説明

開封栓付き収容体

【課題】再封止後の微量注出を容易に行うことができ、構造が簡単な開封栓付き収容体を提供する。
【解決手段】内容物を注出する筒状部13に切り裂き可能に設けられる栓体部15は、筒状部13に対して密着/離間するシール用突部17と、筒状部13に密着して隙間を生じさせると共に、一部に内容物の通過を可能にする切欠部18aが形成されたガイド用突部18と、嵌入部15Aを筒状部13に嵌入して押し込んだ際、筒状部の開口端面13bに当接するフランジ20とを有する。また、筒状部の内面は、シール用突部17が密着してシールを果たす小径部13dと、嵌入部15Aを押し込んでフランジ20を開口端面13bに当接させた際、シール用突部17を離間させて内容物を通過可能にする流路を生じさせる拡径部13eとを有し、フランジ20には開口端面との間で内容物の注出が可能な切欠部20aが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物を取り出し可能にする開封栓を取着した開封栓付き収容体であって、詳細には、内容物の再封止及び微量注出を可能にする開封栓を取着した開封栓付き収容体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラスチック製のボトルや合成樹脂シート等によって作成される各種収容体には、内容物を注出するための開封栓(スパウトと称されることもある)が設けられている。このような開封栓として、口部に対してスクリュー式のキャップを装着したものが一般的に知られており、このような開封栓によれば、内容物を注出すべく、キャップを取り外した後、再度、キャップを締め付け装着することで、再封止することが可能となる。また、このようなスクリュー式のキャップ以外にも、特許文献1には、プル式の栓体部を設け、栓体部を口部(筒状部)から引き上げて分離した後、栓体部を口部内に嵌入することで再封止を実現できる開封栓が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−310262号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記した公知の開封栓付き収容体では、再封止した後の内容物の注出は、キャップや栓体部を口部から取り外し口部を介して行うため、用途によっては使い勝手が悪い、という問題がある。例えば、一旦キャップや栓体部を口部から取り外した(切り離した)後は、微量注出をしたいことがあっても、そのようなケースでは、口部の開口を介しての注出操作となるため、注出操作が難しくなるという問題がある。
【0005】
また、上記したような開封栓は、構造が容易で低コスト化が図れるように、合成樹脂等によって一体成型されるような形態であることが好ましい。
【0006】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、栓体部を取り外して再封止可能な開封栓付き収容体において、再封止後の微量注出を容易に行うことができ、構造が簡単な開封栓付き収容体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、本発明は、内容物が収容される収容部を具備した収容体と、前記収容体に取着され、収容体に収容された内容物を注出可能であると共に再封止が可能な開封栓と、を有する開封栓付き収容体であって、前記開封栓は、前記収容部に収容された内容物を注出可能な筒状部と、前記筒状部に対して薄肉厚に接続され、前記筒状部を開口させるように切り裂くことが可能であると共に、前記筒状部の内面に対して隙間を介して嵌入可能な有底の嵌入部を具備した栓体部と、を有し、前記栓体部は、前記嵌入部に形成され、前記筒状部の内面に密着/離間するシール用突部と、前記嵌入部の前記シール用突部よりも開口側に形成され、前記筒状部の内面に密着して前記隙間を生じさせると共に、一部に内容物の通過を可能にする切欠部が形成されたガイド用突部と、前記嵌入部を前記筒状部に嵌入して押し込んだ際、前記筒状部の開口端面に当接するフランジと、を有し、前記筒状部の内面は、前記シール用突部が密着してシールを果たす小径部と、前記嵌入部を押し込んで前記フランジを開口端面に当接させた際、前記シール用突部を離間させて内容物を通過可能にする流路を生じさせる拡径部と、を有し、前記フランジには、前記開口端面との間で内容物の注出が可能な切欠部が形成されており、前記栓体部を前記筒状部から切り裂いた後、前記嵌入部を前記筒状部に押し込んで前記フランジを筒状部の開口端面に当接させた際、前記流路、前記ガイド用突部の切欠部、及び前記フランジの切欠部を介して内容物の注出を可能にすると共に、前記嵌入部を引き上げて前記シール用突部を前記筒状部の小径部に移動させた際、前記シール用突部によって内容物をシールする、ことを特徴とする。
【0008】
上記した構成の開封栓付き収容体は、栓体部を切り裂いた後、その栓体部の嵌入部を筒状部に嵌入させることで再封止することができる。この場合、栓体部に形成されたフランジを筒状部の開口端面に当接させると、収容体の収容部との間で微小な注出路が確保され、内容物を微量注出することが可能となり、また、嵌入部を引き上げるとシール用突部が筒状部の小径部に密着して内容物をシールすることが可能となる。もちろん、再封止した状態で栓体部を筒状部から取り外すと、筒状部を介して通常の注出操作が行える。
【0009】
また、本発明は、内容物が収容される収容部を具備した収容体と、前記収容体に取着され、収容体に収容された内容物を注出可能であると共に再封止が可能な開封栓と、を有する開封栓付き収容体であって、前記開封栓は、前記収容部に収容された内容物を注出可能な筒状部と、前記筒状部に対して薄肉厚に接続され、前記筒状部を開口させるように切り裂くことが可能であると共に、前記筒状部の内面に対して隙間を介して嵌入可能な有底の嵌入部を具備した栓体部と、を有し、前記栓体部は、前記嵌入部に形成され、前記筒状部の内面に密着/離間するシール用突部と、前記嵌入部の前記シール用突部よりも開口側に形成され、前記筒状部の内面に密着して前記隙間を生じさせると共に、一部に内容物の通過を可能にする切欠部が形成されたガイド用突部と、前記嵌入部を前記筒状部に嵌入して押し込んだ際、前記筒状部の開口端面に当接するフランジと、を有し、前記筒状部には、前記シール用突部が密着してシールを果たすと共に、前記収容部の内圧が高められた際、変形して前記シール用突部と離間して内容物が通過可能な流路を生じさせる薄肉部が形成されており、前記フランジには、前記開口端面との間で内容物の注出が可能な切欠部が形成されており、前記栓体部を前記筒状部から切り裂いた後、前記嵌入部を前記筒状部に押し込んで前記フランジを筒状部の開口端面に当接した際、前記シール用突部によって内容物をシールすると共に、前記収容部の内圧を高めて前記薄肉部を変形させることで、前記流路、前記ガイド用突部の切欠部、及び前記フランジの切欠部を介して内容物の注出を可能にした、ことを特徴とする。
【0010】
このような構成の開封栓付き収容体では、栓体部を切り裂いた後、その栓体部の嵌入部を筒状部に嵌入させることで再封止することができる。この場合、栓体部に形成されたフランジを筒状部の開口端面に当接させると、シール用突部が筒状部の薄肉部と密着して内容物をシールすることが可能となり、かつ、この状態において、収容部の内圧を高めると前記薄肉部を変形させることが可能となる。この結果、筒状部が変形することで、収容体の収容部との間で微小な注出路が確保され、内容物を微量注出することが可能となる。もちろん、再封止した状態で栓体部を筒状部から取り外すと、筒状部を介して通常の注出操作が行える。
【0011】
上記した構成では、栓体部のフランジの切欠部が形成されている位置に、径方向に突出する突出部を形成しておくことが好ましい。
【0012】
このような突出部を形成しておくことで、内容物を微量注出する位置が把握し易くなり、微量な注出操作を円滑に行えるようになる。
【0013】
また、上記した構成では、前記フランジに形成される切欠部、及びガイド用突部に形成される切欠部は、同一線上に形成しておくことが好ましい。
【0014】
このように、フランジに形成される切欠部及びガイド用突部に形成される切欠部を同一直線上に設定することで、収容部からの注出流路が直線状となり、内容物の微量な注出操作が円滑に行えるようになる。
【0015】
また、上記した構成では、前記栓体部には、引き上げ操作することで、前記栓体部を筒状部の開口内面から切り裂き可能な操作片を形成しておくことが好ましい。
【0016】
このような構成では、栓体部は、操作片を持ち上げるようにすることで簡単に筒状部から分離することができるため、開封操作し易い構造となる。
【0017】
そして、上記した構造の開封栓によれば、筒状部と栓体部をワンピース構造にすることが可能となり、一体成型によって容易に製造することが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、再封止後の微量注出を容易に行うことができ、構造が簡単な開封栓付き収容体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る開封栓付き収容体の第1の実施形態を示す斜視図。
【図2】図1に示す開封栓の構成を示す縦断面図。
【図3】(a)は、図2を矢印方向から見た図、(b)は、栓体部と筒状部の接続部分を拡大して示す図。
【図4】(a)は、栓体部の構成を示す図、(b)は、その部分平面図。
【図5】内容物の微量注出状態を示す図。
【図6】内容物のシール状態を示す図。
【図7】本発明に係る開封栓付き収容体の第2の実施形態を示す斜視図。
【図8】図7に示す開封栓の構成を示す縦断面図。
【図9】(a)は、図8を矢印方向から見た図、(b)は、栓体部と筒状部の接続部分を拡大して示す図。
【図10】内容物の微量注出状態を示す図。
【図11】内容物のシール状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1〜図6は、本発明に係る開封栓付き収容体の第1の実施形態を示す図であり、図1は、全体構成を示す斜視図、図2は、図1に示す開封栓の構成を示す縦断面図、図3(a)は、図2を矢印方向から見た図、図3(b)は、栓体部と筒状部の接続部分を拡大して示す図、図4(a)は、栓体部の構成を示す図、図4(b)は、その部分平面図、図5は、内容物の微量注出状態を示す図、そして、図6は、内容物のシール状態を示す図である。
【0021】
本実施形態に係る開封栓付き収容体1は、例えば、図1に示すような形態で構成することができ、食品、薬剤等の各種内容物を収容する収容体3と、収容体3の収容部3Aに収容された内容物を注出する開封栓10とを備えた構成となっている。
【0022】
前記収容体3は、前記のような各種の内容物が収容できる構成であれば良く、本実施形態では、略矩形形状のシート状部材3a,3bを重ね合わせ、斜線で示す周辺部分(上端部4、側縁部5,6、及び図視されていない下端部)をヒートバー等によって熱溶着することによって、内容物を収容するための収容部3Aを画定する収容体本体が形成されている。この場合、シート状部材3a,3bは、柔軟性を有する合成樹脂製のシート(プラスチックフイルム)、例えば、溶着し易いように、ポリエチレンやポリプロピレンなどによって構成されており、公知のように、その表面側に、収容物に対するバリア性(ガスバリア性および遮光性)を高めるように、ナイロン、アルミホイルなどを積層した、いわゆる複合層で構成されることが好ましい。なお、下端部を溶着するに際しては、底部が形成されるように溶着して収容体を自立体として構成しても良い。
【0023】
上記した構成の収容体構造において、上端部4を溶着する際に、前記開封栓10が介在される。開封栓10は、重ね合わせたシート状部材3a,3bが溶着されるように、断面略舟形形状の溶着部11と、略円筒形状(筒形状)に形成された筒状部13と、筒状部13の先端開口領域に一体形成され、筒状部13から分離可能(切り裂き可能)な栓体部15と、を有している。
【0024】
前記筒状部13には、内部が空洞状で前記溶着部11を貫いて前記収容体3の収容部3Aと連通する連通部13aが形成されており、その上端の開口領域に、筒状部13を開口させるように切り裂くことが可能な栓体部15が接続されている。この場合、筒状部13と栓体部15とは、筒状部13の開口端面13bの内周に沿って形成される薄肉厚部(カット部)14を介して連結されており、この薄肉厚部14をカットすることで、栓体部15は、筒状部13から切り裂かれるよう構成されている。
【0025】
また、前記筒状部13は、軸方向に所定の長さを有しており、その上端側には段部13cが形成されている。すなわち、この段部13cによって、それよりも上側には内径が小さい小径部13dが、それよりも下方側には小径部よりも僅かに径が大きい拡径部13eがそれぞれ形成されている。
【0026】
前記薄肉厚部14をカットすることで筒状部13から分離される栓体部15は、カットされた後、再び、筒状部13の開口に嵌入されて、内容物を再封止できるよう構成されている。栓体部15は、筒状部13に対して嵌入される嵌入部15Aと、筒状部13に嵌入することなく外部に露出する露出部15Bとを備えており、これらは、中実状に構成されている(成型性等を考慮して、部分的に凹部や貫通孔が形成されていても良い)。
【0027】
前記嵌入部15Aは、有底構造となっており、再封止する際、筒状部13の開口に嵌入し易いように、薄肉厚部14から下方には、下方に向けて次第に縮径するテーパ面16が形成されている。また、嵌入部15Aには、筒状部13に嵌入された際、筒状部13の内面に対して、密着/離間するシール用突部17が形成されている。このシール用突部17は、カットされる薄肉厚部14よりも上方で、嵌入部15Aの外面に360°に亘って突出形成されており、前記段部13cよりも上側の小径部13dに対しては、密着してシール機能を発揮する(図6参照)と共に、段部13cよりも下方側の拡径部13eに対しては、離間してその内面との間で流路Dを形成する(図5参照)ようになっている。
【0028】
また、嵌入部15Aには、前記シール用突部17よりも開口側(筒状部に嵌入した状態での開口側)に、筒状部13の内面に密着して隙間を生じさせるようにガイド用突部18が形成されている。具体的に、このガイド用突部18は、嵌入部15Aを筒状部13に対して最大限押し込んでも(この押し込み位置は、図5に示すように、後述するフランジ20が開口端面13bに当接した位置で特定される)、小径部13dの範囲内となるように、嵌入部15Aの外面に360°に亘って突出形成されており、ガイド用突部18が形成されることで、嵌入部15Aを嵌入した際、嵌入部15Aの外面と筒状部13(小径部13d)との間には隙間Gが生じるようになっている。また、このガイド用突部18の一部には、隙間G内に内容物が流れることができるように、切欠部18aが形成されている。
【0029】
前記露出部15Bは、嵌入部15Aと一体形成されており、嵌入部15Aが筒状部13に押し込まれても、外部に露出する部分となる。このため、露出部15Bは、嵌入部15Aを筒状部13に嵌入して押し込んだ際、筒状部13の開口端面13bに対して当接するフランジ20を備えている。そして、このフランジ20の裏面側の一部には、当接した開口端面13bとの間で内容物の注出が可能となるように切欠部20aが形成されている。
【0030】
この場合、図4(b)に示すように、フランジ20の切欠部20aは、ガイド用突部18に形成される切欠部18aと同一線上に形成しておくことが好ましい。また、上記フランジ20には、切欠部20aが形成されている位置に対応して、径方向に突出するような突出部(くちばし状の突出部)20Aを形成すると共に、前記開口端面13bにも、対応して受け側となる突出部13b´を形成しておくことが好ましい。さらに、上記した栓体部(露出部15B)には、栓体部を筒状部から引き上げ操作し易いように(切り裂き操作し易いように)、図に示すように、径方向に突出する操作片22を形成しておくことが好ましい。すなわち、このような操作片22を形成しておくことで、この部分を引き上げ操作することで、栓体部15を、前記薄肉厚部14の部分で容易に筒状部13から切り裂くことが可能となる。
【0031】
以上のように構成される開封栓10については、溶着部11、筒状部13、及び栓体部15を、樹脂、例えば、ポリエチレン等のポリオレフィンによって、一体成型することが可能となっている。
【0032】
次に、上記した開封栓付き収容体1の作用、効果について説明する。
最初、操作片22を把持し、この部分を引き上げ操作することで、栓体部15を薄肉厚部14の部分でカットし、栓体部15を筒状部13から切り裂く。この場合、薄肉圧部14を容易にカットし易いように、操作片22を引き上げた際に引き裂き力が作用する部分を、さらに薄肉厚化しておくことが好ましい。
【0033】
栓体部15を薄肉厚部14に沿ってカットすることで、収容体内に収容された内容物は、筒状部13の連通部13aを介して注出することが可能となる。そして、カットした栓体部15は、嵌入部15Aを筒状部13に嵌入させることで内容物を再封止することが可能となる。この場合、図5に示すように、栓体部15(露出部15B)に形成されたフランジ20を、筒状部13の開口端面13bに当接させると、矢印で示すように、収容体3の収容部3Aとの間で微小な注出路が確保され、内容物を微量注出することが可能となる。すなわち、シール用突部17が段部13cの下方に位置することで、シール用突部17の先端と拡径部13eの内面との間には流路Dが形成され、内容物は、流路Dを経由してその上方にあるガイド用突部18に形成された切欠部18aに流れ、さらにガイド用突部18によって形成された隙間G及びフランジ20に形成された切欠部20aを介して外部に注出することが可能となる。
【0034】
このような切欠部20aからの注出は、栓体部15を取り外して筒状部13から直接、注出する場合と比較して微量とすることができ、しかも、単に栓体部15を筒状部13に対して深く嵌入するだけの操作で簡単に行うことが可能となる。すなわち、栓体部15を再封止した後、微量な注出操作を、簡単な構造の開封栓によって容易に行うことが可能となる。
なお、上記したように、切欠部20aは、くちばし状の突出部20Aの部分に形成されていることから、内容物を微量注出する位置が把握し易くなり、微量注出操作を円滑に行えるようになる。また、開口端面13b側にも、対応するように突出部13b´を形成したことから、液だれが生じ難くなり、再封止の際の嵌入方向を明確化することができる。さらに、フランジ20に形成される切欠部20a、及びガイド用突部18に形成される切欠部18aは、同一線上に形成されていることから、収容部3Aからの注出流路が直線状となり、内容物の微量な注出操作が円滑に行えるようになる。
【0035】
そして、図6に示すように、上記した嵌入部15Aを筒状部13に対して引き上げて、シール用突部17が筒状部13の小径部13dに密着すると、内容物をシールすることが可能となる。もちろん、この状態で、さらに栓体部15を筒状部13から取り外すと、筒状部13を介して通常の注出操作が行えるようになる。
【0036】
次に、本発明に係る開封栓付き収容体の第2の実施形態を図7から図11を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態では、前記実施形態と同一の構成部分については、同一の参照符号を付し、詳細な説明については省略する。
【0037】
本実施形態では、筒状部13の中間部分に、径方向に容易に弾性変形できるような変形領域が形成されている。具体的にこのような変形領域は、筒状部13の側面に、部分的に薄肉部13hを形成することで構成されており、図11に示すように、通常状態では、シール用突部17が密着して内容物をシールでき、かつ、収容体3の収容部3Aの内圧が高められて、内容物がある程度の圧力でシール用突部17の部分に流れると、図10に示すように、径方向外方に広がるように弾性変形して流路Dが形成されるようになっている。
【0038】
上記した薄肉部13hが形成される位置は、栓体部15(嵌入部15A)を筒状部13に嵌入し、フランジ20を筒状部の開口端面13bに当接させた際、シール用突部17が密着できる位置に設定されている(栓体部15については、上記した実施形態と同様に構成されている)。このように、本実施形態では、上述した第1の実施形態のように、栓体部15の位置を上下動させなくても、内容物のシール及び微量注出することが可能となっている。なお、内容物を微量注出するに際して、収容部3Aの内圧を高めるのは、例えば、収容体3を挟持して押圧力を作用させても良いし、収容体3を傾けても良い。
【0039】
また、本実施形態では、筒状部を変形させたが、それ以外にも、例えば、シール用突部17の一部先端を薄肉厚状に形成しても良い。すなわち、シール用突部17に内圧が作用しない場合はシール状態を保ち、シール用突部17に内圧が作用した場合は弾性変形して、流路が確保されるような構造であっても良い。
【0040】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記した実施形態以外にも適宜変形することが可能である。例えば、収容体3に対して開封栓10が取着される位置については、適宜変形することが可能である。また、栓体部15は、筒状部13に嵌入されて再封止できるような構造であれば良く、その形状、切り裂き方法等については種々変形することが可能である。さらに、収容体3については、上記したシート状部材3a,3b以外にも、例えば、プラスチック製のボトルタイプとして構成されたものであっても良い。
【符号の説明】
【0041】
1 開封栓付き収容体
3 収容体
3a,3b シート状部材
10 開封栓
13 筒状部
13a 連通部
13b 開口端面
13c 段部
13d 小径部
13e 拡径部
13h 薄肉部
14 薄肉厚部
15 栓体部
15A 嵌入部
17 シール用突部
18 ガイド用突部
18a 切欠部
20 フランジ
20a 切欠部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される収容部を具備した収容体と、前記収容体に取着され、収容体に収容された内容物を注出可能であると共に再封止が可能な開封栓と、を有する開封栓付き収容体であって、
前記開封栓は、前記収容部に収容された内容物を注出可能な筒状部と、前記筒状部に対して薄肉厚に接続され、前記筒状部を開口させるように切り裂くことが可能であると共に、前記筒状部の内面に対して隙間を介して嵌入可能な有底の嵌入部を具備した栓体部と、を有し、
前記栓体部は、前記嵌入部に形成され、前記筒状部の内面に密着/離間するシール用突部と、前記嵌入部の前記シール用突部よりも開口側に形成され、前記筒状部の内面に密着して前記隙間を生じさせると共に、一部に内容物の通過を可能にする切欠部が形成されたガイド用突部と、前記嵌入部を前記筒状部に嵌入して押し込んだ際、前記筒状部の開口端面に当接するフランジと、を有し、
前記筒状部の内面は、前記シール用突部が密着してシールを果たす小径部と、前記嵌入部を押し込んで前記フランジを開口端面に当接させた際、前記シール用突部を離間させて内容物を通過可能にする流路を生じさせる拡径部と、を有し、
前記フランジには、前記開口端面との間で内容物の注出が可能な切欠部が形成されており、
前記栓体部を前記筒状部から切り裂いた後、前記嵌入部を前記筒状部に押し込んで前記フランジを筒状部の開口端面に当接させた際、前記流路、前記ガイド用突部の切欠部、及び前記フランジの切欠部を介して内容物の注出を可能にすると共に、前記嵌入部を引き上げて前記シール用突部を前記筒状部の小径部に移動させた際、前記シール用突部によって内容物をシールする、ことを特徴とする開封栓付き収容体。
【請求項2】
内容物が収容される収容部を具備した収容体と、前記収容体に取着され、収容体に収容された内容物を注出可能であると共に再封止が可能な開封栓と、を有する開封栓付き収容体であって、
前記開封栓は、前記収容部に収容された内容物を注出可能な筒状部と、前記筒状部に対して薄肉厚に接続され、前記筒状部を開口させるように切り裂くことが可能であると共に、前記筒状部の内面に対して隙間を介して嵌入可能な有底の嵌入部を具備した栓体部と、を有し、
前記栓体部は、前記嵌入部に形成され、前記筒状部の内面に密着/離間するシール用突部と、前記嵌入部の前記シール用突部よりも開口側に形成され、前記筒状部の内面に密着して前記隙間を生じさせると共に、一部に内容物の通過を可能にする切欠部が形成されたガイド用突部と、前記嵌入部を前記筒状部に嵌入して押し込んだ際、前記筒状部の開口端面に当接するフランジと、を有し、
前記筒状部には、前記シール用突部が密着してシールを果たすと共に、前記収容部の内圧が高められた際、変形して前記シール用突部と離間して内容物が通過可能な流路を生じさせる薄肉部が形成されており、
前記フランジには、前記開口端面との間で内容物の注出が可能な切欠部が形成されており、
前記栓体部を前記筒状部から切り裂いた後、前記嵌入部を前記筒状部に押し込んで前記フランジを筒状部の開口端面に当接した際、前記シール用突部によって内容物をシールすると共に、前記収容部の内圧を高めて前記薄肉部を変形させることで、前記流路、前記ガイド用突部の切欠部、及び前記フランジの切欠部を介して内容物の注出を可能にした、ことを特徴とする開封栓付き収容体。
【請求項3】
前記栓体部のフランジには、前記切欠部が形成されている位置に、径方向に突出する突出部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の開封栓付き収容体。
【請求項4】
前記フランジに形成される切欠部、及びガイド用突部に形成される切欠部は、同一線上に形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の開封栓付き収容体。
【請求項5】
前記栓体部には、引き上げ操作することで、前記栓体部を筒状部の開口内面から切り裂き可能な操作片が形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の開封栓付き収容体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−254813(P2012−254813A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129148(P2011−129148)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(000228408)日本キム株式会社 (37)
【Fターム(参考)】