説明

開封構造を備えた筒状容器

【課題】容器を著しく破損せず、内容物を破損せず、消費者にとって容易に開封可能な開封構造を備えた筒状容器(好ましくは筒状紙製容器)を提供することである。
【解決手段】開封構造を備えた筒状容器であって、筒状容器の周面上に、ほぼ弧状のプッシュ部を含むジッパー部を設け、前記プッシュ部の反対側に罫線を有するほぼ弧状の折り部を設けた開封構造を備えたことを特徴とする開封構造を備えた筒状容器とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開封構造を備えた筒状容器に関し、詳しくは、少なくとも、胴部が、好ましくは、紙で構成され、天部・底部は、好ましくは、紙・プラスチック・金属などで構成された、好ましくは、おおよそ円柱形をした開封構造を備えた筒状容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
筒状容器の開封方法としては、例えば、特許文献1(特開2004−26178号公報)に記載されるように、特定のジッパー構造を設けてこれにより開封する方法や、特許文献2(実開昭53−164547号公報)に記載されるように、摘み舌片を設けてこの引き上げまたは押し込みにより開封する方法がある。
このように、容器の開封方法としてはジッパータイプやプッシュタイプがある。ジッパータイプは切取り後に切取り部がゴミとなるため、消費者にとって不便である。それに対して、プッシュタイプは2アクションで開封することが可能で消費者にとって便利である。
ところが、筒状の紙製容器の方法としてプッシュタイプを採用すると、特に、必要流通強度をもつ切れ刃とツナギの長さに設計する場合、紙の柔軟性によりツナギが切れず開封する前に容器が凹んでしまうため、内容物を破損してしまう危険性がある。
また、押し込んで指を入れた後、上部を引き上げる際に凹んだ部分から胴部を破ってしまい開封しにくくなる。
【特許文献1】特開2004−26178号公報
【特許文献2】実開昭53−164547号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
解決しようとする問題点は、筒状容器の開封構造が、容器を著しく破損し、内容物を破損してしまう点である。従って、本発明の目的は、容器を著しく破損せず、内容物を破損せず、消費者にとって容易に開封可能な開封構造を備えた筒状容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、開封構造を備えた筒状容器であって、筒状容器の周面上に、ほぼ弧状のプッシュ部を含むジッパー部を設け、前記プッシュ部の反対側に罫線を有するほぼ弧状の折り部を設けた開封構造を備えたことを特徴とする開封構造を備えた筒状容器である。
この場合、前記プッシュ部は、ミシン目であることが好ましい。
また、前記折り部は、罫線からなることが好ましい。
そして、前記折り部は、前記プッシュ部よりも弧状の径が大きいことが好ましい。
また、筒状容器の周面上に前記ジッパー部を片端とした折込み罫線を設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0005】
本発明の筒状容器の開封構造によれば、凸状、特に弧状、好ましくは、ほぼ半円形に切刃とツナギで構成されたミシン目を有するプッシュ部により、容器胴部を凹ませることなく開封可能になり、半円形の上部端部より、好ましくは、それぞれ左右に少し上方に傾けたジッパー部、および、好ましくは、半円形プッシュ部とジッパー部の上部に、ジッパー部の概ね上部先端から描かれ、プッシュ部とは上下逆向きに、凸状、特に弧状、好ましくは、半円状の罫線(または罫線と半切れ)で構成された折り部により、特に、この折り部により、上部を引上げて開封する際に胴部を破らずに開封することが可能になるという利点を有する。この構造により、消費者は、筒状の容器を著しく破損することなく、中身を破損することなく、容易に開封可能となる。
また、罫線により折り込んで再封入部を形成し、径が狭く(小さく)なるので、容器を開封後、再度封入するのも容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
筒状容器の開封構造として、容器を著しく破損せず、内容物を破損せず、消費者にとって容易に開封可能な構造を検討したところ、図1のような特徴を持つ構造を提案するに至った。図2は、図1の特徴をさらに詳細に示すものである。
そして、その特徴点は、以下のとおりである。
(1)好ましくは、ほぼ半円形に切刃とツナギで構成されたミシン目からなるプッシュ部Aを有し、
(2)好ましくは、半円形の上部端部よりそれぞれ左右に少し上方に、傾けたジッパー部Bを設け、
(3)半円形プッシュ部Aとジッパー部Bの上部に、ジッパー部Bの概ね上部先端から描かれ、プッシュ部Aとは、好ましくは、上下逆向きの半円状の罫線(または罫線と半切れ)で構成された折り部Cが設けられた筒状容器の開封構造。
【0007】
本発明における筒状容器10は、少なくとも胴部が紙で構成され、天部・底部は、紙・プラスチック・金属などで構成された、おおよそ円柱形をした筒状紙製容器であることが好ましい。
【0008】
プッシュ部Aのミシン目、即ち切れ目線は、図示のように、半円の最下部、即ちプッシュ時に最初に最も力がかかる部分は切刃21にし、その後にツナギ25を設ける構造がよい。なお、プッシュ部Aには、折り曲げを容易にするために、仮想水平線としての罫線27が設けられている。プッシュ部Aの位置は、背貼り部18がある場合には、図示のように、背貼り部18の重なっている紙の端部が開封構造の中央に位置するようにするか、または、背貼り部18とは反対方向に開封構造が位置するのが望ましい。要するに、背貼り部18、換言すれば、強度のある部分が開封の最初か最後にくることが望ましく、途中に背貼り部18があると開封の左右のバランスがとりづらく、紙向けを生じるなどの不具合が起き易い。
この場合、プッシュ部Aは、ジッパー部Bに対して、凸状、即ち弧状に設けられていればよく、図示例では、半円状に形成されているが、その他、半楕円形状や、三角、四角等の多角形形状やその角部にRを持たせた形状であってもよい。
【0009】
ジッパー部Bは、図示例では、くの字状の半切れ31に形成されている。
そして、このジッパー部Bは、筒状容器の周面上に、周状にそのほぼ全域に亘って形成される。
このジッパー部Bの所定箇所には、プッシュ部Aが設けられている。ジッパー部Bの開始部分は、プッシュ部Aに対して、所定の角度で、傾けて配置することが好ましい。ジッパー部Bの開始位置の垂線に対するプッシュ部Aの仮想水平線27の図示の角度θは、105°〜130°が好ましい。これにより、確実な開封が可能となる。角度θがこれ以外では、開封が円滑にできない傾向がある。ジッパー部Bの始端に、プッシュ部Aの先端が直接当接していると、開封が円滑にできなくなる傾向があるからである。
【0010】
さらに、折り部Cは、プッシュ部Aより大径とされる。これにより、確実な開封が可能となる。
この折り部Cは、ジッパー部Bの所定の位置に当接する。ジッパー部Bの傾斜の途中に折り部Cの円弧先端があると、折り部Cが円弧状に凹まずにジッパー部Bの先端(即ち、ジッパー部Bの直線部分に交わる部分)から凹み、紙目に沿って上部に紙ムケして、ひいては破れてしまう傾向があるからである。
逆に、ジッパー部Bの直線部分に折り部Cの先端があると、ジッパー部Bの先端とジッパー部Bの直線部分が交わる部分のツナギ部がうまく破れにくい傾向があるからである。また、この交差部のツナギ部を省略すると、ジッパー部の強度が弱くなってしまうおそれがある傾向があるからである。
図示例では、半切れ41と罫線43のミシン目から折り部Cが形成されるが、折り部Cが罫線だけでない場合の刃の組合せは、ジッパー部Bと交わる部分は半切れなどの刃ではなく罫線が望ましい。交わった部分に刃があると、開封時に刃の部分からの紙剥けしてしまい、意味をなさなくなるからである。
【0011】
さらには、図示例の構造では、再封入部Fを付け加えた例が示される。
この再封入部Fは、図示のように、ジッパー部Bの、この場合は好ましくは、下側に当接する3角形の稜線および中心線を形成する3本の罫線51,52,53であることが好ましい。
【0012】
このような構成で、プッシュ部Aを指で押すと、図3に示されるように、折り部Cが撓み、同時に、ジッパー部Bが破断して、開封がなされる。開封後、再度内容物を再封入したいときは、再封入部Fの罫線に沿って、折り曲げて、容易に元の形に戻すことができる。罫線51,52,53を折り曲げ再封入部Fを形成する。この再封入部Fを形成することにより径が小さくなり容易にかぶせることができる。この再封入部Fは、1つだけ設けることもできるが、図示のように、互いに対向する位置に2つの再封入部F,Fを設けることが好ましい。この位置は、図示のように、プッシュ部Aおよび折り部Cとは異なる位置に設けられる。
【実施例】
【0013】
図示の構造において、開封構造の寸法を直径75mmの筒状容器に対し、プッシュ部Aが半径約11mm、折り部Cが半径約24mmであるとき、開封し易い寸法であることが解かった。
【産業上の利用可能性】
【0014】
筒状紙製容器に収納した製品において、容器自体および中身の破損のない開封構造が実現するので、そのような用途において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の開封構造を説明するための展開図である。
【図2】本発明の開封構造をさらに詳細に説明するための拡大展開図である。
【図3】本発明の開封構造の開封状態を説明するための斜視図である。
【符号の説明】
【0016】
A プッシュ部
B ジッパー部
C 折り部
F 再封入部
10 筒状容器
18 背貼り部
21 切刃
25 ツナギ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
開封構造を備えた筒状容器であって、
筒状容器の周面上に、ほぼ弧状のプッシュ部を含むジッパー部を設け、
前記プッシュ部の反対側に罫線を有するほぼ弧状の折り部を設けた開封構造を備えたことを特徴とする開封構造を備えた筒状容器。
【請求項2】
前記プッシュ部は、ミシン目である請求項1に記載の開封構造を備えた筒状容器。
【請求項3】
前記折り部は、罫線からなる請求項1または請求項2に記載の開封構造を備えた筒状容器。
【請求項4】
前記折り部は、前記プッシュ部よりも弧状の径が大きい請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の開封構造を備えた筒状容器。
【請求項5】
筒状容器の周面上に前記ジッパー部を片端とした折込み罫線を設ける請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の開封構造を備えた筒状容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−56249(P2008−56249A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−231858(P2006−231858)
【出願日】平成18年8月29日(2006.8.29)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】