説明

開放式給湯装置

【課題】省スペースで設置出来ると共に、変形による破損を確実に防止した開放式給湯装置を提供する。
【解決手段】高温水を貯湯する大気開放で扁平形状の貯湯タンク1と、該貯湯タンク1の広い面側には縦桟47と横桟48から成る補強金具46を備えたことにより、給湯装置として設置場所を選ばす、設置スペースがいらず、どこにも省スペースで設置出来る利点を有するが、その反面貯湯タンク1の広い面側に変形が発生する問題があり、これを貯湯水の重量、圧力を一番受ける扁平形状の貯湯タンク1の広い面側は、縦桟47と横桟48で強力に補強されるので、貯湯タンク1の変形による破損を確実に防止出来、常に安心して使用出来るものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、大気開放の貯湯タンクに補強金具を備えた開放式給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種の開放式給湯装置では、機械式のボールタップ弁を利用することで、給水と縁切りして貯湯タンク内を大気開放状態として、使用圧力の制限をなくし、貯湯タンクの材料や構造を安価なものにするものであった。(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】実公昭60−35004号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところでこの従来のものでは、給水圧はかからないが水自体の重量により、貯湯タンクが変形するもので、特に設置スペースを考慮して扁平形状の貯湯タンクとした場合には、広い面側が大きく膨らんで変形し、通常の貯湯タンクとしての機能を果たさないものであった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明はこの点に着目し、上記欠点を解決する為、特にその構成を、請求項1では、高温水を貯湯する大気開放の貯湯タンクと、該貯湯タンクの広い面側には縦桟と横桟から成る補強金具を備えたものである。
【0005】
又請求項2では、前記補強金具は、複数の縦桟及び横桟を格子状に組み合わせて構成したものである。
又請求項3では、前記少なくとも横桟は、幅広で厚みのある合成樹脂で形成したものである。
【0006】
又請求項4では、前記複数の横桟は、所定の間隔を開けて配置されると共に、この間隔には発泡断熱材を配置したものである。
又請求項5では、前記補強金具の外周は、貯湯タンクと共に発泡成形断熱材で覆われ、外枠内に収められたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明の請求項1によれば、貯湯水の重量、圧力を一番受ける特に扁平形状の貯湯タンクの広い面側を、縦桟と横桟で強力に補強されるので、貯湯タンクの変形による破損を確実に防止出来、常に安心して使用出来るものである。
【0008】
更に請求項2では、縦桟と横桟とを格子状としたことで、補強が更に強力となり、変形による破損を長期に渡り確実に防止出来るものであり、又請求項3では、横桟を安価な合成樹脂で形成するので、コストを抑えながら安心して使用出来る給湯装置が提供されるものである。
【0009】
更に請求項4では、要所要所を強固な横桟を配置し、その間を断熱作用も含む発泡断熱材で補強したので、補強と断熱が兼ねられ、安価で効率の良い貯湯タンクが得られるものであり、又請求項5では、最終的には補強金具の外周から断熱材で覆い外枠で押さえるので、貯湯タンク全体を強力に補強することとなり、安全性を向上出来るものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次にこの発明の開放式給湯装置の一実施形態について説明する。
1は設置場所を取らないように扁平形状とした温水を貯湯する貯湯タンク、2は温水を加熱する加熱手段としてのヒートポンプユニット、3は浴槽である。
【0011】
4は貯湯タンク1とヒートポンプユニット2を循環可能に接続する加熱循環回路で、加熱循環ポンプ5を有し貯湯タンク1の下部に接続されたヒーポン往き管4a及び貯湯タンク1上部に接続されたヒーポン戻り管4bより構成され、貯湯タンク1下部の冷水をヒーポン往き管4aを介してヒートポンプユニット2で加熱し、加熱された高温の温水をヒーポン戻り管4bで貯湯タンク1上部に戻して貯湯タンク1内に温水を加熱貯湯するものである。なお、貯湯タンク1の外周面には縦に複数個の貯湯温度センサ6a、6b、6c、6d、6e、6f、6gを有しており、この貯湯温度センサが所定温度以上を検出することで貯湯量を検知するものである。
【0012】
7は貯湯タンク1に水を供給する給水管で、途中には貯湯タンク1側から2個の逆止弁8、9と給水圧で閉じられ断水による負圧で大気開放する逆流水開放弁10と、給水の開始、停止を制御する給水電磁弁11とが一つのセットとして備えられており、又給水電磁弁11より給水側には異常遮断用の電磁弁12と減圧逆止弁13が備えられている。
【0013】
14は貯湯タンク1の上端から内方に垂下された2本の電極から成る水位検知手段で、370Lを貯湯する為に、貯湯量が下がればこれを検知して給水電磁弁11を開成し水を補給し、そして所定量になればこれを検知して給水電磁弁11を閉成し水の補給を停止するものであり、湯水の最上面と貯湯タンク1上端面との間には、エアー抜き管15を介して大気開放された大気開放室16が形成されている。
【0014】
17は貯湯タンク1上部に連通した給湯管で、蛇口18を開くことによる水の流れをフロースイッチ19が検知して駆動開始する給湯加圧ポンプ20を備え、貯湯タンク1内の湯水を逆止弁21、給湯混合弁22、給湯サーミスタ23、流量カウンター24を介して蛇口18から設定温度の給湯を行うものであり、これは給湯混合弁22で給水管7から分岐した給水パイパス管25の給水と湯水を設定温度となるように混合して供給しているからであり、給湯停止時には給水側を開口して蛇口18開口時の水流を作るものである。
【0015】
26は貯湯タンク1内上部の湯水中に位置された風呂熱交換器で、風呂往き管27と風呂戻り管28を介して浴槽3と連通して、風呂の保温及び追い焚きを行う風呂循環回路29を構成するもので、この風呂循環回路29には水位センサー30、風呂電動弁31、風呂循環ポンプ32、循環温サーミスタ33、風呂フロースイッチ34、風呂熱交換器26のバイパス路を形成する風呂保温三方弁35、追い焚き検知サーミスタ36とが備えられている。
【0016】
37は給湯管17の逆止弁21と給湯混合弁22の間と風呂循環回路29を結ぶ湯張り回路で、給湯水に給水を混ぜて風呂設定温度に設定する風呂混合弁38と、湯張り電磁弁39、風呂流量カウンタ40、風呂逆流開放弁41、2個の逆止弁42、43がそれぞれ備えられている。
【0017】
44は給湯加圧ポンプ20後方の給湯管17に設けた中温水三方弁で、貯湯タンク1で風呂熱交換器26の直ぐ下の位置に連通した中温水取り出し管45が接続し、風呂熱交換器26で保温や追い焚きした後の中温水を取り出して給湯に利用するものである。
【0018】
46は扁平形状で板厚を薄くした貯湯タンク1の広い面側2面に備えられた補強金具で、各面3個の断面凸状で両側に折り曲げ部を有した縦桟47間に所定の間隔を開けて、扁平幅広で厚みのあるように合成樹脂で箱状に形成した片面3個の横桟48を格子状に組み合わせて、広い面の要所要所を強固に補強するものであり、更に各横桟48間の間隔間には、該横桟48と同一形状の発泡断熱材49が2枚ずつ備えられ、補強をしながら貯湯タンク1の断熱が行われるものである。
【0019】
前記縦桟47は、上部を対向する両側の縦桟47同志を上下2個の連結桟50でそれぞれ連結し、下部は貯湯タンク1が固着された3個の支持脚51に固定されるものである。
【0020】
会議
52は前記補強金具46も含めて貯湯タンク1全体を、外枠53との隙間を埋めるように密着して覆って発泡成形断熱材で、複数のブロックに分割されており、外枠53と共に最終的には貯湯タンク1の変形を防止する補強の役目を果たすものである。
【0021】
次にこの開放式給湯装置の特徴的作動を以下に説明する。
前記貯湯タンク1内の湯水は、時間帯別電灯契約や深夜電力等の安価な電力を利用し、ヒートポンプユニット2に加熱循環回路4を介して順次循環させることで、翌朝には90℃の湯水を370L貯湯するものである。
【0022】
そして、蛇口18を開くと給水バイパス管25を介しての給水の流れが出来、これをフロースイッチ19が検知することで、給湯加圧ポンプ20が駆動開始して貯湯タンク1内の高温水を、給湯混合弁22で給水と混合して設定温度の温水として蛇口18から供給するものであり、又蛇口18を閉じることによる流水の停止をフロースイッチ19が検知して給湯加圧ポンプ20の駆動を停止して給湯が終了するものである。
【0023】
更に給湯中に貯湯タンク1では、貯湯温水が減少することにより、水位検知手段14がこれを検知して給水電磁弁11を開成することで、給水管7から貯湯タンク1底部へ給水圧で補水がなされ貯湯水位が上昇し所定水位に達すると、水位検知手段14がこれを検知して給水電磁弁11を閉成して給水が停止されるものである。
【0024】
又この給水管7には、2個の逆止弁8、9があり、しかも給水電磁弁11がその上流側に備えられているので、貯湯タンク1内の湯水の逆流は確実に阻止されるものであり、更に断水等による負圧に対しては、給水電磁弁11で遮断するが、給水時については、逆流水開放弁10が給水圧がなくなることで開放して、負圧が解消されることで、逆流が確実に防止されるものであり、水位検知手段14による貯湯タンク1の水位を見ながらの給水電磁弁11の制御で、貯湯タンク1に給水圧がかからない給湯を、機械的な部品の使用をなくして信頼性の高い構成で実現したので、貯湯タンク1の形状や材料を強度をあまり気にすることなく、容易に変更出来、安価に提供出来ると共に、故障等の心配もなく安心して使用出来るものである。
【0025】
一方貯湯タンク1を扁平形状としたことにより、給湯装置として設置場所を選ばす、設置スペースがいらず、どこにも省スペースで設置出来る利点を有するが、その反面貯湯タンク1の広い面側に貯湯水の重量、圧力が作用して、外側に広がる変形が発生する危険を有するが、この発明では、この部分を縦桟47と横桟48を格子状に配置した補強金具46で補強したことで、外側に広がろうとする変形を確実に防止出来、更に各横桟48間には、該横桟48と同一形状の発泡断熱材49が備えられ、補強と共に断熱効果も得ることが出来るものであり、しかも最終的には、各種配管や補強金具46も含めて貯湯タンク1全体を発泡成型断熱材52で覆い、隙間がないようにして外枠53で覆うので、発泡成形断熱材52及び外枠53も補強の役目を果たし、全体の相乗効果で長期に渡り変形による破損を強力に防止することが出来るものである。
【0026】
又貯湯タンク1は、両側を凹状に形成し、この両側を平板で連結して溶接した後に、上板と下板を溶接して形成するもので、前記平板部分に補強金具46が取り付けられている。
尚、この一実施形態では、加熱手段をヒートポンプユニット2としたが、これに限定されることなく、例えば電気ヒーターとしても良いものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明の一実施形態の概略構成図。
【図2】同要部の正面視の説明図。
【図3】同要部の平断面視の説明図。
【図4】同要部の側面からの説明図。
【符号の説明】
【0028】
1 貯湯タンク
46 補強金具
47 縦桟
48 横桟
49 発泡断熱材
52 発泡成形断熱材
53 外枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温水を貯湯する大気開放の貯湯タンクと、該貯湯タンクの広い面側には縦桟と横桟から成る補強金具を備えた事を特徴とする開放式給湯装置。
【請求項2】
前記補強金具は、複数の縦桟及び横桟を格子状に組み合わせて構成した事を特徴とする請求項1記載の開放式給湯装置。
【請求項3】
前記少なくとも横桟は、幅広で厚みのある合成樹脂で形成した事を特徴とする請求項1及び2記載の開放式給湯装置。
【請求項4】
前記複数の横桟は、所定の間隔を開けて配置されると共に、この間隔には発泡断熱材を配置した事を特徴とする請求項1から3記載の開放式給湯装置。
【請求項5】
前記補強金具の外周は、貯湯タンクと共に発泡成形断熱材で覆われ、外枠内に収められた事を特徴とする請求項1から4記載の開放式給湯装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−300425(P2006−300425A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−123384(P2005−123384)
【出願日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)
【Fターム(参考)】