回路を含む。外部プログラマは、1以上の遠隔生成された入力を受信することによって、遠隔測定リンク経由で前記入力を移植医療装置に送るように構成されている。1個以上のリード位置決め部材は、2本以上の神経刺激リードの部分間を接続することによって、これら部分間の所望された幾何学的関係を維持するように構成されている。治療加減/調整回路は、付与された電気的刺激の1個以上のパラメータを変化させるように構成されている。
【0009】
神経ターゲットを刺激することによって自律平衡を調節する方法は、電極列を担う2本以上の神経刺激リードの一部を神経ターゲットに隣接して配置することと;列内の少なくとも2個の電極を選択的に使用することによって、付与される電気的刺激を神経ターゲットに対する電極に向けることと;そして電気的刺激を選択的に使用される電極に送達することとを含む。
【0010】
本発明による方法の或る実施形態は、複数の電極ベクトルの組合せを評価することと;電気的刺激に対する生理学的反応を検出することと;そして検出された生理学的反応を用いて電気的刺激を加減することとを含む。更に幾つかの方法は、2本以上の神経刺激リード間の所望された幾何学的関係を維持することを含む。
【0011】
有利には、本発明によるシステムと方法は、特に多数の電極ベクトルの組合せから選ばれた刺激電極ベクトルの組合せを使用することによって、神経幹内で選択的な神経刺激を可能にする。これによって、特定の障害を治療する際に、刺激信号の効果を最大化できる。刺激電極ベクトルの組合せの選択肢が多数あることによって、本発明によるシステムと方法は、電極/神経組織のインターフェースの変化に対応して刺激閾値を最小化し、よって移植された刺激発生装置のバッテリーの寿命を最小化でき、更に刺激の送達に使用する電極ベクトルの組合せを変化させることによって、好ましくない刺激の副作用を最小化または緩和できる。更に、本発明による刺激システムと方法は、1以上の生理学的パラメータの刺激反応の監視を可能にする。逆に、本発明による刺激システムと方法は、刺激信号パラメータを加減するため、または使用する刺激電極ベクトルの組合せを変化させるために使用できる。本発明によるシステムと方法の上述した例や他の例、利点と特徴は、一部は以下の説明で詳述され、一部は当業者にとって本発明によるシステム、方法と図面の参照、またはこれらの実施によって明らかであろう。
【0012】
図面において、同じ参照符号は、複数の図を通して同一の部材を表している。同じ参照符号に付した異なる添え字は、同一の部材の異なる例を表している。図面は、総じて本明細書で論じられる種々の実施形態を例示するものであり、限定するものではない。
【0013】
以下の詳細な説明は、詳細な説明の一部をなす添付図面の参照を含む。図面は、本発明によるシステムと方法を実施できる特定の実施形態を例示している。これらの実施形態(実施例とも呼ぶ)は、当業者が本発明によるシステムと方法を実施できる程度に詳細に説明される。本発明によるシステムと方法の範囲から逸脱することなく、実施形態を組合せ、他の実施形態を利用し、または構造的、電気的、もしくは論理的な変更を加えることができる。それゆえ、以下の詳細な説明は、制限する意味で取られるべきではなく、本発明によるシステムと方法は添付の請求項、およびこれらの請求項と法的等効物の範囲によって限定される。
【0014】
本明細書において、「被選択神経ターゲットを刺激する」またはこれと類似の語句は、本発明によるシステムと方法が共通の神経幹内部で神経の他の部分を刺激することなく、単独の軸索(すなわち神経束)または軸索の小群を活性化または刺激できることを意味する。「刺激の副作用を最小化または緩和する」またはこれと類似の語句は、感知される副作用を終了させること、感知される副作用の強度を減じること、または潜在的副作用の発生を回避もしくは阻止することを含む。更に、ここで使用する言回しや用語は、別途定義されない限り、説明を目的としたものであって、制限するためのものではない。
【0015】
本発明による神経刺激システムと方法は、種々の障害、たとえば医学的、精神医学的、または神経学的な障害を、自律平衡の調節によって治療と制御するために効果的且つ効率的に使用できる。自律平衡の変化は、感知された生理学的変化に応じて電極ベクトルを最適または容認可能に組合せて治療刺激を付与することによって、1以上の生理学的パラメータの状態の変化(たとえば心拍または血圧の変化)を感知することによって監視できる。有利には、複数の(たとえば2個以上の)電極を担うリードを使用し、それらの部分が神経幹に隣接して位置決めされることによって、神経幹の1個以上の被選択部分を低い刺激閾値で、有害な副作用が最小になるように適切に刺激するために、システムにとって多数の電極ベクトルの組合せを利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】少なくとも1つの実施形態に従って構成された、移植医療装置、複数のリード、外部プログラマを含む神経刺激システム、ならびにこのシステムを使用できる環境の例示。
【図2A】複数の神経刺激リードまたはリード位置決め部材、被選択神経ターゲットに隣接して位置決めされたリード部分の例示。
【図2B】複数の神経刺激リードまたはリード位置決め部材、被選択神経ターゲットに隣接して位置決めされたリード部分の例示。
【図2C】複数の神経刺激リードまたはリード位置決め部材、被選択神経ターゲットに隣接して位置決めされたリード部分の例示。
【図2D】複数の神経刺激リードまたはリード位置決め部材、被選択神経ターゲットに隣接して位置決めされたリード部分の例示。
【図3】少なくとも1つの実施形態に従って構成された、2個の電極間の電流密度域分布の断面図。
【図4】少なくとも1つの実施形態に従って構成された、移植医療装置、複数の神経刺激リード、外部プログラマを含む神経刺激システム、および神経刺激リード部分を配置できる環境の例示。
【図5】少なくとも1つの実施形態に従って構成された、神経刺激システムの部分のブロック線図。
【図6】少なくとも1つの実施形態に従って構成された、神経刺激システムの部分とシステムによって監視または受信でき、自律平衡または刺激フィードバックの変化を示す種々の生理学的パラメータの例示。
【図7】少なくとも1つの実施形態に従って構成された、1以上の生理学的パラメータの状態を示す感知された信号を処理することによって、もしあれば1以上の神経刺激パラメータのどれを、自律平衡の調節に付与する必要があるか否か判定する方法のフローチャート。
【図8】少なくとも1つの実施形態に従って構成された、刺激の副作用を最小化または緩和するための方法のフローチャート。
【図9】少なくとも1つの実施形態に従って構成された、自律平衡が失われた後で低い神経刺激閾値を有する刺激電極ベクトルの組合せを用いて自律平衡を回復する方法のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に、移植医療装置(IMD)102、2本以上の神経刺激リード104、心臓刺激リード106、および外部プログラマ108を含む神経刺激システム100を例示する。外部プログラマ108は、遠隔測定リンク160を経由して移植医療装置102に通信可能である。図示されているように、移植医療装置102は、患者110の胸部の皮下または筋肉下に位置決めされている。2本以上の神経刺激リード104と心臓刺激リード106が、それぞれの近位端114で移植医療装置102に接続されている。種々の実施形態において、神経刺激リード104の遠位端116は、それぞれ少なくとも1個の電極120を含み、神経幹112、たとえば迷走神経に隣接して位置決めされ、よって移植医療装置102と神経幹112に電気的接続している。心臓刺激リード106の遠位端116は、少なくとも1個の電極120を含み、心臓118の内部、上部、または周囲に位置決めされ、よって移植医療装置102と心臓118に電気的接続している。
【0018】
神経刺激リード104と心臓刺激リード106の各電極120は、これらにたとえば電流が付与される際に、特定の刺激域(図3参照)を創出する目的で、正極性または負極性を確認するために移植医療装置102によってプログラム可能である。このようにしてプログラムされた陽極と陰極の多様なベクトルの組合せを、種々の電流密度域の波形を送達することによって、被選択刺激ターゲット130(すなわち神経の他の部分を刺激しないように神経幹112の被選択部分)または被選択心臓118ターゲットを刺激できる。リード電極120に追加して、1個以上のリード無し電極122、たとえば移植医療装置102に連携した電極(たとえば缶電極)を、刺激または感知する目的に利用可能なベクトル電極の組合せに加えて使用できる。
【0019】
神経刺激は、神経連絡を刺激し、または神経連絡を抑制するために使用できる。神経連絡を刺激する神経刺激の一例は、低周波信号(たとえば20Hz〜50Hzのレンジ内の信号)である。神経連絡を抑制する神経刺激の一例は、高周波信号(たとえば120Hz〜150Hzのレンジ内の信号)である。神経連絡を刺激と抑制する他の方法は、神経連絡の陽極ブロック(陽極性伝導中断)である。
【0020】
種々の実施形態に従い、少なくとも1本の神経刺激リード104の遠位端116は、皮下で神経幹112に隣接する位置につながっており、神経幹112の被選択神経ターゲット130を直接刺激するために神経カフ電極を含んでよい(図2A、図2B参照)。幾つかの神経刺激リード104の実施形態の遠位端116は、血管内を被選択神経ターゲット130に近位の血管内に導入され(図2A、図2C参照)、血管内で1個以上の電極を使用することによって神経ターゲット130を経血管的に刺激する。その他の技術として、血管内を導入されるリードは、リード本体の1以上の予め成形されたバイアス部分を用いて血管に固定されてよい(図2A、図2C参照)。一例として、幾つかの実施形態は迷走神経の被選択部分を、内頸静脈内に位置決めされた1個以上の電極を用いて刺激する。別の例として、幾つかの実施形態は、神経刺激を気管、内頸静脈の喉頭枝、または鎖骨下静脈内から被選択神経ターゲット130に送達する。迷走神経の1以上の部分の他にも、他の被選択神経ターゲット130、たとえば圧受容器、心臓神経、または心臓脂肪体の1以上の部分が刺激されてもよい。
【0021】
図2A〜図2Dに一般的に図示されているように、移植医療装置102(図1)によって生成された電気的神経刺激は、神経刺激カフリード202、神経刺激血管内リード204、または神経刺激皮下リード206の何らかの組合せを用いて、被選択神経ターゲット230に送達できる。
【0022】
種々の実施形態に従い、神経刺激リード202、204、206の遠位端216は、刺激されるべき神経幹112(図1)の被選択ターゲット部分230に隣接して位置決めさ
れている。その他の移植技術として、神経刺激リード202、204、206は、外科的切開、内視鏡、皮下スティック、または他の標準的手段によって、血管系に到達した後で経血管的に位置決めされてよい。
【0023】
図2Aでは、神経刺激カフリード202と、神経刺激血管内リード204の遠位端216とは、神経幹内で被選択神経ターゲット230に隣接して位置決めされている。図2Bでは、被選択神経ターゲット230に隣接して位置決めされた神経刺激カフリード202と、神経刺激皮下リード206の遠位端216とが図示されている。図2Cでは、被選択神経ターゲット230に隣接して位置決めされた神経刺激血管内リード204と、神経刺激皮下リード206の遠位端216とが図示されている。最後に、図2Dでは、2本の神経刺激皮下リード206が、被選択神経ターゲット230に隣接して位置決めされている。各リード遠位端216は、被選択神経ターゲット230の周囲で電極列(リード内とリード外の組合せを含む)を形成する、少なくとも1個の電極220、たとえば多数の電極220を含む。更に、2個以上のリード遠位端216を接続することによって、これら部分間の特定の幾何学的関係を維持するために、何らかの寸法、形状、または向きの1個以上のリード位置決め部材240が使用されてよい。図2Dに示されているように、リード位置決め部材240は、各リード遠位端216の軸線に対して実質的に垂直に延びている。一例において、リード位置決め部材240の寸法と形状は、リード遠位端216を被選択神経ターゲット230に隣接して位置決めするように設定されている。別の例では、リード位置決め部材240は、フレキシブルな材料、たとえばシリコンまたはポリウレタンを含み、そうすることによって被選択神経ターゲット230に穏やかな圧力を付与できる。更に別の例では、リード位置決め部材240は、2本以上のリード206の間で所定の向きを保つように構成されてよい。更に、これらのリード位置決め部材240は、被選択神経ターゲット230の周囲の電極列に加えて、1個以上の電極220を担うことができる。有利には、本発明による電極列は、被選択神経ターゲット230を刺激するために、多数の電極ベクトルの組合せを提供する。
【0024】
被選択神経ターゲット230の周囲に位置決めされた電極列、および一層具体的には2個以上の電極を担うリード202、204、206によって提供される多数の電極のベクトルの組合せは、特定の医学的、精神医学的、または神経学的な障害を効果的且つ効率的に治療するために、(電極220間で)所要または所望の通りに操作することによって刺激電流密度域を可能にする。被選択神経ターゲット230の内部と周囲の電流密度域の形状を変化させるために、電極220の種々の組合せが使用される。神経刺激システム100(図1参照)は、(移植医療装置102(図1参照)自体によって決定されるか、または医師もしくは介護者が外部プログラマを用いて決定する)適切な刺激パラメータと列内の電極220の位置によって、ターゲットとされた神経230内に活動電位を誘発することによって、所望の治療効果を達成できる。更に、刺激電流密度域は、2個以上の電極220間(すなわち1個の電極ベクトル)で操作されてよく、その結果として低い刺激閾値と刺激副作用の最小化が達成される。
【0025】
図3は、第1電極320Aと第2電極320Bを含むリード内電極ベクトルの組合せから生じる、神経刺激リード306の遠位端と刺激電流密度域302を断面図で例示する。この例では、電流密度域302は、円周形状を呈し、障害たとえば医学的、精神医学的、または神経学的な障害の治療のために周囲神経組織に選択的に付与される。図示されているように、活性化された第1電極320Aと第2電極320Bの対(すなわち被選択刺激電極ベクトル)からの距離が増すに連れて、刺激電流密度域302は縮小している。更に、図3は、リード306が、2個の追加の活性化された第3電極320Cと第4電極320Dを含むことを示しているが、これらはベクトルの組合せにおいて、選択的に神経組織に使用されてよい。
【0026】
図4は、神経刺激システム400と、神経刺激システム400が使用されてよい環境の部分とを例示する。この例において神経刺激システム400は、移植医療装置402、外部プログラマ408、および遠隔測定リンク460を含む。移植医療装置402は、神経刺激リード404,405を通して神経刺激パルスを送達する。遠隔測定リンク460は、移植医療装置402と外部プログラマ408の間の通信を提供する。図4で例示の目的のためにのみ示されているように、神経刺激リード405は、被選択交感神経系431に結合された電極421を含み、神経刺激リード404は、副交感神経系の被選択神経ターゲット430に結合された電極420を含む。
【0027】
被選択神経ターゲット430,431は、心臓418に分布している。種々の実施形態において、移植医療装置402は、神経刺激リード404,405を通して何れか1個以上の神経ターゲットに神経刺激を供給し、そのようにして自律平衡を調節する。上述したように、神経ターゲットは、種々のタイプの神経刺激リード、たとえば神経刺激カフリード、神経刺激血管内リードまたは神経刺激皮下リード上に配置された電極を用いて刺激できる。1つの実施形態では、カフ電極は、大動脈神経、頚動脈神経、または迷走神経の周囲に配置するために使用される。別の実施形態では、たとえば頚静脈内で血管内に配置された電極が、迷走神経のターゲットにされた部分を刺激するために、または大動脈もしくは肺動脈内に位置決めされて、これと近位の神経ターゲットを刺激するために使用される。更に、移植医療装置402に通信する無線電極も刺激の目的に使用されてよい。
【0028】
移植医療装置402は、特に神経刺激パルスを送達する神経刺激回路462を含む。図示された神経刺激回路462は、プログラム可能メモリ464、プロセッサ回路466、および治療加減/調整回路468を含む。プログラム可能メモリ464は、移植医療装置402が動作するための命令を記憶する。プロセッサ回路466は、感知された生理学的データ、またはフィードバックを処理する。治療加減/調整回路468が受取る生理学的フィードバックは、何らかの適用された治療(たとえば刺激パルス)の結果として生じ、そして効果を示すことができる。種々の実施形態において、移植医療装置402は、1以上の生理学的パラメータの状態を示す信号を監視し、または神経刺激に加えて治療を提供できる。このような追加的治療の例は、心臓ペーシング治療、除細動治療、心臓再同期治療、心臓リモデリング制御治療、薬剤治療、細胞治療、または遺伝子治療を含む。種々の実施形態において、移植医療装置402は、このような1以上の追加的治療に応じて神経刺激治療を提供する。
【0029】
外部プログラマ408は、医師または他の介護者による移植医療装置402の制御と移植医療装置402との通信を提供する。1つの実施形態において、外部プログラマ408は、遠隔測定リンク460を経由して移植医療装置402に通信する外部装置、比較的離れた地点に位置する遠隔装置(たとえばパーソナル・デジタル・アシスタント(PDA))、および外部装置と遠隔装置を結ぶ通信ネットワーク患者管理システムである。これによって患者管理システムは、たとえば患者の状態を監視したり、治療を調節したりするために、遠隔地点から移植医療装置402にアクセスすることを可能にする。
【0030】
上述したように、遠隔測定リンク460は、移植医療装置402と外部プログラマ408の間の通信を提供する。1つの実施形態において、遠隔測定リンク460は、誘導型遠隔測定リンクである。別の実施形態において、遠隔測定リンク460は、遠距離無線周波(RF)遠隔測定リンクである。種々の実施形態において、遠隔測定リンク460は、移植医療装置402から外部プログラマ408へのデータ伝送を提供する。このデータ伝送には、たとえば移植医療装置402によって獲得されたリアルタイム生理学的データの伝送、移植医療装置402によって獲得され記憶された生理学的データの抽出、移植医療装置402に記録された不整脈の発生と治療の実施など患者履歴データの抽出、または移植医療装置402の動作状態(たとえばバッテリー状態またはリードインピーダンス)を示
すデータの抽出が含まれる。遠隔測定リンク460は、外部プログラマ408から移植医療装置402へのデータ伝送も提供する。これには、たとえば生理学的データを獲得するための移植医療装置402のプログラミング(ユーザインターフェース経由)、少なくとも1回の自己診断テスト(たとえば装置の動作状態のテスト)を実行するための移植医療装置402のプログラミング、または1回以上の治療を実施し、もしくは1回以上の治療を調節するための移植医療装置402のプログラミングが含まれる。
【0031】
図5は、神経刺激システム500の部分の少なくとも1つの実施形態のブロック線図を示す。この実施形態の神経刺激システム500は、何らかの付与された神経刺激に対する1個以上の生理学的反応を感知するようにした生理学的反応データセンサ570、1個以上の生理学的パラメータの予備刺激状態(たとえば心拍または血圧の変化)を感知し、患者の生理学に関して一層完全な像を別途提供するようにしたコンテキストセンサ572、刺激電極/変換器520、および神経刺激回路562を含む。
【0032】
神経刺激回路562は、刺激出力回路574、フィードバック検出回路576、および刺激制御回路578を含む。刺激制御回路578は、神経刺激パルスの送達を制御する治療加減/調整回路568を含む。刺激出力回路574は、刺激制御回路578からパルス送達信号を受取ると神経刺激パルスを送達する。パルス送達信号の少なくとも一部は、プロセッサ回路566が実行するデータ分析、たとえばコンテキストセンサ572によって集められた1個以上の予備刺激生理学的パラメータの比較、およびプログラム可能メモリ564に記憶された生理学的閾値のパラメータ値によって生成される。生理学的反応データセンサ570は、付与された神経刺激に対する1以上の生理学的パラメータの反応を示す信号を提供する。フィードバック検出回路576は、反応を示す信号を受取り、これらの信号を処理することによって神経刺激フィードバック信号を供給する。
【0033】
多くのタイプの生理学的反応が生理学的反応データセンサ570によって集められ、フィードバック検出回路576によって処理され得る。種々の実施形態において、反応は、心臓活動、たとえば心拍数、HRV、HRT(ホルモン補充療法)、PRインターバル、T波速度、または活動電位持続時間を含む。別の種々の実施形態において、反応は、非心臓反応、たとえば呼吸または血圧を含む。更に別の種々の実施形態において、反応は、QTインターバルまたは心房不応期/心室不応期を含む。治療加減/調整回路568は、刺激フィードバック信号を使用することによって、刺激出力回路574によって生成される治療を加減し、その結果、所望される生理学的反応を提供する(たとえば心臓反応または非心臓反応を調節する)。フィードバック検出回路576は、生理学的反応データセンサ570またはコンテキストセンサ572に基づき、神経刺激フィードバック信号を供給できる。コンテキストセンサ572は、1以上の予備刺激生理学的パラメータの他に、更に被選択神経ターゲットに付与される神経刺激治療に不完全なデータが不都合な影響を与えるのを回避するために使用できる。このようなコンテキストセンサ572の例は、活動センサ、姿勢センサ、またはタイマを含む。フィードバック検出回路576は、2個以上のコンテキスト入力の何れか1個またはそれらの組合せを使用できる。たとえば心拍の上昇は、運動の結果であって、神経刺激治療を加減する理由とはならないこともある。
【0034】
刺激電極/変換器520は、最終段階で神経刺激治療を被選択神経ターゲットに送達するものである。刺激電流を送達するために被選択電極の極性と位置、ならびに刺激電流のパラメータ(たとえば振幅、周波数、バースト周波数、負荷サイクル、パルス幅など)は、1以上の感知された生理学的反応、低い刺激閾値に対する要望、刺激治療の対象である特定の障害、または刺激の副作用を最小化または緩和したいという要望に基づくことができる。一例として、生理学的反応データセンサ570に結合した神経刺激回路562は、監視されたPRインターバルの周波数反応によって自律平衡を監視でき、刺激陰極と刺激陽極の位置は、副交感神経の活動を最大化するために調節できる。
【0035】
有利には、本発明は、医師または他の介護者が(外部ユーザインターフェース経由で)または移植医療装置自体が、神経幹内の被選択神経ターゲットを刺激するために多数の電極ベクトルの組合せの中から選択することを可能にする。多数の電極ベクトルを組合せることによって、医師または移植医療装置は、1個以上の電極の組合せを繰返し選択することによって、特に生理学的フィードバック反応、最小限の刺激副作用または刺激閾値パラメータの何れか1つまたはその組合せのバランスを最適化または容認可能にできる。
【0036】
図6に、神経刺激システム600の部分と、電極ベクトルおよび被選択ターゲットを刺激する信号パラメータの最適または容認可能な組合せにおいて使用できる種々の生理学的パラメータを示す。システム600の種々の実施形態は、生理学的反応データセンサ670またはコンテキストセンサ672の何れか1つ、またはこれらの組合せを含む。これらのセンサは、神経刺激回路662の治療加減/調整回路668に指示することによって、所要または所望のレベルの神経刺激を、最適な電極ベクトルに適切に付与できる。種々の実施形態に従い、システム600は、以下の感知された1以上の生理学的パラメータに基づき自律平衡を調節する調節装置を含む。すなわち心拍、HRV、HRT、心収縮性、心臓リモデリング、PRインターバル、T波速度、活動電位持続時間、分時換気量、1回拍出量、1回換気量、心拍出量、心臓有害事象、活動性、血圧、腹痛、食欲、感情、人格性、筋緊張、睡眠、アレルギー、または姿勢が、生理学的パラメータである。
【0037】
フィードバック検出回路676は、感知された生理学的パラメータを示す信号を受信することによってその信号を処理し、少なくとも一部は、適切なパルス送達信号を生成するために神経刺激回路662で利用できる信号を提供する。種々の実施形態において、フィードバック検出回路676のプロセッサ666は、感知された生理学的パラメータが容認可能な範囲内にあるか否か判定する。たとえばプロセッサ666は、感知された心拍が特定の目標レンジを超えたと判定すると、神経刺激回路662、一層具体的には治療加減/調整回路668に適切な指示を出し、この指示がパルス送達信号の生成に使用される。
【0038】
種々の実施形態に従い、治療加減/調整回路668は、以下のモジュールの何れか1つを含む。すなわち刺激パルスの振幅を変化させる刺激振幅モジュール682、刺激パルスの周波数を変化させる刺激周波数モジュール684、刺激パルスのバースト周波数を変化させるバースト周波数モジュール686、刺激パルスの負荷サイクルを変化させる負荷サイクルモジュール688、または刺激パルスのパルス幅を変化させるパルス幅モジュール690である。幾つか実施形態に従い、神経刺激回路662は、1つの刺激特徴または複数の刺激特性の組合せを設定または調整するように構成されている。刺激特性の例は、振幅、周波数、極性、刺激信号、および波形である。波形の例は、方形波、三角波、正弦波、およびたとえば自然発生的な圧反射刺激を示すホワイトノイズを模擬するための所望の調和成分を有する波などである。神経刺激回路662の幾つかの実施形態は、所定の振幅、波形、パルス幅、および極性を有する刺激信号を生成するようにされ、更に制御信号に応答することによって振幅、波形、パルス幅、および極性の少なくとも1つを調節するようにされている。
【0039】
図7に、1以上の感知された生理学的パラメータを用いて、1以上の神経刺激パラメータを決定するための方法700の実施形態を例示する。方法700は、装置によって自動的に実行されるか、または医師もしくは他の介護者にフィードバックすることによって、医師が刺激パラメータを選択することによって実行できる。ステップS702で、1以上の感知された生理学的パラメータが特定の目標範囲(目標レンジ)内にあるか否か判定される。1以上の感知されたパラメータが目標レンジ内の場合、設定された刺激が維持され、プロセスはステップS702に戻る。1以上の感知されたパラメータが目標レンジ外にあると判定されると、プロセスはステップS706に進み、使用する被選択電極ベクトル
の組合せに応じて少なくとも1の利得(ゲイン)の増分または減分によって神経刺激を加減することによって、感知されたパラメータを目標レンジに近づける。種々の例は、目標レンジを上回るレンジ、目標レンジを下回るレンジ、または目標レンジ内のレンジ(すなわちサブレンジ)を提供する。レンジやサブレンジ等に応じて、種々の刺激調整プロトコル(たとえば利得)を使用できる。たとえば或る刺激パラメータ(たとえば周波数)を調整することによって大きい調整を行い、別の刺激パラメータ(たとえば振幅)を調整することによって比較的小さい調整を行うことができる。
【0040】
種々の実施形態は、刺激の強さを増減することによって神経刺激を加減する。別の種々の実施形態は、信号特性(たとえば振幅、周波数、パルス持続時間、または波形)を変化させることによって刺激を加減する。更に別の種々の実施形態は、神経刺激を変化させる刺激電極ベクトルを変えることによって刺激を加減する。幾つかの実施形態では電極ベクトルを変化させることによって、神経連絡の刺激と神経連絡の抑制との間で調節する。種々の実施形態は、電気治療を施すために使用する電極を変えることによって刺激を加減する。このようにして、N個の電極が存在する場合、刺激は、N個の電極のうちから選択された第1組の電極の使用から、N個の電極のうちから被選された第2組の電極の使用へと変化できる。1個の電極は、何れか一方の組のみに含まれるか、または両方の組に含まれてもよい。幾つかの組は別の組にはない電極のみを含む。
【0041】
図8は、神経刺激が付与された場合の、刺激の副作用を最小化または緩和するための方法800を例示する。神経刺激治療は、ステップS802で適用される。種々の実施形態に従い、神経刺激は、治療計画に基づきONまたはOFFにされ、刺激がONにされるとパルス列を含む。ステップS804では、神経刺激に起因し得る有害な副作用が検出されるか否か判定される。通常の有害な副作用の例は、咳、副作用に関係した声(たとえば声の変化または喉頭痙攣)、呼吸関連副作用(たとえば呼吸困難または無呼吸)、心臓関連副作用(たとえば徐脈、不整脈、または心拍出量低下)、および患者の不快症状(たとえば吐き気、咽喉炎、感覚異常、または胃のムカツキ)である。有害な副作用を検出するために種々のセンサを使用できる。一例として、咳を検出するためにインピーダンスセンサ、加速度計、または音響センサを使用できる。音響センサは、声に関連した副作用の検出にも使用できる。別の例として、呼吸関連副作用を検出するために、呼吸センサ、たとえば分時換気量インピーダンスと経胸腔インピーダンスを使用できる。更に別の例として、心臓関連副作用は、心拍センサ、不整脈検出器、血圧センサ、または血流センサを用いて検出できる。更に別の例で、患者の不快症状は、患者または医師からの1以上の入力によって検出できる。
【0042】
種々の実施形態において、たとえば神経刺激と副作用が同時またはほぼ同時に起こったか否か判定することによって、神経刺激が副作用を誘発したか決定する。副作用が検出されなければ、プロセスはステップS802に戻って、引続き神経刺激治療を適用する。副作用が検出されたら、プロセスはステップS806に進み、神経刺激治療の強さを加減することによって、副作用を最小化または緩和する。たとえば副作用が検出されたら、神経刺激の強さは、自動的に副作用閾値以下または異なる電極に調整されて、刺激を治療レベルに維持する。刺激の強さは、刺激電極を変更するか、または神経刺激信号の振幅、周波数、負荷サイクル、またはパルス幅を調整することによって調節できる。副作用の閾値は、時間の経過に連れて増してもよく、それに伴い神経刺激治療の強さも増すが、引続き副作用の閾値を下回る。
【0043】
神経刺激は、神経ネットワークを通して生理学ステップS808に影響する。治療入力ステップS810は、生理学的センサを用いて感知または導出でき、付与された神経刺激治療の制御に使用するためのフィードバック信号を提供できる。生理学的センサまたはその他の入力を用いて、ステップS804で例示されているように、副作用が生じているこ
とを感知、判定、その他導出できる。たとえば1つの実施形態は、咳が、付与された神経刺激に起因するか否か判定することを可能にする咳センサを含む。他の実施形態は、患者または医師の入力を用いて、いつ患者が神経刺激に起因する副作用を経験したか否か判定する。
【0044】
図9に、自律平衡が失われた後で低い神経刺激閾値によって回復するための方法900を例示する。ステップS902で自律平衡が失われたか否か判定する。自律平衡が失われている場合は、ステップS904で刺激パラメータ(たとえば電流振幅)が増加される。ステップS905で、増加されたパラメータが予め設定されたパラメータ閾値と比較される。増加された刺激パラメータが予め設定されたパラメータ閾値よりも大きい(または幾つかのケースでは実質的に等しい)場合は、ステップS910で一層低いパラメータ閾値を求めて別の組の電極がチェックされる。
【0045】
増加された刺激パラメータが予め設定されたパラメータ閾値よりも小さい場合は、ステップS906で自律平衡が回復したか否か判定される。平衡が回復していない場合は、プロセスはステップS904に戻って刺激パラメータが再び増加される。平衡が回復したら、ステップS907で新しい刺激パラメータが評価される。この評価が容認可能と思われたら、ステップS908で新しい刺激電圧が設定される。評価が容認不可能と思われたら、プロセスはステップS904に戻る。ステップS909で自律平衡が生じたことを確認するために、新しい刺激電圧が再テスト/検証される。新しい刺激電圧で平衡が回復されないときは、プロセスはステップS904に戻り、刺激電圧が再び増加される。
【0046】
ステップS912で、新しい組の電極によって自律平衡が回復したか否か判定される。平衡が新しい組の電極によって回復した場合は、ステップS913で新しい刺激電極ベクトルが評価される。この評価が容認可能と思われたら、ステップS914で新しい刺激電圧ベクトルが設定される。評価が容認不可能と思われたら、プロセスはステップS910に戻る。ステップS915で自律平衡が生じたことを確認するために、新しい刺激パラメータが再テスト/検証される。新しい刺激パラメータによって平衡が回復されないときは、ステップS910で一層低い電圧閾値を求めて第2の新しい組の電極がチェックされる。
【0047】
上述したように、本発明による神経刺激システムと方法は、自律平衡の調節によって種々の医学的、精神医学的、または神経学的障害の治療と制御に効果的かつ効率的に使用できる。自律平衡は(治療)、被選択神経ターゲットを通過する刺激電流密度を、最適または容認可能な刺激電極ベクトルを介して操作することによって調節される。このシステムは、神経の周囲の3電極列に多数の電極を含むので、システムは、最適または容認可能な刺激電極ベクトルを判定するために多くの選択肢の中から選ぶことができる。幾つかの例で、治療電流を操作するために使用される電極ベクトルは、低い刺激閾値の最良の組合せを維持するベクトルであり、その結果として有害な副作用を減らし、容認可能な生理学的フィードバックを行う。
【0048】
上記の発明の詳細な説明は、例示を意図したものであって、制限を意図したものではない。たとえば上述した例の何れも単独でも、他の例と合同でも用いられてよい。他の多くの例は、他の多くの例は、上記の説明を検討すれば当業者にとって明らかであろう。それゆえ、本発明によるシステムと方法の範囲は、添付の請求項、およびかかる請求を行う権利が与えられる法的等効物の全範囲を基準にして決定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
末梢神経ターゲットを刺激する神経刺激システムであって、前記神経刺激システムは:
2本以上の神経刺激リード上に少なくとも一部が配置される電極列であって、前記電極列の電極は、選択された前記末梢神経ターゲットである被選択ターゲットに隣接して移植可能に位置決めされること;
1以上の生理学的パラメータの状態を示す信号を生成するように構成された1個以上の生理学的センサと;
少なくとも2個の前記電極に電気的刺激を選択的に付与するためのプログラミング信号を受信するように構成されたプログラム可能メモリを含む移植医療装置と
を含み、
前記プログラミング信号の少なくとも一部は、前記生理学的パラメータを示す信号に基づくことを特徴とする、神経刺激システム。
【請求項2】
前記神経刺激システムは更に、前記神経刺激リードの部分間を接続することによってこれら部分間の幾何学的関係を維持するように構成された1個以上のリード位置決め部材を含む、請求項1記載の神経刺激システム。
【請求項3】
前記リード位置決め部材の寸法と形状は、前記神経刺激リードを前記末梢神経ターゲットに隣接して位置決めし、その上に前記電極を配置するように設定された、請求項2記載の神経刺激システム。
【請求項4】
前記神経刺激システムは更に、1以上の遠隔生成された入力を受信することによって、遠隔測定リンク経由で前記入力を前記移植医療装置に送るように構成された外部プログラマを含む、請求項1〜3何れか一項記載の神経刺激システム。
【請求項5】
前記神経刺激システムは更に、前記電極を載せた心臓刺激リードを含み、前記心臓刺激リードは心臓の内部、上部、または周囲に移植可能に位置決めされる、請求項1〜4何れか一項記載の神経刺激システム。
【請求項6】
それぞれ前記電極は、電気的刺激が付与される際に所望の刺激域を創出する目的で正極性または負極性を確認するために、前記移植医療装置によってプログラム可能である、請求項1〜5何れか一項記載の神経刺激システム。
【請求項7】
前記神経刺激リードは、神経刺激カフリード、神経刺激血管内リード、および神経刺激皮下リードのうちの少なくとも1つを含む、請求項1〜6何れか一項記載の神経刺激システム。
【請求項8】
前記生理学的パラメータは、心拍パラメータ、心拍変動パラメータ、PRインターバルパラメータ、T波速度パラメータ、および活動電位持続時間パラメータのうちの少なくとも1つを含む、請求項1〜7何れか一項記載の神経刺激システム。
【請求項9】
前記生理学的パラメータは、心収縮性パラメータ、心臓リモデリングパラメータ、1回拍出量パラメータ、心拍出量パラメータ、および血圧パラメータのうちの少なくとも1つを含む、請求項1〜8何れか一項記載の神経刺激システム。
【請求項10】
前記生理学的パラメータは、分時換気量パラメータと1回換気量パラメータのうちの少なくとも1つを含む、請求項1〜9何れか一項記載の神経刺激システム。
【請求項11】
前記生理学的パラメータは、心臓有害事象パラメータ、活動性パラメータ、腹痛パラメ
ータ、食欲パラメータ、感情パラメータ、人格性パラメータ、筋緊張パラメータ、睡眠パラメータ、アレルギーパラメータ、および姿勢パラメータのうちの少なくとも1つを含む、請求項1〜10何れか一項記載の神経刺激システム。
【請求項12】
前記生理学的センサは、咳センサを含み、
前記プログラム可能メモリは、前記咳センサから咳状態を示す信号を受信し、そして前記咳が、付与された電気的刺激に起因するか否か検出することによって、自動的に前記電気的刺激を加減し、その結果、前記咳を減少または緩和させるように構成された、請求項1〜11何れか一項記載の神経刺激システム。
【請求項13】
神経ターゲットを刺激する神経刺激システムであって、前記神経刺激システムは:
2本以上の神経刺激リード上に少なくとも一部が配置される電極列であって、前記電極列の電極は前記神経ターゲットに隣接して移植可能に位置決めされることと;
1以上の生理学的パラメータの状態を示す信号を生成するように構成された1個以上の生理学的センサと;
プログラム可能メモリと加減装置を有する移植医療装置と
を含み、
前記プログラム可能メモリは、少なくとも2個の前記電極に電気的刺激を選択的に付与するためのプログラミング信号を受信するように構成され、
前記加減装置は、前記生理学的パラメータに関する刺激反応情報を用いて、前記電気的刺激の1以上のパラメータを加減し、
前記プログラミング信号の少なくとも一部は、前記生理学的パラメータを示す信号に基づく、神経刺激システム。
【請求項14】
前記神経刺激システムは更に、前記電気的刺激を選択的付与するために少なくとも2個の前記電極を選択する選択装置を、前記移植医療装置の内部に含む、請求項13記載の神経刺激システム。
【請求項15】
前記神経刺激システムは更に、前記電気的刺激を選択的付与するために少なくとも2個の前記電極を選択する選択装置を、前記移植医療装置の外部に含む、請求項13記載の神経刺激システム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−519960(P2010−519960A)
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−551759(P2009−551759)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【国際出願番号】PCT/US2008/003574
【国際公開番号】WO2008/115507
【国際公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(505003528)カーディアック ペースメイカーズ, インコーポレイテッド (466)
【Fターム(参考)】